素材で見る
成長デスティネーションの
新規素材をどう活かす?
アンケートを行った。結果、「好きな素 材」の第 1 位となったのは、南米ツアーの 定番中の定番マチュピチュ遺跡だ。「見る べき遺跡が周りに多く、何度でも楽しめ る」(コンドルトラベルジャパン 江木雅男 氏)、「少なくとも 1 泊して朝日と夕日を見 てほしい」(グランツールジャパン 山田順 子氏)など、スペシャリストたちにとって も、圧倒的な魅力がある素材であること がうかがえる。 次いで人気だったのは、ダイナミックな 氷河の景観が楽しめるパタゴニア。11∼3 月と期間限定の素材ではあるが、「“南米 で雪”というアンバランスと大自然の凄さ を味わえる。トレッカー向きだが初心者 でも十分楽しめる」(ラティーノ 尾辻秀樹 氏)など、ダイナミックな自然を賞賛する 声が挙がった。 1 ブラジル、ペルー、エクアドル、コロンビア、ベネズエラの5 カ国にまたがる世界最大規模の熱帯雨林アマゾン 2 南米観光のハイライト、古代インカ帝国首都のマチュピチュ 3 アルゼンチン側ではペリト・モレノ氷河、チリ側ではパイネ国 立公園がハイライトとなるパタゴニア ※調査方法:南米専門または南米の取り扱いが 多いツアーオペレーター11社にインターネッ トでアンケート。うち10社、26人から回答 2 1 3南米、
素材で見る
南米
企画
特集
Chapter
1
南米は、順調に渡航者数が増えている 貴重なデスティネーションだ。日本から の年間渡航者数も、ペルーが 04 年の 2 万 7326人から08年は4万2745人と4年間で 56%増、ブラジルも 04 年の 6 万 806 人が 08 年には 8 万 1270 人と、4 年間で 34%も の伸びを示す。リーマンショック以降に は伸びが鈍化していることは否めないが、 「長いスパンで見れば南米マーケットは順 調に伸びている」と関係者は口をそろえ る。もちろん、渡航者数自体が多くない ので伸び率が著しくなるのだが、だからこ そ「成長する余地がある方面」として期待 されている。 トラベルジャーナルはこのほど、南米 専門のツアーオペレーターに「好きな素 材」「今後勧めたい新規素材」についての何度行ってもそのたび感動
好きな観光素材は? (複数回答3つまで可) 1位 マチュピチュ遺跡 11票 2位 パタゴニア 7票 3位 ブエノスアイレス 4票 3位 エンジェルフォール 4票 4位 アマゾン 2票 4位 イグアスの滝 2票 4位 ガラパゴス諸島 2票 4位 コロニア 2票 4位 パンタナール 2票 今後勧めたい新観光素材 (複数回答2つまで可) 1位 レンソイス 6 2位 ウユニ塩湖 4 3位 パンタナール 3 そのほか、イスチグアラスト(アルゼン チン)、マヌー国立公園(ペルー)、ボニー ト(ブラジル)など~スペシャリストが選んだのは?~
デザイン/白井有希子 写真提供/メルコスール観光局、グルーポ・ピコ南米、
デザイン/白井有希子 写真提供/メルコスール観光局、グルーポ・ピコ次
の
一手
海外旅行の低迷が続くなか、貴重な「成長デスティネーション」
として期待される南米。大自然や古代遺跡など、観光素材の
宝庫のトレンドを追う。
33
TRAVEL JOURNAL 2010.5.31 南 米で「 滝 」といえば世 界 3 大 瀑 布 (滝)の 1 つ「イグアスの滝」が有名だが、 お勧め素材第3位になったのが5∼11月に 楽しめるギアナ高地のエンジェルフォー ル。「想像を超えるスケールの自然を体感 できる。先住民のカヌーに乗って、タイ ムスリップ気分で世界最長のエンジェル フォールを目指す」(ラティーノ 上村カル ロス氏)など、大自然を体感することが醍 醐味になっている。 日本から南米まで、北米や欧州乗り継 ぎで 26 時間前後かかるのだが、「今後勧め たい新素材」として挙げられたのは、南米 にたどり着いてからも、さらにかなりの時 間を要する秘境中の秘境。ここ数年で急 激に認知度が上がったのは、ブラジル北 部の砂丘レンソイス。「広大な砂漠の風景 が素晴らしい」(アールスドリーム 井戸垣 直哉氏)砂丘なのだが、「メルコスール観 光局の集中的なプロモーションに触発さ れたツアーオペレーターや旅行会社も多 いのでは」(ハレルヤワールドトラベル 寺 尾牧夫氏)という。また、メディアの露出 が目立った「ウユニ塩湖」も、地平線まで 「好きな観光素材」で第3位のブエノスアイレ スは、「タンゴのイメージと建造物が調和して 洗練されている。散策やショッピングを楽しん でほしい」(グランツールジャパン 小池由美氏) など、美しさや治安の良さが評価された。コロ ニアルスタイルの街並みを楽しむなら、アルゼ ンチンから日帰り訪問が可能な、ウルグアイの コロニア・デル・サクラメントも「のんびり散 策を楽しめる街」(トラベルファクトリージャパ ン 手嶋源博氏)としてお勧めだ。近年はホテ ルの建設が盛んで、女性好みの洗練されたデザインホテルも増えている南米。旅行代金がネッ クだが、街歩きをメインターゲットにした女性向けツアーも生まれるかもしれない。 4 4km以上にわたって流れるイグアスの滝 5 独自の進化を遂げた動物達が生息するまさ に秘境中の秘境、ガラパゴス諸島(エクアドル) 6 5~10月の乾季には塩の結晶が独特の模 様を描くウユニ塩湖(ボリビア) 7 砂丘が白と青のコントラストの不思議な景 観を描くレンソイス 5 白銀の世界が広がる、ほかには見られない 独特な景観を楽しめる場所だ。 レンソイスまでは、ブラジルの都市サン ルイスから陸路で約5時間、ウユニ塩湖ま では、ボリビアの首都ラパスから陸路で約 11 時間と、どちらも訪れるのに相当な時 間がかかるのだが、その行程自体を消費 者にいかに楽しませるかがポイントになり そうだ。なお、これら秘境の絶景を堪能 するには、それぞれシーズンを選んで訪れ る必要がある。 さて、「 国 」 として注 目したいのは、 2014 年のサッカーワールドカップ、16 年 の夏季オリンピックと次々とビッグイベ ントを控えるブラジル。かつてヴァリグ・ ブラジル航空が運航していたころは、南 米旅行といえばブラジルがメインだった。 近年はすっかりペルーにお株を奪われて いるが、再び航空路線が充実しつつある (chapter3 参照)のに加え、ビッグイベン トに向けた国内インフラの整備も急速に 進んでいる。これに合わせて、イグアスの 滝だけではない、国内の豊富な観光素材 をマーケットに提案する動きが予想される。 トンプソン・ツアーズの野口進氏が推 すのは、マナウスを起点にしたアマゾンク ルーズ。「日帰りで入り口をのぞく程度で はアマゾンの魅力はわからない。2 ∼ 3 泊 してジャングルクルーズを楽しみ、どっぷ りアマゾンに浸ってほしい」(野口氏)と いう。また、ブラジルの季節限定素材と して忘れてはいけないのがリオのカーニバ ルだが、その時期以外でも「景観、ビー チ、陽気なカリオカ、音楽などの多種多 様な素材が楽しめる」(ウニベルツール 川 崎賢二氏)という。ブラジルの文化や街に も、今後注目したい。 6South America
7秘境中の秘境を訪ねて
イベント目白押しのブラジル
南米で楽しむ街歩き
パステルカラーの街並みが美しいコロニア・ デル・サクラメント(ウルグアイ) 4 0531_32_36_SouthAmerica.indd 33 10/05/19 19:08セルになり、関係者はマチュピチュのリカ バリーを促す一方で、新規デスティネー ションを育てる重要性を痛感する。 では、 次にどこを売るのか。 ルック JTB、HIS インプレッソ、ホリデイなどが ツアー設定しているベネズエラのギアナ 高地・エンジェルフォールの台頭が目につ くものの、そのほかに際立ったトレンドは なく、各社が独自で新デスティネーション を模索しているようだ。 大手旅行会社では群を抜いたツアーラ インナップを誇るルック JTB は、これま でも中南米パンフレット「地球の詩」シ リーズで、ボリビアのウユニ塩湖、ガラパ ゴス諸島など、精力的に新コースを発表し てきたが、10 年からは新たにコロンビア周 遊コースや、ブラジルのレンソイスを訪ね るコースを設定。阪神フレンドツアーは、 これまで日帰りで訪れていたウルグアイの コロニア・デル・サクラメントを1泊に変更 して、時間帯によって変わる風景を楽し めるようにしている。下期には、氷河を訪 ねるパタゴニアや、世界 3 大祭りのリオの カーニバルなど、期間限定の商材も加わる。 南 米は、 ルート次 第でツアーバラエ ティーが無限だ。企画担当者の腕が試さ れる方面といえるだろう。「費用対効果」 を問われると、耳が痛いのが各社の現状の ようだが、海外旅行が停滞している今だ からこそ、この素材の宝庫の魅力を、マー ケットに発信し続けたい。 販売側に高い知識が求められる南米では、 専門性の高い直販型の旅行会社の存在感 が大きい。大手旅行会社では、南米への 取り組み方が各社によってくっきりと分かれる。 南米単独のパンフレットを展開して力を入れ るのがルックJTB、HISインプレッソ、ホリデ イ、フレンドツアーなど。一方でジャルパック は基幹「アメリカ」の巻頭で絞り込んだコー スを設定するものの、マッハ・ベストは南米 コースを展開していない。 近年の南米ツアーの売れ筋パターンは2 つ。①マチュピチュ遺跡とナスカの地上 絵観光を組み込んだペルー1 カ国周遊と、 ②それにイグアスの滝を加えたペルー・ア ルゼンチン・ブラジル 3 カ国周遊だ。こ れら①②定番パターンをベースに、各社 アレンジを加える。たとえば、ジャルパッ クやルック JTB は、マチュピチュ遺跡に 隣接する希少価値のあるホテル、サンク チュアリ・ロッジ確約のコースを設定し、 遺跡滞在時間を長くしている。ホリデイ はイグアスの滝観光を、ブラジル側、ア ルゼンチン側、さらにボートツアーとさま ざまな角度から3回楽しめるよう日程を組 む。HISインプレッソも、09年にユネスコ 世界遺産に登録されたばかりのペルー北 部の遺跡、カラル遺跡に足を延ばすコー スをいち早く設定している。しかしなが ら、各社が差別化に力を入れる半面、プ ラスアルファのアレンジを加えたツアーよ りも、①②のエッセンスのみを満たしたシ ンプルなツアーのほうが、売れる傾向にあ るという。南米といえば「安・近・短」の 対極のデスティネーションのはずだが、現 在の市場環境下で、“比較的”「安・近・ 短」のコースが選ばれているようだ。 南米は添乗員付きツアーが主流で、設 定日は売れ筋コースで週 1 回、その他の コースは月 1∼2 回程度と総じて少ない。 最少催行人員に満たなければ、参加希望 者をほかの出発日に誘導することも多い。 日程に融通が利く熟年層のシェアが高い 方面だが、逆に日程調整ができなければ、 ツアー参加自体が難しいという現状もあ る。そんななか、売れ筋の 2 パターンで毎 日設定・2 名催行のツアーを拡充している のはルック JTB とホリデイ。いずれも添 乗員は同行せず、現地ガイドを利用する。 2 名催行コースを造成するには、ガイドの 確保や、参加人数の違いによる添乗員付 きコースとの旅行代金差など、乗り越え なければならない壁も多い。しかし、消 費者に間口を広げ、今後より幅広い層に 南米を訴求するためにも、これらのコース の意義は大きいだろう。 かねてから、「南米ツアーはマチュピ チュ遺跡に頼り過ぎ」と各所で指摘され ていた。奇しくも 10 年 1 月のペルー洪水 に遺跡閉鎖( 4 月 1 日以降はすでに復興) で、南米ツアーの予約の大多数がキャン
パンフレット
で見る
各社の「本気度」をチェック
Chapter
2
売れ筋パターンをどう差別化?
1 全78ページ、南米のツアー20コースと、圧倒的なラインナップを誇るルックJTB「地球の詩」 2 新宿ワンダーランド支店で特殊方面の専門デスクも設置し、力を入れるHIS 3 ペルー周遊コースに定評のあるフレンドツアー。売れ筋は11日間のコース 4 ギアナ高地とエンジェルフォールツアーを新設したホリデイ。ラグゼホリデイでも南米コースを展開している 5 ジャルパックは、アメリカパンフレットの巻頭で展開 6 南米だけでも かなりのツアーバ ラエティーを誇る 先駆者的存在ユー ラシア旅行社パンフレット
南米
ペルーの“次”を各社が模索
1 3 6 4 5 2南米、
次
の一手
成長デスティネーションの 新規素材をどう活かす?35
TRAVEL JOURNAL 2010.5.31 10年1月末に発生した洪水により閉鎖され たマチュピチュ遺跡。各社のツアーは軒並み 催行中止となり、関係者は大打撃を受けたが、 遺跡観光はすでに4月から再開されている。 そんななか、ルックJTBが新パンフレット 「憧れのマチュピチュへ ペルー・アルゼンチ ン」を発表。同パンフレットの目玉は、旅行 代金26万8000円からの「6日間で気軽にマ チュピチュ」。これまで7日間以上が主流だっ たペルーで6日間の日程は画期的といえる。こ の日程は、マチュピチュと双璧を成す観光ス ポット、ナスカの地上絵を外すことで実現し た。代金もこれまで30万円台後半からが標準 だったマーケットプライスを大幅に下回って おり、同社のメインパンフレット「地球の詩」 の「神秘のマチュピチュとナスカの地上絵7」 のボトム代金37万8000円と比べても、11 万円も安くなっている。 「ペルーはほかの南米の国々と違い、熟年だ けではなくハネムーナーや若い女性層の需要 が高くなっているのが特徴」。JTBワールドバ ケーションズ商品開発部の常盤省吾部長はこ う前置きする。「ヨーロッパでは、ごく最近、6 日間ツアーの人気が急激に高まっている。こ れは、不況の影響で働く人が休みが取りにく くなったからだと考えられる」(同)。ならば、 同じく若い層が多いペルーでも6日間コース の需要があると考え、今回の設定に踏み切っ たというわけだ。もちろん、訪問先をマチュピ チュに絞ることで、「今だから」マチュピチュ をマーケットにアピールするという効果もあ る。常盤部長は、「本来長い日程のツアーに参 加するはずの顧客を、安いツアーに誘導する のではなく、休みがとれない層を救うことが 目的」と強調する。 さて、この商品を追うように発表されたの が、阪神航空フレンドツアー「とにかくマチュ ピチュ!ペルー応援ツアー8日間」。こちらも ナスカの地上絵を外した日程で、期首商品の ボトム代金を6万円下回る29万8000円か らの設定。同社の場合は、ナスカに行かない 代わりにマチュピチュの滞在時間を長くして、 被災地を訪れるなどリカバリー色が一層強い のが特徴。 「ナスカを外すことは社内でも議論を呼ん だが、価格を下げること、マチュピチュの滞 在時間を長くすることで復興を強調しようと 思った」(阪神航空フレンドツアー 武田亘 氏) 被災時には1000人以上の日本人観光客が とり残されたマチュピチュ。再三メディアで 露出したことで、多くの観光客が訪れる場所 だということが周知されたともいえる。発売 間もないこの2つのパンフレットの反響が見 えるのはもう少し先になりそうだが、「ペルー に頼り過ぎない」一方で、「一旦沈んだデス ティネーションを盛り上げる」工夫も試され ている。今だからマチュピチュにこだわる2社
現在はマチュピチュに向かう鉄道の一部のみ開通、 残りはバスが代替運行しているが、7月には全線 が復旧する予定 ヨーロッパのトレンドがヒント リカバリー色を全面に TJ10.04.26 中南米パターンB THOMPSONS Japan【手配地域】 南部アフリカ、東アフリカ、アフリカ全域、中近東、マダガスカル、 モーリシャス、レユニオン、セイシェルズ、ニューギニア、南太平洋 カリブ海地域、中南米、タヒチ、イースター島、北極&南極THOMPSONS Travel Group【取扱アジア地域】
インド、ネパール、スリランカ、バングラディッシュ、ブータン、 モルディブ、パキスタン、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタン モンゴル、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイランド マレーシア、シンガポール、香港&マカオ、中国、台湾、韓国
Japan
0531_32_36_SouthAmerica.indd 35 10/05/19 19:08ラン航空グループのランペルー航空(LP) は、7 月からサンフランシスコ/リマ線を開 設する。使用機材は B767(プレミアムビジ ネスクラス 28 席/エコノミークラス 189 席) を予定。サンフランシスコを月・火・木・土 曜に発着する週 4 便の運航だが、なるべく 早い時点でのデイリー化を目指している。 サンフランシスコ発が 13:15 であるため、 関空からの数少ない北米路線であるユナイ テッド航空(UA)の関空/サンフランシスコ 線とスムーズに接続できるのも大きなメリッ ト。これまでは関空からラン航空グループの アメリカ/南米間のフライトに同日接続でき なかったが、7 月以降は新たなルートが確 保できるわけだ。またサンフランシスコ/リ マ線は、リマでラン航空グループのサンパウ ロやイグアスへのフライトにも便利に接続で きるため、関西発の南米旅行商品の可能性 が大きく広がることになる。 南米でも最もユニークなデスティネーショ ンのひとつとして知られ、エコツアーの聖 地であるガラパゴスにもラン航空グループ が就航する。ランエクアドル航空(XL)は 9 月 16 日からガイヤキル/ガラパゴス間に 就航する予定。すでにエクアドルの首都で あるキトと同国最大の都市であるガイヤキ ルの間には XL がデイリー運航しているほ か、ニューヨーク/ガイヤキル間も運航して いる。このため、南米旅行の行程にガラパ ゴスを加えやすくなるのをはじめ、日本から ニューヨーク経由でガラパゴスへ向かうこと もできるようになる。 ガイヤキル/ガラパゴス間には既存のフラ イトもあるが、ラン航空グループのように機 材が新しく定時運航率と信頼性の高さで定 評があり、サービスや品質も統一化されてい るフライトでガラパゴスへ向かえるのは、旅 行者にとって大きな魅力となるはずだ。 ラン航空グループは高品質なサービスで 知られるが、その基本となっているのは常 に最新機材の導入を図り、最先端のサービ スを提供すること。アメリカと南米主要都 市間のフライトで設定されている「プレミア ムビジネスクラス」では、最近導入を始めた 航空会社も多いシェル型のフルフラットシー トを、他社に先駆けてすでに数年前から採 用。ビジネスクラスのフルフラットシートに 先鞭を付けた。同様に、エコノミークラスで もオンデマンド機能付きの個人用モニターな どをいち早く装備するなど、常に航空業界 の最先端のサービスを取り入れてきた。 サービスの最も基本的な要素である定時 運航率も高いレベルで安定しており、定刻 の 15 分以内に出発するオンタイム・パフォー マンスは、何年間にもわたって 80% 以上を 維持している。 高いサービスレベルを支える重要な要素 が最新鋭機材の導入である。現在、南米域 内のフライト用に短・中距離路線用のエアバ ス A318、A319、A320 といった機材を数 十機単位で大量導入しており、平均使用年 数を 3 ∼ 4 年に抑えている。長距離路線に ついても既存の B767 の後継機として、す でに最新鋭の B787 を 32 機発注している。 B787 はボーイング社の事情で納期が遅れ ており、全世界の航空会社が首を長くして 順番を待っているが、ラン航空グループへ の納入開始は 2014 年の予定だったものが 11 年に前倒しされることが決定。来年には B787 のグループにとっての一番機が納入さ れる予定だ。ラン航空グループではこれを 機に、路線拡張のペースもさらに加速してい く方針である。 機内食のクオリ ティーの高さも定 評がある(写真は ビジネスクラス) フルフラット・ シートの導入も他 社に先駆けていた San Francisco [PR] ラン航空グループは、チリ、ペルー、エクアドル、アルゼンチンの 4 カ国を拠点とする 4 つの“LAN 航空”で構成される。その品質とサービスクオリティーの高さで航空 市場に台頭し、南米地域を代表する航空会社の地位を確立しつつある。路線ネット ワークの拡大とともに、北米・南米間の国際線のパイプも年々太くなっている。
ガラパゴスにも新フライト
最新鋭の B787も続々投入予定
関空からの新たなルートを
38
TRAVEL JOURNAL 2010.5.31 航空会社にとって南米路線は成長が見込 める有望路線。それだけに各航空会社とも 強化策には積極的だ。デルタ航空(DL)は、 ハブ空港であるアトランタのほかに、旧ノース ウエスト航空のハブであるデトロイトも南米の 重要なゲートウェイの役割を果たす。10年10 月からデトロイト/サンパウロ線が就航を控え ており、成田だけでなく中部国際空港からも デトロイト経由でサンパウロ線に乗り継げるよ うになり、中部・東海地域から南米への旅 客需要の摘み取りにも力を入れている。 一方、コンチネンタル航空(CO)はヒュー ストン経由で南米各地に乗り継ぐことができ る強みを活かし、ペルーに加えて今後はギア ナ高地やパタゴニア、ガラパゴスといったSIT 系のデスティネーションについて、旅行会社 に対して積極的に商品化を働きかけている。 米系航空会社と同様に、同一航空会社 で南米まで乗り継げるのがアエロメヒコ航空 (AM)だ。成田から週 3 便運航されている メキシコシティ線は、リマ線への乗り継ぎ時 間が約 2 時間と利便性が高い。 いまや南米を代表する航空会社グループ となったLAN航空グループは、7月からサン フランシスコ/リマ/サンパウロ線の運航を開 始する。関空/サンフランシスコのユナイテッ ド航空(UA)から乗り継ぐことも可能で、エ バー航空の関空/ロサンゼルス線の運休で 足場を失った同社が、関西マーケットで再び 存在感を発揮する環境が整うわけだ。チリ、 ペルー、アルゼンチン、エクアドルの4カ国に 航空会社を持ち南米全域をカバーするLAN 航空グループだが、ブラジルについては主要 都市への乗り入れは果たしているものの、航 空会社の設立には至っていない。「LANブ ラジル航空の実現を目指しているが、ブラジ ル側のガードは固い」(松井陽一日本地区支 店長)のが実情。 ブラジルのフラッグキャリアだったヴァリグ・ ブラジル航空(RG)の経営破綻以降、ブラ ジル域内の航空移動の確保は、旅行会社 の悩みの種だった。しかし、TAMブラジル 航空(JJ)と、RGを買収したローコストキャ リア(LCC)のゴル航空(G3)が 2 大航空 会社として台頭。これに伴い他航空会社と の連携も整いつつある。COはすでにG3と 提携しブラジルのサンルイスまでの切り込み 発券を可能にしており、レンソイス観光を積 極的に提案している。また、DLも4月13日 付でG3との提携合意を発表しており、旅行 会社にとって扱いずらい一面を持つLCCと の距離は縮まっている。 G3 がほぼ国内線のみなのに対して、JJは 国内線だけでなく、ブラジル発着の国際線 の約 9 割を占めているのが特徴。北米だけ でなくヨーロッパの5 都市にも乗り入れている。 同社は日本市場に対しても積極的で、09 年 11月にアールスドリームと日本総代理店契約 を結び、10 年1月1日付で BSPジャパンに 加盟。2月からは日本での営業活動を本格 化している。5月にはスターアライアンスへ正 式加盟の運びで、「同じスターアライアンス 加盟の全日空(NH)と協力して日本からブ ラジルへの共同運航便も検討している」(小 野田孝英日本地区総支配人)。有望とみら れるNHのロンドン線を利用した共同運航便 が実現すれば、成田/ロンドン/サンパウロ がデイリーで結ばれることになる。10年下期 から日本航空(JL)の成田/サンパウロ線の 廃止が決まり、日系航空会社の南米路線が なくなるなかでの嬉しいニュースといえる。 地球の反対側の南米は、もともと北米経 由でもヨーロッパ経由でも所要時間はほぼま る1日で、大きな違いはない。これまでは単 一航空会社で最終目的地まで到着できて、 安いレートが提供されている北米経由が主 流だったが、今後はヨーロッパ経由南米路 線の可能性が広がるものと期待される。エルムンド DIV.
代表 小野田 孝英中南米
〒105-0003 東京都港区西新橋1-10-2 住友生命西新橋ビルB1F ㈳日本海外ツアーオペレーター協会正会員184号 TAMブラジル航空日本地区総代理店株式会社 アールス ドリーム
Tel: 03-5251-1411 E-mail: [email protected]
のことなら