御堂島正氏 博士(文学)学位請求論文 『石器使用痕研究―方法と展望―』
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(2) したもので、客観的で科学的な成果を導き出している。さらに、その正確度と信頼性を判 定するために、ブラインドテストを繰り返し実施した点も評価される。第Ⅴ章において、 長野県佐久市立科F遺跡や、東京都三鷹市羽根沢台遺跡、長野県南牧村中ツ原第5遺跡B 地点から出土した旧石器遺物をはじめ、縄文時代・弥生時代までの石器を含めた使用痕分 析を通じて、作業内容、対象物などを的確に推定し、この方法の有効性を実地に確認した といえるだろう。 本研究は、石器の機能推定、および人間の活動復元に当たって、基礎的方法論を提示し ている。もちろん自然科学的方法として、なお改善すべき点もあるが、今後、これらの視 点により、各遺跡からデータが集積され、遺跡内で行われた諸活動が完全に復元できるな らば、今後の考古学研究に与える影響は計り知れない。 このように、本研究が持つ豊かな将来性は評価され、基礎的研究を完成した御堂島氏の 業績は高く評価されよう。しかし、厳密な方法論に立脚し、客観性に裏打ちされた研究で あるだけに、指摘すべき課題も存するので、本論文を書籍として公刊するに際しては、以 下の部分を補訂する必要があろう。 先史文化・社会を解明する上での使用痕研究の学術的意義と射程を、より積極的に論じ られてもよいのではないかと思われる。また論文中の写真などは、原版は鮮明に描写され ているのに、写真コピーが鮮明さを欠くものが1例あるので、出版の際には考慮されたい。 本研究は完成するまでに 20 数年を必要とした事実からもうかがわれるように、多大な時 間と労力を費やし、多くの自然科学的知識を必要とした事は疑いなく、これら若干の課題 は瑕疵とはいえず、本研究の価値を些かも下げるものではないことを申し添えておきたい。 以上、総合的に評価して、本論文は博士(文学)に相応しいと認められる。 2003 年 10 月 4 日 主任審査員. 早稲田大学教授. 高橋龍三郎. 審査員. 早稲田大学教授. 審査員. 東京大学人文社会系研究科助教授. 文学博士(早稲田大学) 文学博士(法政大学). 菊池徹夫 佐藤宏之.
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