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密教研究 Vol. 1922 No. 9 005香川 英隆「聴海抄に就て P90-113」

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Academic year: 2021

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釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 九 〇

程 論 の 概 念 吾 人 は 釋 摩 訶 衍 論 が 歴 史 的 事 實 と し て 、 世 間 が 如 何 に 批 評 し ゃ う と も 、 高 祖 弘 法 大 師 が 察 部 の 論 藏 な り と 御 採 用 な ら れ し 事 實 を 追 憶 す る と き 、 末 徒 た る 者 誰 か こ の 廣 大 甚 深 の 眞 理 を 疑 ひ 、 大 師 の 卓 見 を 非 と す る を 得 ん や 。 吾 人 は 釋 論 の 精 要 に 封 し 、 先 徳 の 考 察 と 予 の 愚 考 と を 以 つ て 哲 學 的 考 察 を な し 、 以 つ て 不 二 摩 訶 衍 の 大 眞 理 を 顯 示 し て 、 大 師 の 卓 見 を 肯 定 し 奉 り 論 主 の 思 想 に 對 し て 讃 美 し 奉 ら む と す る も の な り 。 然 れ ば そ の 大 眞 理 と は 何 か 。 吾 人 こ の 大 間 題 に 入 る に 先 立 つ て 、 釋 論 の 概 念 を 知 ら ざ る べ か ら ず 。 言 ふ ま で も な く 第 一 卷 は 造 論 の 因 縁 并 に 因 縁 分 と 立 義 分 、 第 二 卷 よ り 第 七 卷 ま で 解 釋 分 、 第 八 卷 よ り 第 十 卷 上 雫 の 問 に 修 行 信 心 分 、 第 十 卷 下 半 に 勸 修 利 盆 分 と 區 分 し て 、 起 信 論 所 明 に 對 す る 密 教 的 論 .釋 を 試 み る 整 然 た る 大 論 な り 。 今 こ の 五 分 の 特 性 を 見 る に 、 因 縁 分 は 八 因 縁 を 詳 説 し て 、 所 化 の 機 と 能 化 の 教 法 と の 因 縁 的 關 係 を 述 べ 、 結 果 に 起 る 利 盆 及 び 衝 動 的 な る 出 與 の 相 を 説 く 、 即 ち 八 因 縁 の 下 に 能 化 教 法 出 興 門 と 所 化 衆 生 分 濟 門 と 出 興 作 業 善 巧 門 の 三 門 の 分 科 な す あ る に よ り て 知 る べ き で あ る 。 立 義 分 は 解 釋 分 と 廣 畧 の 不 同 あ れ ど も 、 起 信 論 所 明 の 法 體 一 心 二 門 三 大 等 よ り 三 十 三 門 法 を 建 立 す 、 こ れ に よ つ て 立 義 分 と 云 ふ 。 次 に 解 釋 分 は 立 義 分 中 所 明 一 心 の 後 重 二 法 二 門 に 限 り て 廣 説 す 、 こ れ 立 解 二 分 の 解 行 證 入 に 於 て 機 別 な る に よ る 。 修 行 信 心 分 は 上 の 解 釋 分 等 に よ り 法 體 の 如 何 に 甚 深 廣 大 の 義 あ る を 了 解 し 、 從 つ て 行 を 起 す 、 そ の 行 を 起 す 相 を 釋 す 。 勤 修 利 益 分 は 前 分 に 修 行 の 相 を 示 す と 云 へ ど も 、 鈍 根 懈 慢 の 衆 生 は 信 修 に た へ ず 故 に 、 そ の 利 益 を 擧 げ て 修 行 を 納 め し む る の 一 分 な り 。 勤 修 利 益 分 と 修 行 信 心 分 と は 要 す る に 、 宗 教 的 實 踐 と そ の 價 値 に 及 ぶ も の な り 。 釋 論 五 分 に 對 し 、 頼 賓 果 賓 師 等 は 體 、 相 、 用 に 配

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釋 論 に 對 す ろ 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 九 二 し 、 立 義 分 は 體 な り 、 解 釋 分 は 相 な り 、 餘 三 分 は 用 な り と あ り て 、 立 解 二 分 は 不 二 摩 訶 衍 の 法 體 と そ の 相 を 解 釋 す る も の に し て 、 所 謂 本 體 論 と 縁 起 論 で あ る 。 修 勤 二 分 は 宗 教 的 信 條 と 價 値 に 及 ぶ も の な り 。 因 縁 分 は 大 略 史 的 説 明 と 見 ら る べ し 。 故 に 釋 論一 部 は 哲 學 的 で あ り 、 宗 教 的 で あ る 。 又 佛 教 思 想 の 綜 合 に し て 而 も 密 教 果 分 の 實 相 を 顯 示 す る も の で あ る と 言 ひ 得 る 。 即 ち 現 象 界 に 封 し 、 消 極 的 に 人 法 二 空 な り と 唱 道 し 、 空 門 性 宗 の 如 く 論 じ て 眞 如 門 と し 、 以 つ て 哲 學 的 本 體 論 を 高 調 し 、 而 も 眞 如 本 覺 は 單 に 涅 槃 寂 靜 の 如 く 非 活 動 的 の も の に あ ら ず 、 縁 に 隨 っ て 善 惡 染 淨 と 縁 起 し て 、 時 に 生 死 苦 海 、 或 る 時 は 極 樂 莊 嚴 と し て 展 開 す 、 こ れ 積 極 的 縁 起 に し て 生 滅 門 な り と す 。 こ の 眞 生 二 門 の 關 係 に 絶 封 不 可 斷 の 根 本 無 明 潜 在 し 、 そ の 完 全 な る 無 明 淨 化 の 極 限 に 眞 如 本 覺 は 顯 示 さ れ 、 こ の 當 相 を 不 二 摩 訶 衍 な り と し 、 こ れ を 人 格 化 し て 法 身 大 目 な り と す 。 こ の 眞 生 二 門 と 不 二 門 と は 張 烈 な る 信 仰 に よ り 宗 教 的 に 關 係 せ ら る 丶 を 見 る 。 か く し て そ の 信 條 と 價 値 に 封 す る 説 述 を 修 勤 二 分 に 於 て す 、 そ の 組 織 の 精 巧 と 偉 大 と に は 驚 う か ざ る を 得 な い 。 さ て 解 釋 分 が 立 義 分 の 如 何 な る 部 分 の 門 法 を 論 ず る か を 見 る に 、 勿 論 立 義 分 は 法 數 三 十 三 注 門 に し て 、 こ れ を 圖 し て 解 釋 分 の 所 在 を 見 る に 上 圖 に よ つ て 見 る に 、 馬 鳴 の 十 論 中 か の 大 乘 起 信 論 の 所 論 は 一 心 の 後 重 に 屬 す る 二 法 二 門 を 解 釋 す る の み 、 わ が 釋 論 は 起 信 論 を 釋 す る も の と せ ば 、 釋 論 解 釋 分 も 一 心 の 後 重 二 法 二 門 を 釋 す る 外 は な い 、 さ れ ど 餘 二 十 九 法 門 と 關 係 せ ず と 云 ふ に あ ら ず 所 餘 聖 略 し て 別 釋 せ ず (釋 論 第 二 卷 一 丁 よ り 、 十 論 釋 法 門 配 當 段 あ り ) 、 又 何 故 に 諸 論 、の 建 立 門 の 中 に は 備 さ に 本 數 を 標 す る に 散 説 門 の 中 に は 各々 其 數 を 闕 す る や 。 法 體 は 分 れ ざ れ ど も 義 門 差 別 な る こ と を 顯 示 せ ん と 欲 ふ が た め の 故 、 復 次 に 法 門 の 廣 大 な る こ と 虚 空 界 の 如 く 、 義 理 の 無 窮 大 な る こ と 澄 神 海 の 如 く 、 言 説 も 具 さ に す る こ と 能 は ず 、 思 惟 も そ の 量 を 知 ら ざ る こ と を 顯 示 せ ん と 欲 ふ が た め の 故 に 云 々 (國 譯 密 教 論 釋 第 二 五 十 七 丁 參 照 ) 。 し か れ ど も 釋 論 解 釋 分 は 決 し て 一 心 の 解 釋 に 限 ら る ゝ も の に あ ら ず 、 不 二 摩 訶 術 果 分 を 顯 示 せ ん た め な れ ば 、 勿 論 餘 三 大 二 十 九 法 門 に 釋 の 及

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べ る こ と を 想 到 せ ね ば な ら ぬ (釋 論 決 澤 第 三 不 二 説 不 段 參 照 ) 。 こ こ に 於 て か 釋 論 一 部 宗 趣 に 對 し 、 鑁 上 人 は 四 重 秘 釋 を も つ て し 、 信 堅 師 は 正 し く 両 部 秘 密 の 内 證 を 顯 示 し 、 兼 ね て 顯 略 を 示 す と す 。 要 す る に 一 部 所 明 の 論 宗 は 不 二 爲 宗 に あ り 、 一 部 所 明 廣 し と 雖 ど も 、 略 し て 不 二 門 に 攝 在 す る こ と 一 般 に 成 立 す る 所 な り 、 故 に 三 十 二 門 法 に 對 せ ば 不 二 諸 法 能 生 能 攝 の 本 源 な り 、 諸 法 能 流 の 本 源 な り 、 し か れ ば 三 十 二 門 法 は 立 義 法 中 よ り 見 れ ば 皆 不 二 の 上 の 義 用 な り 、 義 相 で あ る 、 由 つ て 一 部 十 軸 廣 路 あ れ ど も 不 二 摩 訶 衍 の 法 體 を 一 部 に 布 列 し て 示 す 外 な し 。 故 に 不 二 を 以 つ て 一 部 の 論 宗 と す 。 こ れ 實 に 立 義 分 中 摩 訶 衍 者 總 て の 實 義 で あ る 。 か く て 不 二 摩 訶 衍 は 性 徳 圓 滿 海 に し て 、 こ れ を 論 説 し 、 解 了 し 體 驗 す る を 密 教 徒 の 本 領 と す る な り 。 こ の 摩 訶 衍 を 説 く に 二 種 あ り 、 一 は 注 二 は 義 な り 、 釋 論 解 釋 の 表 て は 法 即 ち 衆 生 本 一 心 な り 。 所 謂 横 に 百 億 契 經 を 以 て し 、 竪 に 秘 密 法 身 内 證 を 披 瀝 し て 、衆 生 一 心 即 ち 十 界 十 界 、 即 ち 一 心 と し て 、 一 心 の 十 界 を 論 じ て 衆 生 の 一 心 た る 本 體 と 、 そ の 縁 起 を 釋 す る に あ り 。 釋 論 の 哲 學 的 研 究 の 範 圍 勿 論 釋 論 は 密 教 所 屬 の 論 藏 な る 以 上 、 そ の ま 丶 も つ て 哲 學 に あ ら ず 、 吾 人 は 哲 學 的 研 究 の 範 圍 と し て 、 他 の 宗 教 的 部 分 及 び 歴 史 的 部 分 よ り 區 別 せ ね ば な ら ぬ 。 こ ゝ に 於 て 釋 論 の 哲 學 的 部 分 及 び そ の 組 織 を 有 す る は 、 上 に も 一 言 せ し 如 く 、 一 心 の 二 法 二 門 は 、 即 ち 釋 論 解 釋 分 は 哲 學 的 研 究 の 範 圍 と せ な け れ ば な ら ぬ 。 吾 人 は こ の 解 釋 分 の 二 法 二 門 と 不 一 摩 訶 衍 と の 關 係 に 於 て 、 更 ら に 哲 學 的 研 究 の 問 題 を 見 出 す の で あ る 。 約 言 す れ ば 立 義 分 は そ の 法 數 建 立 恰 も 名 目 的 に し て 、 解 釋 分 は 一 心 否 、 摩 訶 衍 よ り 縁 起 建 立 せ ら る 丶 に つ き 、 實 體 の 性 能 、 そ の 必 然 的 合 理 的 縁 起 に 對 す る 説 述 に し て 、 そ の 二 法 二 門 の 建 立 は 又 餘 法 門 と 同 な る こ と を 知 る べ し 要 す る に 不 二 門 の 本 質 と 性 能 、 眞 如 門 生 滅 門 の 縁 起 及 び こ れ 等 の 關 係 は 解 釋 分 の 所 説 に し て 、 吾 人 は こ ゝ に 哲 學 的 研 究 の 範 圍 と し て 釋 論 中 他 の 部 分 と 區 別 せ ん と す る も の で あ る 。 釋 論 の 哲 學 的 研 究 の 對 照 釋 論 中 の 諸 問 題 よ 釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 九 三

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釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 九 四 り 、 最 大 な る 哲 學 的 原 理 、 本 質 的 な る も の は 何 ぞ や と 提 唱 す れ ば 、 如 何 に も 新 發 見 の 問 題 に 觸 れ る 如 く 思 は る 丶 が 、 吾 人 は 今 更 ら 新 ら し き 封 照 を 得 ん と す る も の に あ ら ず 、 釋 論 末 鈔 を 見 る 者 は 誰 人 も 知 る 如 く 、 古 來 よ り 釋 論 に 對 し 、 二 門 分 別 三 門 分 別 の 扱 ひ あ る を 知 る な ら む 、 こ の 両 者 は と も に 釋 論 一 部 の 骨 目 を 二 門 三 門 と 組 織 し て 、 解 釋 の 注 門 に 對 し て 、 両 者 は 色 彩 を 異 に し て 應 用 せ ら れ て ゐ る 吾 人 は こ れ が 重 論 の 必 要 な け れ ば こ れ を 略 す 。 し か り と 雖 ど も 吾 人 は 、 先 徳 の こ の 扱 ひ を 無 視 す る も の で は な い 、 更 ら に 哲 學 的 考 察 を な し て 、 そ の 面 目 を 一 新 せ ん と 欲 す る も の で あ る 。 即 ち 大 膽 に も 三 門 分 別 を 以 つ て 、 わ が 密 教 の 宗 教 意 識 の 範 疇 な り と す 。 所 謂 發 心 修 行 證 菩 提 入 涅 槃 方 便 爲 究 竟 の 信 條 に 於 て 、 三 部 分 別 は 漏 れ な く 説 述 す れ ば な り 、 二 れ 宗 教 的 價 値 信 情 に 屬 す る も の な れ ば 次 編 に 讓 り 、 今 は 哲 塵 的 考 察 を な さ ん と す る も の な れ ば 、 こ 丶 に 二 門 分 別 を 以 つ て 、 哲 學 的 二 原 理 と し て 二 原 理 の 關 係 に 於 て 實 在 論 的 論 脈 を 辿 ら む と す 。 こ れ が た め と く に 二 門 分 別 に 於 て 、 釋 論 の 哲 學 的 研 究 の 封 照 と す 。 就 中 眞 生 二 門 に 必 然 的 に 關 係 を な す 根 本 無 明 は 釋 論 哲 學 の 本 質 と も 見 ん と す る も の で あ る 。 然 し て 衆 生 一 心 は 釋 論 哲 學 の 那 邊 の 位 置 を 占 む る か 、 不 二 摩 訶 衍 の 本 實 は 如 何 な る も の な る か 興 味 あ る 問 題 と し て 研 究 せ ん に 、 眞 性 二 門 の 哲 學 的 概 念 先 づ 釋 論 の 意 に よ る と 、 各 種 の 方 面 よ り 二 門 の 義 分 明 な れ ど も 今 は そ の 十 名 に よ り て 概 念 を 見 る に 、 心 眞 如 門 に 十 種 の 名 あ り 、 い か ん が 十 と な ら ば 、 一 つ に は 名 け て 如 來 藏 門 と す 、 雜 亂 な き が 故 に 。 二 つ に は 名 け て 不 二 平 等 門 と す 、 差 別 な き が 故 に 。 三 つ に は 名 け て 一 道 清 淨 門 と す 、 異 岐 無 き が 故 に 。 四 つ に は 名 け て 不 起 不 動 門 と す 、 作 業 を 離 れ た る 故 に 。 五 つ に は 名 け て 無 斷 無 縛 門 と す 、 治 障 な き が 故 に 、 六 つ に は 無 去 無 來 門 と す 、 上 下 な き が 故 に 。 七 に は 出 世 間 と す 、 四 相 な き が 故 に 。 八 に は 寂 滅 寂 靜 門 と す 、 往 向 な き が 故 に 。 九 つ に は 名 け て 大 總 相 門 と す 、 別 相 な き が 故 に 。 十 に は 名 け て 眞 如 門 と す 、 虚 僞 無 き が 故 に 。 是 れ を 名 け て 十 と す 、 是 く の 如 く

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門 を 攝 す 云 云 。 こ れ に よ つ て こ れ を 見 る に 眞 如 門 は 消 極 的 原 理 に よ る 超 越 的 實 在 を 説 述 せ ん と す る も の な る べ し 、 即 ち 宇 宙 の 本 體 は 、 吾 人 の 念 想 思 慮 を 超 越 し て 存 在 し 、 接 近 す る を 得 ざ る と 同 時 に 、 本 體 は 歴 然 と し て 無 漏 清 淨 の 功 徳 を 具 備 す る な り 全 く 眞 空 妙 有 な り 。 故 に 相 對 的 差 別 の 相 な く 平 等 湛 然 と し て 一 味 一 相 な り 。 要 す る に 消 極 的 空 間 的 の 本 體 論 で あ る 。 こ れ に よ つ て 吾 人 が 眞 如 門 の 實 相 を 直 觀 せ ん と せ ば 、 カ ン ト の 所 謂 物 其 身 に 封 す る 場 合 の 如 く 、 純 粹 理 性 で あ ら ね ば な ら ぬ 、 即 ち 人 法 二 執 を 離 れ 言 慮 都 絶 に 於 て 直 觀 な し 得 、 こ の 消 極 の 極 度 に 於 て 眞 如 門 の 實 相 は 一 々 白 々 な り と 云 ふ 、 以 つ て 空 間 的 消 極 的 本 體 論 と 言 ふ べ き な り 。 次 に 生 滅 門 に 十 種 名 あ り 、 い か ん が 十 と す る な ら ば 、 一 つ に は 名 け て 藏 識 門 と す 、 一 切 染 浄 の 法 を 攝 持 す る が 故 に 。 二 つ に は 名 け て 如 來 藏 門 と す 、 如 來 法 身 の 體 を 覆 藏 す る が 故 。 三 二 つ に は 名 け て 起 動 門 と す 、 相 續 し て 業 を な す が 故 に 。 四 つ に は 名 け て 有 斷 有 縛 門 と す 、 治 障 あ る が 故 に 。 五 つ に は 名 け て 有 去 有 來 門 と す 、 上 下 あ る が 故 に 。六 つ に は 名 け て 多 相 分 異 門 と す 、 染 浄 の 法 恒 沙 に 過 ぎ た る 故 に 。 七 つ に は 名 け て 世 間 門 と す 、 四 相 と 倶 に 轉 ず る が 故 に 。 八 つ に は 名 け て 流 轉 還 滅 門 と す 、 生 死 及 び 涅 槃 を 具 足 す る が 故 に 。 九 つ に は 名 け て 相 待 倶 成 門 と す 、 自 成 の 法 無 き が 故 に 。 十 に は 名 け て 生 滅 門 と す 、 無 常 の 相 を 表 す る が 故 に 。 是 れ を 名 け て 十 と す 。 是 の 如 く 十 名 は 總 じ て 諸 佛 の 一 切 法 藏 の 種 々 の 差 別 法 門 を 攝 す る 名 字 な り 云 云 と あ り 。 こ れ に よ つ て こ れ を 見 る に 、 生 滅 門 は 生 、 住 、 異 、滅 の 四 相 三 細六 麁 を 以 つ て 、 迷 悟 の 因 縁 自 即 ち 染 法 界 流 轉 門 、 淨 法 界 還 滅 門 の 二 法 界 を 開 展 す る 生 起 の 本 末 及 び そ の 因 縁 を 説 述 す 。 徒 つ て 生 滅 門 は 宇 宙 萬 有 な る も の は 差 別 的 に 現 は る 、 こ の 相 が 個 人 的 主 觀 的 の 吾 人 の 心 に 影 ず る 時 、 本 體 眞 如 の 眞 實 相 は 隱 れ て 後 天 的 妄 染 の 相 と な つ て 表 ら は れ る 、 こ れ を 染 と い ひ 迷 ひ と な す 、 即 ち 下 轉 の 相 な り 。 こ の 宇 宙 萬 有 の 實 體 の 相 が 先 天 的 本 性 と し て 、 個 人 的 主 觀 に 甦 る 處 を 淨 な り 悟 り な り と す 、 そ の 極 限 を 清 浄 本 覺 と す 、 こ れ 上 轉 還 滅 の 相 な り 斯 く の 如 く 淨 染 二 法 の 縁 起 は 因 縁 に よ る も の に し 釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 九 五

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釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 九 六 て 、 こ の 關 係 を 説 述 す る は 生 滅 門 な り 、 由 つ て そ の 縁 起 の 相 が 十 二 因 縁 説 述 す る も の 程 具 體 的 の も の に 非 ら ず し て 、 一 心 の 上 の 發 生 論 的 の 行 相 及 び 關 係 に し て 、 少 く と も 時 間 的 觀 念 を 超 越 す と は 言 へ 、 こ れ 時 間 的 順 序 を 經 過 す る を 免 れ ず 、 故 に 生 滅 門 は 因 果 的 に し て 、 時 間 的 積 極 的 縁 起 論 と 云 ふ べ き な り 前 者 眞 如 門 は 空 間 的 消 極 的 原 理 と し 、 後 者 生 滅 門 は 時 間 的 積 極 的 原 理 と せ ば 、 二 者 に 相 對 の 思 想 な か る べ か ら ず 、 か の ヘ ー ゲ ル の 正 反 合 の 過 程 に よ れ ば な り 即 ち 不 二 中 道 の 思 想 な か る べ か ら ず 、 し か り 眞 生 二 門 の た め に 、 こ ゝ に 衆 生 の 一 心 な る も の あ り 。 所 謂 現 象 世 界 は 流 轉 還 滅 の 蓮 續 の 相 な り 、 こ の 相 に 於 て 麁 細 染 浄 と 千 差 萬 別 な り 、 け れ ど も こ れ 十 界 に す ぎ ず 、 こ れ 主 觀 的 に は 衆 生 の 一 心 に す ぎ ず 。 こ の 一 心 に 靜 的 と 動 的 の 二 方 面 あ り 、 靜 的 と は 四 無 爲 (始 覺 ・本 覺 ・眞 如 ・ 虚 空 ) の 淨 法 な り 、 こ れ 眞 如 門 の 開 展 な り 。 動 的 と は 五 有 爲 ( 根 本 無 明 ・ 生 ・ 住 ・異 ・滅 ) の 妄 法 な り 、 こ れ 生 滅 門 と な る 。 如 是 の 眞 生 二 門 を 抱 擁 す る 二 心 は 、 非 無 爲 非 有 爲 の 本 體 に し て 、 非 無 爲 の 故 に 有 爲 法 を 流 轉 す 、 又 非 有 爲 の 故 に 無 爲 を 發 生 す 。 要 す る に 眞 生 二 門 そ の 性 質 に 於 て 有 空 染 淨 黒 白 と 相 反 す れ ど も 、 す べ て 一 心 の 上 の 所 現 な り 、 故 に 一 言 に せ ば 唯 心 論 の 上 の 二 元 な る べ し 。 故 如 何 と な れ ば 立 義 分 に 、衆 生 心 是 心 即 攝 一 切 世 間 法 出 世 間 法 云 云 と あ り 。 釋 論 中 に は 第 二 卷 上 半 二 目 下 顯 示 正 義 者 依 一 心 法 一有 二 種 門 一 云 何 爲 二 一 者 心 眞 如 門 二 者 心 生 滅 門 云 々 と あ り 。 全 く 釋 論 哲 '學 は 一 三 元 的 唯 心 論 と も 見 ら る 丶 な り 。 即 ち 本 體 的 眞 如 も 動 的 現 象 の 生 滅 界 も 一 心 を 離 れ て 存 在 せ ぬ か ら で あ る 。 こ れ に よ つ て こ の 一 心 を 如 來 藏 心 と 云 ひ 、 自 性 清 淨 心 と も 云 ふ 。 一 心 の 性 能 批 判 上 來 論 ず る 所 の 釋 論 哲 學 の 中 心 を 一 見 す る 時 、 衆 生 一 心 が そ の 基 礎 的 要 素 な り と 見 ら る 丶 も の な り 。 然 る に 吾 人 は こ の 一 心 に 疑 問 と す る も の あ り 、 否 釋 論 一 部 の 撞 着 に あ ら ざ る か と 思 惟 せ ら る ゝ も の あ り 、 日 く 一 心 の 性 能 な り 。 即 ち 二 心 を 離 れ て 本 體 も 現 象 も な し と ま で 歸 納 せ ら れ た る 一 心 そ の も の は 、 非 有 爲 非 無 爲 で あ る 。

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更 に 又 國 譯 密 教 論 釋 第 二 五 八 丁 よ り、 二 法 二 門 に 各 十 名 あ り 諸 の 契 經 の 中 に 別 に 説 く が 故 に 、 而 れ ど も そ の 法 體 は 差 別 あ る こ と な し 、 彼 の 功 能 に 隨 へ て そ の 名 を 立 つ る が 故 に 云 云 と し て 、 次 に 二 種 の 本 法 即 ち 眞 生 二 門 の 二 所 入 の 法 所 謂 一 心 な り 、 一 心 に 對 す る 概 念 に つ き 十 種 の 名 を 以 て 論 ず 一 段 あ り 。 而 も 名 は 通 ず れ ど も 義 は 別 な り と あ り て 、 眞 生二 門 と も に 一 心 の 性 能 の 如 く 見 ゆ れ ど も 、 而 も 二 門 は 一 心 よ り 發 生 し 、 又 二 門 を 綜 合 す る も の ゝ 如 く に も 思 は れ ざ る を 恨 ら む 。 今 十 種 の 中 略 し て 第 三 と 第六 を 見 る に 、 三 者 名 爲 出 生 龍 王 (略 ) 一 者 出 生 光 明 龍 王 、 二 者 出 生 風 水 龍 王 、 第

。六

(略

)

、(

)

如 々 離 流 轉 因 離 慮 知 縛 一 一 白 白 (略 ) 眞 如 門 。 如 來 藏 也

(

)

生 滅 門 。 如 來 藏 也

と あ り て 、 十 種 の 名 目 あ り 。 扨 て こ れ を 見 る に 、 出 生 龍 王 の 四 字 は 眞 生 二 門 に 共 通 で あ り 、 如 來 藏 は 又 二 門 等 し く 使 用 す る も の に し て 、 何 等 一 心 を 以 つ て 眞 生 二 門 の 基 礎 的 概 念 と な る べ き も の な し 。

依 止 の 依 止 に 於 て 、 両 依 止 に 基 礎 的 本 質 の 存 す る を 見 ず 。 更 ら に 名 は 通 ず れ ど も 義 は 別 な り 云 云 と あ る に 至 つ て は 一 心 と 眞 生 二 門 の 關 係 は 明 か で な い 。 就 中 眞 如 門 の 當 相 は 一 心 よ り 更 ら に 崇 高 な る 超 越 的 實 在 の 如 く 論 じ 、 恰 も 生 滅 界 を 超 越 し 常 住 不 變 の 本 體 界 、 即 ち プ ラ ト ン の イ デ ア の 如 く 論 す る に よ り 見 れ ば 、 一 心 は 眞 如 門 に 臨 め ば 相 對 的 現 果 界 の 二 腸 性 に 過 ぎ ざ る も の ゝ 如 し 、 又 何 ぞ 唯 心 論 的 哲 學 と せ ん や 。 更 ら に 不 可 解 な る は 心 生 滅 門 の 一 心 で あ る 、 こ の 一 心 は 根 本 無 明 に 薫 習 せ ら れ て 不 生 不 滅 生 滅 と の 非 一 非 異 の 状 態 な る 法 即 ち 阿 梨 耶 識 と な る 、 こ の 不 自 然 な る 過 程 で あ る 。 非 有 爲 非 無 爲 の 本 體 が 外 縁 の 來 り て 之 れ を 誘 掖 す る や 、 こ 丶 に 忽 ち 波 動 を 起 す こ れ 現 象 の 相 な り 、 恰 も 水 平 (不 動 性 ) を 保 た ん と す る 水 ( 一 心 ・眞 如 ・本 覺 等 ) が 風 ( 動 性 = 根 釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 九 七

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釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 九 八 本 無 明 ) の 薫 習 に よ り て 、 波 浪 ( 現 象 = 生 滅 門 ) を 生 ず る も の 丶 如 し 、 一 見 合 理 的 で あ る 、然 る に 少 し 冷 靜 に 是 れ を 見 れ ば 、 生 滅 門 は 生 滅 流 轉 縁 起 に 即 せ る 名 字 、 し か る に 非 有 爲 非 無 爲 の 一 心 は 動 不 動 の 両 性 を 具 し て 、 而 も 何 れ に も 偏 し な い 、 か つ 受 動 的 で あ る 、 從 つ て 他 の 動 因 に よ つ て 發 動 す と い ふ 第 二 次 的 一 心 が 生 滅 門 の 本 體 な り 、 こ れ に よ つ て こ れ を 見 る に 生 滅 門 の 流 轉 還 滅 は 盲 目 的 流 轉 な り と 云 ふ べ し 、 し か る に 何 ん ぞ 生 滅 門 に 還 滅 上 轉 門 を 立 て 妄 法 染 薫 の 流 轉 門 と 反 行 す る も の を 立 つ る や 、 こ れ 上 轉 下 轉 何 れ に せ よ 縁 起 の 諸 法 は 、 そ の 根 柢 に 於 て 有 意 志 的 な る こ と を 認 識 し な け れ ば な ら ぬ 。 從 つ て 生 滅 門 の 動 的 な る は 、 根 本 無 明 と そ の 薫 習 が そ の 基 因 。で あ る べ き で あ る 、 即 ち 論

頌 日 。

明 依 於 初 自 在 而 能 作 薫 事 云 云 と あ り 、 初 め の 自 在 と は 勿 論 、 一 心 の 上 の 有 爲 自 在 ・ 無 爲 自 在 の 中 の 有 爲 自 在 な る べ し 。 こ れ に よ つ て 根 本 無 明 が 生 滅 門 の た め に は そ の 本 質 と 見 る べ き で あ る 、 た と へ 一 心 の 無 爲 自 在 の 法 を 薫 習 せ ず と 雖 も 、 確 か に 第 一 次 的 動 因 は 根 本 無 明 そ の も の な る こ と 明 な り 。 又 反 對 に 一 心 無 爲 自 在 は 無 明 の 薫 の 受 不 受 に 拘 ら ず 、 そ れ 自 心 で 縁 起 的 動 因 と な ら ず 、 不 變 性 な れ ば な り 。 故 に 根 本 無 明 は 上 下 二 轉 の 中 心 的 本 質 に 相 當 す る も の な ら む 。 (根 本 無 明 自 體 斷 、 同 佛 果 斷 、 上 下 二 轉 の 決 擇 參 照 ) 。 根 本 無 明 の 本 質 前 述 に 於 て 一 心 の 性 能 が 寧 ろ 根 本 無 明 と 變 位 置 の 價 値 に あ る こ と を 論 ぜ り 。 又 前 き に 釋 論 哲 學 は 一 心 に 對 し て 眞 生 二 門 の 關 係 に よ り二 元 的 唯 心 論 の 如 し と い へ り 。 し か る に こ ゝ に 根 本 無 明 な る 別 體 の 作 用 を 加 へ り 、 而 も そ れ が 本 質 的 な る に 於 て 、 二 元 的 唯 心 論 と い へ る も 不 合 理 に 終 ら む 、 も し 無 明 即 ち 一 心 な る こ と が 論 證 せ ら る れ ば 吾 人 は 以 つ て 幸 と な す も の な り 。 こ れ に よ つ て 釋 論 哲 學 に 於 て 、 根 本 無 名 の 本 質 は そ の 樞 要 な る 位 置 を な す こ と を 感 ず べ き で あ る 。 よ つ て こ れ が 研 究 も 緊 要 な り 。

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大 乘 起 信 論 に よ る と 、 根 本 無 明 の 始 起 に つ い て は 、 忽 然 念 起 と 言 へ る な り 。 一 見 す れ ば 第 一 原 因 の 如 し 、 佛 教 に て 第一 原 因 を 主 張 す る は 絶 對 不 可 能 な り 、 た と へ 法 身 大 目 如 來 と 云 へ ど も 、 果 界 中 の 六 大 所 成 で あ ら ね ば な ら ぬ 。 も し 一 法 一 佛 と 雖 ど も 第 一 原 因 の も の あ り と せ ば 、 キ リ ス ト 教 の 神 と 何 ん ぞ 選 ば ん 。 こ れ 起 信 論 一 心 と 無 明 と が 不 自 然 に 組 織 せ ら る 丶 も の と 言 ふ べ き な り 。 し か し て 然 ら ば 第一 原 因 的 無 明 は 如 何 に 見 る べ き か 。 即 ち 平 等 湛 然 た る 眞 如 よ り 、 物 心 二 法 を 計 度 し 、 人 我 の 執 着 を 起 す も の は こ れ 無 明 な り 、 そ の 無 明 を 起 す も の は 阿 梨 耶 識 な り 、 こ の 識 は 無 明 に よ り て 起 す と 、 恰 か も 循 環 論 法 の 如 し 、 け れ ど も 眞 如 、 無 明 、 阿 梨 耶 識 の 三 者 は 同 時 的 因 果 關 係 と な る も の か 。 た ゞ 單 に 忽 然 念 起 ご あ れ ば 吾 人 愚 眛 の 徒 は 往 々 に し て 第 一 原 因 か と 早 計 す る こ と あ り 。 も し 三 者 が 同 時 的 因 果 關 係 に あ り と せ ば 起 信 論 の 無 明 も 本 質 的 で あ ら ね ば な ら ぬ 、 即 ち 三 三 元 的 の 實 在 は 二 元 的 に 生 存 せ ざ れ ば な り 。 釋 論 無 明 は 多 含 で あ る 。 國 譯 密 教 論 釋 第 二 九 三 丁 に 根 本 無 明 に 二 種 の 依 あ り 、 云 何 が 一 つ と す る 、 一 に は 通 依 な り 、 非 有 爲 非 無 爲 の 一 心 の 本 法 を 以 て 體 と す る が 故 に 、 二 つ に は 別 依 な り 、 生 滅 門 の 内 の 大 力 住 地 を 以 て 體 と す る が 故 に 云 々 と あ り 。 吾 人 が 兼 ね て 假 定 せ る 一 心 と 無 明 の 關 係 も こ こ に 合 體 の 曙 光 を 認 め た 譯 で あ る 。 即 ち 通 依 に 於 け る 非 有 爲 非 無 爲 の 一 心 が 無 明 の 本 體 と す 、 こ の 一 句 は 確 か に 吾 人 が 思 考 に 滿 足 を 興 へ 得 る も の で あ る 。 次 に 釋 論 第 四 卷 の 初 め よ り 、 明 闇 倶 是 倶 非 空 是 足 の 六 種 の 無 明 を 詳 論 す る 處 あ り 、 然 る に そ の 體 に 據 る に 別 な し と あ り て 、 六 種 あ る も そ の 體 一 な る の 意 に し て 、六 種 の 意 を 有 す も の な る べ し 。 次 に こ の 六 種 無 明 の 中 の 第 二 の 無 明 な る 闇 に 十 種 あ り 。 云 何 が 十 と す る 一 つ に は 見 一 處 住 地 、 二 つ に は 報 恩 無 盡 住 地 、 三 つ に は 無 始 有 終 住 地 、 四 つ に は 無 等 々生 住 地 、 五 つ に は 生 得 住 地 、 六 つ に は 觀 滿 住 地 、 七 つ に は 智 礙 住 地 、 八 つ に は 不 覺 住 地 、 九 つ に は 覺 了 住 地 、 十 に は 子 藏 住 地 な り 。 是 を 名 け て 十 と す 、 是 く の 如 く の 十 名 は 、 但 し こ れ 一 體 な れ ど も 義 用 に隋 つ て 別 な り 、 應 に 審 に 觀 察 釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 九 九

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釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 運 化 一 〇 〇 す べ し 云 云 と あ り 、 如 何 に そ の 多 含 な る 概 念 を 有 す る か ゞ 知 ら る 丶 な ら む 。 要 す る に六 無 明 十 住 地 の 名 は 直 ち に 無 明 の 概 念 に し て 、 そ の 體 は 一 心 な る こ と を 了 知 す べ し 。 次 に 國 譯 密 教 論 釋 第 二 九 五 丁 に 、 文 珠 師 利 又 佛 に 白 し て 言 さ く 、 世 尊 よ 、 云 何 が 名 け て 非 無 爲 非 有 爲 處 と す る や 、 佛 の 言 は く 、 非 有 爲 非 無 爲 處 と は 、 所 謂 る 即 ち 是 れ 一 心 の 本 法 な り 、 有 爲 に 非 ざ る が 故 に 能 く 有 爲 を 作 し 、 無 爲 に 非 ざ る が 故 に 能 く 無 爲 を 作 す 云 云 。 又 同 所 に 上 下 に 二 轉 す る 門 も あ る 。 上 述 に よ つ て 考 ふ る に 無 明 は 、 生 滅 門 の 大 力 住 地 及 び 四 相 を 體 と す る は 勿 論 な り 、 非 有 爲 非 無 爲 の 一 心 の 本 體 を も 無 明 の 本 體 な り と す る よ り 見 れ ば 、 眞 如 門 に も 無 明 の 存 す る を 見 る 。 今 根 本 無 明 の 自 體 斷 の 一 部 を 見 る に 、 於 根 本 無 明 有 體 用 不

佛 果 功 徳 嘗 非 所 斷 滅 云 云 と あ り て 、 根 本 無 明 は 佛 果 の と こ ろ と 雖 も 斷 盡 せ ず 、 そ の 用 は 生 滅 門 に 盡 し 、 そ の 體 は 返 つ て 佛 果 の 功 徳 を 照 す こ と あ れ ば 根 本 無 明 は 、 眞 生 二 門 に 横 は り て 存 在 し 、 二 門 に 連 結 を 與 へ る も の で あ る こ と 明 な り 。 (國 譯 密 教 論 釋 第 貳 九 三 丁 に 根 本 蕪 明 に 二 種 の 依 あ り 、 一 に は 通 依 云 云 を 參 照 ) 。 要 す る に 無 明 は 一 心 で あ る 、 而 も そ の 用 は 生 滅 現 象 を 縁 起 し 、 そ の 相 は 即 ち 生 滅 門 で あ る 。 即 ち 消 極 的 空 間 的 な る 本 體 の 眞 如 門 も 積 極 的 時 間 的 な る 縁 起 の 生 滅 門 も 、 そ の 基 礎 を 一 心 即 ち 根 本 無 明 に 存 す る も の な る こ と を 意 識 す 、 是 く の 如 く 萬 有 の 實 在 も 現 象 も } 心 の 流 轉 と 還 滅 な り と す 、 こ れ に よ つ て 釋 論 哲 學 は 唯 心 論 に 屬 す べ く 、 即 ち 二 元 的 唯 心 論 な る か ? 。 根 本 無 明 の 性 能 と 生 活 意 志 非 有 爲 非 無 爲 の 一 心 を 本 體 と す る 根 本 無 明 に し て 、 通 別 二 用 あ り 、 又 染 法 淨 法 を 縁 起 し 、 明 暗 黒 白 等 と 種 々 な る 勢 力 の 動 因 と な る 、 こ ゝ を 注 意 せ ざ る べ か ら ず 。 さ き の 文 殊 師 利 と 佛 の 問 答 の 如 く 、 單 に 一 心 ( 根 本 無 明 を 意 味 せ ぬ ) の み に 於 て 非 有 爲 非 無 爲 な り と 、 一 心の 概 念 を 決 定 す る な ら ば 兼 ね て 言 へ る 如 く 、 有 爲 に あ ら ざ る 故 に 能 く 有 爲 を 作 し 、 無 爲 に 非 ざ る が 故 に よ く 無 爲 を 作 す の 一 句 は 、 不 自 然 不

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合 理 と 見 な け れ ば な ら ぬ 、 何 ん と な ら ば 、 非 有 爲 非 無 爲 と 單 に 云 へ る な れ ば 、 こ れ は 超 越 的 一 概 念 に 過 ぎ ぬ 、 一 概 念 の み に て は 縁 起 は 愚 う か そ れ 自 心 の 存 在 も 否 定 す る の で あ る 、 勿 論 全 然 否 定 す る こ と に も な る ま い が 、 と に か く 釋 論 哲 學 が 一 心 を 基 礎 と し 、 そ の 上 に 眞 生 二 門 を 開 展 し 以 つ て 十 界 の 現 象 を 見 る と い ふ 二 元 的 唯 心 論 、 即 ち フ ィ ヒ テ 流 の 主 觀 的 唯 心 論 は 生 命 を 失 ふ べ し 。 も し 非 有 爲 非 無 爲 の 一 心 が 存 在 し 、 超 越 的 客 觀 的 一 心 が 存 す と す る な ら ば 、 實 在 の 起 發 點 を 一 心 に 於 け る に 非 ず し て 、 現 象 の 萬 有 に と り て 、 一 心 は 現 象 界 よ り 圓 寂 な る も の な り と 類 推 す る も の に し て 、 即 、ち 客 觀 的 觀 念 と し て 存 ず と 思 惟 せ ら る 丶 も の な り 、 し か れ ど も 縁 起 の 動 因 と な る ほ ど の 本 質 と 性 能 を 有 せ ざ そ な り 。 こ れ 恰 も 差 別 的 相 封 的 萬 有 よ り し て 絶 對 無 差 別 な る 我 に 論 及 せ る 、 シ エ ー リ ン グ の 客 觀 的 唯 心 論 と 類 似 す と 見 る 。 し か れ ど も 根 本 無 明 の 所 依 の 本 體 な る 今 の 一 心 は 恰 も へ ー ゲ ル の 絶 封 的 唯 心 論 の 如 く 、 有 爲 法 と 無 爲 法 を 内 抱 せ る 一 心 に し て 、 非 有 爲 非 無 爲 は そ の 消 極 的 名 稱 と 見 ゆ 、 こ の 有 爲 法 と 無 爲 法 を 内 抱 せ る 一 心 に し て 根 本 無 明 の 所 依 の 體 と な る べ し 、 こ の一 心 は 概 念 的 の も の に あ ら ず し て 實 在 的 の も の と な る 、 こ 丶 に 於 て か 一 心 ( 根 本 無 明 ) は 十 界 を 縁 起 し 、 黒 白 淨 染 等 の 諸 法 を 流 轉 し 還 滅 の 相 と な る 、 所 謂 一 心 は 不 増 不 減 の 十 界 即 實 在 そ の も の で あ る 。 又 根 本 無 明 は 十 界 に 普 遍 的 必 然 的 活 力 、 即 ち 實 在 的 一 心 に 即 せ る 生 活 意 志 で あ る 、 今 釋 論 第 二 卷 下 半 六 目 下 楞 伽經 を 引 證 し て 、 下 轉 門 を 論 じ

念 往 昔 於 出 時 中 我 來 依 他 云 云 と あ り 。 慈 行 は 我 に 對 し て 二 義 を 以 つ て 釋 せ ら る 、 我 は 蘊 假 和 合 の 我 な り と 、 我 は 本 覺 の 眞 我 な り と 。 假 り に も 本 覺 の 眞 我 を 他 と 對 比 す と 雖 も 他 ( 根 本 無 明 の 意 ) は こ れ 本 覺 の 眞 我 と 體 一 に し て 、 我 な る 字 は 寧 ろ 他 の 中 に あ る べ き で あ る 、 何 ん と な れ ば 此 際 眞 我 の あ る べ き 位 置 に 非 有 爲 非 無 爲 の 一 心 が 存 す れ ば な り 。 し か し 吾 人 は 此 際 の 位 置 が 何 に あ ら う と 、 そ れ を 論 す る も の で な い 。 た ゞ 實 在 の 當 體 に 即 し て 、 假 我 な る こ と を 意 識 す る と 否 に 拘 は ら ず 、 彼 釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 一 〇 一

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釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 一 〇 二 我 の 關 係 の 存 す る こ と で あ る 、 こ の 彼 我 の 關 係 を 意 識 す る そ こ に 生 活 意 志 が 欲 動 す る 、 こ れ が 即 ち 根 本 無 明 で あ る 釋 論 第 四 卷 下 半 四 日 下 三 相 三 細 の 相 參 照 す 。 ) 。 如 是 生 活 意 志 は 本 能 的 に 一 心 に 即 し て ゐ る 、 即 ち 非 有 爲 非 無 爲 の 一 心 は 有 爲 無 爲 を 内 抱 す れ ば な り 。 こ れ に よ つ て 見 る に 一 心 は 有 爲 無 爲 を 内 抱 す る 當 體 に し て 、 有 爲 に の み 偏 し て 存 す る に 非 ず 、 又 無 爲 の み 存 す る に も 非 ら ざ る の 名 稱 な る べ し 、 更 ら に 有 爲 の 生 滅 の 法 と 無 爲 の 不 生 滅 の 法 の 和 合 し て 非 一 非 異 即 ち 有 爲 無 爲 両 者 の 關 係 そ の 當 體 を 阿 梨 耶 識 と な す 。 こ の 両 者 を 關 係 せ し む る に 最 も 必 然 的 な る 勢 力 あ り 、 こ れ 即 ち 根 本 無 明 の 性 能 な り 、 吾 人 は 忽 然 念 起 な ど と は 夢 想 だ に 想 は ざ る な り 。 さ れ ど 根 本 無 明 の 性 能 に 對 し 、 必 然 的 勢 力 あ る を 提 唱 す る も の な る も 、 こ の 性 能 は 數 論 に 所 謂 る 神 我 に 對 す る 自 性 の 如 き 意 味 に 非 ら ず し て 、 吾 人 は 第 一 原 因 と 獨 斷 論 よ り 自 由 な ら ざ る べ か ら ず 。 今 釋 論 第 二 卷 下 半 五 日 下 に 、 所 薫 有 五 種 謂 一 法 界 心 及 四 種 無 爲 非 初 非 中 後 取 初 中 後 故 云 云 と あ り 。 吾 人 が 必 然 的 勢 力 な る 性 能 は 初 (第 一 原 因 ) と な り て 、 即 ち 神 我 が 自 性 の た め に 迷 ひ 初 め て 細 麁 と 次 第 に 形 體 の 整 へ る が 如 き も の に 非 ず 。 初 中 後 時 に 及 ぶ も の な り 、 所 謂 現 象 即 實 在 と 云 つ た 風 に 、 前 五 大 と 第六 識 大 は 必 然 に 關 係 あ る 如 く 、 根 本 無 明 は 一 心 の 本 法 (非 有 爲 非 無 爲 )必 然 的 本 有 に し て そ の 性 能 は 必 然 に 普 遍 し 勢 力 と な り 、 欲 動 と な る (釋 論 第 四 卷 下 半 五 日 下 相 績 業 用 差 別 門 , 釋 決 十 一 卷 妄 慮 偏 縁 參 照 す べ し ) 。 要 す る に 吾 人 は 有 爲 無 爲 に 丕 變隋 縁 通 別 二 用 等 と 両 性 を 有 す る 點 に 非 異 な り 、 而 も そ の 相 に 非 一 な り 、 是 如 複 雜 な る 關 係 が 無 限 の 因 果 に よ り て 一 心 を な す 、 一 心 は 又 非 有 爲 非 無 爲 (偏 せ ざ る 意 ) に し て 、 有 爲 法 と 無 爲 法 を 内 抱 し 、 そ の 有 爲 に 又 無 爲 に も 両 性 を 保 つ て 實 在 し て ゐ る こ と を 意 識 す べ き で あ る 、 こ の 無 限 因 果 の 物 を 本 有 と 云 ふ 。 即 ち 一 心 は 両 性 の 關 係 に よ り 本 有 で あ る 。 從 つ て こ の 本 有 の 關 係 こ そ 必 然 的 關 係 に し て 、 両 性 を 關 係 せ し め る 本 有 的 欲 動 、 必 然 的 勢 力 は 所 謂 根 本 無 明 (生 活 意 志 ) の 性 能 な り 。 (釋 論 第 四 卷 五 日 卞 隨 次 別 釋 散 説 門 據 ) 。 換 言 せ ば 吾 人 は 、 十 界 中 の 一 有 情 な り 、 こ の 有 情 の 心 を 宇 宙 化 し て 十 界 と し 、 そ の 心 情 の 變 移 を 十 界 に 布

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列 し て 一 心 十 界 と す 。 故 に 一 法 界 心 は 一 有 情 の 主 觀 を 内 觀 す る に 、 そ の 本 質 に 於 て 差 異 な か る べ し 。 こ ゝ に 於 て 主 觀 を 内 觀 す る と き 、 意 志 活 動 の 間 斷 な き 連 續 を 直 觀 す る に 難 か ら ず 、 上 根 上 智 の 大 覺 世 尊 ば か り の 世 界 に 於 て も 、 衆 生 救 濟 の 念 即 ち 大 我 擴 大 の た め に 意 識 的 に 欲 動 し て ゐ る 、 吾 人 凡 夫 の 世 界 は 人 類 生 存 の 無 始 よ り 、 自 己 欲 求 を 充 た さ ん と し 、 そ の 慘 劇 は 人 類 の 歴 史 と し て 遺 さ れ 、 猶 現 實 に 極 度 の 慘 劇 を 體 驗 し つ ゝ あ る に あ ら ず や 。 こ 丶 に 於 て ヨ ハ ン ネ ス ミ ユ ル レ ル は 人 類 は 一 種 の 生 活 力 な り と 云 へ り 。 故 に 生 活 意 志 は 上 下 二 界 に 普 遍 性 と 必 然 性 を 有 し 、 客 觀 的 に 妥 當 性 あ る こ と 事 實 な り 。 由 つ て 三 世 常 恒 に し て 本 有 で あ ら ね ば な ら ぬ 。 ス ペ ン サ ー は 生 命 を 定 義 し て 、 内 的 關 係 の 外 的 關 係 に 於 け る 不 斷 の 調 節 な り と 、 不 斷 の 調 節 な る 努 力 こ そ 、 根 本 無 明 の 性 能 な り と い ふ べ し 。 (對 二理 ・智 ・ 一 心 三 法 一 而 起 執 也 。 問 意 略 。 答 既 所 迷 境 豈 非 境 乎。 釋 決 入 、 卅 七 丁 右 參 照 ) 意 志 論 の 哲 學 か 吾 人 は 有 情 が 如 何 に 高 上 し た 生 存 を な す と も 決 し て 現 状 に 滿 足 す る も の で な い こ と を 斷 言 す る 。 俗 に 死 ん で も 命 の あ る 樣 に と 、 そ の 本 質 に 如 何 な る 變 化 が あ る と も 、 よ り 永 久 に よ り 偉 大 に 、 よ り 人 格 的 、に 、 よ り 善 淨 に と 、 物 質 に 將 た 精 神 に 、 又 神 秘 へ と 自 我 の 擴 大 と 延 長 を 欲 求 す る も の な る こ と を 意 識 す る な り 。 斷 え ず 混 沌 世 界 よ り 理 想 に 進 む 、 こ の 統 一 的 作 用 は 生 命 の 根 本 生 活 意 志 へ 根 本 無 明 ) の 欲 動 で あ る 。 而 し て こ の 意 志 に は 肉 體 が 必 要 で あ る 。 ヘ ル バ ル ト は 意 志 は 他 の 感 情 や 知 識 の 如 く 心 理 的 作 用 と い ふ よ り は 寧 ろ 生 理 的 作 用 な る べ き の 正 な る こ と を 主 張 し 。 井 上 哲 次 郎 博 士 は 宇 宙 の 活 動 が 有 機 體 に 在 つ て は 欲 動 と な る 、 欲 動 に 一 定 の 目 的 を 以 つ て 意 志 と な る と (哲 學 と 宗 教 一 二 〇 丁 參 照 ) た ゞ 植 物 に て は 欲 動 を 嚮 動 と い ふ 、 向 日 性 ・背 日 性 ・蔓 の 垣 根 等 に 嚮 つ て 動 く 等 な り 。 か く て 欲 動 も 嚮 動 も 物 質 な く し て 更 ら に 立 つ 瀬 が な い 、 こ れ に 由 つ て 一 有 情 た る の 生 存 物 は 完 全 な る 生 活 意 志 の 所 有 者 で あ る 。 そ の 生 活 意 志 (根 本 無 明 ) の 所 有 者 な る 有 情 が 第 一 の 欲 動 は 物 質 に 向 つ て あ る 、 こ の 物 質 欲 求 の 意 志 活 動 の 状 態 は 生 滅 門 流 轉 の 相 で あ る 、 こ の 時 物 質 欲 求 釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 一 〇 三

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釋 論 に 對 す ろ 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 一 〇 四 は 有 限 的 に し て 、 他 と 衝 突 し 制 限 せ ら る 、 こ れ 物 質 と し て 地 上 に 實 在 す る こ と に 制 限 せ ら れ た る に よ る 。 故 に 生 活 意 志 は こ の 物 質 欲 求 に て 滿 足 す べ く も な く 、 空 間 に 時 間 に 自 己 擴 大 延 張 に は 不 可 能 な る こ と を 意 識 す る と き 、 即 ち 他 律 的 法 律 道 徳 教 育 に よ り て 、 物 質 欲 求 の 不 可 を 知 り 、 自 律 的 覺 醒 即 ち 宗 教 的 發 心 に よ り て 、 精 神 我 無 限 な る 心 靈 界 に 、 無 限 な る 空 間 、 無 限 な る 時 間 に 生 き ん と す る 欲 求 と な る 、 こ の 生 活 意 志 は 生 滅 門 上 轉 の 根 本 無 明 に し て 、 所 謂 還 滅 門 で あ る 。 こ の 生 活 意 志 (根 本 無 明 ) の 還 滅 淨 化 の 極 限 に 大 人 格 者 、 絶 對 な る 大 我 、 大 覺 者 と な る 。 こ れ が 平 等 湛 然 一 一 白 々 の 法 體 た る 眞 如 門 の 體 驗 者 で あ る 。 か く て 物 心 ・ 有 爲 無 爲 を 關 係 せ し む る に 必 然 的 欲 動 、 即 ち 活 動 意 志 と し て 、 肉 に 靈し 、 時 間 に 空 間 に 最 大 な ら し む こ と を 欲 求 す る 、 こ れ 根 本 無 明 で あ る 。 こ れ に よ つ て 釋 論 哲 學 は 唯 心 論 で あ る よ り 、 全 く シ ョ ー ペ ン ハ ウ エ ル の 、 に 出 る 、 物 の 發 展 原 理 を 意 志 な り と し 、 そ の 意 志 は 萬 物 の 内 部 に あ り と 言 ふ 意 志 論 と 好 一 對 で あ る 。 井 上 博 士 は シ ヨ ウ ペ ン ハ ウ エ ル の 意 志 論 は 佛 教 及 び 婆 羅 門 教 の 影 響 に よ る と 評 せ ら れ て ゐ る 。 實 に 彼 れ は 泰 西 哲 學 者 間 に 起 れ る 意 志 論 の 最 初 に し て 、 今 目 の 主 意 論 の 基 礎 を な せ る 人 で あ る 。 無 明 薫 習 と 感 兜 的 本 覺 根 本 無 明 は 生 活 意 志 な り と 言 へ る も 、 根 本 無 明 そ の ま 丶 で 生 活 意 志 な り と い へ ぬ 。 先 き に 井 上 博 士 の 日 へ る 如 く 、 宇 宙 の 活 動 が 有 機 一體 に 在 つ て は 欲 動 と な る 、 そ れ が 感 情 と 知 識 の 發 展 と 伴 つ て 意 志 と な る 云 々 に よ り 、 根 本 無 明 そ の も の は 有 機 體 (有 爲 法 無 爲 法 を 内 抱 せ る 一 心 ) に 即 せ る 欲 動 に し て 、 こ の 欲 動 は 同 時 に 感 情 知 識 を 倶 時 す る 故 に (所 薫 有 二 五 種 一謂 一 法 界 心 及 四 種 無 爲 非 初 非 中 後 取 初 中 後 故 云 去 を 參 照 ) 、 根 本 無 明 は 欲 動 な る と 同 時 に 生 活 意 志 な り 。 も し 説 明 的 順 序 を 許 す な ら ば 、 欲 動 根 本 無 明 が 有 機 體 (有 爲 法 無 爲 法 ) を 薫 習 (非 一 非 異 の 關 係 ) し て 、 本 覺 の隋 縁 性 は 有 機 體 と 和 合 し て 阿 梨 耶 識 と な り て 、 初 め て 感 覺 的 な 有 機 體 と な る 、 こ 丶 に 自 己 の 不 完 全 な る 有 機 體 な る こ と を 意 識 し 、 こ れ よ り 理 想 に 向 は ん と す る 意 志 と な る 。 こ ゝ に 於 て 注 意 す べ き は 釋 論 生 滅 門 の 縁 起 は

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他 の 十 二 因 縁 等 の そ れ と 趣 き を 異 に し そ の 縁 起 は 心 的 内 的 變 移 縁 起 の 説 述 に し て 、 同 時 倶 時 と 云 っ た 風 に 時 間 的 觀 念 を 超 越 し て 、 説 明 の 順 序 を 待 た ざ る も の な り 、 故 に 欲 動 の 起 る そ こ に 生 活 の 目 的 の 存 す る を 否 定 す る こ と 能 は ず 、 故 に 欲 動 即 生 活 意 志 即 根 本 無 明 と な す べ き で あ る 。 更 ら に こ の 縁 起 の 相 を 詳 論 す れ ば 、 根 本 無 明 は 非 有 爲 非 無 爲 の 一 心 の 本 法 を 所 依 の 體 と す 、 こ れ 通 依 な り 。 又 一 心 は そ の隋 縁 性 の 部 分 無 明 に 薫 ぜ ら る 丶 、 覧即 ち 一 心 本 覺 等 の 隨 縁 性 は 無 明 欲 動 (獨 力 業 相 ) に 薫 ぜ ら れ 、 本 覺 は 無 明 に隋 順 し 、 無 明 と 倶 行 倶 轉 す る 獨 力 随 相 こ れ な り 。 獨 力隋 相 は 本 覺 と 無 明 の 合 成 に し て 、 必 然 的 に 意 志 活 動 と な る 、 こ れ 倶 合 動 相 で あ る 。 こ の 倶 合 動 相 に 於 て 完 全 な る 個 體 と し て 動 力 を 有 し て 表 現 せ ら れ る 、 こ れ 四 相 の 中 の 生 相 で あ る 。 次 に 轉 現 と な る 、 轉 相 は 能 縁 の 見 分 を 起 し 、 現 相 は 能 縁 の 見 分 及 び 相 分 を も 起 す 、 以 上 は 三 細 に し て 第 八 阿 梨 耶 識 所 縁 な り 。 以 上 は 心 的 作 用 に し て 、 極 め て 微 細 な る 本 能 的 器 械 的 震 動 と も 見 ら る 、 よ つ て 何 等 の 外 的 關 依 を 生 せ ず 所 謂 三 不 相 應 染 こ れ な り 。 如 是 く し て 無 明 は 盆 々 強 く 加 速 度 を 以 つ て 物 質 へ と 欲 動 す 。 即 ち 現 相 等 に よ り 見 分 を な し 、 微 弱 な が ら 主 客 を 分 別 す こ れ 第 七 未 那 識 相 應 の六 境 を 分 別 す る 位 に し て 、 即 ち 智 相 に し て 法 に 執 着 す る 始 め に し て 法 執 の 惑 こ れ な り 。 更 ら に こ の 觀 念 が 強 く 、 盛 ん に 薫 習 相 續 し て 、 完 全 に 客 觀 を 意 識 し 、 頻 り に 自 己 保 全 に 努 力 せ ん と す 、 こ れ 第六 意 識 の 作 用 な り 、 即 ち 法 執 に よ る 迷 ひ な り 、 こ れ を 相 績 相 と す 。 こ れ 感 覺 論 的 に は 腦 髓 中 に 起 る 、 血 液 供 給 に 於 け る 性 質 分 量 の 變 化 と も 見 る べ く 、 故 に 常 に 暫 有 的 な る 結 果 を 得 る な り 。 如 是 し て そ の 欲 求 は 極 度 に 逹 し 、 物 質 の 具 體 化 と な り て 、 直 接 事 物 に 愛 着 の 念 を 起 す 、 即 ち 眼 耳 鼻 舌 身 の 諸 識 に 快 感 と 滿 足 と を 得 ん と し て 執 取 ・ 計 名 . 業 繋 . 苦 相 等 の 諸 相 と な る 、 入 我 執 の 妄 執 こ ゝ に 存 す 。 こ れ 等 の 相 に 所 謂 求 心 性 神 經 を 通 し て 進 入 す る 所 の 神 經 傅 流 に 於 け る も の に し て 、 こ の 神 經 傳 流 に 於 て は 、 啻 に 其 傳 播 の 瞬 間 に 於 て 最 も 顯 著 な る 結 果 ( 快 ・ 不 快 ) を 生 ず る の み な ら ず 、 此 の 神 經 傳 流 は 腦 髓 物 質 中 に 極 釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 一 〇 五

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釋 論 に 對 す ろ 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 一 〇 六 め て 微 細 な る 遁 逸 路 を 開 き 、 そ こ に 腦 髓 組 織 の 永 績 的 形 態 と し て 留 存 し 、 以 て 腦 髓 を し て 從 來 に 異 な り た る 活 動 を な さ し む べ き 條 件 と な る (心 理 學 精 義 、 ウ イ リ ア ム ・ ゼ ー ム ス 著 文 學 博 土 福 來 友 吉 譯 遲 感 覺 總 論 參 照 ) 、 從 來 に 異 な り た る 活 動 と は 、 薫 習 の 極 度 に 逹 し た る 、執 取 更 ら に 計 名 、 計 名 よ り 起 業 等 と 外 形 的 行 爲 と 進 展 す る な り 、 な 猿 生 死 流 轉 の 條 件 と な る も の な り 。 以 上 は 有 情 心 の 下 轉 の 相 に し て 、 轉 ・ 現 ・ 智 ・相 績 の 諸 相 を 住 相 、 執 取 ・計 名 二 相 を 異 相 、 起 業 等 の 二 相 は 滅 相 な り と す 。 け れ ど も こ れ 等 の 縁 起 は 前 述 す る 如 く 、 同 時 的 に し て 三 細 六 麁 は 時 間 的 縁 起 に 非 ら ず 、 こ れ 心 理 的 作 用 の 變 移 に し て 物 質 發 生 の 如 く 時 間 を 要 す る も の に あ ら ず 、 故 に 本 文 に 非 初 非 中 後 取 初 中 後 故 と 云 ふ 、 こ れ 物 一 如 心 中 の 心 理 作 用 の 上 の 縁 起 流 轉 な る こ と を 知 る べ し 。 か く し て 細 よ り 麁 へ 、 狹 よ り 廣 へ と 物 質 我 ( 小 我 ) は 擴 大 さ れ る 、 物 質 我 は そ れ 自 心 に 關 す る 物 質 を 凡 て 拵 へ て 行 く 、 こ の 意 志 活 動 は 無 明 の 薫 習 で あ る 。

と な り 、 意 志 活 動 は 次 第 に 麁 天 と な る 。 最 少 微 細 な る 表 象 の 間 は 客 觀 界 へ 、 , 何 ん ら の 交 渉 も 生 ぜ ぬ が 、 次 第 に 麁 大 と な れ ば 意 志 活 動 は 制 限 さ れ 故 障 を 生 じ 、 向 ふ べ き 方 向 相 對 的 客 觀 に 對 し 選 擇 の 必 要 に 迫 ま ら れ る 、 如 是 な れ ば 自 己 が 要 求 す る 事 物 は 他 も 要 求 し 、 そ の 物 質 的 自 己 擴 大 の 空 間 は 他 も 又 擴 大 せ ん と 努 め て ゐ る 、 こ れ 宇 宙 間 に 生 存 す る 者 の 本 能 な り 。 こ の 生 活 意 志 の 本 能 は 如 何 な る 障 礙 迫 害 に 遇 ふ と も 消 滅 す る こ と な く 、 無 限 に 起 る も の で あ る 。 こ 丶 に 努 力 、 爭 鬪 が 始 ま る 。 さ れ ど 治 安 保 全 の 法 律 . そ の 他 倫 理 道 徳 教 育 は 他 律 的 制 裁 と な る 等 、 爭 鬪 は 防 止 せ ら る 。 然 れ ど も 如 何 に 法 律 等 が 爭 鬪 を 防 止 し 調 停 す と も 、 そ れ は 餘 り に 不 安 で の る 、 こ れ 等 の 物 質 生 活 の 恐 畏 不 安 よ り 解 脱 し 自 由 な る 無 限 の 生 命 を 求 め ん と 心 機 一 轉 す 、 自 律 的 宗 教 的 衝 動 を 發 す 、 こ れ 發 心 で あ る 、 即 ち 染 淨 本 覺 よ り 清 淨 始 覺 を 發 得 し た る 刹 那 で あ る 。 (釋 論 第 五 卷 淨 法 薫 習 段 參 照 す べ し ) 。 こ の 過 程 を 經 た る 意 志 活 動 は 物 質 へ の 欲 動 は 消 極 的 と な り 、 心 靈 生 活 に 對 す る 欣 求 は 積 極 的 と な る 、 こ の 物 質 欲 の 消 極 の

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極 限 に 清 淨 本 覺 は 法 爾 と し て 體 驗 せ ら る べ し 。 こ れ 上 轉 門 又 は 還 滅 門 な り 。 し か れ ど も 根 本 無 明 は な ほ 無 限 に 働 い て ゐ る 、 そ の 性 能 と し て 染 性 な り し 部 分 が 淨 化 せ ら れ て ゐ る の で あ る 、 そ の 體 は 一 心 に 内 抱 さ れ て ゐ る 。 (釋 論 第 六 卷 六 日 下 本 願 無 盡 門、 離 相 不 着 門 、 能 所 平 等 門 、 及 び 甚 深 極 妙 契 經 引 文 參 照 ) 以 上 の 如 く 上 下 二 轉 種 々 縁 起 す る も 、 一 心 は 増 減 あ る こ と な し 。 根 本 無 明 は 生 活 意 志 と し て 、 上 下 二 轉 す と も 切 斷 す る こ と な き を 知 る な り 。 扨 て 本 覺 は 無 明 の た め に 有 機 的 識 體 と な り て 、 和 合 薫 習 す る や 第 八 阿 梨 耶 識 と な る 、 か く し て 倶 合 動 相 と な り 業 識 を 完 成 し 、 次 第 に 轉 現 等 と 識 を 生 ず . こ れ に よ つ て 吾 人 は 本 覺 を 感 覺 と 見 る も の で あ る 、 何 故 な れ ば 本 能 的 欲 動 に よ り 求 心 性 神 經 作 用 し 神 經 傳 流 は 腦 髓 物 質 中 に 極 め て 微 細 な る 遁 逸 路 を 開 き 、 そ こ に 腦 髓 組 織 の 永 續 的 形 態 と し て . 留 存 す 、 こ れ 意 識 及 び 記 憶 に し て 、 そ れ ら が 次 の 異 り た る 活 動 を な さ し む る 條 件 と な る 。 こ の 過 程 に 於 て 求 心 性 神 經 の 傳 流 傳 搬 等 の 作 用 は 根 本 無 明 の 欲 動 に し て 、 極 め て 微 細 な る 遁 逸 路 を 開 き そ こ に 流 れ る 血 液 供 給 の 作 用 及 び こ の 作 用 に よ る 腦 細 胞 の 性 質 分 量 の 變 化 は 本 覺 と し て 無 明 に 薫 習 せ ら れ て隋 縁 性 に 變 化 す る 刹 那 で あ る 、 吾 人 は こ の 受 動 的 變 化 に 對 し て 感 覺 と 云 は ず し て 何 ん と 言 ひ 得 る 。 こ れ ら の 作 用 が 非 一 非 異 の 關 係 を 保 つ 刹 那 は 阿 梨 耶 識 で あ る 。 こ ゝ に 於 て 本 覺 を 見 る に そ れ 自 身 に 性 能 な し 、 し か し 感 受 性 を 有 す る 清 淨 な る 無 爲 法 な る こ と 明 か な り 、 故 に 無 明 と 作 用 す る 時隋 縁 し て 試 體 と な る 、 こ れ に よ つ て 生 滅 門 の 下 轉 の 際 、 無 明 の 欲 動 に よ り 、 本 覺 は 染 汚 さ れ る 、 こ れ 染 淨 始 覺 よ り 染 淨 本 覺 に 移 る 一 門 な り 、 更 ら に 心 機 一 轉 し て 上 轉 門 の 時 は 清 淨 始 覺 よ り 清 淨 本 覺 へ と 還 滅 す る の で あ る 、 如 是 く そ の 衝 動 と 環 境 を 異 に す る に 從 ひ 染 淨 、 清 淨 、 始 覺 、 本 覺 と 性 質 を 變 移 す る 本 覺 は 、 感 覺 に し て そ の 異 る 名 稱 は そ の 變 移 す る 内 容 を 抽 象 す る も の で あ る 。 (釋 論 第 三 卷 惚 想 剖 分 散 説 門 參 照 ) ' 吾 人 は 生 滅 門 中 そ の 還 滅 門 は 、 カ ン ト 哲 學 の 認 識 論 の 内 容 と 髣 髴 た る も の を 見 ん と す る な り 。 即 ち 起 業 業 繋 苦 相 等 の 現 象 は 染 汚 の も の で あ る 、 所 謂 染 淨 本 覺 で あ る 。 然 る に 心 機 二 轉 し 還 滅 門 と な 釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 数 理 化 一 〇 七

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釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 一 〇 八 る に 於 て 、 清 淨 始 覺 と な り 、 感 覺 的 偏 見 よ り 解 脱 し 、 淨 化 さ る 丶 に 於 て 正 し き 見 分 相 分 の 悟 性 と な り 、 第 八 阿 梨 耶 識 等 の 理 性 的 作 用 も 純 粹 化 さ る 丶 に 至 る 、 清 淨 本 覺 等 の 淨 法 も 認 識 せ ら る ゝ な り 。 然 し こ れ 等 の 認 識 は 三 門 分 別 の 過 程 に 於 て は 、 不 可 認 な り 、 二 門 分 別 の 果 界 に 於 て 清 淨 本 覺 に 還 同 し 、 眞 如 を も 直 觀 し 得 る な り 。 こ の 認 識 論 的 研 究 は 他 日 を 期 し て こ ゝ に 省 略 し 、 唯 還 滅 門 の 趨 勢 と し て 認 識 論 的 過 程 の 存 す る を 知 る に 止 む 。 根 本 無 明 不 可 斷 根 本 無 明 の 不 可 斷 な る こ と は 、 そ の 佛 果 斷 、 自 體 斷 等 に 明 な る こ と 言 を 俟 た ず 。 吾 人 は 重 論 を 恐 れ て 南 山 成 立 の 義 に つ い て は 省 略 す 。 然 れ ど も 上 來 衆 生 心 に つ き 主 觀 的 に 論 じ 、 又 生 活 意 志 と し て 論 じ た れ ば 更 ら に こ の 問 題 も 異 な る 方 便 よ り 一 考 を 要 す 。 主 觀 即 ち 個 人 我 は 死 ぬ 者 で あ る 、 無 明 又 斷 滅 す る で あ ら う か 。 こ ん な 疑 問 は 消 極 的 で あ る 、 し か し 死 は 免 れ ぬ か ら 考 て 見 る の で あ る 。 し か し 人 は 絶 對 的 に 死 な ぬ と 學 者 は 言 ふ 、 ヘ ッ ケ ル 等 は 部 分 的 死 と 、 又 吾 等 の 先 祖 は 死 ん で は 居 な い 、 即 ち わ れ 等 の 内 に あ る 形 質 に 於 い て 存 續 し 、 又 吾 等 も 子 孫 の 内 に 無 限 に 存 續 し 、 こ と に 遺 傳 に 於 て 明 か に 生 存 し て ゐ る 。 た と へ 子 孫 の な ぎ 人 も 、 そ の 生 存 中 社 會 と の 接 觸 に よ り 、 そ の 生 活 意 志 は 何 等 か の 形 を 社 會 に 結 び つ け て ゐ る 、 即 ち 過 去 の 大 哲 學 者 、 宗 教 家 は 多 く は 子 孫 を 有 せ ぬ が 社 會 的 に 精 神 的 に 民 族 の キ ヤ ラ ク タ ー と な つ て 生 存 す べ し と 。 又 佛 人 の 歐 洲 人 各 國 民 心 性 、 の 民 族 發 展 の 心 理 、 ヴ ソ ト の 民 族 性 心 理 學 等 に 明 な り 。 ( 文 化 の 心 理 學 、 東 大 教 授 桑 田 博 士 述 參 照 ) 要 す る に 人 は 死 ぬ 動 物 で あ る 、 た ゞ 絶 對 的 に 死 な ぬ 、 異 な る 形 式 に 於 て 生 活 意 志 は 存 續 す る の で あ る 。 如 是 く 論 ず る と 恰 も 外 道 の 我 の 如 く で あ る 、 し か し 意 志 と し て 生 存 す る 我 は 創 造 的 な 第 一 原 因 の 我 と は 異 な り 、 こ れ 社 會 人 類 民 族 の キ ヤ ラ ク タ ー 、 即 ち 社 會 我 と し て 無 限 に 生 存 す る も の と 思 惟 す 。 就 中 血 液 と し て 、 細 胞 と し て 子 孫 の 中 に 生 存 し 、 遺 傳 性 と し て 生 活 意 志 存 續 す と せ ば 根 本 無 明 も 斷 絶 せ ぬ こ と 明 な り 。 さ れ ど こ

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れ は 業 感 縁 起 に 於 け る 業 の 如 し 、 今 は 積 極 的 に 精 神 的 大 我 の 生 存 の た め に も 、 根 本 無 明 は 絶 對 不 可 斷 で あ り 、 又 斷 盡 し て は な ら ぬ も の で あ る 。 こ れ 宗 教 生 活 に 入 る 根 本 勢 力 で あ り 、 宗 教 生 活 を 莊 嚴 す る も の な れ ば な り 。 吾 人 は こ の 意 味 を 徹 底 せ し め ん た め 、 釋 論 哲 學 を 數 理 化 す る こ と に 由 ら む 。 數 理 化 す る 釋 論 吾 人 は 一 心 と 眞 如 門 と 生 滅 門 の 概 念 と 哲 學 的 考 察 と を 論 じ 來 れ り 、 さ れ ど 釋 論 の 本 領 を 十 分 に 論 じ た り と は 思 は す 、 そ の 空 虚 、 そ の 釋 論 の 本 領 こ そ 不 二 摩 訶 衍 そ の も の な り 、 徒 ら に 論 ず る も 不 二 摩 訶 衍 に 觸 れ ざ れ ば 釋 論 に 觸 れ た る も の に あ ら ず 、 か く し て 古 來 よ り 先 哲 の 多 く は 不 二 摩 訶 衍 を 論 ぜ ん と し て 努 力 す 、 し か る に 未 だ そ の 中 樞 を 説 述 し 得 た る も の な し 。 た ゞ し 吾 人 は 釋 論 を 數 理 化 す る こ と に 於 て の み 完 全 に 不 二 摩 訶 衍 を 顯 示 す る を 得 べ し 、 何 ん と な れ ば 長 行 文 は 以 つ て 永 久 に 不 二 の 形 を な し 得 ざ れ ば な り 、 數 理 化 に よ る 時 は 、 そ の 概 念 と し て 悉 く が 不 二 の 形 を な し 得 れ ば な り 。 不二 摩 訶 衍 の 何 等 の 法 の 不 二 な る も の な り ゃ 。 上 述 の 眞 生 二 門 が 一 心 の も と に 不 二 な る こ と 明 な り 、 立 義 分 に て 謂 衆 生 心 是 心 則 攝 一 切 世 間 法 出 世 間 法 に 於 て 、 世 間 法 は 勿 論 生 滅 門 に し て 、 出 世 間 法 は 眞 如 門 な り 。 更 ら に 又 則 攝 の 二 字 は 、 五 不 二 中 の 攝 不 一 で あ る と ゝ も に 文 相 よ り し て 、 二 法 總 の 不 二 な る こ と 明 な り 。 更 ち に 又 立 義 分 の 摩 訶 衍 者 惣 の 惚 に 於 て 、 體 性 不 二 な る こ と 五 不 二 の 釋 段 に 明 な り 、 こ と に こ の 體 性 不 二 の 所 に 不 二 の 總 、 八 法 の 總 の 不 二 な る こ と を 想 到 す る と き 、 二 法 總 の 下 に 摩 訶 衍 の 體 相 用 が 顯 示 さ れ て あ る が ( 是 心

衍 自 體 相 用 故 立 義 分 釋 論 第 二 卷 五 目 下 參 照 ) 、 惚 の 字 に 體 性 不 二 、 不 二 の 総 、 入 法 の 總 體 な り と 意 味 あ る に 於 て 、 體 相 用 三 大 の 不 二 は 、 二 法 總 の 不 二 な る 攝 不 二 と 、 同 格 に 見 ゆ る こ と は 必 然 な り 。 故 に 不 二 摩 訶 衍 に は 二 法 總 (眞 生 二 門 二 所 入 の 法 ) の 攝 不 二 は 勿 論 、 餘 體 相 用 三 大 不 二 と 八 法 總 の 不 二 即 ち一 心 體 、 相 、 用 な る 四 不 二 の 總 體 に 不 二 摩 訶 衍 は 相 當 し 、 更 ら に 約 言 す れ ば 、 (色 、 體 、 相 用 三 大 )心 ( 一 心 ) の 不 二 な る 所 に 不 二 摩 訶 衍 の 法 釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 一 〇 九

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釋 論 に 封 す る 哲 學 的 考 察 と 數 魂 化 一 一 〇 體 を 見 な け れ ば な ら ぬ 。 又 二 法 總 の 不 二 に 色 心 が 布 列 出 來 ぬ で も あ る ま い 、 即 ち 眞 如 門 の 純 粹 慧 知 的 な る に よ り 心 と す れ ば 、 生 滅 門 の 流 轉 の 相 が 唯 物 的 現 象 的 な る も の に 色 と す る も 過 な か ら む 。 こ れ に よ つ て こ れ を 見 る に 、 吾 人 上 來 二 心 と 眞 生 二二 門 論 を 論 じ て 二 元 的 唯 心 論 の 如 く 、 又 へ ー グ ル 流 の 絶 對 的 唯 心 論 の 如 く 見 た り 、 し か る に 不 二 摩 訶 衍 な る も の が 釋 論 哲 學 の 本 質 的 の も の な る こ と を 意 識 す る 時 撞 着 な き を 得 ず 、 け れ ど も こ の 不 二 摩 訶 衍 を 實 在 論 的 に 論 ず る は 三 門 分 別 の 體 系 で あ る 。 さ れ ご 吾 人 は 兼 ね て 根 本 無 明 を 生 活 意 志 な り と し て 論 ぜ り 、 而 し て 根 本 無 明 は 非 有 爲 非 無 爲 (偏 せ ざ る 意 } の 一 心 の 體 を 所 依 と す と 、 両 も 一 心 に 有 爲 と 無 爲 を 和 合 薫 習 の 關 係 を な さ し め る 必 然 的 慾 動 を 有 し て 、 必 ら ず 物 心 を 非 一 非 異 の 關 係 に 於 て 上 下二 轉 し 當 相 と し て 實 在 す と 云 へ り 。 こ の 根 本 無 明 こ そ 不 二 摩 訶 衍 の 本 質 を な す も の と 思 惟 す 。 何 ん と な れ ば 三 門 分 別 は 二 門 の 本 質 を 離 れ て 意 味 を な さ ぬ 。 た ゞ 主 觀 と 相 對 に 客 觀 に 於 け る 、 絶 對 的 二 門 不 一 の 相 あ る を 示 さ ん た め に し て 、 そ の 内 容 に 於 て 主 觀 の 二 門 分 別 と 客 觀 の そ れ と 異 な る に 非 ら ず 、 こ の 二 門 の 外 に 哲 理 は な い 、 然 し 宗 教 的 情 素 を 滿 足 さ す た め に は 不 二 門 は 絶 對 に 必 要 で あ る 、 こ れ 釋 論 は 哲 學 に あ ら ず し て 宗 教 に 屬 す る 論 藏 で あ る と い ふ 所 以 で あ る 。 今 吾 人 は 二 門 分 別 と 三 門 分 別 に 哲 學 と し て の 本 質 に 差 異 な き こ と を 證 明 せ ん と す 。 即 ち 釋 論 哲 學 を數 理 化 せ ん に 、 即 ち 邪 念 邪 信 よ り 大 乘 の 正 信 に 入 ら し め 、 摩 訶 衍 の 生 活 に 徹 底 的 禪 悦 法 喜 の 美 食 を 甘 受 せ しめ ん と す る 釋 論 は 、 佛 教 思 想 の 綜 合 で あ り 、 又 最 も 合 理 的 な 數 學 的 基 礎 を 有 さ ね ば な ら ぬ 。 扨 て 顯 教 諸 宗 に て 不 可 説 な り と 言 ふ 果 分 の 、 不 動 本 源 な る 甚 深 の 玄 理 性 徳 圓 滿 海 は 、 如 何 な る 言 辭 と 形 容 を 以 て 顯 示 し 、 こ れ が 必 然 を 意 味 す べ く 示 し 得 る か 。 吾 人 も し 言 得 る な ら ば 無 窮 大 と 言 は ん 、 即 ち 完 全 圓 滿 具 足 輪 圓 の 法 體 な る 不 二 摩 訶 衍 は 、 不 生 不 滅 不 増 不 減 の 妙 體 な り 、 故 に 不 二 摩 訶 衍 は 無 窮 大 無 限 大 で あ る 。 こ れ を 數 學 上 の 符 號 を 以 て 使 用 せ ば 、 所 謂 。。 (無 窮 大 ) な り 。 を 扱 は ん と せ ば 必 然 a 零 を 使 用 す る の で あ る 、 即 ち

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な れ ば な り 。 こ の 式 に 不 合 理 と 合 理 の 両 面 あ り 、 即 ち 分 母 が 零 な る と き 、 分 子 零 な ら ざ る 時 は そ の 分 數 式 に 數 億 な し 。 そ は 如 何 な る 數 を 零 に 乘 ず る も 決 し て 零 な ら ざ る 數 を 得 ざ れ ば な り 、 又 如 何 な る 數 も 零 に て 除 す る を 得 ず 。 さ れ ど 分 母 が 直 ち に 零 と な ら ず し て 、 或 微 少 な る 値 よ り 漸 次 零 に 近 く も の と 考 へ た る 時 は 、 そ の 分 數 式 の 絶 對 値 は 次 第 に 増 大 し て 、 遂 に 如 何 な る 大 數 を も 超 過 す 、 此 場 合 分 數 式 の 價 は 無 限 大 な り と 即 ち 吾 人 有 情 が 摩 訶 衍 の 生 活 を 體 驗 す る は 、 小 我 に 對 す る 愛 着 を 眞 如 門 に よ る 消 極 の 原 理 に よ つ て 浄 化 し 、 大 智 を 得 、 大 智 に よ り て 大 悲 を 起 し 、 他 愛 の 活 動 を な さ ん た め 、 生 滅 門 縁 起 の 法 相 に 從 び て 、 積 極 的 に 衆 生 界 へ 下 轉 し 、 化 他 の た め に 如 何 な る 苦 境 へ も 欲 動 し 化 身 せ ざ る べ か ら ず 。 こ の 消 極 積 極 両 思 想 の 對 比 は 、 a 零 の 一 な る 横 線 に て 必 然 的 な る を 意 味 す 。 こ の 横 線 が 釋 論 に 於 て は 積 極 (有 爲 ) と 消 極 ( 無 爲 ) を し て 非 一 非 異 な ら し む る 必 然 的 欲 動 を 有 す る 、 所 謂 根 本 無 明 ( 生 活 意 志 ) な り と 云 ふ べ し 、 故 に こ の 両 者 對 比 に 於 て 一 個 の 人 格 は 具 象 せ ら る ゝ な り 、 こ れ 即 ち 衆 生 の 一 心 な り。 根 本 無 明 不 可 斷 の 意 又 明 白 な り 。 以 上 の 如 く 眞 如 門 を 消 極 の 原 理 と し て 小 我 否 定 の 過 程 に あ る 主 觀 と し て 分 母 の 位 置 に 置 き 、 生 滅 門 を 積 極 の 原 理 と し て 化 他 的 過 程 の 行 爲 と し て 分 子 の 位 置 に 置 く 時 、 二 門 分 別 と 言 は ず し て 何 ぞ 、 故 に a 零 の 形 そ の も の は 、 非 有 爲 非 無 爲 の 一 心 の 状 態 に し て 、 又 阿 梨 耶 識 の 状 態 と も 言 へ る 、 即 ち 生 滅 (有 爲 = 積 極 = a ) と 不 生 滅 (無 爲 = 消 極 = 零 ) と 非 一 非 異 の 關 係 に あ れ ば な り 。 而 し て 是 の 如 く の a 零 な る 二 門 分 別 は 必 然 、 無 窮 大 。。 な る こ と を 認 證 す べ し 、 は a 零 と そ の 本 質 に 於 て 何 ぞ 區 別 せ ん 。 と は 不 二 門 の 具 象 と 見 る 時 、 そ の 方 法 と 形 を 省 略 し た る も の に し て 本 質 は a 零 と 同 等 な り 、 こ れ 吾 人 が 二 門 分 別 の 本 質 を 離 れ て 、 三 門 分 別 は 成 立 せ ぬ と い へ る 理 由 で あ る 。 三 門 の 時 に は a 零 が に 等 し 、 即 ち の 三 原 理 に よ つ て な る の み 。 本 質 は a 零 は 矢 張 a 零 に し て 、 で は な い 。 は 吾 人 等 が 互 に a 零 と 同 質 な る こ 釋 論 に 對 す る 哲 學 的 考 察 と 數 理 化 一 一 一

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