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正常手関節における3 次元力学的解析

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 医 学 ) 岩 崎 倫 政      学位論文題名

正常手関節における3 次元力学的解析

― 剛 体 バネ モ デル を 用 いた理 論的解析―

学位論文内容の要旨

(川′ I J )丁|蚓節疾心の病態を把握し,それに対する適馴な治療法を選択する上で,手関節の ノ J ′ Hf/ 、J カポ柑 f を :i'j‑ うことは柧めて重要である。この解析について,近年,各種の卜ランスデユ ー サーをJu い た屍体実験による手関節のカ学 I ′I 勺解析が臓んに行われている。しかし,計測の 後 j 堆さより ,小|矧 節を含め た手関節 全体における応力解析を行った報告はない。さらに,実 験モデル作製の困讎さより,翻Tl 捗に惻する解析は lOJ ≠け切離実験による手根不安定性の発現に

『瑚するものや,各翻 'fF のカ学的特性を求めたものが大部分であり,手関節!I 匆帯の張力分布に

「剄する尖験『I くJ 何「究は行われていない。本研究の目的は,過去の実験的研究および理論的解析 の ff ¨題点を 解決すぺ く正常手 関節の 3 次 元手関節剛 体パネモ デルをけ H 発し,それを用いて正 常 丁I 矧節全 体の f 矧節 応力分裄 ,靭帯の 張力分布, 各手根骨 のkincmaticS についての解析を行 うことにより,そのブJ 学1 的特徴を知ることである。

( 対 象 お よ び 方 法 ) 本 研 究 で は , 正 常 新 鮮屍 体 上肢 10 体の C 画 像 デ 一夕 を 基に , 個 々に つ い て の 3 次 元 手 関 節 モ デ ル を 作 製 し た。 モ デ ル作 製 の方 法 は ,最 初 に横 断 面 CT 画 像 デ― 夕 よ ル オ リジ ナ ルプ 口 グ ラム を 用 いて コ ンピ ュ ー ター グ ラフ イ ッ ク上で 3 次元骨モ デルを作製 し た 。 次に , 各CT 画 像に お い て r 葵 J 節 を 構 成す る 隣 接し た 2 つ の骨 問の中央 点をデジ タイズ す る こ とに よ り関 節 曲 線を 作 製 し, そ れら を 重 ね合 せ るこ と に より3 次 元関節面 モデル(計 27 関 節) を 作 製し た 。こ れ ら の関 節面 はメッシ ュ状とし てあらわ され,各 スクエア には後述 す る 圧 縮バ ネ を置 く も のと 仮 定 した 。作製し た関節面 モデルは 骨モデル にスーバ ーインポー ズ し , 最後に計 48 の靭帯を 解剖学ロ勺 位置に入 カするこ とにより ,3 次元手 関節解剖 学的モデ ル を 作 製し た 。応 力 計 算に は , 骨は 剛体,関 節軟骨お よび靭帯 はそれぞ れ圧縮バ ネ,仲張バ ネ と 仮 定 す る 剛 体 バ ネ モ デ ル ( RigidBodySpringMOdcl , 以 下 RBSM ) の理 諭 を用 い た 。実 際 の 関 節および 靭帯にお ける応力( F )は,一 定の荷重 条件下で の各要素 (剛体) の変位に基 づ き ,各 バ ネの 変 形 ( D )と ノ ヾネ 定 数 すな わ ち 関節 軟 骨お よ び 各靭 帯 の剛 性 値 ( K )の 積

( F = KD )によ り求めら れる。本 解析の荷 重条件は graspposltlon を 想定し,計 143N の外カを中 手骨に加えた。関節!|火骨および三角線維軟骨(以下, TFC )の剛性値は 22 .6N / rnrn とし,各 翻 |仔の剛 性値は, 従来より 報告され てきた実験 値を用い た。これ らのデ一夕をモデルに入カ し ,独自に 開発した 3 次元 RBSM 用ソ フトウェ アにて応力 計算を行 った。本研究では,( 1 )各関 節列における応力分布比( Pcrcenta 呂c0 ハ ointForccTransmission ,以下%JFT 冫,(2 )最大関節 圧( JointPCakPrCSSurC ,以下PP ),( 3 )籾帯張力比( PcrCcntageofTcnSileFOrCeDiStribution , 以 下 % TFD ),( 4 ) 各手根骨 の 3 次元的 kinematiCs ( 変位およ び回転) について の解析を 行っ た。

( 結 果) 各 関節 列 に おけ る % JFT は , 橈骨 手 根 関節 お よび TFC で は, 橈 骨舟 状 関 節で 44 %,

橈 骨月状関 節におい て31 %, TFC で 25 °/。であった。手根中央関節においては,舟状大菱形小

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菱 形 関 節 で27% , 舟 状 有 頭 関 節 で は23% , 月 状 有 頭 関 節 に お い て34% , 三 角 有 鉤 関 節 で16% で あ っ た 。 橈 骨 手 根 関 節 に お け るPPは , 椀 骨 舟 状 関 節 で は3.8MPa, 桃 骨 月 状 関 節 に お い て は2. 7MPaで あ っ た 。 手 関 節 掌 側 お よ び 背 側 に お け る 各 翻 キ げ の %TFDはI掌 側 に お い て は 桃 骨 川 状翻'rtlll‑で最 大で26.0ワ。で あった 。背側で は 橈 骨三角靭 帯において最大で14. 8r70,舟状月 状 伽jけ で12.8% , 舟 状 三 角 靭 帯 に お いて10.7% で あっ た 。Grasp positionを 想 定 した 荷 重 条件 卜 に お け る 近 位 手 根 列 の 各 手 根 骨 の3次 元 的 変 位 は , 舟 状 骨 と 月 状 骨 で は 尺 側 / 掌 側 / 近 位 ルff|Jに変f、´し ていた。 しかしな がら, 匝JiI云方向に関しては舟状骨は掌屈を生じ,月状骨はャ〒

んffす るf頃 「f|Jを 認め た 。 逮位 手 根 列で は , 各手根 骨はほば 同様の 変位およ び回転傾 向を示 し,

f兜 側 / 牛n!0/近 他 方 向へ の 変 位傾 「 ^ 」を 認 め, 、回転方 向に関し ては背 屈する傾 向を認 めた。

( ち . 察 )Sh( )rtら は , 屍 体 実 験 に おい て , 橈骨 手 根 関節 お よ び 尺骨 手 根 裂隙 に お ける 応 力 分 nf比はf尭´f ̄1′J‖ 状f矧節で5()協,桃´iヨ′月状f斐亅節で29%,TFCにおいて21%と報告している。今匝I のL| !論『J′、J解析 により得 られた 結果は, 従来報告 されて きた実験 値と概 ね一致す るもの であっ た 。 ー ・ 方 ,Vicgasら の 実 験 よ り , 手 根 中 央 関 節 の 応 力 分 布 比 は , 舟 状 大 菱 形 小 菱 形 関 節 で 24% , 舟 状 行 頭 関 節 で は24%, 月 状 有 頭 関 節 に お い て320/0, 三 角 有 鋤 関 節 で20% で あ り , 本 り 「ラ・ モ縞|; 果とほ ぼ一致す るもの であった 。これら 過去の 実験データとの比較検討より,今回BH 発 し た3次元PI!綸n/ 、Jモ デ ルに よ る 応カ カ 年 析およ びその結 果は十 分に信頼 性のある ものと 考え ら オ1た 。翻 帯 のJJIx/J分イげにI斐 亅する解 析結果 において は,正常 手関節 の掌側で は椀骨)状靭jfF が , 背 側 で は 橈 骨 三 角j翻 帯 が カ 学 的 に 最 も 重 要 な 物 帯 で あ る と 考 え ら れ た 。 手 根 骨 の kincmatic¥sか ら 得 ら れ た デ ― 夕 で は , 舟 状 骨 と 月 状 骨 は 橈 骨 に 対 し て 尺 側 に 変 位 す る 傾 向 が あ る こ と がf川 ら か に な っ た 。 こ れ ら の デ ― 夕 と 橈 骨 月 状 靭 帯 お よ び 橈 骨 三 角 靭 帯 の 走 行 の 解 汁f的 特 徴 よ り , こ れ ら のJl功4け は 舟 状骨 お よ び月 状 骨 の尺 側 へ の 変位 を 防 く゛ 機 能 的役 割 を 担 フ て い る と 考 え ら れ た 。 手 根 骨 のkincmaticksに 凶 す る 実 験 的 研 究 は 多 く 行 わ れ て き た が , 一 定 の 荷m条 件 下 に お け るkincmaticsに 鬨 し て は , 実 験 手 技 上 の 困 難 さ も あ り 明 ら か で は な い 。 ホ ル f究 に お い て は ,3次 元 理 論 的 モ デ ル に よ り 日 常 動 作 に お い て 頻 回 に 行 わ れ るgrasp p sj Li( )nを 恕 定し た 荷 重条 件 下 での 手 根 骨の3次 元kincmatic.sの 傾向 を解 析する ことが可 能で あ っ た 。 本 解 析 結 果 よ り 近 位 手 根 列 に お い て は , 各 手 根 骨 は 尺 側 / 掌 側 / 近 位 方 向 に 変 位 し て し ゝ た が , 回 転 方 向 に 関 し て は 舟状 骨 は 掌屈 , 月 状骨 は 背 屈す る 傾 向 が認 め ら れた 。 こ れは , f1常 生 活 動 作 に お け る 荷 重 条 件 下 に お い て も 舟 状 骨 と 月 状 骨 はdorsal intcrcalatedsegmental in stabilityを き た す よ う な 条 件 下 に ある こ と を示 す も の と考 え ら れる 。 一 方, 遠 位 手根 列 に お け る 各 于 根 骨 は 変 位 , 回 転 と も 同 様 の 傾 向 を 示 し , 近 位 手 根 列 の 手 根 骨 の 変 位 方 向 と も 興 な る 縮 ` 采 で あ っ た 。 こ れ ら の 結 果 よ り , 遠 位 手 根 列 は 機 能 的 に も 近 位 手 根 列 と は 区 別 し た一 機 能I狙f立 と し て と ら え る こ と が 可 能 で あ る と 考 え ら れ た 。 本 研 究 は , 初 の3次 元 理 諭 的 モ デ ル をJIiい た 手 関 節 に お け る カ 学 的 解 析 で あ る 。 本 モ デ ル を 用 い る こ ど に よ り , 手 関 節 全 体 に お け る 関 節 お よ び 靭 帯 の 応 力 解 析 と 手 根 骨 のkincmaticsに つ い て の 解 析 を 同 時 に 行 う こ と が 可 能 で あ り , 従 来 の 実 験 的 研 究 に お け る 手 技 上 のfM限 を 克 服 す る こ と が 可 能 で あ っ た 。 さ ら に , 得 ら れ た 解 析 結 果 は 過 去 の 屍 体 実 験 の デ ― 夕 と も 良 く 相 関 し て お り , 正 常 手 関 節 に お け る 解 析 に お い て は 十 分 に 信 頼 性 の お け る も の と 考 え ら れ た 。 将 来 的 に は , 本 モ デ ル に 個 々 の 疾 患 に 鬨 す る デ 一 夕 を 入 カ す る こ と に よ り , 各 種 の 手 関 節 疾 患 に 対 す る 術 前 プ ラ ン ニ ン グ 等 に も 応川することが可能になるであろう。

(3)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

正常手関節における3 次元力学的解析

ご剛体バネモデルを用いた理論的解析―

   近年,各種の卜ランスデユーサーを用いた屍体実験による手関節のカ学的解析が盛ん に行われている。しかし,計測の複雑さより,手関節全体の応力解析を行った報告は ない。本研究の目的は,過去の実験的研究の問題点を解決すべく正常手関節の3 次元 手関節理論的モデル(剛体/ ヾネモデル)を開発し,それを用いて正常手関節全体のカ 学 的 解 析 を 行 う こ と に よ り , そ の カ 学 的 特 徴 を 知 る こ と で あ る 。    本解析では,正常新鮮屍体上肢10 体のCT 画像デ―夕を基に,個々についての3 次元 手関節モデルを作製した。モデル作製の方法は,最初にCT 画像デ―夕よルオリジナル プ口グラムを用いてコンピユーターグラフイック上で3 次元骨モデルを作製した。次に,

各CT 画像において関節を構成する隣接した2 つの骨問の中央点をデジタイズすること により関節曲線を作製し,それらを重ね合せることにより3 次元関節面モデルを作製 した。作製した関節面モデルは骨モデルにスーバーインポーズし,最後に計48 の靭帯 を解剖学的位置に入カすることにより,3 次元手関節解剖学的モデルを作製した。応 力計算には,骨は剛体,関節軟骨および靭帯はそれぞれ圧縮パネ,伸張パネと仮定す る剛体パネモデル(Rigid Body Spring Model ,以下RBSM) の理論を用いた。荷重条件 はgrasp position を想定し,計143N の外カを中手骨に加えた。関節軟骨および靱帯の剛 性値をモデルに入カし,独自に開発した3 次元RBSM 用ソフトウェアにて応力計算を行 った。

   各関節列における応力分布比は,橈骨手根関節および三角線維軟骨(以下,TFC ) では,橈骨舟状関節で44 %,橈骨月状関節において31 %,TFC で25 %であった。手根中 央関節においては,舟状大菱形小菱形関節で27 %,舟状有頭関節では23 %,月状有頭関 節において34 %,三角有鉤関節で 16 %であった。手関節掌側および背側における各靭帯 の張力分布比は,掌側においては橈骨月状靭帯で最大で26 .0 %であった。背側では,橈 骨 三角 靭帯 にお いて最大で14.8 %,舟状月状靭帯で 12.8 %,舟状三角靭帯において 10.7 %であった。

  Short らは,屍体実験において,橈骨手根関節およびTFC における応力分布比は橈骨 舟状関節で50 %,橈骨月状関節で29 %,TFC において21 %と報告している。本解析によ り得られた結果は,従来報告されてきた実験値と概ね一致するものであり,今回開発 した3 次元理論的モデルによる応力解析およびその結果は十分に信頼性のあるものと 考えられた。靭帯の張力分布に関する解析結果より,正常手関節の掌側では橈骨月状

志 之

清 紘

田 藤

金 加

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

靭帯が,背側では橈骨三角靭帯がカ学的に最も重要な靭帯であると考えられた。手根 骨の kinematics から得られたデ―夕では,近位手根列は橈骨に対して尺側に変位する傾 向があることが明らかになった。これらのデ一夕と橈骨月状靭帯および橈骨三角靭帯 の走行の解剖学的特徴より,これらの靭帯は近位手根列の尺側への変位を防ぐ機能的 役割を担っていると考えられた。本モデルを用いることにより,手関節全体における 関節および靭帯の応力解析を同時に行うことが出来,従来の実験的研究における手技 上の制限を克服することが可能であった。さらに,得られた解析結果は過去に計測可 能であった実験データとも良く相関しており,正常手関節における解析においては十 分に信頼性のおけるものと考えられた。

   公開発表に際し,副査の加藤教授から,モデル作製に新鮮屍体を用いることの利点,

過去の実験的研究と比較した際の本研究結果の意義,本モデルの臨床応用の可能性に ついて,副査の安田教授から,モデル化に関して靱帯および関節軟骨の剛性値をどの ように決定した,か,荷重条件の妥当性について,主査の金田教授からは,過去の屍体 実験における応力解析の具体的方法について,整形外科学教室加藤助手から,本解析 方法の術前プランニングへの応用について質問があった。申請者は何れに対しても研 究結果と文献を引用して妥当な回答を行った。

   審査員一同 は,本研究 が3 次元 理論的手法を用いることにより初めて手関節全体の

関節応カおよび靱帯張カを明らかにした成果を高く評価し,申請者が博士(医学)の

学位を受けるのに十分な資格を有すると判定した。

参照

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