博 士 ( 医 学 ) 岩 崎 倫 政 学位論文題名
正常手関節における3 次元力学的解析
― 剛 体 バネ モ デル を 用 いた理 論的解析―
学位論文内容の要旨
(川′ I J )丁|蚓節疾心の病態を把握し,それに対する適馴な治療法を選択する上で,手関節の ノ J ′ Hf/ 、J カポ柑 f を :i'j‑ うことは柧めて重要である。この解析について,近年,各種の卜ランスデユ ー サーをJu い た屍体実験による手関節のカ学 I ′I 勺解析が臓んに行われている。しかし,計測の 後 j 堆さより ,小|矧 節を含め た手関節 全体における応力解析を行った報告はない。さらに,実 験モデル作製の困讎さより,翻Tl 捗に惻する解析は lOJ ≠け切離実験による手根不安定性の発現に
『瑚するものや,各翻 'fF のカ学的特性を求めたものが大部分であり,手関節!I 匆帯の張力分布に
「剄する尖験『I くJ 何「究は行われていない。本研究の目的は,過去の実験的研究および理論的解析 の ff ¨題点を 解決すぺ く正常手 関節の 3 次 元手関節剛 体パネモ デルをけ H 発し,それを用いて正 常 丁I 矧節全 体の f 矧節 応力分裄 ,靭帯の 張力分布, 各手根骨 のkincmaticS についての解析を行 うことにより,そのブJ 学1 的特徴を知ることである。
( 対 象 お よ び 方 法 ) 本 研 究 で は , 正 常 新 鮮屍 体 上肢 10 体の C 画 像 デ 一夕 を 基に , 個 々に つ い て の 3 次 元 手 関 節 モ デ ル を 作 製 し た。 モ デ ル作 製 の方 法 は ,最 初 に横 断 面 CT 画 像 デ― 夕 よ ル オ リジ ナ ルプ 口 グ ラム を 用 いて コ ンピ ュ ー ター グ ラフ イ ッ ク上で 3 次元骨モ デルを作製 し た 。 次に , 各CT 画 像に お い て r 葵 J 節 を 構 成す る 隣 接し た 2 つ の骨 問の中央 点をデジ タイズ す る こ とに よ り関 節 曲 線を 作 製 し, そ れら を 重 ね合 せ るこ と に より3 次 元関節面 モデル(計 27 関 節) を 作 製し た 。こ れ ら の関 節面 はメッシ ュ状とし てあらわ され,各 スクエア には後述 す る 圧 縮バ ネ を置 く も のと 仮 定 した 。作製し た関節面 モデルは 骨モデル にスーバ ーインポー ズ し , 最後に計 48 の靭帯を 解剖学ロ勺 位置に入 カするこ とにより ,3 次元手 関節解剖 学的モデ ル を 作 製し た 。応 力 計 算に は , 骨は 剛体,関 節軟骨お よび靭帯 はそれぞ れ圧縮バ ネ,仲張バ ネ と 仮 定 す る 剛 体 バ ネ モ デ ル ( RigidBodySpringMOdcl , 以 下 RBSM ) の理 諭 を用 い た 。実 際 の 関 節および 靭帯にお ける応力( F )は,一 定の荷重 条件下で の各要素 (剛体) の変位に基 づ き ,各 バ ネの 変 形 ( D )と ノ ヾネ 定 数 すな わ ち 関節 軟 骨お よ び 各靭 帯 の剛 性 値 ( K )の 積
( F = KD )によ り求めら れる。本 解析の荷 重条件は graspposltlon を 想定し,計 143N の外カを中 手骨に加えた。関節!|火骨および三角線維軟骨(以下, TFC )の剛性値は 22 .6N / rnrn とし,各 翻 |仔の剛 性値は, 従来より 報告され てきた実験 値を用い た。これ らのデ一夕をモデルに入カ し ,独自に 開発した 3 次元 RBSM 用ソ フトウェ アにて応力 計算を行 った。本研究では,( 1 )各関 節列における応力分布比( Pcrcenta 呂c0 ハ ointForccTransmission ,以下%JFT 冫,(2 )最大関節 圧( JointPCakPrCSSurC ,以下PP ),( 3 )籾帯張力比( PcrCcntageofTcnSileFOrCeDiStribution , 以 下 % TFD ),( 4 ) 各手根骨 の 3 次元的 kinematiCs ( 変位およ び回転) について の解析を 行っ た。
( 結 果) 各 関節 列 に おけ る % JFT は , 橈骨 手 根 関節 お よび TFC で は, 橈 骨舟 状 関 節で 44 %,
橈 骨月状関 節におい て31 %, TFC で 25 °/。であった。手根中央関節においては,舟状大菱形小
菱 形 関 節 で27% , 舟 状 有 頭 関 節 で は23% , 月 状 有 頭 関 節 に お い て34% , 三 角 有 鉤 関 節 で16% で あ っ た 。 橈 骨 手 根 関 節 に お け るPPは , 椀 骨 舟 状 関 節 で は3.8MPa, 桃 骨 月 状 関 節 に お い て は2. 7MPaで あ っ た 。 手 関 節 掌 側 お よ び 背 側 に お け る 各 翻 キ げ の %TFDはI掌 側 に お い て は 桃 骨 川 状翻'rtlll‑で最 大で26.0ワ。で あった 。背側で は 橈 骨三角靭 帯において最大で14. 8r70,舟状月 状 伽jけ で12.8% , 舟 状 三 角 靭 帯 に お いて10.7% で あっ た 。Grasp positionを 想 定 した 荷 重 条件 卜 に お け る 近 位 手 根 列 の 各 手 根 骨 の3次 元 的 変 位 は , 舟 状 骨 と 月 状 骨 で は 尺 側 / 掌 側 / 近 位 ルff|Jに変f、´し ていた。 しかしな がら, 匝JiI云方向に関しては舟状骨は掌屈を生じ,月状骨はャ〒
んffす るf頃 「f|Jを 認め た 。 逮位 手 根 列で は , 各手根 骨はほば 同様の 変位およ び回転傾 向を示 し,
f兜 側 / 牛n!0/近 他 方 向へ の 変 位傾 「 ^ 」を 認 め, 、回転方 向に関し ては背 屈する傾 向を認 めた。
( ち . 察 )Sh( )rtら は , 屍 体 実 験 に おい て , 橈骨 手 根 関節 お よ び 尺骨 手 根 裂隙 に お ける 応 力 分 nf比はf尭´f ̄1′J‖ 状f矧節で5()協,桃´iヨ′月状f斐亅節で29%,TFCにおいて21%と報告している。今匝I のL| !論『J′、J解析 により得 られた 結果は, 従来報告 されて きた実験 値と概 ね一致す るもの であっ た 。 ー ・ 方 ,Vicgasら の 実 験 よ り , 手 根 中 央 関 節 の 応 力 分 布 比 は , 舟 状 大 菱 形 小 菱 形 関 節 で 24% , 舟 状 行 頭 関 節 で は24%, 月 状 有 頭 関 節 に お い て320/0, 三 角 有 鋤 関 節 で20% で あ り , 本 り 「ラ・ モ縞|; 果とほ ぼ一致す るもの であった 。これら 過去の 実験データとの比較検討より,今回BH 発 し た3次元PI!綸n/ 、Jモ デ ルに よ る 応カ カ 年 析およ びその結 果は十 分に信頼 性のある ものと 考え ら オ1た 。翻 帯 のJJIx/J分イげにI斐 亅する解 析結果 において は,正常 手関節 の掌側で は椀骨)状靭jfF が , 背 側 で は 橈 骨 三 角j翻 帯 が カ 学 的 に 最 も 重 要 な 物 帯 で あ る と 考 え ら れ た 。 手 根 骨 の kincmatic¥sか ら 得 ら れ た デ ― 夕 で は , 舟 状 骨 と 月 状 骨 は 橈 骨 に 対 し て 尺 側 に 変 位 す る 傾 向 が あ る こ と がf川 ら か に な っ た 。 こ れ ら の デ ― 夕 と 橈 骨 月 状 靭 帯 お よ び 橈 骨 三 角 靭 帯 の 走 行 の 解 汁f的 特 徴 よ り , こ れ ら のJl功4け は 舟 状骨 お よ び月 状 骨 の尺 側 へ の 変位 を 防 く゛ 機 能 的役 割 を 担 フ て い る と 考 え ら れ た 。 手 根 骨 のkincmaticksに 凶 す る 実 験 的 研 究 は 多 く 行 わ れ て き た が , 一 定 の 荷m条 件 下 に お け るkincmaticsに 鬨 し て は , 実 験 手 技 上 の 困 難 さ も あ り 明 ら か で は な い 。 ホ ル f究 に お い て は ,3次 元 理 論 的 モ デ ル に よ り 日 常 動 作 に お い て 頻 回 に 行 わ れ るgrasp p sj Li( )nを 恕 定し た 荷 重条 件 下 での 手 根 骨の3次 元kincmatic.sの 傾向 を解 析する ことが可 能で あ っ た 。 本 解 析 結 果 よ り 近 位 手 根 列 に お い て は , 各 手 根 骨 は 尺 側 / 掌 側 / 近 位 方 向 に 変 位 し て し ゝ た が , 回 転 方 向 に 関 し て は 舟状 骨 は 掌屈 , 月 状骨 は 背 屈す る 傾 向 が認 め ら れた 。 こ れは , f1常 生 活 動 作 に お け る 荷 重 条 件 下 に お い て も 舟 状 骨 と 月 状 骨 はdorsal intcrcalatedsegmental in stabilityを き た す よ う な 条 件 下 に ある こ と を示 す も の と考 え ら れる 。 一 方, 遠 位 手根 列 に お け る 各 于 根 骨 は 変 位 , 回 転 と も 同 様 の 傾 向 を 示 し , 近 位 手 根 列 の 手 根 骨 の 変 位 方 向 と も 興 な る 縮 ` 采 で あ っ た 。 こ れ ら の 結 果 よ り , 遠 位 手 根 列 は 機 能 的 に も 近 位 手 根 列 と は 区 別 し た一 機 能I狙f立 と し て と ら え る こ と が 可 能 で あ る と 考 え ら れ た 。 本 研 究 は , 初 の3次 元 理 諭 的 モ デ ル をJIiい た 手 関 節 に お け る カ 学 的 解 析 で あ る 。 本 モ デ ル を 用 い る こ ど に よ り , 手 関 節 全 体 に お け る 関 節 お よ び 靭 帯 の 応 力 解 析 と 手 根 骨 のkincmaticsに つ い て の 解 析 を 同 時 に 行 う こ と が 可 能 で あ り , 従 来 の 実 験 的 研 究 に お け る 手 技 上 のfM限 を 克 服 す る こ と が 可 能 で あ っ た 。 さ ら に , 得 ら れ た 解 析 結 果 は 過 去 の 屍 体 実 験 の デ ― 夕 と も 良 く 相 関 し て お り , 正 常 手 関 節 に お け る 解 析 に お い て は 十 分 に 信 頼 性 の お け る も の と 考 え ら れ た 。 将 来 的 に は , 本 モ デ ル に 個 々 の 疾 患 に 鬨 す る デ 一 夕 を 入 カ す る こ と に よ り , 各 種 の 手 関 節 疾 患 に 対 す る 術 前 プ ラ ン ニ ン グ 等 に も 応川することが可能になるであろう。