• 検索結果がありません。

地域高齢者における低栄養の関連要因とその予防のための実践的手法に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "地域高齢者における低栄養の関連要因とその予防のための実践的手法に関する研究"

Copied!
65
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

地域高齢者における低栄養の関連要因とその予防の

ための実践的手法に関する研究

著者

三宅 基子

内容記述

学位授与大学: Osaka Prefecture University(大阪

府立大学), 学位の種類: 博士(保健学), 学位記番

号: 論保第4号, 学位授与年月日: 2012-03-31, 指

導教員: 高畑進一.

(2)

博士学位論文

地域高齢者における低栄養の関連要因と

その予防のための実践的手法に関する研究

大阪府立大学大学院

総合リハビリテーション学研究科

博士後期課程

(3)

目 次

要 約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 緒 言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 第 1 章 地域在住高齢者における低栄養に影響を及ぼす要因に 関する研究 第1節 血清アルブミン値と性,年齢との関連・・・・・・・・ 9 第2節 血清アルブミン値の加齢による影響・・・・・・・・・ 18 第2章 血清アルブミン値と住民基本健診受診回数との関連性に 関する研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 第3章 低栄養予防のための実践的手法に関する研究 第1節 運動を基軸とした健康講座の有用性について・・・・・・ 30 第2節 ゼリー状嚥下食品の至適 1 回嚥下量と年齢との関係・・ 42 文 献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53 謝 辞

(4)

要 約

高齢者の低栄養は,身体機能の低下から生活機能の低下へ結びつき,最終的 に廃疾・要介護状態に陥る一要因である. 地域在住高齢者は,本人が気づかぬ うちに慢性的な栄養失調からたんぱく質・エネルギー低栄養状態(PEM)に陥るケ ースが多いことから,低栄養の予防は高齢期の健康維持と健康寿命の延伸にと って極めて重要である. しかしながら高齢者の低栄養の実態に関する報告は少なく,報告されている ものでも,病院などの施設入居者に限定したものや,地域高齢者が対象でも対 象人数が少ないものや追跡年数が短期間のものなど,十分な研究が行われてい るとはいえない. そこで本研究では,地域高齢者の低栄養の現状を明らかにするために,7 年 間における H 市の基本健診受診者延べ 36,000 人の 65 歳以上高齢者を対象とし た大規模コホートによる横断的・縦断的分析を行った.分析に用いたデータは, H 市が実施した基本健診の結果から,高齢者の栄養状態の指標である血清アル ブミン値を用いた. 第 1 章第 1 節では,低栄養状態(Alb≦3.5g/dl)の発症率および血清アルブミ ン値と年齢との関係を横断的分析から明らかにした.対象者は延べ 36,837 名 (男性 12,429 名,女性 24,408 名)である. 低栄養状態の発症率は,60 歳代の男性は 0.7%,女性 0.2%であったが,70 歳代の男性 2.8%,女性 1.4%,80 歳代男性 8.8%,女性 7.2%,90 歳代の男性 は 19.0%,女性 11.1%と年齢が高いほど発症率が高くなった.さらに 7 年間の 調査年ごとに低栄養状態の発症率を検討した結果,年齢 65 歳~74 歳の群に比 べて 75 歳以上の群は,いずれの調査年も年齢の高い群で有意に発症率が高くな った. 次に,性別,年代別のアルブミン値を比較した結果,60 歳代の男性 4.30 g/dl, 女性 4.32 g/dl,70 歳代の男性 4.23 g/dl, 女性 4.25 g/dl, 80 歳代の男性 4.03

(5)

結果から,低栄養状態の発症率は年齢の高い者ほど高値を示し,アルブミン値 は年齢の高い者ほど低値となることが明らかとなった. 第 1 章第 2 節では,7 年間におけるアルブミン値の経年変化を縦断的分析に より明らかにした.対象者は,調査初年と調査最終年の健診を受診した同一対 象者 2,032 名(男性 628 名,女性 1,404 名)である. その結果,調査初年のアルブミン値は,男性 4.25 g/dl, 女性 4.30 g/dl で あったのが,調査最終年には男性 4.21 g/dl, 4.25 g/dl となり,男女ともに 7 年間で血清アルブミン値が統計的に有意に低下(P<0.001)することが明らかと なった.同一対象者におけるアルブミン値が 7 年間で低下したことから,アル ブミン値の低下に加齢が影響することが明らかとなった. 第 2 章では,年齢以外に栄養状態に影響を及ぼす関連要因を検討した.健康 行動のマーカーとして健診受診回数に着目し,7 年間の健診受診回数とアルブ ミン値との関係を明らかにした. その結果,7年間で1回しか健診を受診していなかった者のアルブミン値は, 男性 4.13 g/dl,女性 4.20 g/dl であり,毎年健診を受診していた者のアルブ ミン値は,男性 4.20 g/dl, 女性 4.24 g/dl となり,統計的に有意に高値を示 した. これらの結果から健診の受診回数が多い者は,高いアルブミン値を示した.こ の結果より,低栄養に関連する要因として健康行動の生活要因が関係している ことが示唆された. これらの低栄養状態の実態から,60 歳代の高齢者の中にも低栄養状態に陥っ ている人が存在すること.年齢が高くなるほど低栄養状態の発症率が上がるこ と.さらに加齢によってアルブミン値が低下することが明らかとなった. 加えて健診の受診回数といった健康行動が,アルブミン値の低下を抑制する 可能性が示唆された. 第 3 章では,低栄養予防に結びつく可能性のある日常生活における健康行動 に関する実践的方法について,次の 2 点に着目し検討を行った. ひとつめは、健康行動に結びつく高齢者の健康教室の検討を行った.日常的 な運動の定着と筋力向上を目指した一般的な健康教室の参加は,高齢者の日常 的な運動行動としての歩数増加だけでなく,日常生活における健康行動に対す

(6)

る意識や意欲の変化がうかがえたことから,一般的な健康教室への参加が健康 行動に結びつく可能性が示唆された. ふたつめは,食べることにつながる高齢者の生活習慣として,一口量の検討 を行った.一口で飲み込みやすい一口量と年齢との関連から,高齢者の方が若 年者より一口量が多いことが明らかとなったことから,高齢者が楽しく,気持 ちよく食事を行うためには,少し多めの一口量を食べさせる方がよいことが示 唆された. 第 2 章の結果から,高齢者の健康行動がアルブミン値の低下を抑制すること が明らかとなり,健康行動を促す健康教室や,喫食時の一口量への配慮が,低 栄養予防の実践的手法のひとつである可能性が示唆される. キーワード:コホート研究,血清アルブミン,低栄養,住民基本健康診査, 健康行動

Cohort study,Serum Albumin,malnutrition,health examination, healthy behaviors.

(7)

緒 言

戦 後 , わ が 国 は 食 糧 難 の 時 代 か ら 高 度 経 済 成 長 期 を 経 て , 欧 米 型 の 食 生 活 , 飽 食 の 時 代 へ と 変 貌 し , 豊 か な 生 活 を 築 き あ げ る と と も に , 世 界 一 の 長 寿 国 と な り , 2011 年 の 65 歳 以 上 高 齢 者 人 口 は 2980 万 人 , 総 人 口 に 占 め る 高 齢 者 の 割 合 は 23.3% と 過 去 最 高 と な っ た . し か し 一 方 で , 栄 養 の 過 剰 摂 取 , 運 動 不 足 , 喫 煙 , 飲 酒 な ど の 不 健 康 な 生 活 習 慣 を 起 因 と す る 動 脈 硬 化 性 疾 患 の 発 症 率 が 増 加 し , 疾 病 構 造 も 大 き く 変 化 し た . さ ら に 高 齢 者 人 口 の 増 加 に 伴 っ て , 介 護 が 必 要 な 高 齢 者 数 は , 平 成 12 年 の 218 万 人 か ら 平 成 20 年 約 452 万 人 と 増 加 傾 向 を 示 し て い る 1 こ の よ う な 背 景 か ら , わ が 国 で は い き い き と し た 高 齢 期 を 過 ご し 健 康 寿 命 の 延 伸 に 向 け た 健 康 増 進 施 策 の 取 り 組 み や 介 護 予 防 活 動 が 重 要 な 課 題 に な っ て い る 2 い か に 健 康 で 長 寿 を 実 現 す る か と い う 問 題 に つ い て , 不 老 長 寿 の 実 現 に 向 け た 理 論 的 実 践 的 な ア プ ロ ー チ に よ り , 健 康 で 豊 か な 高 齢 期 を 実 現 す る 方 法 の 研 究 が 世 界 的 に 行 わ れ て い る . 例 え ば 100 歳 以 上 の 長 寿 者 を 対 象 と し た サ ク セ ス フ ル ・ エ イ ジ ン グ の 研 究 か ら , 疾 病 が な く , 心 身 機 能 を 高 く 保 ち , 社 会 的 関 わ り が 活 発 な 高 齢 者 が 健 康 長 寿 を 可 能 に す る こ と 3.ま た ア ン チ エ イ ジ ン グ 医 学 研 究 で は , 老 化 の 過 程 を で き る だ け 遅 ら せ , そ れ に よ っ て 現 わ れ る さ ま ざ ま な 症 状 を 逆 行 さ せ る た め に さ ま ざ ま な 医 療 行 為 を 行 う 究 極 の 予 防 医 学 と し て の 研 究 が 進 め ら れ て い る 4 し か し 健 康 長 寿 の 実 現 の た め の 理 論 的 実 践 的 な 科 学 と し て の 取 組 み は ま だ 始 ま っ た ば か り で あ り , 健 康 長 寿 を 実 現 す る に は , こ れ ら の 基 礎 的 研 究 の 積 み 重 ね と , そ れ ら の 研 究 成 果 に 基 づ い た エ ビ デ ン ス ベ ー ス の 実 践 的 取 組 み が 不 可 欠 で あ る . 例 え ば , 健 康 長 寿 の 実 現 に 向 け た 健 康 増 進 施 策 は , 肥 満 , 脂 質 異 常 症 , 高 血 糖 , 高 血 圧 が 危 険 因 子 と な っ て 発 症 す る 動 脈 硬 化 , 脳 梗 塞 の

(8)

発 症 リ ス ク 軽 減 を 目 指 し た メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム 対 策 が 主 流 と な っ て い る . し か し な が ら 71 歳 以 上 の 高 齢 者 約 4000 人 を 4 年 間 追 跡 調 査 し , 生 活 機 能 障 害 の 程 度 と 冠 状 動 脈 硬 化 性 心 疾 患( CHD)に よ る 死 亡 の 相 対 危 険 率 を 算 出 し た Corti ら の 報 告 5 で は , 生 活 機 能 障 害 が な い 群 に 対 し て ,移 動 能 力 障 害 が あ る 群 の CHD に よ る 死 亡 危 険 率 は ,男 性 で 1.8 倍 , 女 性 で 2.2 倍 と な り , ま た , 日 常 生 活 動 作 能 力 に 障 害 が あ る 群 の CHD に よ る 死 亡 の 危 険 率 は 男 性 2.0 倍 , 女 性 2.6 倍 と な る こ と か ら , 高 齢 者 の 心 疾 患 は , 肥 満 や 高 コ レ ス テ ロ ー ル な ど の メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム の リ ス ク 要 因 よ り , む し ろ 身 体 機 能 の 老 化 に よ っ て 引 き 起 こ さ れ る . さ ら に こ の よ う な 身 体 機 能 の 老 化 は , 栄 養 状 態 に よ っ て 大 き く 左 右 さ れ , 高 齢 者 の 低 栄 養 状 態 は , 身 体 的 老 化 を 加 速 し 脆 弱 化 の 主 要 な 要 因 と な る 6 , 7 ま た 高 齢 者 に お い て は 低 コ レ ス テ ロ ー ル に お い て も 死 亡 率 が 高 く な る と 指 摘 さ れ て お り 8,動 脈 硬 化 ,脳 梗 塞 な ど の 生 活 習 慣 に 由 来 す る 病 態 を 予 防 す る メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム 対 策 に 主 眼 を 置 い た 現 在 の 健 康 増 進 施 策 は , 中 年 期 の 健 康 指 導 と し て 重 要 で は あ る も の の , 高 齢 期 に も 引 き 続 き メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム 対 策 に 重 点 を 置 い た 健 康 指 導 で は , 高 齢 者 の 低 栄 養 を 助 長 す る 可 能 性 が あ る . 人 間 の 生 存 に 必 要 な 栄 養 素 で あ る た ん ぱ く 質 と , 活 動 に 必 要 な エ ネ ル ギ ー が 不 足 し た 状 態 で あ る た ん ぱ く 質 ・ エ ネ ル ギ ー 低 栄 養 状 態 ( Protein Energy Malnutrition) は , 発 展 途 上 国 の 小 児 に 多 く み ら れ る 病 態 と し て 知 ら れ て い る . し か し 先 進 諸 国 に お い て 高 齢 者 の 低 栄 養 は , Corti ら の 報 告 に み ら れ る よ う に 重 大 な 健 康 障 害 を 引 き 起 こ す 要 因 と な り う る こ と か ら , 高 齢 者 の 低 栄 養 予 防 が 重 要 に な る . さ ら に 低 栄 養 を 発 症 し て い る 高 齢 者 は , 慢 性 期 病 床 に 入 院 中 の 高 齢 者 の 約 4 割 , 在 宅 療 養 中 の 高 齢 者 の 3 割 , 地 域 在 住 の 病 院 外 来 高 齢 者 は 約 1 割 , 自 立 高 齢 者 に も 1 割 程 度 , 低 栄 養 を 発 症 し て い る と 報 告 さ

(9)

地 域 高 齢 者 に お け る 低 栄 養 の 特 徴 は , 高 齢 者 自 身 が 気 づ か ぬ う ち に 慢 性 的 な 栄 養 失 調 か ら 低 栄 養 に 陥 る ケ ー ス が 多 く , 慢 性 的 な 低 栄 養 状 態 が , 筋 肉 減 少 , 運 動 量 や 活 動 量 の 低 下 を 引 き 起 こ し , さ ら に 栄 養 状 態 を 悪 化 さ せ る こ と に よ り , 徐 々 に 脆 弱 と な っ て 最 終 的 に 廃 疾 ・ 依 存 へ と 陥 る 1 0. そ し て 一 旦 低 栄 養 に 陥 っ た 高 齢 者 は , 免 疫 能 の 低 下 を 伴 っ て 感 染 症 を 引 き 起 こ し や す く し 1 1, 生 命 予 後 を 悪 化 1 2さ せ る こ と が 報 告 さ れ て い る . さ ら に 栄 養 状 態 の 指 標 で あ る 血 清 ア ル ブ ミ ン 濃 度 の 数 値 が 適 正 範 囲 内 で あ っ て も , 血 清 ア ル ブ ミ ン の 低 下 が 死 亡 リ ス ク 1 3 - 1 8, 心 臓 疾 患 1 9 , 2 0, 機 能 低 下 2 1 , 健 康 状 態 の 悪 化 2 2 と 関 連 す る . 高 齢 者 の 低 栄 養 は , 生 命 予 後 に 影 響 を 及 ぼ す だ け で な く , 心 身 機 能 の 低 下 か ら 生 活 機 能 の 低 下 へ と 結 び つ き , 最 終 的 に 廃 疾 ・ 要 介 護 状 態 に 陥 る こ と か ら , 低 栄 養 を 予 防 す る こ と が 高 齢 期 の 健 康 維 持 と 健 康 寿 命 の 延 伸 に と っ て 極 め て 重 要 で あ る . 地 域 在 住 高 齢 者 が 低 栄 養 に 陥 る 要 因 と し て , 食 欲 低 下 , 唾 液 分 泌 の 減 少 や 咀 嚼 能 力 の 低 下 ,味 覚・嗅 覚 機 能 の 低 下 ,消 化 吸 収 機 能 の 低 下 , 筋 肉 減 少 症 な ど に よ る 筋 力・筋 肉 量 の 低 下 な ど の 身 体 的 要 因 の 他 に も , 配 偶 者 の 死 に よ る 喪 失 感 や 孤 独 感 , う つ , 認 知 症 な ど の 心 理 的 要 因 , 収 入 の 減 少 に よ る 経 済 的 貧 困 , 独 居 , 居 住 地 域 の 特 性 , 調 理 や 買 い 物 な ど の 社 会 的 要 因 ,さ ら に は 脳 血 管 障 害 後 遺 症 に よ る 嚥 下 障 害 ,炎 症 , 悪 性 腫 瘍 , 慢 性 疾 患 , 薬 の 副 作 用 な ど に よ る 疾 病 要 因 な ど か ら 食 事 摂 取 量 が 低 下 す る こ と が 指 摘 さ れ て い る 2 3 , 2 4 , 1 1 , 1 2 そ の た め 地 域 高 齢 者 を 対 象 に 低 栄 養 予 防 の 取 組 み が 実 施 さ れ て い る . 栄 養 ア セ ス メ ン ト に よ る 低 栄 養 状 態 の ス ク リ ー ニ ン グ , 個 別 サ ー ビ ス 計 画 , 栄 養 相 談 , ア セ ス メ ン ト の 流 れ で 実 施 さ れ る と と も に 2 5, 地 域 高 齢 者 の 低 栄 養 予 防 に 関 す る 研 究 で は , 栄 養 介 入 に よ る 大 規 模 な プ ロ ジ ェ ク ト 2 6 や 運 動 と 栄 養 の 複 合 プ ロ グ ラ ム に よ る 試 験 的 取 り 組 み 2 7 に 関 す る 報 告 が な さ れ て い る . そ し て 健 康 な 一 般 高 齢 者 に は , ま ず 「 食 べ る こ と 」 の 意 義 の 普 及 ・ 啓 発 の 取 組 み と し て , 高 齢 者 に お け る 食 事 摂 取 量 低 下 の 原 因 を で き る

(10)

か ぎ り 軽 減 し , 日 常 的 な 食 事 摂 取 を 維 持 す る こ と が 重 要 で あ る と し て い る . 例 え ば , 欠 食 を 防 ぐ , 多 様 な 食 品 を 摂 取 す る , 嚥 下 ・ 咀 嚼 力 の 維 持 , 食 を 介 し た 社 会 活 動 へ の 参 加 , 運 動 や 余 暇 活 動 へ の 参 加 な ど 2 8 多 様 な 側 面 か ら の 取 り 組 み の 必 要 性 が 指 摘 さ れ て お り , 日 常 的 な 生 活 習 慣 を 基 盤 と す る 低 栄 養 予 防 の た め の 実 践 的 な 取 り 組 み に 関 す る 研 究 は 今 後 の 課 題 で あ る . そ こ で 本 研 究 は , ま ず 地 域 高 齢 者 に お け る 低 栄 養 の 実 態 と 低 栄 養 に 影 響 を 及 ぼ す 関 連 要 因 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し た . 加 え て そ の 予 防 に 関 す る 実 践 的 方 法 に つ い て 検 討 を 行 っ た . ま ず 第 1 章 で は , 7 年 間 約 3 万 人 の 住 民 基 本 健 康 診 査 の デ ー タ に 基 づ く 大 規 模 コ ホ ー ト に よ る 横 断 的 ・ 縦 断 的 分 析 か ら , 地 域 高 齢 者 の 低 栄 養 に 影 響 を 及 ぼ す 要 因 を 検 討 し た 結 果 を 報 告 す る . 第 1 節 で は , 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 と 年 齢 と の 関 連 に つ い て , そ の 横 断 的 分 析 か ら 地 域 在 住 高 齢 者 に お け る 低 栄 養 発 症 の 現 状 と , 年 齢 別 ・ 性 別 の 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 比 較 を 行 っ た . 第 2 節 で は , ア ル ブ ミ ン 値 の 縦 断 的 分 析 に よ り , 7 年 間 の 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 経 年 変 化 か ら 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 加 齢 に よ る 影 響 を 明 ら か に し た . 第 2 章 で は , 地 域 高 齢 者 の 低 栄 養 に 影 響 を 及 ぼ す 年 齢 以 外 の 要 因 と し て , 生 活 要 因 と の 関 連 に つ い て 検 討 を 行 っ た . 健 康 行 動 の マ ー カ ー と し て 基 本 健 康 診 査 の 受 診 回 数 を 用 い , 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 と 健 診 の 受 診 回 数 と の 関 係 を 明 ら か に し た . 第 3 章 で は , 低 栄 養 予 防 に 結 び つ く 可 能 性 が あ る 日 常 生 活 に お け る 健 康 行 動 の 実 践 的 方 法 に つ い て , 次 の 2 点 に 着 目 し た 。 ひ と つ め は ,健 康 行 動 に 結 び つ く 高 齢 者 の 健 康 教 室 の 検 討 を 行 っ た . 日 常 的 な 運 動 の 定 着 と 筋 力 向 上 を 目 指 し た 一 般 的 な 健 康 教 室 の 参 加 は , 高 齢 者 の 日 常 的 な 運 動 行 動 と し て の 歩 数 増 加 だ け で な く , 日 常 生 活 に お け る 健 康 行 動 に 対 す る 意 識 や 意 欲 の 変 化 が う か が え た こ と か ら , 一

(11)

量 の 検 討 を 行 っ た .一 口 で 飲 み 込 み や す い 一 口 量 と 年 齢 と の 関 連 か ら , 高 齢 者 の 方 が 若 年 者 よ り 一 口 量 が 多 い こ と が 明 ら か と な っ た こ と か ら , 高 齢 者 が 楽 し く , 気 持 ち よ く 食 事 を 行 う た め に は , 少 し 多 め の 一 口 量 を 食 べ さ せ る 方 が よ い こ と が 示 唆 さ れ た . 第 2 章 の 結 果 か ら , 高 齢 者 の 健 康 行 動 が ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 を 抑 制 す る こ と が 明 ら か と な り , 健 康 行 動 を 促 す 健 康 教 室 や 、 一 口 量 を 配 慮 し た 食 べ 方 が , 低 栄 養 予 防 の 実 践 的 手 法 の ひ と つ で あ る 可 能 性 が 示 唆 さ れ る .

(12)

第 1 章 地 域 在 住 高 齢 者 に お け る 低 栄 養 に 影 響 を 及 ぼ

す 要 因 に 関 す る 研 究

第 1 節 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 と 性 , 年 齢 と の 関 連

Ⅰ 緒 言

栄 養 状 態 は 高 齢 期 の 健 康 を 左 右 す る 要 因 で あ り , 人 間 の 栄 養 状 態 が 適 正 な 状 態 か ら 変 化 し , 欠 乏 状 態 へ 移 行 す る 過 程 に お い て , 血 液 や 尿 中 の 栄 養 素 の 低 下 と い う 生 化 学 的 変 化 に 続 い て , 身 体 計 測 値 の 変 化 と い う 生 理 学 的 変 化 が 起 こ る . そ し て 栄 養 面 に お け る 生 化 学 的 変 化 の 段 階 を ス ク リ ー ニ ン グ す る 指 標 と し て 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 が 一 般 的 に 用 い ら れ て い る 2 9 . 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 が 3.5 g/dl 以 下 の 状 態 を た ん ぱ く 質・エ ネ ル ギ ー 低 栄 養 状 態 と 定 義 さ れ る . 低 栄 養 は 表 出 す る 病 態 に よ っ て 3 区 分 さ れ て い る . 成 人 マ ラ ス ム ス 型 は , 摂 取 エ ネ ル ギ ー お よ び 摂 取 た ん ぱ く 質 の 低 下 し た 状 態 で あ り , 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 は あ ま り み ら れ な い の が 特 徴 で あ る . 成 人 ク ワ シ オ ル コ ル 型 は ,血 清 ア ル ブ ミ ン 値 が 3.5 g/dl の 低 ア ル ブ ミ ン 血 症 は み ら れ る が , 体 重 減 少 は み ら れ な い . ま た 低 ア ル ブ ミ ン 血 症 お よ び 体 重 減 少 の い ず れ も み ら れ る 場 合 を , マ ラ ス ム ス ・ ク ワ シ オ ル コ ル 型 と さ れ , 入 院 患 者 , 施 設 入 居 の 高 齢 者 に は , マ ラ ス ム ス ・ ク ワ シ オ ル コ ル 型 の 低 栄 養 が 多 く み ら れ る こ と が 報 告 さ れ て い る 3 0 - 3 2 し か し 施 設 内 で 生 活 し て い る 高 齢 者 だ け で な く , 地 域 在 住 で 自 立 生 活 を 送 っ て い る 高 齢 者 に お い て も ,ア ル ブ ミ ン 値 が 3.5 g/dl 以 下 の 低 栄 養 状 態 に 陥 っ て い る 現 状 が 報 告 さ れ て い る 3 3 - 3 5 地 域 高 齢 者 の 場 合 , 本 人 が 気 づ か ぬ う ち に ア ル ブ ミ ン 値 が 低 下 し て い く ケ ー ス が 多 く , ア ル ブ ミ ン 値 が 正 常 範 囲 内 で あ っ て も , そ の 低 下

(13)

る 低 栄 養 の 現 状 と , ア ル ブ ミ ン 値 に 影 響 を 及 ぼ す 要 因 を 明 ら か に す る こ と は 重 要 で あ る . そ こ で 本 章 で は , 住 民 基 本 健 康 診 査 デ ー タ を 用 い た 大 規 模 コ ホ ー ト に よ る 横 断 的 分 析 か ら , 地 域 高 齢 者 の 低 栄 養 発 症 の 現 状 お よ び 性 ・ 年 齢 と 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 と の 関 連 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し た .

Ⅱ 方 法

1 . 分 析 対 象 本 研 究 の 分 析 対 象 者 は ,2001 年 か ら 2007 年 に 羽 曳 野 市 が 実 施 し た 住 民 基 本 健 康 診 査 を 受 診 し た 65 歳 以 上 高 齢 者 で あ る . 7 年 間 に 住 民 基 本 健 診 を 受 診 し た 65 歳 以 上 高 齢 者 の 延 べ 41,367 人 (男 性 14,611 人 ,女 性 26,756 人 )が 本 研 究 の 分 析 対 象 で あ る .2005 年 の 羽 曳 野 市 在 住 の 65 歳 以 上 高 齢 者 は 22,825 人 で あ っ た の で , 本 研 究 の 分 析 対 象 者 は お よ そ 4 割 を 占 め る 大 規 模 コ ホ ー ト 研 究 で あ る . 分 析 に あ た り , 肝 臓 疾 患 の 疑 い が あ る と 考 え ら れ る 者 と し て , GOT ≧ 36,GPT≧ 39 の 数 値 を 示 し た 男 性 2,153 人 ,女 性 2,540 人 を 除 外 し , 最 終 分 析 対 象 者 を 36,674 人 (男 性 12,458 人 , 女 性 24,216 )と し た . 各 年 の 分 析 対 象 者 数 は 次 の と お り で あ る . 2001 年 3,742 人 , 2002 年 4,617 人 , 2003 年 5,622 人 , 2004 年 5,183 人 , 2005 年 5,286 人 , 2006 年 5,835 人 , 2007 年 6,389 人 で あ る . 本 研 究 を 実 施 す る に あ た っ て , 大 阪 府 立 大 学 研 究 倫 理 委 員 会 の 承 諾 を 得 て お り , 羽 曳 野 市 に よ っ て 収 集 さ れ た す べ て の デ ー タ は 大 阪 府 立 大 学 が 研 究 分 析 を 行 う 上 で 承 諾 さ れ て い る . 2 . 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 分 析 デ ー タ と し た 血 液 サ ン プ ル は , 羽 曳 野 市 指 定 の 住 民 基 本 健 康 診 査 を 実 施 し て い る 開 業 医 に よ っ て 採 取 さ れ , 分 析 の た め に 所 定 の ラ ボ へ 送 ら れ た . 測 定 結 果 は , 医 療 機 関 よ り 市 に 集 積 さ れ デ ー タ ベ ー ス 化

(14)

さ れ た も の を 本 研 究 の 分 析 に 用 い た . 3 . 統 計 解 析 統 計 解 析 は , 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 と 性 , 年 齢 と の 関 係 を 検 討 し た . 第 一 に ,血 清 ア ル ブ ミ ン 値 3.5 g/dl 以 下 の 低 栄 養 の 発 症 率 を ,性 別 , 年 齢 別 に 比 較 分 析 を 行 っ た . 第 二 に , ア ル ブ ミ ン 平 均 値 を 性 別 , 年 齢 別 に 横 断 的 に 比 較 を 行 う た め に , 一 元 配 置 分 散 分 析 に よ り 分 析 を 行 っ た . 統 計 解 析 は ウ ィ ン ド ウ ズ 版 S P S S 13.0J を 用 い て 行 っ た .

Ⅲ 結 果

1 . 性 別 , 年 齢 別 低 栄 養 (Alb≦ 3.5 g/dl) の 発 症 率 Figure1-1 は , 低 栄 養 の 発 症 率 を , 性 別 と 年 齢 を 5 歳 刻 み の 6 つ の 群 (65- 69 歳 , 70- 74 歳 , 75- 79 歳 , 80- 84 歳 , 85- 89 歳 , 90 歳 以 上 )に 分 け て 示 し た .65- 69 歳 の グ ル ー プ の 低 栄 養 発 症 率 は ,男 性 0.7%, 女 性 0.2%で あ っ た ,比 較 的 若 い 年 代 の 高 齢 者 に も 低 栄 養 を 発 症 し て い る 人 が 存 在 し た ,さ ら に 90 歳 以 上 で は ,男 性 19%,女 性 11% と ,年 齢 が 高 い 群 ほ ど ア ル ブ ミ ン 値 が 高 く な る 傾 向 を 示 し た .

(15)

Table 1-1 は ,低 栄 養 発 症 率 を 各 調 査 年 別 に ,性 別 と 年 齢 を 2 群( 65 - 74 歳 , 75 歳 以 上 ) で 比 較 し た . い ず れ の 調 査 年 で も 前 期 高 齢 者 に 比 べ 後 期 高 齢 者 の 発 症 率 は 高 く な っ て い る . 男 性 の 低 栄 養 発 症 率 は , 前 期 高 齢 者 で 0.30~ 1.30%の 範 囲 で あ る の に 対 し , 後 期 高 齢 者 は 0.79~ 9.85%と 高 い 発 症 率 を 示 し た , 女 性 の 場 合 も , 前 期 高 齢 者 は 0.08~ 0.73%の 範 囲 で あ る の に 対 し , 後 期 高 齢 者 は 0.93~ 5.38%の 発 症 率 を 示 し て い た . こ れ ら の 結 果 か ら , 65 歳 か ら 74 歳 の 比 較 的 若 い 年 代 で も 低 栄 養 状 態 に 陥 っ て い る 地 域 高 齢 者 が 存 在 し て い る こ と .さ ら に そ の 発 症 率 は , 高 齢 に な る ほ ど 高 く な る こ と が 明 ら か と な っ た . Age (year) 0 5 10 15 20 65-69 70-74 75-79 80-84 85-89 ≧90 Men Women

Figure 1-1 Prevalence of malnutrition by age groups and sex This figure shows percent distribution of malnutrition (Alb≦ 3.5 g/dl) differed from sex and six age groups .

(16)

Ta b le 1 -1 . P re v a le n c e o f m a ln u tr it io n (A L B ≦ 3 .5 g /d l) b y s e x a n d a g e g ro u p s a m o n g c o m m u n it y -d w e ll in g e ld e rl y a g e d 6 5 a n d o ld e r in e a c h y e a r fr o m 2 0 0 1 t o 2 0 0 7 S u b je ct s in e a ch w er e d iv id ed t w o a g e g ro u p s. Y ou n g -o ld : a g es 6 5 -7 4 y, O ld -o ld : a g es 7 5 y a n d o ld er .

(17)

3. 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 に お け る 性 別 ・ 年 代 別 の 比 較 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 を 性 別 ,年 齢 別 と の 関 係 か ら 明 ら か に す る た め に , 4 つ の 年 齢 群 で 血 清 ア ル ブ ミ ン 平 均 値 の 比 較 を 行 っ た . Table 1-2 は , 60 代 , 70 代 , 80 代 , 90 代 以 上 の 年 代 別 の 血 清 ア ル ブ ミ ン 平 均 値 を 示 し た . 男 性 の 場 合 , 60 歳 代 の ア ル ブ ミ ン 平 均 値 は 4.30±0.28 g/dl で あ っ た が , 90 歳 代 で は 3.76±0.33 g/dl と 統 計 的 に 有 意 に 低 い 値 を 示 し (p<0.001) , ま た 女 性 に お い て も 60 歳 代 の ア ル ブ ミ ン 平 均 値 は 4.32±0.27 g/dl で あ っ た が , 90 歳 代 で は 3.83±0.47 g/dl (p <0.001) で あ っ た . 男 女 と も に 年 齢 の 高 い 者 は ア ル ブ ミ ン 値 が 低 値 を 示 し た . mean S.D. 65-69 494 4.30 ± 0.28 70-79 561 4.23 ± 0.32 80-89 148 4.03 ± 0.47 ≧90 20 3.76 ± 0.33 Total 1,223 4.22 ± 0.34 r=-.271 65-69 1,052 4.32 ± 0.27 70-79 1,065 4.25 ± 0.28 80-89 347 4.10 ± 0.36 ≧90 55 3.83 ± 0.47 Total 2,519 4.25 ± 0.31 r=-.292 Correlation coefficient Age n Albumin value (g/dl)

Men

Women

***

***

***: p<0.001

Table 1-2. Comparison of albumin value (g/dl) by age groups among elderly aged 65 and older who participated in health examination in 2001

(18)

さ ら に 年 齢 群 を 細 か く 分 け て , ア ル ブ ミ ン 値 の 年 齢 別 , 性 別 の 比 較 を 行 っ た . Figure 1-2 は , 5 歳 刻 み の 6 つ の 年 齢 群 に お け る 血 清 ア ル ブ ミ ン 平 均 値 5 パ ー セ ン タ イ ル 値 ,50 パ ー セ ン タ イ ル 値 ,95 パ ー セ ン タ イ ル 値 を 比 較 し た も の で あ る .

Figure 1-2 Five, fifty and ninety five percentile serum albumin level by age groups: men (above) and women (bottom)

0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 65~69 70~74 75~79 80~84 85~89 90- 5percentile 50percentile 95percentile Age Women A lb u m in l e v e l (g /d l) Age 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 65~69 70~74 75~79 80~84 85~89 90- 5percentile 50percentile 95percentile Men A lb u m in l e v e l (g /d l)

(19)

5 パ ー セ ン タ イ ル ,50 パ ー セ ン タ イ ル ,95 パ ー セ ン タ イ ル 値 の い ず れ に お い て も , 年 齢 の 高 い グ ル ー プ ほ ど 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 は 低 値 を 示 し て い る . 特 に 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 5 パ ー セ ン タ イ ル の 低 値 で は , い ず れ の 年 齢 区 分 で も ア ル ブ ミ ン 値 4.0 g/dl を 下 回 る 低 値 を し め し て お り ,特 に 男 性 の 85- 89 歳 の 年 齢 区 分 で 3.5g/dl 以 下 を 示 す 低 い 値 を 示 し た . 90 歳 以 上 の 年 齢 群 で は , 男 性 , 女 性 と も に 3.5 g/dl 以 下 の 非 常 に 低 い 値 を 示 し た .

Ⅳ 考 察 お よ び 小 括

本 節 で は , 地 域 高 齢 者 に お け る 低 栄 養 の 現 状 と , 血 清 ア ル ブ ミ ン と 性 , 年 齢 と の 関 連 性 に つ い て 検 討 を 行 っ た . そ の 結 果 ,血 清 ア ル ブ ミ ン 値 が 3.5 g/dl 以 下 の 低 栄 養 状 態 を 発 症 し て い た 者 は , 65 歳 か ら 70 歳 代 前 半 の 比 較 的 若 い 年 齢 層 に も 低 栄 養 を 発 症 し て い る 者 が い る こ と が 明 ら か と な っ た . ま た 男 女 と も に 低 栄 養 の 発 症 率 は ,75 歳 以 上 の 後 期 高 齢 者 で ,前 期 高 齢 者 よ り 高 く , 年 齢 が 高 く な る ほ ど そ の 発 症 率 は 高 い こ と が 明 ら か と な っ た .加 え て 特 に 90 歳 以 上 の 超 高 齢 者 の 低 栄 養 発 症 率 は ,他 の 年 代 に 比 べ て 顕 著 で あ る こ と が 認 め ら れ た . 一 般 的 に 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 が 3.5 g/dl 以 下 で は ,た ん ぱ く 質 の 摂 取 不 足 や エ ネ ル ギ ー 摂 取 不 足 に よ っ て 骨 格 筋 が エ ネ ル ギ ー 源 と し て 消 費 さ れ , 骨 格 筋 の 減 少 か ら 身 体 機 能 の 低 下 を き た し , 日 常 生 活 の 自 立 度 が 低 く な る こ と が 知 ら れ て い る . 本 研 究 の 分 析 対 象 者 は , 健 康 診 査 の 受 診 が 可 能 な 自 立 生 活 を 送 っ て い る 高 齢 者 で あ り , そ の よ う な 地 域 在 住 高 齢 者 に お け る 低 栄 養 発 症 の 現 状 を 示 し た 結 果 は , 地 域 高 齢 者 の 低 栄 養 を 予 防 す る 観 点 か ら 貴 重 な デ ー タ を 示 し た . 特 に ,90 歳 以 上 の 超 高 齢 者 の 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 を 明 ら か に し た 研 究

(20)

報 告 は わ ず か し か な く 3 6 - 4 0, 今 後 , 平 均 寿 命 の 延 伸 と 高 齢 者 人 口 の 増 大 が 予 測 さ れ る 中 , 本 研 究 の 示 す デ ー タ は 長 寿 者 の 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 現 状 を 示 す 貴 重 な デ ー タ と い え る . さ ら に 本 研 究 で は 性 別 , 年 齢 別 の ア ル ブ ミ ン 平 均 値 を 示 し た . 男 性 の 場 合 , 60 歳 代 4.30 g/dl, 70 歳 代 4.23 g/dl, 80 歳 代 4.03 g/dl, 90 歳 代 3.76 g/dl, 女 性 の 場 合 , 60 歳 代 4.32g/dl, 70 歳 代 4.25 g/dl, 80 歳 代 4.10 g/dl, 90 歳 代 3.86 g/dl の 結 果 を 得 た . 現 在 , 介 護 予 防 に お け る 栄 養 指 導 の ス ク リ ー ニ ン グ に 用 い ら れ る 基 準 値 は ,年 齢 に 関 わ ら ず 一 律 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 3.5 g/dl が カ ッ ト オ フ 値 と し て 用 い ら れ て い る . し か し ア ル ブ ミ ン 値 が 正 常 範 囲 内 で あ っ て も , そ の 低 下 に よ っ て 死 亡 予 後 , 心 臓 疾 患 リ ス ク , 身 体 機 能 の 低 下 な ど の 将 来 の 健 康 悪 化 の 予 測 要 因 と な る 上 に , Corti ら 1 8 が , ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 が 生 活 機 能 の 低 下 に つ な が る こ と を 指 摘 し て い る こ と か ら , 高 齢 に な る ほ ど ア ル ブ ミ ン 値 が 低 値 を 示 し た こ と を ふ ま え る と , 地 域 高 齢 者 の 低 栄 養 予 防 に お け る 基 準 値 に つ い て , 年 齢 別 の 基 準 値 を 設 け る な ど の 検 討 が 必 要 で は な い か と 考 え る 4 1 以 上 , 本 節 に お い て , 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 と 性 , 年 齢 と の 関 連 性 を 分 析 し た 結 果 , 男 女 と も に 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 に 年 齢 が 関 係 し て い る こ と が 認 め ら れ た . 超 高 齢 者 に お け る 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 現 状 は , 地 域 に お い て 自 立 し た 生 活 を 送 っ て い る に も か か わ ら ず , 他 の 年 代 に 比 べ て 極 め て 低 値 を 示 し て い る こ と か ら , 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 に 及 ぼ す 加 齢 の 影 響 に つ い て 分 析 を 進 め て い く 必 要 が あ る .

(21)

第 2 節 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 加 齢 に よ る 影 響

Ⅰ 緒 言

第 1 節 に お い て , 地 域 高 齢 者 に お け る 低 栄 養 発 症 の 現 状 と 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 と 性 , 年 齢 と の 関 連 性 に つ い て 検 討 を 行 っ た . そ の 結 果 , 年 齢 が 高 い 群 に 低 栄 養 発 症 の 割 合 が 高 く , ア ル ブ ミ ン 値 が 低 値 を 示 す こ と か ら , 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 に 加 齢 が 影 響 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た . 先 行 研 究 で は ,80 歳 以 上 高 齢 者 の 低 栄 養 発 症 率 は ,他 の 年 齢 群 に 比 べ 非 常 に 高 い こ と , さ ら に 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 は 年 齢 が 高 い 群 ほ ど 低 値 を 示 す こ と が 報 告 さ れ て お り 3 6 - 3 8, 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 へ の 加 齢 の 影 響 に つ い て 検 討 す る こ と は , 高 齢 者 の 低 栄 養 を 早 期 に 発 見 し , 適 切 な ケ ア を 実 施 す る 上 で 重 要 で あ る . さ ら に 高 齢 者 に お け る 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 に 関 し て ,五 味 ら は , 約 6 万 人 の 地 域 在 住 の 65 歳 以 上 高 齢 者 を 対 象 に ,4 年 間 の 縦 断 研 究 か ら 加 齢 に 伴 う 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 を 示 唆 し て い る 4 1 さ ら に 柴 田 ら も 400 名 を 対 象 に 10 年 間 の 経 年 変 化 か ら 加 齢 に 伴 う ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 を 明 ら か に し て い る 4 2 こ れ ら の 研 究 結 果 は 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 へ の 加 齢 の 影 響 が 示 唆 さ れ て い る が , 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 に つ い て は , 栄 養 状 態 以 外 に も 肝 臓 の 合 成 能 , 漏 出 , 感 染 , 炎 症 な ど に よ っ て 影 響 を 受 け る こ と が 知 ら れ て い る . 特 に 炎 症 性 サ イ ト カ イ ン は , CRP な ど の 急 性 期 蛋 白 の 合 成 を 促 進 す る が , ア ル ブ ミ ン の 合 成 を 抑 制 し 分 解 を 促 進 す る 4 3. ま た 血 管 の 透 過 性 を 亢 進 さ せ ア ル ブ ミ ン が 血 管 外 に 漏 出 す る た め 4 4, 炎 症 が あ る と 急 激 に ア ル ブ ミ ン が 低 下 す る . さ ら に サ ル コ ペ ニ ア に よ る 筋 肉 量 と の 関 係 も 報 告 さ れ て お り 4 3 - 4 7 , 加 齢 に よ る 影 響 は , 未 だ 十 分 な 結 論 が 出 て い な い の が 現 状 で あ り , よ り 長 期 的 な 大 規 模 コ ホ ー ト に よ る 検 討 が 必 要 で あ る . そ こ で 本 節 で は ,地 域 在 住 65 歳 以 上 高 齢 者 の 7 年 間 の 住 民 基 本 健 康

(22)

診 査 受 診 者 の 大 規 模 コ ホ ー ト の デ ー タ に 基 づ い て , 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 と 加 齢 と の 関 係 に つ い て , 7 年 間 の 縦 断 分 析 か ら 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し た .

Ⅱ 方 法

1 . 分 析 対 象 本 章 第 1 節 と 同 様 , 2001 年 か ら 2007 年 に 市 が 実 施 し た 住 民 基 本 健 康 診 査 を 受 診 し た 65 歳 以 上 高 齢 者 で あ り , 分 析 対 象 者 は 延 べ 36,674 人 (男 性 12,458 人 , 女 性 24,216 人 )で あ る . そ の う ち 2001 年 と 2007 年 に 基 本 健 康 診 査 を 受 診 し た 2,032 名 と 7 年 間 に 毎 年 健 診 を 受 診 し て い た 766 名 を 最 終 分 析 対 象 者 と し た . 本 研 究 を 実 施 す る に あ た っ て , 大 阪 府 立 大 学 研 究 倫 理 委 員 会 の 承 諾 を 得 て お り , 羽 曳 野 市 に よ っ て 収 集 さ れ た す べ て の デ ー タ は 大 阪 府 立 大 学 が 研 究 分 析 を 行 う 上 で 承 諾 さ れ て い る . 2 . 血 清 ア ル ブ ミ ン 本 章 第 1 節 と 同 様 , 市 内 の 医 療 機 関 に お い て 採 取 さ れ , 所 定 の ラ ボ に よ っ て 分 析 が 行 わ れ , 最 終 的 に 市 に よ っ て デ ー タ ベ ー ス 化 さ れ た も の を 用 い た . 3 . 統 計 解 析 本 節 で は , 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 へ の 加 齢 に よ る 影 響 を 明 ら か に す る た め に , 7 年 間 に お け る 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 経 年 変 化 に つ い て 以 下 の 分 析 を 行 っ た . 最 初 に , 2001 年 と 2007 年 の ア ル ブ ミ ン 平 均 値 を 対 応 の あ るt 検 定 に よ っ て 比 較 分 析 を 行 っ た .さ ら に 2001 年 か ら 7 年 間 健 診 を 受 診 し た 者 の ア ル ブ ミ ン 値 経 年 変 化 を , 分 散 分 析 お よ び 線 形 回 帰 分 析 に よ り 解

(23)

Ⅲ 結 果

1. 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 7 年 間 の 変 化 Table 1-3 は , 2001 年 か ら 2007 年 の 7 年 間 に お け る ア ル ブ ミ ン 値 の 変 化 を 示 し た . 男 性 の 場 合 , 2001 年 の ア ル ブ ミ ン 平 均 値 は 4.25 ±0.25 g/dl で あ っ た が , 2007 年 に は 4.21±0.23 g/dl (p <0.001)に 低 下 し て い た . 女 性 も 4.30±0.23 g/dl か ら 4.25±0.22 g/dl (p<0.001)に ア ル ブ ミ ン 値 が 低 下 し て い た .7 年 間 の ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 か ら 7 年 間 の 低 下 率 は 男 性 で -0.95%, 女 性 で -1.2%で あ っ た . 2 . 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 7 年 間 の 経 年 変 化 Figure 1-3 は , 各 年 の 平 均 ア ル ブ ミ ン 値 と と も に 近 似 曲 線 で 7 年 間 の 経 年 変 化 を 示 し た . 7 年 間 で 男 女 と も に 緩 や か に ア ル ブ ミ ン 値 が 低 下 し て い る . さ ら に 2001 年 と 2007 年 の ア ル ブ ミ ン 平 均 値 を 比 較 し て み る と , 男 女 と も に 統 計 的 に 有 意 な 違 い が 認 め ら れ た (men:p<0.001, women:p<0.001)

Value are expressed as mean ±SD. ***: p<0.001compared with serum Table 1-3 Changes in albumin value over 7 years among aged 65 and older who participated in health examination in both 2001 and 2007

2001 2007 Men 628 4.25 ± 0.25 4.21 ± 0.23 *** -0.95% Women 1,404 4.30 ± 0.23 4.25 ± 0.22 *** -1.20% number of subjects albumin value(g/dl) % change in 7 years

(24)

Ⅳ 考 察 お よ び 小 括

本 節 で は ,地 域 在 住 高 齢 者 に お け る 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 へ の 加 齢 の 影 響 に つ い て ,7 年 間 の 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 経 年 変 化 か ら 明 ら か に し た . 7 年 間 の 縦 断 分 析 に よ っ て , 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 は 男 性 0.95%, 女 性 1.2% 低 下 す る こ と が 示 さ れ た .こ の こ と か ら 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 に 加 齢 が 影 響 す る こ と が 認 め ら れ た . こ の 結 果 に つ い て , 先 行 研 究 で は 5 年 間 の ア ル ブ ミ ン 減 少 率 は , 男 *** * * 4.15 4.20 4.25 4.30 4.35 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 Men Women A lb u m in le v e l (g /d l)

Figure 1-3 Changes of albumin level for seven years

The dotted line shows changes of mean albumin level in each year for seven years. The solid line shows approximate line of decreasing

albumin level for seven years. R2 was 0.522 of women and 0.134 of men by linear least-square method. *** P<0.001

(25)

先 行 研 究 よ り 少 な い 結 果 と な っ た . ま た 男 性 と 女 性 の ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 率 は , 本 研 究 で は 女 性 の 方 が 大 き い 結 果 を 示 し た . こ の こ と は 男 性 が 女 性 に 比 べ 筋 肉 量 が 多 く , 加 齢 に 伴 う た ん ぱ く 質 の 減 少 量 が 女 性 よ り も 少 な い こ と が 要 因 と 考 え ら れ る が , 先 行 研 究 で は 男 性 の 低 下 率 の 方 が 女 性 よ り も 大 き い と い う 結 果 が 報 告 さ れ て お り 3 8, 血 清 ア ル ブ ミ ン の 低 下 率 に つ い て , さ ら に 今 後 の 検 討 が 必 要 で あ る . 高 齢 者 に お け る 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 に 影 響 を 及 ぼ す 加 齢 の 影 響 に つ い て 検 討 を 行 っ た 本 研 究 の 強 み は , 地 域 在 住 高 齢 者 の 7 年 間 の 住 民 基 本 健 康 診 査 の デ ー タ に 基 づ い た 研 究 で あ り , 市 内 在 住 高 齢 者 の 約 半 数 を 占 め る 高 齢 者 の デ ー タ に 基 づ く 大 規 模 な コ ホ ー ト 研 究 で あ る . 地 域 在 住 高 齢 者 の 栄 養 状 態 を 示 す 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 7 年 間 の 経 年 変 化 を 示 し た 研 究 は こ れ ま で に な く 貴 重 な デ ー タ を 示 し た . し か し 一 方 で , 地 域 在 住 高 齢 者 の 生 活 環 境 は , 食 事 な ど の 栄 養 面 が コ ン ト ロ ー ル さ れ て い る 病 院 や 高 齢 者 施 設 な ど の 施 設 に 居 住 す る 高 齢 者 と 異 な っ て 、 食 生 活 環 境 は 個 々 に 大 き な 違 い が あ る . 本 研 究 で は 食 生 活 な ど 状 況 と の 関 連 に つ い て 分 析 を 行 っ て い な い た め , 今 後 は 食 事 状 況 を ふ ま え た 分 析 が 必 要 で あ ろ う . 地 域 高 齢 者 の 栄 養 状 態 で あ る 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 を 用 い た 本 研 究 の デ ー タ は , 地 域 高 齢 者 の 一 般 的 な 食 事 環 境 を 反 映 す る も の で あ り , 一 般 高 齢 者 の 現 状 を 反 映 し た も の と 考 え ら れ る . ま た 本 研 究 の デ ー タ は , 大 阪 の 郊 外 に 位 置 す る 羽 曳 野 市 在 住 の 高 齢 者 デ ー タ を 用 い た . 栄 養 状 態 は そ の 食 習 慣 に よ っ て も 異 な る こ と が 予 測 さ れ る . さ ら に 世 代 や 地 域 特 有 の 環 境 や 文 化 に 影 響 さ れ る た め , 市 内 , 過 疎 な ど 異 な っ た 環 境 エ リ ア の 分 析 が 求 め ら れ る . 以 上 、 本 節 に お い て 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 7 年 間 の 経 年 変 化 の 分 析 か ら , 男 女 と も に ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 が 認 め ら れ た こ と か ら , 加 齢 が 低 栄 養 状 態 に 影 響 す る 要 因 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た .

(26)

第 2 章 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 と 住 民 基 本 健 康 診 査 受 診 回

数 と の 関 連 性 に 関 す る 研 究

Ⅰ . 緒 言

前 章 に お い て , 地 域 在 住 高 齢 者 に お け る 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 と 年 齢 と の 関 連 性 に つ い て 検 討 を 行 な い , 加 齢 が ア ル ブ ミ ン 値 低 下 に 影 響 を 及 ぼ す 要 因 で あ る こ と 明 ら か と な っ た . つ ま り 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 は , 加 齢 に 伴 う 老 化 現 象 の ひ と つ で あ る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た . こ れ ま で の 疫 学 研 究 に お い て , 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 は , 日 常 生 活 機 能 の 低 下 な ど 高 齢 者 の 脆 弱 化 と の 関 連 性 が 指 摘 さ れ て い る 1 1 - 2 0 さ ら に 高 齢 者 の 栄 養 状 態 の 悪 化 は 老 化 を 加 速 さ せ る 6 - 7 こ と か ら ,地 域 保 健 福 祉 対 策 と し て 高 齢 者 の 低 栄 養 予 防 の 取 組 み が 実 践 さ れ て い る . 高 齢 者 を 対 象 と し た 地 域 保 健 福 祉 対 策 は , 健 康 増 進 , 疾 病 予 防 の 一 次 予 防 保 健 行 動 , 疾 病 の 早 期 発 見 を 目 的 と し た 二 次 予 防 保 健 行 動 が あ り , こ の よ う な 保 健 行 動 と 身 体 的 健 康 状 況 と の 関 連 が 知 ら れ て い る . 先 行 研 究 に お い て も , 住 民 基 本 健 康 診 査 の 受 診 が 良 好 な 健 康 状 態 の 維 持 と 死 亡 リ ス ク の 軽 減 と の 関 連 性 が 報 告 さ れ て い る 4 8 - 4 9 チ ョ ウ と チ ャ ン は , 5 年 間 の 縦 断 的 研 究 か ら , 台 湾 の 高 齢 者 に お け る 健 康 診 査 受 診 の 有 効 性 を 示 唆 し て お り 5 0, 前 田 ら も 地 域 在 住 高 齢 者 に お け る 死 亡 率 と 健 康 診 査 の 受 診 と の 関 連 性 か ら , 健 康 審 査 が 健 康 維 持 に と っ て 有 用 で あ る こ と を 明 ら か に し て い る 5 1 こ れ ら の 研 究 報 告 か ら , 基 本 健 康 診 査 の 定 期 的 な 受 診 が 健 康 を 維 持 す る 健 康 行 動 の マ ー カ ー に な り う る . さ ら に 福 永 ら 5 2は , 健 康 診 査 の 受 診 と 体 重 維 持 , 運 動 習 慣 と の 正 の 関 連 性 を 指 摘 し て い る こ と か ら , 定 期 的 な 健 康 診 査 の 受 診 者 は 日 常 的 に 健 康 へ の 意 識 が 高 く , 食 事 や 運 動 な ど , 自 ら の 健 康 維 持 の 具 体 的 な 健 康 行 動 を 行 っ て い る こ と が 予 測

(27)

を 示 す 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 と の 関 連 性 を 検 討 す る こ と に よ り , 加 齢 に 伴 う 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 低 下 を 抑 制 す る 健 康 行 動 と の 関 連 性 を 明 ら か に で き る の で は な い か と 考 え た . し か し な が ら 健 康 診 査 の 受 診 行 動 と 栄 養 状 態 の 指 標 で あ る 血 清 ア ル ブ ミ ン 濃 度 と の 関 連 に つ い て こ れ ま で 明 ら か に さ れ て い な い . そ こ で 本 章 で は , 健 康 診 査 の 受 診 回 数 を 健 康 行 動 の マ ー カ ー と し て 用 い ,65 歳 以 上 の 地 域 在 住 高 齢 者 に お け る 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 と 健 康 診 査 受 診 回 数 と の 関 連 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し た .

Ⅱ 方 法

1 . 分 析 対 象 第 1 章 と 同 様 ,2001 年 か ら 2007 年 に 羽 曳 野 市 が 実 施 し た 住 民 基 本 健 康 診 査 を 受 診 し た 65 歳 以 上 高 齢 者 を 分 析 対 象 と し た .そ れ ら の 対 象 者 か ら 2007 年 に 基 本 健 診 を 受 診 し た 者 の う ち ,2001 年 時 点 で 64 歳 以 下 に な る も の を 除 外 し ,最 終 分 析 対 象 者 数 は 男 性 1,177 人 ,女 性 2,420 人 と し た . 本 研 究 を 実 施 す る に あ た っ て ,大 阪 府 立 大 学 研 究 倫 理 委 員 会 の 承 諾 を 得 て お り , 羽 曳 野 市 に よ っ て 収 集 さ れ た す べ て の デ ー タ は 大 阪 府 立 大 学 が 研 究 分 析 を 行 う 上 で 承 諾 さ れ て い る . 2 . 血 清 ア ル ブ ミ ン 第 1 章 同 様 , 市 内 の 医 療 機 関 に お い て 採 取 さ れ , 所 定 の ラ ボ に よ っ て 分 析 が 行 わ れ , 最 終 的 に 市 に よ っ て デ ー タ ベ ー ス 化 さ れ た も の を 用 い た . 3 . 統 計 解 析 男 女 別 に 比 較 解 析 を 行 う た め に , す べ て の デ ー タ は 性 別 に よ っ て 分 類 し 分 析 を 行 っ た . 統 計 解 析 は ウ ィ ン ド ウ ズ 版 S P S S 13.0J を 用 い

(28)

て 行 っ た . 分 析 対 象 者 は , 7 年 間 で 何 回 基 本 健 診 を 受 診 し た か , そ の 受 診 回 数 別 に 分 類 を 行 っ た . つ ま り 7 年 間 で 1 回 し か 受 け な か っ た 者 か ら 毎 年 受 診 し た 者 の 7 グ ル ー プ に お い て 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 比 較 を 行 っ た . 受 診 回 数 と 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 と の 関 係 を 明 ら か に す る た め に , 受 診 回 数 と ア ル ブ ミ ン 値 を 分 散 分 析 に よ っ て 年 齢 を 調 整 し 分 析 を 行 っ た

Ⅲ 結 果

Table 2-1 は , 男 女 別 , 基 本 健 診 の 受 診 回 数 別 の 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 を 比 較 し た 結 果 を 示 し た . 7 年 間 で 毎 年 健 診 を 受 診 し て い た 対 象 者 の 血 清 ア ル ブ ミ ン 平 均 値 は , 男 性 で 4.22 g/dl, 女 性 で 4.24 g/dl で あ っ た . し か し 一 方 , 7 年 間 で 1 回 し か 健 診 を 受 診 し な か っ た 者 の ア ル ブ ミ ン 値 は 男 性 4.13 g/dl(p<0.001), 女 性 4.20 g/dl(p <0.001)で , 毎 年 受 診 し た も の と 比 較 す る と 統 計 的 に 低 値 を 示 し , 基 本 健 診 の 受 診 回 数 が 多 い 者 が 概 ね ア ル ブ ミ ン 値 が 高 く な る 傾 向 を 示 し た .

(29)

Figure2-1 は , 受 診 回 数 別 の ア ル ブ ミ ン 値 の 違 い を 図 で 示 し た も の で あ る . 7 年 間 に お け る 基 本 健 診 の 受 診 回 数 が 多 い 者 ほ ど , ア ル ブ ミ

ン 値 が 概 ね 高 値 を 示 す 傾 向 が 示 さ れ た . 近 似 曲 線 の R2値 は 男 性 で ,

R2=0.6524, 女 性 R2=0.6809 で あ り , 男 女 と も 定 期 的 な 受 診 回 数 と 血 清

ア ル ブ ミ ン 値 に 正 の 相 関 が あ る こ と が 明 ら か と な っ た .

Table 2-1 Comparing serum albumin level (g/dl) by number of health examination for seven years among elderly aged 65 and older

HE: Health exa mination . Calculated using the anal ysis of covariance, adj us ted for age in 2007 .**:p<0.01 . Subj ects were eli minated aged belo w 65 years old in 2001

(mean ± SD) Adjusted for age 1 110 78.9 ± 6.0 4.11 ± 0.24 4.13 2 119 77.4 ± 5.2 4.15 ± 0.23 4.16 3 143 76.1 ± 4.7 4.22 ± 0.24 4.21 4 174 76.5 ± 5.0 4.23 ± 0.24 4.22 5 165 76.8 ± 4.8 4.19 ± 0.23 4.19 6 170 77.0 ± 4.9 4.23 ± 0.23 4.26 7 296 76.2 ± 4.0 4.20 ± 0.23 4.22 1 186 78.8 ± 6.6 4.19 ± 0.24 4.20 2 200 78.1 ± 5.8 4.21 ± 0.25 4.22 3 250 77.4 ± 5.7 4.20 ± 0.25 4.20 4 281 78.4 ± 5.9 4.20 ± 0.24 4.21 5 335 77.5 ± 5.6 4.21 ± 0.25 4.22 6 456 77.3 ± 5.3 4.23 ± 0.23 4.23 7 712 76.3 ± 4.8 4.26 ± 0.24 4.24 Men Women Received numbers of HE for 7-y Number of subject Age (mean ± SD)

Serum albumin level (g/dl)

** *

** *

(30)

Ⅳ 考 察 お よ び 小 括

本 章 で は ,基 本 健 診 の 受 診 を 健 康 行 動 の マ ー カ ー と し て 用 い ,健 康 診 査 の 受 診 回 数 と 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 と の 関 連 性 を 明 ら か に す る も の で あ る . 本 研 究 の 結 果 , 男 女 と も に 基 本 健 診 を 定 期 的 に 受 診 し て い る 者 は , A lb u m in le v e l (g /d l)

Times of taking health examination

R² = 0.6809 R² = 0.6524 4.05 4.10 4.15 4.20 4.25 4.30

First Second Third Fourth Fifth Sixth Seventh

Figure 2-1 The association of serum albumin level and taking time of a health checkup for seven years

The thin line showed mean serum albumin level of men and women by difference times of taking a health checkup for seven year .

The thick line was approximate line of men (R2=0.6524) and of women (R2=0.6809). Serum albumin level showed higher as much as taking times of participation in a health checkup.

(31)

か と な っ た . こ の こ と か ら , 住 民 基 本 診 査 を 定 期 的 に 受 診 し て い る 健 康 行 動 を と っ て い る 者 は ,加 齢 に よ る ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 を 抑 制 す る と 考 え ら れ , 日 常 的 に 健 康 的 な 生 活 習 慣 が 低 栄 養 の 予 防 に な り う る 可 能 性 が 示 唆 さ れ る . 先 行 研 究 で は 健 診 受 診 が 高 齢 者 の 健 康 維 持 に 関 連 し て い る こ と が 示 唆 さ れ て お り 4 8 - 5 1, 定 期 的 な 健 診 受 診 者 は 死 亡 率 が 低 く な る と 報 告 し て い る . 中 西 は , イ ン タ ビ ュ ー 形 式 よ る 栄 養 状 態 , 障 害 の ス コ ア , 過 去 の 健 診 デ ー タ を 用 い て , 生 存 率 と ヘ ル ス サ ー ビ ス と の 明 ら か に し た . 彼 ら の 報 告 に よ れ ば , 毎 年 の 基 本 健 診 は よ り よ い 健 康 状 態 と 死 亡 率 の 減 少 の 促 進 す る 可 能 性 が あ る と 指 摘 し て い る 4 9 こ れ ら の 先 行 研 究 が 指 摘 し て い る よ う に , 加 齢 に 伴 う 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 は , 定 期 的 な 健 診 受 診 と い う 健 康 行 動 に よ っ て 抑 制 し て い る と 考 え ら れ る .つ ま り 地 域 高 齢 者 に お け る 低 栄 養 は ,健 康 へ の 意 識 , 健 康 的 な 生 活 習 慣 に よ っ て 予 防 で き る 可 能 性 が 示 唆 さ れ る . 本 研 究 は 7 年 間 の 住 民 基 本 健 康 診 査 の デ ー タ に 基 づ い た 地 域 在 住 高 齢 者 の コ ホ ー ト 研 究 で あ り , 分 析 対 象 者 は 地 域 で 自 立 し た 生 活 を 行 っ て い る 高 齢 者 で あ る . 健 康 診 査 を 7 年 間 毎 年 欠 か さ ず 受 診 し て い る 者 は , 少 な く と も 自 力 で 健 康 診 査 を 受 診 す る こ と が で き , 自 ら に 対 す る 健 康 意 識 が 高 い こ と は 容 易 に 推 察 で き る . 7 年 間 の 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 を 追 跡 す る 中 で , 健 康 意 識 の 高 い 者 ほ ど ア ル ブ ミ ン 値 は 高 値 を 示 し て い る こ と か ら , 日 常 的 な 健 康 行 動 に よ っ て 栄 養 状 態 の 悪 化 を 防 ぐ こ と が で き る 可 能 性 を 示 し た . 本 研 究 の 限 界 は 第 1 章 と 同 様 に , ま ず 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 と 食 習 慣 と の 関 係 に つ い て 分 析 を 行 っ て い な い た め , 今 後 の 食 習 慣 と の 関 連 性 を 明 ら か に す る 必 要 が あ る こ と . 次 に 大 阪 の 郊 外 に 位 置 す る 羽 曳 野 市 在 住 の 高 齢 者 の デ ー タ を 用 い て お り , 世 代 や 地 域 の 環 境 お よ び 文 化 に も 影 響 さ れ る こ と か ら 都 市 , 過 疎 な ど 様 々 な エ リ ア に お け る 研 究 が 求 め ら れ る .

(32)

し か し な が ら , 定 期 的 に 健 康 診 査 を 受 診 す る 日 常 的 で 継 続 的 な 健 康 行 動 が ,加 齢 に 伴 う ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 を 抑 制 し う る 可 能 性 が 示 さ れ , 健 康 的 な 生 活 習 慣 の 維 持 ・ 改 善 に よ っ て 低 栄 養 を 予 防 で き る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た .

(33)

第 3 章 低 栄 養 予 防 の た め の 実 践 的 手 法 に 関 す る 研 究

第 1 節 運 動 を 基 軸 と し た 健 康 講 座 の 有 用 性 に つ い て

Ⅰ . 緒 言

第 2 章 に お い て ,栄 養 状 態 の 指 標 で あ る 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 の 低 下 が , 日 常 的 な 健 康 行 動 に よ っ て 抑 制 で き る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た . つ ま り 健 康 的 な 生 活 習 慣 の 実 践 が 高 齢 期 の 低 栄 養 を 防 ぐ 手 立 て と な り う る . 第 3 章 で は , 低 栄 養 予 防 に 結 び つ く 可 能 性 が あ る 日 常 生 活 に お け る 健 康 行 動 の 実 践 的 方 法 に つ い て 着 目 し た . 第 1 節 で は 健 康 行 動 に 結 び つ く 高 齢 者 の 健 康 教 室 の 検 討 を 行 っ た . 日 常 的 な 運 動 の 定 着 と 筋 力 向 上 を 目 指 し た 一 般 的 な 健 康 教 室 の 参 加 が 健 康 行 動 に 結 び つ く 有 用 性 を 明 ら か に す る こ と と し た . 高 齢 者 の 運 動 実 践 者 は , 運 動 非 実 践 者 よ り エ ネ ル ギ ー 摂 取 量 が 多 い 5 3 , 5 4 , 7 8 こ と が 報 告 さ れ て い る . こ の こ と か ら 「 運 動 」 へ の 参 加 が 食 べ る こ と に 結 び つ く の で は な い か と 考 え ら れ る . さ ら に 高 齢 者 が 要 介 護 に 陥 る 脆 弱 化 の 概 念 で は , 低 栄 養 と サ ル コ ペ ニ ア に よ る 骨 格 筋 量 ( 筋 力 ) の 低 下 が 密 接 に 関 わ り な が ら 活 動 性 を 低 下 さ せ て い く こ と が 指 摘 さ れ て お り 5 5, 日 常 生 活 に お い て 活 動 性 を 向 上 さ せ た り , 筋 力 な ど の 体 力 向 上 が 低 栄 養 予 防 に 結 び つ く こ と も 考 え ら れ る . 高 齢 者 に お け る 運 動 へ の 参 加 は , 余 暇 活 動 と し て 身 体 活 動 に 参 加 し た り , 他 者 と の 関 わ り を 持 つ 社 会 的 活 動 に 積 極 的 に 参 加 す る こ と で 生 活 全 体 を 活 発 に し , QOL の 維 持 ・ 向 上 に と っ て 有 効 で あ る と 指 摘 さ れ て い る 5 6 - 6 1 高 齢 期 の 生 活 の 質 を い か に 維 持 し て 過 ご す か と い う 課 題 に つ い て , Havighurst5 6や Lemon5 7ら は ,活 動 レ ベ ル の 維 持 が QOL の 維 持・向 上 を

可 能 に す る と い う 基 礎 的 な 研 究 の 枠 組 み を 示 し て お り , 特 に 他 者 と の 関 わ り を 持 つ 社 会 的 活 動 5 8 - 6 1 や , 身 体 活 動 へ の 参 加 が 高 齢 期 の 生 活 に

(34)

よ い 影 響 を 及 ぼ す こ と が 報 告 さ れ て い る 6 2 , 6 3 さ ら に 中 等 度 の 運 動 は , 高 齢 者 の 機 能 低 下 と 慢 性 疾 患 の 発 症 予 防 な ど の 身 体 機 能 の 向 上 と と も に ,心 理 的 well-being や 6 4 - 6 8,抑 う つ を 低 減 す る 6 9な ど の 心 理 的 側 面 に も 効 果 が あ る 7 0 , 7 1 そ こ で 本 研 究 で は , 高 齢 者 を 対 象 と し た 運 動 を 基 軸 と し た 健 康 講 座 へ の 参 加 が , 参 加 者 の 体 力 レ ベ ル , 日 常 的 な 運 動 習 慣 , 日 常 生 活 の 過 ご し 方 や 意 識 な ど の 心 理 的 側 面 へ の 効 果 を 明 ら か に し , 運 動 を 基 軸 と し た 健 康 講 座 へ の 参 加 が 健 康 行 動 に 結 び つ く 有 用 性 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し た .

Ⅱ 方 法

1 . 対 象 2007 年 9 月 ~ 2008 年 9 月 ま で の 1 年 間 に , H 市 内 11 校 区 の 老 人 ク ラ ブ を 対 象 と し た 健 康 づ く り 講 座 の 参 加 者 で , 老 人 ク ラ ブ 会 員 で あ る 65 歳 以 上 の 高 齢 者 計 220 名 を 分 析 対 象 と し た . 平 均 年 齢 は 72 歳 ( 男 性 74 歳 , 女 性 71 歳 ) で あ っ た . 2 . 健 康 講 座 の 概 要 健 康 づ く り 講 座( 以 下 ,健 康 講 座 と い う )は 週 1 回 10 週 間 ,約 3 か 月 間 の 連 続 講 座 と し て 実 施 し , 運 動 の 大 切 さ や 運 動 方 法 な ど の 講 義 の 他 , 歩 行 能 力 , 下 肢 筋 力 , バ ラ ン ス 能 力 の 維 持 に 主 眼 を お い た 下 肢 筋 力 の 強 化( 主 に 腸 腰 筋 ,大 腿 四 頭 筋 ,中 殿 筋 ),ス ト レ ッ チ ン グ に よ る 下 肢 関 節 可 動 域 の 向 上 , 講 座 を 行 わ な い 日 に も 運 動 を 習 慣 化 し て も ら う た め に ウ ォ ー キ ン グ へ の 動 機 づ け を 行 う 取 組 み を 実 施 し た . 10 週 間 の 講 座 実 施 前 と 最 終 回 に 体 力 レ ベ ル を 評 価 す る た め 体 力 測 定 を 実 施 し た . ま た 講 座 実 施 前 後 に 調 査 用 紙 を 配 布 し , 主 観 的 健 康 観 や

(35)

さ ら に 講 座 期 間 中 の 日 常 的 な 運 動 習 慣 の 変 化 を 確 認 す る た め に , オ ム ロ ン 製 歩 数 計 (HJ133K)を 全 員 に 配 布 し 毎 日 装 着 し て も ら っ た . Figure3-1 は , 健 康 講 座 の 概 要 と 分 析 の 枠 組 み を 示 し た . 3 . 分 析 項 目 1 ) 体 力 レ ベ ル の 変 化 参 加 者 の 体 力 レ ベ ル の 変 化 は , 講 座 実 施 前 後 に 実 施 し た 体 力 測 定 の 結 果 を 用 い て 分 析 し た . 測 定 項 目 は , 厚 生 労 働 省 の 高 齢 者 向 け 体 力 測 定 の 次 の 6 項 目 と し た .

Figure 3-1 Study framework of 10 weeks balanc e training program for community dwelling elderly

The exercise program to prevent fall for senior club in H city 10 times once a week (3 month)

(1) Exercise to prevent fall (2) Lecture (3) Walking every day

Recording daily step counts at the class fo r 9 weeks by pedometer

Pre- exercise program Post-exercise program

exercisprogramprogram

● Measurements of physical fitness: strength, balance, and flexibility

● Questionnaire survey Self -reported health condition and physical function

● Measurements of physical fitness: strength, balance, and flexibility

● Questionnaire survey Self -reported change in physical condition and daily living

(36)

a. 開 眼 片 足 立 ち ( 静 的 バ ラ ン ス 能 力 )

b. フ ァ ン ク シ ョ ナ ル リ ー チ ( 動 的 バ ラ ン ス 能 力 ) c. 長 座 体 前 屈 ( 柔 軟 性 )

d. Timed Up & Go( 歩 行 能 力 ) e. 握 力 右 ・ 左 ( 筋 力 ) f. 最 大 一 歩 幅 ( 脚 筋 力 ) 2 ) 日 常 的 な 運 動 習 慣 の 変 化 講 座 期 間 中 に お け る 日 常 的 な 運 動 習 慣 の 変 化 は , 歩 数 計 の 歩 数 記 録 を 用 い た . 毎 日 の 歩 数 記 録 は , 参 加 者 全 員 に 1 週 間 分 の 歩 数 を 自 動 的 に 記 録 す る 歩 数 計 を 貸 与 し , 講 座 実 施 時 に 1 週 間 分 の 歩 数 を 記 録 し て も ら い , 週 ご と の 平 均 歩 数 を 算 出 し て 分 析 を 行 っ た . 分 析 対 象 は 9 週 間 の 歩 数 記 録 が す べ て 記 入 さ れ て い る 者 144 名 を 分 析 対 象 と し た . 3) 日 常 生 活 に 対 す る 主 観 的 ・ 客 観 的 変 化 日 常 生 活 に 対 す る 主 観 的 変 化 は , 講 座 終 了 時 に 配 布 し た 調 査 用 紙 に 記 入 を し て も ら い 回 収 を 行 っ た . 講 座 終 了 時 に 感 じ て い る 自 分 自 身 の 体 力 の 変 化 と 日 常 生 活 に お け る 変 化 を 「 食 事 を お い し く 感 じ る よ う に な っ た か 」 と い う 質 問 に 対 し て ,「 と て も 変 わ っ た 」「 少 し 変 わ っ た 」「 変 わ っ た 」 「 あ ま り 変 わ ら な か っ た 」「 ま っ た く 変 わ ら な い 」の い ず れ か で 回 答 し て も ら っ た . 日 常 生 活 に 対 す る 客 観 的 変 化 は , 講 座 開 始 前 と 終 了 時 の 調 査 用 紙 に お け る 生 活 満 足 度 に 関 す る 質 問 に 回 答 を し て も ら っ た . 生 活 満 足 度 の 質 問 項 目 は The Life Satisfaction Index Z7 2を 用 い た .

(37)

歩 数 を 計 算 し ,1 週 目 の 歩 数 を ベ ー ス ラ イ ン と し て ,ベ ー ス ラ イ ン と 2 週 目 以 降 の 各 週 ご と に 平 均 値 の 差 の 検 定 を 行 っ た . 生 活 満 足 度 は 実 施 前 と 実 施 後 の ス コ ア の 平 均 値 に つ い て 対 応 の あ るt 検 定 を 行 っ た . す べ て の 統 計 解 析 に は SPSS14.0 for Windows 版 を 使 用 し , 有 意 水 準 は 95%と し た .

Ⅲ 結 果

1 . 対 象 者 の 健 康 状 態 Table 3-1 は , 講 座 参 加 時 に お け る 参 加 者 の 主 観 的 な 健 康 状 態 を , Table3-2 は 日 常 動 作 に お け る 障 害 の 有 無 に つ い て 示 し た . 対 象 者 の 健 康 状 態 は 「 非 常 に 良 い 」「 ま あ ま あ 良 い 」「 良 い 」 と 回 答 し た 者 は 男 性 で 40.3% ,女 性 65.6% で あ っ た .ま た 日 常 生 活 動 作 に 対 し て 支 障 の 有 無 に つ い て は ,男 性 の 55.6% ,女 性 の 51.3% が 支 障 は な い と 回 答 し た . 男 女 と も に ほ ぼ 半 数 の 参 加 者 が 健 康 状 態 と 身 体 状 況 は 良 好 で あ っ た .

Table 3-1. Characteristics of Subjects: Health condition (%)

Excellent 2.8 % 8.4 % Fairly Good 16.7 % 34.5 % Good 20.8 % 22.7 % Fairly poor 52.8 % 27.7 % Very poor 5.6 % 6.7 % N/A 1.4 % 0.0 % Male n=72 Female n=119

(38)

2. 体 力 レ ベ ル の 変 化 Table 3-3 は , 講 座 実 施 前 と 実 施 後 の 体 力 テ ス ト 6 項 目 の 平 均 値 を 男 女 別 に 示 し た . 男 性 の 場 合 , バ ラ ン ス 能 力 の 指 標 と な る 開 眼 片 足 立 ち と フ ァ ン ク シ ョ ナ ル リ ー チ の 項 目 を 除 い た す べ て の 項 目 で , 測 定 結 果 が 向 上 し 統 計 的 に 有 意 な 差 が 認 め ら れ た . 女 性 の 場 合 も 長 座 体 前 屈 を 除 く す べ て の 項 目 で 講 座 実 施 前 後 に 有 意 な 差 が 認 め ら れ , 男 性 よ り 女 性 の 参 加 者 の 方 が , 全 体 的 に 体 力 レ ベ ル の 向 上 が 顕 著 で あ っ た .

Table 3-3. Differences in Physical Function at pre- and post- the balance training program

Mean SD Mean SD Mean SD Mean SD One-leg standing time

with eyes open (sec) 23.2 19.9 26.6 21.6 0.103 20.8 18.5 25.0 20.0 0.006 ** Functional reach (cm) 32.0 6.2 33.1 6.8 0.093 30.5 5.2 32.6 5.8 0.000 ***

Trunk flexion (cm) 27.8 9.6 29.1 9.3 0.151 * 33.5 9.6 34.1 9.0 0.360 Timed Up and Go (sec) 6.6 1.2 6.2 1.1 0.000 *** 6.4 1.0 6.2 1.0 0.000 ***

Right hand grip (kg) 30.9 6.3 32.7 7.5 0.000 *** 20.8 3.8 21.3 3.8 0.018 *

Left hand grip (kg) 30.0 5.9 31.5 7.0 0.002 ** 19.7 3.7 20.1 3.3 0.039 *

Maximum width of one-step (cm) 69.0 14.9 65.6 15.9 0.007 ** 63.9 13.8 59.2 12.8 0.000 *** p p Pre Post Pre Post Male (n= 70) Female (n= 109) Items of Physical Fitness Test

Table 3-2. Characteristics of Subjects: Physical Condit ion (%)

Not impaired 55.6 % 51.3 % Mildly impaired 36.1 % 34.5 % Moderately impaired 6.9 % 10.9 % Impaired 0.0 % 0.8 % N/A 1.4 % 2.5 % n=72 n=119 Male Female

(39)

3 . 週 平 均 歩 数 の 変 化 講 座 実 施 期 間 中 の 週 平 均 歩 数 の 変 化 の 結 果 を , Table3-4 に 示 し た . ベ ー ス ラ イ ン の 平 均 歩 数 は 男 性 5643 歩 , 女 性 5858 歩 で あ っ た . 週 ご と の 平 均 歩 数 は 週 を 重 ね る ご と に わ ず か ず つ 増 加 し た . ベ ー ス ラ イ ン と 比 較 し て 最 も 歩 数 が 増 加 し た の は ,男 性 で は 8 週 目 で 7194 歩 ,女 性 で 7 週 目 7280 歩 で あ っ た .各 週 と も ベ ー ス ラ イ ン に 比 べ 統 計 的 に 有 意 に 歩 数 が 増 加 し て い る が ,10 週 間 に 増 加 し た 歩 数 は ,男 女 と も に ほ ぼ 1000 歩 程 度 の 増 加 で あ っ た .歩 数 計 の 携 帯 に よ っ て ,日 常 的 な 運 動 行 動 に 変 化 が み ら れ た .

Table 3-4 Variation of the mean steps count during the 10 week program

n Mean SD Difference in baseline n Mean SD Difference in baseline Baseline 56 5643 2650 88 5858 2575 week2 56 6627 2634 984 *** 88 6584 2882 725 *** week3 56 6419 2899 776 ** 88 6651 2988 792 *** week4 56 6381 2865 738 ** 88 6459 3028 636 ** week5 56 6679 2914 1036 *** 88 6982 2776 1123 *** week6 56 6637 2858 993 ** 87 7006 2824 1130 *** week7 56 6963 3037 1319 *** 88 7280 2658 1421 *** week8 54 7194 3026 1518 *** 87 6891 2730 992 *** week9 44 6807 2824 872 ** 61 7020 2729 1024 ** Male Female P value: *<.05 **< .01 ***< .001

Table 1-1 は ,低 栄 養 発 症 率 を 各 調 査 年 別 に ,性 別 と 年 齢 を 2 群( 65 - 74 歳 , 75 歳 以 上 ) で 比 較 し た .   い ず れ の 調 査 年 で も 前 期 高 齢 者 に 比 べ 後 期 高 齢 者 の 発 症 率 は 高 く な っ て い る . 男 性 の 低 栄 養 発 症 率 は , 前 期 高 齢 者 で 0.30~ 1.30%の 範 囲 で あ る の に 対 し , 後 期 高 齢 者 は 0.79~ 9.85%と
Table 1-2 .   Comparison of albumin value (g/dl) by age groups among  elderly aged 65 and older who participated in health examination in  2001
Figure 1-2    Five, fifty and ninety five percentile serum  albumin  level by age groups: men (above) and women (bottom)
Figure 1-3 Changes of albumin level for seven years
+7

参照

Outline

関連したドキュメント

The quality of two lifestyle medicines – omeprazole and pioglitazone – was examined in samples collected during surveys in Cambodia and Myanmar, and in addition a study of the

This study examined a criterion for screening high fall risk elderly based on 13. the

Information gathering from the mothers by the students was a basic learning tool for their future partaking in community health promotion activity. To be able to conduct

To confirm the relationship between the fall risk assess- ment items and risk factors assumed in this study (to sta- tistically confirm component items of each risk factor),

(2011a) Examination of validity of fall risk assessment items for screening high fall risk elderly among the healthy community-dwelling Japanese population. (2011b) Setting

成績 在宅高齢者の生活満足度の特徴を検討した結果,身体的健康に関する満足度において顕著

Amount of Remuneration, etc. The Company does not pay to Directors who concurrently serve as Executive Officer the remuneration paid to Directors. Therefore, “Number of Persons”

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を