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2019 Microbes and Environments論文賞選考結果のお知らせ

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Academic year: 2021

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2019 Microbes and Environments 論文賞選考結果のお知らせ

2019 M&E 論文賞選考委員長

布浦 拓郎

論文賞選考委員:布浦拓郎(選考委員長,JAMSTEC,JSE/JSME),鈴木志野(JAMSTEC,JSME),吉田奈央子(名 古屋工大,JSME),大塚重人(東京大,JSSM/JSME),清水将文(岐阜大学,JSSM),佐伯和彦(奈良女子大, JSPMI),佐藤修正 *(東北大,JSPMI),八波利恵(東京工大,JSE) 所属学会・研究会を考慮し,計8 名の委員(審査委員長含む)を選出した。 * 最終選考においては,最終候補論文のうち一報が佐藤委員執筆論文であった為,九町健一(鹿児島大)が, JSPMI 代表として参加した。

選考対象論文:2019 年に Microbes and Environments に掲載された総説等を除く 54 報のオリジナル論文 選考経過: 選考委員会組織(2020 年 3 月 11 日) 1 次選考(3 月 12 日~ 6 月 10 日) 2 次選考(6 月 11 日~ 7 月 3 日) 最終選考Zoom 会議 7 月 16 日 論文賞受賞論文ならびに著者

Antimicrobial Activities of Cysteine-rich Peptides Specific to Bacteriocytes of the Pea Aphid Acyrthosiphon pisum Nahoko Uchi, Mitsutaka Fukudome, Narumi Nozaki, Miyuzu Suzuki, Ken-ichi Osuki, Shuji Shigenobu, Toshiki Uchiumi

Microbes and Environments 34(2), 155–160 (2019). 論文賞授与理由 細胞内に細菌を共生させる生物にとって,暴走的な増殖の抑制を含む細菌機能の制御は,共生の維持に欠 かせない機能である。一部のマメ科植物は根粒特異的に発現するシステインに富んだNCR(Nodule-specific Cysteine-Rich)ペプチドを用いて根粒菌を制御することが知られている。しかし,その仕組みの解明は端緒 についたばかりであり,殆どの共生系における宿主による細菌制御機構は依然として不明である。 アブラムシ-ブフネラ(Buchnera)属細菌の共生系は,ブフネラが世界で初めて全ゲノム解析された共生 菌として知られる(日本の研究グループによる!)等,昆虫における代表的な相利共生系として知られる。 アブラムシは,消化管の近くにある菌細胞にブフネラを収納し,また,ブフネラはゲノムが著しく退縮し, 自由生活能を失っている。本論文では,エンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon pisum)のゲノムにコー ドされ菌細胞でのみ発現するシステインに富んだBCR(Bacteriocyte-specific Cysteine-Rich)ペプチド 7 種の うち6 種を人工合成し,ブフネラと同様に Gammaproteobacteria に属す大腸菌ならびに Alphaproteobacteria に属するアルファルファ根粒菌(Sinorhizobium meliloti)に及ぼす効果を調べた。その結果,BCR ペプチド のうち4 種は大腸菌に対して抗菌効果を示し,うち 3 種はアルファルファ根粒菌に対しても抗菌効果を示し た。また,抗菌効果を示さないものも含めて,細胞の長大化や膜透過性の増大効果を示した。さらに,BCR ペプチド4 種の過半は,NCR ペプチドに対する抵抗性に関与する膜タンパク質遺伝子(sbmA/bacA)を欠い た大腸菌とアルファルファ根粒菌の変異株に対して,より強い抗菌効果を示した。これらは,動物であるア ブラムシが,マメ科植物と同様,抗菌作用を持つシステインに富んだペプチドを細胞内共生細菌の制御に用

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49 いている可能性を支持する。 アブラムシ-ブフネラ共生におけるBCR ペプチドの役割を解明するためには,さらなる研究が必要では ある。しかしながら,動物(昆虫)であるアブラムシと植物が,細胞内共生細菌の制御に(しかも,細菌自 体の自由生活能の有無に関わらず!)類似の機能を持つペプチドを用いている可能性を実験的に示した本論 文は,生物間相互作用の統合的な理解への扉を開くエキサイティングな仕事である。他の共生系においても, 平行進化により,類似の仕組みが存在するのか,また,それであるなら,どのようにして,この仕組みを獲 得するのか,今後の著者らの研究だけでなく,関連する研究の進展が待ち遠しい。 選考委員会で挙げられた優秀論文について 本審査において,8 名の選考委員が MVP とほぼ同等に評価した論文を「審査員特別賞」として,また,

その他の印象深い論文について「2019 Microbes and Environments 論文賞選考委員会選出優秀論文」として顕

彰致します。

「選考委員会特別賞」(鈴木・佐藤・吉田・布浦委員推薦)

PolB, a Family B DNA polymerase, in Thermococcus kodakarensis is important for DNA repair, but not DNA replication

Takashi Kushida, Issay Narumi, Sonoko Ishino, Yoshizumi Ishino, Shinsuke Fujiwara, Tadayuki Imanaka, Hiroki Higashibata

Microbes and Environments 34(3), 316–326 (2019).

本論文では,Thermococcus kodakarensis が有す 2 つの DNA ポリメラーゼ PolB と PolD のうち,真核生物

におけるDNA 複製に関与する DNA ポリメラーゼと同じファミリーに属す PolB に着目した。そして,遺伝

子破壊株の構築とPolB プラスミドでの相補実験により,極めて丁寧な機能解析を行なったものである。そ

の結果,PolB は,PolD とは異なり,DNA 複製には関与しないが,DNA 修復において主要な役割を果たす

ことを明確に示した。 ゲノムがコードする遺伝子の機能推定(アノテーション)から生命機能が語られることが多い昨今,個々 の遺伝子のもつ新規機能同定の波及効果は計り知れない。この現象はDNA 損傷を多く受ける高熱環境適応 として考察されているが,生物全体におけるDNA ポリメラーゼの進化を考える上でも重要な成果である。 また,ユーカリオートはアーキアを宿主とし,バクテリアを共生させることで進化したとされるが,その逆 にならなかったのは,このように洗練された遺伝システムをアーキアが進化させたことに起因したのかもし れない・・・。 本論文の特筆すべき点は,何と言っても圧倒的な完成度であり,あらためて,科学研究とは可能な限り確 固たるデータに基づき語られるべきものであることを再認識させられる論文である。多くの微生物生態研究, 環境微生物研究において,この論文のレベルまでの実験系構築は容易ではない(時に不可能である)が,論 理的で緻密な実験設計は,学生,若手研究者のまさにお手本となる論文であり,本論文が学会誌である本誌 において掲載されたことは極めて意義深い。

「2019 Microbes and Environments 論文賞選考委員会選出優秀論文」 (清水委員推薦)

Burkholderia and Paraburkholderia are predominant soybean rhizobial genera in Venezuelan soils in different climatic

and topographical regions.

María Daniela Artigas Ramírez, Mingrelia España, Claudia Aguirre, Katsuhiro Kojima, Naoko Ohkama-Ohtsu, Hitoshi Sekimoto, Tadashi Yokoyama

Microbes and Environments 34(1), 43–58.

本論文の筆者らはベネズエラ各地の土壌で栽培したダイズから多数の根粒菌を分離し,その分子系統学 的位置や共生関連遺伝子(根粒形成遺伝子,窒素固定遺伝子)などについて詳細な解析を行った。一般に

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根粒菌は宿主特異性が高く,ダイズにはBradyrhizobium japonicum や B. elkanii,Rhizobium fredii など一部

の種のみが共生できるといわれている。ところが,本研究の結果から,これらの細菌とは遠縁な(Para-) Burkholderia 属がダイズ根粒菌としてベネズエラの土壌に広く分布していることが明らかとなった。さらに, これらの(Para-)Burkholderia 属菌株は,既知のダイズ根粒菌から水平伝搬したと思われる共生関連遺伝子を 持つことも明らかとなった。同属別種間での共生関連遺伝子の水平伝搬は既に報告されているが,遠縁な細 菌間でも同様の水平伝搬が起こることで,その土地に適応した新しい根粒菌が本当に生まれているのであれ ば極めて興味深い。なぜ,多様な細菌群の中で(Para-)Burkholderia 属に共生関連遺伝子が水平伝搬したのか? 共生関連遺伝子の水平伝搬は偶発的なイベントなのか?など,本論文を読むと,次々と新しい疑問が湧いて くる。筆者らの今後の研究の発展に大いに期待したい。 (大塚・佐伯・清水委員推薦)

Impact of introduction of arbuscular mycorrhizal fungi on the root microbial community in agricultural fields.

Turgut Yigit Akyol, Rieko Niwa, Hideki Hirakawa, Hayato Maruyama, Takumi Sato, Takae Suzuki, Ayako Fukunaga, Takashi Sato, Shigenobu Yoshida, Keitaro Tawaraya, Masanori Saito, Tatsuhiro Ezawa, Shusei Sato

Microbes and Environments 34(1), 23–32.

本論文研究は,6 つの開放系圃場において,それぞれ異なるリン施肥条件のもとネギを栽培し,市販の AM 菌根菌の接種がネギ根圏の土着細菌および真菌の群集構造に与える影響を,土壌 DNA の PCR アンプ リコン塩基配列をハイスループット解析することにより詳細に明らかにしたものである。AM 菌根菌は宿主 (本研究ではネギ)に土壌中からリンを供給する働きをするため,異なるリン施肥条件を設定したところに, AM 菌根菌とネギのリンをめぐる生存戦略に関する筆者らの興味が見て取れるが,さらに筆者らは,ネギ根 圏の「その他の」微生物との相互作用に目を向けており,先人たちの考察の及ばなかった領域に足を踏み入 れている。戦略的な実験デザインのもと,得られた膨大なデータを数理的に処理することにより,接種され たAM 菌がネギ根圏の微生物群集構造に影響を与えることを明らかにし,また AM 菌に有益と思われる特 定の細菌群を選択的に活性化し,AM 菌による植物育生効果をさらに高めている可能性を示している。この ように,本論文は学術的に重要な知見をもたらすものであるが,同時に応用的な目標を見据えていることも 明確である。バイオ肥料の利用は,2015 年に国連サミットにおいて,2016 年から 2030 年までの国際目標と

して採択されたSustainable Development Goals(SGDs,持続的な開発目標)の実現のための重要な鍵の一つ

と考えられている。AM 菌の利用はバイオ肥料の最有力候補であり,本論文は,実際の農地と同様の開放系

土壌を実験の場としたことで,将来のより効果的なAM 菌利用への一つのアプローチを示したとも言える

だろう。

(吉田・八波委員推薦)

An aggregation-defective mutant of Methanothermobacter sp. CaT2 reveals unique protein-dependent aggregation Kana Sumikawa, Tomoyuki Kosaka, Noriaki Mayahara, Minenosuke Matsutani, Koichi Udo, Mamoru Yamada

本論文は凝集性を有する好熱性メタン生成アーキアMethanothermobacter sp. CaT2 株の凝集機能が,これ まで着目されていなかった膜結合タンパク質によって生じることを示した論文である。メタン生成アーキア の凝集性はメタン発酵リアクターの要となるグラニュール形成に重要である。中温性のメタン生成アーキア の凝集機構として菌体外DNA,多糖類,線毛が明らかにされてきた一方,高温性メタン生成アーキアの凝 集機構についてはほとんど報告がなかった。このような中,本論文ではMethanothermobacter sp. CaT2 株に ついて凝集能をもたない変異株を作製し,この変異株が膜結合タンパク質MTCT_1020 コード領域に変異を もつことを示した。既報の常識に捉われず,嫌気性で且つ過去に変異株の作製の例のない微生物の変異株の 作製に挑まれ,機能未知の細胞表層タンパク質が凝集性に関わることを突き止められた探求心に溢れる論文 である。また本論文ではMTCR-1020 ホモログがメタン生成グラニュールで頻出されるメタン生成アーキア やバクテリアにも広く分布することを明らかにしており,他の微生物研究に広く波及することが期待される。

参照

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本研究成果は、9 月 14 日付の「 Journal of the American Chemical Society 」にオンライ ン掲載され、Supplementary Cover に選出された。.

対策分類 対策項目 選択肢 回答 実施計画

1989 年に市民社会組織の設立が開始、2017 年は 54,000 の組織が教会を背景としたいくつ かの強力な組織が活動している。資金構成:公共