鑑賞者の感覚が作りだす美術作品に関する諸考察
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(2) させてきたと言える。また、美術作品の形式や. ト型の作品やキュレーションについて述べる。. 主題の変化の背後には、それを支える社会情勢. 国際展は、様々な問題や危険性をはらみつつ、. や技術の進歩が存在している。それらも含めて. 鑑賞のかたちの新しい可能性を見ることができ. 現在に至る美術活動の動向を見ていきたい。. る。そしてまた、鑑賞者が主体的に作品の成立. 20世紀にはいると、作者自身の感情や精神を. に関与することについて、そのような変化が及. 激しく表出しようとする芸術の傾向がみられ、. ぼす影響について考えたい。鑑賞者の意識や感. 鑑賞者を置き去りにして分岐し発展し展開して. 覚に拠った作品表現は、鑑賞者による作品の自. いったような印象がある。しかし、作品の可視. 由な見方、感じ方を容認するということである。. 的な要素を通して、観客の不可視的な意識の変. しかし、視覚以外の感覚からも受け取る情報の. 化を喚起させようとする作者の試みによって、. 多さ、複雑さは、作者の意図を掴むことを難し. 作品の成立条件として鑑賞者が位置づけら札、. くさせている。作品の「面白さ」イコール「分. その存在感を強めることになる。「作者の意識や. かりやすさ」として捉えられてしまうようにな. 思考を媒介するもの」として捉えられ、多様な. れぱ、それは美的体験ではなく、ユンターティ. 表現方法によって制作されてきた美術作品は、. メントの一環に過ぎなくなるのではないだろう. 視覚だけでなく他の感覚も併せて総合的に認識. か。このようなr体験するもの」としての作品. される、美的体験としての空間形成へと変化し. 特有のマイナス面や、現代社会における鑑賞活. ていくことになる。これを「現るもの」として. 動の意義についても見ていくことにする。. の作品が「体験するもの」へと性質が変化して. 美的体験の場としてめ美術作品には、問題点. いく兆しと見ることはできないだろうか。場や. と同時に、これまでの美術鑑賞のかたちとは異. 空間として広がる作品は、そこに鑑賞者自身が. なる、新しい鑑賞活動の可能性も見出される。. 入り込むことで空間全体を体験することになる。. 現在までの長い歴史のなかで、作品と作者、. その鑑賞体験は目に見える事物以外の、極めて. 鑑賞者という三つの立場が成立し、その変遷と. 個人的な感覚をも伴って行われるために、作品. 共に発展してきた美術活動が、鑑賞者と作者、. に介入する作者の意図を汲むことが難しくなる。. 鑑賞者と作品という繋がりをより緊密にし、不. このことは、作者による作品の完全なコントロ. 可分の存在として強い結びつきを持つものへと. ールの放棄を意味しており、このように、鑑賞. 展開していく。作品と対時する鑑賞者は、時に. 者が作品を成立させる要素となったことは、作. 作品そのものとなって他の鑑賞者の視線を受け. 品における主体性が作者から鑑賞者へと遷移し. 止める。そのような複合的な鑑賞活動は、作品. たと考えられる。平面なり立体なり、作者の思. の面白さや作者の思考をより深く理解するため. 考や感情の発露として、鑑賞者を想定すること. の一つの鑑賞のかたちであると考えられる。. なく発表されてきた作品が、いかにして鑑賞者. 本研究においては、三つの立場から、作品の. を作品の枠内に置くようになった過程について. 多様化とそれがもたらす鑑賞活動の新しいかた. 見ていくことにする。. ちについて、文献や実体験をもとに考えたい。. 第三章では、世界各地で勃興している国際展. 主任指導教員 初田 隆. に焦点を当て、そこで行われているプロジェク. ◎指導教員 大西 久. 一373⊥.
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