証券価格の非効率的な反応と投資家心理モデル
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(2) . な分析を行うことである。Barberis et al. (1998) の投. 率計算を行うことができず、観察の事象が、他の何らか. 資家心理モデルでは、非合理的な投資家 1 人を前提にし. の事象にどれだけ似ているかだけを考えて、事象の発生. て、保守主義と代表性ヒューリスティックスを先ず分離. 可能性を計測する。つまり、代表性ヒューリスティックス. してモデル化し、証券の均衡価格式を導いている。また. の影響を受ける個人は、観察した情報の重要性を評価す. 導出された証券の均衡価格式には、投資家心理を反映す. るさいに、観察した情報が、その情報を発生させたと思. る乖離項 (deviation term) が存在し、証券の均衡価格式. われる過程の代表的な特徴を、どれくらい反映している. は、一定の条件のもとで情報に対する過少反応と過剰反. かだけに基づいて、情報の重要性を評価するのである。. 応を示す。Barberis et al. (1998) のモデルの特徴は、証. 実際に人間には、不規則的な順序 (random sequences). 券の均衡価格式をファンダメンタル項と乖離項が存在す. から何らかの規則性を非合理的に見出す傾向があるとさ. るものとして求め、証券価格の過少反応と過剰反応に関. れるが、このような傾向こそ、代表性ヒューリスティッ. する理論的な分析を行っていることである2 。次の第2章. クスの典型的な例であると考えられる。. では、保守主義と代表性ヒューリスティックスの影響を 受ける非合理的な経済主体について述べる。第3章と 4 章では、Barberis et al. (1998) のモデルを、投資家の非 合理的な認識に関する部分と証券価格の過少・過剰反応 に関する部分に分けて記述し、モデルの数学的な構造と 手法を明らかにする。第5章は、結論の章であり、投資 家心理に関する最近の実証研究の結果をふまえ、投資家. 1つの例として、ある企業が何年間にわたり、高い水 準の収益成長を継続的に成し遂げてきたとする。その場 合、代表性ヒューリスティックスの影響を受ける投資家 は、高い水準の収益成長の発生確率を正しく計算するこ とができず、収益の継続的な高成長が与える印象だけに 基づいて、収益の継続的な高成長が、企業の潜在力の現. れとして起こったのであると認識する。このことは投資 心理モデルを拡張するための具体的な方法を提案する。 家が、過去の継続的な収益の高成長という少数の票本だ けに基づいて、その企業が将来にも絶えることなく成長 を続けていくような、優秀な企業であると非合理的に判. 2. 保守主義と代表性ヒューリスティックス 保守主義は、人々が観察対象に関する新しい情報を得. たときに、その情報を反映して事後確率を正しく更新す ることに失敗するために生じる。保守主義の特徴は、合 理的な個人と非合理的な個人を比較することによって明 らかになる。保守主義の影響を受ける非合理的な個人は、. 断することを意味する。しかし実際には、絶えることな く収益の高成長を続けていくような企業は、母集団にお いて非常に少数でしか存在しない。また、このような非 合理的な認識の結果として、企業に対する過大評価が起 こり証券価格も過大評価される。 保守主義と代表性ヒューリスティックスは、相互関連. 合理的な個人と同様に、新しい情報を観察したさいに、 性を持つ。投資家は情報観察により、経済状態に対する その情報を反映して事後確率を正しい方向に更新するこ 信念の更新 (belief updating) を行うさいに、情報の強さ とはできる。しかし非合理的な個人は、合理的な個人と は違って、新しい情報の重要性を十分に考慮して確率更 新を行うわけではない。例えば、保守主義の影響を受け る非合理的な個人に、収益の正のアーニングショックが 新しい情報として観察されたとする。その場合、非合理 的な個人は、企業収益に関する過去の評価に固執してし まい、新しく観察された情報の重要性を過少評価してし まう。その結果、市場において証券の価値評価が正しく 行われず、証券価格の過少評価が起こる。 次に、代表性ヒューリスティックスについて述べる。 代表性ヒューリスティックスの影響を受ける非合理的な 個人は、事象の発生可能性を計測するさいに、正確な確 2 Barberis et al. (1998) で著者らは、過少反応と過剰反応に関す る経済学的な洞察を優先としているため、投資家心理モデルに関する 厳密な証明などは、付録として論文の最後に載せている。本稿の目的 の1つは、モデルの構造と結果に関する数学的な内容を具体的に記述 し、モデルの発展可能性を明らかにすることである。. (strength) と重さ (weight) という2つの側面に基づいて 信念の更新を行う。情報の強さとは、情報が与える印象 の顕著さのことをいい、情報の重さとは、情報の客観的 な重要性、つまり統計学的な重要性のことをいう。一般 に非合理的な個人は合理的な個人に比べ、経済状態に対 する信念の更新を行うさいに、情報の強さには過剰な興 味を示すものの、情報の重さにはそれほどの興味を示さ ない傾向がある。このような傾向の結果として、重さは 高いが強さは低い情報が観察されれば、非合理的な個人 は保守主義の心理を持ち、逆に強さは高いが重さは低い 情報が観察されれば、非合理的な個人は代表性ヒューリ スティックスの心理を持つ。 企業の収益発表に対する投資家の反応も、情報の強さ と重さの2つの側面に基づいて考えることができる。一 般に投資家は、四半期ごとに発表される個別の収益発表 に対しては、十分な興味を示さない傾向がある。このよ.
(3) . うな傾向は投資家が、一回限りで発表される収益の情報. 表性ヒューリスティックスの影響を受ける投資家の心理. からは、何のパターンも見出せないため、その情報から. をモデル化する。まずは、投資家に観察される情報の過. 強い印象を受けることができず、情報の重要性も軽く認. 程を、次の収益の過程として定める。. 識することを意味する。逆に収益の高成長が何年間にわ たって継続的に観察される場合には、継続性が与える印 象の強さのため、投資家は観察した一連の情報を過大評 価する。つまり、収益の高成長が継続的に起こる場合に. 定義 1 時点 t に投資家に観察される収益 Nt を、次のよ うに定める。ただし yt は、アーニングショックであり、 Nt−1 は、時点 t − 1 における収益である。. は、その一連の情報から顕著なパターンが現れるため、 投資家は強い印象を受けるのである。 次に、外挿バイアス (extrapolation bias) に関する実 験的な例を挙げる。De Bondt (1993) によれば、人々は 証券価格の過去のトレンドを観察して、証券の将来の 価格水準を予想する傾向があるとされる。著者は、実験 で、被実験者らに過去の不特定の期間における証券価格 の動きを示したうえで、証券の将来の価格水準を予想す るようにした。結果として被実験者らは、証券価格が過 去に下降トレンドを示した場合よりも、上昇トレンドを 示した場合において、証券価格の高い上昇を予想した。 このことは被実験者らが、証券価格の時系列的なデータ から、何らかのパターンを見出した場合には、証券価格 がトレンドすると認識し、実際にそのトレンドを追って 取引することを示している。このことは、実際の市場で 個人投資家などに良く見られる、外挿バイアスのことを うまく説明する3 。. 3. 情報と投資家心理のモデル化 本稿の第3章と4章では、Barberis et al. (1998) の. 投資家心理モデルを、投資家の非合理的な認識に関する 部分と証券価格の過少・過剰反応に関する部分に分けて 紹介し、モデルの数学的な特徴と理論的な結果を明らか にする。Barberis et al. (1998) の投資家心理モデルにお ける数学的な特徴は、マルコフ過程と確率更新を用いて. Nt = Nt−1 + yt 次に、アーニングショックの真の確率分布を定める。 本モデルでは、アーニングショックを、単に収益の増分 として定める。また次の定義により、本モデルにおける 収益の過程は、ランダムウォークになる。 定義 2 アーニングショック yt の真の確率分布を、次の ように定める。ただし、yt は、全ての時点において独立 である。. P (yt = y) =. 1 2. 1 2 上の定義は、アーニングショックの発生に関する実際 の確率、つまり客観確率を表す。次では、投資家の心理 をモデル化する。投資家の心理は、アーニングショック の平均回帰性を意味するモデル1と、トレンドを意味 するモデル2に分けてモデル化される。モデル1は、投 資家心理として保守主義に関連し、モデル2は、代表性 ヒューリスティックスに関連する。それでは、モデル1 と2におけるアーニングショックの推移確率を次のよう に定める。 P (yt = −y) =. 定義 3 モデル1:アーニングショック yt の推移確率を、 次のように定める。ただし、yt の符号が次の時点で反転 しない確率を 0 < πL < 0.5 としておく。. P (yt+1 = y|yt = y) = πL. 投資家の非合理的な認識を記述し、企業の将来収益を割. P (yt+1 = −y|yt = y) = 1 − πL. り引く問題を将来収益変化に関する問題に帰結させ、証. P (yt+1 = y|yt = −y) = 1 − πL. 券の均衡価格式を、証券のファンダメンタルな価値を表. P (yt+1 = −y|yt = −y) = πL. す項と投資家心理を表す項に分離して求めていることで ある。モデルの理論的な結果は、投資家が経済状態に対 して非合理的な認識をする場合には、証券価格は、ファ ンダメンタルな価値を正しく反映することができず、情. 定義 4 モデル2:アーニングショック yt の推移確率を、 次のように定める。ただし、yt の符号が次の時点で反転 しない確率を 0.5 < πH < 1 としておく。. 報に対し過少反応と過剰反応をすることを示す。本章で. P (yt+1 = y|yt = y) = πH. は、投資家が観察する情報の過程を定め、保守主義と代. P (yt+1 = −y|yt = y) = 1 − πH. 3 証券価格に対する投資家の非合理的な予想のパターンについては、 Shefrin (2002) の Part 2, Prediction にケースとともに詳細に説明 されている。. P (yt+1 = y|yt = −y) = 1 − πH P (yt+1 = −y|yt = −y) = πH.
(4) . 上の2つの定義は、アーニングショックの発生に関す る投資家の非合理的な認識、つまり主観確率を表す。ま た、本モデルにおける真の収益過程はランダムウォーク. 定義 6 投資家が、過去の情報 yt−1 , qt−1 と現在の情報. yt に基づいて、現時点 t での経済状態が平均回帰性の状 態(モデル1)であると思う確率を、次のように定める。. であるため、アーニングショック yt+1 は yt に依存せず、 同じ確率で正または負の値を取る。ところが、投資家は このことを認識することができず、モデル1と2によっ てアーニングショックの確率分布が推移していると錯覚 する。また投資家は、アーニングショックの推移状態を 決める、状態確率変数 st が存在すると認識する。つま. qt = P (st = 1|yt , yt−1 , qt−1 ) 上の定義により、投資家の信念 qt から qt+1 への更新 は、アーニングショック yt と yt+1 が同符号になれば、. qt+1 =. り、状態確率変数 st が st = 1 である場合には、アーニ ングショックの推移状態がモデル1に従っていると認識 し、st = 2 の場合には、モデル2に従っていると認識す る。状態確率変数 st の推移確率は、次のように定めら. として更新され、yt と yt+1 が逆符号になれば、. qt+1 =. れる。 定義 5 状態確率変数 st の推移確率は、次のように定め られる。ただし、λ1 < λ2 とし、λ1 + λ2 < 1 とする。. [(1 − λ1 )qt + λ2 (1 − qt )] πL [(1 − λ1 )qt + λ2 (1 − qt )] πL + [λ1 qt + (1 − λ2 )(1 − qt )] πH [(1 − λ1 )qt + λ2 (1 − qt )] (1 − πL ). [(1 − λ1 )qt + λ2 (1 − qt )] (1 − πL ) + [λ1 qt + (1 − λ2 )(1 − qt )] (1 − πH ). として更新される5 。 以上のような信念更新の特徴は、アーニングショック yt と yt+1 が同符号になれば、確率 qt は減少して qt > qt+1. P (st+1 = 1|st = 1) = 1 − λ1. になり、逆符号になれば、増加して qt < qt+1 になるこ. P (st+1 = 2|st = 1) = λ1. とである。このことは、投資家に同じ符号のアーニング. P (st+1 = 1|st = 2) = λ2 P (st+1 = 2|st = 2) = 1 − λ2 それでは、以上の3つの推移確率により、同時推移確 率行列 Q を構成する。まず、確率変数 (st+j−1 , yt+j−1 ) T. と (st+j , yt+j ) の間に、次のような推移確率の関係が成 り立つことを確かめる。. P (st+j , yt+j |st+j−1 , yt+j−1 ) = P (st+j |st+j−1 )P (yt+j |st+j , yt+j−1 ) 例えば、モデルが st+j−1 = 1 から st+j = 2 に変わり、 アーニングショックが yt+j−1 = y から yt+j = −y に変 わる場合の確率は、次のように求まる。. P (st+j = 2, yt+j = −y|st+j−1 = 1, yt+j−1 = y) = λ1 (1 − πH ) したがって、(st+j−1 , yt+j−1 ) から (st+j , yt+j ) への推移 確率行列 QT は、付録2のように構成できる。また、本. ショックが連続して観察されれば、信念更新により、現 時点での経済状態がトレンドの状態(モデル2)である とより確信し、反転して逆の符号のアーニングショック が観察されれば、平均回帰性の状態(モデル1)である とより確信することを意味する。 次に、信念更新の収束先を調べる。まず、時点 t と t+1 において、アーニングショックが逆符号 (−yt+1 = yt ) に なった場合の qt の増加を、次の関数として定める。た だし qt = q で、なおかつ ∆(q) = qt+1 − qt とする。. ∆(q) =. [(1 − λ1 )q + λ2 (1 − q)] (1 − πL ) [(1 − λ1 )q + λ2 (1 − q)] (1 − πL ) + [λ1 q + (1 − λ2 )(1 − q)] (1 − πH ). −q. また、アーニングショックが同符号 (yt+1 = yt ) になっ た場合の qt の減少を、次の関数として定める。ただし、. qt = q で、なおかつ ∆(q) = qt − qt+1 とする。 ∆(q) = q −. [(1 − λ1 )q + λ2 (1 − q)] πL [(1 − λ1 )q + λ2 (1 − q)] πL + [λ1 q + (1 − λ2 )(1 − q)] πH. 頻度論に比べ厳密さを欠く理論として考えられてきた。ところが最近 になっては、ベイズ理論の不厳密さがむしろ柔軟性として理解され、 幅広い分野で活用されるようになっている。ベイズ理論で扱う確率は、 とに観察しながら、経済状態に関する信念をベイズ方式 主観確率である。ベイズ理論は、人間の主観的な確率の処理を可能に するため、人間の行動分析に役に立つ。ベイズ理論では、情報を獲得 で更新する。投資家の信念更新の式を、次のように定め する前の確率、つまり事前確率を恣意的に設定することを許し、事前 確率に情報が加えられて変化した値が、事後確率になるという考え方 る4 。 をする。このような特徴は、情報観察をしてから、事象に対する主観 4 ベイズ定理という確率公式を基本とするベイズ理論は、21 世紀に 確率をアップデートする人間の習性に良く似ている。このことは、ベ 入ってから経済学を含む様々な分野で積極的に活用されるようになっ イズ理論が人工知能等に応用される理由でもある。 5 両式の展開に関しては、付録の1を参照されたい。 た。そもそもベイズ理論は、事前確率の扱い方に恣意性があるとされ、. モデルにおいて投資家は、アーニングショックを時点ご.
(5) . この2つの関数は、両方とも凹関数になり、∆(q) = 0 と ∆(q) = 0 を満たす q < q に対して、次の関係が成り. ここで、上の条件付確率分布を、次のようにベクトルを 用いて表す。. 立つ。. q t+j = (q1t+j , q2t+j , q3t+j , q4t+j )T 1. ∆(0) > 0, ∆(q) = 0, ∆(1) < 0 2. ∆(0) < 0, ∆(q) = 0, ∆(1) > 0. � � したがって、区間 q, q において ∆(q) > 0, ∆(q) > 0 に � � なる。このことは、区間 q, q においてアーニングショッ クの値が逆符号になれば、確率の値は増加し、同符号に なれば、減少することを示す。. 以上により、アーニングショックが無限に逆符号にな る場合には、信念更新の収束先が、∆(q) = 0 とすると ころに存在して、次のように求まる。. q=. [(1 − λ1 )q + λ2 (1 − q)] (1 − πL ) [(1 − λ1 )q + λ2 (1 − q)] (1 − πL ) + [λ1 q + 1 − λ2 (1 − q)] (1 − πH ). また、アーニングショックが無限に同符号になる場合に は、信念更新の収束先が ∆(q) = 0 とするところに存在 して、次のように求まる。. � (1 − λ1 )q + λ2 (1 − q) πL q= � � (1 − λ1 )q + λ2 (1 − q) πL � � + λ1 q + 1 − λ2 (1 − q) πH �. 以上により、将来アーニングショック yt+j の条件付確率 分布を、次のように求めることができる。. P (yt+j = yt |Φt ) = q1t+j + q3t+j = (1, 0, 1, 0)q t+j P (yt+j = −yt |Φt ) = q2t+j + q4t+j = (0, 1, 0, 1)q t+j 次に、q t+j , j = 0 とした場合の将来アーニングショッ ク yt+j の条件付確率分布を、次のように求める。. qt . = . P (st = 1|Φt ) 0 P (st = 2|Φt ) 0. . . qt. 0 = 1−q t 0. . 次では、同時推移確率行列 QT により、異時点間のベ クトル q t+j と q t+j−1 の関係を求める。まず、ベクトル. q t+j と q t+j−1 の間に、次の4つの式が成り立つことを 確かめる。 � � (1 − λ1 )πL , (1 − λ1 )(1 − πL ), q t+j−1 q1t+j = λ2 πL , λ2 (1 − πL ) � � 4 証券価格の過少・過剰反応のモデル化 (1 − λ1 )(1 − πL ), (1 − λ1 )πL , t+j q2 = q t+j−1 λ2 (1 − πL ), λ2 πL 本章では、配当割引モデルにより、投資家心理を反映 � � する乖離項を持つ証券の均衡価格式を求め、証券の均衡 λ1 πH , λ1 (1 − πH ), (1 − λ2 )πH , t+j q t+j−1 q3 = 価格式が、一定の条件のもとで過少反応と過剰反応を示 (1 − λ2 )(1 − πH ) � � すことを証明する6 。証券の均衡価格式を求めるために λ1 (1 − πH ), λ1 πH , t+j q t+j−1 q4 = は、先ず投資家の将来アーニングショックに関する非合 (1 − λ2 )(1 − πH ), (1 − λ2 )πH 理的な期待形成を捉えることが必要である。将来アーニ ングショックの期待値を求めるために、情報 Φt に条件 このことは、次の式が成り立つことを意味する。 付けられた将来アーニングショック yt+j , j = 1, 2, ... の q t+j = Qq t+j−1 確率分布を、次のように表す。 q1t+j = P (st+j = 1, yt+j = yt |Φt ) q2t+j = P (st+j = 1, yt+j = −yt |Φt ) q3t+j = P (st+j = 2, yt+j = yt |Φt ) q4t+j. = P (st+j = 2, yt+j = −yt |Φt ). 6 本モデルにおいて時点 t に利用可能な情報は、Φ = {y , q } と t t t して表される。信念更新により、情報 yt−j,... , yt−1 , yt は、信念 qt に 反映済みである。. したがって、次の式が成り立つ。. q t+j = Qj q t 以上により、将来アーニングショック yt+j の時点 t で の条件付確率分布を、次のように求めることができる。. P (yt+j = yt |Φt ) = (1, 0, 1, 0)Qj q t P (yt+j = −yt |Φt ) = (0, 1, 0, 1)Qj q t.
(6) . 結果として、将来アーニングショック yt+j の期待値は、 ここで、行列 Q に関して次の式が成り立つ。 次のように求まる。. ∞ �. j t. Et [yt+j ] = yt (1, −1, 1, −1)Q q. 次の定理で、保守主義と代表性ヒューリスティックス の影響を反映する、証券の均衡価格式を求める。次の定. j=1. Qj −1 = (1 + δ) [(1 + δ)I − Q] Q (1 + δ)j−1. また、q t に関して、次の式が成り立つ。. 理の証明において重要な点は、企業の将来収益を割り引. q t = β + γqt. く問題が、企業の将来アーニングショックの和を割り引. く問題に帰結することである。ただし、本モデルでは、 したがって、両方の代入により、次の式が成り立つ。 企業の収益が全額配当として投資家に還元されると仮定 する。. Pt. 定理 7 本モデルにおける証券の均衡価格式は、次のよ. =. うに求まる。. Pt =. Nt + yt (p1 − p2 qt ) δ. β T = (0, 0, 1, 0) γ T = (1, 0, −1, 0). −1. − Q] Qβ −1 − Q] Qγqt. �. 1 T −1 α (1 + δ) [(1 + δ)I − Q] Qβ δ 1 −1 p2 = − αT (1 + δ) [(1 + δ)I − Q] Qγ δ したがって、最終的に次の式が求まる。. 1 −1 p2 = − αT (1 + δ) [(1 + δ)I − Q] Qγ δ αT = (1, −1, 1, −1). 1 T δ α (1 + δ) [(1 + δ)I + 1δ αT (1 + δ) [(1 + δ)I. p1 =. 定められる。. 1 T −1 α (1 + δ) [(1 + δ)I − Q] Qβ δ. �. ここで、p1 , p2 を次のように定める。. ただし、定数 p1 , p2 とベクトル α, β, γ は、次のように. p1 =. Nt + yt δ. Pt =. Nt + yt (p1 − p2 qt ) δ. � 次の補題では、アーニングショック yt の真の確率分布 に対する証券価格の反応関数を導く。証券価格の反応関. 数は、本モデルの均衡価格式が過少反応と過剰反応を示 証明. まず配当割引モデルにより、次の式が成り立つ。 すことを証明するさいに用いられる。まずは、一般的な. Pt =. ∞ � Et [Nt+j ] j=1. (1 +. δ)j. 証券価格の反応関数を、次のように定義する。. f (q) = Et [Pt+1 − Pt |yt = y, qt = q]. また、Nt+1 = Nt + yt+1 により、次の式が成り立つ。. Et [Nt+1 ] Nt + Et [yt+1 ] = 1+δ 1+δ Et [Nt+2 ] Nt + Et [yt+1 ] + Et [yt+2 ] = (1 + δ)2 (1 + δ)2 .. . したがって、級数の性質により、次の式が成り立つ。. − Et [Pt+1 − Pt |yt = −y, qt = q] 補題 8 アーニングショック yt の真の確率分布に対する 証券価格の反応関数は、次のように求まる。. � � f (q) = 2y(p2 q − p1 ) + yp2 ∆(q) + ∆(q). 証明. まず、本モデルにおける証券価格の変化は、次 のように求まる。. ∞. 1 � Et [yt+j ] Nt + Pt = δ δ j=1 (1 + δ)j−1. また、Et [yt+j ] , j = 1, 2, ... の代入により、次の式が成 り立つ。 ∞ ∞ � 1 � Et [yt+j ] Qj 1 = yt α T qt j−1 j−1 δ j=1 (1 + δ) δ (1 + δ) j=1. yt+1 + (yt+1 − yt )(p1 − p2 qt ) δ − yt p2 (qt+1 − qt ) − (yt+1 − yt )p2 (qt+1 − qt ). Pt+1 − Pt =. 上の式は、yt = y, qt = q の条件のもとで、yt+1 , qt+1 に よる確率変数になる。また、yt+1 は同確率で y または. −y の値を取り、qt+1 −qt も同確率で −∆(q) または ∆(q).
(7) . の値を取る。以上により、Pt+1 − Pt の時点 t での条件. ただし、q は、qt の定常状態における確率分布である。. 付期待値は、次のように求まる。. Et [Pt+1 − Pt |yt = y, qt = q] � � yp2 ∆(q) + ∆(q) = y(p2 q − p1 ) + 2. ここで、次の式が成り立つ。. Et [Pt+1 − Pt |yt = y, qt = q] = −Et [Pt+1 − Pt |yt = −y, qt = q] したがって、証券価格の反応関数は、次のように求まる。. �. � � f (q) = 2y(p2 q − p1 ) + yp2 ∆(q) + ∆(q). Eq [f (q)] > 0 → Et [Pt+1 − Pt |yt = y] > Et [Pt+1 − Pt |yt = −y] 以上により、証券価格が過少反応を示すための十分条件 を求める問題は、証券価格の反応関数の期待値が、確率 分布 q 上で正になるための十分条件を求める問題に帰結 する。 定理 10 証券の均衡価格式が、過少反応を示すための十 分条件は、次のように求まる。 � � c1 + c2 q ∗ p1 < p 2 q e + 2. ただし、p2 , c1 , c2 , q ∗ は、次のように定められる。. p2 > 0 � � ∆ q q − ∆(q)q c1 = q−q � � ∆(q) − ∆ q c2 = q−q. 次に、証券価格の過少反応と過剰反応を定義する。証券 価格が情報に対して過少反応をする場合には、短期的に はモメンタムの現象が起こり (short-term momentum)、 良い情報が観察されてから期待される証券収益率の方 が、悪い情報が観察されてから期待される証券収益率 の方を上回る。逆に、証券価格が情報に対して過剰反応. q ∗ = q e , c2 < 0. をする場合には、長期的にはリバーサルの現象が起こり. q ∗ = q e , c2 ≥ 0 (long-term reversal)、一連の良い情報が観察されてから 証明. まず、不等式 Eq [f (q)] > 0 は、次の不等式と 期待される証券収益率の方が、一連の悪い情報が観察さ れてから期待される証券収益率の方を下回る。したがっ 同値関係になる。 � � て、本モデルにおける証券価格の過少・過剰反応は、次 2yp2 Eq [q] − 2yp1 + yp2 Eq ∆(q) + ∆(q) > 0 のように定義される。ただし、本モデルでは数学的な単 純化のために、証券の期待収益率を、2つの時点におけ したがって、次の式が成り立つ。 る証券価格の差として定義する7 。 Eq [f (q)] > 0 ↔ � � �� Eq ∆(q) + ∆(q) 定義 9 証券価格が過少反応を示すとは、証券の均衡価 p1 < p2 Eq [q] + 2 格式が、次の不等式を満たすことをいう。 Et [Pt+1 − Pt |yt = y] > Et [Pt+1 − Pt |yt = −y] また、証券価格が過剰反応を示すとは、ある数 J が存在 して全ての j ≥ J に対し、証券の均衡価格式が、次の不 等式を満たすことをいう。. Et [Pt+1 − Pt |yt = yt−1 = · · · = yt−j = y] < Et [Pt+1 − Pt |yt = yt−1 = · · · = yt−j = −y] 次の定理で、証券価格が過少反応を示すための十分条 件を求める。まずは、次の式が成り立つことを確かめる。 7 モメンタムの現象とリバーサルの現象については、それぞれ. Jegadeesh and Titman (1993) と De Bondt and Thaler (1985) を参 照されたい。. ここで、k を次のように定める。 � � Eq ∆(q) + ∆(q) k < Eq [q] + 2. このことにより、不等式 p1 < p2 k が、過少反応のための 十分条件になる。次では、上の不等式における右辺の下 限を求め k とし、代入により過少反応のための十分条件 を求める。証明は省くが、p2 は正になる。まず、qt = q であれば、qt+1 = q になり、次のように Eq [q] に関する 式が求まる。. Eq [q] = Eq [Et [qt+1 |q]] � � � 1 1� q + ∆(q) + (q − ∆(q)) = Eq 2 2.
(8) . � � 次に、q の定義域を q, q とする関数 g(q) を、次のよう. このことにより、次の不等式が成り立つ。. に定める。. ∆ (q) + ∆(q) > c1 + c2 q � � 1 �� q + ∆(q) + (q − ∆(q)) g(q) = したがって、次の不等式が成り立つ。ただし、q ∗ は、c2 < 2 � � 0 のときには、q ∗ = q e とし、c2 ≥ 0 のときには、q ∗ = q e したがって、関数 g(q) の端点は、 q, g(q) と (q, g(q)) とする。 になる。また、関数 g(q) を最大にする点を通りながら、 � � Eq ∆(q) + ∆(q) c1 + c2 E [q] この2つの端点を結ぶ直線に平行な方程式を、次のよう ≥ qe + Eq [q] + 2 2 に定める。 c1 + c2 q ∗ e g(q) = a + bq ≥q + 2 したがって、上の式における傾き b の範囲は、次のよう 以上により、過少反応のための十分条件は、次のように に求まる。 求まる。 � � � � � � c1 + c2 q ∗ 1 p1 < p 2 q e + q − q − 2 ∆ q + ∆(q) 2 b= <1 q−q � 次の定理では、証券の均衡価格式が、過剰反応を示す また、切片 a は、次の不等式を満たす。 ための十分条件を求める。 g(q) ≤ a + bq 定理 11 証券の均衡価格式が、過剰反応を示すための十 ここで、次の等式が成り立つことを確かめる。 分条件は、次のように求まる。 � � ∆(q) Eq [g(q) − q] = 0 p1 > p 2 q + 2 このことにより、次の不等式が成り立つ。 証明. まず、次の式が成り立つことを確かめる。 Eq [a + bq − q] ≥ 0 � � f (q) < 0 → Et Pt+1 − Pt |yt = y, qt = q � � したがって、期待値 Eq [q] に関する次の不等式が求まり、 < Et Pt+1 − Pt |yt = −y, qt = q e その上限が定まる。その値を、q とする。 ここで、同符号のアーニングショックが無限に続いた場合 a Eq [q] ≤ には qt の収束先が q になり、次の2つの式が成り立つ。 1−b 同様の方法で Eq [q] の下限が求まり、その値を q e とす る。また関数 l(q) を、次のように定める。. l(q) = ∆ (q) + ∆(q) ここで、t =. q−q q−q. � � とおくと、l tq + (1 − t)q = l(q) に. なり、凹関数の性質によって、次の不等式が成り立つ。. l(q) > tl(q) + (1 − t)l(q) したがって、次の不等式が成り立つ。. q−q q−q � � ∆ (q) + ∆(q) > ∆(q) + ∆ q q−q q−q. ここで、c1 , c2 を次のように定める。 � � ∆ q q − ∆(q)q c1 = q−q � � ∆(q) − ∆ q c2 = q−q. lim Et [Pt+1 − Pt |yt = yt−1 = · · · = yt−j = y]. j→∞. � � = Et Pt+1 − Pt |yt = y, qt = q lim Et [Pt+1 − Pt |yt = yt−1 = · · · = yt−j = −y]. j→∞. � � = Et Pt+1 − Pt |yt = −y, qt = q. このことにより、f (q) < 0 が、過剰反応のための十分条 件になることが示された。次に、十分条件を p1 と p2 に 関して求める。まず、次の同値関係が成り立つことを確 かめる。. f (q) < 0 ↔ p1 > p2. �. ∆(q) q+ 2. �. 以上により、過剰反応のための十分条件は、最終的に次 のように求まる。. p1 > p 2. �. ∆(q) q+ 2. �.
(9) . え、18ヶ国を対象にし、投資家心理が株式収益率に与え. �. 本章の主な結果は、投資家が保守主義と代表性ヒュー. る影響について調べている。論文の実証分析の結果は、. リスティックスの心理を持ち、経済状態を非合理的に認識. 投資家心理のレベルが高い場合には、株式収益率は将来. する場合には、証券価格は、ファンダメンタルな価値を. 的に低くなり、投資家心理のレベルが低い場合には、株. 正しく反映することに失敗し (定理 7)、アーニングショッ 式収益率は将来的に高くなることを示している8 。 クの短期的な情報に対しては過少反応を、長期的な情報 に対しては過剰反応をすることを示す (定理 10,11)。. 本稿で紹介した Barberis et al. (1998) の投資家心理 モデルでは、保守主義と代表性ヒューリスティックスの 影響を受ける非合理的な投資家の認識を、マルコフ過程 と確率更新を用いて数学的に記述している。また証券の. 5. 結論:最近の研究傾向とモデル拡張の方向性 投資家心理と金融市場に関する最近の実証研究として. は、Brown and Cliff (2004,2005)、Baker and Wurgler. (2006)、そして Schmeling (2009) が挙げられる。これら の論文において共通する特徴は、非効率的な金融市場を 前提にし、投資家心理が、株式価格または株式収益率に 与える影響について調べていることである。Brown and Cliff (2004) では、比較的に短い期間を対象にして、投 資家心理が株式収益率に与える影響について調べてい る。論文の実証分析の結果は、比較的に短期間において は、投資家心理は株式収益率に対しほとんど予測力を持 たないため、株式収益率の短期的な予測に投資家心理を 取引戦略として用いることは、適切ではないことを示し ている。 Brown and Cliff (2005) では、投資家心理が株式のプ ライシング・エラー (株式価格のファンダメンタルな価 値からの乖離) や長期収益率に与える影響について調べ ている。論文における実証分析の特徴は、投資家心理の レベルとプライシング・エラーを直接的に関係付けなが ら、投資家心理が株式収益率に長期的に与える影響につ いて調べていることである。論文の実証分析の結果は、 過剰に楽観的な投資家の集団は、株式価格をファンダメ ンタルな価値から押し上げ、過剰に悲観的な投資家の集 団は、株式価格をファンダメンタルな価値から押し下げ るが、このようなプライシング・エラーは、数年の期間 に渡って調整されることを示している。. 均衡価格式を、証券のファンダメンタルな価値を反映す る部分と投資家心理を反映する部分(乖離項)に分離し て求め、証券の均衡価格式が、一定の条件のもとで過少 反応と過剰反応を示すことを証明している。本章で紹介 したいくつかの実証研究の特徴は、投資家心理のレベル を証券価格や収益率に関係付けて、その影響を実証的に 調べていることである。したがって、このような最近の 実証研究の傾向をふまえ、Barberis et al. (1998) のモ デルを拡張し、最近の実証分析の結果に整合するモデル を構築する必要がある。 具体的には、投資家心理に楽観的なレベルと悲観的な レベル、そして中立的なレベルが存在すると仮定し、投 資家集団の非合理的な情報認識により、投資家心理が中 立的なレベルから離脱すれば、市場に楽観主義か悲観主 義が形成されることをモデル化する必要がある。また、 モデルの均衡価格式を導出するさいに、乖離項を投資家 心理のレベルと直接的に連動するものとして求め、市場 において楽観主義が形成されれば、証券の価格はファン ダメンタルな価値から離れ、証券価格の高騰状態が発生 し、悲観主義が形成されれば、低落状態が発生すること をモデル化する必要がある。最後に、長期にわたって投 資家心理が解消され、投資家心理のレベルが中立的なレ ベルに回帰すれば、悲観主義の影響で過少評価されてい た証券の方が、楽観主義の影響で過大評価されていた証 券の方より、高い収益率を上げることをモデル化する必 要がある。. Baker and Wurgler (2006) では、投資家心理が株式 収益率に与える横断的な影響 (cross-sectional effect) に ついて調べている。論文の実証分析の結果は、楽観的な 投資家と投機家には好まれながら、アービトラージャー には好まれない株式は、投資家心理が高いレベルである 場合には、後に低い収益率をもたらす傾向があることを 示している。反対に投資家心理が低いレベルである場合 には、このような傾向は弱まるか、それとも逆のことが 起こる。また Schmeling (2009) では、Brown and Cliff (2005) と Baker and Wurgler (2006) の研究結果をふま. 6. 付録 1.時点 t + 1 において、投資家は yt , qt の値を既知. としながら、yt+1 を観察し、信念を qt から qt+1 に更新 8 De Bondt and Thaler (1985) では、投資家は代表性ヒューリス ティックスの影響のため、楽観主義と悲観主義になり、株式価格の過大 評価と過少評価を招くことが示されている。また、証券のミスプライ シングが修正されるとともに、証券収益率のリバーサルが起こること も示されている。このような研究内容は、Brown and Cliff (2005)、 Baker and Wurgler (2006)、そして Schmeling (2009) の基礎とな る。.
(10) . する。まず、ベイズ定理によって、次の式が成り立つ。 として更新され、yt と yt+1 が逆符号である場合には、. P (st+1 = 1|yt+1 ) =. P (st+1 = 1)P (yt+1 |st+1 = 1). qt+1 =. P (st+1 = 1)P (yt+1 |st+1 = 1) +P (st+1 = 2)P (yt+1 |st+1 = 2). ここで、P (st+1 = 1) について、次の式が成り立つ。た だし、投資家に P (st = 1) の値は、qt として既知である。. P (st+1 = 1) = P (st+1 = 1|st = 1)P (st = 1) +P (st+1 = 1|st = 2)P (st = 2). [(1 − λ1 )qt + λ2 (1 − qt )] (1 − πL ) [(1 − λ1 )qt + λ2 (1 − qt )] (1 − πL ) + [λ1 qt + (1 − λ2 )(1 − qt )] (1 − πH ). として更新される。 2.推移確率行列の構成 T. Q. (1 − λ1 )πL (1 − λ )(1 − π ) 1 L = λ2 πL λ2 (1 − πL ). (1 − λ1 )(1 − πL ) (1 − λ1 )πL λ2 (1 − πL ) λ2 πL. λ1 πH λ1 (1 − πH ) (1 − λ2 )πH (1 − λ2 )(1 − πH ). λ1 (1 − πH ) λ1 πH (1 − λ2 )(1 − πH ) (1 − λ2 )πH. = (1 − λ1 )qt + λ2 (1 − qt ) 同様に、P (st+1 = 2) について、次の式が成り立つ。. P (st+1 = 2) = P (st+1 = 2|st = 1)P (st = 1) +P (st+1 = 2|st = 2)P (st = 2) = λ1 qt + (1 − λ2 )(1 − qt ) したがって、次の式が成り立つ。. qt+1 =. [(1 − λ1 )qt + λ2 (1 − qt )] P (yt+1 |st+1 = 1) [(1 − λ1 )qt + λ2 (1 − qt )] P (yt+1 |st+1 = 1) + [λ1 qt + (1 − λ2 )(1 − qt )] P (yt+1 |st+1 = 2). ここで、P (yt+1 |st+1 = 1) は、推移確率により、yt , yt+1 が同符号であれば、. P (yt+1 |st+1 = 1) = πL になり、逆符号であれば、. P (yt+1 |st+1 = 1) = 1 − πL. 7. 参考文献. Barberis, N., A. Shleifer, and R. Vishny[1998], “A model of investor sentiment,” Journal of Financial Economics 49, 307-343. Barberis, N. and R. thaler[2003], “A survey of behavioral finance,” G. Constantinides, M. Harris, and R. Stulz eds., Handbook of the Economics of Finance (Vol.1, part 2, 1052-1090), North-Holland. Baker, M. and J. Wurgler[2006], “Investor sentiment and the cross-section of stock returns,” Journal of finance 61, 1645-1680. Baker, M. and J. Wurgler[2007], “Investor sentiment in the stock market,” Journal of Economics Perspectives 21, 129-151. Brown, G.W. and M.T. Cliff[2004], “Investor sentiment and the near-term stock market,” Journal of Empirical Finance 11, 1-27. Brown, G.W. and M.T. Cliff[2005], “Investor sen-. timent and asset valuation,” Journal of Business 78, 405-440. になる。同様に P (yt+1 |st+1 = 2) は、推移確率により、 Chan, Louis K.C. and Josef Lakonishok[2004], yt , yt+1 が同符号であれば、 “Value and growth investing: review and update,” Financial Analysts Journal (January/February), 71-86. P (yt+1 |st+1 = 2) = πH Clarke, R.G. and M. Statman[1998], “Bullish or bearish?” Financial Analysts Journal (May/June), 63– になり、逆符号であれば、 72. P (yt+1 |st+1 = 2) = 1 − πH De Bondt, W. and R. Thaler[1985], “Does the stock market overreact?” Journal of Finance 40, 793-805. になる。以上により、qt+1 は、yt と yt+1 が同符号であ De Bondt, W. [1993], “Betting on trends: intuitive る場合には、 forecasts of financial risk and return,” International [(1 − λ1 )qt + λ2 (1 − qt )] πL Journal of forecasting 9,355-371. qt+1 = [(1 − λ1 )qt + λ2 (1 − qt )] πL De Long, J.B., A. Shleifer, L. Summers, and + [λ1 qt + (1 − λ2 )(1 − qt )] πH R. Waldmann[1990], “Positive feedback investment.
(11) . strategies and destabilizing rational speculation,” Journal of Finance 45, 379-95. Dreman, D. N. and E. A. Lufkin[2000], “Investor overreaction: Evidence that its basis is psychological,” Journal of Psychology and Financial Markets 1, 61-75. Fisher, K.L., and M. Statman[2000], “Investor sentiment and stock returns,” Financial Analysts Journal (March/April), 16– 23. Jegadeesh, N., and S. Titman [1993], “Returns to buying winners and selling losers: implications for stock market efficiency,” Journal of Finance 48,65-91. Kahneman, D., P. Slovic and A. Tversky[1982], Judgment under Uncertainty : Heuristics and Biases, Cambridge University Press. Malkiel, B. G.[2003a], “The efficient market hypothesis and its critics,” Journal of Economic Perspectives 17, 59-82. Malkiel, B. G.[2003b], “Passive investment strategies and efficient markets,” European Financial Management 9, 1–10. Ross, S. A.[2005], Neoclassical Finance, Princeton University Press. Schmeling, M.[2009], “Investor sentiment and stock returns: Some international evidence,” Journal of Empirical Finance 16, 394-408. Shefrin, H.[2000], Beyond Greed and Fear : Understanding Behavioral Finance and the Psychology of Investing, Havard Business School Press. Shefrin, H.[2008], A Behavioral Approach to Asset Pricing 2nd ed, Academic Press. Shleifer, A.[2000], Inefficient Markets : An Introduction to Behavioral Finance, Oxford University Press. Shiller, R.J.[2003], “From efficient markets theory to behavioral finance,” Journal of Economic Perspectives 17, 83-104. Shiller, R.J.[2005], Irrational Exuberance 2nd ed, Princeton University Press. Statman, M.[2011], “Efficient markets in crisis,” Journal of Investment Management 9, 4–13. (上智大学大学院経済学研究科博士後期課程).
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