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Human-Agent Interaction(HAI)における人の主観評価(<特集>人工知能研究のベンチマークとは-標準問題・データセット・評価手法-)

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(1)

1.は じ め に

スクリーン上の仮想キャラクタや物理的身体を有し

たロボットを含む人工エージェントと人との対話の研究

(HAI)においては,人がエージェントに対してどのよ

うな認知や感情を抱くか,その結果として人がエージェ

ントに対してどのように行動するかについて明らかにし

ていくことが重要である.そのため,人のエージェント

に対する主観評価を測定する手法が必要となる.この測

定において統一的な手法が存在することが望ましいが,

現時点においては十分なコンセンサスが得られた手法は

確立していない.

本稿では,HAI における心理尺度を中心とした主観測

定手法の現状を概説し,今後の方向性について検討する.

2.HAI と心理尺度

心理尺度(もしくは心理測定尺度)は,主観的な心の

状態や機能などの心理現象を構成概念として定義したう

えで,複数の質問項目を用意してデータ化し,その心理

現象の個人差・集団間の差を数値として把握しようとす

るものである(心理尺度の基本については [横内 07] を

参照).心理尺度の基本的な構造は,図 1 に示すように,

冒頭の基本的な説明文(教示文),尺度項目(設問文)

と選択肢からなる.

対象となる心理現象は,認知判断や態度,感情や気

分,価値観や行動傾向,性格などさまざまなものがあり,

それに応じた心理尺度が開発されている.例えば,不

安感情の測定については State-Trait Anxiety Inventory

(STAI)[肥田野 00],気分については Profile of Mood

States(POMS)[横山 02],性格特性については Big

Five

尺度 [和田 96] など,心理学の領域においては各心

理学的構成概念に対して代表的な心理尺度がある程度定

まっている.

一方,研究領域として比較的歴史の浅い HAI におい

ては,どのような心理的構成概念が人とエージェントと

の対話に影響を与えるかということについての知見がい

まだ定まっていない.したがって,個別の研究ごとに異

なる主観評価が測定される傾向がある.

一方,HAI に独自の心理尺度を用いた研究や,心理学

の既存の心理尺度を流用することでエージェントとの対

話の影響要因を探索する研究も,近年の HAI において

は現れている.

2・1 Technophobia に基づく心理尺度

コ ン ピ ュ ー タ を 始 め と す る 情 報 機 器 に 関 し て,

Technophobia(技術恐怖症)という心理が問題となっ

ている [Brosnan 98].これは,コンピュータの操作や存

在による社会的影響に対して喚起される不安や否定的な

態度と定義されており,コンピュータ技術の社会への浸

Human-Agent Interaction(HAI)における

人の主観評価

Humans’Subjective Evaluation in Human-Agent Interaction(HAI)

野村 竜也

龍谷大学

Tatsuya Nomura Ryukoku University.

[email protected], http://wwww.rikou.ryukoku.ac.jp/~nomura/

Keywords:

agents, evaluation, psychological scale.

「人工知能研究のベンチマークとは─標準問題・データセット・評価手法─」

(2)

透やその操作の学習において否定的な影響をもつもので

あることが明らかとなっている.また,これまで歴史的

に社会は新規技術,特にコミュニケーションに関わる技

術(文字,電話,インターネットなど)に対してユート

ピア的発想とディストピア的発想の両極的反応を示して

きたという指摘がある [Joinson 02].したがって,人と

のコミュニケーションを想定し社会性を実装した新規の

コミュニケーション技術の具現化であるエージェントに

対して,人間が不安や否定的態度などの感情を抱く可能

性がある.

コンピュータにおける Technophobia の類推から,

[Nomura 06, Nomura 08b]

により,ロボットに対する

否定的態度と不安を測定するための心理尺度「ロボッ

ト否定的態度尺度(Negative Attitudes toward Robots

Scale: NARS)」が開発されている.この心理尺度を用

いた研究は国内外を含めて各種行われており,これらの

心理がロボットとの対話行動を回避する方向に働くこと

が,心理実験により検証されている.表 1 に,ロボット

否定的態度尺度の下位尺度(測定される構成概念とそれ

に対応する項目群)と代表的尺度項目を示す.各下位尺

度が示す構成概念に対して,対応する項目の得点を合計

することによりその心理の強さを測定する.

NARS

のオリジナル版は日本語で開発され,その後標

準的な手続き(後述の back translation)を経て英語版

が作成されており,フランス語版 [Dinet 14] やポーラン

ド語版 [Pochwatko 15] も存在し,この尺度自体もしく

はその独自改訂版を用いた研究が幾つか行われている.

[Syrdal 09]

はロボットに対する否定的態度がロボット

の動作の評価に影響することを見いだし,[Tsui 10] は

遠隔ロボットの評価手法として否定的程度が利用可能で

あることを示している.また,ロボットに対する心理の

文化差研究として,この否定的態度を利用したものが幾

つか存在する [Bartneck 07, Nomura 14, Wang 10].

2・2 Technology Acceptance Model に基づく心理尺度

情報技術が人々に受け入れられる・拒否される要

因を予測することを目的として,[Davis 89] において

Technology Acceptance Model(TAM)が提案された.

この心理学的モデルは,特定の技術に対する「使いや

すさの知覚」(perceived ease of using),「有効性の知覚

(perceived usefulness)」が主な要因となって,その技

術を「利用しようとする意向」(intention to use)に影

響を与え,それが実際の利用行動に結びつくとしたもの

である.このモデルは,各構成概念を測定するための項

目群により一つの質問紙に対応しており,それ自体が心

理尺度として構成されている.提案以降,このモデルは

さまざまな情報技術の評価に用いられ,同時にさまざま

なバージョンが開発されている [Legris 03].

[Heerink 10]

は,オリジナルの TAM に,技術を「使

用する際の楽しさの知覚(perceived enjoyment)」や「技

術の信頼性(trust)」など新たに九つの構成概念を加え,

エージェント(実際にはロボット)技術独自のモデルを

構築している.表 2 に,[Heerink 10] において提案され

た尺度の構成概念と代表的項目を示す.

TAM

による心理尺度も,[Heerink 10] による提案以

降幾つかの研究において利用されている.その利用形態

においては,心理尺度が含むすべての構成概念ではなく,

「使いやすさの知覚」などの一部の構成概念を抜粋して

用いられるケースが多い.[岩村 11] では,スーパーマー

ケットでの買い物サポートロボットの実験時における

ユーザからの評価に,「使いやすさの知覚」,「使用する

際の楽しさの知覚」,「利用しようとする意向」の三つの

構成概念を用いている.[Nomura 15] では,人を評価す

るロボットと人側の評価懸念との関係を探索する実験に

おいて,「使いやすさの知覚」,「利用しようとする意向」,

「技術の信頼性」の三つの構成概念を用いている.

2・3 Godspeed Questionnaire

上記の NARS や TAM は,エージェントに限らない

情報技術一般に対する否定的感情や受入れ・拒否に関連

する研究を出自とするものであった.一方,HAI 一般で

はなく,ロボットに特化した Human-Robot Interaction

(HRI)の分野においてではあるが,独自の心理尺度・

質問紙を提案している研究がある.

[Bartneck 09]

は,HRI における主観評価のための

標準化ツールを目指して,“Godspeed Questionnaire”

を提案している.この心理尺度は,人間のロボットに

対する代表的な五つの知覚の構成概念,

「擬人化(anthro-pomorphism)」,「 生 命 性(animacy)」,「 好 ま し さ

(likability)」,「知性の知覚(perceived intelligence)」,

「安全性の知覚(perceived safety)」を,形容詞対項目

(例えば「機械的(machinelike)─人間的(humanlike)」)

表 1 ロボット否定的態度尺度(NARS[Nomura 06])の下位尺度と代表的尺度項目 下位尺度 項目数 代表的項目 ロボット対話否定的態度 6 私は,ロボットの前に立っただけで,とても緊張してしまうだろう.人が見ている前でロボットを利用すると,恥をかきそうだ. ロボット社会的影響否定的態度 5 ロボットに頼りすぎると,将来,何か良くないことが起こりそうな気がする.ロボットが子供の心に悪い影響を与えないか心配だ. ロボット対話感情否定的態度 3 ロボットと会話すると,とてもリラックスできるだろうロボットが感情を持ったら,親しくなれるだろう *. (*逆転項目.各項目の回答は「1.全くそう思わない」∼「5.全くそう思う」の 5 件法)

(3)

で与えられる相反する印象のどちらにより近いかを評定

することで測定しようとするものである.形容詞対項目

を利用する意味では後述の Semantic Differential 法と

同じであるが,“Godspeed Questionnaire”においては

表 3 に示すように形容詞対が選択・固定されている.

“Godspeed Questionnaire”はさまざまな言語に翻訳

され,すでに多くの研究で用いられている [Weiss 15].

例えば,[Tan 13] は独自開発のペット型ロボットの評価

にこの心理尺度を用いている.

2・4 HAI におけるその他の心理尺度

[Kamide 12]

は人型ロボットに限定した安全性の知

覚,特に物理的なものでなく心的な意味での安全性の知

覚に特化した心理尺度を提案している.この心理尺度

は,「効率性」,「人間性」,「無害性」,「堅牢性」など安

全性に関連する六つの下位尺度と合計 20 の項目から構

成される.また,同研究グループは人型ロボットの印象

評価に特化した心理尺度も提案している [Kamide 14].

人型ロボットに限定した他のものでは,[Syrdal 13] が

人型ロボットに対する不安や期待についての日本と英国

との比較を目的とした質問紙 “Frankenstein Syndrome

Questionnaire”を提案している.

その他の心理尺度では,NARS を開発した研究グルー

プによる対ロボット不安尺度 [Nomura 08b] や,長期に

わたるものを想定したロボットとの関係性(rapport)へ

の期待を測定する尺度 [Nomura 16] が提案されている.

表 3 “Godspeed Questionnaire”[Bartneck 09] の下位尺度と代表的項目 下位尺度 項目数 代表的項目

擬人化(anthropomorphism) 5 機械的(machinelike)─人間的(humanlike)人工的(artificial)─生物的(lifelike) 生命性(animacy) 6 活気のない(stagnant)─生き生きとした(lively)無関心な(apathetic)─反応のある(responsive) 好ましさ(likability) 5 親しみにくい(unfriendly)─親しみやすい(friendly)不愉快な(unpleasant)─愉快な(pleasant) 知性の知覚(perceived intelligence) 5 無能な(incompetent)─有能な(competent)無知な(ignorant)─物知りな(knowledgeable)

安全性の知覚(perceived safety) 3 不安な(anxious)─落ち着いた(relaxed)冷静な(calm)─動揺している(agitated)

(各項目,相反する形容詞を両極として 5 段階で評価) 表 2 エージェント用 Technology Acceptance Model [Heerink 10] の構成概念と代表的項目

構成概念 項目数 代表的項目 使用時の不安 4 私がこのロボットを使わなければならないとしたら,何かを壊しそうで心配だ.このロボットは不気味に見える. 技術に対する態度 3 このロボットを利用するのは良いことだ.このロボットは人生をより面白いものにしてくれそうだ. システム使用促進の環境要因 2 私はこのロボットを使ううえで必要なことはすべて知っている.私はこのロボットのことを十分に知っていてうまく利用できる. 利用しようとする意向 3 近い将来,私はこのロボットを使うだろうと思う.近い将来,私はこのロボットを使うつもりである. システムの適応能力の知覚 3 このロボットは私の必要とすることに応じることができると思う.このロボットは私が必要と思うときに助けてくれるだろうと思う. 使用する際の楽しさの知覚 5 このロボットに話しかけられるのは楽しい.このロボットは魅惑的だと思う. 使いやすさの知覚 5 このロボットは使いやすいと思う.私はなんの補助もなしにこのロボットを使うことができると思う. システムの社会的振舞い能力の知覚 4 このロボットは愉快な対話相手だと思う.このロボットは私のことを理解してくれているように感じる. 有効性の知覚 3 このロボットは私にとって便利だと思う.このロボットは多くのことで私を助けてくれると思う. 社会的影響 2 ここのスタッフは私がこのロボットを使うことを望んでいると思う.私がこのロボットを使えば,良い印象を与えるだろうと思う. 対話の際の社会的存在の有無 5 このロボットと対話していたとき,本当の人間と話しているかのように感じた.ときどき,このロボットが本当に私のほうを見ているかのように感じた. 技術の信頼性 2 このロボットがアドバイスをくれたら,私はこのロボットを信頼するだろう.私はこのロボットがくれたアドバイスに従うだろう.

注:[Heerink 10] からの独自翻訳であり,back translation は行われていない. (各項目の回答は「1.全くそう思わない」∼「5.全くそう思う」の 5 件法)

(4)

3.HAI におけるそのほかの主観評価法

HAI

では,心理学的な意味での妥当性が検証された

心理尺度を用いた主観評価研究は,上記の心理尺度が提

案される前にはほとんど存在せず,特定のタイプのエー

ジェントに対する独自の質問紙調査法を用いた主観評

価(例えば [Shibata 04])が行われていた.一方,信頼

性の高い方法として Semantic Differential 法(SD 法)

が用いられるケースも存在した [神田 01].この方法は,

多数の相反する意味の形容詞対を多数項目として用意

し,因子分析を経て項目群を抜粋後,因子得点を抽出し

てエージェントに対する印象評価の値とするものであ

る.しかし,“Godspeed Questionnaire”のように形容

詞対項目が固定されておらず,実験・調査のたびに因子

分析を施行する必要があるという負担がある.

心理尺度などの質問紙以外の主観測定法としては,

エージェントとの対話を行った人に対してインタビュー

を行う手法,特に質問内容を事前にある程度固定化した

心理面接法があり,ロボットに対する意識の探索に用い

た研究がある [Kahn 12, 浦谷 14].また,インターネッ

ト上での意見交換フォーラムでの多数の言説を分析する

ことで,ロボットに対する一般人の意識の抽出・分析を

行ったものもある [Friedman 03].

質問紙や面接法以外の主観測定法として近年話題と

なっているのは,潜在連合テスト(Implicit Association

Test: IAT)である [Greenwald 00].この手法は,評価

対象となる概念対(例えば人とロボット)と,快─不快

などの連合の対象となる概念対を刺激としてコンピュー

タ上に表示し,それらの分類作業に対する反応速度を

計測することで,質問紙などの「顕在的」指標ではす

くいきれない評価対象への潜在的な態度を測定するも

のである(IAT の概要については [森尾 07] を参照).

[MacDorman 09]

では,IAT を用いて日本人と米国人の

ロボットに対する潜在的態度の比較が行われている.

4.HAI 研究における主観評価法の問題点

4・1 自己報告形式の問題

2

章および 3 章で紹介した主観測定法は,IAT を除い

ていずれも測定対象となる人からの自己報告形式に頼っ

たものである.そのため,その信頼性と妥当性はあくま

で回答者がその心理に忠実に答えているという前提のも

とに成立するものである.しかしながら,実際には何ら

かの回答バイアスが生じる可能性(例えば他者から見て

望ましいと思われるように回答するなど)が指摘されて

いる [横内 07].

意図的なバイアスがないとしても,質問紙の場合,奇

数の選択肢がある場合に中央の選択肢を選択しやすい傾

向や,同じ質問紙の内容の設問でもコンピュータ上で実

施した場合と机上の紙で行う場合とでバイアスが異なる

ことが指摘されている.特に,近年インターネット上で

のオンライン質問紙調査が盛んになる中で,オンライン

調査会社のモニタが回答者となる場合,十分に項目文書

に注意を払わない傾向があることが指摘されている [三

浦 15].

4・2 心理尺度の一般性の問題

HAI

の実験・調査において特定の主観評価を行う場合,

基本的にはすでに信頼性・妥当性が検証された心理尺度

を(教示文も含めて)そのまま使用することが望ましい.

しかし,研究対象とするエージェントのタイプ(例えば

スクリーンキャラクタか身体化されたロボットか,その

両方の比較か)によっては,それが難しい場合がある.

“Godspeed Questionnaire”や SD 法による形容詞を

用いた質問紙の場合は,エージェントのタイプが質問紙

の内容に影響を与えることはない.しかし,NARS のよ

うにロボットを前提として開発された尺度は,あくまで

その信頼性と妥当性はロボット対象の実験・調査に限定

されるものである.そのため,質問項目の文章を単純に

「ロボット」から「∼エージェント」に置換しただけでは,

その尺度が十分な信頼性と妥当性を有していることは保

証されない.

既存のロボット関連尺度を一般エージェントに拡張し

て使用したい場合は,上記の単語の置換を行った後,改

めてパイロットテストを行い,その改編型尺度が心理統

計上の整合性や信頼性を備えているかを検証した後,本

来の研究に導入する必要がある.しかし,これは実質上

新たな心理尺度を開発するのに等しい時間と労力を必要

とするものであり,単一の研究内で行うのは困難である.

これは,特定のエージェントに特化した尺度をロボット

などの他のタイプのエージェントに流用しようとする場

合も同じであり,従来の人間を研究主体とした心理領域

にはない HAI 独自の問題である.

さらにこの問題は,多文化間の比較研究の際に大きな

困難となる.従来の人間を研究主体とした心理領域にお

いても,一つの心理尺度を他の言語(例えば英語)に翻

訳して展開する場合は,オリジナルの言語から英語版を

異なる二者が作成し,それをまた異なる二者が日本語に

逆翻訳して,オリジナルの日本語に近いほうの項目文書

を選択するというプロセス,いわゆる back translation

が必要になり,かなりの労力が必要となる.さらにこの

とき,「エージェント」という語に対するイメージが文

化間で異なっている場合,通常の back translation だけ

では項目文章の解釈が異なる可能性があり,エージェン

トタイプの違いと同様にエージェントに対するイメー

ジの違いが新たな検証プロセスを要求する.このため,

HAI

における主観評価の文化間比較は慎重にならざるを

得ず,エージェントタイプを(例えば身体をもつロボッ

トに)特定するか,特定の構成概念の測定以前にエー

(5)

ジェントのイメージの文化間比較を先行させる(例えば

[Nomura 08a])必要がある.

5.お わ り に

主観評価法の中でも,面接法や IAT などの潜在指標測

定,ましてや脳計測に比べて,現時点において最も扱い

やすいのはやはり心理尺度などの質問紙法である.その

長所は,比較的短時間でなおかつ多人数の主観現象を把

握でき,分析結果の一般化がしやすい点にある.しかし,

同時に 4 章で示した短所も存在する.特に,HAI 研究に

おける独自の問題も存在する.

ウェアラブルコンピューティングと脳計測技術の発達

により,人の生理指標データはより簡便に計測可能とな

ることが予想される.しかし,これらの客観データと合

わせ,HAI においてはやはり主観評価データは重要であ

ると考える.これは,どのような技術も最後は Quality

of Life(QOL)の向上につながるべきであり,この

QOL

は最後は主観判断であると考えられるからである.

そして,上記の主観判断を確実かつできる限り迅速に

測定するためには,やはり測定法を研究者コミュニティ

内で共有する仕組みが必要である.心理尺度はその開発

に時間と手間はかかるが,逆に一度妥当性と安定性が保

証された尺度は,使用法を大幅に逸脱しなければ誰でも

何度でも利用可能である.このような尺度を多数集めて

まとめて出版する試み(例えば [堀 01-11])や,学会が

その論文誌に掲載された尺度や測定法をまとめて公開す

る活動(例えば日本パーソナリティ心理学会の「心理

尺度の広場」(http://jspp.gr.jp/doc/scale00.

html))などは,非常に有効であると考えらえる.ま

た,開発した研究者個人が広報活動を行うこと(例え

ば Godspeed Questionnaire の開発者である Christoph

Bartneck

はそのための HP(http://www.bartneck.

de/2008/03/11/the-godspeed-questionnaire-series/)を展開している)も推奨されるべきである.

◇ 参 考 文 献 ◇

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(2015)

2015

年 12 月 18 日 受理

著 者 紹 介

野村 竜也 1964年生まれ.1987 年大阪大学理学部数学科卒 業.1989 年同大学院理学研究科数学専攻修士課程 修了.同年,シャープ株式会社入社.1995 ∼ 98 年 まで ATR 人間情報通信研究所に出向.2000 ∼ 04 年まで阪南大学経営情報学部助教授.現在,龍谷大 学理工学部情報メディア学科教授および ATR 知能 ロボティクス研究所非常勤客員研究員.工学博士. Human-Robot Interaction,教育工学などの研究に従事.

図 1 心理尺度の基本構造
表 3  Godspeed Questionnaire [Bartneck 09] の下位尺度と代表的項目

参照

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