work engagement と職業性 スト レ スおよび
働く 目的 との関連
臨 床こ 理 学 専 修P07603 小 畑 周 介 ( 指 導 教 員 森下 高 治 教 授 ・ 神 澤 創 教 授) 問 題 現代 社 会 に お い て 職芙 歐 スト レ ス は重 大 な 健 康問 題 と な っ て い る が、 こ れ ま で 企 業 の メ ン タ ル ヘ ル ス対 策 は、 職 芙 歐 スト レ スな ど の ネ ガ テ ィ ブ な 側 面 を 捉え 、 そ れ を 軽 減 す る こ とを 主 眼 と し て き た。 ネ ガ テ ィ ブ な 側 面 の 軽 減 さ せ る 必 要 性 は言 う ま で もな い が 、 従 業 員 が 活 き 活 き と 仕 事 を し、 ま た 企 業 組 織 と し て の パ フ ォ ーマ ン ス向 上 を 図 る に は 、 ポ ジ テ ィ ブ 要 因 も評 価 し て い き な が ら メ ン タ ル ヘ ル ス 活 動 を 進 め る 必 要 か お る。 仕 事 に 誇 り や やり が い を 感 じ 、 熱 心 に取 り 組 み 、 仕 事 か ら活 力 を 得 て 活 き 活 さ し て い る 状 態 を 表 す 概 念 と し てwork engagement か お る。 workengage-ment は 、Schaufeli ら （2001 ） に よ り 「 仕 事 に関 連 す る ポ ジテ ィ ブで 充 実 し た状 態 で あ り 、 活 力(vigor) 、 献 身(dedication) 、 没 頭 (absorption) に よ っ て 特 徴 づ け ら れ 、 仕 事 全 般 に向 け ら れ た 持 続 的 な感 情 一認 知 の状 態 の こと 」 と定 義 さ れ て い る。 本 研究 で は、 企業 で 耡 く人 々 の職 場 の スト レ ス要因 と スト レ ス反 応、work engagement 、 心 が け て い る 休 日 の過 ご し 方 、 働 く 目 的 を 、 質 問 紙 調 査 に よ り 把 握 し 、 個 人 や 組 織 の パ フ ォ ー マ ン ス を 促 進 す る と さ れて い るwork engagement と 他 の 要 因 と の 関 連 性 に つ い て 、 検 討 す る こ と を 目 的 と し て い る。 ま た、 NIOSH 職 業 ス ト レ スモ デ ル を 参 考 に し な が ら、work engagement 含 め た 形 で の ス ト レ ス モ デ ル の 検 討(Fig.1) を 行 う。 --一一亟 従属変数:work engagement → 従属変数：スト レス反応 Fig.1 work engagement を 含 め た 職 業 性 スト レ スの 検 討 モデ ル −52 −
方 法
調 査対 象 調 査 対 象 と し た ５企 業 に 勤 務 す る 710名 （ 男 性404 名 ・女 性306 名 ）、 平 均 年 齢 38.8歳 。 質 問 紙 職 業 性 ス ト レ ス 簡 易 調 査 票 （ 中 央 労 働 災 害 防 止 協 会 、 下 光 ・ 原 谷 、1998) と work engagement 尺 度 の 短 縮 版 （ 島 津 邦 訳 、2007） を 使 用 し、 さ ら に 匚心 か け て い る 休 日 の 過 ご し方 」、 匚休 日 の 満 足 度 」、 匚働 く目 的 」 に関 す る質 問 項 目 を 作成 ・追 加 し 、 匚仕 事 と 余 暇 に 関 す る 調 査 」 と し て 全86 項 目 で 構 成。 分 析 方 法 ①work engagement と 職 業 性 ス ド レ ス と の 各 項 目 間 の相 関 係 数 の 算 出 （ 属 性別 ）、 ② 各 尺 度 得点 の 算 出 （ 部 署別 ）、 ③ 従 属 変 数 をwork engagement お よ び スト レ ス反 応 と し て の 階 層 的 重 回 帰 分 析。結果 と 考 察
Tablel 、Fig.2 等 の 結 果 よ り 、work engagement と スト レ ス要 因 の関 連 につ い て 、 匚感 じ て い る 仕 事 の 適 性 度0=.440) や 匚職 場 で の対 人 関 係 の スト レ スJ (r=.317) な ど 特 定 の スト レ ス要 因 と の関 連 が 認 め ら れ た．
Table l work engagement と職業 性ストレス要因 の相関
WE work engagement S1 心 理的 な 仕事 の負 担 （量） S2 心 理的 な 仕事 の負 担 （質） S3 自覚的 な 身体 的負 担 度 S4 職 場 の対 人関 係で の スト レ ス S5 職 場 環境 によ る スト レ ス S6 ｲ士事 のコ ント ロ ール 度 S7 技 能 の活 用 度 S8 感 じ てい る仕 事 の適 性度 S9 働き がい 偏 差 値 ︵ 全 休 平 均 を50 と し て ︶ 5 0 5 0 5 0 ｒ ｎ ｕ 6 6 5 5 4 4 Q ｕ
／
WE Ｓ１ S2 関 係 一 S3 .020 .116** .587** .014 .201** .221** -.317** .267** .147** -.213** .061 .062 .279** -.191** -.146** -.111** -.230** -.270** .440** -.078* .009 .539** -.045 .072 S4 S5 S6 87 88 136** 036** .339** 294** -.305** -.305** 060 .041 .122** -.106** 029 -.324** -.169** .324** -.108** 026 -.396** -.210** .326** -.125** .616** ・ＷＥ低 い ＷＥやや低い ＷＥやや高い Fig.2 職 業 性 ス トレ スのWE4 群 比 較 ― 53 ― ・ＷＥ高 い *P<.05. **P<.01work engagement と ス ト レ ス 反 応 と の 各 項 目 開 で は、 抑 う つ 感(r=-.465) 、 疲 労 感 ０= -.347)、 イ ラ イ ラ 感(r=-.334) な ど、 有 意 な 負 の相 関 が 認 め ら れ た． 緩 衝 要 因 と して 職場 内 外 の支 援 で は、 匚上 司 に よ る サ ポ ー トJ 0=. 334) 、 匚部下 に よ る サ ポ ー トJ (r=.208) の 順 で と もに 有 意 な 相関 が示 さ れた． 属 性別 で は、 年 代 別 に み た 場 合 、30 歳 代 未 満 が 最 も低 く、 年 代 が 上 が る につ れ、work engagemen 七が 高 く、 分 散 分 析 か ら主 効 果 に 有 意 な 差 が 認 め ら れた． 配 偶者 お よ び子 ど もの 有無 につ い て 、 い ず れ も[ あ り] の 方 がwork engagement は高 く、 い ず れ も有 意 な 差 が 認 め ら れ た． 働 く 目 的 と の 関 連 で は、 匚生 活 の 張 り 合 い の た めJ (r=.499)、匚企業 と社 会 の た めJ (r=.466)、 ( 能 力 向 上 ・ 可 能 性 の た めJ (r=.438) 、( 人 と の ふ れ 合 い の た めJ (r=.406) の 項 目 に お い て 、work engagement と の 正 の 相 関 が 認 め ら れ た ． 階 層 的 重 回 帰 分 析 を 用 い たwork engagement を 含 め た 職 業 性 ス ト レ ス の 検 討 の 結 果 、work engagement は ス ト レ ス 反 応 へ の 影 響力 は弱 く、 ス ト レ ス反 応 に 対 す る 緩 衝 要 因 と 捉 え る より は、 職業 性 スト レ ス の 結 果 で あ る と い う 見方 が 妥 当 で あ る と い う 結 果 と な っ た。 た だ し 、 さ ら な る 分 析 に よ って 、 緩 衝 要 因 と し て の 役 割 か お る こ と を 見 出 せ る 可 能 性 も残 し て い る と 考 え る。 本 研 究 に よ り 、work engagement が 、 心 理 的 に ポ ジテ ィ ブ な 状 態 を 示 す こ と が 確 認 で き、 目 指 す べ き 方 向 性 と な り う る もの と 考 え る。 さ ら に 「対 人 関 係 」 や 匚仕 事 の 適 性 度 」、 匚上 司 か ら の サ ポ ー ト 」 な ど 関 連 の あ る 要 因 が 明 ら か に な っ た こ と で 、 職場 の 活 性 化 へ の ヒ ント と な る も の と 考 え る。 引 用 文 献
Schaufeli, S., & Bakker, A. 2003 Utrecht Work Engagement Scale Preliminary Manual, Occupational Health Psychology Unit, Utrecht University 小 杉 正 太 郎 ・ 鈴 木 綾 子 ・ 島 津 明 人(2006) Work Engagement に 関 す る心 理 学 的 ス ト レ ス 研究 か らの検 討 産業 スト レ ス研究, 13, (4), 185-189. 島 津 明 人 （2007 ） 個 人 ・ 組 織 の 活 性 化 と メ ン タ ル ヘ ル ス 関 西 福 祉 科 学 大 学ＥＡＰ 研 究 所 紀 要 ， (2), 1-3. ― 54 ―
