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新卒看護師の職場適応の認識の変化と対応 : 新卒看護師の非職場適応者に対する適応対策への提言 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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全文

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氏 名 石井 くみ子 博士の専攻分野の名称 博 士 ( 看護学 ) 学 位 記 番 号 医工博甲 第308号 学 位 授 与 年 月 日 平成27年3月18日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 ヒューマンヘルスケア専攻 学 位 論 文 題 名 新卒看護師の職場適応の認識の変化と対応―新卒看護師の非職 場適応者に対する適応対策への提言―

(Recognition of New Graduate Nurse’s Job Adaptation and Correspondence-Suggestion for Nursing Administrator and Preceptors of Adaptation Methods for Non―Job Adaptation’s New Graduate Nurses―)

論 文 審 査 委 員 委員長 教 授 水野 恵理子 委 員 教 授 田辺 文憲 委 員 教 授 浅川 和美 委 員 教 授 中本 和典 委 員 教 授 宮村 季浩 委 員 非常勤講師 中村 美和子

学位論文内容の要旨

(目的) 新卒看護師(以下:新卒者)の非職場適応者(就職後9ヶ月以内に休職あるいは退職した 新卒者,以下:非適応者)の職場適応を適応者および指導者と比較して特徴を明らかにし, その分析結果をもとに非適応者の職場適応対策を指導者ならびに管理者に向けて提言する. (方法) 1.研究デザイン:縦断的調査研究 2.対象:A県内病院2施設に勤務する新卒者と指導者67組,合計134名 3.調査内容:基本属性,新卒者の職場適応の調査項目28項目(新卒用:Chronbachα=.921 指導者用:Chronbachα=.934) 下位尺度は上司関係6項目,職場自立度4項目,同僚関係5項目,患者関係5項目, 職場環境5項目,仕事関係2項目,職場規則1項目合計28項目を用いた. 4.調査方法:看護基礎教育修了直後から1年以内の4月に就職した新卒者とその指導者に1期 (就職後3ヶ月目),2期(就職後6ヶ月目),3期(就職後9ヶ月目)に渡り,同意を得た対象 に自記式調査を実施した.調査票の回収は,留置き法とした. (データ分析) 1.基本属性と1期・2期・3期の適応者の認識・指導者の認識と1期・2期に欠損値のない非適応者

(2)

と指導者の認識は,記述統計を用いた. 2.1期・2期・3期の新卒者・適応者と指導者の職場適応の認識の比較はWilcoxon符号付順位検 定を用いた. 3.1期・2期・3期の職場適応の適応者の認識の変化と指導者の認識の変化はWilcoxon符号付順 位検定(Bonferroniの多重比較)を用いた. 4.非適応者と指導者の1期・2期の職場適応の認識の変化はWilcoxon符号付順位検定を用いた. 5.非適応者と指導者の1期・2期の職場適応の認識の関係はSpearmanの順位相関係数を用いた. 6.データ分析には統計解析ソフトIBM SPSS Statistics 20.0 Advanced を用いた.

(結果) 1.非 適 応 者 (退 職 者 1名 ・ 休 職 者 3名 )と 適 応 者 ( n=42) の 認 識 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た . 2.退職者は,適応者と比較すると1期・2期の各26項目/28項目が低値であった.上司関係,職場自 立度,職場環境,仕事関係,職場規則,同僚関係(下位項目),患者関係(下位項目)が低値であっ た.同僚関係の1期2期の「給与に満足している」と1期の「同僚の仕事を助ける」と2期の患者 関係の「患者に医療的処置をできる」が同値であった.指導者と比較すると1期の「職場では教 えを受けやすい」「職場の看護方式についていける」は高値であった.上司関係,職場自立度, 同僚関係,患者関係,職場環境,仕事関係の下位項目の13項目は,同値であった.同様の下位 尺度の12項目と職場規則は,低値であった.2期は,「看護業務の内容が苦痛でない」「失敗・苦 痛時には同僚から支援が得られる」患者関係・職場環境(下位項目)の6項目が高値であった.「職 場・病院の規則に慣れた」「勤務時間を遵守できる」「休暇・欠勤・遅刻時の事前届け出を守れて いる」「職場では失敗や苦言を言われない」「職場の状況を判断して動けるようになった」「職場 では努力や勤勉さが評価される」が低値であった. 3.休職者は,適応者と比較すると1期・2期ともに高値の項目が多かった.特に「上司の自分に対す る評価がストレスになっていない」「職場の状況を判断して動けるようになった」「失敗・苦痛時 には同僚からの支援が得られる」「患者に医療的処置ができる」などが高値傾向にあった.「同僚 に苦しいことを相談できる」は1期より2期が低値であった. 指導者と比較すると「職場の状況を 判断して動けるようになった」「失敗苦痛時には同僚からの支援が得られる」「同僚の仕事を助け ることができる」「患者に医療的処置をできる」「職場では教えを受けやすい」「同僚からの注意 も素直に受け止めることができる」「職場では失敗や苦言を言われない」が高値の傾向にあった. 「職場・病院の規則に慣れた」「勤務時間を遵守できる」は低値傾向にあった。 (考察) 1.退 職 者の 特 徴と 課 題 退 職 者 は, 就 職後 6 ヶ月 を 経 過し て も患 者 や同 僚 ・ 上司 と の関 係 が十 分 に 築け な い現 実 を 認 識し て いた .患者 の 援 助や 看 護業 務 の遂 行 ,上 司 への 報 告や職 場・病 院 の規 則 に 慣 れ ず ,勤 務 時 間や 事前 届 出 も遵 守 でき て いな い 状 況も 認 識し て いた が ,スキ ル の 獲得 な ど 改 善を 見 ない ま ま6 ヶ 月 が経 過 した と 考え る .この 状 況 は,退職 に つ なが る 要因 が 多 か っ たと 考 える .認識 が 低 いま ま の新 卒 者の 指 導 は,指 導 者1 人で は 負 担が 大 きく 教 育 体 制 や役 割 の検 討 も課 題 と 考え る .

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2.休 職 者の 特 徴と 課 題 休 職 者 は , 就 職 後 3 ヶ 月 目 ,6ヶ 月 目 と も に 適 応 者 と 指 導 者 よ り 職 場 適 応 の 認 識 が 高 い 傾 向 に あ っ た . こ れ は , 自 己 評 価 が 他 者 評 価 よ り 高 く , 未 熟 な 新 卒 の 時 期 に 自 己 の 課 題 が 見 い だ せ な い こ と を 示 し て い る . こ れ は , 実 際 の 場 面 で の 失 敗 等 に 繋 が り リ ア リ テ ィ シ ョ ッ ク や 退 職 へ と 陥 る 危 険 性 が あ る . 予 防 は , 職 場 の 豊 か な 人 間 関 係 と 相 互 理 解 を 深 め , 妥 当 な 自 己 評 価 と ス キ ル ア ッ プ が で き る 関 わ り の 検 討 が 必 要 で あ る . 休 職 者 は , 同 僚 か らの 助 言や 注 意,支 援 にも 関 わら ず ,苦し い こ とを 相 談が で きな い 傾 向に あ った . 新 卒 時 早 期 か ら の 同 僚 や 指 導 者 へ 相 談 で き る 体 制 づ く り ( 師 長 , 上 司 , 同 僚 と の 協 力 体 制 ) を 強化 し ,早 期 から 誰 に でも 相 談で き る体 制 づ くり が 課題 で ある . 3.新卒者の職場適応のための対策と課題 新卒者が少しでも早期に職場適応でき,退職や休職に至らぬように自己評価,他者評価にて認識 を把握する機会を設け,評価が低過ぎる者,高過ぎる者を把握し,看護管理者による早期からの個 別指導が必要と考える. また,新卒者の抱える問題を管理者は早期に把握・対応し個別に相互に 話し合い,改善策を見出すことで指導者の負担軽減と新卒者の士気向上にも繋がると考える.新卒 者の退職・休職の予防のために新卒1年目の教育体制の見直しと内容の整備が課題である. (結論) 退職者の特徴は,患者・同僚・上司と関係が築けない,看護業務が苦痛である,職場・病院の規 則が遵守できないと職場適応の認識のほとんどの項目が適応者より低いことであった. 休職者の特徴は,就職後6ヶ月まで「職場の状況を判断して動けるようになった」「患者に医療 的処置ができる」等と認識し自己の課題が認識できていないことであった.職場適応の認識は適応 者および指導者より高い項目が多かった. 新卒看護師の職場適応促進のための対策と課題は,患者・同僚・上司との関係や看護業務の苦痛, 職場・病院の規則の遵守,自己の課題を認識できるなどの課題の改善のために 1 年目の教育体制の 見直しが必要である. 非適応者への対応の課題は,就職後早期から職場適応の自己評価,指導者などからの他者評価の 機会を設け,評価が低過ぎる者,高過ぎる者を把握し看護管理者による早期からの個別指導が必要 である.

論文審査結果の要旨

本研究の目的は、新卒看護師における非職場適応者の特徴を、新卒看護師による自己評価と指導者 による他者評価との比較で明らかにし、非適応者の職場適応対策について提言することである。研究 対象者は、県内2 病院に勤務する新卒看護師と指導者 67 組 134 名であり、基本属性のほか、就職 3 ヵ月後、6 ヵ月後、9 ヵ月後に新卒者の職場適応調査用紙による自記式調査を行った。分析の結果、 非適応者のうちの退職者の認識は、3 ヵ月後、6 ヵ月後ともに調査項目の多くが適応者に比べて低値 であった。退職者は、患者・同僚・上司との関係が築けない、看護業務が苦痛である、職場・病院の 規則が遵守できない傾向があった。休職者は、自己の課題が認識できていないことが特徴的であった。

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以上より、新卒看護師の職場適応の促進のために 1 年目の教育体制の見直しが必要であること、非 適応者へは就職後早期からの職場適応の自己評価、プリセプター等からの他者評価の機会を設け、管 理者による個別指導が必要であることが示唆された。 1.学位論文研究テーマの学術的意義 わが国の新卒看護師の早期離職率は約8%という決して見過ごすことのできない値である。 職場適応が難しい新卒看護師に対する病院や看護管理者が行うべき対策は今後ますます重要となるため、 離職予防や非適応者への早期対応策を検討することは意義がある。 2.学位論文及び研究の争点、問題点、疑問点、新しい視点等 審査委員より、看護師の職場適応度測定尺度を使用した理由と意味、分析の流れの明確化、非適応 者(退職者、休職者)の吟味、非適応者への具体的な対策、論文記述の洗練化に関する質問と意見が あった。 3.実験及びデータの信頼性 新卒看護師と指導者のペアを対象とし、就職3 ヵ月後・6 ヵ月後・9 ヵ月後に従って対象者数が減 少していたが、分析を十分に行うことができる数であり、調査用紙の配布・回収についても正当な手 順を踏んでおり、データは信頼できるものと考える。 4.学位論文の改善点他 申請者は、公開発表会および審査委員からの意見について検討し、修正した。読み手が捉えにくい 箇所が複数あったため、伝わる表現を意識して論文を記述する必要はあった。同一対象者(組)を3 時点追っていき縦断的調査を行ったことは申請者の努力によるものである。 以上より、審査委員は、本論文が本学博士課程ヒューマンヘルスケア学専攻の学位論文として相応 しいものであると認めた。

参照

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