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証券制度における財務報告での環境開示--カナダ証券管理局「環境報告指針」

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(1)商経学叢. 第58巻 第2号2011年12月. 証券制度 における財務報告での環境開示 一 カ ナ ダ 証 券 管 理 局 「環 境 報 告 指 針 」 一. 川 要旨. 原. 尚. 子. カ ナ ダ証 券 管 理 局 は2010年 に 「CSAス タ ッ フ通 知51-333一 環 境 報 告 指 針 」(「環 境 報 告. 指 針 」)を 公 表 した 。 「環 境 報 告 指 針 」 は既 存 の 制 度 の 枠 組 み で,報 告 書 発 行 者 に対 して,明 瞭 で 一 貫 した 包 括 的 で 信 頼 で きる 環 境 開 示 に関 す る意 味 あ る環 境 情 報 の伝 達 を 求 めて い る。 「環 境 報 告 指 針」 は環 境 開示 の透 明 性 と品 質 を改 善 す る可 能 性 が あ る。 しか し,環 境 情 報 の 信 頼 性 を確 実 にす るた め の効 果 的 な 戦 略 と プ ロセ ス を発 行 者 が 確立 す る こ とが不 可 欠 で あ る。. キ ー ワー ド 環 境 開 示,環 境 負 債, 環 境 リス ク,資 産 除 去 債 務,国 際 財 務 報 告 基 準 原 稿 受 理 日2011年9月28日. AbstractTheCanadianSecuritiesAdministratorsissuedCSAStaffNotice51-333, EnvironmentalReportingGuidance(hereafter"theGuidance")in2010.TheGuidance requiresreportissuerstoensurethattheycommunicatemeaningfulenvironmental informationintermsofclear,consistent,comprehensiveandcredibleenvironmental disclosurewithintheexistingregulatoryreportingframework.TheGuidanceseeksto improvetransparencyandqualityofenvironmentaldisclosure.However,itisessentialfor theissuerstoestablisheffectivestrategiesandprocesseswhichwillensurecredible environrnentalinforrnation.. Keywords. environmentaldisclosure,environmentalliabilities,environmentalrisk,assets retirementobligations,InternationalFinancialReportingStandards:IFRSs. 一57(237)一.

(2) 第58巻. 1問. 第2号. 題 の所 在. 地 球 環 境 問 題 の深 刻 化 と そ の解 決 の た め の環 境 法 規 制 の強 化 を背 景 に,企 業 を取 り巻 く 環 境 問 題 が そ の企 業 の財 務 あ る い は事 業 に重 要 な影 響 を及 ぼす か,あ. る い は及 ぼす 可 能 性. が あ る事 実 や 状 況 は,環 境 関 連 情 報 と して 投 資 家 の意 思 決 定 に有 用 な情 報 と して 認 識 され っ っ あ り,そ の情 報 開 示 要 求 に対 応 した財 務 報 告 で の適 切 な環 境 情 報 開 示 の重 要 性 が 近 年 高 ま りつ つ あ る。 財 務 報 告 で 開 示 され る情 報 は,そ の説 明 の様 式 や 内 容 の性 質 に よ り,財 務 諸 表 や 注 記 に よ る財 務 情 報 と,財 務 情 報 を追 加 補 完 す る非 財 務 情 報 に区 分 され るが,と. りわ け相 互 に関. 連 す る場 合 に は 企 業 内容 を 包 括 的 に 把 握 す る上 で は,ど ち ら も非 常 に重 要 な 説 明 とい え る。 前 者 の財 務 情 報 の範 疇 で 重 要 な環 境 関 連 情 報 を扱 う可 能 性 が あ る主 な分 野 に は,環 境 負 債 あ る い は 資産 除 去 債 務 の 会 計 情 報 が挙 げ られ る(1)。 一 方,後 者 の非 財 務 情 報 の 範 疇 で 重 要 な環 境 情 報 を扱 う可 能 性 が あ る の は,財 務 情 報 を追 加 補 完 す る 目的 で 記 載 が 可 能 な財 務 報 告 書 類 の 中 の 様 々 な 箇 所 が 該 当 す る。 日本 の 有 価 証 券 報 告 書 で い え ば,「 事 業 の 概 況 」,「経 営 者 の討 議 お よ び分 析 」(MD&A),「. 事 業 等 の リス ク」,あ るい は 「コー ポ レー. ト ・ガバ ナ ンス の状 況 」 な どが 該 当 し,こ こで 重 要 な環 境 関 連 情 報 を説 明 す る こ とが 可 能 で あ る。 しか し,環 境 情 報 を説 明 す る際 に問 題 と な るの は情 報 の 信 頼 性 で あ る。 財 務 報 告 で 環 境 情 報 を ど の よ う に開 示 す るか,そ の信 頼 性 を どの よ うに担 保 す るか の 枠 組 み,財 務 情 報 と 非 財 務情 報 を関 連 させ た 開示 の適 切 性 や十 分 性 な ど,信 頼 性 を巡 る議 論 は未 だ 途 上 に あ る。 非 財 務 情 報 は財 務 情 報 に対 して 追 加 補 完 的 な役 割 を示 す 叙 述 説 明 と して 位 置 づ け られ が ち で あ るが,環 境 問 題 に特 有 な将 来 の 不 確 実 性 や 見 積 も り の困 難 な 状 況 に っ い て の説 明 は,将 来 の企 業 価 値 を投 資 家 が 予 測 す る た め の不 可 欠 な情 報 と な り う る た め,財 務 情 報 と 一 貫 した文 脈 で 包 括 的 に取 り扱 う こ とが 期 待 され る。 環 境 問 題 にか か る財 務 諸 表 上 の金 額 へ の重 要 な影 響 に関 連 した,過 去 あ る い は将 来 の コ ス ト情 報 に留 ま らず,不 確 実 性 の存 在 や リス ク認 識 の程 度,あ. る い は将 来 予 測 な ど の情 報 開 示 に投 資 家 の関 心 が 高 ま りつ つ あ る. と いえ る。 環 境 問 題 へ の企 業 の説 明 責 任 に対 す る一 般 社 会 か らの圧 力 の増 大 と と も に,環. (1)「 資 産 除 去 債 務 に関 す る会 計 基 準 」(企 業 会 計 基 準 第18号)お よ び 「資 産 除 去 債 務 に関 す る会 計 基 準 の適 用 指 針 」(企 業 会 計 基 準 適 用 指 針 第21号)は,2008年3月31日 に公 表 さ れ,2010年4月 1日 以 降 開 始 す る事 業 年 度 か ら,財 務 諸 表 の 作 成 に適 用 され て い る。 一58(238)一.

(3) 証券制度 にお ける財務報告での環境開示(川 原) 境 事 故 な ど不 測 の事 態 に お け る 巨額 な環 境 関 連 支 出 の潜 在 性 は投 資 家 等 に と って 企 業 価 値 を棄 損 す る財 政 上 の重 大 な関 心 事 で あ るか らで あ る。 重 要 な環 境 情 報 は財 務 諸 表 で 表 示 され た金 額 の 説 明 に と ど ま らず,予 測 可 能 な時 点 で, 適 切 に利 害 関 係 者 に説 明 す る こ とが 期 待 され る。 例 え ば,環 境 負 債 や 資 産 除 去 債 務 の会 計 項 目 の開 示 で いえ ば,そ の将 来 コ ス トを公 正 価 値 で 算 定 す る際 の根 拠,財 務 情 報 に表 示 さ れ て い な い状 況 の存 在,公 正 価 値 測 定 で 算 定 で き な い理 由や 不 確 実 な状 況 の存 在,関 連 環 境 法 規 制 の現 状 と将 来 の法 改 正 の見 通 し,環 境 リス ク の特 定 と対 応,企 業 統 治 にお け る環 境 問 題 の監 視 お よ び報 告 に関 す る責 任 体 制 な ど,明 瞭 に一 貫 した文 脈 で 説 明 す る こ とが 重 要 と な る。 ア ス ベ ス トお よ び有 害 物 質 な ど の環 境 問 題 で いえ ば,こ れ らの管 理 や 処 理,鉱 山 閉 鎖 に伴 う処 理,汚 染 除 去,環 境 回 復 な ど につ いて 現 状 で は何 ら対 応 が 必 要 で な い場 合 で も,国 際 的 な環 境 法 規 制 の 強 化 の 傾 向 に鑑 み,法 順 守 対 応 の た め の将 来 支 出 が 予 想 さ れ,財 務 あ る い は事 業 に重 要 な影 響 を及 ぼす 可 能 性 を説 明 す る こ とが 重 要 と な る。 こ の よ う な観 点 か ら,投 資 家 へ の透 明 性 の高 い財 務 情 報 を提 供 す る市 場 環 境 を整 え る た め,カ ナ ダで は国 内 証 券 市 場 監 督 者 を 統 括 す る カ ナ ダ証 券 管 理 局(CSA)が,「 通 知51-333環. 境 報 告 指 針 」(2010年10月27日)(「. 環 境 報 告 指 針 」)を 公 表 し,財 務 報 告 に. お け る よ り適 切 な 環 境 問 題 の情 報 開 示 を要 請 した(2)(3)。 背 景 と して,カ 証 券 市 場 で は,2011年1月1日 準(IFRS)を とIFRSと. ス タ ッフ. ナ ダ の オ ン タ リオ. 以 降 の所 定 の財 務 報 告 の作 成 開 示 にお いて 国 際 財 務 報 告 基. 制 度 適 用 して い る(4}。この 適 用 に鑑 み,カ. ナ ダ会 計 基 準(CanadianGAAP). の 間 に あ る,環 境 負 債 や 資 産 除 去 債 務 に関 す る会 計 基 準 な ど,重 要 な 会 計 基 準. の差 異 が実 務 上 の 重 要 な課 題 と認 識 さ れ て い る。 この 課 題 に対 応 す るた め に,「 環 境 報 告 指 針 」 は,証 券 市 場 で 継 続 開 示 義 務 の あ る財 務 報 告 の発 行 者 に対 して 適 切 な検 討 と対 応 を 求 め て い る。 「環 境 報 告 指 針 」 で は環 境 問題 に関 連 した環 境 負 債 や 資 産 除 去 債 務 の情 報 の み な らず,環 境 リス ク情 報 や 企 業 統 治 に関 す る情 報 を適 切 に開 示 す る こ とを 要 請 して い る。 環 境 負 債 や 資 産 除 去 債 務 に は財 務 諸 表 の認 識 お よ び測 定 に重 要 な影 響 を与 え る可 能 性. (2)カ ナ ダ 証 券 管 理 局(CSA)は,カ ナ ダ 資 本 市 場 規 則 の 改 善,調 整 お よ び調 和 を 目的 と す る カ ナ ダ の 州 お よ び カ ナ ダ 準 州 の 証 券 監 督 者 を 自 主 的 に 統 括 す る 組 織 で あ る。CSAは,資 本市 場 と そ の 参 加 者 に 影 響 す る 政 策 決 定 に 関 す る 意 見 の 一 致 を 目 的 と す る 。 ま た,継. 続 開 示 お よび 目論 見. 書 の 検 査 の よ う な,カ ナ ダ 中 で 規 制 プ ロ グ ラ ム が 交 付 さ れ る 際 の 協 力 を 目 的 と す る。(http:// www.securities-administrators.ca/aboutcsa.aspx?id=45&linkidentiner=id&itemid=45)。 (3)CSA(2010). (4)オ ン タ リオ 証 券 委 員 会(OSC)に よ るIFRS関 と し て 米 国 会 計 基 準 の 適 用 も認 め ら れ て い る(翻 5ECB∫. π67∫,1Vと漉oπ α♂Zη ∫〃%耀. πオ52-10Z.466勿. 連 修 正 条 項3.7項 に よ れ ば,米 国 上 場 企 業 に は 依 然 ∂∫6漉oη37.46c6伽 ∂16.46co観'ガ πg-P肋 吻Zθ5ノ ∂7 励16.4660襯. 伽9P珈. S孟αη4α74s,10December2010,http://www.osc。gov.on.ca/en/SecuritiesLaw_rule_20101210_52107-cp _consolidated.htm)。 -59(239)一. 吻16sα. κゴ.4雇. ガ 励9.

(4) 第58巻. 第2号. の あ る会 計 上 の見 積 も りが 重 要 な計 算 要 素 と して 含 まれ て い る。 これ らの会 計 処 理 お よ び 表 示,お. よ び職 業 会 計 士 に よ る財 務 報 告 監 査 にお いて,会 計 基 準 の十 分 な理 解 と関 連 す る. 環 境 情 報 にっ いて 慎 重 な洞 察 と判 断 が 求 め られ る。 本 稿 は,CSAの. 「環 境 報 告 指 針 」 の 主 な 内 容 を レ ビ ュー し,カ ナ ダの オ ンタ リオ証 券. 市 場 制 度 の継 続 開 示 に お け る財 務 報 告 で 求 め られ る環 境 情 報 開 示 を検 討 して い く。 既 存 の 開 示 法 規 則 の もとで 環 境 関 連 情 報 が ど の よ う な重 要 性 の概 念 に基 づ いて,ど. の程 度,ど. の. 記 載 項 目や 様 式 で 開 示 が 求 め られ て い るか を検 討 して い く。 こ の よ う な検 討 は,今 後 日本 で も証 券 市 場 で 開 示 され る財 務 報 告 で の環 境 情 報 の開 示 に関 す る政 策 的 議 論 の基 礎 を提 供 す る もので あ り非 常 に有 意 義 と考 え る。 財 務 報 告 で 環 境 問 題 を適 切 に開 示 す る こ とが 企 業 の財 政 的 価 値 を過 去 お よ び将 来 予 測 に 関 す る投 資 家 等 へ の有 用 な情 報 提 供 と な る な らば,証 券 市 場 の透 明 性 と信 頼 性 の向 上 に貢 献 す る重 要 な鍵 と いえ る。 当 局 に よ る明 瞭 な一 貫 した包 括 的 で 信 頼 で き る環 境 開 示 に関 す る指 針 公 表 の意 義 は非 常 に大 き い と いえ るが,発 行 者 にお け る環 境 情 報 の信 頼 性 を確 実 に す る た め の効 果 的 な戦 略 と プ ロ セ ス の構 築 が 不 可 欠 で あ る。. llカ. 1公. ナダ証券市場の 「環境報告指針」. 表 に影 響 した文 書. (1)カ ナ ダ証 券 市 場 の財 務 報 告 カ ナ ダ証 券 市 場 で 開 示 が 要 請 され る財 務 諸 表 の作 成 に関 す る最 近 の法 規 制 の う ち,基 本 と な る もの と して,CSAが2004年. に発 行 した 「全 国 文 書52-107一 認 め られ る会 計 原 則,. 監 査 基 準 お よ び報 告 通 貨 」 が あ る。 こ こで,所 定 の場 合 を除 き,カ ナ ダで 一 般 に認 め られ た会 計 基 準(GAAP)に. よ る財 務 諸 表 を 作 成 す る こ とが 求 め られ て お り,GAAPに. IFRS,CanadianGAAPお. よ びU.S.GAAPが. 受 けて こ のGAAPに. は,. 含 まれ る(5)。 各 州 の証 券 取 引 委 員 会 は これ を. 従 っ た財 務 諸 表 を 作 成 す る よ う求 め て い る。. 次 に,作 成 され た財 務 報 告 に関 す る財 務 報 告 の発 行 者 の責 任 につ いて いえ ば,カ ナ ダ の オ ン タ リオ 州 の 証 券 市 場 に か か る オ ン タ リオ 証 券 法 の第23部134条 で は,重 要 な事 実 あ る い は変 更 が 未 開 示 で あ る場 合 の責 任 に関 す る規 定 が あ る。 証 券 発 行 者 の開 示 内 容 が 不 足 し. (5)S励s確 .4cco瑚. 加32.4666ヵ 励Zθ.46co観 伽gPガ κ⑳Z6∫,翫'ガo襯1伽 励9P珈 ⑳165,.4磁 勧gS筋4α7ゴ ∫ αη4R卿7加gC%77θ. R8g%1α'加. ヱ015げ. 伽566π7伽. ∫.46'ω. 脚7ガoク.. -60(240)一. 鰍 耀 彫52一 ヱ07-、40吻 励 ♂6 ηcツ α磁 ∫π∂sθ6'加2ωqブ.

(5) 証券制度 にお ける財務報告での環境開示(川 原) て い るか,ま. た は開 示 の時 機 に欠 陥 が あ る こ とで,継 続 市 場 で の証 券 購 入 者 が 被 っ た損 害. に対 す る請 求 権 の 付 与 を 規 定 して い る(6>。 誤 表 示 に っ いて は,重 要 な事 実 に 関 して 不 実 を 表 明 した場 合,ま. た は,表 明 が 要 求 され る重 要 な事 実,あ. る い は表 明 時 の状 況 の観 点 で 誤. 解 させ な い よ う表 明 が 求 め られ る重 要 な事 実 の表 明 を省 い た場 合 が 問 題 と な る。 財 務 報 告 と関 係 の あ る環 境 情 報 の開 示 にっ いて も こ の条 項 に従 い,重 要 な事 実 の表 明 す なわ ち重 要 情 報 の財 務 報 告 で の開 示 の欠 陥 につ いて 発 行 者 の責 任 が 問 わ れ る と いえ る。. (2)オ. ンタ リオ証 券 委 員 会 「環 境 報 告 」. CSAは. 財 務 報 告 で の よ り適 切 な環 境 問題 の情 報 開 示 を 要 請 す る た め の 「環 境 報 告 指 針 」. を公 表 したが,こ. の公 表 に影 響 を与 え た もの と して,オ. ンタ リオ証 券 委 員 会(OSC)に. る 「ス タ ッフ通 知51-716一 環 境 報 告 」(2008年2月27日)が. よ. あ る(7)。. こ の 「ス タ ッ フ通 知51-716」 で は,環 境 開 示 の 実 際 の 実 務 に関 す る調 査 結 果 が詳 し く示 され て い る。 具 体 的 に は,ト ロ ン ト証 券 取 引 市 場 の上 場 銘 柄 企 業 お よ び ベ ンチ ャー市 場 銘 柄 企 業35社 を対 象 に,環 境 開 示 の状 況 を レ ビュ ー し,そ の結 果,一 般 的 で か つ 再 発 す る問 題 点 を指 摘 し,環 境 開 示 の質 的 お よ び量 的 改 善 の必 要 性 を強 調 して い る。 す なわ ち,発 行 者 は,し ば しば特 殊 な環 境 リス ク と債 務 に関 す る討 議 を怠 って お り,む しろ,環 境 問 題 に 関 す る紋 切 り型 の討 議 を提 供 して い る。 こ の よ う な討 議 は,投 資 家 へ の意 味 の あ る情 報 を 提 供 して お らず,不 十 分 で あ る と い う。 ま た,発 行 者 は,環 境 債 務,義 務. 環境保護 要. 求,方 針 お よ び リス ク に関 連 した コ ス トに関 して 十 分 討 議 して お らず,数 量 化 を怠 って い る と い う。 この 結 果 を踏 ま え,OSCは,継. 続 開 示 義 務 の あ る財 務 報 告 の 発 行 者 は,環 境 問 題 に関. 連 した重 要 情 報 を もっ と財 務 報 告 で 適 切 に開 示 す べ きで あ る と強 調 して い る(8>。 OSCは,環. 境 問 題 の 開 示 が 証 券 法 を 遵 守 す る た め,あ. る い は,投 資 家 の 意 思 決 定 に. と って 意 味 の あ る情 報 を投 資 家 に 提 供 す る こ とを 確 実 に す る た め,発 行 者 が 「財 務 諸 表 」,「MD&A」. お よ び 「年 次 情 報 様 式 」(AIF)を. (6)S66'ガo%134〔 ゾS66%7魏6s/16'1ぞ.S.0.1990CH、41)7E1ぞS5 http://www.e-laws.gov.on.ca/html/statutes/english/elaws (7)OSCは. 株 式,固. 作 成 す る際 に,こ. の 「ス タ ッ フ通 知. _statutes_90sO5_e.htm.. 定 収 入 お よ び デ リバ テ ィ ブ市 場 を も つ オ ン タ リ オ 資 本 市 場 に 監 督 責 任 を も つ. 規 制 機 関 で あ る 。OSCは. 財 務 省 を 通 して オ ン タ リオ 州 議 会 に 説 明 責 任 の あ る 自 己 資 金 に よ る 官. 営 会 社 で あ る 。OSCは 地 方 証 券 法 お よ び 商 品 先 物 法 を 監 督 お よ び 施 行 し,ま た 事 業 法 人 法 の あ る 条 項 を 監 督 し て い る 。 事 業 法 人 法 は,投 資 家 保 護 を 支 援 す る 規 則 の 開 発 と施 行,違 法行為 防 止,お. よ び 適 正 か っ 効 率 的 な 資 本 市 場 お よ び 市 場 の 信 頼 を 育 成 す るOSCの. (http://www.osc.gov.on.ca/en/About_about_index.htm)。 (8)OSC(2008),p.2227. -61(241)一. 権 限 を説 明 して い る.

(6) 第58巻. 第2号. 51-716」 の 内 容 を 考 慮 す べ き と 結 論 して い る(9)。 次 に,「 ス タ ッ フ通 知51-716」. で は,OSCの. 検 査 対 象 の 全 て の 発 行 者 が,環. 続 開 示 書 類 と矛 盾 せ ず に 開 示 して い た こ とを 明 らか に して い る。OSCは,こ. 境情報 を継. れ を も とに,. 一 般 に認 め られ た会 計 基 準 お よ び適 用 可 能 な証 券 法 が 要 請 して い る よ う に,証 券 規 制 当 局 へ 提 出 す る継 続 開 示 書 類 の 中 で 重 要 な環 境 問 題 の 開 示 が 説 明 さ れ るべ きで あ り,ま た, ウ ェ ブ サ イ ト上 だ け の開 示 で は,証 券 法 で 要 請 され る環 境 問 題 を論 議 す る に は不 十 分 で あ る と,発. 行 者 に 強 調 して い る(1① 。. さ ら に,「 ス タ ッ フ 通 知51-716」. で は,環. 境 開 示 に 対 す る保 証 と監 査 委 員 会 の責 任 に関. して,財 務 報 告 の適 正 表 示 の観 点 で 整 理 して い る。 す な わ ち,「 多 国 間 文 書52-109一 発 行 者 の年 次 お よ び 中 間 文 書 に お け る 開 示 の承 認 」 で 要 請 され て い る事 項 で あ るが,と け,MD&AやAIFに. りわ. 含 まれ る他 の 財務 情 報 と と も に,適 用 可 能 な 場 合,全 て の 重 要 な点. に お いて,発 行 者 の財 務 状 態 を,発 行 者 の財 務 諸 表 が 適 正 に表 示 して い る こ と を,財 務 執 行 役 員 が 保 証 しな けれ ば な らな い と い う。 OSCで. は,こ. れ を 踏 ま え て,発. 行 者 のMD&Aお. 重 要 な 環 境 問 題 に 関 す る 意 味 の あ る 討 議 は,全. よ びAIFに. お い て,適. て の 重 要 な 点 に お い て,発. 用 可 能 な 場 合, 行 者 の財 務 状 態. の 適 正 表 示 に 重 要 で あ る と の 見 解 を 示 して い る 曲。 加 え て,「 ス タ ッ フ 通 知51-716」. で は,「 多 国 間 文 書52-110一. 監 査 委 員 会 」 に 従 い,発. 者 が 情 報 を公 表 す る前 に,監 査 委 員 会 が 財 務 諸 表 お よ びMD&Aを め て い る(19。ま た,監 査 委 員 会 は財 務 諸 表 か ら導 か れ た,あ. 行. レ ビ ュ ーす る こ とを 求. る い は派 生 した財 務 情 報 に関. す る公 的 な開 示 を レ ビュ ーす る た め の,適 切 な手 続 きが 機 能 して い る こ と を確 信 しな けれ. (9)こ. こ で い う 「財 務 諸 表 」,「MD&A」. (翫'加. α1動 ∫〃耀6窺5ヱ. ー102Co漉. お よ び 「AIF」. は,「. 鰍o%sI)ガ ∫clos%760∂1忽 磁oπ3)で. 全 国 文 書51-102一. 財 務 諸 表 の 対 象 期 間 に 企 業 が ど の よ う に 業 績 を あ げ た か に っ い て の,ま 見 通 し に っ い て の 経 営 者 の 視 点 を 通 し た 叙 述 的 説 明 で あ る 。MD&Aは 足 す る も の の,財. 務 諸 表 の 一 部 を 構 成 し な い 。MD&Aの. 継 続 開 示 」. 定 義 さ れ て い る 。MD&Aは た,財. 務 の 状 況 と将 来 の. 財 務 諸 表 を補 完 お よ び 補. 目 的 は,MD&A作. 成 時 に,財. 務流 動. 性 や 資 本 資 源 に 関 す る よ い ニ ュ ー ス と と も に 悪 い ニ ュ ー ス に っ い て も,制 限 す る こ と な くオ ー プ ン に 報 告 し,企 業 の 営 業 お よ び 財 政 状 態 の 均 整 の と れ た 討 議 を 提 供 す る こ と に よ っ て,企 業全体 の 財 務 開 示 を 改 善 す る こ と で あ る 。AIFは 現 時 点 で,過. 年 次 で 提 出 を 要 請 さ れ る 年 次 情 報 様 式 を い う 。AIFは,. 去 お よ び 可 能 性 の あ る 将 来 の 発 展 の 状 況 に お い て,企. 業 お よ びそ の 事 業 に関 す る重. 要 な 情 報 を 提 供 す る た め の 開 示 書 類 で あ る。AIFに は,企 業,そ の 営 業 お よ び 見 通 し,お よ び, そ の 企 業 に 特 に 影 響 す る リ ス ク,お よ び 他 の 外 部 要 因 を 記 述 す る 。AIFの 開 示 は ニ ュ ース リ リー ス,重. 要 な 変 動 報 告,事. 業 合 併 報 告,財. 務 諸 表 やMD&Aな. ど,後. の これ らの 継続 開 示 に よ って. 年 間 を 通 じて 補 足 さ れ る(http://www.osc.gov.on.ca/en/13342.htm.)。 (1①OSC(2008),pp.2227-2228. (1Dこ. こ で の 「多 国 間 文 書52-109」. 廃 止 され 新 基 準. 「全 国 文 書52-109一. 合 さ れ た 。(OSC(2008),ハ1∂. は2008年2月. 時 の 規 則 内 容 に 従 う。 そ の 後,2008年8月15日. に. 発行 者 の 年 次 お よ び中 間 提 出書 類 に お け る開示 の承 認 」 に統. 批6(ゾA物. 伽 καZ玩 ∫'7κ 〃z6舵52409C67'の6磁. Bs鰐7ε'.4朋 襯1α η4動 孟67卿 一F躍ηgsα 雇Rの6αZ(ガM読 〃伽7α1動 6ゾDガs610∫%76痂B∫%θ7ε'.4朋 襯 盈 忽 枷67伽 躍 ∫ κgsOSC,Canada.)。 一62(242)一. ガoη げDガ ∫610∫%76加. ∫鰍 〃z6雇5ゑ109Cθ7嫌6α. 卿 η.

(7) 証券制度 にお ける財務報告での環境開示(川 原) ば な らな い し,ま た,定 期 的 に こ の手 続 きが 適 切 で あ る こ と を評 価 しな けれ ば な らな い と い う。 こ の よ う な義 務 に応 ず る重 要 な側 面 と して,適 用 可 能 な場 合,継 続 開 示 書 類 で の重 要 な環 境 問 題 に関 連 した財 務 報 告 が され て い るか,監 査 委 員 会 が 監 視 す る こ とが 求 め られ て い る。 最 後 に,こ の 「ス タ ッフ通 知51-716」 の 中 で,OSCで. 現 在 進 行 中 の,継 続 開 示 に関 す る. 検 査 の一 部 分 と して,環 境 問 題 の開 示 の監 視 を継 続 す る こ と を示 して い る。. (3)カ ナ ダ勅 許 会 計 士 協 会 「気 候 変 動 開 示 」 カ ナ ダ勅 許 会 計 士 協 会(CICA)の よ いMD&Aの. カ ナ ダ業 績 報 告 審 議 会(CPRB)が. 確 立:気 候 変 動 開 示 」(2008年11月26日)も,「. 公 表 した 「よ り. 環 境 報 告 指 針 」 の 公 表 に影. 響 を与 え た 重 要 な文 書 と い え る(1棚。 この 文 書 は,財 務 報 告 のMD&Aの. 箇 所 で,気 候 変. 動 問 題 を ど の よ う に開 示 す るか を示 した実 務 指 針 で あ る。 ま た,気 候 変 動 や そ の他 の環 境 問 題 の 財 務 的 影 響 に関 して,CICAが2005年10月. に公 表 した実 務 指 針 を補 足 し,そ の後,. 気 候 変 動 問 題 に関 す る国 内 外 の動 向 を踏 まえ 最 新 化 した内 容 を含 ん で い る㈲。 特 に,国 際 的動 向 と して 重 要 視 して い るの が,カ ジェ ク ト(CDP)で. あ る。CICAで. は,こ のCDPが. ー ボ ン ・デ ィ ス ク ロー ジ ャー ・プ ロ 行 う気 候 変 動 開 示 の 質 問 票 に よ る調. 査 要 求 に,企 業 が ど う対 応 して い くべ きか に言 及 して い る。 まず,年 次 報 告 を含 む 証 券 制 度 書 類 以 外 に も,企 業 に は 気 候 変 動 問 題 を報 告 す る チ ャ ネ ル と して 持 続 可 能 性 報 告, ウ ェ ブサ イ ト,CDP調. 査 の対 応 が あ る とい う。 そ して,様 々 な経 営 者 お よ び取 締 役 会 監. 視 の レベ ル に,こ の よ う な様 々 な チ ャネ ルが あ る こ と を認 識 しなが ら,投 資 家 の情 報 要 求 に最 善 に応 え て い くた め に,そ れ ぞ れ の チ ャネ ル にお いて,何. を ど の よ う に言 わ な けれ ば. な らな い のか を判 断 す る こ とが,企 業 が 取 り組 む べ き こ とで あ る と い う。 それ に対 応 す る 際 に,最. も重 要 な 原 則 が,「 重 要 性 」 で あ り,投 資 家 が そ の企 業 に 継 続 して 投 資 す るか ど. うか を判 断 す る際 に,ど の よ う な気 候 変 動 情 報 が 重 要 と な りや す いか を,企 業 が 判 断 す る こ とが 必 要 に な って くる と い う(16)。 ま た,経 営 者 が 重 要 性 を 判 断 す る 際 に,時 間 が 経 っ に. (12こ こ で の 「多 国 間 文 書52-110一 2008年2月 時 の 規 則 内 容 に従 う。 (⑧. 監 査 委 員 会 」(http://www.osc.gov.on.ca/en/13550.htm)は. カ ナ ダ 勅 許 会 計 士 は 企 業 経 営,助 言,フ ァ イ ナ ン ス,税 務 お よ び 保 証 の 分 野 に お い て 活 躍 し, ビ ジ ネ ス の 信 頼 性 を 促 進 し,カ ナ ダ 資 本 市 場 お よ び 経 済 の 健 全 性 と 持 続 可 能 性 に 貢 献 す る 職 業 専. 門 家 で あ る 。 こ の 勅 許 会 計 士 約7万8千 る 。CICAは 国 際 会 計 士 連 盟(IFAC)設. 人 を,国 内 お よ び 国 際 的 で 代 表 す る 組 織 がCICAで 立 メ ン バ ー で あ る(CICA,http://www.cica.ca/.)。. (14)CPRB(2008). (1励CICA(2005). (1⑤CPRB(2008),p.3. -63(243)一. あ.

(8) 第58巻. 第2号. っ れ て,気 候 変 動 問 題 の も た らす 影 響 が 合 理 的 に大 き くな る と予 想 され るか ど うか を検 討 す べ きで,こ. の よ う な場 合,問 題 の早 期 開 示 が 長 期 の投 資 家 に と って 重 要 と な る可 能 性 が. あ る こ と を示 して い る。 国 内 規 制 の 変 化 にっ い て も,CICAは,前. 述 のOSCの. 告 」 を 重 要 視 して い る。 す な わ ち,企 業 が,気. 「ス タ ッ フ通 知51-716一 環 境 報. 候 変 動 が もた らす,企 業 戦 略,リ. ス ク管. 理,事 業 お よ び財 務 業 績 へ の影 響 を投 資 家 に伝 え る た め の様 々 な チ ャ ネ ルが あ り,証 券 制 度 書 類 が 含 まれ る と い う。 証 券 規 制 当 局 は,投 資 家 の意 思 決 定 に重 要 な環 境 問 題 を開 示 す る こ と は,発 行 者 に と って 必 要 で あ る と認 識 して きて い る と い う。 主 と して,こ れ まで 環 境 問 題 の開 示 は,環 境 負 債,資 産 除 去 債 務,環 境 保 護 の要 請 に よ る財 務 お よ び事 業 へ の影 響,事 業 に不 可 欠 な環 境 方 針,お. よ び環 境 リス ク に関 連 して,財 務 的 負 債 の よ う な問 題 に. 焦 点 を 当 て て きて い る とい う。 ま た,AIFの に 要 請 さ れ て い る も の の,規 MD&Aの CICAの. 書 類 で,環 境 問 題 を 開 示 す る こ とが 明 らか. 制 当 局 に お い て も,財 務 報 告 の う ち で も,財 務 諸 表 や. 記 載 箇 所 で の環 境 開 示 の重 要 性 を認 識 して い る こと を強 調 して い る(n。 「よ りよ いMD&Aの. る。 最 初 の第1部. 確 立:気. 候 変 動 開 示 」 は,5つ. の 内 容 で 構 成 され て い. で は,気 候 変 動 に関 す る ビ ジネ ス 問 題 に関 す る概 況 が 述 べ られ て い る。. 気 候 変 動 に よ って 影 響 され る戦 略 的 な検 討 事 項 に は,資 本,ビ. ジ ネ ス の継 続 性,新 規 の資. 本 支 出,国 内 の司 法 的 側 面 に お け る事 業 の複 雑 化,合 併 買 収 上 の新 規 検 討 事 項,お. よ び事. 業 コ ス トが 列 挙 され て い る。 第2部. で は,投. CPRBは,あ. 資 家 に よ る,気 候 変 動 関 連 の 開 示 要 求 に っ い て,概. 括 さ れ て い る。. り きた りの表 現 で紋 切 り型 の 開示 も,過 剰 過 多 な 開 示 の ど ち らも あ ま り有 用. 性 で な い こ と を注 意 して い る。 そ して,機 関 投 資 家 は,ビ ジ ネ ス戦 略,リ. ス ク,温 室 効 果. ガ ス排 出,財 務 影 響 お よ び統 治 プ ロ セ ス に関 す る気 候 変 動 開 示 を要 求 して い る と い う。 こ の うち,気 候 変 動 に関 連 リス ク に は,物 理 的(極 端 な天 候 に対 す る脆 弱 性 な ど),規 制, 評 判,あ 第3部. る い は訴 訟 関 連 の それ ぞ れ の リス クが あ り得 る と い う。 で は,重 要 な気 候 変 動 問 題 を 特 定 す る た め の プ ロ セ ス を 示 して い る。 加 え て,. 「全 国 文 書51-102一 継 続 開 示 」 で 示 さ れ た 要 求 事 項 に準 拠 す る た め に,CPRBは,財 表 の 注 記 に 含 ま れ た 開 示 内 容 を補 完 お よ び補 足 す るMD&Aの た,CPRBは,発. 務諸. 開 示 を 推 奨 して い る。 ま. 行 者 が何 を 開示 す べ きか を判 断 す る際 に,競 争 企 業 の証 券 制 度 提 出書 類,. 持 続 可 能 性 報 告 書,お. よ び取 締 役 議 事 録 を含 む 情 報 を,レ. ビュ ーす る よ う示 唆 して い る。. 第4部 で は,気 候 変 動 問 題 に関 す る開 示 を ど の よ う に表 示 す べ きか に関 す る3っ の選 択 (17)CPRB(2008),p.3. 一64(244)一.

(9) 証券制度 にお ける財務報告での環境開示(川 原) 肢 を掲 げて い る。 まず,独 立 した セ ク シ ョ ンに情 報 を表 示 す る,リ ス ク要 因 の記 載 項 目 の 中 で 副 見 出 しを設 けて 表 示 す る,ま た は,様 々 な セ ク シ ョ ンの中 に散 在 させ て 表 示 す る と い う3っ で あ る。CPRBで. は気 候変 動 報 告 が も っ と広 く実 践 され るに至 るま で は,項 目 を分. けて表 示 す る こ とが 最 適 で あ る と述 べ て い る ものの,機 関投 資 家 は散 在 型 を好 む と い う。 最 後 の第5部 で は,発 行 者 の取 締 役 会 お よ び経 営 者 の責 任 にっ いて 討 議 して い る。 そ し て,取 締 役 会 や 経 営 者 が,重 要 性 を評 定 した り,ま た適 切 な開 示 を評 価 した りす る た め の 質 問 リス トを提 案 して い る。. (4)OSC「OSC企 OSCに. 業 の持 続 可 能 性 報 告 イ ニ シア テ ィブ ー財 務 大 臣へ の報 告 」. よ る 「OSC企 業 の持 続 可 能 性 報 告 イ ニ シア テ ィ ブー財 務 大 臣 へ の報 告 」(2009年. 12月18日)は,投. 資 家 お よ び他 の ス テ ー ク ホ ル ダ ー の諮 問 を踏 まえ て,制 度 財 務 報 告 で の. 環 境 開 示 が 不 十 分 で あ る と4っ の観 点 で 指 摘 して い る。 まず,環 境 問 題 にっ いて の重 要 な 情 報 が 自主 的 報 告 に見 られ るが,証 券 規 制 の提 出書 類 に は見 られ な い点 で あ る。 次 に,必 ず し も網 羅 され た,信 頼 で き る,ま た 他 の発 行 者 と比 較 可 能 な情 報 が提 供 され て お らず, 投 資 家 に と って 意 味 の あ る情 報 を提 供 して い な い決 ま り文 句 の開 示 が 提 供 され て い る点 で あ る。3つ. 目 に,も. し証 券 規 制 の提 出書 類 に お いて 情 報 が 提 供 され な い な ら,証 券 制 度 上. の継 続 開 示 の た め に規 定 され た予 定 が 自主 的 報 告 に は適 用 され な い ので,時 期 を得 た方 法 で の情 報 が 必 ず し も提 供 され て い な い点 で あ る。4っ. 目 に,環 境 情 報 が,財 務 報 告 の 中. に,統 合 され て い な い点 で あ る。 この文 書 の勧 告 と して,既 存 の環 境 開示 要 求 に関 す る追 加 的 な指 針 を発 行 者 に向 け て提 供 す るよう,ま た,OSCの. (5)SEC「. 職 員 に環 境 開 示 にっ い て の教 育 訓 練 を 改善 す るよ う求 めて い る(1融 。. 気 候 変 動 開示 に関 す る解 釈 指 針 」. ア メ リカ 証 券 委 員 会(SEC)に. よ る 「SEC気 候 変 動 開 示 に 関 す る解 釈 指 針 」(2010年2. 月8日 発 効)(「 解 釈 指 針 」)は,「 環 境 報 告 指 針 」 の本 文 で 参 考 文 献 と して 示 され て い る こ と を か ら も,「 環 境 報 告 指 針 」 の 内 容 に大 き く影 響 して い る と い え る(19。SECの. 「解 釈 指. 針 」 は 既 存 の 開 示 要 請 を 気 候 変 動 問 題 に適 用 す る た め の 指 針 と して 公 表 され た。 す な わ ち,既 存 の 連 邦 証 券 法 お よ び 規 則 の義 務 の あ る上 場 企 業 な どが,SECに. 提 出 お よ び投 資. 家 に提 供 す る開 示 書 類 を作 成 す る際,気 候 変 動 お よ び そ の結 果 につ いて 考 慮 す る よ う,思. (180SC(2009),p.11. (19SEC(2010)。. 一65(245)一.

(10) 第58巻. 第2号. いだ させ る よ う意 図 した指 針 と い う。 しか し,SECは. さ ら な る指 針 や 開 示 規 則 が 必 要 か ど うか を,今 後 の 開示 に関 す る様 々. な情 報 を も とに検 討 す る とい う。 す な わ ち,SECの 「解 釈 指 針 」 の影 響 を監 視 し,SEC投. 開 示 レ ビ ュ ー を通 して 提 出書 類 で の. 資 諮 問委 員 会 に よ る気 候 変 動 開 示 に 関 す る助 言 お よ. び勧 告 を検 討 し,ま た気 候 変 動 問 題 の公 的 円卓 会 議 で も情 報 収 集 予 定 で あ る と い う。 SECの. 「解 釈 指 針 」 の 内 容 は,「1。 解 釈 指 針 の 背 景 と 目的 」,「H.SEC環. 境開示 の歴. 史 的 背 景 」,「皿.気 候 変 動 問題 の 開 示 を要 請 す る規 則 の 概 括 」,お よ び 「IV.気 候 変 動 に 関 連 す る開 示 」 の4部 分 で 構 成 され て い る。 特 に,皿 で は,気 候 変 動 問 題 を取 り扱 う こ とが可 能 な 財 務 報 告 の記 載 箇 所 と して,「 事 業 の概 況 」,「法 的手 続 き」,「 リス ク要 因 」,お よ び 「MD&A」. がSECの. 根 拠規則 ととも. に挙 げ られ て い る。 ま た,IVで. は,開 示 上 の留 意 事 項 と して,「 法 規 制 の影 響 」,「国 際 的 な合 意 」,「規 則 ま. た は ビ ジネ ス の 傾 向 の 間 接 的 な 結 果 」,お よ び 「気 候 変 動 の 物 理 的 影 響 」 の項 目 を設 け て,個 別 具 体 的 な内 容 が 説 明 され て い る。. (6)カ ナ ダ 「連 邦 環 境 施 行 法 」 カ ナ ダの 「連 邦 環 境 施 行 法 」(2010年12月10日. 発 効)は,法. 改 正 に よ り,発 行 者 に新 規. の開 示 義 務 を要 求 して お り,問 題 で あ る と い う⑳。 「連 邦 環 境 施 行 法 」 は,環 境 関 連 の 所 定 の連 邦 法 にっ いて,よ. り高 額 の罰 金 と そ の他 の強 制 措 置 を設 定 して い る。 開 示 にっ いて. は,「 連 邦 環 境施 行 法」 の もとで違 法 の有 罪 の判 決 が 下 され た場 合,違 法 の事 実 お よ び処 罰 が 課 され る こ とを,企 業 が株 主 に通 知 す るよ う裁 判 所 が 命 令 しな けれ ば な らな い とい う⑳。 次 に,「 全 国 文 書51-102」 お よ び 「ス タ ッ フ通 知51-716」 で 議 論 さ れ た 「重 要 性 」 に っ い て は,最. も重 要 な証 券 法 原 則 で あ る 「重 要 性 」 の 規 程 と,「 連 邦 環 境 施 行 法 」 で い う株. 主 へ の通 知 に関 す る規 定 とで 内 容 が 相 違 して い る と い う。 裁 判 所 は,株 主 へ の通 知 を企 業 に命 令 しな け れ ば な らな い た め,重 要 性 に 関 わ らず,あ. ま り重 要 で な い違 反 や 罰 金 す ら. も,株 主 へ 報 告 しな けれ ば な らな い と い う⑳。 ま た,「 連 邦 環 境 施 行 法 」 は,違 法 や処 罰 の情 報 を株 主 に ど の よ う に開 示 す べ きか につ いて 裁 判 所 の裁 量 に委 ね た ま まで あ る と い う。 プ レス ・リ リー ス の よ う な,株 主 に重 要 な. ②①. 以 下,MosconeandBirchall(2011),p.5.. ⑳Becklumb(2009),p.9. ⑳MosconeandBirchall(2011),p.5。. -66(246)一.

(11) 証券制度 にお ける財務報告での環境開示(川 原) 変 化 を 通 知 す る伝 統 的 な チ ャ ネ ル を 通 して,株 主 に知 らせ る よ う裁 判 所 が 命 令 す るな ら ば,重 要 な開 示 と重 要 で な い開 示 が 混 乱 す るか も しれ な い と い う。 例 え ば,あ ま り重 要 で な い違 反 の有 罪 にっ いて 株 主 に通 知 され た場 合 で も,株 主 が 企 業 に と って 重 要 な開 示 と考 え る に至 るか も しれ な い とい う。 ま た,「 環 境 報 告 指 針 」 で説 明 され た指 針 に準 じた 継 続 開 示 書 類 に お いて,裁 判 所 の命 令 が 自動 的 に開 示 され るか ど うか は不 明 な部 分 が あ る と い う。 「連 邦 環 境 施 行 法 」 が 投 資 家 の意 思 決 定 に価 値 を与 え る か ど うか は は っ き り しな い も の の,発 行 者 は新 しい 「連 邦 環 境 施 行 法 」 の開 示 規 定 を認 識 す べ き と の法 律 専 門 家 の見 方 が あ る⑳。. 2「 環 境 報 告 指 針 」 の 内 容 (1)「 環 境 報 告 指 針 」 の 目的 と背 景 「環 境 報 告 指 針 」 は,本 文(3-26頁)と,本 用 事 例 を 含 む付 録(27-38頁)の2っ. 文 にお い て示 さ れ た 開 示 要 請 の 内容 の 適. で 効 果 的 に構 成 され て い る。 本 文 は,「1.導. 入 」,. 「2.開 示 が 要 請 さ れ る環 境 情 報 」,「3。 環 境 開 示 を 巡 る統 治 構 造 」,お よ び 「4。結 論 」 の4部 分 か ら構 成 され る。 中 心 部 分 とい え る 「2.開 示 が 要 請 さ れ る環 境 情 報 」 に は,継 続 開 示 義 務 の あ る発 行 者 が 財 務 報 告 の作 成 提 出 の際,ど. の よ う な環 境 関 連 情 報 を開 示 す べ. きか が,根 拠 と な る法 規 制 を示 しなが ら説 明 され て い る。 本 文 の 「1.導 入 」 部 分 冒頭 で,「 環 境 報 告 指 針 」 の 目 的 が簡 潔 に示 され て い る。 「環 境 報 告 指 針 」 は,投 資 家 向 け と い う よ り,む しろ,証 券 発 行 者 に対 して 発 行 され て い る。 そ して,従 来 の財 務 報 告 の継 続 開 示 の法 的 要 請 事 項 の範 囲 で,よ. り適 切 な環 境 開 示 を要 請 す. る た め の指 針 を 提 供 す る こ とを 目的 と して い る。 す な わ ち,「 環 境 報 告 指 針 」 は,既 存 の 環 境 問 題 に関 連 した開 示 の要 請 事 項 を明 瞭 にす る こ と を 目的 と して お り,新 た に法 的 事 項 を要 請 す る もので も,ま た これ まで の要 請 事 項 を修 正 す る もので もな く,発 行 者 が,ど. の. よ うな環 境 問 題 に関 連 した情 報 を開 示 す る必 要 が あ るか を決 定 す る際 に,ま た環 境 問 題 に 関 連 す る開 示 を促 進 し補 足 す る際 に,支 援 す る こ とが 意 図 され て い る。 しか し,「 環 境 報 告 指 針 」 で は典 型 的 な決 ま り文 句 を用 い た環 境 情 報 の開 示 が され た財 務 報 告 の場 合 に は,証 券 局 が 財 務 報 告 書 類 を受 理 しな い 旨 を明 示 して お り,ま た,重 要 で 包 括 的 な一 貫 した環 境 情 報 が 財 務 報 告 で 開 示 され る こ と を求 めて い る。 環 境 問 題 に は,大 気,土. 壌,水 系,お. よ び廃 棄 物 な ど に 関 連 した 幅 広 い 領 域 が あ る た. め,「 環 境 報 告 指 針 」 は全 て の 発 行 者 に適 用 す る も の で あ る もの の,企 業 の特 有 の状 況 に ㈱. ガ∂鼠 一67(247)一.

(12) 第58巻. 第2号. お いて よ り適 用 され る可 能 性 が あ る も の と認 識 され て い る。 続 い て,「1.導. 入 」 部 分 の 「1.1。市 場 に お け る 発 展 」 で は,「 環 境 報 告 指 針 」 が公 表. され る動 機 と な っ た,「 環 境 問題 が発 行 者 に及 ぼ す影 響 」,「環 境 規 制 分 野 の変 化 」,お よ び 「投 資 家 の環 境 問題 へ の 関 心 」 の3っ の 発 展 を 取 り上 げ て い る。 まず,発 行 者 の財 務 お よ び事 業 に現 在 及 ぶ,お. よ び潜 在 的 に及 ぶ 可 能 性 の あ る,プ ラ ス お よ び マ イ ナ ス の影 響 が,. 環 境 問題 に 関 連 して い る こ とを,発 行 者 は ま す ま す 認 識 しっ っ あ る とい う。 環 境 問 題 は, 以 下 の状 況 で,発 行 者 に影 響 を与 え る。 例 え ば,供 給 配 給 チ ェ ー ンや 人 的 物 的 資 産 に関 す る事 業 中 断,環 境 事 故 対 応 コ ス トの よ う な未 計 画 の資 材 コ ス トの結 果,発 行 者 の事 業 免 許 へ の影 響,資. 本 的 支 出 の決 定 や プ ロ ジ ェ ク トの実 行 可 能 性 へ の影 響,消. 費 者 嗜 好 の変 化,. 発 行 者 の評 判 の影 響,資 本 へ の ア ク セ ス と資 本 コス トの影 響,保 険 の 購 入 や 利 用 可 能 性 へ の影 響,新 規 ビ ジネ ス機 会 の提 供 が 挙 げ られ る⑫ の 。 次 に,環 境 規 制 分 野 が 継 続 的 に変 化 しつ つ あ り,発 行 者 は国 内 外 で 進 行 中 の環 境 規 制 の 発 展 の観 点 で,そ. の発 展 が 事 業,資 産,供 給 チ ェ ー ンま た は市 場 に影 響 す る可 能 性 の程 度. に関 す る開 示 義 務 を定 期 的 に評 価 す る必 要 が あ る と い う⑳。 最 後 に,環 境 問 題 が 発 行 者 に ど う影 響 す るか に,多. くの 投 資 家 の 関 心 が 高 ま りっ っ あ. り,株 主 決 議 や 調 査 公 表 な ど多 くの手 段 を通 して,投 資 家 が 環 境 問 題 に関 す る情 報 を発 行 者 か ら要 求 しっ っ あ る と い う㈱。. (2)環. 境 情 報 開 示 の要 請 事 項. 「環 境 報 告 指 針 」 の 「2.開 に関 す る規 則. 示 が 要 請 さ れ る 環 境 情 報 」 の 冒 頭 部 分 で,既. 「全 国 文 書51-102一. 継 続 開 示 義 務 」 の 中 に,環. す る 内 容 が 多 く含 ま れ て い る こ と,加 よ び 「全 国 文 書51-102一. えて. 存 の財 務 報 告. 境 問 題 に 関連 した 開 示 を 要 請. 「全 国 文 書58-101一. 企 業 統 治 の実 践 の 開 示 」 お. 継 続 開 示 義 務 」 の 文 書 に お い て も,環. 境 問 題 に 関連 した 開 示 を 要. 請 す る 内 容 が 含 ま れ て い る こ と を 明 示 して い る ⑳。 こ の 冒 頭 部 分 に 続 き,「2.開 「2.2.環. 示 が 要 請 さ れ る 環 境 情 報 」 の 項 目 で,「21.重. 境 リ ス ク お よ び 関 連 事 項 」,「2.3.リ. お よ び 「2.5.予 測 情 報(FLI)の. 要 求 」 の5つ. ス ク 監 督 と管 理 」,「2.4.IFRS適 の 内 容 に つ い て 説 明 が あ る。. ②のCSA(2010),p.3. ⑳. ガ∂ガ諾. ⑳. ガ∂鉱. ρ4.. ⑳NationalInstrument51-102ContinuousDisclosureObligations(NI51-102),National Instrurnent58-101DisclosureofCorporateGovernancePractices(NI58-101)andNational Instrument52-110AuditCommittees(NI52-110).CSA(2010),p.5.. -68(248)一. 要 情 報 」, 用 の影 響 」.

(13) 証券制度 にお ける財務報告での環境開示(川 原) ま ず,「21.重. 要 情 報 」 に 関 して,「 重 要 情 報 」,「継 続 開 示 書 類 の た め の 重 要 性 テ ス. ト」,お よ び 「重 要 性 の 決 定 」 の3っ. の 内容 の 説 明 が あ る。 重 要 性 と は,情 報 の 開示 が 要. 求 され るか ど うか を検 討 す る際 の判 断 要 素 で あ り,MD&AとAIFの. 様 式 に示 され る よ う. に,「 重 要 情 報 」 だ けが財 務 報 告 で 開示 され るべ き もの を い う囲。 そ して,継 続 開 示 書 類 の た め の重 要 性 を テ ス トす る場 合,事 実 に基 づ い た判 断 が 重 要 と な る。 も し環 境 問 題 に関 連 す る情 報 が 省 略 され た あ る い は誤 って 表 明 され た こ とで,証 券 売 買 を行 う合 理 的 な投 資 家 の意 思 決 定 に影 響 や 変 化 が 起 こ りそ う な らば,お そ ら く重 要 性 が あ る とす る。 す なわ ち,重 要 性 は合 理 的 な投 資 家 の意 思 決 定 に有 用 な情 報 開 示 か ど うか を基 礎 とす る。 さ ら に,発 行 者 の う ち に 個 別 の環 境 情 報 ご と に重 要 性 の 決 定 を 行 っ て きて い る こ と を OSCは. 問 題 視 して お り,重 要 情 報 の 決 定 に 関 す る以 下 の5っ. の指 針 を 明 示 して い る。 ま. ず,情 報 が 重 要 か ど うか を決 め る統 一 的 な限 度 は設 け られ て お らず,重 要 性 を決 定 す る際 に,発 行 者 が 質 的 お よ び量 的 な要 素 を考 慮 す べ き と い う。 2つ 目 に,個 々 に は重 要 で は な いか も しれ な い複 数 の事 実 を統 合 した影 響 を含 む,あ. る. 項 目が 省 略 され た,あ る い は誤 表 示 され た特 別 の状 況 にお いて,重 要 性 が 決 定 され な けれ ば な らな い と い う。 3っ 目 に,重 要 性 は報 告 の時 期 に関 連 した状 況 に依 存 す る。 しか し,環 境 問 題 の影 響 が 時 を経 て大 き くな る と予 想 され る場 合 に は早 期 の 開 示 が 適 切 で あ る か も しれ な い とい う。 例 え ば,ク. リー ン技 術 へ の将 来 の支 出 の よ う な,ま す ます 重 要 と な りう る問 題 を な るべ く. 開 示 す べ き と い う。 4っ 目 に,既 知 の傾 向,要 求,約 束 ま た は不 確 実 性 の重 要 性 は,時 間 の範 囲 に依 存 す る か も しれ な い。 発 行 者 は,あ る事 象 が 起 き る確 率,お. よ び そ の期 待 され る大 き さ の両 方 を. 考 慮 す べ きで あ る と い う。 5っ 目 に,発 行 者 が 特 殊 な情 報 が 重 要 か ど うか にっ いて 迷 う場 合 に は,重 要 性 が あ る と の側 に立 って,そ 次 に,「22.環. の情 報 を開 示 す べ きで あ る と い う。 境 リ ス ク お よ び 関 連 事 項 」 に 関 して,「 環 境 リス ク」,「傾 向 と不 確 実. 性 」,「環 境 負 債 」,「資 産 除 去 債 務 」,お よ び 「環 境 保 護 の要 請 が もた らす 財 務 的 お よ び事 業 的 影 響 」 の5っ. の観 点 か ら,潜 在 的 環 境 開示 に 関 して 詳 し く説 明 され て い る。 「全 国 文. 書51-102一 継 続 開 示 義 務 」 に は,こ れ ら5項 目 に 関 連 す る開 示 要 求 事 項 が 含 ま れ る と い. ⑳Part1(e)ofForm51-102FIManagernenfsDiscussion&Analysis(Form51-102F1)and Part1(d)ofForm51-102F2AnnualInformationForm(Form51-102F2)。CSA(2010),p.5.. -69(249)一.

(14) 第58巻. 第2号. う。 この22の 内容 は 「環 境 報 告 指 針 」 の 中 で 比 較 的 記 述 量 が 多 く,項 目 ご と に 内容 や 留 意 事 項 を整 理 した表 が 提 供 され て い る。 2.2の う ち,ま ず,「 環 境 リス ク」 にっ い て み る と,環 境 リス ク は訴 訟 リス ク,物 理 的 リ ス ク,規 制 リス ク,評 判 リス ク,お よ び ビ ジネ ス モ デ ル リス ク の5っ に分 類 され,そ れ に 関 連 した リス ク情 報 を ど の よ う に開 示 す べ きか が,「 環 境 報 告 指 針 」 で 示 さ れ て い る。 例 え ば,訴 訟 リス ク の例 と して,環 境 問 題 に関 す る訴 訟 が 提 起 され て い る状 況 にお いて,訴 訟 結 果 は予 想 で き な い もの の,仮 に あ ま り好 ま し くな い訴 訟 の解 決 に至 る場 合 に財 政 状 態 や キ ャ ッ シュ ・フ ロ ー に重 大 な不 利 な影 響 を及 ぼす 可 能 性 の記 述 が 挙 げ られ て い る。 物 理 的 リス ク の例 と して,発 行 者 の原 材 料 の調 達 が,ハ. リケ ー ンが 起 きが ち な地 域 に依. 存 す る場 合 が 示 され て い る。 そ して そ の よ う な物 理 的 リス ク を低 減 す る よ う に取 られ て い る ス テ ップ もま た発 行 者 は開 示 す べ き と い う。 規 制 リス ク に 関 して み る と,開 示 内 容 に予 想 され る将 来 の遵 守 コ ス トを 含 む べ き と い う。 規 制 リス ク を 算 定 す る こ とが 困 難 な場 合 に は,そ の リス ク を 実 証 す る事 実 に基 づ い て,追 加 情 報 を開 示 す べ きで あ る と い う。 評 判 リス ク の代 表 的 な もの と して,環 境 的 に持 続 可 能 で な い よ う な製 品 に対 す る消 費 者 か らの反 応 が 提 示 され て い る。 そ の よ う な評 判 リス ク は,発 行 者 の資 本 コ ス トに も同 様 に 影 響 す る と い う。 ビ ジネ ス モ デ ル リス ク の例 と して,ビ. ジ ネ ス の上 流 に課 され た規 制 に よ り,以 前 に比 較. して エ ネ ル ギ ー ・コ ス トが 著 し く上 昇 す る こ とが 見 込 まれ る場 合 が 示 され て い る。 こ の場 合,ビ. ジネ ス モ デ ル に 関 す る機 会 を ビ ジ ネ ス リス ク と同 様 に所 定 のAIFに. 従 って 開 示 す. べ き と い う⑳。 「環 境 報 告 指 針 」 で は これ らの よ うな環 境 問 題 に関 連 した リス ク要 因 を,発 行 者 が 継 続 開 示 書 類 で 開 示 す る必 要 が あ るか ど うか を検 討 す る こ と を求 めて い る。 そ の際 に,各. リス. ク の開 示 は,意 味 の あ る,か っ 事 実 を も と に した開 示 を提 供 す べ きで,紋 切 り型 のお 決 ま りの文 言 に よ る開 示 を避 け る よ う求 めて い る。 2.2項の2っ. 目 の 「傾 向 と不 確 実 性 」 にっ いて,「 環 境 報 告 指 針 」 で は財 務 諸 表 で 十 分 に. 反 映 さ れ て い な い か も しれ な い重 要 な 情 報 をMD&Aの. 項 目で 開示 す べ き と して お り,か. っ,財 務 諸 表 に反 映 され たか,将 来 の財 務 諸 表 に影 響 す る と合 理 的 に予 想 され う る傾 向 や 不 確 実 性 も開 示 す べ きで あ る と い う。 これ に関 連 す る期 間 は,発 行 者 の状 況 や,検 討 中 の 傾 向 あ る い は不 確 実 性 に依 存 す る と い う。 ⑳CSA(2010),p.8. 一70(250)一.

(15) 証券制度 にお ける財務報告での環境開示(川 原) 2.2項の3つ. 目 の 「環 境 負 債 」 に 関 して,「 環 境 報 告 指 針 」 は,財 務 諸 表 で 開示 され た環. 境 負 債 の適 用 可 能 な重 要 な会 計 的 見 積 も りの どの よ うな分 析 も,発 行 者 がMD&Aに. 含め. るべ きで あ る と い う。 長 期 あ る い は偶 発 的 性 質 の た め に算 定 が 難 しい た め に財 務 諸 表 に環 境 負 債 を含 め な い場 合 で あ って も,MD&Aで 2.2項の4っ. 開 示 が 求 め られ る と い う。. 目 の 「資 産 除去 債 務 」 にっ いて,「 環 境 報 告 指 針 」 は,発 行 者 に と り資 産 除. 去 債 務 が 重 要 な場 合,財 務 諸 表 で 開 示 す る こ と を求 めて い る。 さ らに,利 用 可 能 で 重 要 な らば,修 復 コ ス トと,修 復 コ ス トが 当 期 の,お よ び見 積 も っ た将 来 の財 務 業 績 に及 ぼす 影 響 を含 む,補 足 的 開示 をMD&Aで MD&Aの. 提 供 す べ きで あ る とい う。 資 産 除去 債 務 は,発 行 者 の. 項 目に 含 まれ る,契 約 債 務 の概 括 表 で の開 示 を求 め られ る よ うな重 要 な長 期 債. 務 で あ る か も しれ な い とい う。 資 産 除 去 債 務 は重 要 な 会 計 的 見 積 も りで あ るか も しれ ず, 見 積 も りに関 す る分 析 がMD&Aで. 提 供 され るべ きで あ る とい う。. 2.2項 の5つ. 目の 「環 境 保 護 の 要 請 が も た らす財 務 的 お よ び 事 業 的 影 響 」 につ い て,こ. の影 響 をAIFに. 含 め るべ きで あ る とい う。 当 財 務 年 度 に お け る 資 本 的 支 出,収 益,お. よ. び競 争 状 態 に及 ぼす,環 境 保 護 の要 請 の財 務 的 お よ び事 業 的 影 響 を開 示 す べ き と い う。 ま た,環 境 保 護 の要 求 事 項 や 予 想 され る傾 向 に関 係 す る コ ス トを含 む,将 来 財 務 年 度 にお い て 予 想 され る影 響 を開 示 す べ き と い う。 「2.3.リ ス ク監 督 と管 理 」 の項 で は,「 事 業 に必 須 の 環 境 方 針 」,お よ び 「取 締 役 の 権 限 お よ び委 員 会 」 の2つ AIFで. の 事 項 を 取 り扱 っ て い る。 ま ず,「 事 業 に必 須 の 環 境 方 針 」 は,. 開示 す べ き と い う。 この 「方 針 」 は,広. く解 され るべ き も の で あ り,持 続 可 能 な. 開 発,地 域 社 会 と の関 係,有 害 危 険 物 質 の使 用 と処 分,漏 全,あ. 出防 止,リ. サ イ ク リ ング,水 保. る い は温 室 効 果 ガ ス排 出 の削 減 に関 連 した方 針 を含 む 可 能 性 が 示 され て い る。. そ して 同 じ く2.3の 「取 締 役 の 権 限 お よ び委 員 会 」 につ い て,発 行 者 が取 締 役 会 の権 限 と常 任 委 員 会 に関 す る開 示 を提 供 す る際 に,環 境 リス ク の監 視 と管 理 に関 す る取 締 役 の責 任 を表 示 す べ きで あ る と い う。 ま た,適 用 可 能 な らば,環 境 リス ク の監 視 と管 理 に関 す る 責 任 の あ る いか な る取 締 役 あ る い は経 営 者 層 が 委 任 され て い るか も,示 す べ き と い う。 「2.4.IFRS適 の企 業 がIFRSを. 用 の影 響 」 の 項 で は,2011年1月1日. 以 後 を 開 始 事 業 年 度 とす る,所 定. 適 用 した財 務 報 告 を 作 成 す る際 の留 意 事 項 が示 され て い る。 特 に,環 境. 引 当 金 に関 す る認 識 測 定 に重 要 な影 響 が あ る こ とが 見 込 まれ る場 合,そ を適 切 に行 う こ と を求 め て い る。IFRSを もっ と引 き当 て,ま. の会 計 処 理 と開 示. 適 用 した 場 合,環 境 債 務 を も っ と高 い 金 額 で,. た,環 境 債 務 に関 す る開 示 を も っ とす る こ とが 求 め られ る と強 調 して. い る。 ま た,IFRSとCanadianGAAPの. 間 の,重 要 な会 計 上 の差 異 を 示 し,そ して,財 一71(251)一.

(16) 第58巻. 第2号. 務 報 告 に ど の よ う に重 要 な影 響 を及 ぼす 可 能 性 が あ る のか も詳 し く述 べ て い る。 「2.5.予 測 情 報 の 要 請 事 項 」 の項 で は,環 境 報 告 書 な ど 自主 的 な報 告 書 や ウ ェ ブ媒 体 を 通 じて,企 業 が 環 境 関 連 の 目的 や 目標 を 自主 的 に開 示 して い る場 合 の留 意 点 が 示 され て い る。 継 続 開 示 書 類,自 主 的 報 告 書,あ や 目標 を開 示 して い る場 合,も 示 書 類 はFLI,お. る い は他 の もので あ って も,企 業 が 環 境 関 連 の 目的. し,そ の情 報 が 重 要 で あ る な らば,そ の情 報 を含 む 継 続 開. よ び将 来 志 向 の 財 務 情 報 の 要 求 事 項 に従 わ な け れ ば な らな い。 す な わ. ち,将 来 の企 業 の経 済 状 況 や 経 営 活 動 に関 す る想 定 に基 づ い た場 合,そ れ らが 達 成 可 能 で あ るか,ま. た,投 資 家 に と って 重 要 な情 報 で あ るか ど うか と い う,2っ. の事 項 を よ く検 討. す る よ う求 めて い る。. (3)環. 境 開 示 の た め の企 業 統 治. 「環 境 報 告 指 針 」 の 「3.環. 境 開 示 を 巡 る 統 治 構 造 」 の 項 目 で,企. 的 な 開 示 の 準 備 を 促 進 で き る も の と し て,「3.1.開 「3.2.統. 制 お よ び 手 続 き」,お よ び.財. て い る 。 ま ず,「3.1.開 場 合,発. 示 の レ ビ ュ ー,承. 認,お. 務 と 自 主 的 報 告 の 統 合 」 の3っ. 示 の レ ビ ュ ー,承. 行 者 のAIFやMD&Aで. 業 統 治 構 造 は,効. 認,お. の観 点 で 説 明 され. 続 開 示 書 類 に い か な る 誤 表 示 も 含 ま れ て い な い こ と を,最. 責 任 者 が 明 らか に す る た め に も,重 次 に,「32.統. た,十. の よ う な開 示. 高経営責任者や最高財務. 要 で あ る と い う。. 制 お よ び 手 続 き」 に っ い て み る と,レ. セ ス を 支 援 す る た め に,発. 用可能 な. て の 重 要 な 点 に お い て,. 発 行 者 の 財 務 状 態 の 適 正 表 示 を 達 成 す る た め に 重 要 で あ る と い う 。 ま た,こ は,継. よ び 検 証 」,. よ び 検 証 」 に っ い て み る と,適. の 重 要 で 意 味 の あ る 開 示 は,全. 果. 行 者 は,環. ビ ュ ー,承. 境 問 題 の 開 示 を 巡 る,厳. 認,お. よ び検 証 の プ ロ. 格 さ を提 供 す る た め に適 し. 分 な管 理 と手 続 き を も た な けれ ば な らな い と い う。. 最 後 に,「3.3..財 へ の 対 応,あ る 場 合,発. 務 と 自 主 的 報 告 の 統 合 」 に っ い て み る と,例. る い は 自 社 ウ ェ ブ サ イ トで,発 行 者 は,い. え ば,報. 告 書 や,調. 査. 行 者 が 環 境 問 題 に っ い て 自 主 的 に 開 示 して い. か な る 情 報 が 継 続 開 示 書 類 に も含 ま れ な け れ ば な ら な い か を 検 討 し. な け れ ば な ら な い と い う 。 発 行 者 は,い. か な る 自 主 的 開 示 も,継. と 一 貫 して い る こ と を 確 実 に す べ き で あ り,ま の 開 示 義 務 の 条 件 に あ る か も しれ な い こ と に,留. た,そ. 続 開 示 書 類 にお け る開 示. の よ う な 自 主 的 開 示 は,継. 続市場で. 意 す べ きで あ る と い う。. (4)証 券 当 局 の監 視 「環 境 報 告 指 針 」 の最 後 の 部 分 の 「4.結 論 」 で は,証 券 制 度 に準 拠 し環 境 問 題 の 開 示 一72(252)一.

(17) 証券制度 にお ける財務報告での環境開示(川 原) が 確 実 に行 わ れ る よ う,ま た投 資 家 の意 思 決 定 に意 味 の あ る情 報 が 提 供 され る よ う に,今 後,証 券 当 局 が 継 続 開 示 状 況 を レ ビ ュ ー し,環 境 開 示 の 状 況 を監 視 して い くこ とが示 さ れ,発 行 者 に 「環 境 報 告 指 針 」 の内 容 を よ く検 討 す る よ う求 めて い る。 発 行 者 は ま た,環 境 問 題 の重 要 性 に鑑 み,環 境 情 報 の開 示 に関 す る将 来 の規 制 当 局 の指 針 を継 続 して 監 視 し て い くよ う求 めて い る。. (5)開 示 事 例 証 券 発 行 者 が,既 存 の開 示 要 求 事 項 の範 囲 内 で,環 境 問 題 に関 連 す る要 求 事 項 に適 合 し て 継 続 開示 を 行 う こ と を支 援 す る た め の7事 例 が,「 環 境 報 告 指 針 」 の 本 文 に続 く付 録 部 分 に お いて 具 体 的 に提 供 され て い る。 あ くまで も本 文 の追 加 補 完 的 説 明 の た め の,そ. して. 想 定 され た情 報 に基 づ く事 例 と して 示 され て い る。 7事 例 は,「 環 境 リス ク」,「傾 向 と不 確 実 性 」,「環 境 負 債 」,「資 産 除 去 債 務 」,「環 境 保 護 の要 求 事 項 に よ る財 務 お よ び 事 業 へ の影 響 」,「事 業 に必 須 の環 境 方 針 」,お よ び 「取 締 役 会 の権 限 と委 員 会 」 に関 す る もので あ る。 この うち,「 環 境 リス ク」 の 本 文 で示 され た5種 類 の リス ク,す なわ ち訴 訟 リス ク,物 理 的 リス ク,規 制 リス ク,評 判 リス ク,ビ. ジネ ス モ デ ル関 連 リス ク につ いて それ ぞ れ 具 体. 的 に提 示 さ れ て い る。 企 業 の 状 況 に よ って 適 用 が 異 な る こ とが 予 想 さ れ る リス ク に っ い て,記 述 イ メ ー ジが 湧 くよ う な事 例 が 示 され て い る。. 3「 環 境 報 告 指 針 」 の 開 示 事 例 (1)環 境 負 債 の開 示 「環 境 報 告 指 針 」 で提 供 され た7っ の 開示 事 例 の うち か ら,財 務 諸 表 本 体 との 関 連 が よ り強 い と想 定 され る,「 環 境 負 債 」,「資 産 除去 債 務 」 お よ び 「環 境 保 護 の要 求 が もた らす 財 務 お よ び事 業 的 影 響 」 の3っ を取 り上 げ吟 味 して い き た い。 「環 境 負 債 」 の 開示 事 例 と して 「事 例1一 録1」 参 照),お 2」 参 照)が. よ び,「 事 例2一. 財 務 諸 表 に反 映 され た 環 境 の見 積 も り」(「付. 財 務 諸 表 に反 映 さ れ て い な い潜 在 的 環 境 負 債 」(「付 録. 示 され て い る。 ま ず,「 事 例1」. で は,事 業 と環 境 法 規 制 と の関 係 を包 括 的. に説 明 し,環 境 負 債 の認 識 や 測 定 に関 す る一 般 的 処 理 の考 え 方 を述 べ,さ. らに当 期 末 引 当. 金 の主 な内 容 にっ いて,見 積 も り根 拠 を説 明 して い る。 環 境 負 債 の引 当 金 額 が 期 末 の財 務 諸 表 で 開 示 され るか,含 次 に,「 事 例2」. まれ て い る こ とが 注 記 され る場 合 を想 定 した内 容 と な って い る。. で は,事 業 に よ って 生 ず る潜 在 的 な未 知 で予 期 で き な い環 境 へ の 影 響 一73(253)一.

(18) 第58巻. 第2号. に よ って,改 善 コ ス ト,環 境 的 コ ス ト,お よ び訴 訟 コ ス トを被 る可 能 性 に言 及 し,こ れ ら が 過 去 に お いて 重 要 性 が なか っ たが,将 来 の事 業 環 境 の変 化 に よ って 増 大 す る可 能 性 に言 及 して い る。 ま た,事 業 特 有 の性 質 に鑑 み,巨 額 な環 境 浄 化 費 用 を被 る可 能 性 を具 体 的 に 説 明 して い る。 しか も,そ れ が 操 業 上 の失 敗 な ど の問 題 を理 由 に発 生 す るか も しれ ず,環 境 汚 染 と と もに企 業 の評 判 に不 利 な影 響 を及 ぼす リス ク を説 明 して い る。 そ して こ の リス ク を管 理 す る た め の重 要 業 績 指 標(KPI)で. あ る油 漏 出率 の実 績 値 を示 して い る。 発 生 可. 能 性 と見 積 も りの困 難 性 か ら財 務 諸 表 に現 時 点 で 表 示 され て い な いが,想 定 され る環 境 的 影 響 に よ っ て は,将 来,環 境 負 債 を認 識 す る可 能 性 が あ り財 政 状 態 や 業 績 に 影 響 す る こ と,ま た評 判 低 下 の リス クが 考 え られ る こ と を説 明 して い る。 さ らに,こ の よ う な リス ク を統 制 す る た め の方 針,手 続 き,教 育 訓 練,監 視 な ど の対 応 を明 瞭 に説 明 して い る。. (2)資 産 除 去 債 務 の開 示 「資 産 除 去 債 務 」 の 開 示 事 例 で は,見 積 も り計 算 の仮 定 で 用 い た条 件,金 額. 金 利,対. 象 案 件 ご と の情 報 な ど算 定 に関 す る要 素 と算 定 に お け る不 確 実 性,資 金 的 裏 付 け に関 す る 考 え 方,ま. た 年 度,資. 産 や 債 務 ご と の 内 容 お よ び 金 額 の 比 較 表 が 示 さ れ て い る(「 付 録. 3」 参 照)。 まず,資 産 除 去 債 務 の対 象 資 産 と費 用 を具 体 的 に 説 明 して い る。 次 に,資 産 除 去 債 務 の負 債 認 識 の際 の,公 正 価 値 の見 積 も りの金 額 幅 を示 し,現 在 価 値 法 に よ る見 積 も りを適 用 して い る こ と,お よ び そ の仮 定 と して 用 い た,イ 整 後 無 リス ク利 子 率,お. ンフ レー シ ョ ン率,信 用 度 調. よ び資 産 除 去 時 期 な ど を明 瞭 に説 明 して い る。 次 に,資 産 除 去 債. 務 が 重 要 な 会 計 上 の 見 積 も りで あ り不 確 実 性 が 伴 う こ と,そ. の主 な理 由で あ る予 想. キ ャ ッ シュ ・フ ロ ー に変 化 を与 え る法 規 制 や 技 術 的 変 化 な ど の要 因 を列 挙 して い る。 さ ら に,資 産 除 去 債 務 は主 観 的 な見 積 も りで あ り,将 来,見 積 も り コ ス トが 変 更 す る可 能 性 を 示 して い る。 最 後 に,資 産 除 去 債 務 を 相 殺 す るた め の 資 金 的 留 保 にっ い て の 考 え方 を 示 し,現 状,特. に準 備 が な く,将 来 の支 出可 能 性 と,資 金 不 足 へ の対 応 に言 及 して い る。. (3)環 境 保 護 の要 求 が もた らす 財 務 お よ び事 業 的 影 響 の開 示 「環 境 保 護 の要 求 が もた らす 財 務 お よ び事 業 的 影 響 」 は,比 較 的 包 括 的 な 開示 内 容 が 求 め られ て い る内 容 で あ り,2っ. の記 述 事 例 が 示 され て い る(「 付 録4」 参 照)。1っ. 目 の事. 例 で は,環 境 保 護 規 制 を遵 守 す る義 務 が あ り,そ の結 果,環 境 支 出が 資 本 的 支 出お よ び収 益 的 支 出が 生 じた こ と,将 来,規 制 が 変 更 され る,あ る い は規 制 当 局 の執 行 が 強 化 され る こ と に よ り,将 来 の財 政 状 態 や 競 争 的 地 位 に不 利 と な る重 大 な影 響 が 及 ぶ こ と を説 明 して 一74(254)一.

(19) 証券制度 にお ける財務報告での環境開示(川 原) い る。 一 方,2つ. 目 の事 例 で は,土 壌 汚 染 修 復 義 務 に関 す る環 境 法 規 制 が 適 用 され る サ イ. トは未 だ な いが,将 来,そ 態,キ. の よ う な サ イ トが 発 見 され るか,法 規 制 が 改 訂 され れ ば財 政 状. ャ ッ シュ ・フ ロ ー に不 利 な重 大 な影 響 が 及 ぶ こ と を説 明 して い る。 す なわ ち,具 体. 的 規 制 の内 容 や そ の対 象 を明 示 し,現 時 点 で の環 境 支 出 の概 算 額 や 会 計 的 性 質 を含 む 財 務 お よ び事 業 的 影 響 と,将 来,予 測 され る影 響 の内 容 を説 明 して い る。. 察. Ill考. 1発. 行 者 に求 め られ る対 応 と効 果. 「環 境 報 告 指 針 」 が 意 図 す る透 明 性 の高 い環 境 情 報 開示 を実 現 す るた め に発 行 者 に求 め ら れ る対 応 と して,準 備,実 践,お. よび 統 治 の3っ の段 階 で の実 践 的 対 応 が 重 要 と され る6① 。. まず 準 備 段 階 で は,効 果 的 な環 境 情 報 開示 に は何 が 重 要 で あ るか,そ れ を ど の よ う に伝 達 す るか を 発 行 者 が よ く理 解 す る こ とで あ る。 環 境 的 側 面 か らの重 要 性 とそ れ に関 連 した し き い値 の 概 念 を ど うす るか が 鍵 とな る。 既 知 の環 境 問 題 を 財 務 科 目で 金 額 表 示 す る こと に 留 ま らず,株 主 等 の関 心 に包 括 的 に対 応 し,ビ ジネ ス価 値 に影 響 す る リス ク を見 極 め,事 業 や 財 務 へ の影 響 を もた らす 重 要 な環 境 問題 を 特 定 して い く必 要 が あ る。 重 要 な の は,従 来 の 財務 的重 要 性 の概 念 を包 含 した重要 性 概 念 が導 入 され て い る点 といえ る。 他 の準 備 段 階 で の対 応 に は,「環 境 報 告 指 針 」 で 制 度 書 類 の 強制 開示 の内 容 と自主 公 表 媒 体 で の開 示 の 内容 の一 貫 性 が 求 め られ る こ とか ら,こ の よ うな包 括 的 で継 続 的 な 開 示 を行 うた め に必 要 とな る組 織 内戦 略 を 策 定 す る こ とが挙 げ られ る。 従 来 の制 度 開 示 の 読 者 で あ る株 主,市 場 関 係 者,規 制 当局 の情 報 要 求 を 満 た す こ とだ け で な く,環 境 問 題 に関 心 の あ る ステ ー ク ホル ダー に も配 慮 す る こ とが 想 定 され る。 よ って,持 続 可 能 性,企 業 社 会責 任, 企 業 の環 境,社 会 お よ び ガバ ナ ンス(ESG)開. 示 な ど,最 近 の 様 々 な コ ミュニ ケ ー シ ョ ン. ッ ール で 公 表 した情 報 と,制 度 開 示 情 報 が矛 盾 あ る い は虚 偽 表 示 の な い よ うに,予 め社 内 で 調 整 で き るよ うな戦 略 的 な対 応 が必 要 に な る。 す な わ ち,ESG情. 報 開 示 全 般 を組 織 内で. 戦 略 的 に再 構 成 し継 続 的 に発 展 させ て い く準 備 が重 要 とい え る。 2っ 目 の実 践 段 階 と して,「 環 境 報 告 指 針 」 で明 瞭 で 一 貫 した環 境 開示 を求 めて い る こと か ら,企 業 の様 々 な チ ャネル にわ た り,計 画 的 で秩 序 あ る コ ミュニ ケ ー シ ョンを 統 制 す る こ とが 必 要 と な る。 健 全 な環 境 経 営 に お い て 重 要 とな る,統 制 の とれ た リス ク思 考 が ここで 求 め られ る。 す な わ ち環 境 リス クの特 定,評 価,お G①. こ こ で の 検 討 はDeloitte(2010a)お. よび 管理 に関 す る包括 的 リス クマ ネ ジメ. よ びDeloitte(2010b)を -75(255)一. 参 照 し て い る。.

(20) 第58巻. 第2号. ン トの枠 組 み が 制 度 情 報 開 示 に適 用 され る こ とに な る。 そ の際,重 要 と な る の は,組 織 内 で の リス ク概 念 や用 語 の共 通 化,リ ス ク評 価 や報 告 を一 貫 して行 うため の,リ ス ク許 容 や リ ス クの結 果 お よ び発 生 可 能 性 に関 す る尺 度 とい え る。 そ して,「 環 境 報 告 指 針 」 で は将 来 の 環 境状 況 や企 業 へ の影 響 の開 示 を求 め て い る こ とか ら,開 示 内 容 を 検 討 す る た め に,短 期 的 事 象 だ け に着 目す る ので は な く,長 期 的 で社 会 全 般 の潮 流 を,自 社 の財 務 お よ び事 業 の 問 題 に置 き換 え て い くこ とが重 要 とな る。 ま た,不 確 定 な将 来 の状 況 を 説 明 す るた め,計 画 的 で 秩 序 立 った 方 法 を 用 いて リス クを特 定 し,そ の 影 響 を評 価 して い く必 要 が あ る。 シ ナ リオ設 定 あ るい は感 応 性 分 析 に よ り,環 境 問 題 が 将 来 の 業 績 に影 響 す る場 合 の,将 来 の 製 品 サ ー ビ スか らの収 入 や,ユ. ー テ ィ リテ ィ費 用,. 将 来 の 資 産 価 値 の要 素 を計 算 す る こ とが 求 め られ る。 す な わ ち,効 果 的 な開 示 の た め に, 将 来 見 通 しや予 測 を 利用 し,そ れ に基 づ い た将 来 状 況 の説 明 が必 要 に な る。 投 資 家 は意 思 決 定 の た め,継 続 開示 情 報 の将 来 を 予 想 す る と想 定 され る の で,発 行 者 は 制 度 あ るい は 自主 開 示 の いず れ の チ ャネ ルで も一 貫 したESG情. 報 の開 示 を 行 う ことが 求 め. られ る。 重 要 な環 境 情 報 を虚 偽 表 示 しな い こ と は当 然 で あ るが,十 分 で一 貫 した環 境 問 題 の 文 脈 で の説 明 が 意 味 の あ る説 明 と な る。 す な わ ち,財 務 的文 脈 で の 断片 的 な情 報 提 供 に 留 ま らず,一 貫 した説 明姿 勢 を とり,内 容 を整 合 させ る必要 が あ る。 3っ 目の 統 治 段 階 で は,「 環 境 報 告 指 針 」 で情 報 伝 達 が 正 確 で 関連 性 が あ り適 時 で あ る た めの,強 力 な統 治 を 要 請 して い るの で,取 締 役 レベ ル の 関与 お よ び信 頼 性 の 確 保 が 鍵 と な る。 既 存 の 統 治 や承 認 プ ロセ ス に お い て,効 果 的 で信 頼 で き る環 境 開 示 や リス クマ ネ ジメ ン トの実 践 に責 任 を 負 う取 締 役 と部 門 長 の役 割 が重 要 とな る。 ま た,組 織 全 般 を通 じた統 治 体 制 の構 築 が必 要 とな る。 ESG情. 報 の信 頼 性 に関 す る保 証 は,カ ナ ダで は法 規 制 で 要 請 され て い な い。 しか し,財. 務 報 告 と持 続 可 能 性 報 告 な ど自主 的 開示 の統 合 が 進 捗 して い る こと に鑑 み,環 境 情 報 の信 頼 性 を 担保 す る品 質 の 高 い デ ー タ に基 づ い た情 報 開 示 が,効 果 的 な プ ロセ スお よびIT統. 制. と同 様 に重 要 と な る。 情 報 の信 頼 性 の確 保 の メカ ニ ズ ム と して,内 部 あ る い は外 部 者 に よ る保 証 の し くみ を利 用 す るこ と も必 要 とい え る。 最 後 に,こ の 「環 境 報 告 指 針 」 で 指 示 さ れ た 内容 に適 切 に対 応 し,環 境 問 題 に関 す る透 明 性 と品 質 の向 上 の質 の高 い情 報 開示 を発 行 者 が 行 う こ とに は重 要 な意 味合 い が あ る と い え る。 す な わ ち,事 業 の効 率 性 を 高 め,先 進 的 な環 境 情 報 開示 を 行 う組 織 と して の ブ ラ ン ドや 評 判 を外 部 か ら獲 得 す る機 会 が 高 ま るか も しれ な い。 この こ とを 通 じて,株 主 や 投 資 家 に と って の企 業 価 値 を高 め る効 果 も期 待 され よ う。 発 行 者 の 組 織 価 値 を単 に保 守 す る と 一76(256)一.

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