加減の文章題における児童の理解とつまずき
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(2) を「子ども達が現在および将来当面するであろう現実的な問題場面の数的処理能力を伸ば し,数理的構造をより高度のものに構築する土とである+としているように,文章題は数 学的考え方や問題解決能力とい?た「生きた学力+の育成を企るという意味で,算数教育 の目標の根幹に触れる重要な役割を担っているのである。. 2.文章題は何故難しいのか。 以上述べたように文章熟ま非常に重要であるにもかかわらず,文章題は多くの児童にと って算数の中で最も難しくまた苦手な領域であるというのが現実である。何故文章題は児 童にとって難しいのであろうかoこれに関して田中ら(1983)は文章題の解決は次の7つ の段階を追って行われるとし,. 1)から6)までのうちいずれか1つまちがっても全体と して誤答になってしまうことが文章題の難しい所以だとしている。 1)文章を読んで問題場面を理解する一2)数量構造の把握一3)立式一4)計算技 能による解決一5)答一6)名数を付ける一7)問題場面への還元と検証・検算 確かにこのように何段階かの思考や技能のステップを経なければ正答にたどりつけないと. いうのが文章窟の難しい理由であろう。とりわけこの中でも「文章(閉居文)を読んで問 題場面を理解し,数量構造を把嫁する+という最初の2つの段階が最も難しくまた問題解 決のために最も重要であることは明らかであるo以後この2つの段階を含めて問題文の意 味構造の理解とよぷことにする。 3.文章題の難易度の決定要田 一言で文章題といっても, ①計算技能の応用問題としての文章題, ②確率や組合せや関 数関係などの理論に基づく数学的考え方を養う文章題, ③鶴亀算や植木算などの伝統的な 文章題等に分けられる(田中ら, 1983)が,本研究でとり上げるのはこの中の①で,さら に1桁の数の1回の加算あるいは減算で求答が可能な単純な文章題である。たとえば「あ めを6こもっていましたが,おかあさんからなんこかもらったので9こになりました。な んこもらったのでしょう.+というように,問題文で与えられた2つの数の加算あるいは. 減算によっ七答を求める問居である。このような文章題の難易度を決定する要因として, 文の長さ,文の数,語数,文法的複雑さ,質問の呈示位置,問題文を構成する文の呈示順 序,未知数の位置?文脈,語糞,問題文で使われている数の間の意味的関係等の数多くの. 要田がとり上げられ/その影響が吟味されてきた(Jerman, 1973 1974;. Carpenter. &. Mose、r,. 1982;. ; Rosentbal. &. Resnick,. N9Sher,. 1982など多数).またこうした問題文の構成 や意味に関する要因の他に,ブロックなどの具体物の使用も難易度に影響をもたらすこと が知られている(Fuson,. 1982;. Dean. &. Malik,. 1986など多数)。これらの要因の中で近. 年特に盛んに研究されている要因として問題文で使われ七いる数の間の意味的関係阜未知 数の位置があげられる(Riley, &. Greeno,. &、. Fuson,. (変化),. Greeno. &. Heller,. 1983 ; Briars. &. Larkin,. 1984. 1985;. Morales,. 1986. など)o 問題文で使われている数の間の意味的関係としては,. Combine. (結合),. Sbute. &. Equalizing. Pellegrino,. (等化),. 1985;. Compare. Dean. &. Malik,. 1986;. ; Kintsch. Stigler. Change. (比較)などの種類が考えられ.
(3) 3. 加減の文章題紅おける児童の理解とつまずき. ており・,この要因と未知数の位置すなわち問題文の表現を たときにa,. b,. a±b-c. の式の表現に変換し. cのどれが未知数になるかという要因を組み合わせることによって得ら. れる問題のタイプ問で相対的な難易度が異なることが指摘されてきている。たとえば Rileyら(1983)らによればChangeとCompareの問題*のタイプは蓑1に示す通りで あり,ブロック(具体物)を使用した場合,これらのタイプの腐に表2と表3に示すよう な難易度の違いがあるとされる。. 表1. Rileyら(1983)によるCbangeとCompareの問題串*. Cbange問題. ,. (結果量が不明の場合, c白1.. a±b-c?). Joeはあめを3こもっていたoそれから,. JoeはTomからあめを5こ∧もらっきた.Joe. は今あめを何こもっているか。 cH2.. Joe-はあめを8こもっていたoそれから,. JoeほTomにあめを5こあげた。. joeは今. あめを何こもっているか。 (変化量が不明の場合, a±b?-c) cH3.. Joeはあめを3こもっていたoそれから,. JoeはTom. からあめを何こかもらったo JoeほTornからあめを何こもらったかo Joeは Joeはあめを8こもっていたeそれから, JoeほTomにあめを何こかあげた. Joeは今あめを8こもっているo. cH4.. 今あめを3こもっている。. JoeはTomにあめを何こあげたか。. (初期値が不明の場合, a?土b-c) cHr5. Ioeはあめを何こかもっていたoそれから, cH6.. JoeはTomからあめを5こもらったo. Joeほ今あめを8こもっている。最初Joeはあめを何こもっていたか。 JoeをまTomにあめを5こあげた。 Joeはあめを何こかもっていたoそれから,. Joeは. 今あめを3こもっている.最初Joeはあめを何羊もっていたか. Compare問題.. (差が不明の場合) cpl.. Joeはあめを8こもっているo はTom. cp2.. Tomはあめを.5こもっている。. Joeのもっているあめ. Tomはあめを5こもっているo. Tomのもっているあ. より何こ多いか。. Joeはあめを8こもっているo. めはJoeより向こ少ないか。 (埠軽量が不明の場合) cp3.. Joeはあめを3こもっている。. cp4.. Joeはあめを8こも,つているo. TomのもっているあめはJoeより5こ多い。. Tomは. あめを何こもっているか。 Tom. TomのもっているあめはJ6eより5こ少ないo. はあめを何こもっているか。 (比較基準量が不明の場合) cp5.. Joeはあめを8こもっているo. cp6.. Joeはあめを3こもっているo. JoeのもっているあめはTomより5こ多い.. Tom-紘. あめを何こもっているか。 はあめを何こもっているか。. Joeのもってし_、るあめはTomより5こ少ない。、Torn. *以後Cbange問題, **一部表現を改変。. Compare問題とよぶ。.
(4) 塗. 表2. 師. 斌. Riley、ら(1983)によるChange問題のタイプ別正答率(ブロックを用いた場合) 問題 C‡Il. CH2. CH3. cli4. 学年 ̄. 1年. 表3. .1.00. 1.00. .56. .78. 2年. 1.00. 1.00. 1.00・. I.00. 3年. 1.00. 1.00. 1.00. 1.00. CH5. CIi?. .28. .39. .80. .70. .95. .80. Rileyら(1983)によるCompare問題のタイプ別正答率(ブロックを用いた寄合) 問題 CPl. CP2. CP3. CP4. 学年 1年. .28. .22. 2年. .85. .75. 3年. 1.00. 1.00. なおこの裏では示していないが,. f l 】. Combine. .17 .80 1.00. l. CP5. CP6. .28. .ll. .06. .90. .65. .35. .95. .75. .75. の問題とは「aとb合わせて(全部で)いく. Equaつか+あるいは「全部でc,一方がaであれば他方はいくつか+を問う問題であり, 1izingの問題とは一方のaを他方のbと等しくするためにはいくつ増やしたり減らしたり. する必要があるかを問う問題である。その他にも. Vergnard. (1982)による3つのタイプ がある.これらのタイプの中で最も多く研究がなされてきているのはChange問題であ り,次いでCompare問題とCombine問題であるが,その多くは基本的にはRileyら. (1983)のモデルを前提としており,またブロックなどの具体物を使用したものが多い。 そこで本研究ではChange閉居とCornpare問題をとり上げて,具体物を使用しない場 合に各問題タイプの達成パターソはどのようになるのか,どのような特徴的な誤答が見ら れるのか,またRileyら(1983)の結果がどの程度適用できるのか等について検討する. その際Riley. らの文章題の問題解決能力のモデルの視点からも分析してみて,モデルの. 妥当性についても検討する. 4.. Rileyら(1983)の問題解決能力のモデル. 「こんな簡単な計算で解ける文章題なのにどうして子どもは間違うのか+といった場面 をわれわれはしばしば経験する。. Rileyち(1983)はこのような事態を,問題解決のため knowledgeと手続き的知識proceduralknowledgeの両方. には概念的知識conceptual が必要であり,特に概念的知識が重要であるということで説明する.つまりたし算やひき 算を知っていても(手続き的知識),問題文の意味構造を理解できる知識(概念的知識)が 十分でなければ正答できないというわけである。. Rileyら(1983)紘,子どもが年令が上がるにつれて文章題をよりよく解けるようにな るのは,この概念的知識の複雑さ(complexity)の増大によるものだとしているoそして.
(5) 加減の文章題狂おける児童の理解とつまずき. Ghq OIL仙(Lty. OuJntity. Modellのスキーマ. 囲1. OLJfrtlity. i. a. .i/. ChNl中. c4. si;. Evf巾t OLJJr[rltY. QtJ●れIity. Qり■rLtity. +・l:. ・&. ど OL-Jr)1JtY 1ncreJSe. 国2. 図3. Mode12のスキーマ(CH3に対する表象). Mode1. 表4. 1-Model. Mode13のスキーマ(CH5に対する表象). 3の表1の問題に対する達成の′1ターン**. モデル Modell. Mode12. Models. 問題. +. ■+ +. "8''. CH5. cH6l **,+は正答,. I.. +. cHlf cE2I cH3l cH4l. +. I+. +. +. +. +. ``5”. ``5”. +. NA. NA.. NAはNo. Answer. 卜・. (無答)を表わす。. Change問題に関して,囲1-図3に示すような,最も単純な水準であるModel 熟達者(expert)の水準である、. Model. 3. lから. までの3水準の知識構造(スキーマ)を設定し. て,これらのモデルの表1の問題に対する達成のパターンを表4のように予測し,さらに 実際に得られたパターソとの一致度を調べることによってモデルの妥当性を検証してい る*。ここで各モデルについて説明しておくと,まずModellは問題文の数値を囲1のよ うな単純なスキ-マでしか理解できず,目の前紅並べられたブロックの数によって答が左 右されるo. したがってたとえば表1のCH4では,ブロックを3こ軒こするために8こか. ら分離した5こが目立ちやすいので正答するが,. CH3. (表1)では最初にもっていた3. こ(初期値)ともらった数(変化量)を区別するスキ-マを持たないために今もっている *なおこれらのモデルはプロtpクを使用した場合のモデルであるo.
(6) 「8こ+を答としてしまうである(表4参照)。これに対してMode12は図2のような Change. スキーマをもっているので,初期値と変化量と結果量を区別することができ,. CH5(表1)では「Joeはあめを何こかもっていた+ という最初の文に対する表象が不完全なため,変化量を初期値にしてしまって, 「最初何. cH3転正答することができるが,. こもっていたか+と問われたときに変化皇の「5こ+と誤答するのである.これをこ対して Model. 3は図に示すようにやはりChangeスキーマをもつがMode1. 2よりもっとtop-. downにこれを使うことができ,さらに全体の集合とそれを構成する2つの部分集合を識 CH5に対しても正答することができ. 別できる全体一部分スキーマをもっているので,. るoなおこの際2種察の方略のいずれかが選ばれる.その1つは結果量は変化量ともうー 方の豊から構成されるのでもうー方の量が初期値でなければならないと識別することであ り,もう1つは初期値は行為(action)の系列を道にすることによって求められること, すなわちA+B-CはC-B-Aを意味するということを識別することである。 目 本研究の主要な目的は,. 的. Rileyら(1983)のCbange. とCompareの各タイプの文章題. に対する小学1年から3年までの児童の,具体物を使用せず自ら問題文を読んで問題解決 を行う場合の相対的難易度と問題解決過程におけるつまずきを明らかにすることである。 それと同時にRileyらのモデルの具体物を使用しない場合への適用可能性についても検討 する。. 方. 法. 1.調査問題. 表1のRileyら(1983)のChangeとCompareの各タイプに対応させて本研究で作 成し使用した問題を表5に示す.作成に際しては以下の点に注意した. ①. 問題文で用いる値およ甲正答の値がいずれも1桁でしかも額似の値になるようにし て,数の大きさが難易度に影響を与えないようにした。ただしCP3b,. CP4b,. CP6bでは比較のために児童にとって身近な問題場面で2桁の数を用いている. もちろんこの程度の計算は1年生でも十分できるはずである。 ②. 表1の問題文はRileyらの直訳に近いが,問題文を構成する1つ1つの文が短く,. 一また各文で主語や目的語等がくり返されるので必ずしも自然な表現とはいえず,正 確な表現であるが故にかえって理解しにくい面もあろうと思われる。そこで本研究. では問題文ができるだけ自然な表現になるようにした.そのため各問題文を構成サ ニる文の数はRileyらの場合と必ずしも同じではなく,たとえばCbange間額につ いていえば,. Rileyらの場合CⅠ壬1とCH2が3文で. CIi3-CH6+が4文であ. ・るのに対し,′-本研究ではCHl-CH6のいずれも2文である.また主語や目的語. 等については,省略しても問題文の解釈に影響を与えないと思われる場合には省略 した。.
(7) 加減の文章題における児童の理解とつまずき. ③. 7. 問題文の問題場面ができるだけ日常的な場面であるように配慮し,場面設定が難易. 度に影響を与えないようにしたoこの主旨に従え峠同一の問題場面で各タイプの問 題を作成することが最も望ましいであろうが,その場合被故老である児童の立場か らみると,同じような問題を何度もくり返す単調さが動機づけや達成の程度を低め たりすることも考えられるのでこれを避けた。. ④. Compare問題についてはCP5bを除いて,. 「-が-こあります+あるいは「-が. -にんいます+という簡単な表現にした.なおCP5bは「-が-杏-こもってい. る+という表現の文で,本研究でとり上げた問題文の中では最も長い問題である。 ⑤. 問題項目の配列順序は学年あるいは学級によっても多少異なるが,先行研究や予備 テストにおける難しい項目を後の方に配置したo前項目に対する応答との比較がで きるだけしにくいようにするた捌こ,. 「もらう+とか「おおい+等といった同種の. 言葉や同じ問題場面の問題項目が続かないように配慮した。 蓑5. 本研究におけるChangeとCompareの問題. Cbange問題 CHl・はじめ5にんであそんでいましたが,あとで4にんふえましたo. あわせてなんにんです. か。 CH2・. 9にんであそんでいましたが, 4にんかえっていきましたoなんにんのこっていますか. CH3・あめを6こもっていましたが,おかあさんからなんこかもらったので9こになりました。 なんこもらったのでしょう。 CE4・シールを9まいもっていましたが,ともだち紅なんまいかあげたので,のこりが5まい. になりました。なんまいあげたのでしょう。 CIi5・いろがみを3まいもらったので8まいになりました.はじめいろがみをなんまいもって いたでしょうか。 CH6.. ともだちにおりがみを5まいあげたので,のこりが4まいになりましたo. はじめおりが. みをなんまいもっていたでしょうか。 Compare. 問題.. CPl.. 男の子が5紅ん,女の子が8にんいますo女の子のほうがなんにんおおいですか.. CP2.. 男の子が5にん,女の子が8にんいます.男の子の掩うがなんにんすくないですかo. C P3a.. みかんが5こあります。. C P3b.. 2年生は75にんいますo. りんごはみかんより3こおおいです。りんごはなんこですか。. 1年生は2年生より4にんおおいそうです.. ですか。 C P4a.. 1年生はなんむこん. 男の子が8軒こんいます. 女の子は男の子より3にんすくないそうです.女の子はなんに んですか。. CP4b・. CP5ar. .2年生は75にんいます。 んですか。 男の子は8にんいます.. 1年生は2年生より4軒こんすくないそうですo. l年生はなん紀. 男の子は女の子より3にんおおいです.女の子はなんにんです. か。. CP5b・ひろし君はがようしを8まいもっています.ひろし君はあきら君よりがようしを3女い おおくもっています.歳櫓ら君はがようしをなんまいもっていますか. CP6a・かきが6こありますoかきはなしより3こすくないです。なしはなんこですか。 CP6b・. 4年生は76にんいますo んですか。. 4年生をま3年生より3にんすくないそうですo. 3年生はなん甘羊.
(8) 塗. 8. 軒. 斌. 2.調査の実施 イ.実施時期--1987年3月中旬-5月上旬と1988年3月中旬-下旬。 p.実施方法--各学級の担任教師に学校での授業時間を利用して集団的に実施して もらった。時間は文章窟以外の問題も含めて40分間(1時限)であ る。あらかじめ予備調査で,この時間内ですべての問題を試みるこ とができるということが確認されていた。児童は各自で問題文を読 み,応答の際紅は式と答の両方を記入した.. -.調査対象--∴表6に示すo調査対象校の選定に際しては,学力の面で特に偏りの 見られない公立小学校を選ぶように配慮した.なお4月-5月上旬 に実施の学級の学年は,すでに新学年に入っているためその前の学 年として扱った。. 表6. 学年】組数l. 児. 調. 査. 対. 象. 数. 童. 1A3組28名, 28名, 1A2姐29名, 1Bl組31名(計144名) 1A4組28名, 1Al組*. 2Al組30名,. 2A2鼠29名,. 2A5組34名,. 2Bl組30名, (計197名). 2Cl組34名,. 2Dl組40名,. 3A6組36名,. 3A7組33名,. 3Dl組39名,. 3El組33名,. 3Fl組42名,. 3F2組43名,. 3 *. 数. 校. 東:京都公立小学校1校 神奈川県公立小学校1校 東京都公立小学校1校 神奈川県公立小学校. F3組42名(計268名). 3校. 東京都公立小学校1校 神奈川県公立小学校. 3校. A小学校, 1組を表わすように名付けた組名で 1Alとほデータ処理の都合上左から順に1年, ある。学校名,組名ともに同じ場合,同一の組を表わす.たとえば2Al組とは1Al組がその まま2年になった組のことである.. 結果 1.. 学. と そ の考察. Cbange問題の正答率の比較. 各学年のChange問題の各タイプに対する正答率を蓑7と図4に示す.この結果から, cH3からCE6までのいずれの問題も1年から3年へと学年が上がるにつれて正答率 3年ではほとんどの児童がどのタイプの問題も正答するようになることがわ. が高くなり,. かる。またその伸びの程度はCⅢ3,. CH5,. CⅢ6のいずれもかなり著しい。なおCH. 4は1年ですでに正答率が高い問題であるため顕著な伸びは見られない。. CⅢ. 1とCH2. は1年ではとんど全員が正答する易しい問題であるoこれらの結果をRileyら(1983)に CH3を除桝酌まぼ同様の結果が得られているとい ょる結果(表2)と比較してみると, えよう。. Rileyらの結果は具体物のブロックを用いた場合の結果であり,また問題の内容. や形式が異なるので,正答率の値そのものの直接的な比較はできないが,いずれ紅おいて.
(9) 9. 加減の文章題における児童の理解とつまずき. もCH4がCH3からCE6までの中で最も易しい問題であり*,またCH4やCH5, cH6. CH3. における正答率の上昇のパタ-ソが類似している.. Riley. については. ら. の場合2年以上の正答率が1.0というように本研究の結果に比べてかなり易しい問題とな っているが,これはブロックの使用がCH3をCH5やCH6に比べてより易しくす Riley る方向に作用したためだと考えられる。このように らの結果は具体物を使用しな い場合には必ずしもそのまま適用することはできないように思われる。 次に問題のタイプ間で正答率を比較してみると表7から明らかなように,最も易しいの. はCHlとCH2,次いでCH4,そして最も難しいのは学年によって多少その間で順位 が異なるがCH3とCH5とCE6である.この結果はCH3を除桝まRileyらの結 Rileyらによれば全. CH3は,. 果(表2)やBriarsら(1984)の予測とはば一致するo. Cbangeスキーマだけで解決できるという点で,.また. 体一部分スキ-マを使わなくても. Briarsらによれば「表象+のレベルまでいかなくてもdouble. counter. (ある要素を部分. 集合と全体集合の要素として同時にカウントすること)が可能なレベルの知識で解決でき. Cbange問題のタイプ別正答率(学年別)串串. 表7 \. 問題 CHl. CI‡2. 学*T\\ 】 1年. .99(88). I. .97. CH3. (88) i. CI‡4. .25(144). 1. CH5. .75(144). CE6. .42(144). l. .38(56). l ・70(123) L91(123)74(123) 87(123) L/ 2年J / 99(108) / / ∫ l ・93(106) I 3年l ・97(36)ト93(160) **かっこの中は総人数.たとえば1年のCH4は144人中の75%という意味であるo .. .. .. 正答率 1.00 計・----.一-・・J}1-1・・-・--甘・--・・--・.J5. ′. 0.80. ○----・・・・・-o. ノ、、、、 ヽ. ′. ノ. 1年. ′. ′. ヽy′′. I-----●2年. ′. ∫ J}-A----E)3 0.60. 0.40. 0,20. 0.00 CHI. CH2. 囲4 *. CI壬3. CH4. CIi5. CIi6. 問題のタイプ. Cbange問題のタイプ別正答率(学年別). cH4が易しい理由についてほ次節で述べるo. *.
(10) 10. 塗. 観. 師. るという点でCH5やC'E6より易しい問題とされているが,本研究の結果ではCH5 やCH6と同じ程度の難しさになっている。この結果の違いは,. RileyらやBriarsらの. ようにブロックやchipsといった具体物を使用した場合と本研究のように具体物を使用 しない場合の違いであると考えられる。. Moralesら(1985)においても具体物を使用しな. CH4とCⅢ5,. い場合の3年生の結果でCH3,. CH6の間で有意な差が得られていな いo特に本研究の場合,答だけでなく求答のための式も書かせており,答も式も正しい場 合に限って正答としているのでこれによる影響も大きいと考えられる。実際,次節で述べ. るように式で表現することが答に及ぼす影響は大きかったようであるoたとえばCIi5で 5+3-8(8まい)**という誤答が多かったのは,問題文の表現内容をそのまま正確に式 で表現している(ただし求答のための式になっていない)という点で問題文の意味構造を 理解していると考えられるのに・式で表現するというステップが介在したため,式の右辺. が答であるといういわば「式スキーマ+ともいうペき知識が働いたことによるのではない かと思われるoそこでこうした式表現による影響をとり除くために,問題文における2つ. の値と正答の値を式の3つの値として用いているものを,式の正誤にかかわらず仮に正答 とみなして,各タイプの正答率を算出した結果が表8である。この裏におけるCH3CE6の間の相対的難易度は表7と同様な懐向を示している。以上のことからブロックの. ような具体物を用いない場合には,. CH4がCH3-CH6の中で最も易しく,他の3タ. イプの間には特に難易度の差は見られないということがいえそうである。なおCH4が. 最も易しくなる理由については次節で述べる.またCH3がCH5やCH6より易し くならなかったということは・. Rileyらのスキーマモデルは具体物を使わない場合にはそ. のまま適用できないということを示していると思われるo 2とMode1. によるMode1. このことはたとえばRileyら. 3を識別するために重要なCH5における誤答のタイプ(秦. 4参照)が,本研究でははとんど見られなかったことからもいえると思う。 次にほとんどが正答しているCHlとCH2を除き, 1年と2年についてCH3-CH 6の正誤の反応′くターンのそれぞれの人数を求めたが表9である.. CH4が易しかったと. いうことは×○××というパタ-ソが非常に多かったことからも示される.またCH3 が難しかったということは,. ×000や×00×,. ×○×○といったパターンが特に1年. で多かったことからも示される。. 衰8. 式の正誤を無視して式の中で正答値を用いてし る場合を正答とみなしたときの正答率* 問題 CHl. CH2. CH3. 学年 1年. .99. (88) l. 2年 3年. .97. (88). .59(144) .73(123) .94(108). *かっこの中をま総人数。 **式が「5+3-8+で答が「8まい+と意味で用いるo以下同様.. CIま4. 】 l I. CH5. .92(144). .59(144). .96(123). .76(123). .97(36). .93(160). CH6. l I ∫. .55(56) .91(123) .99(108).
(11) 11. 加減の文章題における児童の理解とつまずき 表9. CH3-CH6の反応′くターンの人数(○・・・正答, 問. 題. の. タ. イ. CfI3. J. CH4. 1. CH.5. O. i. O. I. O. ○. ○. 】. ○. ○. ○. O. l. x. プ 1. CE6. 1年. 2年. 19. 54. ○. 10. ○ I. ○ ○. ×-誤答). O. ○. ○. 0. 1. 10. ○. ○. ○ ○. ll. ○ 0. 1. 15. ○. 39. 22. ×. 計144名. 2.. 計89名. Change問題の誤答分析. 各学年で輝度の多かった誤答(3%以上)を多い順に表10に示す。 3 Yo以上に共通した誤答の.タイプはなかったので省略したo. 3年生では全体の なお無記入の欄は3 %以上の. 複数の児童に共通の誤答がなかったことを示すoこ.の表から二つの顕著な傾向なうかがう ことができる。 ●. 一つほ問題文で表現されている行為・. ●. ●. (あるいは意味)をそのまま正しく式で表現したた. めにその式の表現FL-ひきずE?れて.t,まい,式の右辺は答であるという意識が働いて右辺の 値をその、まま答にしてしまうとしTう誤答が特に1年で非常軒こ多いということである。これ 中耳相当する∴誤答はCH3の6+3-9. 5+3-声(8まい),. CH6の9-5-4. (9こ),. CH4の9--4-5. (5まい),. CH5の. (4.まい)で,たとえばCH■3,1についていえ. ば, 「6こもっていましたがおかあさん串、らなんこやもらったので9こになりました+と. いう部分を6+3-9と立式したために答を9ことしてしまうのである。この・穫の誤答杏.
(12) 12. 表10. Change問題における誤答のタイプ. 1年(144名) 誤 CH3. 6+3-9 6+9-15. CH4. CE6**. 内. 容. 】比. (9こ)* (15こ) J. 9-4-5. (5まい). I. 3+8-ll. (11まい). I. 5+3-8. (8まい). I. 8+3-ll. (11まい). I. 5-4-1. (1まい). 】. (4まい). l. (9まい). I. 9-5-4. 誤. 答. 内. 容. 】比. 6+9-15. (15こ). 1. 9-4-5. (5まい). l. 3+8-ll. (11まい). 8+3-ll. (11まい). 率 .17. .22. (15=). 9-5-4. 率 .26. 9+6-15. 1. CE5. 答. 2年(123名). .o6 .17 .18 .13. .o7. .15 .03. .o6 .36 .13 .05. *式を「6+3-9+とし,答を「9こ+としたことを表わす。他も同様。 ** 1年のCE6は56名中の比率である。. する児童は正答を式の中の一部に用いていることから,問題の意味構造を理解していたも のと考えられる。それにもかかわらず誤答する理由としては,次のようなことがあげられ よう。. 先に述べたように問題文で表現されている行為をそのまま式で表現すると,今度は式に 基づいて答を考えることになるが,ここで何を求めるのかということが作業記憶から排除 されたままの状腰で推論が行われる場合には,右辺が答であるという式の一般的使い方に 左右されて右辺をそのまま答忙してしまうのである.式の右辺を答とする傾向がいかに強 いかは,. CH3-CH6のいずれにおいても左辺に含めている正答を答の欄に記入してい. るものがほとんどいないことからもわかる。このような誤答をする児童のスキーマの水準 としてはRileyらのMode1 るように思われるo. 2に相当する児童とMode13に相当する児童が混在してい. Model-2の児童はーchangeスキーマを持っているので問題の意味構. 造の表象が可能である。したがって初期値,変化量,結果量という3つの量の相互関係を. 把握できる。しかし全体一部分スキ-マを持たないため求答のための演算決定(式表現) ができない.そのため式の一般的使い方に左右されてしまうと考えられるo. またModel. 3の児童はcbangeスキーマのみならず全体一部分スキーマももっているので本来なら 正しい演算決定ができるはずであるが,特に1年生ではまだ式の使い方に習熟していない ので,問題文を最も自然な仕方で式表現し,そのために擾乱されたのではないかと考えら れるoしたがってMode1. 3の児童はくり返して関宿文を読むとか答を吟味すること紅よ. って容易に正答するようになると思われる.これに対してMode1. 2の児童の場合には全.
(13) 加減の文章題vLおける児童の理解とつまずき. 13. 体-部分スキーマを持たすための指導が必要であろう. もう一つの顧著な誤答は,問題文に現れる2つの数値をその間の意味関係を理解しない 「あげる+のと. まま,問題文で表現されている行為がrもらう+のときには+(プラス),. きには-(マイナス)で結合するという琴答である。こ■のタイプの誤りは,いわゆる逆思 CH5,. 考,逆算の問題であるCH3, CH5の3+8-ll. (11まい),. CH3の9+6-15. (15こ),. CH3の6+9-15. CH6に現れる。. (15こ),. (1まい)がこれに相当する。また. CH6の5⊥4-1. (11まい)は数値の慣は逆であるが,. CH5の8+3-ll. 同種の誤りとみなせよう。この種の誤答をする児童が問題の意味構造を理解していないこ とは明らかであるが,このことから彼らが. cbangeスキーマや全体一部分スキーマをも. っていないと結論することは早計かもしれない。というのは彼らが問題文をくり返し何度 も読み直したり,答を何回も吟味したときに自分の答の誤りに気づくケースも多いので紘 ないかと思われるからである。ところでCH4がCⅢ3-CⅢ6の中で最も易しい理由と して,. CH4ではこの種の誤答が起こりえないことがあげられる。すなわちCE4では, Rileyらは. CH3やCE5やCⅢ6で誤答になる仕方で求めても正答を得るのである。. CH4が易しい理由として分離したブロック(separateset)が目立ちやすいことをあげて いるが,それはあくまでもプpックを用いた場合のことであって,ブロックを用いない場. 合にはここで述べた理由が最も大きし、のではないかと思われるo. 畠. Compare問題の正答率の比較 各学年のCompare問題の各タイプに対する正答率を表11に示す。. まず学年間で比較してみるとはとんどのタイプの問題は学年が上がるにつれて正答率が 高くなっているが, CP5aだ桝ま3年生の方がかえって正答率が低くなっている。これ む羊次節でも述べるが,「おおい+という表現をすく小プラスに結びつけて,問題文で所与の 2つの数値をそのまま加えてしまう誤りが3年生で極めて多かった(35%)ためである. 次に問題の3Lイプ間で比較してみると以下のような傾向が認められるo ①. cp2は1年生のデータしかないが最も易しいタイプの問題といえようo この理由 として「すくない+という表現から想起されるマイナスを,問題文で所与の2つの比 表11. Compare問題のタイプ別正答率(学年別)*. 問. 題. CP3. CP4. CP5. CP6. CP2. CPl. a. 】. 1年. 55(56)1. 93(28) 52( 56). 2年. 78. 3年. 94(36). b. 83. (197) 84( 74). I/. 93. (268). *かっこの中は総人数oたとえば, 串*この部分だけ問題内容が2年,. b. a. I. b. b. a. 56) /I・ 68( 28)卜42(144)t・23( (197) (197) 95( 74) 86( 64)f・73( 59)l・50(197) (160) (268) (268) 93(108)、卜62(111)卜57(268) 82(28)**. I/. (74). a. 91. (160). 96. 41. 41. 49. 54. 1年のCP lは56人中の55%という意味である。 3年と異なる。 1年の問題は, 「みかんが8こあります。りんご. はみかんより3こすくないです。りんごはなんこですか。+である。.
(14) 塗. 14. 節. 斌. 軽量の演算子としてそのまま用いればよいからと考えられる。負の値になることはな いので単に大きい数から小さい数を引桝ぎょいといったこととか,. CP3-CP6の. ように比較する量の差異量ではなく比較量そのものが所与であるといったこともCP 2を易しくする要田といえよう。 CP4はa,bともCP2に次いで易しくなっているが,これはCP4では差異量. ②. が与えられている点を除桝ゴCP ③. 2と同様なことがいえるからだと考えられる。. ECPlはCP2やCP4より難しくなっている。これはノCPlでは「おおい+と表 現されているにもかかわらず求答のためには一般にマイナスを用いなければならない ことに帰因すると思われる。実際に,次節でも述べるようにCPlにおける誤答のほ とんどは問題文で所与の2つの数値をそのまま加えているo. ④. cp3はa,bと'もCPlとはぼ同程度の難易度といえよう.. ⑤. CP5とCP6はいずれもCompare問題の中では最も難しい問題といえよう。 れらは,問題の表現が「おおい+というときにはマイナス,. ′こ. 「すくない+というとき. にはプラスの演算子を用いて解かねばならないという意味で逆思考,逆算の問題なの である。これらの問題はRileyら(1983)によれば比較基準量不明, language. によればcon且icting. Briarsら(1984). (幕藩語)の問題のカテゴリに含められており,辛. はり最も難しい問題とされているが,難しい理由は逆思考が要求されるからである。 実際に,次節でも述べるようにこれらの問題における誤答のほとんどは,問題文で所 与の2つの数値を,. 「おおい+という表現のときには加え,. 「すくない+というときに. は引いている。ところでCP5aとCP5bの間でかなり正答率が異なるのは,問題文 の長さの違いによると思われる。やはり一般に長い方が問題文の意味構造を理解する のが難しいようである。. ⑥. CP5とCP6を比較すると,. CP6の方が多少難しいのではないかと思わFLる.. なおRileyら(1983)もブロックを用いた場合ではあるが,. 1年生や2年生ではCP. 6の方がCP5より難しいという同様な結果を得ている(表3参照)0 以上をまとめるとCompare問題の各タイプの相対的難易度は,易しいタイプから順に. ①CP2,. ②CP4,③CPlとCP3,④CP5,⑥CP6であるといえよう。この結. 果と表3のRileyらの結果と比較してみると, しているが,. CP. CP5とCP6か難しいという点は共通. 1-CP4の相対的難易度については共通した憤向が特に見られない。. これはおそらくブロックの使用の有無の違いによるものと思われる。しかしいずれにせよ 3年生になってもCP5やCP6の正答率がかなり低いということは問題にされるべきこ とであろう。. 4.. Compare問懸の誤答分析. 各学年で頻度の多かった誤答(3. %以上)を多い牌に表12に示すo 顕著な誤答ほ,問題文に現れる2つの数値を,その間の意味的関係を理解しないまま問 題文の表現が「おおい+のときにはプラス,.「すくない+のときにはマイナスの演算子で そのまま結合してしまうという誤答である。-. これに相当する誤答はCPlの5+8-13.
(15) 加減の文章題における児童の理解とつまずき 表12. 誤 CPl. 答. Compare問題における誤答のタイプ. 年. 1. 内. (13人)*. 5-8-3. (3人). 年. 2. 誤. 容l比率. 5+8-13. 答. 内. I. 5+8-13(13人). .23. 5-8-3. .09. (3人). (28名中,37o以上め誤答なし). CP3a. (2こ). 5-3-2. l. 誤. J. .16. 答. (36名中,3%以上の誤答なし). / 5-3-2. (2=). i. .15. (2こ). 5-3-2. (197名中) 75-4-71. (71人). I. .ll. (28名中,3Yo以上の誤答なし). 8+3-ll. (11人). I. .o4. 75-4-71. /I. /. (64名中,3%以上の誤答なし). IJー_---. .o6. (71人) I. .o6. (160名中) 8+3-ll. (74名中) CP4b. I. (268名中). (74名中). /. ‡比率. .o4. /. (56名中). CP4a. 内容.. (74名中). .27. CP3b. 年. 3. 容l比率. (56名中) CP2. 15. (11人) I. .o3. (160名中) 75+4-79. (79人) I. .o4. (108名申)' CP5a. i. 8+3-ll(11人). 8+3-ll. .18. (28名中) CP5b. 8+3-ll. (11まい)I.33. 8+3-5. (5まい)l・.o3. 6-3-3. (3こ). l. 8+3-ll. .24. 8+3-ll. (11まい)I. .46. 6-3-3. .59. (3こ). I. .58. 8+3-ll. 76-3-73. (73人). i. /---. .53. .35. (11まい). .40. (268名中) (3こ). 6-3-3. (197名中). /. (11人)㌔I. (111名中). (197名中). (56名中) CP6b. I. (59名中). (144名中) CP6a. (11人). I. .49. (268名中) 76-3-73. (197名中). (73人) I. .44. (268名中). *式を「5+8-13+とし答を「13人+としたことを表わす。他も同様。. (13人), CP5aの8+3-ll(11人), CP5bの8+3-ll(11まい), (3こ), CP6bの76-3-73(73人)である.このタイプの誤答はCP5, -3 CP. CP6aの6⊥・3 CP6,. lといった前節で述べた意味での逆思考を要求される問額で頗著をこ現れるo特にC. 5とCP6では学年が上がるにつれてこのタイプの誤りが減少していくという傾向は見ら れず, 3年になっても35%-49% も間違う・というかなり根強I、誤りである。このような. P. 逆思考のCompare問題における誤りほ,. Change問題のCH3,. CH5,. CⅡ6で「も. らう+と「あげる+をそれぞれプラスとマイナスの演算子に短絡的紅結合させた誤りと同.
(16) 16. 塗. 師. 斌. 種のものといえよう。. (2こ),. CP3aの5-3-2. その他の誤答で目立つのは,. (71. CP3bの75「4-71. 人)のように問題文の表現が「おおい+となっているのにマイナスの演算子を用いるとい う誤りである。この理由としてもしこの間魔の前にCP5やCP6の問題が配置されてい. るとすればその影響が考えられるが,実際にはそのようなことはない。したがっておそら くCP3aやCP3bの問題文の2番目の文の「AはBより+を「BはÅより+と早合点し たことによるのであろうo. (3人)という誤答は頻度は少ないが,答が正しいのに式が聞達っ. CPlの5-8-3. ているという誤りである。. 1年で多いことからもわかるように,まだ式の使い方が定着し. ていないことによる誤りであるoこのように,子どもが答をわかっていても式で正しく表 わせないという場面をしばしば経験するが,. 校で習う算数(formal. Rileyら(1983)も子どもの文章題解決は学. arithmetic)に依存しない側面があることを指摘している。. 反. 省. と. 討. 論. 1.学級差紅ついて. 本研究紅おける各問題タイプ問および学年間の難易度の比較は重複している部分が一部 あるにしても同一の集団内における比較ではない。厳密に考えれば,同一の集団の3年間. にまたがるすべてのタイプの問題に対する解答を分析することが理想的であろう。しかし そのためには実施上さまざまな制約がある。そこで本研究では学力の面で特に偏りのない 公立小学校という条件で学級を選び,各学級集団が同一母集団からのサンプルであるとい う併走のもとで,各学級を学年単位で混みにして分析を行ったわけであるo. しかし児童の. 学力というのは当然学級担任の教え方の相違を強く反映すると考えられる。本研究では特. に触れなかったが同じ学年でもある程度の学級差が存在したことは事実である。これは一 般に複数の学級を混みにして学力を研究する場合の基本的な難点ともいえるが,今後学級 差も考慮した分析も進めていきたい。 2.標本数について. 各問題タイプについて各学年でできるだけ複数の学級からデータを集めるようにした が,. Compare問題の一部で1学級でしか実施できなかったものもあった.この中には. CP. 2のようにあらかじめ易しすぎるのではないかと考えてあえて学級数を少なくしたの. もあるが,他との比較のためには学級数がもっと多い方がよかったと思われる。 3.問題文の形式と内容について 方法のところでも述べたようFこ本研究では問題文を児童にとってできるだけ自然な表現 にするために,. Rileyらが問題文で用いている文の数や各文における主語や目的語のくり. 返しをその通りには採り入れなかったoその方が児童のChangeやCompareのスキーマ をより直接的に探りやすいと考えたからである..しかしこれによる. Riley. らとの問題文.
(17) 加減の文章題における児童の理解とつまずき. の形式や内容の違いが児童の反応に一定の影響を与えていることも考えられる。この点本 研究のデ-タだけでは何ともいえないが,問題文の問題場面が児童にとって日常的でわか りやすい場面であるから,それはど影響がないのではないかと思われる。. 4.正答の基準について. 本研究では式と答の両方を記入させ両方とも正しい場合を正答とした。式も書かせたた めに問題場面は理解できているのに式の表現に影響されたと思われる誤りが多かった.こ. のように特に1年では算数を学びはじめて間もないために,答はわかっていても適切な式 で表現できず,問題の場面をある意味では正しく表現する式を書いたばかりに誤答してし まうということはよくあるのではないかと思われる。ここで問題になるのは正答の基準を. どこ軒こおくかである.もし答だけを葺かせたとすれば当然正答率は式も書かせた場合より 高くなるはずである.そのように考えて本研究では,式の正誤を問わず式の中で正答値を 用いている場合を正答とみなしたとき、(表8)の比較検討も行ったわけである。しかしこ れはかなり甘い基準であるから,厳密には答だけのデ-タもとって比較してみる必要があ ろう.いずれにせよ正答の基準をどうするかは,正答に何を反映させるかによって決める べきであろう。. 5.見直しの効果について 本研究では問題用紙の一番終わりに「おわったらみなおしをしましょう+と書いてある. が,集団実施ということもあり実際に児童がどの程度見直しをしたかはわからない。本研 究の問題の場面はいずれも日常的でわかりやすく数値も小さいので,見直しを何回かすれ ば自分の早合点に気付く場合も多いのではないかと思われる.このようないわばcare1 less missが誤答の中に一定部分含まれていることも留意しておく必要があろう。. 6.問題文を自分で読む場合と人から読んでもらう場合の違いについて 本研究では問題文を自分で読んで回答したわけであるが,たとえば教師や実験者が問題 文を読み上げてくれる場合に比べると,問題文の意味構造を誤解する割合はおそらく多少 増えるのではないかと思われる。従来の諸研究では,この点について特に注意が向けられ ていないが,ちょう't.文を読み始める前後の子どもを対象にしているという意味で,この 点を今後明確にしていく必要があると思われる。. 要. 約. 1.ーCbange問題とCompare問題の問題タイプの相対的難易皮 Change問題の中ではRileyら(1983)と同様, CHlとCH2に次いでCH4が易し. かった(表7).しかしCH4が易しい理由はRileyらによる理由とは異なるのセはない かと推察された(13ページ参照)。またCE3はRileyらとは異なってCH5やCH6■と 軽易度が類似していた(表7,表8).. 17.
(18) 塗. 18. 師. 斌. Compare問題の中では易しいタイプから順に①CP2, ④CP5,. ⑥CP6であった(秦ll)0. ②CP4,. ③CPlとCP3,. CP5とCP6が難しいという点はRileyらと共. 通していたが,それ以外は特に共通点は見られなかった。 Change問題とCompare問題の間では,. Rileyらによれば表2と表3から明らかなよ. うに全体的にCompare問題の各タイプの方がかなり難しくなっているが,本研究結果で Dean. は表7と表11から明らかなように,それほど顕著な差はなかった。. ら(1986)はブ. ロックを用いない場合のほうが用いた場合よりも高い達成水準に分類される傾向があるこ. とを指摘しているが,ブロックがあるタイプの問題解決をかえって妨害するということも 考えられよう。 Riley. 以上のように. らの結果は部分的にしかあてはまらないので,ブロックを用いな. い場合には適用できないと考えた方が無難であろう.. Change問題とCompare問題における典型的な誤答. 2.. 最も多かったのは道思考あるいは逆算に関連した誤答であった(表10,表12)。問題文 Change. の数値間の意味的関係を理解しないまま,. 問題では「もらう+をプラス,. Compare問題では「おおい+をプラス,. る+をマイナス,. 「あげ. 「すくない+をマイナスと直結. させて演算することによる誤りである.. Cbange問題においてはもう1つ頗著な誤答が見られた。それは問題文の表現をそのま ま式で表現したために,式の右辺をそのまま答としてしまうという誤りであった(11ペジ参照)。. 記. 付. 本詞査の実施に際しては,本学教育学部心理学教室卒業生の今井成隆氏,志田一彦氏, 高橋道子さん,広井一郎氏,そして羽田敦子さん,那須敏光氏,塗師さとみの御協力を得 ましたo. ここに記して厚く感謝の意を表します. なお本研究の一部は日本教育心理学会第30回大会で発表した。 参. 1) 2). Briars,. D.J., &. word problems. Carpenter, T.P., problem・solving and. subtraction ciates, Inc.. 4). J.H., 1984,. Cognition. and. &. J.M.,. Moser,. s女ills. In T.P. : A cognitive. A. L. 良 Malik,. Dean,. ′3). Larkin,. A. 班. M.,. sttldy of developmental Fuson, E.C., 1982, The In. results. tion. :. A. 1986,. 考 An. 文. 献. integrated. 1982,. The. Carpenter,. Hillsdale,. Representing. interaction.. and. Cognition. counting10n SOlution T. P. Carpenter, J. M. Moser. & T.. cognitive. perspective.. Hillsdale,. of addition & T. Romberg. acquisition Moser,. ∫.M.. perspective.. NJ. :. skill in solving. of. model 1, 245-296.. lnstruction,. NJ. :. and. elementary subtraction. (Eds.),Addition. Lavrence. Erlbaum. Asso-. solving arithmetic word problems 3, 211-227. instruction,. and. procedure:. Romberg La∇rence. Analysis. (Eds.).Addition Erlbaum. and. empirical. and subtrac・ Associates, Inc.. :.
(19) 加減の文章題における児童の理解とつまずき 5). M.,. Jerman, problems.. 6) 7 8 9 10. 1973,. Ⅴ・, &. Kintscb,. Psychological. 文部省, 文蕃省, 文部省,. 1977,. and. 1986,. R. Ⅴ., Shute, and. 12). Ⅴ.∫.,&. A. Greeno,. T.P.. Pellegrino,. word. 14). and. textbooks.. J. W.,. solving. Carpenter,. cognitive. verbal. arithmetic. arithmetic. in. the. word. pro-. Eillsdale,. Ginsburg. Fuson,. subtraction Cognitionand. E.C., word. Ham,. M.. problems InstnlCtion,. &. Myong 3,. NJ. addition Romberg. :. and. of development. 亙im, and. 1986,. Soviet. subtraction. Erlbaun. children's of. processes solution 66, 817-825.. Sook. An. elementary. Asso・. problem. mathematical in. arithmetic. analysis. Lawrence. in addition. of. ad-. mathematics. 153-171.. 15)田中正吾,松浦宏(宿), 1983,文章題の完全習得学習と指導,国土社。 G・ A・, 1982, A classi丘cation 16) Vergnard, tasks and of cognitive volved Romberg. in ln-. and. (Eds.), Addition. La∇rence. Development. (Ed.),The. in American. differences Cognition. problems.. analysis of & T. A.. ∫.Ⅰ.,1983,. Heller, E.. Developmental. word. ∫.M. Moser,. perspective.. ∫.G., &. 1985,. L.B., 1974, Children's D.J.A., & Resnick, Journal of Educational Psychology.. problems. Stigler, JIW・, dition. and. mathematical. description. Le心els of. :. subtraction. Rosenthal,. in. structural variable 5, 109-123.. Understanding. simple. In solving ability in arithmetic. thinking. New York: Academic.. 13). a. 9, 109-129.. solving. In. problems.. ciates. Riley, M.S.,. as. Mathematics,. J・G・, 1985, Review,. 2, 41-57. struction, Nesher, P., 1982, word. in. 小学校学習指導要領. 小学校指導書算数編。 数と計算の指導。. 1978,. Morales,. length. Studies. Greeno,. blems.. understanding. ll). Problem. Educational. 19. In. T.P.. and subtraction problems. : Developmental (Eds・),Addition and subtraction Erlbaum Associates.. of thought operations Carpenter. & J.M. Moser. perspective.. Hillsdaie,. in・ T.. N.I.. :.
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