52. 入院患者と医療者の良好な人間関係を形成する要素の検討 大井朗人¹⁾・栗原幸男²⁾ ¹⁾高知大学大学院修士課程看護学専攻・²⁾高知大学保健医療情報学教室 1.研究の背景と目的 現在世界各国で様々な臨床指標が用いられているが、医療の基本要素とされる「技術的医療」 と「患者医療者関係」のうち、「技術的医療」の評価に偏重しているという問題がある。また、患 者本位の医療の実現には、「患者医療者関係」についての評価指標の検討が必要であるが、これま での「患者医療者関係」に関する研究では、「患者医療者関係」を具体的に評価する指標の検討は されてこなかった。故に本研究では、「患者医療者関係」に関する具体的な評価指標を検討する上 で必要な、患者と医療者の良好な人間関係を形成する要素を明らかにすることを目的とした。 2.方法 調査対象は、A 大学病院の入院患者担当の医師 168 名、入院患者担当の看護師 259 名、入院患 者153 名とした。アンケート調査とし、2012 年 6 月中旬から 7 月下旬にかけて実施した。医療 者には属性、患者と人間関係を築く上での接し方・態度の項目の重視度評価と実施のしにくさ評 価を尋ねた。患者には属性、医療者と人間関係を築く上での接し方・態度の項目の要求度評価を 尋ねた。接し方・態度の項目は山脇らのコミュニケーション力評価尺度を参考にして作成した。 分析では、医療者の重視度評価と実施のしにくさ評価を用いた接し方・態度の項目の分類、分 類された要素に対する医療者の重視度評価・患者の要求度評価の比較・検討、分類された要素に 対する患者の入院期間別の要求度評価の傾向の変化について比較・検討した。 3.結果 回答者数(回収率)は、医師 74 名(44.0%)、看護師 174 名(67.1%)、患者 120 名(78.4%)であった。 医療者の接し方・態度の項目への重視度評価と実施のしにくさ評価によるクラスター分析と内 容の類似度を考慮することで、接し方・態度の項目は 6 つの要素「マナー」「患者への配慮」「対 話技術」「思いへの配慮」「親密感」「対人バリア―の克服」に分類された。 6 つの要素に対する患者の要求度評価について評価傾向を比較すると、「マナー」「対人バリア ーの克服」は特に高い評価であり、「患者への配慮」「思いへの配慮」「対話技術」「親密感」はそ れらに次いで高い評価であった。また、患者の入院期間を区分して6 つの要素の要求度評価の傾 向を比較すると、「マナー」と「対人バリアーの克服」は入院期間に関係なく評価が高かった。「対 話技術」は入院期間による評価の変化はなかったが、「患者への配慮」「思いへの配慮」「親密感」 は入院期間が長い方が評価が高い傾向であった。 6 つの要素に対する医療者の重視度評価と患者の要求度評価の傾向を比較すると、看護師は「対 人バリアーの克服」に関して患者よりも特に低い評価であったが、全体的に患者の評価傾向と一 致していた。医師は「マナー」に関して患者の評価と比較的一致していたが、他の要素は全体的 に低い評価であり、患者の評価と大きな差があった。 4.結論 患者と医療者が良好な人間関係を形成する要素として、「マナー」「患者への配慮」「対話技術」 「思いへの配慮」「親密感」「対人バリアーの克服」の6 つが挙げられた。
入院患者と医療者の良好な人間関係を形成する要素の検討
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