米 州 自由 貿易 圏(FTAA)創
設 の 問題 点 と課 題
中村
敏夫
Issues
on Formation
of FTAA
Toshio Nakamura
One of new trends in the world economy is to establish FTA (Free Trade Agreement) through bilateral or multilateral negotiations. Among them, FTAA in the Americas will be the most powerful entity covering 34 nations. This paper is to examine the scope, problem and prospect of FTAA as well as its effect to Japanese economy. 1.は じ め に 国 際 経 済 分 野 で の新 潮 流 は地 域 統 合FTA(自 由 貿 易 協 定)で あ る。 そ の130有 るFrAの 中 で 最 大 の組 織 形 式 が 米 州 自由 貿 易 圏(FTAA)構 想 で あ る 。2005年 に南 北 ア メ リ カ34力 国 が 経 済 統 合 を 目指 して お り、 日本 の 通 商 戦 略 に 影響 を及 ぼ す 。従 っ て、FrAAの 設 立 経 緯 、背 景 、現 状 、問 題 点 、 展 望 な ど を整 理 して ま とめ て あ る。 2.世 界 最 大 の 自由 貿易 圏構 築 の 米 州 共 同 市 場創 設 へ ブ ッ シ ュ 米 政 権4)最 優 先 通 商 分 野 は、 中 南 米 諸 国へNAFTA(北 米 自 由 貿 易 協 定)を 拡 大 す る FrAA(米 州 自由貿 易 圏)の 実 現 で あ る 。 そ の た め に は南 米 の 地 域 統 合 組 織 メ ル コス ル との調 整 な ど沢 山 の課 題 の 解 決 が 必 要 に な る 。 ま た 、 労 働 問 題 や 環 境 問 題 に象 徴 さ れ る利 害 団体 が 米 国 内 に 多 い た め 、 通 商 協 定 諸 法 案 の 議 会 の 無 修 正 一 括 承 認(フ ァス ト ・トラ ッ ク)方 式 の 可 決 が 早 期 推 進 の 条 件 とな る(注1)。 NAFTAは94年1月 に米 国 、 カ ナ ダ、 メ キ シ コ の3力 国 間 で 発 足 し、 合 計 で 人 口3億8千 万 人 、 国 内総 生 産7兆 ドル の 大 自 由 貿 易 市 場 を形 成 。EUの 市 場 統 合 と異 な り、 労 働 力 移 動 の 自由 化 及 び 経 済 政 策協 調 、 統 一 通 貨 施 策 な ど は 除外 して い る 。 そ の 点 、EUは 技術 者 受 け 入 れ と裏 腹 に難 民 、 移 民 問 題 、 さ らに 将 来 の 加 盟 有 力 諸 国 の 東 欧 か らの 労 働 者 、 失 業 者 が 西 欧 へ 移 動 す る 問 題 に頭 を悩 ま して お り馳、 移 民 規 制 へ 総 合 的 共 通 政 策 を年 内 に 策 定 す る。 関 税 率 もNAFTA3力 国 が独 自の 税 率 を用 い て い る 。 部 品等 現 地 調 達(ロ ー カ ル ・コ ン テ ン ツ)
比 率 が62.5%ま で 引 き上 げ られ る か ら、 外 国 メ ー カ ー の現 地 生 産化 が 加 速 して きた 。 い ず れ域 内 の 関税 と非 関 税 障 壁 が 撤 廃 さ れ 、 市 場 統 合 が さ ら に進 め ば、 開 か れ た 自由 貿 易 市 場 構 想 で あ る は ず が 域 外 国 へ の 経 済 ブ ロ ック化 を意 味 しか ね な い 。 ブ ッ シ ュ政 権 は ラ イバ ル のEUの 統 合 拡 大 と深 化 を に ら み なが ら、 そ の 対 抗 軸 と な る西 半 球 市 場 一 中 南 米 諸 国へ の 農 産 物 、 ハ イ テ ク分 野 な ど米 国 商 品 サ ー ビ ス の 輸 出 拡 大 が 望 め るFTAAの 推 進 に 本 腰 を入 れ,てい る 。 米 議 会 下 院 歳 入 委 員 会 で 証 言 した ゼ ー リ ッ クUSTR代 表 は 「世 界 に は 約 130のFrA(自 由 貿 易 協 定)が あ るの に、 米 国 に は2つ(NAFrAと イ ス ラエ ル)し か な い(実 際 は ヨ ル ダ ン と も締 結)。 この ま ま で は 、 米 国 だ け が 自 由貿 易 圏 推 進 の 機 会 を逸 しか ね な い 」 と発 言 し た 。WTOの 新 ラ ウ ン ド(注2)開 始 の見 通 しが 立 っ た 現 在 、EUな ど との 国 際 競 争 力 上 、FTA協 定 作 りの 重 要 性 を訴 え た 。 FTAA実 現 の カ ギ を握 る の が 米 州 サ ミ ッ トで あ る。 第1回 は94年12月 に マ イ ア ミで 開催 さ れ 、 FTAA締 結 に 向 け て組 織 作 りが 始 ま っ た。 第2回 は98年4月 に チ リの サ ン チ ィ ア ゴ で 開催 さ れ た 、 農 業 、市 場 ア クセ ス 、 投 資 、 サ ー ビス 、 政 府 調 達 、 紛 争 解 決 、 知 的 所 有 権 、 補 助 金 ・反 ダ ン ピ ン グ ・相 殺 関税 、競 争 政 策 の 各 分 科 会 が 設 置 さ れ、、草 案 作 りが 行 わ れ て い る。 2001年4月9日 に南 北 ア メ リカ の34力 国 貿 易 相 会 議 が リマ で 開催 さ れ 、FTAA設 立 の 声 明 を 出 し た 。宣 言 の 骨 子 は 、①2002年5月 まで にFrAAの 核 とな る 関 税 引 き下 げ や市 場 ア ク セ ス 交 渉 に着 手 、 ②2005年1月 ま で に す べ て の 交 渉 を完 了 させ る 、③ 遅 くと も2005年 まで にFTAAを 発 効 させ る、 で あ った 。 表1に 中南 米 の 主 要5力 国(ア ル ゼ ン チ ン、 ブ ラ ジ ル 、 チ リ、 メ キ シ コ、 ベ ネ ズ エ ラ)の 情 報 化 潮 流 を モバ イ ル加 入 率 な ど8分 野 で 比 較 したITU資 料 を 用 意 した 。 メ キ シ コ と ブ ラ ジ ル が抜 き ん 出 て い るが 、 そ れ で も発 展 途 上 で あ り、今 後 の 潜 在 力 は 大 きい 。 表1中 南 米5力 国 の情 報 化 潮 流(1999年) 固定 電話 モバ イル加 入率 デジ タル 化 率 専用回線 固定 電話 加 入率 インターネット ユーザー インターネット ホス ト -lSP ア ル ゼ ン チ ン 736万 13 100 一 21 90万 32万 170 ブ ラ ジル 2499万 . 10 85 0.9万 16 350万 121万 280 チ リ 311万 16 100 0.2万 22 63万 10万 26 メ キ シ コ 1093万 9 100 0.9万 12 246万 90万 8 ベ ネ ズ エ ラ 259万 15 69 1.9万 11 40万 3万 32 出 所)ITU 3.米 州 サ ミ ッ トの 成 果 カ ナ ダの ケ ベ ッ ク市 で 開 か れ た 第3回 米 州 サ ミ ッ トは2001年4月22日 に 「ケ ベ ック 宣 言 」 と 「行 動 計 画 」 を採 択 して 終 了 した 。 人 口8億 人 、 国 内 総 生 産(GDP)合 計11兆7千 億 ドル 、 域 内 貿 易(輸 出)比 率 六 割 とい う世 界 最 大 の 自由 貿 易 圏 開設 を 目指 す 「ケ ベ ック宣 言 」 の 骨 子 は 、 第1に 、FrAAの 交 渉 を2005年1月 まで に完 了 し、 同年12月 ま で の早 い 時 期 に協 定 を発 効 させ る。 第2に 、 協 定 内 容 はWTOと の バ ラ ンス を保 つ 。
第3に 、デ ジ タル ・・デ ィバ イ ド解 消 へ 域 内 国 、世 銀 、米 州 開 銀 の 資 金 拠 出 に よ る 開 発 基 金 の創 設 。 第4に 、 民 主 主 義 の価 値 と実 行 がFrAAの 推 進 力 で あ る 。 第5に 、 司 法 の独 立 と機 能 の 強 化 、 透 明 性 に務 め 、 人 権 と 自由 を尊 重 す る 。 憲 法 の重 視 が 参 加 の 条 件 とな る。 第6に 、 各 国政 府 は環 境 保 全 を重 視 し、 環 境 と経 済発 展 の調 和 を進 め る 。 第7に 、 経 済 の グ ロ ー バ ル化 に よ る雇 用 、 労 働 へ の 影 響 を検 討 す る。 第8に 、.2015年 まで に絶 対 貧 困 層 の 割合 を半 減 させ る 。 第9に 、 地 域 統 合 の 強 化 へ 向 か ってIT(情 報 技 術 〉活 用 を行 う。 第10に 、 第4回 米 州 サ ミ ッ トをア ル ゼ ンチ ンで 開催 す る。 一 連 の討 議 で 浮 き彫 りに な っ た課 題 は、 第1に 、 米 政 府 はFTAAの 交 渉 期 限 を2003年 に前 倒 しす る よ う働 きか け て い た が 、・結 局 、 国 内準 備 不 足 と して 予 定 通 りを 主 張 す る 南 米 諸 国 の 抵 抗 で あ き らめ た 。'ベネ ズ エ ラ は2005年 末 発 効 に も難 色 を示 し、態 度 を保 留 した 。'今後34力 国 間 の 利 害 調 整 も一 筋 縄 で は い か な い 。. 第2に 、 直 前 の 貿 易 大 臣会 合 で 決 ま っ て い た 関 税 引 き下 げ や市 場 ア ク セ ス の 交 渉 開 始 時 期 が 表 記 され なか っ た 。 第3に く ブ ッ シ ュ政 権 は年 末 まで に フ ァス ト ・トラ ッ クの 議 会 承 認 公 約 の 荷 物 を背 負 っ た 。 第4に 、 米 国 の 農 業 輸 出補 助 金 が槍 玉 に挙 が っ た 点 だ 。 中南 米 市 場 を有 力 輸 出先 とす る米 国戦 略 へ の対 抗 措 置 も考 え られ る 。 どのFTAも 農 産 物 の 貿 易 を め ぐ って 国 内外 の 政 治 圧 力 は大 きい 。 第5に 、南 米 地域 経 済 統 合 の7ヶ 国 が 関 係 す る メ ル コ ス ル をバ ッ ク に 「南 米 サ ミ ッ ト」 な ど を主 催 して き た ブ ラ ジ ル が 健 闘 した 点 で 、 い くつ か の 課 題 で米 国 の 譲 歩 を勝 ち得 て い る 。今 後 も NAFTA(北 米 自 由協 定)対 南 米 メ ル コ ス ル の 対 立 構 図 は 米 国対 国 内 産 業 擁i護色 が 強 い ブ ラ ジ ル の 主 導 権 争 い に置 き換 え られ る。 ・, FTAAが 誕 生 す れ ば 、 西 半 球 に散 在 す る 地 域 統 合 や2国 間協 定 の地 域 組 織 を 統 合 して 、 キ ュ ー バ を 除 く34力 国 の 南 北 ア メ リ カ大 陸 諸 国 に ま た が る 人 口8億 人 の 巨 大 市 場 、 世 界 最 大 の 自由 貿 易 圏 が 出 現 で き る 。 第3回 は4月20日 に カ ナ ダ の ケ ベ ッ ク に て 開 催 され た が 、 米 国 ・NAFTA対 ブ ラ ジ ル ・メ ル コ ス ル の 対 立 が 表 面 化 。 「メ ル コス ル」 は ブ ラ ジ ル 、 アル ゼ ンチ ン、 パ ラ グ ア イ、ウ ル グ ア イの 南 米4力 国 が 正 式 加 盟 国 、 チ リ と ボ リ ビ ァ を準 加 盟 国 とす るFTAで あ る 。 ベ ネ ズ エ ラが 加 盟 申 請 を行 う。NAFrA、 メ ル コス ル 以外 に サ ブ ・リー ジ ョナ ル な組 織 は 「ア ンデ ス 共 同 体(CAN)」 が ベ ネズ エ ラ、 コ ロ ン ビ ア な ど 5力 国 で 構 成 さ れ る。.カ リ ブ諸 国 も経 済 圏 を形 成 す る。 しか し、 実 際 は 米 国 の"裏 庭 化"を 警 戒 す る南 米 の大 国 ブ ラ ジ ル と超 大 国 ア メ リ カ と の指 導 権 争 い の 角 逐 が 表 面 化 して い る。 南 米 側 は 昨 年 夏 に ブ ラ ジ リ ア で 「南 米 サ ミ ッ ト」 首 脳 会 談 を催 し、 メ ル コス ル とCANが2002年 1月 まで に 自 由 貿 易 協 定 を締 結 す る 計 画 な ど南 米 諸 国 の 連 携 強 化 を打 ち 出 レた 。
なお 、 地域 協 定 のFTAは グ ロ ー バ ル なWTOと の 整i合性 が 問 わ れ て い る 。
4.米 国 の 経 済 通 商 戦 略
米 国 経 済 の 減 速 の 影 響 が 一 番 大 きい の は 、 国境 を接 し、 経 済 、 通 商 、 安 保 の 相 互 依 存 が 極 め て 高 いNAFTAの カ ナ ダ とメ キ シ コ で あ る。1月 の米 貿 易 収 支 も両 国 が 黒 字 を続 け た が 、 米 国 市 場 の
パ イが 縮 ま れ ば輸 出 は ダ ウ ン して 、 両 国 内 経 済 へ の マ イ ナ ス 波 及 は 避 け ら れ な い 。IT不 況 や テ ロ の 影 響 を受 け て お り、 米 景 気 は 減 税 や 金 利 引 下 げ 政 策 が 奏 功 してU字 型 の 回 復 ペ ー ス に進 ま な い と、 失 業 者 の 増 加 な どが 保 護 主 義 を醸 成 しか ね な い 。 リ セ ッ シ ョ ン は 自由 貿 易 推 進 の フ ァス ト ・ トラ ッ ク の 議 会 承 認 に も悪 条 件 とな る 。 米 国 は 南 米 諸 国 に クサ ビ を打 ち込 む た め に チ リ とのFTA交 渉 を続 け て い る。 チ リの 米 国 寄 り姿 勢 が ブ ラ ジ ル の 対 米 交 渉 力 を弱 く しそ うだ 。 カ ナ ダ は 輸 出 の88%が 米 国 向 け で 、 中 南 米 を加 え た FTAAは そ ん な に魅 力 的 で は な い 。 しか し、 カ ナ ダ はNAFTAに 加 え て 、 カ リブ 諸 国 の13力 国 で 構 成 す る 地 域 経 済 組 織CARICOM(カ リブ 共 同 体)と のFTA交 渉 準 備 を始 め た 。 ま た 、 カ ナ ダ 政 府 は 「貿 易 交 渉 に 向 け た 環 境 ア セ ス メ ン トの枠 組 み 」 を 発 表 し、FTAで の 環 境 問 題 の 重 要 性 を 印 象 付 け た 。 メ キ シ コ はFTAで 最 も恩 恵 に浴 して き た 国 で あ り、 輸 出 は93年 の520億 ドル が99年 に は1370億 ドル に拡 大 した 。NAFTA以 外 に 中南 米 諸 国10力 国 と す で にFTAを 締 結 して い る。EU 、 シンガ ポ ー ル と も交 渉 中 だ。 だ か ら、 将 来 米 州 自由 貿 易 圏 が 誕 生 し て もほ とん ど新 規 の 恩 恵 を受 け な い の が ホ ン ネ で あ ろ う。 ブ ッシ ュ大 統 領 の2001年1月 就 任 後 最 初 の 外 国 訪 問 国 も メ キ シ コ で あ っ た。 米 国へ の 最 大 の石 油 供 給 国 で 、外 国 投 資 受 け 入 れ額 は 昨年 世 界4位 に ラ ン ク され る。 対 米 輸 出依 存 度 は85%に の ぼ る 。2月 の ブ ッシ ュ ーフ ォ ック ス 米 墨 首 脳 会 談 は 両 国 の 共 同 エ ネ ル ギ ー 開 発 な ど経 済 協 力 に重 点 が 置 か れ た 。 中南 米 は 東 ア ジ ア諸 国 やEUと の 交 流 も活 発 化 させ て い る。 米 国 主 導 の 米 州 一 体 化 を 牽 制 す る た や 、EUと の 協 議 に 加 え 、 東 ア ジ ア 諸 国 と の 「東 ア ジ ア ・ラ テ ン ア メ リ カ ・フ ォ ー ラ ム 」 外 相 会 議 を3月31日 に チ リ の サ ン テ ィ ア ゴ で初 め て 開 催 し た。2年 に1度 定 期 的 に会 合 を 開 くな どの合 意 文 書 を採 択 して い る。 次 回 は2003年 に フ ィ リ ピ ン で 開 か れ る 。 そ の フ ィ リ ピ ン を含 むAFTA(ア セ ア ン 自 由:貿易 地 域)(注3)はASEAN先 発6力 国 が 関 税 を5% 以 下 に2002年 に 引 下 げ る 目標 を掲 げ て い る 。 新 経 済 圏 は 人 口5億 人 を有 す る が 、 経 済 格 差 が 足 か せ に な ろ う 。 シ ン ガ ポ ー ル が 日米 欧 とFrAを 結 び、AFrAの 窓 ロ に な りそ うだ 。 ブ ッ シ ュ 政 権 の 世 界 通 商 戦 略 は 約130力 国 の 調 整 が 必 要 なWTO重 視 か ら後 退 し た。 新 ラ ウ ン ド は99年 末 の シ ア トル 閣 僚 会 議 の 決 裂 で 、2001年11月 カ タ ー ル で 交 渉 が 再 開 され る。 実 現 済 み の サ ブ ・リー ジ ョナ ル な北 米NAFrA、 計 画 中 の リー ジ ョナ ル な米 州FrAA 、2国 問 のFrAに 傾 斜 して い る。 そ の 点 、 中南 米 移 民 の 多 い テ キ サ ス 州 知 事 出 身 の ブ ッ シ ュ大 統 領 は 対 ア ジ ア 通 商 重 視 か ら中 南 米 重 視 に外 交 戦 略 の コ ア を シ フ トす る点 は否 定 で き ない 。
5、FTAAとIT産 業
IT産 業 に と っ てFTAAは い か な る 影 響 が あ る の だ ろ うか 。NAFTAに よ っ て 米 加 の 通 信 市 場 の 一 体 化 が 進 み 、 ノ ー テ ル ・ネ ッ トワ ー ク ス な ど カ ナ ダ系 企 業 の 米 国 市 場 躍 進 が 顕 著 に な っ た の は 一 例 に す ぎな い 。 また 、 メ キ シ コの 自 由貿 易 加 工 区 マ キ ラ ドー ラ に外 国 部 品 メ ー カ ー が 集 結 した の も確 か で あ る(現 在 は 特 典 廃 止)。 一 方 魂 米USTRは メ キ シ コ市 場 の 一 層 の 開放 を長 年 要 求 して き た 。2001年4月 の 通 商 法1377条(電 気 通 信 条 項)貿 易 障 害 リス トで も、 メキ シ コとコロ ンビア を 指 名 した 。 前 者 に対 して はWTO通 信 自 由 化 協 定 に沿 っ た 国 際 通 信 サ ー ビス 市 場 の競 争 政 策 促 進 並 び に通 信 メ ー カ ー の テ レ フ ォ ノ ・デ ・メ キ シ コ社 の独 禁 法 問 題 を特 に重 視 して い る。 不 公 正 貿 易
国 の レ ッ テ ル を 回 避 す る た め に6月 ま で の改 善 措 置 が 要 求 され て い る 。 国 営 企 業 と して長 ら く独 占 して きた テ レメ ッ ク ス 社 は 現 在 で も市 内 通 信 サ ー ビ ス 市 場 の98%、 長 距 離 通 信 サ ー ビ ス 市 場 の 81%を 占有 して い る 。 同市 場 に参 入 したAT&Tは ア レス トラ社 の59%株 式 を所 有 し、 ワ ー ル ドコ ム 社 は アバ ン テ ル社 に 出 資 した か ら米 政 府 の応 援 を得 て 三 つ 巴 の 競 争 と化 し て い る。今 後 、 ブ ラ ジ ル を は じめ 、 中南 米 の テ レ コム 有 望 市 場 に米 政 府 の 開 放 圧 力 は高 ま ろ う。 中 南 米 で も イ ン タ ー ネ ッ ト化 、 光 化 の 波 は 高 い 。 テ レ フ ォ ニ カ の 子 会 社 エ マ ー シ ア社(本 社 は ウ ル グ ア イ)は 中 南 米 海 底 光 フ ァ イバ ー ケ ー ブ ル網 を 完 成 させ た 。 ブ ロ ー ドバ ン ド用 に13億 ドル を投 資 して2万5千 キ ロ を カバ ー す る 。 米 国 と 中 南 米 間 の イ ン ター ネ ッ ト ・トラ フ ィ ッ ク は 年 率6 割 の ペ ー ス で 拡 大 中 で あ るbま た 、『IP電話 の 普 及 も始 ま っ た 。 例 え ば 、 ペ ル ー で は競 争 政 策 に沿 っ て 、 長 距 離 事 業 で28社 、 市 内 通 信 で3社 免 許 を持 つ に至 っ た 。 参 入 した 外 資 ネ ッ ト2フ ォ ン社 は 国 際 電 話 料 金 を最 大 手 テ レ フ ォニ カ ・ペ ル ー の 半 額 で 提 供 す る。 6.日 本 へ の 影 響 FTAが 多 角 的 自由 化 を推 進 す る根 拠 は、 ① 交 渉 主 体 の 減 少 、 ② 小 国 の 交 渉 力 の 増 大 、 ③ 国 内 産 業 調 整 の 進 展 、④ 国 内 改 革 推 進 に よ る途 上 国 の マ ル チ 交 渉 へ の参 加 が 挙 げ られ る。 一 方 、 阻 害 す る根 拠 と して は 、 ① 価 格 支 配 力 の 増 大 、② 国 内 産 業 の保 護 、 の2点 が 該 当 す る(注4)。 一 方、 日本 は シ ン ガ ポ ー ル と のFTA締 結 に積 極 的 で 、 韓 国 や メ キ シ コ な ど と も水 面 下 の 環 境 整 備 の 交 渉 が 進 ん で い る 。 日本 は さ ら に米 国 、 チ リ とのFTAも 検 討 し て い る。 シ ン ガ ポ ー ル の 次 に 積 極 的 な の は メ キ シ コで あ り、 日本 と の投 資 保 護 協 定 が 交 渉 中 だ 。 米 州 共 同市 場 の足 掛 か り と し て 日本 とのFrAに 一 歩 踏 み 込 む と思 わ れ る。 日本 政 府 のIT分 野 の150億 ドルODA公 約(注5)は ア ジ ア地 域 が 中心 で あ り、 途 上 国 の通 信 事 業 公 社 の 民 営 化 、 商 業 化 で 特 別 円 借 款 も期 待 した程 の 効 果 を挙 げ て い な い 。 とす れ ば 、 日本 の 対 米 州 共 同 市 場 戦 略 の構 築 は急 務 とい え る。 米 国 の例 を挙 げ る と、 業 界 団体TIA(注6>は 米 政 府 と共 催 で 「ラ米 通 信 サ ミ ッ ト」 を 開催 し、 大 型 展 示 会 も現 地 に・出 張 して 開 い て い る 。2001年6月7日 に は ア トラ ン タのIT関 連 展 示 会 「ス ー パ ー コ ム 」 に てITU(国 際 電 気 通 信 連 合)と 共 催 で 「新 興 市 場 「 ラ テ ン ・ア メ リ カ」 会 議 を行 った 。 そ こ は 中南 米 各 国 の 政 府 機 関 の代 表 と民 間企 業 が 一 堂 に 会 す る イベ ン トで あ る 。 7.終 わ り に FTAAは 上 述 の 通 り、2005年 ス ター トに向 け て 各 種 会 合 を重 ね て き た が 、 米 国 と南 米 メ ル コ ス ル と の 主 導 権 争 い が 経 緯 して お り、 一 筋 縄 で は い き そ う に もな い 点 が 理 解 で き る 。 しか し、 南 北 ア メ リカ の 統 一 は米 国 の 国 際 通 商 戦 略 の 優 先 課 題 で あ る こ とが 判 明 した以 上 、FTAは 日本 に とっ て も無 関心 ぞ は い られ な い 。21世 紀 前 半 は す で に 設 立 され たEU、ASEAN、 と共 にFTAAの 地 域 経 済 活 動 が 世 界3極 を構 成 す る が 、 日本 の 通 商 戦 略再 構 築 の検 討 を期 待 した い 。
注 記 注1)フ ァ ス ト ・ トラ ック は 米 国行 政 府 が 対 外 通 商 協 定 な ど の案 件 を議 会 の個 別 審 査 で な く、 一 括 して 承 認 して 貰 う早 期 解 決 方 式 で あ る が 、 保 護 貿 易 色 の 強 い 議 員 グ ル ー プ の 反 対 が あ っ て 、 長 年 成 立 が 先 送 り され て きた 。 注2)WTO新 ラ ウ ン ドは2001年11月 に カ タ ー ル で の 閣僚 会 議 で の合 意 を 目指 す が 、 先 進 国 と途 上 国 との溝 は 大 き く、 非 グ ロー バ リズ ム 団 体 の影 響 も強 い 。 注3)AFTAはASEAN域 内 の 自 由 貿 易 地 域 協 定 で あ り、2003年 ま で に 関 税 引 下 げ な ど の措 置 を行 い 、 域 内 貿 易 、 投 資 を活 発 にす る の が 目的 。 中 国 との 競 争 で 存 在 感 が 注 目 され る 。FTAで は 日本 と シ ン ガポ ー ル との 間 で小 渕 首 相 と ゴ ー ・チ ョク トン首 相 が99年12月8日 にJSEPA (新 時代 ・経 済 連 携 協 定)で 合 意 し、2001年12月 に交 渉 合 意 を 目指 す 。 注4)「 通 商 白書2001」 経 済 産 業 省 、2001年5月 、P165 注5)ODA公 約 とは 、 日本 政 府 が 沖 縄 サ ミ ッ トに お い てIT憲 章 を発 表 し、5年 間 に150億 ドル の ODA(政 府 開 発 援 助)を ア ジ ア を 中 心 に推 進 す る と公 約 した も の 。
注6)TIAは 米 国 のIT業 界 団体(Teleco噸nicationIndus頃esAssociation)の 略 だが 、 フ ァス ト ・ トラ ッ クやNAFrA、FrAAに 賛 成 して い る。