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他者の利他性判断に関する発達的変化の解明―未就学児を対象にした研究―

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Academic year: 2021

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63 玉川大学学術研究所紀要 第 20 号:00―00(2014) 文学部間共同研究報告(要旨)

他者の利他性判断に関する

発達的変化の解明

―未就学児を対象にした研究 ―

髙岸治人,梶川祥世,岩田恵子,岡田浩之

序 論

 社会的交換は他者から搾取されるリスクが常に存在す る。人々は非協力者からの搾取をどのように防いでいる のだろうか。これまでの成人を対象とした研究によって, 人々は初めて会った人であっても写真や動画を見ただけ でその人物の利他性を検知することが出来るという結果 が 多 く 報 告 さ れ て い る(Brown et al., 2003; Kiyonari, 2010; Verplaetse et al., 2007)。本研究では 3 歳から 6 歳 の未就学児童を対象に,見知らぬ人の動画をみただけで, その人物の利他性が正しく判断できるかどうかを調べる ことを目的とした。また近年,社会性を支えるホルモン として注目を集めているオキシトシンを子どもの唾液か ら測定することで,唾液中オキシトシンと,他者の利他 性判断の関連も併せて検討することも目的とした。

方 法

参加者  3 歳から 6 歳までの未就学児童 50 名(男児 24 名,平 均月齢 59.6)が実験に参加した。本研究は玉川大学倫理 委員会の承認を受けて行われた。 実験の流れ  実験はまず唾液の採取を行い,その後,他者の利他性 判断課題を実施した。 唾液の採取  唾液を 1ml から 2ml 採取した。唾液からオキシトシ ン濃度を ELISA 法によって測定した。 利他性検知課題  参加者は人物(大学生)の上半身が写っている動画を 見て,その人物の利他性(良い人か悪い人か)を回答し た。動画は,人物が自己紹介をしている無音の映像であ り,一人ずつ 30 秒間流れた。登場人物は 36 名(男性 18 名)であり,36 名中 18 名(男性 9 名)は,別の実験 において,順次囚人のジレンマゲームで非協力的な行動 をとった人であり,残りの 18 名(男性 9 名)は協力的 な行動をとった人であった。

結 果

  分析の結果,女性ターゲットの正答率はチャンスレベ ルよりも有意に高い傾向が見られたが,男性ターゲット ではそのような傾向は見られなかった。また正答率と年 齢との間に関連は見られなかった。さらに正答率と唾液 中オキシトシン濃度の関連を検討したところ,唾液中オ キシトシン濃度が高い参加者ほど,女性ターゲットの正 答率が低い傾向が見られた。

考 察

 本研究の結果,未就学児であっても,他者の動画を見 ただけでその女性ターゲットの利他性を正しく判断する ことができるという結果が見られた。また利他性判断の 成績は子どもの年齢とは関連を示さなかった。この結果 は,他者の利他性判断能力は発達するにつれて獲得して いくのではなく,生得的にある程度は獲得されている能 力であることを示唆している。まただ液中オキシトシン 濃度が高い子どもほど利他性判断課題の成績が悪いこと が明らかになった。今後はオキシトシンが利他性判断へ どのようなメカニズムで影響を与えているかを検討する ことが望まれる。 参考文献

Brown, W. M. et al., (2003). Are there nonverbal cues to commitment? An explorator y study using the zero-acquaintance video presentation paradigm. Evolutionary Psychology 1.1: 147470490300100104.

Kiyonari, T. (2010). Detecting defectors when they have incentives to manipulate their impressions. Letters on Evolutionary Behavioral Science, 1(1), 19―22.

Verplaetse, J.et al., (2007). You can judge a book by its cover: the sequel.: A ker nel of tr uth in predictive cheating detection. Evolution and Human Behavior, 28 (4), 260―271. 玉川大学学術研究所紀要 第 22 号:63(2016)

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