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保育内容「表現」と音楽芸術との関連に着目した教員養成課程学生指導に関する研究 利用統計を見る

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山梨大学教育学部紀要 第 27 号 2017 年度抜刷

教員養成課程学生指導に関する研究

Artistic Quality and Collaborative Creativity: Teaching and Learning Process of

‘Expression’ in the Course of Study and the Guideline of Early Childhood Education

and Care in Teacher Training Course

秋 山 麻 実  大 内 邦 靖

Asami AKIYAMA Kuniyasu OUCHI

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保育内容「表現」と音楽芸術との関連に着目した

教員養成課程学生指導に関する研究

Artistic Quality and Collaborative Creativity: Teaching and Learning Process of

‘Expression’ in the Course of Study and the Guideline of Early Childhood Education

and Care in Teacher Training Course

秋 山 麻 実  大 内 邦 靖

Asami AKIYAMA Kuniyasu OUCHI

 1.はじめに  幼稚園教育要領、保育所保育指針および認定こども園教育・保育指針(以下、これらすべてをまとめ て指すときには「要領・指針」)において、音楽に関わる活動は、保育内容「表現」において取り扱わ れている。1989 年幼稚園教育要領改訂までは、「音楽リズム」は「絵画制作」と区分されて、6領域の ひとつとして挙げられていたが、現在では音楽、造形、物語、身体などの表現に関わる融合的な活動も 含めて、「表現」として捉えられることとなった。以来、「表現」という用語は、領域のひとつをあらわ すものとしてだけでなく、要領・指針のなかの他の部分でも使用されている。  2017 年要領・指針改訂では、保育の内容およびねらいの「表現」について、その項目冒頭で「感じ たことや考えたことを自分なりに表現することを通して,豊かな感性や表現する力を養い,創造性を豊 かにする」とされ、保育の「ねらい」としては(1)「いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感 性をもつ」(2)「感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ」(3)「生活の中でイメージを 豊かにし,様々な表現を楽しむ」ことが挙げられている。  これらのねらいに対応する「内容」としては、「生活の中で様々な音、形、色、手触り、動きなどに 気付いたり、感じたり」、「美しいものや心を動かす出来事に触れ」るといった、いわばインプットの部 分から、「イメージを豊かに」すること、「伝え合」ったり、「感じたこと、考えたことなどを音や動き などで表現したり、自由にかいたり、つくったり」といった自由なアウトプット、そして「素材」や「歌」、 「楽器」といった文化材に触れることや、飾ったり演じたりといった表現の形式の多様性に触れること が盛り込まれている。  しかし「表現」という用語は、要領・指針において、保育の内容とねらいの一領域を示すだけでなく、 言葉の使用なども含めたさまざまな意味で用いられている。したがって、幼児の「表現」は、表現した いと思える何かを子どもの内側に生み出す体験と、多様なかたちの表現、その共有や交換といった活動 全体をどのようにつくっていくかを、総合的に考える必要がある。たとえば音楽表現に関して考えると、 子どもたちのさまざまな音との出会いと、それに対する感動から、その経験をことばやさまざまなかた ちで表現すること、そしてそれらが既存の音楽表現へとどのように繋がっていく可能性があるかを含め て「表現」を捉えることになる。  子どもたちの経験を丸ごと受けとめつつ、芸術表現とのつながりを考察する先行研究のうち、特にコ ンサートという手法を用いた研究には、白石朝子の一連の取り組みがある1。白石は、語りかけやこと ばかけ、歌詞、リズム、参加の促し方などに留意しながら、3~ 5 歳児の参加の仕方や反応などを、コ ンサート当日だけでなく、保護者アンケートも含めて子どもたちの音楽との出会い方について分析して いる。そこでは、年齢によって参加しやすい、あるいは興味を惹く曲目に違いがあることの指摘だけで なく、日用品が楽器になることが子どもの興味を強くひいたことが示唆されている2。この研究は、白

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石自身が、今後学生指導に生かしていくという課題を示唆している通り、幼児や児童の音楽表現を実際 に担うことになる保育者・教員志望学生が、ここで得られた知見をどのように自らのものとして獲得し ていくかということについては、いまだ研究がなされていない。  そこで本論文では、要領・指針において「表現」が意味するものを確認しながら、音楽の芸術表現と 幼児の表現との連関を、教員養成課程の学生がどのように捉え、学ぶことができるか、またそのために どのような教育が必要とされるのかという課題について考察する。方法としては、実際に音楽科教育を 学ぶ学生に、幼児が音楽と親しむ機会として幼稚園におけるミニコンサートを企画してもらい、その活 動のなかから学生の学びを跡づけ、指導の方法、結果について考察、整理する。そのさい、学生と附属 幼稚園のコンサート対象児の担任教師からは、感想や子どもたちの様子などについて書いてもらい、そ れらを参考にする。筆者らは、器楽教育と幼児教育をそれぞれ専門とする大学教員としての立場から、 学生の指導にあたりながら、以上の課題に取り組むものである。 2.「表現」の意味するもの  平成 29 年度に改訂された要領・指針において、「表現」という語が用いられるのは、保育の内容とね らいの「表現」のなかだけではない。抜粋したものが以下の表である。 項目 内容 幼児期において育みたい資質・能力 気付いたことや、できるようになったことなどを使い、考え たり、試したり、工夫したり、表現したりする「思考力、判 断力、表現力等の基礎」 幼 児 期 の 終 わ り ま で に 育 っ て ほ し い 姿 (7)「自然との関わり・生命尊重」 自然に触れて感動する体験を通して、自然の変化などを感じ 取り、好奇心や探究心をもって考え言葉などで表現しながら、 身近な事象への関心が高まるとともに、自然への愛情や畏敬 の念をもつようになる。 幼 児 期 の 終 わ り ま で に 育 っ て ほ し い 姿 (9)「言葉による伝え合い」 先生や友達と心を通わせる中で、絵本や物語などに親しみな がら、豊かな言葉や表現を身に付け、経験したことや考えた ことなどを言葉で伝えたり、相手の話を注意して聞いたりし、 言葉による伝え合いを楽しむようになる。 幼 児 期 の 終 わ り ま で に 育 っ て ほ し い 姿 (10)「豊かな感性と表現」 心を動かす出来事などに触れ感性を働かせる中で、様々な素 材の特徴や表現の仕方などに気付き、感じたことや考えたこ とを自分で表現したり、友達同士で表現する過程を楽しんだ りし、表現する喜びを味わい、意欲をもつようになる。 保育のねらいと内容「人間関係」「内容の 取扱い」(6) 高齢者をはじめ地域の人々などの自分の生活に関係の深いい ろいろな人と触れ合い,自分の感情や意志を表現しながら共 に楽しみ,共感し合う体験を通して,これらの人々などに親 しみをもち,人と関わることの楽しさや人の役に立つ喜びを 味わうことができるようにすること。 保育のねらいと内容「環境」「内容の取扱 い」(2) 幼児期において自然のもつ意味は大きく,自然の大きさ,美 しさ,不思議さなどに直接触れる体験を通して,幼児の心が 安らぎ,豊かな感情,好奇心,思考力,表現力の基礎が培わ れることを踏まえ,幼児が自然との関わりを深めることがで きるよう工夫すること。 表1 要領・指針における「表現」の使用

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 これらは、「表現」が、行動や活動、考えや感じたことを表わすものとして捉えられており、ことば を用いる表現とそれに基づく話し合いや伝え合いが、言葉を発達させるとともに、人間関係の学びや、 環境との関わりを意味づけていくものとして重視されていることがわかる。

 しかしそもそも表現とは、行動や内面を表わすものと考えてよいのだろうか。representation は表現 とも表象とも訳されるし、expression もまた、表現と訳される。representation が、appearance, presence, impression of the sight といった現前性、外見や、image, likeness, reproduction in some manner of a thing と いった再現を意味し、そこから派生して舞台における演技なども意味する用語であり、つまり現前にな いものを再び(re)現前に(present)表すという意味を核としているのに対し、expression は絞り出す、 内側にあるものを外側へ出すという語感をもち、representation として説明されるなかでも、特に the action of expressing or representing (a meaning, thought, state of things) in words or symbols というように言語 や象徴による表現、manifestation 宣言といった意味合いが強い3 。   要 領・ 指 針 に お い て、 こ と ば に よ る 考 え や 感 情 の 表 現 へ の 複 数 の 言 及 は、 ど ち ら か と い え ば expression に近いが、これは乳幼児であれば本来、言葉のみならず表情や身体など多様な表現方法を通 じて行われることになる。一方、representation は、あるインプットに対して、個人の解釈が加えられて、 それについての感想や説明、再現などが行われる意味合いが強い。子どものexpression が受けとめられ、 読み取られ、丁寧に返されることを通して、子どもは自身の感情や感覚、考えをまとめたり、自信をもっ て生きることができるようになる一方、子どもたちはrepresentation を通じて、つまり自身の体験や感情、 知識を、さまざまな別の方法で表し直し、反芻することによって、物事の認識を獲得したり、修正したり、 広げたりすることで、育っていく4。子どもたちの育ちは、関係のなかで自身を確立していくという筋 道においても、また知性や感性を広げたり深めたりしていくうえでも、representation および expression の両方の意味においての「表現」に多くを負っているといえる。  ただし、これら二つの表現は、完全に切り離して捉えることはできない。たとえば子どもたちが保育 のなかで、感想やアイディアを共有したり、集団で表現活動を創造していくさいには、これらふたつが 重なる部分が多いし、個々の子どもの活動や遊びのなかであっても、彼らは考えや感情を言葉や身体、 物などを通じて表現し、受けとめられながら、心地よい関係と知性の両方を築いていく。  このように考えると、要領・指針で「表現」という用語で指している内容は、これらふたつの表現の ありようが、園生活の中でさまざまなかたちで表れることを前提としている一方、表現を重ねることに よって、子どもたちの世界への認識が深まり、豊かになるという説明を欠き、表現を「楽しむ」という 表記にとどまることから、表現と育ちの連関への視点が弱いことがわかる。 保育のねらいと内容「言葉」の冒頭 経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し, 相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て,言葉に対 する感覚や言葉で表現する力を養う。 保育のねらいと内容「言葉」「ねらい」(1) 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。 同上(2) したり,見たり,聞いたり,感じたり,考えたりなどしたこ とを自分なりに言葉で表現する。 同上(3) したいこと,してほしいことを言葉で表現したり,分からな いことを尋ねたりする。 同上「内容の取扱い」(4) 幼児が生活の中で,言葉の響きやリズム,新しい言葉や表現 などに触れ,これらを使う楽しさを味わえるようにすること。 その際,絵本や物語に親しんだり,言葉遊びなどをしたりす ることを通して,言葉が豊かになるようにすること。

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3.取り組みの経緯  筆者らが計画した学生によるミニコンサートは、山梨大学教育学部が文化庁「大学を活用した文化芸 術推進事業」の助成を得て開催した「チナツちゃんと探る楽器の不思議コンサート」を前身としてい る。子どもたちに新たな音や楽器との出会いを提供し、その楽しさを知ってもらうことが、コンサート のねらいであった。その概要は以下の通りである。    「県民の日は音楽と友に 古楽の街再発見!」  山梨大学学生企画「チナツちゃんと探る 楽器の不思議コンサート」  日時:2017 年 11 月 20 日(月)県民の日 14:00 開演  会場:コラニー文化ホール 小ホール  参加学生:山梨大学教育学部芸術身体コース及び教育人間科学部生涯学習課程       芸術運営コースにおける音楽系の学生有志 17 名  曲目:「プルチネルラ」より(I. ストラビンスキー)、「ジブリメドレー」(久石譲)、     「剣の舞」(A. ハチャトリアン)他  内容の特徴:前半では、主人公の中学生(チナツちゃん)がコンサートのリハーサル会場に迷い込ん だという設定で、そこでマエストロ(クマさん)の案内で楽器について学んでいき、後半でコンサー トの本番を迎えるという筋の劇を演じた。楽器紹介、楽器に関連するクイズ(クイズの答えを繋 いでいくとキーワードが出てくるシートを事前に配布して、最後まで楽しめるように配慮した)、 およびポピュラーな映画・テレビなどで耳にする音楽のアンサンブルで構成された。  このコンサートの経験を基盤に置きながら、山梨大学教育学部附属幼稚園においてミニコンサートを やることで、学生たちのなかにどのような学びが起こるのかを研究するというのが、本論文のために新 たに立てられた計画だった。上記コンサートが、対象を主に小学生として計画されていたのに比べ、園 におけるミニコンサートは、さらに年齢が低い子どもたちを対象とすることになる。少なくない数の子 どもたちが、習い事などにおいて楽器に触れているし、幼稚園にはピアノやギターがあり、鍵盤ハーモ ニカなどの子どもの楽器もある。しかし多くの子どもたちにとっては、非常に近くで数種類の管楽器を 見ることは初めてだろうと予測された。  筆者らは附属幼稚園副園長と相談しながら、このような幼児と音楽の出会いを、「驚きから憧れへ」 ということばで捉えることができるのではないかという仮説を立てた。幼児期が、教科や課題としての 音楽ではなく、日々の生活の中で出会うさまざまな音を、驚きや感動をもってそのままに受けとめる時 期であるにも関わらず、園における子どもと音楽の出会いは、発表会やマーチングなどの課題の練習を 通して行われるケースが多い。子どもたちに必要な音楽経験として、楽器の色やかたち、音の迫力、さ まざまな音色などに出会って、素直に驚き、受けとめて欲しい、それぞれ紹介される楽器の音が音楽と して構成されるという変化に対して、何らかの興味を持って欲しいという期待を筆者らは抱いた。  そうした希望を学生たちに伝えたところ、学生たちは「保育プロジェクト」と名づけてミニコンサー トを企画することになった。その概要は以下の通りである。  日時:2018 年1月 11 日(木) 10:00 開演  会場:山梨大学教育学部附属幼稚園  参加学生:山梨大学教育学部芸術身体コース及び教育人間科学部生涯学習課程       芸術運営コースにおける音楽系の学生有志 7名

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活動日程:  2017 年 11 月 16 日 学生による附属幼稚園見学(第1回)  12 月7日     学生による第1回打ち合わせ(秋山参加)  12 月 12 日    学生による第2回打ち合わせ  12 月 14 日    学生による附属幼稚園見学(第 2 回)筆者ら、附属幼稚園副園長、学生とのイメー       ジのすり合わせ   12 月 15 日    学生による第3回打ち合わせ  12 月 20 日    学生による第4回打ち合わせ(筆者ら参加)       並行して継続的に、使用できる楽器の種類に合わせた編曲  2018 年1月8日  練習(脚本の変更)  1月9日     総練習(大内指導)  1月 10 日    搬入、練習  1月 11 日    最終練習およびミニコンサート  対象:山梨大学教育学部附属幼稚園年中児および年長児 計 65 名  内容:   演奏した楽器は、フルート、アルトサックス、クラリネット、ファゴット、ユーフォニアム、ピアノ、 パーカッション。  前半部分では、アニメキャラクターが登場し、いなくなってしまったネコを一緒に探してくれるよう に園児たちに頼むというストーリーを軸に展開した。ネコを探す途中で、パワーポイントで映し出され た小鳥やアヒル、ゾウといった動物、掛け時計などに出会い、それぞれ鳴き声や音などを聞く。これら の音を舞台裏から楽器で演奏する。子どもたちに、一緒に掛け声をかけてもらいながら、ネコを無事に 見つける。その後に、エビとカニを映し出し、「エビカニクス」の演奏で全員が登場する。  後半部分では、それらの声が実は楽器によって演奏されたものであったことを種明かししながら、ひ とつひとつ短いパッセージを奏でる。クラリネットを分解しながら、「クラリネットこわしちゃった」 を演奏したり、リードの音と楽器本体を通した音とを比べたりする。最後に、「私のお気に入り」と「さ んぽ」を演奏したが、子どもたちが楽しそうだったため、担任からのアンコールがあり、園児に「今度 はみんなで踊ろう」と促してエビカニクスを再び演奏した。 <ソロ演奏>

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        <質問タイム>      <エビカニクスで踊る>      4.学生による準備と学び (1)子どもと出会うことによる学び  ミニコンサートを開催するにあたり、小学生くらいを中心に考えて創り上げた「千夏ちゃんと探る楽 器の不思議」コンサートをどのように改変するかということが最初の課題となった。そもそもこのコン サートは、学生が内容を練り上げたものであり、楽器ひとつひとつを、その歴史や音の出る仕組みなど ともに、子どもに分かりやすいかたちで紹介し、それらがアンサンブルとなるとどのように「音楽」へ と組み立てられていくのかを、主人公のチナツちゃんとともに辿っていくという構成のコンサートだっ た。パワーポイント映像や、音の紹介、クイズなどが盛り込まれた内容で、音楽への入り口として作 られていたため、すでに「入口」であったコンサートを、より幼い子どもたちのために改変するとした ら、コンサートのねらいや構成をどのように考えたらよいかということが課題になった。  子どもたちのおおまかな様子をつかむために、学生と筆者らは、附属幼稚園に見学に行った。見学は 学生の授業スケジュールの関係から2回行われたが、1回目と2回目の見学の間に、最初の内容打ち合 わせが行われた。そのさいには、それぞれの楽器をどのように紹介するか、筋書きをどうするかという 話し合いが行われたが、リードの仕組みなどについてどのように説明するのかなどが話題となった。参 加した秋山からは、リードを使う楽器と使わない楽器に分けることは、子どもたちにとっては必然性が ないこと、子どもたちにとって音楽は、提供されるだけのものではなくて、歌う、踊る、歌うように言 葉を唱えるなど参加して楽しむ機会が園にはたくさんあることを伝えた。  参加する学生すべてが見学を終えた後に、「子どもたちが自由に色々な遊びをしている」「自分(学生) たちを遊びに誘ってくれた」「思っていたよりも色々なコミュニケーションがとれた」といった感想が 出された。それと同時に、系統的な楽器の説明をするよりも、音の感じや大きさを感じる方が大切な時 期なのではないかという認識も出てきた。また、2回目の幼稚園見学後に、筆者らと学生たち、副園長 とでアウトラインの打ち合わせをしたときには、幼児を対象とした演奏の経験があった学生から、その 時にクラリネットを分解しながら演奏したところ、その変化に子どもたちが驚いて大きな反響があった という話があり、楽器の紹介を面白いものにできるというイメージを共有できた。  以上から、学生たちにとっては、実際に幼児と出会い、発達の様子をつかむとともに、一緒に遊んで みることが、ミニコンサートを企画するうえで重要な要素であったことがわかる。またそのさい、学生 同士の経験や知識の伝達が、学生集団のなかで納得しながら企画を進めていく契機となったことも指摘 できる。指導者が子どもの発達理論に基づいてコンサート内容の修正を行うだけではなく、学生自身 が、短期的とはいえ子どもたちと関わりを持つことで、彼らへの親しみや関心を持ち、子どもたちにとっ て良いコンサートにしたいという思いが学生のうちに生まれ、実際の幼児の音楽表現のあり方について 摸索することとなった。子どもを対象とした通常のコンサートとは準備プロセスが異なるが、この過程 を経ることは、一人一人異なる子どもの状態を見取りながら、教育・保育内容を考えるという教育の基 本を、学生自身の専門教科とつなげて学ぶ機会となった。

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(2)予想して準備することによる学び  附属幼稚園の子どもたちの様子を見取ったうえで、学生たちは脚本を作成した。アニメキャラクター がネコを探しながら、色々な動物に出会ってその鳴き声を聞き、そこから楽器を紹介するというアウト ラインが決定された。その過程で、前身の小学生を対象としたコンサートでは子どもたちに伝える内容 の重要な要素となっていた音の出る仕組みなどについての説明は、大幅に省略された。つまりこの段階 で、学生たちは、当初子どもたちに伝えたいと考えていた内容を変更したといえる。学生たちは、この 間の作業について「どういった演出をすれば楽しんでくれるのか考えるのに苦労した。しかし同時に子 どもたちにここでこんな反応があると嬉しいなとか、私たちの演奏を聴いて感動し、楽器に興味をもっ てくれるといいななどと考えたりもして、楽しかった」といった感想を述べている。学生たちの関心は、 自分たちが伝えたいことから子どもたちの反応へと軸をシフトし、そのこと自体を学生が楽しいと感じ ていたことがわかる。  通常、小学校以上の学校における教育実習の研究授業などにおいては、必要な学習内容を、子どもた ちが理解できるような授業内容を構築することが課題になる。しかしここでは、幼稚園という場が、授 業を行う場ではなく、子どもたちの現状に基づいて活動が行われる場であるということと、学生たちの 活動が授業ではなくミニコンサートであるということから、こうした変更が容易になったと考えられ る。  第1回打ち合わせの時に、秋山から、子どもたちにとって分かりやすい構成でないと、関心をもって 聞くことができないこと、また、子どもたちはリズムやオノマトペなども楽しむため、そういったもの も、子どもが参加しやすいプログラムを考えるヒントになることを伝えた。そのため学生たちは、子ど もたちが知っていそうな曲やキャラクター、親しみのありそうなもの、興味のわきそうな演出などを考 えた。しかし、それだけではなく、さらに新しい扉を開くようなコンサートにしたいという願いがあっ た。以下の学生の感想は、そうした意欲を示すものである。 子どもたちの「知っている」ことと「知らない」ことをうまく織り交ぜて、「退屈しないけれども 新しい発見がある」ようなステージを作り上げられたらいいなと思った。  一方で、学生が「知っている」けれども、子どもたちが「知らない」ことを伝えるということの難し さは、大きな課題となった。ある学生は感想のなかで、「私たちは、気がついたら楽器や音楽の仕組み を知っていたので、私たちには当たり前なことを知っていない子どもたちにどう面白く、分かりやすく 教えるか考えることに苦戦した」と述べている。学生たちは、幼い頃から音楽の訓練を受け、ある程度 専門性の高い状況にあることから、むしろ他者の理解していることと自身が理解していること、または、 他者が理解できることと自身が理解していることの判断が上手くできない状況になりがちである。自身 にとって当たり前のことが、他者にとっては必ずしも常識や既知の事項ではないことに気付きにくい。 たとえば楽器の発音の仕組みを伝えることを想定してコンサートを企画しているときには、全く初めて 管楽器に接する幼稚園児の視点を想像することが難しいようだった。木管楽器の「リード」という言葉 自体が、説明無しには使えないという事も学生にとっては発見であったようである。  これらの課題、つまり子どもたちが「知っている」ことや「わかる」ことを基盤にしながら、音の世 界への新しい扉を開くことは、保育内容の「表現」だけでなく、広く学校教育の課題となる。子どもの 興味の対象には、子どもがそれまでの生活の中で獲得してきた知識や経験と地続きでありながら、何ら かの飛躍や未知の部分がある。保幼小接続期教育も含めて、既知と未知の捉え方と、子どもの学びや育 ちの関係について、教員養成課程の教育においても、教育学としてももっと丁寧に考える必要があるの ではないだろうか。

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 ところで、音楽系の学生たちにとっては、劇や語りかけを取り入れたことで、姿勢や身体の使い方、 ことばづかい、立ち位置などを学ぶ機会となった。たとえば、台詞を準備している段階では、「くそっ」 と毒づくことばは入れないほうがよいのではないかというアドヴァイスが教員から出て、削除した。ま た子どもたちの前で話すときに、細かい体重移動をしないこと、劇中で子どもたちと一緒にネコを探す シーンでは、子どもたちに背を向けなくてもよいことなど、実際に練習のなかで気づくこともあった。 コンサートを経て、アニメキャラクター役をつとめた学生は、「演奏とはあまり関係はないのですが、 幼稚園児に物事を伝えるときに注意することや、どのように注目を集めるかということがとても勉強に なりました」という感想を述べている。  音楽の演奏としてのクォリティを確保することも課題となった。コンサート会場ではなく、幼稚園の 遊戯室では、音響も特段の配慮はなされていないし、練習や準備のための時間も限られている。しかし、 演奏活動としての条件や環境は必ずしも整ったものではないにしても、企画演出のみが先行して演奏の 質を蔑ろにすることは許されない。このコンサートは、学生が考えながら作ったものだったので、とり わけ演出に気を取られる部分が多かった。また、大学の練習環境からみても、広い場所での演奏にふさ わしい演奏への準備がしづらいという課題がある。そのためリハーサルのさいには、大内から、豊かで 逞しい息を使って楽器本来の「良い音」「響き ( 豊かな倍音 )」を出すこと、そしてその音を精密に重 ね合わせることによって合奏としての「サウンド」を作り出すことという指導があった。  音楽に限らず、表現に関わる多くの活動や、自然科学・社会科学などの知識は、保育や教育の専門家 である保育者や教師は必然的に、自身では提供できないものである。学生の演奏はプロフェッショナル には遠く及ばないにしても、大学の学生や教員は、社会のさまざまな活動団体と同様に、保育の現場に 本物(あるいは本物に近い何か)をもたらすリソースになっているといえる。学生たちが「子供騙し」 ではなく、自身の演奏の芸術的価値についても本気で向き合うことは、そうしたリソースを社会や教育 現場に提供し、また同時に教育現場における芸術表現との出会いの意義について考える基盤ともなる。   (3)予想外のことが起こることについての学び  ミニコンサートは、人気アニメーションの主題曲で幕をあけ、キャラクター役の大学生から子どもた ちに対して、飼っていたネコがいなくなってしまったので、一緒に探してくれないかというお願いに対 して「いいよ!」と気前よく反応して始まった。順調に滑り出したかにみえたが、この点は事後に、子 どもを対象とする場合の演出について、指導する側の観点の多様性を示唆するものとなった。年中組担 任教師からは、「あっさり始まってしまったが、「子どもにとっての動機付け(大事な仲間がいなくなっ てしまった!など)少しあるとストーリーも一緒に楽しめたかなと思いました」というコメントがあっ た。一方、筆者らは、もともと「園長先生の飼っていたネコがいなくなってしまった」とか、「時間内 に探さないと」と言いながら掛け時計を映し出すなどの計画を学生たちが立てていたため、単純化する ようアドヴァイスしたものだった。子どもたちがわかりやすいだけではなく、子どもの気持ちの流れを 考えた、子どもに対して誠実な構成を考えることまでアドヴァイスが至らなかった点は、筆者らの課題 である。しかしそれと同時に、異なる専門性を持つ指導者集団が、異なる視点から協働して指導や助言、 評価を行うことの意義を示唆するものであった。  ミニコンサートは 40 分程度だったが、子どもたちは身体を揺らしたり、歌ったり、曲や楽器につい て「知ってるー!」と言ったり、友だちと顔を見合わせて話したりといった様子が見られた。「悲しい 音がする」「穴から音が出るよ」というように、プログラムの内容に対してまじめに応答したり、「鉄砲 みたい」「(金色だから)絶対高いよ」といった発見を口にしたりという姿も見られた。また、笑ったり 声に出して反応するだけでなく、目を見開き、身を乗り出して学生たちを見つめる子どもたちも大勢い た。学生たちのなかには、声もなく座っている子どもたちの様子を、「相手をこちらに引き込む力が足

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りなかった」「真顔だった子もいて正直どうしようかと思った」と受け止めた者もいた。しかし、実際 には子どもたちは息をのむように学生たちを見つめて、演奏を聴いていた。その意味では、学生に子ど もたちの表情や表現expression を読む力を身につけさせることも、教員養成の重要な課題だということ がいえる。  また、これらの子どもたちの反応は、「驚きから憧れへ」という当初のコンセプトを裏切るものでも あった。子どもと音や音楽表現との多様な出会いについては、子どもたちの表現の繰り返しを通して、 自身の経験として獲得していくプロセスのなかに、あらためて位置づけなおす必要を感じた。  「予想される反応を考慮してプログラムを作ったり練習に取り組んだりしたつもりだったが、いざ子 どもたちの前に出ると、私たちが予想だにしない反応が返ってきた」という記述があった。子どもたち の様子を見学し、反応を考えながら準備したコンサートだったが、予想とは異なることが起こる中で、 学生が学んだことは何だったのだろうか。  学生たちの感想はおおむね、①子どもたちの大きな反応に対して、喜びを感じ、楽しくなった②課題 を感じたという二点に集約された。  ①については、「いざ本番で園児を目の前にすると問いかけに対する反応がとても良くて、自分たち もとても楽しかった」「(感想は)こどもの興味の凄まじく、意欲的であることだった。進行や演奏への 反応が大きく、こちらが予想していないような反応もあり驚いた」という風に、学生たちは子どもたち の様子を気にかけ、結果を素直に受けとめた。この背景には、子どもたちの反応を想像しながらプログ ラムを考えてきたという経緯が少なからずあると考えられる。  ②については「自分たちも楽しめばいいのかなと思った」というかたちで気分を共有する経験ができ た者のほか、「子どもたちの反応を見てみると予想していなかった反応がみることができておもしろく、 自分自身も学ぶことができた。今回はみんな忙しく、準備不足な面もあったので、もっと前々から考え て準備・練習をしておけばもっといい演奏会になったかもしれない」と、準備段階の充実を課題として 挙げる者もいた。また「経験不足」や「不測の事態に対処できる術」「相手をこちらに引き込む力」の 不足に言及する学生もいた。  しかし子どもたちの声や表情など、その場の表出、表現は、単に学生のネガティブな反省を促すもの ではない。ある学生の感想は、子どもたちが「最後のエビカニクスは楽しそうに踊ってくれていたので よかった」というものだったが、これは、アンコールの時に起こったことに関する感想だった。中盤に 学生が「エビカニクス」を演奏しながら登場したときには、座ったままの子どもたちは比較的静かだっ た。その前に、動物の名前を当てたりしていたので、知っている曲を演奏したら盛り上がると予測して いたかもしれない。すべてのプログラムが終わった後、「楽しかった!」という子どもたちの声に、年 長組教師がアンコールをリクエストした。しかし学生たちは何も用意しておらず、立ち往生してしまっ た。そのとき一人の学生が、「じゃあ、もう一度「エビカニクス」を演奏するから、今度はみんなも一 緒に踊ろう!」と提案した。この提案により、学生の感想にあるように子どもたちが楽しそうに踊り、 学生もそのことに喜びを感じて、ミニコンサートを終えることができたのだった。この場面については 年中組担任から、「急なアンコールに応えていただいたのですが、音楽があると身体を動かしたくなる 子どもの自然な感覚なのかなとも思いました」という感想があった。  またユーフォニウム担当の学生が、「驚いたのは、マイナーな楽器であるユーフォのことを言ってく れた子がいたことで、ゾウさんの鳴きまねにも反応してくれていたので、それぞれの楽器紹介の時にゾ ウさんのまねをもう一度すればよかった」という感想を書いた。  これらの感想は、事前の予想と計画に基づくパフォーマンスが遂行されたかどうかを越えて、学生た ちが子どもたちの興味や関心、楽しむということそのものに、いかに応えるかということを重視してい たということと、音や音楽を子どもたちが楽しむためには何が必要かということを、学生たちがコン

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サートの最中にも感じ、考え、学んでいたということを示している。当然のことながら、コンサートは、 計画通りに進行することによって成功するわけではない。このミニコンサートも、学生の行為(パフォー マンス)と、それに対する子どもたちの「反応」が呼応することによって成立していた。学生がそのな かで学ぶこととは、子どもが音を楽しむ方法の一部としての身体性や、繰り返し、想像の広がりなどだっ たといえる。 5.学生の「表現」と子どもたちの「表現」の接合点  ここまでの学生の学びの筋道の整理から、「表現」がexpression であると同時に、representation であ るということに即して、今回の活動の意味を振り返ってみたい。  学生にとってのミニコンサートは、当初、降ってわいた話だった。彼らは、「チナツちゃんと探る  楽器の不思議コンサート」のイメージをもったまま、もう少し低年齢の子どもたちのために内容を改変 することを考えることからスタートした。当初のコンサートですでに、学生は「音楽」なるものを子 どもたちのために一旦解釈し、楽器や音の仕組みとアンサンブルの楽しさをつなぐというテーマを表現 express の核として成立させていた。  学生にとってみると、附属幼稚園におけるミニコンサートを作るにあたって、子どもたちの年齢が低 くなるという条件と、筆者らから「驚きから憧れへ」という新たなテーマを与えられたということにな る。そのギャップを超えるための手がかりとして、筆者らは幼児たちと実際に出会い、遊んでみて、そ の様子を学ぶことを提案した。学生たちはその経験をもとにコンサートの軸を子どもの興味へとシフト し、新たな表現を試み始めた。  そのなかで、一つの楽器から出てくる多様な音の層や、そこに重ねられるイメージ、アンサンブルへ とつながる道筋といった、幾通りもの再現representation をするという内容そのものが、音楽の面白さ として学生が表現express したいものとして再構成されてきたといえる。  このように捉えると、今回の取組みでは、子どもたちと呼応する関係をつくることが、コンサートの 内容を計画するさいの基盤となっていたといえる。またこのことは、学生たちがコンサート中に子ども たちの反応や興味の持ち方を気にかけ、それを自分たちのコンサートの成果として捉えたり、突発的な リクエストにこたえる根拠にしたり、対応への反省の手がかりにしたりする基準となっている。つま り、そもそも子どもたちにふさわしい内容であるかどうかということに配慮しながらコンサートを作っ てきたからこそ、当日の子どもたちの様子に目を配り、応答的にパフォーマンスをすることができたと いえるのである。  このとき、子どもたちの「反応」として読み取られた顔、ことば、身体などを通した表現expression は、 コンサートを一方通行のパフォーマンスに陥らせずに、子どもたちにふさわしいかたちで音楽を楽しむ 空間へと場を変容させる重要な要素になっている。しかし、音の質や大きさ、楽器のかたち、ショーと しての面白さや、曲、踊りなどに対して子どもたちが抱いた感情や興味を、子どもたち自身が新たな表 現representation、たとえば感想を言ったり、ごっこ遊びや工作等を通して、自分たちのものとしていく ためには、時間をかけた支援や指導、複数回にわたる活動などが必要である。そこに向き合う継続的な 活動が、学生の教育という面においても、また大学のリソース提供という面においても必要とされてい る。そのさいには、私たちが音楽を認識しているということは、どういうことなのかという根本を改め て考え直し、教育と結び付けて捉え直すという継続的な学びと探究が不可欠である。

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まとめ  以上をふまえて、保育内容「表現」に関わる活動を通した学生の学びの試みとして行った幼稚園にお けるミニコンサートから得られた知見をまとめる。  第一に、幼児の「表現」と、保育に関わる大人の「表現」とは、呼応的で、共同して場を創造するよ うなものとして捉えられる。  第二に、したがって「表現」に関わる学生指導においては、学生が、他者の視点や聴衆の視点、受信 者の視点を表現のなかに生かすことができるし、その呼応的で創造的な場をつくったり、感じたりする 力を身につけることができる。学生の指導については、その点を要点の一部として考える必要がある。  第三に、そのためには子どもたちの姿を知ること、「子ども理解」を深めることが必要であり、それ らは机上で学ぶだけでなく、実際に子どもとの時間を持ち、接することで得られる。  第四に、学生の指導は、単に幼児との関係性や、わかりやすいパフォーマンスに関するものにとどま るべきではなく、演奏の質等芸術としての側面についても真摯に向き合うことが、結果的に、幼児が「驚 き」や「憧れ」をもったり、さまざまに心を動かされ、身体全体を通じてそれを表現することへとつな がる。  第五に、幼児が既知のものやわかりやすいことに反応しながらも、同時に未知のものにも関心を持っ てひきこまれることについて学生への的確な指導ができなかったこと、子どもたちの反応が「驚きから 憧れへ」という単純なものではなかったことは、ミニコンサートを始める前の筆者らの予測の甘さで あった。このことは、指導の課題であると同時に、保育現場との密な協力関係が、このような学生指導 には不可欠であるということも意味している。  第六に、こうした幼児の表現と学生の表現が重なる活動は、「表現」というものが、子どもが世界と 出会い、思考し、創造する方法であるという原理からいっても、継続することでより大きな効果が得ら れると考えられる。  第七に、教育と大学の地域貢献の重要性やその可能性は、常に指摘されているところではあるが、学 生がパフォーマンスの質も含めて教育・保育に関する活動に真摯に取り組むことを授業の内外にかかわ らず支援・指導することは、大学のリソースとしても捉えることができる。        1 白石朝子「領域「表現」における幼児の音楽表現を豊かにする指導法の検討―研究コンサート(全 3 回)の実践から―」 『名古屋女子大学紀要』第 63 号 2017 年。白石朝子「乳幼児向け演奏会のプログラムに対する一考察―『おやこ音楽会』 の開催をもとに」『名古屋女子大学紀要』第 62 号 2016 年。 2 白石 2017 年 331 頁。

3 Oxford English Dictionary, Second Edition (CD-Rom), 1989. 4 レッジョ・エミリア市の乳幼児教育において、その内容を紹介する図書のタイトルともなっている「100 の言葉」は、 多様な表現に取り組むことが子どもの学びと育ちにおいて重要な原理であることを示すものである。「好奇心や学ぼ うとする意欲は、最初から単純で孤立したものを拒否します。子供はそれがどのくらい複雑なのか、何と関係があ るのかを発見したがり、さらに、この複雑さや相互の関係を越えて意味を変えたり、自分なりの類推や隠喩、擬人 化をしたり、現実主義的で論理的な意味を与えることに喜びを見いだしたりします。」「すべてのものは継続し変化 します。想像力や論理と同様、社会化、感情、創造力、美学にも 100 のルーツと 100 の由来があります。」レッジョ・ チルドレン『子どもたちの 100 の言葉―レッジョ・エミリアの幼児教育実践記録』日東書院 2012 年 33 頁。

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参照

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