幼稚園における宿泊保育についての実践報告
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(2) . 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第43巻 第1号 lof Hokkaido Universi 43 1 ty of 鰍iuca i i t t Jouma on(Sec onI C) VOI . - , No. 平成 4年7月 ly 1u ,1992. 幼稚園における宿泊保育についての実践報告. 伊藤勝志 会沢義雄 絵面和子 守田由美子 杉本加代子 金子久美子 米沢弘美 1. は じめ に. 近年, 大都市やその近郊の幼稚園等においては宿泊保育 (園外保育の一形態で, 合宿保育と呼ば 977 ) に従い宿 れる方が一般的のようであるが, ここでは長年使いなれている語でもあり, 阿部 ( 1 泊保育を用いる. 宿泊する日程により一泊保育と呼ばれる場合もある) が盛んに行われているよう 88 ) である(谷田貝他 19 . 幼児を集団で, 原則として親の付添いなしで, 園内あるいは園外の施設 に宿泊させ, 幼 児の自主性や自立性, 社会性を育てるなどの教育的意図をもっ た周到なプログラム に従っ て行われる保育活動のことである. 劣悪な環境で毎日の生活を強いられている幼い子ども達.彼らの心身が健全に発達するようにと, たとえ一泊といえども日常住み慣れた生活空間を離れ, 新鮮な空気と豊かな自然的環境 の中に彼ら を解放し, 多くの仲間達- と一緒に寝食を共にし, 存分 の遊びをも経験させたいと思うのは, 都市の 保育者としての人間的な願いであろう‐ 幼児期の子どもは常に発達する存在である‐ 彼らは毎日繰り返される生活の中 で, 様々な環境が 内含する多様な刺激を受け, 時にはこれらの刺激に対して積極的にはたらきかけることによっ て多 くのことを経験する. こうした経験を通して将来の社会生活に必要な様々な能力や特性の基礎を培 っ ていく. この故にこそ, 子ども達の発達を促すために必要な日常的な生活の場としての環境や, そこで彼らが経験する具体的内容とが重要な教育的課題となるのである. ところで, 子どもの発達が個体と環境との相互作用によっ て進められることは周知のところであ る. 子ども一般に共通した発達的特性を十分に理解したうえで, 個々の子どもに内在する特性を見 極め, それぞれの発達を見通し, 発達を促すための環境を整えること‐ それが発達を促進させるに 必要な刺激を内包した環境 であれば, 子ども達はそれらと直接間接に関わりを保ちながら独自の発 達を遂 げて行く はずである. こう した適切な環境を常に用意することが幼稚園教育の本来の目的 であり, 宿泊保育もまたこの ような意図のもと, 子ども達に用意される適切な環境の一つと考えられるものである. 宿泊保育の教育的な意義について, 谷田貝他 ( 9 88 1 ) はいくつかの点を上げているが, これを整 理すればおおよそ以下のようなものである. 1. 寝 食 を 共 に す る こ と に よ っ て, 子 ど も 同 士 の つ な がり が で き る.. 2. 指導者と子ども達との信頼関係 が深まる‐ 3. 核家族の子ども達を親から離して生活させる ことによっ て, 自立を促進させることができる. 4. 宿泊場所を選定することによっ て五感を通して自然と直接触れさせることにより, 自然に対 する理解を深めることができる‐ 5. プロ グラムを工夫することによ って, 全ての領域を満たす総合的な教育ができる. 6. 指導者の側からみれば, 子ども達の24時間を観察することができ, 日常の保育に大いに貢献 でき る.. とはいえ, 幼児にとっ て 「家庭」 という安定した生活基盤を離れ, 不慣れな環境で教師や仲間達 165.
(3) . 伊藤勝志・会沢義雄・絵面和子・守田由美子・杉本加代子・金子久美子・米沢弘美. だけと起居を共にすることは, おそらく生まれて初めての極めて大きな経験であろう. それだけに, 子どもをたとえ一夜でも手元から離すことになる親の心配や不安 もまた大きいものと思われる. 体 力的にも集団生活能力の面からも様々に異なる子ども達が一緒に生活することや, 家庭にお ける日 常的な習慣の枠外で, 異なっ た生活リ ズムでの 一日を強いられることになり, それによっ て生じる 子どもの緊張や様々な行動問題もまたきわめて大きいものであろう. さらには計画の 立案から実施 終了の段階まで, 子ども達の経験を豊にすることや, 健康管理・危険防止に細心の注意を払うこと になる教師達の苦労もまた大変なものであるうと思われる. このようにいくつかの問題点はあるものの,親からはなれて仲間達と寝食を共に過ごした経験が, 1 979 )はこの 点に関して, 「何人 子どもの中に印 象深く残ることもまた事実のようである. 山崎他 (. かの卒業生に幼稚園時代の思い出を書いてもらっ たところ, すべてが宿泊保育のことであっ た」 と 報告している. 宿泊保育の 経験がいつまでも子ども達の心に残るものであり, しかも 彼らの発達を たとえ僅かでも確実に進めるものならば,先述のような問題は 是非乗り越えられるべきものである. 976 ) は宿泊保育に関する継続的な実践研究を報告しているが, これによると, 実施当初 1 山内他 ( 3 パーセントであったが, 綿密な研究に基づ は親の不安が強かっ たことが一因となっ て, 参加者は5 0パーセントにまで増加した. 2年後には8 く安全でしかも効果的な実践を繰り返した 結果, 今日, 多くの幼稚園で宿泊保育 が実施されているようであるが, 望むような効果をあげるために はなお, 検討すべき課題が多く残されているように思われる. 本小論では宿泊保育の効果的実施方 法を探るため, 本学附属函館幼稚園が毎夏実施 している 一泊による園外保育について, その実態を 報告しようとするものである. 1 1 . 附属函館幼稚園における宿泊保育の実践 附属函館幼稚園では昭和48年以来,夏期休暇を利用した園 外保育の一環として宿泊保育を実施し ている. 年長児30数名を対象に, 函館近郊の木古内町にある本学研修所において一泊し, 海浜での 遊 びを 中心にして子どもに豊かな経験をさせようとの試みである. 初回より試行を重ねるうちに, 「子どもの自立心が身につく」 「食べ物の好き嫌いがなく なっ た」 「一緒に遊べなかっ た仲間とも遊 べ るように なっ た」 「就寝・睡眠に際しての好ましく ない習慣が改善された」 など, 子どもの成長に 効果的な影響が度々認めら れたので, 今日もなお積 極的に継続されている. 現在では幼稚園恒例の 行事として位置 づけられているが, 少ないスタッフのまま実施する幼稚園側の苦労も大きかっ たよ うである. その故かどうかは解らないが, 宿泊保育が子ども達に与える 教育的効果をはじめ, 親や 教師に与える影響などの 課題に対する検討は未解決のまま残されている. 今年度はこう した研究の手始めとして, これまでと同じように実施された宿泊保育のありのまま の姿につ いて, 実施の目的, 事前指導・事前調査も含めた実施計画, 実施6カ月後に行われた事後 調査の三点を中心に報告する. 1. 宿泊保育の目的 宿泊保育に参加できるのは付属幼稚園のばあい年長児のみである. 日常生活のあらゆる場面で依 存している親の手元を離れ, 家庭とは異なっ た環境で仲間達と集団 生活するためには, 社会性をは じめとする様々 な能力がある程度要求される故である. 従っ て年長児としての 自覚, 誇り, にもと ずいた年長児らしい行動をとってもらうことがま ず第一の目的である. 多くの子どもにとっ てたとえ一泊とはいえ親元を離れ, 仲間達 だけと生活することは全く 新しい 経験であるが, 食事や入浴・就寝など, 日常生活にお ける身の回りの処理を 自分で行わせることに 1 66.
(4) . 幼稚園における宿泊保育についての実践報告. よっ て, 未知の経験にも積極的に取り組む意欲を芽生えさせ, 自立を促す原動力にしようとするの が第二の目的である. また, 集団での遊びや生活を通して食事や就寝, さらには入浴 時の 一般的なマナーに留意させた り, 施設・設備や遊具などの使用に際しての公共道徳を守ることを経験させることが第三の目的で あ る.. 宿泊場所となる木古内研修所は, 函館市内の雑踏とは程遠い環境であり, 周囲には草原やなだら かな丘 がひろがり, 背後には津軽海峡を擁した, 自然的条件に比較的恵まれたところである. ここ には日の出や日没, 澄み切っ た星空, 潮の干満などの自然的変化に気づいたり, 散歩しながら虫を 捕っ たり草花を摘んだり, 砂浜で波と追いかけっ こをしたり小魚を探したり, 干潮時には広大な磯 の上で蟹を追っ たり貝や海藻を拾っ たりと, 子ども達の日常生活では到底得られないような多くの 経験が用意されている. これらの経験を通してイメージを広げ, 事象や事物への興味・関心を抱か せようとするのが第四の目的である. 子ども達はこれらの多様な遊びや生活を多くの仲間達と一緒に経験するために, 幼稚園における 通常の生活だけでは成立しないような, 新しい人間関係を発展させることも可能である. 教師にとっても, 子ども達と四六時中生活を共にすることによっ て, 普段の生活では得られない ような, 彼らの評価を新たにするような様々な側面を観察することができるので, その後の保育に 活用するための貴重な資料を提供してく れる, 格好な機会ともなるのである. 不安や心配を抱く親にとっ てもまた, 一時的 であるにせよ自分の手元から離れて一夜を過 ごして 戻る子 どもの姿に思いがけない生活力を見出し, 自分の子どもを客観的に見つめ直す良い機会とな っ ているようでもある. このようなわけで, 非日常的な環境の中で子ども達に多くの経験をさせ, 彼らの発達を援助する だけでなく, 子どもを通して教師や親達も共に成長することによっ て, 総合的な教育の機会にしよ うとするのが, 附属幼稚園における宿泊保育の大きな目的である. 2. 実施計画 6日(火)の一泊二日の日程で, 例年通り木古内研 平成3年度の宿泊保育は7月 1 5日(月)~7月 1 修所を宿泊場所として行われた.参加対象となるのは3年保育 児と2年保育児合わせて32名の年長 組幼児である. 本園における宿泊保育は, 事前指導や事前調査をはじめとする綿密な計画のもとで 実施される. ) 事前指導 ( 1 親に対しては子どもを離すこと, あるいは子どもと離れることへの不安をできるだけ早期に和ら げるために, また子 どもに対しては宿泊保育に対する関心や期待を盛り上げるために, いくつかの ステッ プで事前指導がなされている‐ 年長組の子ども達が夏期休暇に入る直前一泊保育に出かけることは, 幼稚園の恒例行事にもなっ ているので, 全ての親が承知している状況である. 従っ て宿泊保育に関する事前指導もだいたいは 年長組に進級してから間もなく行われる. ここでは前の年に行われた宿泊保育の VTR 記録を視聴 してもらいながら, この行事の目的をはじめとする具体的な内容についての説明を行い, そのため の精神的な準備をしてもらうと同 時に, 子ども達にも, 生活習慣を中心にした自立的な生活を促す ように気を配っ てもらう. 園児達に対しては, 親から離れて過ごす上で要求される自立的な生活の確立を図ること, 宿泊保 育への期待や関心を高めることの二点を中心に, 日常の保育の中で指導が行われた. わずか一泊で 167.
(5) . 伊藤勝志・会沢義雄・絵面和子・守田由美子・杉本加代子・金子久美子・米沢弘美. はあるが親から完全に分 離されるため, 子ども達の身の回りのことはすべて彼 ら自身で処理しなけ ればならない. したがっ て幼稚園においても衣服の 着脱やその整理など, 基本的な生活習慣を一層 確実なものにすることをねらっ て, 機会をみて繰り返し経験させている. 年長児や親の 話を聞いて, 一年も前からこの行事を楽しみに待っている子どももあるよう だが, 見知らぬ場 所で一泊することへの期待をさらに大きく膨らませるために, 宿泊施設の状況に応じた 遊びを工夫できるよう なア ドヴァイスをすることもまた, 事前指導としては重要な内容である. 子 ども達は研修所の畳の上で過ごす時間のために, 折り紙, 将棋, オセロゲームなど, そこで使用 す る遊具を, 相談しながら決めることもまた, 子どもの期待を高める 上で大きな効果があるようだ. このような指導の結果, 見知らぬ場所へ 泊まりに行くことに対して不安を抱き, しり ごみする子 どもは皆無であっ た. 2 ( ) 事前調査 2名の保護者に対して イ宿泊保育への参加希望 ロ健康に関する日 実施2週間前,参加対象児3 ・ 常的な状況の調査 ノ 家庭にお ける生活 習慣等についての調査を行う. 00パーセントの参加である. イ 参加を希望しなかっ た者は皆無であり, この 時点では1 ロ. 健康状況の調査内容は, 乗り物酔い, 頭痛・貧血, ジンマシン, 局桃腺その他日常的に認 められる身体的な変調の状態や疾患, 既往歴など, 宿泊保育中の発症や事故等を予防するた. めにも, 指導者側として是非知っ ておかねばなら ない事項である. ノ・ 家庭にお ける生活習慣等に関する調査の内容は, 昼寝の習慣の有 無, 起床・就寝時刻, 夜 尿, 寝ぼけなど, 睡眠に関わる習慣・習癖や特徴, 入浴時における 「のぼせ」 の有 無, 両親 の元を離れて宿泊した経験の有無, テレビ視聴の様子, 整理整頓の自立度, そして宿 泊保育 に対して親・子それぞれが抱いている期待や不安などについてである. 日常の観察を通して子どもの状況をよく把握しているためか, 何れの質問に対 しても有効な回答 を得ることが出来た. 不安な点, 注意すべき点についても細かに記入している例が多く, これらの 資料は子どもを指導する段階で十分に活用出来るよう, 指導計画の一環としてまとめられた. 資料-1. 一泊保育身体調査に関する資料. 番号 園児名 就寝 起床 昼寝 夜尿 2 3 4 . . 3 1 2 3. 0 0 7 0 0 H. H 9 : : 3 0 0 7 0 H. M 9 ; : ‐ . ・ .. .. .. 夜中の小便. 寝相悪い 卿まけ 夢み泣く 入浴 局桃腺. 備. 考. 頭痛を起こしやすい. 0. 3 06 3 0 D. A 8 : : Y. T 9 0 0 7 0 0 : :. ジンマシンの経験あり 腫れ易 花火等の安全に注意して欲い、. 一人で起きる 2時起こす 時々 夜1 1時 時々 休む前と1 ・. ・. .. .. .. .. 2 0 0 0 7 T. S 9 : : S. Y 8 0 7 0 0 3 : :. .. .. ・. .. ・. .. .. 0. O. ・. . .. O. . .. いびき, 歯ぎしりをする 乗り物に酔ったことがある. ①日常生活習慣等について 幼稚園のしかも最年長児であるためか, 昼寝を日常の習慣にして いる子どもは皆無であるし, 90 %以上の子どもが自分の持ち物を決まっ た場所に整理整頓出来るようになっ ている. また, 両親の 5名と半数にも達している.宿泊先としては祖父母や親 手元を離れて泊まっ た経験のある子ども が1 類の家が多いようであるが, 近所の親しい人の家や友達の家などに泊まっ たことのある子どもも数 名 ある. 1 68.
(6) . 幼稚園における宿泊保育についての実践報告. このような経験もまた宿泊保. 資料-2. 指導上留意すべき事項 (個人). 育 に参 加 す る う え で の 貴 重 な 下 地 に な っ て いる も の と 予 測 さ れ る.. ②子どもの期待について 家庭 や幼 稚 園 での 周 到 な事 前 指 導 が行 き 届 い て い た せ い か, 大 体 の 子 ども ( 93‐5 %) が宿 泊 保 育 を 楽 しみ に 待 っ て い た 様 子. で, 中には前の年から待ち望ん で いた 者 も あ っ た. そ の 内 容 も 「先 生 や仲 良 しの 友 達 と 一 緒 に. 食事をしたり一日中遊んだりお 風 呂 に は い っ た り一 な ど, 仲 間 と 過 ごす こ と へ の 期 待 が 最 も 多 い. こ の こ と は, 金 子 (1988). 平成3年7月1 5日 乗り物酔い 乗り 物酔ぃ. s Ry i i a ‐Y .M K .K H .H Ka .N s. - 旧式トイレの心配 日式トイレの心配. Da ‐A Ki .T Ry .M. ジンマシン マシンの心配 の心配 花火の心配 花火 の心配. すじこアレルギー 風邪気味の時に出やすい {す に ァレルギー) Er ‘ こ出ゃすぃ) T( N(風邪気味の時 Yu .N{ .T 煙アレルギーなので煙を吸ゎせな ルギーなので煙を吸わせない も ・ょぅに いい 、 ように配 慮して欲し 酉漉して欲 ) (煙ァレ Ta -M { .. アトピー性の心配 ‐性の心配 ァトピ. 海水に注意してほしい ) 塗 塗り薬…眼 水に注意してほい、 N (海 } り薬・ “眼, 鼻 Yu .N(. Ke .H (怖がる) Hi ‐H (安全面に注意). 注意が必要 普通に生活しても良いが Ma 1( 意が必要) (普通 こ生活しても良ぃが, 注 1 . 行動上で注意を要する H i M KeT Ke で注意を要する H i e 泳 a e .M .K Yu .T Ta .Y ‐Y Ke ‐ 掌費 、 Te 子ども ‐H Er .U 廟桃腺が腫れやすい子 腺が 腫れ やすい子 賢 iH 刊 i c s Er K i a u F .M Yu ‐N C ‐S .N ‐H Ta ‐T H ども 心筋性の不整脈 心筋 性の不密脈. 昼寝の出来ない子 昼寝 の出来なぃ子. ,Ke ,Y. 就寝時枕元にパンツ‐ズ 鰹 の替えを置 髭 灘 蓬薩洋 ボン く子ども. KB K e K K .. 難便の子ども 難使の子ど も. Da ‐A Yu .H Ke .K. 入浴で酔う心配 入浴 で酔ぅ心配. Yu i ‐N K ‐K. ‐. が千葉市内の幼稚園での合宿保育に際して行っ た調査において,「5歳児の期待が最も高かっ たのは 『友達との同行』 であっ た」 点とも共通するところである . ③子どもの不安について 0名 が宿泊保育参加への不安を表明しているようであるが,見知らぬ環境での生活に 3分の1の1 は, 全ての子どもが多少なりとも何等かの不安を抱くのは当然と 思われる. 不安の内容は, 母親から離れて一人で寝られるか どうか(2名) , 旧式のトイレをうまく使えるか どうか (2名) , いつも乱暴な子に対する不安 (2名) , 食事で嫌いなものが出てくることへの不安, 仲の良い友達と一緒に寝ることが出来るかどうかの不安等色々であるが, 夜尿に対する不安が4名 と最も多かっ た. この点 に関しては 「親と離れること」 「乗り物酔い “こ対する不安が最も強かっ た 金子の報告とは異なるところである. ④親の期待について 宿泊保育に対する親の期待は図-1に示す. 共同生活を通して自主性や協調性を身につ ける, 約 束を守るなど社会的発達の契機となることを期待している親も多いが, 宿泊保育において身の回り のことを自分一 人で処理することによっ て, 生活上の自信を持っ て欲しい等, 自立に関する期待が 最も多く1 2名, 先生や友達と一緒に生活することで, 楽しい思い出を作っ て欲しいとの期待が11 名, そして怪我や事故のないよう 無事に過 ごして欲しいが5名 でこれに次いでいる. 左光他( 9 1 87 ) は臨海宿泊保育についての実践例を報告しているが, この中で親の期待として最も多いのが 「親元 を離れて一人で寝ること」で全体の50パーセントを占めている. 付属幼稚園の場合, このような期 待は僅か1名のみであっ た. 幼稚園の置かれている地理的条 件や参加する子どもの人数などに大き な違いもあるが, 先述のように附属幼稚園の場合は, 親のもとを離れての外泊を事前に経験してい る子どもが約半数にも達していることから, 離れた所での宿泊保育に参加 させることはそれほど目 新しいものではなくなっ ているのかも知れない. 何れにしろ, 未知の経験を通して 子どもが少しで も成長するよう, 親は宿泊保育に対してある程度の期待を抱いている ことが理解される.. ⑤親の不安について 宿泊保育に対する親の不安や心配の内容は図-2に示す. 不安や心配は特に無いと回答したのは 169.
(7) . 伊藤勝志・会沢義雄・絵面和子・守田由美子・杉本加代子・金子久美子‐米沢弘美 3 分 の 1の 11名 で あ っ た が, こ れ は, 子 ど. もはもとより幼稚園の指導態勢に対する全 面的な信頼の現れであろうと思われる. 不 安や心配で最も多かったのが睡眠中の習癖 や生理に関するものであり, それらは 「歯 「 「 ぎ しり」 , 着 , 出 血 す る ほ どの 鼻 い じ り」. 自立の経験 楽しぃ思ぃ出 無事故 規律を守る. 自主性. 替えを必要とするほどの発汗」などである. 中でも 「寝相が悪いので寝冷えするのでは. 協調性. な いか」 と の心 配 が5名 もあ っ た. 左 光 ( 9 87 ) の報告に多くみられた 「病気やけ 1. ・. o 0. 5. m. 人. 「 ・ 「 が」 , 集 , 自 立 的 な 生 活 が で き る だ ろ う か」. 図 - 1 宿泊保育に対する親の期待 図-1 団行動ができないのではないか」 などのよ うな心配はそれほ どみられない. 旧式トイレの使用や夜尿な ど, 用便に関する不安が7名, その他, 親の手元を離れて 一夜を過ごすことに対する不安が3名, 少々荒っ ぽい行動の目立つ一人の子ども. に対する危倶の 表明が2名 であっ た. た と え 一 泊 と は い え, 自分 の手元から離して宿泊させることは親にとっ てそれなりに 心配の多い. ことは当然であり, しかもそれが子どもにとっ て全く始めての経験ともなれば, あれこれ考えるの は無理のないところであろう. こう した経過を経ていよいよ当日を迎える. 前夜の就寝時と今朝の起床 時, そして普段の体 温を 記入し, 出発前までに提出してもらう. 指 導上留意すべ き状況にある子どもにつ いて は資料一 目こ直ちに記録され, 宿泊保育中 の様々な指導場面で配慮される. 当日は急 病で1名 が欠席, 参加者は30名 であっ た.. 睡眠中の習癖等 用便に関する不安 用側 こ関する不安. 親から離れる事 怪我や事故. ( ) 実施計画 3. 行動の荒い子. 7 月 15~16 日の両日にわたる宿泊 日程. にそ っ て数種 類の詳細な計画 が立て ら れ た. それらは大きく分 けると. ①役割分担:事前踏査, 医薬品や遊具. 人. 図-2. 宿泊保育に対する親の不安. その他 必要物品の調達・準備 (資料-3) , 保育計画にお ける当日の活動それぞれ に対する責任の分 担 (資料-5) , 就寝時間中の不寝番 (資料-4) など.. ②保育計画 初日の集合 完了から最後の帰園, 解散まで二日間にわたっての子ども達の活動内 容を詳細に配列したものである (資料-5) . ③指導上留意すべき子どもの確認:健 康調査を始めとする事前調査により明らかになっ た子ど もの問題点を整理し, 指導上の留意点として記録 (資料-2) . 子ども達と行動を共にする職員は, 園長, 副園長, 専任教諭2, 非常勤の教諭2, 養護教諭1, 図医より派遣の看護婦1名の 計8名 である. 各職員が分 担する役割は資料3~5に示した通り. ま た, 指導の上で留意すべき子どもについては, 健康調査等をもとに資料-2 に整理され, 指導の徹 底が図られた. 子どもの指導をはじめとする様々な用務に対する補助員として, 本学幼稚園教員養成 課程の学生 170.
(8) . 幼稚園における宿泊保育についての実践報告. 5名 が参加 した. これらは何れも幼稚園における教育実習の経験者であり, 子どもの指導にもある 程度なれていること, また, 卒業論文の資料集めなどを通して附属幼稚園の子ども達とも十分顔な じみになっ ている学生達である. 主として子ども達の遊びを見守り危険防止に貢献したり, 荷物の 運搬や記録係として VTR カメラマンを分 担した. 宿泊保育は以上の ような綿密な準備のもと, 資料-5に示される指導計画にしたがっ て開始され た. 午 前 9 時 50分, 大勢の父兄が心配そうに見守る中を全員揃っ て大学の バスに乗っ て出発. 目的 地ま でおよそ40分の行程 で. 資料-3. ある. 見送りの母親 と離れる の が寂 し か っ た の か, 出 発 直. 準. 備. 後 1名 の 女 児 が 急 に 泣 き だ し. 一泊保育係分担表. 内 容 バ ) ビニール敷物( ( 2 ( } ト ) 8 2 ) 足拭きマ スタオル ッ , , ,. 係 名. 絵面 絵 面 ば 湛 さ み 風呂道具 . 力粧達と歌 (暦 が,他の仲間 ÷ 二言 鹿 島 露閣議 繁雑 栗 葛 ) IF風呂場 を う た っ た り ゲー ム を した り ◎守田 積み木:洗面所用 (立方体・小2) *長イス 石鹸( 6 ) 6 ) 5 ) , 洗濯用ロープ( , 洗濯ばさみ, , 石鹸いれ皿( タオル( 4 ) , 粉石鹸. ◎守田. し て い る と 間 も なく 笑 顔 が 戻 る.. 好天には恵まれなかっ たも. のの現地での生活はすべて順 調に経過し, 散歩, 食事, 入 浴, 海浜での水遊びなど存分 に新しい環境での二日間を過 ごすことが出来た. 子ども達 は就寝や起床・入浴時にお け. 海あそび 関) (玄 おやつ. (食堂IF). *トイ レ用 *ト イレ 用 (たろ木) 飼育ケース( 1 ) 3 ) , , 敷物 (長2),.足拭き用タオル{ ビニール袋, * (ビニールプール), ごみ袋( 2 ) おやつ (プチフール・ヤクルト), (プリン) 4十1 4), つ けもの, 塩 紙ナプキン (6. ブィッ シュ (各部屋用・ トイ レ用4) ボトル( 2 ) 4 ) , カ ッ プ (教師用10), ふきん( * (やかん・ポッ ト). ◎守田 山本. 薬品, 針箱. ◎山本. 教材・遊具. 各種教材・遊具 (カセッ トテープ7, ビデオテープ1, 長縄1, 短縄3) ビーチボール1, ボール2,. ◎杉本. 3 ) (IF遊戯室) 花火, マッチ, ローソク, ライタ ー, 空き缶{. まで, 教師の介添を必要とす る子どもは皆 無であっ た. 宿. (IF控え室) 予備電池 (単1-4, 単3-4). 米沢 その他. *ばけっ( 2 ) , 懐中電灯, ペンライト, 蚊取線香, 新聞紙, 雑巾, セロテープ, タオル{ 5 ) 予備下着, ビニール袋, ゴミ袋, アルミホイル マジック, 目張りテープ, 虫よけスプレー, 殺虫スプレー 2 折紙, ビニールシート, (白1) ガムテープ( ) , 画用紙,. 泊保育を想定した家庭での日 常的な指導も行き届いていた. 4 ) 6 ) 西洋紙, 新聞紙, 輪ゴム, 粘土( , 粘土板( ,. ようである. 異なっ た環境に 解 放さ れ た 喜 びも あ っ た の. セロテープ (3台), ホッチキス( 4 5 ) ) , はさみ( , ク レヨン( 4 ) 3 ) , ビニールテープ( , サイ ンペン,. か,子ども達は活発に行動し, 積み上げてある布団を倒して. ) 2 1 } マジック (1箱). すずらんテープ( , 紙テープ( , カーブルくみ木 (1セッ ト), オセロ, 将棋, 卓上つみ木,. おはじき, 絵本( 5 ) 2 ) , 紙芝居( 事務用品 (IF控室). た. 濯 ぎ ”箱書毎≦. 米沢. お 茶 (食堂IF) 薬・針箱 (控え室). る衣服の着脱をはじめ, 身体 の洗い方から朝の洗面に到る. しまうなど, 時にははしゃ ぎ 過 ぎの よ う な行 動 も 見 ら れ. ◎金子. カメラ類. 謬る. (IF控室). セロテープ( ) 2 1 ) , マ ジック (3本), はさみ( , ガムテープ 画用紙 すずらんテープ ホッチキス( 1 ) , , ,. ’フ ’. ビデオカメラ, カメラ, フィ ルム2 4本×2 2本 1 本×1 予備 ) 2 ・ 備) 川(予. 留意した点が三つあっ た. その一つは, 事前調査における親の不安の項でも触れたが, 幼稚園での 日常生活で時々乱暴な行動をとる子どもに関することである‐ 数名の親はこの子どもの行動の荒っ ぽさの故に, 他の子どもに被害が及ばないよう十分注意してくれるよう申し入れがあっ た. これに 対しては担任ばかりでなく全職員 が協力して当該幼 児の行動を見守り, 事故等の起こらないよう万 全の態勢で臨んだ. その故かあるいは普段とは異なった環境の中で過ごしたせいか, いつもの荒っ 171.
(9) . 伊藤勝志・会沢義雄・絵面和子・守田由美子・杉本加代子・金子久美子・米沢弘美. ぽさは消え, 担任も意外に思うほど落ち着いて 行動することが出来たようである. 就寝に際しての 寝つきの悪いことや眠りが浅いことなどが観察されたが, これらのことも通常の幼稚園生活にお け る発散的行動と何らかの関連があるのでは ないかとの担任からの感想である. 第二の点は宿泊施設での旧式 トイ レに関するものである. 古い校舎をそのまま利用していること から, 現在の家庭では全く姿を消した汲み取り式のトイ レに, 子どもが使用出来ないのでは ないか と不安を抱いていた親 が事前調査では3名 あっ たが, この他にも直接 担任への申し出があっ たよう である. この件に対しても全職員 が交替で, つきっ きりの指導をした. その結果, 当初は不安がっ ていた子ども達も次第に慣れ, やがては安心して一人で使用できるまでになっ た. 第三の点は就寝中の夜尿の問題である. 子どもによっ ては毎日の日課と なっ ているような例もあ るので, 大勢の前で失敗して しまうことにより自信を喪 失させないよう, 資料-4のような不寝番 を立てることにより, 家庭での生活リ ズムに従っ てトイレに立たせるよう努力した. その結果, 心 配された子どもの全てに何事もなく, 元気な朝を迎えること が出来た. 附属幼稚園では宿泊保育の実施に際し, 当初は子どもの安全確保や プロ グラムの円滑な運用を図 るため, 参加する幼児の母親を数名補助員として同行 していた. しかしこれは子どもの自主性・自 立性を促すと言う宿泊保育本来の目的からして必ずしも好ましいことではないばかりでなく, 母親 が同行しない子どもの不公平感を募らせるのではないかとの 認識のもと, このよう な方法は最近廃 止された. とはいえ, 30数名 の幼児を親元から離し二日間を過ごさせることは, 幼稚園の全職員を 動員 してもなかなか骨の折れる課題であっ た. そこで今回は5名の学生を参加させ, 先生方の補助 的任務に当たらせた. これに対しては, ①人手があっ て子どもの世話も十分行き届いた. ② プロ グ ラムがスムー ズに進行したおか 資 料-4. げ で 子 ども 達 は 安 心 して 遊 ぶ こ 担当者. さ れ た. な どの 好 ま し い 評 価 を. 担当時間 夜尿の心配. と が 出 来 た. ③ 親 の 不 安 も 軽 減. 杉 本. 得 て い る. 学 生 個 人 に と っ て も. 夜. 冴. Er 12 0) E :0 .U (. 錆. Ke G .H. 幼稚 園教育の 一面 を理解す る こ と が で きる 等 の メ リ ッ ト も あ っ た よ う で あ る. 分 担 す る 役 割 や. 子どもとの関わり方 などを研究. 寝相悪い 寝ぼけ 夢見泣く. 絵 面. 5日 平成3年7月, 金 子 米 沢. 守 田. 0 0^ v l ′ Y2 ー 1 2 o o 0 1 3 0 3 02 3 0^ 3 03 3 0 } } ~ 1 3 ~ ~ 3 3 0^ 4 3 04 3 0^ 5 ~ ~ : : : : : : : : : : H( Hi 2 0 0 ) 1 : ‐H(. 子どもを見る目が豊で幅広く な る と か, 実習 で は 総 験 で き な い. 不寝当番表. 3: ( 00 ). ( 6:00 ). 0 ( 5 3 ) : Hi i i .M A ◆ .K Ka .N s .I Ma .1 Tu K M K T M I i T C a a a ‐ . . .S . . Ka .N D&A Ke ‐H. Ci .S Ay ‐K. NO .K. しながら, 機会があれば今後とも参加を促した い. 資料-5に示されたプログラムにそって実行された平成3年度の宿泊保育は,怪我も事故もなく, 6日, 全ての日程を終了した. また, 心配された子ども達もそれぞれ何事もなく, 7月1 3. 事後調査 宿泊保育を経験してから6カ月後, 親元を離れて生活した影響につ いて確認するため, 簡単な質 問紙調査を実施・した. 内容は ①実施前の不安・心配とその結果について ②帰宅した時の子ども の感想 ⑧日常生活に現れた変化とその持続について ④宿泊保育に対する親の感 想・意見等につ 0名の家庭に配布し, 25名 が回答を寄せた(回収率83 いてである. 対象幼児3 ‐8パーセント) . 以下 にその概略を報告する. ① 172. 出発前の心配について.
(10) . . 幼稚園における宿泊保育についての実践報告. 資料-5. 平成3年度. 一泊保育計画書 北海道教育大学教育学部附属函館幼稚園. 6(火) 1 日 時 平成3年7・15(月) ~1 2 日 程 5日 (月) 第1日目 平成3年7月1 型 時 間. 活 動. 内. 容. 到 着 入 室. 昼 食. 当. 写真. 木古内嘘 ・決められた部屋, コーナーに荷物 海実験所 控室 を置き整理する ・研修所, 実験所の中を見学し, そ ‐靴 れぞれの場所を覚え, 自分で行動 ビニール袋 できるようにする ・着替え (シャツ ・海の中に入って. 貝拾いなどの遊 パンツ) びを楽しむ ・ビニール袋 ・集めた物は所定の入れ物にいれる. ‐弁当 カップ ビニール袋. ・着替えを済ませてから昼食をとる ☆寒い時, 天候の悪い時は食堂で食 べる. タオル掛け用 ひも 洗濯ばさみ 洗面所 (台 積木) トイレ (台) 敷物 飼育ケース2 ごみ袋 足拭タオル, タライ 予備下着. 設定 (トイレ 洗面所 控室) 海. 実験所. お茶 お茶 カセッ ト. 面 田沢 絵守米. 海辺で あそぶ. 担. 長 田本本 図守山杉. 2:0 0 1. 積み込み. 各自の持ち物 ・紅白の帽子 ・上靴 .ハンカチ. 幼稚園出発. 見 学. 0 1 1:0. 遊戯室. 業務・区分. 田子沢本 守金米山. 0:3 0 1. 雪組. 園. 児. 細. 9:5 0. 園集合完了 ・出欠の確認 ・服装・持ち物の点検 ・約束の確認 ・遊戯室へ移動する ・園長先生の話を聞く ・見送りの父母にあいさつをする. 考. 備. 針糊蟻. 園 9:3 0. 篇. 場 所. 金子 山本 守田. 0 1 4:3. 昼 寝. ・横になって身体を楽にする. 2階. 枕 (木古内備品). 昼寝準備. 絵面 金子 米沢. 5:3 0 1. おやつ 遊 び. ・おやつを食べる .フォークダンス ・ゲーム (ポールその他) ‐絵を描いたり本を読む. 食堂 ホール. おやつ カセット 画用紙 クレヨン. おやつ. 金子 米沢. 控室. 浴室 杉本・米沢 脱衣室. 5 6:1 1 8:0 0 1. 入 浴 夕 食. ・グループ毎に入る ・食堂でみんなで一緒に食べる ・食器は自分で所定の場所に戻す ・当番の子は片付けを手伝う. i 9:0 0. 夜の集い. ・花火をする. 0 1 9;3. 就寝準備. ・ふとんを敷く手伝いをする ・歯を磨く ・用便に行く ・着替える. 2 0:0 0. 就 寝. 食堂. ・タオル ビニール袋 ・着替え (シヤツ・パ ンツ・靴下 ビニール袋. 石けん タオル バスマット. ・歯ブラシ 歯みがき ビニール袋 ・ねまき ビニール袋. 花火 水 マッチ ぱけっ. 守田・山本 控室 絵面・金子 確認 控室. 金子 金子 山本. 米沢 水 (バケツ). まくら. 懐中電灯 蚊取り線香. 173.
(11) . . 伊藤勝志・会沢義雄・絵面和子・守田由美子・杉本加代子・金子久美子・米沢弘美. 2 ) 資料-5( 6日 (火) 第2日目 平成3年7月1. 7:3 0. 朝の集い 散 歩. 8:0 0. 朝 食. 自由遊び. ・歯ブラシ 歯みがき ビニール袋. ・服に着替える ・顔を洗う ・園長先生のお話 ‐体操をする ・周辺を散歩する. 洗面所. ‐タオル ビニール袋 カセット. ・食堂でみんなで一緒に食べる ・食器は自分で所定の場所に戻す ・当番の子は片付けを手伝う ・外やホールで遊ぶ. カセット. おやつ. 細. 起 床. 懸. 0 6:3. 金子 米沢. ボールその他 (木古内殉品). おやつ 0:0 0 出発準備 1 片付け 0;3 0 1. 1 1:4 0. イ. 乗 車. 到 着. ・全員で片付けをする ・自分の荷物を整理する. 片付け・確認 米沢 洗面所 山本. ・忘れ物がないか点検する ・お礼を言って乗車する ・トラピスト修道院を見る ・迎えの父母にあいさつをする ・持ち物を点検して降園する. 遊戯室. 控室 2階 遊戯室. 金子 絵面. 事前の心配が現実になっ た:2名. 1名は就寝時になかなか寝つかれなかっ たと言う例 でありもう1名 は「着替えを, 子どもが分かるように入れてお いたのに,『見えなかっ た/』 と言っ て着替えをしないまま帰っ てきた」 というものであっ た. 何れの場合も事前調査に お い て は, こ の よ う な 点 に 関 して の 不 安 は 述 べ ら れ て い な い.. ロ. 2名. 事前の不安・心配は全く外れた:1. ノ・ 最初から不安・心配はなかっ た:9名. 他に無回答2名 であっ た. 大多数の子どもは親の不安をよそに元気に過ごしてきたようであり, それなりの遅しさが育って いるように思われる. しかし, 時には親も言い尽くせないだけの不安を抱きつつ子ども達を送りだ している場合のあることも又事実なのかも知れない. ②. 宿泊保育を終えて帰宅した時の子どもの感想について. 終了後6カ月を経過した後であっ たにもかかわらず21名の親から,帰宅後の子どもの感想を聞 く こ と が で き た.. 9名 である.楽しかっ たことの内容は色々 率直な感想として「楽しかっ た」と口に出した子どもは1 「 「 であるが, 今まで気づかなかっ た友達の特徴を新たに発見 し, うれしそうに話した」 , 普段は- 緒に遊んだことのない友達と一緒に遊んだこと, 仲間に入れてもらったことが嬉しかっ た様子」 , 「友達の家に泊まりにいきたい」 等々 人間関係の発展や 社会参加の喜び, 広い体育館で遊んだ , ことが楽しかっ た子ども, 泣かずに寝られたことが嬉しかった子どもなど様々である. このよう じ な楽しさはあっ ても, 寝る前には 「 ・臓が ドキ ドキした」 り, 「夜, 眠れなくて困っ た」 子どもも ノ あっ て, 彼らなりに大きな緊張をかかえた子どもの いたこともまた十分うかがえる. 多くの子ども達にとっ て, 宿泊保育は 「楽しかったのでまた行きたい (7名)」 経験となっ たよう 174.
(12) . 幼稚園における宿泊保育についての実践報告. であるが, 親からはなれてなかなか寝つかれなかっ た子どもは,「楽しかりた けれどももう行きた くない」 と思い, 「帰っ てくるなり 『もう行きたくない』 でした」 の様な子どももあっ た. 一人- 人の パーソナリティ や生活のあり方など, 色々な条件によっ て経験の特-ち方も多様に変化するも のであれば, 子どもによっ て多様な感想が出るのもまた自然な現象である. ③ 宿泊保育を経験してからの日常 生活における変化について こ の 項 目 に は 14 名 か ら 回 答 が あ っ た.. イ. 一時的な変化は2名 である. 1名は帰宅した夜, 二度の夜尿があっ た. 普段は排池の習 慣 が完全に確立しているということで, 事前調査にもこの点についての申し出は全く なか っ た 子 ども で あ る. も う 1名 は 友 達 同 士 で お 泊 ま り 会 ゴ ッ コ を し て い た も の で あ る が, こ. れは宿泊保育の楽しかっ た経験を ごっ こ遊びの形で再現しようとしたものであろう. 2名 である.主なものは祖父母の家や親 ロ 6カ月以上にわたっ て変化が持続しているのは1 「 戚, 友達の家へ 一人で泊まりに行くなど, 親元から離れることが平気になっ た」子ども4 名, 「整 理 整 頓 を す る よ う に な っ た」 「行 動 に 自 信 が つ い た」2 名. 「自 分 の ベ ッ ドで な ら 一. 人で寝られるようになっ た」 他, 1名などである. 変化が持続している点では自立的な行動が最も多い. 一方,「あまり遊ぶことのなかっ た幼稚園の 友達とも仲良く遊ぶようになっ た」にみられる対人関係, 「何も言わなくても食事の時や布団の片付 けを手伝っ てくれる」 自発性, さらには身の回りの 「整理整頓」 や 「花火を怖がらなくなっ た」 な ど, 行動に積極性が現れた子どもも見受けられる. もっ とも, 宿泊保育以来6カ月を経過している ので自然的な発達による変化も考えら れるが, 子供が自立性の発達を進めて行くうえで, 宿泊保育 の経験もまた何らかの形で役だっ ているものと思う. とはいえ, 全ての子どもにとっ て良い影響ばかりであっ たとは限らないようだ. 同じ変化でも一 度完成したものがもとに戻っ た場合がそれである. 宿泊保育に参加するまでは別室で一 人で寝るこ とができていたが, 宿泊保育後は親と一緒でなければ寝ることが出来なくなっ た例である. この事 例は親と離れた故になかなか寝つかれず, しかも 「楽しかっ たけれどもう2度と行きたくない」 と の感想を述べた子どもである. 表面に現れない子どもの緊張を思うと, 「二度と行きたくない」よう な経験をさせてしまっ たことはきわめて残念である. 今後は実施直後の調査も加えながら, 宿泊保 育のあり方についてさらに検 討しなければなるまい. ④. 宿泊保育に対する親の感想. 4名の父母である.記名 のせいもあっ てか否定的な感想は この項目に感想を述べてくれたのは1 「 「 「 全くみられず, 子どもにとってよい思い出となるものと 思う」 , 貴 重 な 経 験」 , 良 い 体 験」な ど, 「 宿泊保育を極めて前向きに受 け止めている. このような傾向は, 泣きながらもとにかく親から離 … ・」 との感想にもあるように, 子どもが十分 な満 足を得られなかっ た場合でも, その経験を子どもの成長に少しでも役立てようとする姿勢にもよ 「 く現れている. また,「お泊まり会に持参する自分の持ち物を子どもが自分で準備した」 , 親から 「 一度離れるのも良い勉強だと思う」 , 自立という意味ではとても良い経験ができたと思う」 など の感想からは, 宿泊保育が子どもの自主性や自立を促す良い機会であると考えられていることが れて泊まっ たと言う事実が自信になれば. 1 97 9 ) が報告しているように, 合宿保育に参加した幼 児の親 解る. このことは例えば山崎詔他 ( 11 5名 に事後調査を実施した結果, 自主性, 自立心がついたと回答したのがその中の25% で最も 「 多かっ たこととも共通するところである. さらに,「集団生活の場が得られてよい」 , 幼稚園や友 「 達のことをあまり話さなかっ た子どもが時々ではあるが話 すようになっ た」 , 子どもは沢山の友 達と一緒に同じ行動をしたと言う満足感を得た」 などのように, 集団への参加と, それを通して 175.
(13) . 伊藤勝志・会沢義雄・絵面和子・守田由美子・杉本加代子・金子久美子・米沢弘美. 対人関係や社会性を発展させる 好機とも捉えられているようである. 「 親がい ・なければ落ち着いて眠ることのできないわが子を知って, 子どもより親が子離れをしなく ては … ・」 との言葉からは, 子どもを手元から離すことが時には親にとっ ても, 自分 と子ど もとの関係を見つめ直し, 親自身が成長する機会ともなるものであることを教えてくれる. このように宿泊保育は子どもばかりでなくその親たちにも色々なことを経験させてくれる. そ のせいもあっ て, 今後も保育を継続してくれるように期待する声は強く, これもまたいくつかの 研究結果が明らかにしているところである. これらの願いを無にすることなく, また, 参加する 全ての子どもが 「また行きたい」 と言えるようなものにするためにも, 宿泊保育に関する綿密な 研究が必要であろう.. 参考文献 石崎 詔 山内昭道 幼児合宿保育の実践的研究 7 6 日本保育学会第29回大会論文集 1 9 阿部明子 園外保育:山下俊郎監修 保育き事典 光生館 1 977 左光美幸 木村ひとみ 臨海宿泊保育についての一考察 (その2) 日本保育学会第31回大会論文集 1 97 8 2 )親の意識 崎 詔 山内昭道 合宿保育の実戦的研究 I V ( 荻野宏審 石崎 日本保育学会第3 2回大会論文集 1 7 9 9 編 保育技術事典 同文書院 1 0 98 巷野悟郎他編 金子智栄子 遠隔地における宿泊保育に関する研究 1 日本保育学会第41回大会論文集 1988 谷田貝公昭他 合宿保育について -保育学会を中心に- 日本保育学会第41回大会論文集 1988 森上史朗他編 最新保育用語辞典 ミネルヴァ書房 1991. 176.
(14)
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