規範的会計基準をめぐる論争史論
著者
菊地 和聖
号
77
発行年
1999
駅
菊
ち
地
ず[謎
聖
同 か エ →学 位 の 種 類
博
士(経 済学)
学 位 記 番 号
経
第77号
学位授与 年月 日
平 成11年5月20日学位授与 の要件
学 位規則第4条 第2項 該当
学 位 論 文 題 目
規範的会計基準をめぐる論争史論
論 文 審 査 委 員(主
査)
教
授
高
田
敏
文
教
授
杉
本 .典
之
論
文
内
容
要
旨
1973年 に デ ム ス キ ー が 発 表 し た論 文 「規 範 的 会 計 基 準 の 一 般 的 不 可 能 性 」 は、 会 計 情 報 の使 命 が 意 思 決 定 へ の役 立 ち に あ る こ とを 前 提 と す るか ぎ り、 一 般 に は、 意 思 決 定 者 の信 念 や 効 用 と は 無 関 係 に、 情 報 シ ス テ ム の特 性 だ け で 情 報 シ ス テ ム を 評 価 し選 択 す る こ と はで き な い こ と を 「証 明 」 し た 。 この 一 般 不 可 能 性 定 理 は、 会 計 理 論 の研 究 に 大 きな 波 紋 を 投 げ か け、 そ の後 、 激 しい 論 争 を巻 き起 こす こ と に な っ た。 本 論 文 で は、 これ ら一 連 の 論 争 を 「規 範 的 会 計 基 準 の 可 能 性 を め ぐ る論 争 」 と名 付 け、 これ ら論 争 の軌 跡 を た ど り、 会 計 学 説 史 に お け る論 争 の 意 義 、 な ら び に 現 実 の会 計 基 準 設 定 機 関 と そ の 行 為 に 対 す る潜 在 的 イ ンパ ク トを 吟 味 す る こ と を通 じて 、 この論 争 の 現 代 的 意 義 を 探 求 した もの で あ る。 ま ず 第1章 「一 般 不 可 能 性 定 理 の背 景 、 証 明 及 び含 意 」 で は 、 論 争 の 出 発 点 と な っ た デ ム ス キ ー の 原 論 文 の 内 容 に つ い て 検 討 した 。 は じめ に、 い わ ゆ る情 報 経 済 学 に お け る情 報 シ ス テ ム評 価 法 の 基 礎 を 、 一 般 不 可 能 性 定 理 を 理 解 す る の に 必 要 な か ぎ りで紹 介 した。 一 般 不 可 能 性 定 理 は、 精 細 性 補 題 に も とつ い て 証 明 され る の で、 本 章 で も、 は じめ に 精 細 性 補 題 の 証 明 を試 み 、 そ の 上 で 、 一 般 不 可 能 性 定 理 の 証 明 を 行 って い る。 っ つ い て 、 第2章 「一 般 不 可 能 性 定 理 に対 す る チ ェ ンバ ー ス の 批 判 」 で は 、 一 般 不 可 能 性 定 理 に 対 す る最 初 の 本 格 的 な 批 判 で あ る チ ェ ンバ ー ス の 論 文 「規 範 的 会 計 基 準 の 可 能 性 」 と、 これ に対 す る デ ム ス キ ー の 反 論 「チ ェ ンバ ー ス の規 範 的 会 計 基 準 に 対 す る経 済 学 的 分 析 」 を 取 り上 げ て ・ そ れそ れ の 内 容 を紹 介 ・検 討 す る と と も に、 こ の 論 争 に対 す る筆 者 の 見 解 を 述 べ て い る 。 第3章 「ヴ ィ ッ ク レイ の 一 般 不 可 能 性 定 理 批 判 」 で は、 前 章 に 引 き続 き、 規 範 的 会 計 基 準 の 可 能 性 を め ぐ る論 争 史 の 一 局 面 で あ る ヴ ィ ッ ク レ イ とデ ム ス キ ー の論 争 を 取 り上 げ て い る。 まず 、 ヴ ィ ッ ク レ イ の論 文 「規 範 的 会 計 基 準 の存 在 を あ ぐる デ ム ス キ ー と チ ェ ンバ ー ス の論 争 に 関 す る考 察 」 を 整 理 して紹 介 す る と と もに、 これ に対 す る デ ム ス キ ー の 回 答 「会 計 基 準 再 訪:ヴ ィ ッ ク レイ へ の 回 答 」 を取 り上 げ て、 両 者 の 論 争 を 紹 介 した あ と、 筆 者 の 見 解 を述 べ た。 第4章 「ク ッ シ ン グの 個 別 的 最 適 会 計 基 準 論 」 で は、 規 範 的 会 計 基 準 の 可 能 性 を め ぐ る論 争 史 で 大 きな 役 割 を 演 じた ク ッ シ ング の 「個 別 的 最 適 会 計 基 準 論 」 を取 り上 げ た 。 ク ッ シ ン グ は、 デ ム ス キ ー らが 規 範 的 会 計 基 準 の 可 能 性 を 否 定 す る た め に使 った 合 理 的 選 択 理 論 を 「逆 手 」 に と って 、 規 範 的 会 計 基 準 の 可 能 性 を 論 証 し よ う と した。 しか し、 ク ッ シ ング の 最 適 会 計 基 準 論 は、 個 々 の会 計 基 準 の最 適 性 にっ い て、 そ れ ぞ れ 独 立 に評 価 す る と い う ア プ ロ ー チ を採 用 して お り、 本 質 的 に 「部 分 均 衡 分 析 」 で あ る こ と は 明 らか で あ る。 こ の 点 は確 か に 論 理 的 に は蝦 疵 が あ る と言 わ ざ る を え な い が 、 わ れ わ れ が 現 実 に 直 面 して い る会 計 問 題 は 、 ま っ た く新 し い会 計 制 度 を 白紙 の 状 態 か ら作 り上 げ る とい う もの で は な く、 現 在 の(均 衡)状 態 に対 して 、 ど の よ うな 変 化 を与 え るが と い う、 そ の意 味 で 部 分 均 衡 分 析 の そ れ で あ る。 この よ う に 考 え る と、 ク ッ シ ン グ の 個 別 的 会 計 基 準 ア プ ロー チ は 、 す ぐれ て 「現 実 的 」 な もの だ と言 え る、 とい う私 見 を 述 べ て い る。 第5章 「個 別 的 最 適 会 計 基 準 論 に 対 す る ベ ジ ャ ンの 批 判 」 は、 前 章 で 取 り上 げ た ク ッ シ ング の 個 別 的 最 適 会 計 基 準 論 を批 判 し.たベ ジャ ンの論 文 「財務報 告 論争 に対 す る合理 的選 択理 論 の適 用 につ い て:ク ッ シ ング説 に対 す る コ メ ン ト」 を 取 り上 げ た もの で あ る。 前 章 で検 討 した と お り、 合 理 的 選 択 理 論 を 限 定 的 に 適 用 す れ ば 、 財 務 報 告 の 諸 問 題 に 対 して 新 し い視 点 を提 供 す る こ と が で き る と主 張 した ク ッ シ ン グ に対 して 、 ベ ジ ャ ンは 網 羅 的 な 批 判 を 展 開 し た。本 章 で は、 こ の よ う な ベ ジ ャ ンの 批 判 を検 討 す る と と もに、 これ に対 す る筆 者 の 見 解 を 開 陳 した 。 第6章 「ベ ジ ャ ンの 批 判 に対 す る ク ッ シ ン グ の 反 論 」 で は 、 前 章 で 検 討 した ベ ジ ャ ンの 批 判 に反 論 した ク ッ シ ン グ の 論 文 「最 適 会 計 基 準 の 可 能 性 一再 論 」 を 取 り上 げ て 、 ベ ジ ャ ンの 批 判 と対 比 す る形 で ク ッ シ ン グ の主 張 を 検 討 し、 最 後 に 主 要 な論 点 につ い て 私 見 を 述 べ た 。 す な わ ち、 ク ッ シ ン グ が 依 拠 した 部 分 均 衡 分 析 の方 法 に っ い て は多 様 な 見 方 が あ り得 る で あ ろ うが 、 現 実 的 ア プ ロ ー チ と して は、 現 在 の均 衡 状 態 を所 与 と して 、 個 別 的 に 新 しい 会 計 基 準 を 導 入 す る か 、 も し く は古 い会 計 基 準 に変 更 を 加 え る、 と い う方 法 以 外 に 道 は な い 。 ク ッ シ ン グの 個 別 的 会 計 基 準 論 の 理 論 的 問 題 を 指 摘 す る こ と は容 易 で あ る が 、 今 日 に お け る会 計 基 準 設 定 の実 際 を 観 察 す る と、 ク ッ シ ン グの 個 別 的 最 適 会 計 基 準 論 の ア プ ロ ー チ は極 め て 現 実 的 な もの と して 肯 定 的 に評 価 す べ きで あ る、 と い う 筆 者 の 意 見 を 述 べ た 。 第7章 「ブ ロ ン ウ ィ ッ チ の個 別 的 最 適 会 計 基 準 論 」 は、 ブ ロ ンウ イ ッチ の論 文 「個 別 会 計 基 準 の 可 能 性 」 を取 り上 げ て 、 彼 の個 別 会 計 基 準 論 を 紹 介 し、 そ の 内 容 を 吟 味 した も の で あ る。 ブ ロ ン ウ イ ッ チ は 、 第1に 、 個 別 会 計 基 準 を 、 通 常 の 形 式 の合 理 的 選 択 モ デ ル に組 み 込 む 試 み を 行 った 上 で 、 「個 別 情 報 シ ス テ ム 」 が 存 在 し う るだ けで は、 会 計 基 準 へ の 個 別 基 準 ア プ ロ ー チ を 正
当 化 す る条 件 と して は 不 十 分 で あ る こ とを 明 らか に し、 個 人 の 効 用 関 数 に対 して条 件 を つ け な けれ ば な らな い と主 張 した 。 した が っ て 、 ブ ロ ン ウ イ ッチ の 第2の 関 心 は、 会 計 基 準 へ の個 別 基 準 ア プ ロ ー チ が特 定 の 個 人 に と って 最 適 な 情 報 シ ス テ ム を 作 り出 し う る た め に 個 人 の 効 用 関 数 に要 求 さ れ る条 件 を 決 定 す る こ と で あ る。 詳 細 な検 討 の結 果 、 そ れ ら条 件 は か な り 「厳 格 」 な もの で あ り、 会 計 基 準 設 定 機 関 は、 相 互 依 存 の側 面 を もつ 会 計 基 準 に つ い て は 一別 々 に 設 定 す る の で は な く一相 互 の 関 係 を考 慮 しつ っ 、 同 時 に設 定 して い か な けれ ば な らな い 、 と い う結 論 を導 き 出 して い る。 第8章 「会 計 基 準 を め ぐ る論 争 史 の 総 括 」 は 、 本 論 文 の 最 終 章 と して 、 これ ま で 検 討 して き た 「規 範 的 会 計 基 準 の可 能 性 を め ぐ る論 争 」 の流 れ を整 理 し、 論 争 史 の 全 体 像 を描 き出 した もの で あ る。 本 章 で は 、 (1)デ ム ス キ ー ・チ ェ ンバ ー ス ・ヴ ィ ッ ク レイ 三 者 間 の 論 争 と ② ク ッ シ ン グ ・ブ ロ ンウ ィ ッチ ・ベ ジ ャ ン三 者 間 の論 争 の2っ の グ ル ー プ に 大 別 して 論 争 史 を 概 観 した あ と、 論 争 を 通 じて浮 き彫 りに さ れ た主 要 な 論 点 に つ い て 、 筆 者 の 見 解 を示 した 。 す な わ ち 、 (1)現 実 の 経 済 社 会 に お け る会 計 基 準 を論 ず る際 に、 ど の程 度 の 精 緻 性 に お いて 議 論 を す す め るの が 適 当 か 。 (2)会 計 基 準 論 を展 開 しよ う と す る場 合 、 会 計 情 報 の ど の よ うな 利 用 局 面 を想 定 す べ きか 一意 思 決 定 モ デ ル の 「策 定 」 段 階 ま で 含 め て 考 え るか 、 意 思 決 定 モ デ ル の 存 在 を 前 提 と して選 択 肢 の 「選 択 」 段 階 に 限 定 す べ きか 。 (3)会 計 基 準 は会 計 情 報 シ ス テ ム選 択 の必 要 十 分 条 件 で あ るか 、 あ る い は単 な る必 要 条 件 で あ るか 。 (4)会 計 基 準 を 論 じる場 合 、 会 計 情 報 の利 用 者 を ど の よ う に想 定 す べ きか 。 (5)情 報 利 用 者 の信 念 と選 好 を個 別 的 に考 え るべ きか 、 一 般 的 に 考 慮 す れ ば よ い か 。 (6)会 計 情 報 シ ス テ ム の 個 人 的 選 択 と社 会 的 選 択 の 問 題 を ど う考 え るべ き か。 (7>会 計 基 準 の 設 定 が 個 別 的 ・時 系 列 的 に 行 わ れ て い る こ と、 す な わ ち 「個 別 会 計 基 準 」 と して存 在 す る現 実 を ど う考 え る か 。 な ど の 論 点 に関 す る 筆 者 の 見 解 を 要 約 的 に 示 して い る。
論 文 審 査 結 果 の 要 旨
ア メ リカ に お け る 会 計 基 準 の 設 定 主 体 は 、1970年 代 に 、 そ れ ま で の ア メ リカ公 認 会 計 士 協 会 の 会 計 原 則 審 議 会 か ら、 特 定 の 団 体 に 帰 属 しな い財 務 会 計 基 準 審 議 会 に移 った 。 こ の よ うな 財 務 会 計 に か か る大 き な制 度 の 変 更 を 背 景 と して 、 学 界 に お い て も、 会 計 基 準 に っ い て様 々 な 角 度 か らの 研 究 が 始 ま っ た。 菊 地 氏 の 提 出 論 文 は、 こ う した 研 究 の一 つ と して 位 置 づ け られ る1973年 の デ ム ス キ ーの 問 題 提 起 か ら始 ま って 、 お よ そ10年 間 に わ た り繰 り広 げ られ た会 計 基 準 の 役 割 に つ い て 証 明 す る こ と の 不 可 能 性 を テ ー マ と した 論 争 を批 判 的 に検 討 した もの で あ る。 デ ム ス キ ー は 、 情 報 経 済 学 に お け る意 思 決 定 モ デ ル を使 って 、 市 場 に お い て 投 資 家 が 合 理 的 な 意 思 決 定 を しよ う と す る と き の情 報 の 役 割 は情 報 シ ス テ ム を評 価 で き る こ と で あ る と し、 会 計 基 準 が 投 資 家 の 確 率 的 信 念 と効 用 関 数 を 改 善 す る役 割 と い う点 で 、 そ の 優 劣 を評 価 可 能 で あ る の か ど うか を 問 題 と し た。 不 完 全 情 報 下 で 会 計 情 報 シス テ ム の 特 性 の み で 、 そ の シス テ ム の 優 劣 を 評 価 しよ う とす る と、 そ の 情 報 シ ス テ ムが ど の程 度 精 細 な 情 報 を提 供 す る能 力 が あ る の か で 評 価 で き る と さ れ る。 しか し、 デ ム ス キ ー は 、 会 計 情 報 シ ス テ ム の 作 り出 す 情 報 の 精 細 性 は一 般 的 に は 比 較 で き な い こ と を 証 明 した。 す な わ ち、 会 計 基 準 の役 割 と考 え られ て い た投 資 家 へ の 情 報 提 供 機 能 に 関 して 、 そ の よ う な機 能 が 有 効 で あ る とす る考 え方 に対 して 、 一 般 的 に証 明 で き な い こ と を 明 らか に した の で あ る。 こ う した デ ム ス キ ー の 問 題 提 起 に対 して 、 チ ェ ンバ ー ス、 ヴ ィ ッ ク レイ は、 一 般 不 可 能 性 定 理 そ の もの の 妥 当 性 に 関 す る批 判 を展 開 した。 しか し、 彼 らの 批 判 は、 定 理 そ の も の の 論 理 展 開 に っ い て で は な く、 デ ム ス キ ー の採 用 した前 提 に 向 け られ た もの で あ り、 論 争 に な って い な い 、 と菊 地 氏 は指 摘 して い る。 そ れ に対 して 、 ク ッ シ ング、 ベ ジ ャ ン、 ブ ロ ン ウ ィ ッチ の 批 判 は、 会 計 基 準 ア プ ロー チ そ の もの .に向 け られ た もので あ る。 と くに ク ッシ ング は、 デ ム スキ ーの前提 を緩 和 す れば合 理 的 選 択 理 論 を適 用 し う る と し、 公 共 財 と して の会 計 基 準 の役 割 を 強調 した。 ベ ジ ャ ン、 ブ ロ ンウ ィ ッ チ の 批 判 は、 デ ム ス キ ー と い うよ り は 、 ク ッ シ ン グ に向 け られ た もの で あ るが 、 理 論 と現 実 性 と の バ ラ ン スが とれ て い る点 で ク ッ シ ン グ の主 張 は一 連 の論 争 の 中 で も っ と も妥 当 な もの で あ る、 と菊 地 氏 は評 価 して い る。 以 上 の 一 連 の 論 争 を 的 確 に検 討 した 上 で 、 菊 地 氏 は、 会 計 基 準 の 精 細 性 を 比 較 の 尺 度 と しよ う と す る場 合 、 現 実 の経 済 社 会 にお け る会 計 の役 割 に つ い て の 相 当 程 度 の理 解 が 必 要 で あ る と考 え られ 、 デ ム ス キ ー の 議 論 は そ の 点 で相 当 の 難 が あ る こ と、 情 報 が 個 人 の確 率 改 変 の み の 側 面 で 機 能 す る と す る こ と は現 実 的 で は な い こ と、 現 実 の 社 会 に お い て は、 会 計 基 準 は必 要 条 件 と して 機 能 して い る は ず で あ る こ と、 投 資 決 定 に お け る個 人 の 信 念 や 選 好 に は 大 き な違 い が な い こ と、 会 計 基 準 は個 別 的 に 改 善 して い か ざ る を 得 な い の で あ り、 そ れ が 間 違 って い る と い うの な らば、 そ う した方 式 に 対 す る代 替 案 を 提 出 す べ きで あ る こ と等 の 重 要 な 論 点 を 指 摘 し、 本 論 文 の ま とめ と して い る。 デ ム ス キ ー が 提 起 した 会 計 基 準 の 一 般 的 不 可 能 性 につ い て の 論 争 は、 そ の 後 の 効 率 的 市 場 仮 説 に か か る諸 研 究 や エ イ ジ ェ ン シ ー ・モ デ ル を 用 い た諸 研 究 に 展 開 す る 出 発 点 と して の意 義 を 有 す る も の で あ っ た。 しか し、 わ が 国 の 会 計 学 界 に お い て は 、 デ ム ス キ ー の論 文 が 難 解 で あ っ た こ とが 原 因 と な り、 一 連 の 論 争 が 正 確 に理 解 さ れ て こ な か っ た。 菊 地 氏 の 研 究 は、 そ の 点 で 大 き な 意 義 を 有 す る もの で あ る。 ま た 、 本 論 文 は、 今 日 に お い て も、 な お十 分 な 研 究 が な さ れ て い な い 会 計 基 準 へ の 社 会 選 択 理 論 の 適 用 問 題 へ の展 開 可 能 性 を 有 して い る点 で も、 大 きな メ リッ トを 有 して い る。 よ っ て 、 本 論 文 にか か る博 士(経 済 学)論 文 審 査 の 成 績 は 「合 格 」 と判 定 す る。