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-特別支援学校(知的障害)
高等部第2学年
生活単元学習学習指導案
1 単元名 「調理の達人になろう」 2 指導観 ○ 本学級は、軽度の知的障害を有する生徒9名で構成されており、うち3名は、広汎性発達障害 や自閉的傾向と診断されている。時折、心理的な要因等から、一人での教室移動や活動への参加 が困難な生徒がいるが、ほとんどの生徒がチャイム前に学習の準備をして着席しており、基本的 な学習の構えができている。学習中は、私語や離席はほとんどなく、平仮名や簡単な漢字を用い ての学習が可能である。教師の問いかけに対しては、積極的に発言する生徒、反応があまり見ら れず理解できているか判断の難しい生徒がいる。また、理解できないときや困ったときに、自発 的に質問したり支援を求めたりできる生徒、周囲の状況を見ながら行動しようとするものの十分 に確認しないため間違ってしまう生徒、教師や友達からの支援を待つ生徒と実態は様々である。 広汎性発達障害や自閉的傾向と診断された生徒については、障害の特性上、初めての場面や活動 では見通しを持てないことから心理的に不安定になって活動にスムーズに取り組めなかったり、 自分の意に添わないときにかんしゃくを起こしたりすることがある。また、興味・関心のない課 題・題材では、活動に集中できず、独り言を言ったり別のことをしたりすることもある。 調理経験・技能の質問紙による調査の結果、炊飯器を使ってご飯をたく、電子レンジで料理を 温めるなどの調理器具の操作については、ほとんどの生徒が一人で行うことができるが、自信の なさや経験の不足が感じられる生徒が数名いることが分かった。調理経験については、「一人で 調理 ができ る」 という 項目に 対し て、6 名が「 はい」、3名 が「 いいえ 」と 回答し ている。「 は い」と回答している生徒に関しては、卵を使った料理がほとんどであり、「焼きそば」など包丁 で材料を切って、炒める・焼くなどの調理ができる生徒は1名であった。また、「卵を割る」「包 丁あるいはピーラーでリンゴの皮をむく」「調理室のガスコンロの点火・消火」の実技調査では、 すべての生徒が卵を割ったりガスを点火・消火したりできること、包丁で皮をむくことができる 生徒が3名、ピーラーを使って皮をむく生徒が5名、握力が弱く皮をむくことができない生徒が 1名いることが分かった。 ○ 本学級の生徒は、卒業後の自立・社会参加に向け、生活習慣と社会生活能力の確立、作業に必 要な基礎的な技能・態度を身に付けることを目標としている。また、「特別支援教育を推進する ための制度の在り方について(平成17年)」に「障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向 けた主体的な取組を支援する」とあるように、学校教育において、生徒の主体的な活動を通して、 家庭生活・社会生活・職業生活で必要な知識・技能・態度を身に付けさせる指導が求められてい る。 栄養のバランスを心がけた食事をする態度や一人で安全に簡単な調理を行う技能等を育成する ことは、将来の家庭生活や健康な社会生活を送るために意義のあることだと考える。また、調理 の手順表を見ながら正確に作業を進めたり、理解できないときや判断に迷ったときは、自分から 進んで質問・確認したりする力を育てることは、生徒の将来の職業生活において必要なことであ る。さらに、簡単な調理を行う技能を習得することによって、家庭生活の中でも調理を実践する ことが可能となり、家族のために昼食を作り喜んでもらうことで満足感を得たり、一人で作るこ とで余暇活動の充実を図ったりできると考える。そして、「自分一人で作ることができる」とい う自信が学習に対する意欲を高め、生徒の主体性を育てることにつながると考える。 ○ 教師による知識の伝達にとどまらず、生徒の主体的な活動を大切にした授業を展開したいと考 える。本単元では、単元構成の工夫と支援ツールであるセルフサポートブックを活用した指導を 行い、①学習に対する意欲を高め、見通しを持たせること、②生徒が主体的に学習する場面を設 定すること、③障害の特性や個の実態に応じた手だてをとることの3つを意識した授業づくりを2 -行う。 意欲を高め見通しを持たせるために、生徒の興味・関心のある「調理」を学習活動の中心に据 えた、単元を「知る・考える」「やってみる」「振り返る」の流れで構成する。「やってみる」で は、「ファースト・チャレンジ(1回目の調理)」「振り返り」「セカンド・チャレンジ(2回目の 調理)」の3つで構成し安心して調理に臨めるようにする。また、1単位時間の始めに、本時の 目標、学習活動・内容、活動の流れ、終わりに次時の学習活動・内容を確認させる。 生徒が主体的に活動できるように、調理実習で調理したいものやトッピングしたい食材を生徒 が自己選択・決定する場面や、材料・道具カードと調理の手順表を用いて一人で考え判断しなが ら活動する場面、活動を振り返り自己評価する場面を設定する。 さらに、掲示物や資料の大きさ、形態、色遣い、文字や図の使い方、指示の方法など、障害の 特性や個の実態に応じることができるように配慮する。 3 単元目標 興味・関心 ○ 調理に対して 興味・関心を持ち、調理実習に意欲的に取り組み、理解できないときや判断 意欲・態度 に迷ったときは、自分から進んで質問・確認したり支援を求めたりする。 ○ 栄養のバランスを心がけた食事をする態度を身に付ける。 知識・理解 ○ 5大栄養素の名称や栄養素の三つの働きについて知る。 技能 ○ 手順表を活用し、一人で包丁やガスコンロを用いて簡単な調理をする技能を身に付ける。 4 単元指導計画(全10時間) 単元 ≪知る・考える≫ ≪やってみる≫ ≪振り返る≫ 構成 <1st チャレンジ> <振り返り> <2nd チャレンジ> 配時 第1時 第2時 第3時 第4・5時 第6時 第7・8時 第9時 第10時 ○単元の見通しを持つ。 ○他者から促される ○1st チャレンジでの ○他者からの促しや ○2nd チャレンジや単元を振り返 ○5大栄養素の名称や栄養素の三つ ことなく活動に取 活動を振り返り、 支援なしで、材料・ り、自分の成長を確認し、達 の働きについて知る。 り組み、材料・道 上手くできたとこ 道具カードや調理 成感や喜びを味わう。 目 ○調理道具の名称・用途を知る。 具カードや調理の ろやできなかった の手順表を見なが ○包丁や火の安全な使い方について 手順表を見て、一 ところを考えたり、 ら、一人で材料・ 標 知る。 人で材料・道具の 2nd チャレンジで 道具を準備し、包 ○献立や食材を自分で選択・決定したり、調 準備や調理を行い、 の留意点などを確 丁やガスコンロを 理の手順や必要な道具を考える。 必要に応じて教師 認したりする。 用いて安全に調理 に質問・確認や支 することができる。 援の要請を行う。 学習 ○本時の目標、学習活動・内容、活動の流れの確認 活動 ○単元計画の ○栄養素の ○道具の扱い ○調理実習① ○調理実習①の振り ○調理実習② ○調理実習②の ○表彰式 ・ 確認 学習 等の学習 返り ( 振り返り 振り返り(振 ○単元の振り返 内容 ・調理実習の計画(ワークシート作成) シート記入) り返りシート り (振り返 (献立) (材料) (手順と道具) ・審査結果の発表 記入) りシート記 ・課題等の確認 入) ○本時の振り返り(学習の記録用紙の記入)と次時の確認 セル ○単元計画表 フサ ○栄養素のプリント ○材料・道具カード ○調理実習①の振 ○材料・道具カード ○調理実習②の ○単元の振り返 ポー ○道具のプリント ○手順表(めくり式) り返りシート ○手順表 振り返りシー りシート トブ ○包丁や火の扱いに関するプリント ※生徒B・I:一覧式 ※一覧式・めくり式 ト ※達人認定書 ッ ク ○火加減や計量に関するプリント のうち使いやすい 内容 ○献立、材料、手順と道具のワークシート 方を生徒が選択 構成 ・学習の記録用紙 評価 ○行動観察 ○行動観察 ○行動観察 ○行動観察 ○行動観察 方法 ○ワークシート○学習の記録用紙 ○学習の記録用紙 ○振り返りシート ○学習の記録用紙○学習の記録用紙 ○振り返りシート○学習の記録用紙 5 本時(7・8/10) (1) 目標 ○ 他者からの促しや支援なしで、材料・道具カードや調理の手順表を見ながら、一人で材料・ 道具を準備し、包丁やガスコンロを用いて安全に調理することができる。 (2) 本時指導の考え方 前時の「振り返り」では、ほとんどの生徒が振り返りシートに記入することで、「ファースト・ チャレンジ」で上手くできたことやできなかったこと、目標が達成できたかを自分自身で振り返り、 達成感を味わったり楽しさを実感したりすることができていた。また、教師による審査の結果を聞
3 -いたり、注意事項などを書き込んだ付箋紙を調理の手順表に自分自身ではり付けたりすることで、 本時の「セカンド・チャレンジ」で、安全面や衛生面に留意しながら、よりおいしく、美しく、調 理したり盛り付けたりするために気を付けることを確認し、「今度はがんばる」など本時に対する 意欲が高まっているようであった。 本時では、教師からの促しや支援を受けることなく、一人で調理を進めることができるように、 調理の手順表に関する振り返りシートの記述や「ファースト・チャレンジ」での生徒からの質問等 を踏まえて、手順表のサイズを大きくする、絵を写真に変える、絵や写真を加える、火加減の調節 を矢印を用いて表現するなどの改善を行った。また、一覧式かめくり式のどちらがよいかについて も本人の希望を取り入れるなど、生徒の意見を反映させることで、生徒が手掛かりツールである手 順表を使いやすくした。学習環境については、「ファースト・チャレンジ」において道具の所在に 関する質問が多かったため、収納場所には道具の名称のみでなく写真をはることで、棚や引き出し に何が入っているか一目で分かるように工夫した。目標に関しては、本時は「セカンド・チャレン ジ」であるため、他者からの促しや支援を受けずに一人で材料・道具の準備や調理を進めることと する。 (3) 準備物 ①掲示物(調理実習の流れ、手の洗い方、ふきんの使い分け、審査基準) ②材料・道具カード ②手順表 ④調理道具 ⑤食材 (4) 学習展開 学習活動・内容 ○教師の支援 ※指導上の留意点 ◎評価(方法) 準備 1 学習の流れ等の確認 ○ 見通しが持てるよう、本時の学習の流れと目 ・教師の説明を聞く。 標を板書する、道具の収納場所に写真を貼るな ① ど学習環境を整えておく。 導 ○ 調理実習に対する意欲が高まるよう、掲示物 を用いて「調理の達人」の審査基準を明確に示 入 す。 ※ 材料・道具は、生徒の人数分用意しておく。 ※ 分からないときや判断に迷ったときには、自 分から、教師に質問・確認するよう伝える。 図1 材料・道具カード(表) 図2 材料・道具カード(裏) 図3 手順表(めくり式) 図 4 手 順 表 ( 一 覧 式 )
4 -2 調理実習② ○ 生徒の理解を促せるよう、材料・道具カード ◎ 材料・道具カードや ② ・材料・道具カードや手順 や手順表に、絵や写真を取り入れる。また、簡 手順表を活用しながら ③ 表を活用しながら、一人で 潔な言葉で表現する、番号や矢印を用いて順序 一人で調理することが ④ 材料・道具を準備し、調理 性を分かりやすくする、大切な言葉の色を変え できたか。(行動観察、⑤ や盛り付けを行う。 るなどの工夫を行う。 振り返りシート) 展 ○ 手順表の形式は、生徒自身に選択させる。 ◎ 活動に意欲的に取り ※ 後片付けまで時間内に終了できるよう、食材 組んでいるか。(行動 開 は、教師が事前に計量したり切り分けたりして 観察、振り返りシート) おく。できるだけ、日常の生活場面に近くなる ◎ 分からないときや判 よう保管場所は冷蔵庫と教師の調理台に分け 断に迷ったときに、自 る。 分から質問・確認でき ※ 危険な場合や技能面の指導を除いては、生徒 たか。(行動観察) から質問・確認があるまで、教師から指示や支 援を行わない見守るかかわりを心掛ける。 ま 4 本時の振り返り ※ 振り返りまで終了した生徒は、後片付けが終 ◎ 活動を振り返ること と ・学習の記録用紙の記入 了していない生徒の手伝いを行わせる。 ができたか。(学習の め 5 次時の確認 記録用紙)