第3学年 国語科学習指導案 指導者 T1 チャレンジコース T2 ステップアップコース 1 単元名 古典を楽しむ 学びて時にこれを習ふ -「論語」から- 2 指導観 ○ だれしも、心のよりどころとなる言葉をもつことはあるだろう。「己の欲せざるところ、人に施 すことなかれ」という一句を座右の銘とし、自己の戒めとしてきた人がいるかもしれない。そん な言葉の集積するところの一つとして「論語」がある。「論語」は、中国の孔子の言行および門人 や当時の人との問答を中心に、孔子の死後、何代かにわたって編集されたものである。日本に最 初に伝来した漢籍といわれ、日本人のものの考え方(倫理・思想・学問)の上に大きな影響を与 えてきた。中学三年というこの時期、生徒は、自分の将来についていろいろ考え、また、自分な りの考えを打ち出そうとする。三年間の古典学習の最後に「論語」に出会っておくことは、生徒 たちにとって、後々までの財の一つになるだろう。 ○ 生徒は、一年次に「矛盾」で、漢文特有の言い回しに慣れるため、音読・暗唱を中心とした学 習をした。二年次は、「漢詩の風景」で、五言絶句・七言絶句の漢詩を使って、訓点(返り点・送 り仮名・読み仮名)のついた訓読文を書き下し文に直して読む方法を学習した。しかし、学習の 途中や、直後のテストでは理解できていても、時間が経つと、日常生活の中で使っていない漢文 の言い回しはすぐに忘れてしまう傾向にあり、事前に行ったテストの結果を見ても、定着してい る生徒は少ない。正答率は、返り点なしの問題が52%、レ点だけの問題が 49%、一,二点だけ の問題が38%、両方つけた問題が5%であった。送り仮名を平仮名に直す、読み仮名がついてい るものは、漢字を書かずに平仮名の方を書く、歴史的仮名遣いはそのまま表記するなどの基本事 項もできていないものが多かった。 4 月に行われた全国学力・学習状況調査の結果から見ると、話の内容から必要な情報を聞きと ること、語句の意味を理解し、文脈の中で適切に使う問題の正答率が低かった。言葉への関心を 高め、言語感覚を豊かにするために、国語辞典や漢和辞典を使用する機会を意図的に設け、調べ たことを言語活動に生かしていく指導や、短期記憶で覚えたことを忘れず持続させる長期記憶を 鍛える指導が必要だと考える。 ○ 本単元では、漢文特有の文体に読み慣れることと、昔の人のものの見方や考え方を知ることで 自分のものの見方や考え方を深めることがねらいである。そのために、まず、言葉を贈ったり、 贈られたりした経験を想起させ、3月の卒業式までに、気に入った言葉を見つけることを意識さ せる。その材料として、古今の名言を紹介し、中でも和漢の学問・思想に大きな影響を与えてい る「論語」を今から学習することを伝え、意欲付けをする。次に、既習の漢文訓読の基礎事項が どの程度習得できているかを確認し、特につまずきが多いと予想される「返り点」の使い方がマ スターできるよう、習熟度別に少人数指導をする。その際、使用する学習プリントは、難易度を 段階的に上げていったものとし、問題の進み具合を見れば、どんなところでつまずいているかが
わかるようにしておく。訓読文を書き下し文に書き換える際は、併せて一斉音読も行い、読むこ とと書くことを連動させた指導を行う。さらに、語注を参考にした現代語訳の学習活動の後は、 書かれた内容から、どのような思いがこめられているのかを考えさせ、現代にも通じる願いや思 いがあることに気づかせ、自分の「座右の銘」を考えるときの一助とさせたい。 指導にあたっては,本年度の主題研究「学ぶ意欲を持った生徒の育成」の主旨を踏まえ,生徒 が意欲的に学習に取り組み,漢文訓読の知識・技能の定着を図るため,(1)単元構成の工夫(2) 1時間の授業づくりの工夫(3)指導方法・体制の工夫を行っていきたい。 (1)単元構成の工夫 ①「つかむ」段階・・・「やってみたい,学びたいという意欲付けをする。」 ・ 今までに人から贈ってもらった言葉で印象に残っているものを想起し、発表しあう。 ・ 卒業アルバムに書きたい、書いてもらいたい「座右の銘」を聞く。 ②「追究する」段階・・・「繰り返し指導と考える活動を仕組む。」 ・ 返り点の使い方を復習する。コース別に分け、個の学習と班での「学びあい」を通して,語順 を正しく並べ換え、訓読文を書き下し文に書き換えられるように練習する。 ③「まとめる」段階・・・「学習を振り返り,自分の目標達成を確認する場を仕組む。」 ・ まとめの練習問題で班別の教えあい学習を行う。単元末テストで理解度をチェックし,学習の 振り返りをさせ,必要に応じて補充学習を実施する。 (2)1時間の授業づくりの工夫 ①「つかむ」・・・めあて,学習の流れを提示する。 (学習のめあてが分かり,言葉や文字で表現できる。) ②「見通す」・・・教材教具を工夫し,学習の仕方について見通しを持たせ学習意欲を高める。 (学習の流れや方法が理解でき,ノートやプリントに書くことができる。) ③「追究」・・・繰り返し学習の場を設ける。(仕方がわかり,目標を立て自分の力で学習できる。) ・分かりやすい板書,正確な書き写し,思考を深める指導。 ・小刻みな段階的目標設定をする。 (学習プリントの工夫や復習プリントを使ったドリル学習を実施。) ④「まとめ」・・・振り返る場を設定する(学んだことを振り返り,言葉や文字で自己評価できる。) ・自己評価の実施 (3)指導方法・体制の工夫 ・ 必要に応じてTT指導と少人数指導をする。 ・ 理解の程度に応じた学習プリント(課題プリント)の実施。 3 指導目標 ① 昔の人の生き方や考え方について、感想を話し合ったり、文章にまとめたりさせる。(関心・ 意欲・態度) ② 「論語」の言葉を読み、孔子の人間の生き方についての観察や思索をとらえ、自分のものの 見方や考え方を深めさせる。(読む)
③ 音読を通して、漢文特有の文体に読み慣れる。(読む)(言語) 4 単元の評価規準 単元名「学びて時にこれを習ふ」 ア 国 語 へ の 関 心・意欲・態度 イ 話す・聞く能 力 ウ 書く能力 エ 読む能力 オ 言語につい ての知識・理解・ 技能 ① 孔子や「論語」 が中国や日本 に与えた影響 に興味をもつ。 ② 座右の銘や印 象に残る言葉 について、積極 的に述べるこ とができる。 ③ 友達の意見や 考えを尊重し て聞き,進んで 話し合いに参 加している。 ① 「論語」や孔 子の生き方へ の感想や意見 を話し合うこ とができる。 ② 「論語」の中 から、気に入 った言葉を選 び、暗唱する こ と が で き る。 ① 訓読文を書き 下し文に書き 換えることが できる。 ② 脚注を参考に して現代語訳 をすることが できる。 ③ 現代語訳を参 考にして、語 句の意味を補 いながら、そ れぞれの言葉 の内容をまと めることがで きる。 ④ 孔子の考え方 について、自 分なりに考え をまとめるこ とができる。 ① 書き下し文 を漢文特有 の言い回し に注意して 音読するこ とができる。 ② 訓読文を見 て音読する ことができ る。 ① 返 り 点 ( レ 点・一,二点・ 上、下点)の 使い方がわか る。 ② 訓 点 ( 返 り 点 ・ 送 り 仮 名 ・ 読 み 仮 名・句読点) や置き字につ いて、基本事 項を理解して いる。 5 指導計画 (総時数 4時間) 段 階 配 時 学習活動・内容 指導上の留意点 形態 評価の観点 学習型 つ か む 1 ① 今までに人から贈って もらった言葉で印象に 残っているものを想起 し、発表しあう。 ② 「論語」や孔子のこと ・ 小学校の卒業アルバムや寄せ 書きに書いてもらった言葉、尊 敬している人の名言、普段から 心の支えにしている言葉(座右 の銘)などの例を示すことで、 TT 一斉 ア-① ア-② 活用
に触れ、学習の最後に、 卒業アルバムに書きた い、書いてもらいたい 「座右の銘」をスピー チすることを予告す る。 ③ 漢文のきまりについ て、これまでに学習し た事柄を確認し、事前 テストをする。) ④ 解答し、次時のコース を決める。 想起しやすくする。 ・ 卒業までに、自分が気に入っ た言葉を見つけられるよう、こ の単元の終わりに現時点での 座右の銘を暗唱し、発表しあう ことを予告する。 ・ 送り仮名・読み仮名・返り点・ 白文・訓読文・書き下し文につ いて、基本事項がわかっている かを確認する。 ・どこが理解できていないかに応 じて、コースを選ばせる。 個 ウ-① オ-① オ-② 習得 追 究 1 選 択 本 時 コース別学習 <ステップアップコース> 漢文のきまりをもとに、返り 点の使い方・訓読文を書き下 し文に直すやり方を練習す る。 このコースで重点的にやる ことは、返り点の使い方をマ スターし、漢字の語順を正し く並べ換えることである。 ・ レ点・一,二点がついた場合、 漢字をどの順番に並び替えれば よいかが理解できていない生徒 を対象とする。 ・ 最初の練習問題には漢字を使わ ず、レ点・一,二点がついた場合 の語順を考えることだけに集中 させる。 ・ 返り点の使い方がわかったら、 訓読文を書き下し文に直す問題 へと進ませる。 ・ 解答をした後、わからなかった ところは、教え合いをする。 少 人 数 オ-① ウ-① オ-② ア-③ 習得
1 選 択 本 時 コース別学習 <チャレンジコース> 漢文のきまりをもとに、返り 点の使い方・訓読文を書き下 し文に直すやり方を練習す る。 このコースで重点的にやる ことは、訓読文を書き下し文 に直すやり方をマスターす ることである。 ・ 訓読文を書き下し文に直すやり 方を、段階を追って習得するコー スである。 ①漢字+送り仮名 ②漢字+送り仮名+読み仮名 ③漢字+送り仮名+読み仮名 +句読点 ④漢字+返り点+送り仮名 ⑤漢字+返り点+送り仮名+ 読み仮名 ⑥漢字+返り点+送り仮名+ 読み仮名+句読点 ・ 解答をした後、わからなかった ところは、教え合いをする。 少 人 数 ウ-① オ-① オ-② ア-③ 習得 1 ① 「論語」の4つの文章を 訓読文から書き下し文へ と書き換える。 ③ 教科書の書き下し文と 比較し、新出の「置き字」 について学習する。 ④ 音読し、語注を参考に現 代語訳する。 ⑤ どのような考えが述べ られているかをとらえ、 その考えに対する自分 の考えをまとめる。 ・ 最初は、教科書を見せずに書き 換えをさせる。初出の漢文でも、 訓点の使い方がわかっていれば 書き下し文に直せることを実感 させる。 ・ 「置き字」の例を挙げる。 ・ 直訳するだけではなく、孔子や 弟子たちが、どんなこと(人づく り・国づくり)を考えていたのか を想像させる。 TT 個 一斉 個 ウ-① オ-① オ-② エ-① エ-② ウ-② ウ-③ イ-① ウ-④ 習得 ま と め 1 ① 「論語」の中で、座右の 銘にしたい言葉を暗唱し、 それを発表しあう。 ・ 暗唱とその言葉を選んだ理由を 組み合わせて、スピーチ形式で発 表し合う。 TT 一斉 イ-② 活用
6 本時 平成21年11月13日(金) 5校時 (2/4) ステップアップコース(2F少人数教室) チャレンジコース (3年2組教室) (1) ねらい 訓読文を書き下し文に書き換えることができる。 (2) 評価 ねらいの達成度を測る授業終末時の形成的評価 評価内容 ①コースのねらいとする練習問題を解くことができる。 ②正しい書き方や自分の間違いに気づき,修正することができる。 評価方法 学習プリント 自己評価カード 様相観察 (3) 本時の指導観 漢文の訓読の際、一番難しいのが返り点によって語順がどう変わるかを正確にとらえることで ある。2年次に学習したこととはいえ、生徒はレ点と一,二点の使い方を混同しており、日常的 に使っていない漢文に対して苦手意識をもっている。そこで、本時では、返り点にあわせた語順 の並べ換えを重点的に学習するステップアップコースと、訓読文を書き下し文に書き換えるやり 方を、段階を追って訓練するチャレンジコースとに分け、少人数授業をすることにした。 まず、基本事項は例題を挙げて説明する。その際、生徒を前に出してやってみさせ、黒板を使 って手順を理解したかどうかを確認する。次に、個別に練習問題を解かせ、交換して採点させる。 さらに、間違ったところはお互いに教え合いをして、自分の課題克服に役立てる。 (4) 指導上の工夫 ① コース別の少人数授業にした。 ② 段階を追って理解が進むよう、課題を難易度の低いものから高いものへと配置し、どこで つまずいているかを生徒自身が把握しやすいようにした。 ③ 特に難しいと思われる返り点がついた時の語順の説明には、レ点・一、二点用のヒ ントカードを使用できるようにした。 (5) 準備 生徒:教科書・ノート・ファイル・学習プリント 教師:学習プリント・解答・掲示用語句カード・返り点ヒントカード・タイムタイマー
7 展開 <ステップアップコース> 分 学習活動・内容 支援・手立て 評価の観点・方 法 つ か む 5 1.めあてを確認する。 ・ このコースでは、特に返 り点がついたときの語順を マスターすることを意識さ せる。 ・ 語順がわかれば、訓読文 を書き下し文に書き換える のは、たやすいことを知ら せる。 見 通 す 5 5 10 2.返り点の使い方のきまりを確認する。 ・レ点 ・一、二点 3.練習問題を解く。 4.解答し、お互いに教え合いをする。 ・ 黒板に例題を提示し、生 徒に解かせながら確認をす る。 ・ わからない生徒には、返 り点のヒントカードを使わ せる。 オ-① ア-③ 追 究 5 5 10 5.訓読文を書き下し文に書き直すポイ ントを確認する。 6.練習問題を解く。 ①漢字+送り仮名 ②漢字+送り仮名+読み仮名 ③漢字+送り仮名+読み仮名+句読点 ④漢字+返り点+送り仮名 ⑤漢字+返り点+送り仮名+読み仮名 ⑥漢字+返り点+送り仮名+読み仮名 +句読点 7.解答し、お互いに教え合いをする。 ・ 机間指導をして、①~⑥ のどこでつまずいているか を把握する。 ・ つまずきに応じた対処法 を教え合う。 オ-① オ-② ア-③ エ-① エ-② ま と め 5 8.自己評価を書き、次時の予告を聞 く。 訓読文を書き下し文に書き換え られるようにしよう。 (返り点がついたときの、語順 をマスターしよう。)
<チャレンジコース> 分 学習活動・内容 支援・手立て 評価の観点・方 法 つ か む 5 1.めあてを確認する。 ・ 返り点のきまりを理解 し、語順がわかれば、訓 読文を書き下し文に書き 換えるのは、たやすいこ とを知らせる。 見 通 す 5 2.訓読文を書き下し文に書き直すポイ ントを確認する。 ①返り点に注意して、語順を確認する。 ②送り仮名は平仮名に直して漢字の下 につける。 ③読み仮名がついている漢字は平仮名 に置きかえて書く。 ④句読点や「」は、そのままつける。 ・ 黒板に例題を提示し、 生徒に解かせながら確認 をする。 ・ わからない生徒には、 返り点のヒントカードを 使わせる。 オ-① ア-③ 追 究 5 10 3.練習問題を解く。 ①漢字+送り仮名 ②漢字+送り仮名+読み仮名 ③漢字+送り仮名+読み仮名+句読点 ④漢字+返り点+送り仮名 ⑤漢字+返り点+送り仮名+読み仮名 ⑥漢字+返り点+送り仮名+読み仮名 +句読点 4.解答し、お互いに教え合いをする。 ・ 机間指導をして、①~⑥ のどこでつまずいているか を把握する。 ・ つまずきに応じた対処法 を教え合う。 オ-① オ-② ア-③ エ-① エ-② ま と め 5 8.自己評価を書き、次時の予告を聞 く。 訓読文を書き下し文に書き換え られるようにしよう。