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3年生共通試験 (数学) の10年

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3年生共通試験(数学)の10年

神長 保仁

(2009年11月27日受理)

1.はじめに 群馬工業高等専門学 (以下群馬高専あるいは本 ) で 3年生共通試験が始まって、今年でちょうど10年にな る。本稿では、3年生共通試験が、 設され、紆余曲折を 経て現在の形に収斂していく経緯を述べるとともに、過 去10年間の 3年生共通試験(数学)の試験結果を 析し、 その教育上の意義と今後の課題を検討したい。 3年生共通試験には数学だけではなく理科もあるが、 本稿では数学のことを中心に述べる。理科については、 いずれ適任者が書いてくれることを期待したい。ただし、 共通試験の一般論の部 は、理科にも当てはまるし、試 験 設から現在に至る経緯については、他教科の動向を 無視できないから、それらにも適宜言及する。 ところで、3年生共通試験に似た試験として、国立高等 専門学 機構(以下高専機構あるいは機構)が実施して いる学習到達度試験がある。学習到達度試験は国立高専 全体を対象に、平成18年度から毎年実施され、今年度(平 成21年度)で第 4回目を迎える。群馬高専の 3年生共通 試験は、機構の学習到達度試験に 6年先んじた試みであ る。 群馬高専の 3年生共通試験は、外部評価では先進的試 みとして高く評価されていると聞くし、ここ数年、他高 専の関係者からも問い合わせがある。しかし、従来は問 い合わせがあっても、文書による情報提供は難しかった。 本稿は、群馬高専以外の読者への情報提供も念頭におい て記述したい。 2.共通試験とは 3年生共通試験がどのような試験かを理解してもらう には、その特徴を列挙するのが手っ取り早い。 ① 3年生を対象とした出題範囲の広い試験 ② 数学と理科の 2科目で実施 ③ 扱いは学 行事 ④ 範囲は 1∼2年次に学んだ内容すべて ⑤ 基本的問題のみを出題 ⑥ 再試は 2回実施 ⑦ 合格しない者は 4年生に進級できない 3年生共通試験が導入される以前(平成11年度以前)は、 本 の試験といえば、前期および後期の中間試験と定期 試験、合計 4回だけであった。学生はこれを 5年間繰り 返して卒業していったわけである。しかし、中間試験・ 定期試験は、過去 2ヶ月くらいに学んだ事柄を出題する 範囲の狭い試験である。少し目端の利く学生なら、出題 される問題はほぼ予想でき、問題も基本的なものばかり だから、普段地道な学習を怠っていても、試験直前の一 夜漬けで何とかなることが多い。このため、入学当初は 高い学習意欲を持っていても、高専生活が長くなるに 従って、次第に目標を見失ってしまう学生が少なくな かった。 3年生共通試験は、範囲の広い試験を、中だるみしがち な 3年生に課すことで、 ① 1∼2年生に中間目標を与える ② 3年生に復習の機会を与え、学力の定着を図る ③ 4∼5年生の授業を質的に改善する ことを目指している。 現在、試験科目は数学と理科の 2科目で実施している が、これは参加表明をしている教科が、数学と理科の 2教 科であることによる。あとで述べるように、平成17年度 までは英語も参加していたが、現在は参加を取りやめて いる。また、専門科目は残念ながら一度も参加していな い。 3年生共通試験の最も重要な特徴は、それが進級規定 の一部になっていることであろう。群馬高専の学生は、 この試験に合格しない限り、4年生になれない。ちなみ に、共通試験の合否は数学と理科の平 点でなされるの ではなく、数学と理科の両方を、個別に合格することが 求められる。すなわち、仮に、数学か理科のどちらかが 不合格になれば、3年次の通常科目にすべて合格してい ても、原級留め置きになる。このため、再試験は年度内 に 2度実施している。 幸いなことに、現時点で 3年生共通試験が主たる原因 となって原級留め置きになった学生は 1人も存在しな *一般教科(自然科学)

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い。これは、後述するように、そうならないような工夫 をいくつもしているためであるが、担当教員の努力も無 視できない。3年生共通試験は、学生に復習の機会を与 え、普段の学習の質を改善することが主たる目的である。 学力の低い学生を選別し排除することを目的としたもの ではないから、本試験が原因で原級留置になった学生が 1人も出ていないという事実は喜ばしいことである。 3.共通試験のあゆみ ここでは、3年生共通試験が 設され、現在に至る過程 を述べる。 3.1 平成11年度(構想) 3年生共通試験のアイディアが の場(教務委員会)に 始めて現れたのは、平成11年 9 月である。一般教科(人 文)と一般教科(自然)の共同提案であった。ちなみに、 群馬高専では人文と自然は別の組織である。教務委員会 での議論を経て、話が当初の構想とは若干違う方向に進 むなど議論は紆余曲折したが、最終的には、「学力調査と いう形で実施する」ことが教務委員会で決まった。試験 は学 行事として実施されることになったため、試験監 督については学 全体の協力が得られることになった。 こうして、翌、平成12年度に第 1回目の 3年生共通試験 が実施された。 3.2 平成12年度(第1回共通試験) 第 1回共通試験は英語・数学・物理の 3教科で実施さ れた。当時は「理科」ではなく「物理」であった。試験 日は夏休みの最終日(8月31日)と決まった。この日に決 まったのは、中間試験や定期試験と干渉しないこと、夏 季休業中に勉強できること、3年生共通のまとまった時 間が確保しやすいこと、などが重視されたからである。 夏季休業中に学 行事があるのはおかしい、との意見が あったため、年次計画上は、3年生だけ 8月31日から後期 が始まることにした。第 1回共通試験実施前に、各教室 に掲示された教務主事名の文書を図-1に示す。また、数 学科名で掲示した文書を図-2に示す。他教科の例とし て、英語科名で掲示した文書も図-3に示す。 単に学力調査と伝えると、学生が余り勉強しないで受 ける可能性があるとの懸念から、試験結果は、英語・数 学・物理の成績に反映させる、ということにした。具体 的に何という科目にどういう割合で入れるかは科目側の 判断に任された。数学の場合、該当科目は数学 A I(内容 は偏微 ・重積 )と数学 B(内容は行列・行列式)の 2 科目があったが、数学 A I の成績に入れることにした。 (数学 Bにしなかったのは、それが非常勤講師の担当科 目だったからである。)とはいえ、数学 A I の担当者から すると、共通試験の成績をあまり多く反映させると、(再 試験の 平性なども含め)当該科目の成績評定に悪影響 があるため、実際に反映させた割合は、数学の場合、5% 程度であった(判断は担当教員に任された)。参 のため、 この年、実際に われた試験問題を、図-4に示す。試験 時間は HR に合わせて(現在も)50 である。 3.3 平成14年度(化学が参加) 平成13年度の第 2回共通試験は平成12年度の第 1回と ほぼ同様に実施された。平成13年度までは英語・数学・ 物理の 3教科で実施されたが、翌、平成14年度の第 3回 共通試験からは、これら 3教科に加え、化学が参加を表 明した。化学は同じ理科として、物理の試験の設問の一 つとして出題されることになった。これを受けて、平成 14年度から共通試験(物理)は共通試験(理科)に名称 図-1 第 1回共通試験実施前に掲示された文書 1 図-2 第 1回共通試験実施前に掲示された文書 2 図-3 第 1回共通試験実施前に掲示された文書 3

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変 されることになった。こうして平成14年度の第 3回 共通試験は、英語・数学・理科で実施された。 3.4 平成15年度(進級規定構想) 平成15年度の第 4回共通試験も含めると、平成15年度 の秋には共通試験のデータが 4年 集まっていた。これ らのデータは教務委員会に資料として提出された。試験 結果が示していたのは、当初から懸念されていたことと はいえ、やはり学生があまり勉強しないで受験している 傾向が見えたことである。また、いくら勉強しないで受 験しているとしても、試験の難易度を えると、学力の 定着率がとても低いように見えたことである。この結果 を受けて、教務委員会では共通試験を進級規定に盛り込 む案が浮上してきた。とはいえ、進級規定にすることに は多くの懸念も示された。 ① 法的に無理なのではないか ② 5年一貫の高専の特徴が損なわれる ③ 留年者が増える などである。①は本 の学生課長が直接文部科学省に出 向いて話を伺ったところ、全く問題ないということで あった。②の意見は多数ではなかったので、最大の問題 は③であった。これについては、過去 4年間の試験結果 を参 に、各教科が合格最低点を、それぞれ決めること になった。さらに、それでも合格できない学生のために、 再試験を複数回行うことになった。合格最低点について は、あまり低い点数にすると「それで良いと認めたこと になり良くない」との意見もあったが、最終的にはこの 方針に決まった。 過去 4年間のデータから、英語40点、数学15点、理科 20点を合格点にすると、毎年各科目あたり不合格者が30 名程度出ることが かっていた。ただしこれは、試験が 学力調査だったときの結果であり、試験が進級規定の一 部になれば点数はもう少し上がることが予想された。諸 事情を 慮の上、数学は結局、合格最低点を30点とした。 これは過去 5年間の共通試験(数学)の平 点とほぼ同 じである。 新規定の適用は次年度(平成16年度)入学者が 3年生 になったとき(平成18年度)からと決まった。 3.5 平成17年度(内規の整備) 続く平成16年度(第 5回)と17年度(第 6回)は、従 来どおり学力調査として英語・数学・理科の 3科目で実 施された。そして、17年度の末、いよいよ平成18年度の 試験(進級規定としての初の共通試験)の準備が始まっ た。進級規定の詳細を規定する内規は、平成15年度の段 階でほぼ決めてあったが、平成17年度に若干の手直しを して平成18年度を迎えた。最終的に われた内規の該当 部 を図-5に示す。 この平成17年度には想定外の問題も発生した。群馬高 専の 長が、吉沢晴行氏から現在の本間清氏に 代した のである。新しく着任した本間 長は、実施を目前に控 えていた進級規定としての 3年生共通試験に懸念を示し た。このとき、 長と科目教員の話し合いによって、共 通試験の「評点」と「素点」を明確に区別し、「評点」は あくまで合格点を60点とすることが決まった。また、「評 図-4 第 1回共通試験(数学)で 用した問題 図-5 平成18年度内規の 3年生共通試験部

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点」と「素点」の関係は各科目担当者の判断に委ねられ ることになった。数学では当初30点合格を えていたか ら、「素点30点」を「評点60点」に換算することにした(図 -6)。(この年、全ての教科の合格点がそれ以前の50点か ら60点に引き上げられた。これは、当時学 全体ですす めていた JABEE 対応の影響であった。) 3.6 平成18年度(進級規定初年度) この年度から英語は共通試験への参加を取りやめた。 このため、3年生共通試験は、数学と理科の 2科目での実 施となった。平成18年度は進級規定として初めての年 だったこともあり、数学・理科ともに不合格者を出さな いようにさまざまな工夫を凝らした。ここでは数学の場 合をみてみる。数学の場合はまず ① 早いうちに過去問を配布し(最新のものは除く)、 準備させる。 ② 6月の HR で最新の問題を本番同様に解かせる。 ③ HR 後半で解答を配布し、自己採点させる。 ④ 後日、日程をとって過去問の解説を行う。 という対応を取った。具体的には、当該クラスの「数学 A I」の授業担当者が、授業時間に平成13∼16年度の解答 付過去問を配布し(過去 4年 なのは印刷の都合)、平成 18年度の試験範囲・合格基準・進級規定などを説明した。 またその際、6月のホームルームの時間に昨年(平成17年 度)の過去問を、模擬試験としてやらせるので事前によ く勉強しておくように伝えた。さらに、6月のホームルー ムでは、担任に依頼して平成17年度の過去問をやらせた。 また、試験後は解答を配って自己採点させた。さらに、 夏休み直前の 7月 5日に、数学教員 1名が自由参加型の 補習を実施し、事前に配布してあった過去問の解説を 行った。 この平成18年度は、年明けて 1月に機構が実施する学 習到達度試験の第 1回目(この年は試行とされ、数学の み)も実施された。本 では、夏休み明けに 3年生共通 試験が行われており、学生からすると範囲の似通った試 験を秋と冬の 2回受けたことになる。 3.7 平成19年度以降 平成19∼21年度は平成18年度と同じく、数学と理科の 2教科で共通試験を実施した。もちろん進級規定として の実施である。なお、平成20年度までは、留年生は前年 度の合格を有効にしていた(ただし指導上は 2年目も共 通試験の受験をさせていた)。しかし、これらの学生が 2 年目の共通試験を欠席するなど、問題が多かったため、 平成21年度からは、前年度の合格は無効とされ、留年生 は改めて共通試験に合格しなければならないことになっ た。 話は変わるが、機構の学習到達度試験は平成19年度が 第 2回目であるが、この年から数学と物理の 2教科によ る実施になった。 4.共通試験(数学)の結果 3で述べたように、3年生共通試験(数学)は、それ が学力調査だった平成12年度から平成17年度までは評点 図-6 素点と評点の換算式(共通試験数学の場合) 表-1 共通試験の結果(素点) H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 平 点 34.0 31.7 33.7 28.8 37.1 29.2 49.4 48.2 34.6 45.4 最 高 点 100 95 95 75 100 95 100 100 85 94 最 低 点 0 0 0 0 5 0 0 4 0 5 標 準 偏 差 20.0 16.6 21.6 14.7 18.4 18.7 21.9 20.4 15.1 19.5 受 験 者 数 215 203 214 203 208 202 196 205 207 208 30点未満者数 109 100 106 109 86 111 35 37 82 47 同 上(割合) 50.7% 49.3% 49.5% 53.7% 41.3% 55.0% 17.9% 18.0% 39.6% 22.6%

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とは素点のことであった。しかし、進級規定になった平 成18年度以降は評点と素点は一致しない。本稿では共通 試験(数学)の結果の年度間の比較をしたいので、デー タはすべて素点に統一して示す。素点は、学生の学力に 比例した数値だから、学生の学力実態を正しく把握する にも素点のほうが 利である。 4.1 学年全体の結果 表-1は、第 1回から第10回まで、過去10年間の 3年生 共通試験の結果をまとめたものである。平成12年度から 平成17年度までは、学力調査だったから合否は特にない。 平成18年度以降は進級規定になっており、30点未満者が 不合格者に相当する。過去10年間で試験の出題方法・難 易度とも、ほとんど変わらないので、年度をまたいだ比 較が可能である。(厳密には、試験開始当時に比べると最 近の問題の難易度は若干上がっている。しかし、これは 毎年過去問を 開する関係であり、学生にとっての難易 度はほぼ一定と えてよい。) 試験得点と30点未満者の数の推移をグラフにしたもの を図-7と図-8に示す。平成20年度を除けば、平成17年度 以前は平 点が30点強、平成18年度以降は50点弱で推移 していることが かる。これは進級規定になっているか、 なっていないかで学生の取り組み方が違うことを示して いる。30点未満者の数で見るとこの傾向は一層はっきり する。平成17年度以前は約半数が30点未満だったが、平 成18年度以降は20%程度に激減している。平成20年度の み学力調査当時のような成績になっているが、原因は不 明である。あえて思い当たることを えてみると、平成 20年度の試験問題は、平成19年度以前のものより若干難 しかったかもしれない。そのため学生が面食らった可能 性がないとは言えない。とはいえ、平成21年度の問題の 難易度も平成20年度と大差はないはずだが、今度は学生 の学力が高いのか、あるいは前年度の問題を見ていて事 前に心の準備があったのか、再び例年の傾向に戻ってい る。したがって、現時点では、平成20年度の成績落ち込 みを、問題の難易度だけで説明するのは困難と えてい る。 4.2 得点 布 図-9∼図-18は、平成12年度の第 1回共通試験から平成 21年度の第10回共通試験までの、全受験者の得点 布を 示している。これらの図において、横軸の 0は 0点台(点 数が 1桁)を、10は10点台を示す。他も同様であるが、 100点は90点台に含めてある。縦軸は当該点数を取った人 数である。ここでも平成20年度だけ例外的な結果になっ ている。しかし、この年度を除けば、学生の得点 布は、 平成17年度以前(学力調査)と平成18年度以降(進級規 定)では明瞭な違いがある。この結果は、進級規定にし なければ教育効果はあまり上がらないことを示している ように思われる。 4.3 学科別の違い 図-19∼図-23に学科別の平 点の推移を示す。また、 図-24∼図-28に第10回共通試験(平成21年度)の学科別 得点 布を示す。ここではスペースの関係で他の年度の データは示さないが、 じて電子情報工学科と機械工学 科は学力の高い学生が多く、電子メディア工学科と物質 工学科は学生間の学力差が大きく、環境都市工学科は学 力の低い学生が多い、という傾向がある。 なお、図に示した年度(平成21年度)については、機 械工学科に学力が低い学生がかなりいるし、電子メディ ア工学科は学力のばらつきが少ないが、これはこの年度 の特徴である。 5.学習到達度試験(数学) 5.1 学習到達度試験 学習到達度試験は平成18年度に第 1回目が実施され、 本稿執筆時点ですでに 3回実施されている。ここでは、 学習到達度試験(数学)の結果を示し、共通試験(数学) 図-8 素点30点未満者の推移 図-7 試験得点(素点)の推移

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図-9 平成12年度 第 1回共通試験 得点 布 図-10 平成13年度 第 2回共通試験 得点 布 図-11 平成14年度 第 3回共通試験 得点 布 図-12 平成15年度 第 4回共通試験 得点 布 図-13 平成16年度 第 5回共通試験 得点 布 図-18 平成21年度 第10回共通試験 得点 布 図-17 平成20年度 第 9 回共通試験 得点 布 図-16 平成19年度 第 8回共通試験 得点 布 図-15 平成18年度 第 7回共通試験 得点 布 図-14 平成17年度 第 6回共通試験 得点 布

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図-24 第10回共通試験 機械工学科 得点 布 図-25 第10回共通試験 電子メディア工学科 得点 布 図-26 第10回共通試験 電子情報工学科 得点 布 図-27 第10回共通試験 物質工学科 得点 布 図-28 第10回共通試験 環境都市工学科 得点 布 図-23 平 点の推移 環境都市工学科 図-22 平 点の推移 物質工学科 図-21 平 点の推移 電子情報工学科 図-20 平 点の推移 電子メディア工学科 図-19 平 点の推移 機械工学科

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の結果と比較したい。 学習到達度試験(数学)は、機構が用意した10領域の 中から各高専が 6∼8領域を指定して学生に受けさせる 試験である。配点は 1領域あたり50点で、6領域を選ぶと 300点満点、8領域を選ぶと400点満点になる。本 が選ん だ領域を表-2に示す。○は選択、×は非選択を表す。領域 1∼8は 2年生までに学習する内容で、3年生共通試験の 範囲と重なる。一方、領域 9∼10は 3年生になってから学 習する(今まさに勉強中の)内容で、共通試験の範囲外 である。選択領域は毎年同じにすることが望ましいが、 現在は、前年度感じた問題点を翌年度修正することが続 いており、選択領域は毎年変わっている。 5.2 学習到達度試験の結果 学習到達度試験(数学)の結果を表-3に示す。また、 第 1回∼第 3回学習到達度試験の得点 布をそれぞれ図 -29∼図-31に示す。 かりやすさのため、得点は100点満 点に換算してある。この結果で目を引くのは、平成18年 度の平 点が飛びぬけて高く、得点 布も特異な形をし ていることである。この結果は全国トップクラスの成績 である。平成18年度の問題は教員の目から見て特に易し かった訳ではない。全国の平 点が本 の平 点同様に 高かった訳ではないこともそれを裏付けている。 本 の学生が良くできたと えるのが素直な解釈だ が、この結果が示すほど、この年度の学生と他年度の学 生に学力差があるとは信じがたい。実際、3年生共通試験 や普段の数学の成績はこの年度だけ飛び抜けて良くでき ているわけではない(ただし良い傾向はある)。平成18年 度がこれほど好成績である理由は不明である。 平成19年度と平成20年度の結果は、一転してがっかり させるものだが(ほぼ全国平 レベル)、点数も 布も もっともらしく、学生の学力水準を正しく反映している のはむしろこちらの可能性が高い。3年生共通試験の結 果とも整合している。学習到達度試験の学科別得点 布 表-2 群馬高専が指定した学習到達度試験の領域 領 域 H18 H19 H20 300 400 400 1.数と式の計算 ○ ○ ○ 2.方程式・不等式 ○ ○ ○ 3.関数とグラフ ○ ○ ○ 4.場合の数と数列 × ○ × 5.平面ベクトルの性質 ○ ○ ○ 6.微 ・積 の計算 ○ ○ ○ 7.微 ・積 の応用 ○ ○ ○ 8.空間ベクトル、行列の計算 × ○ ○ 9.行列の固有値と行列式 × × × 10.2変数関数の微 ・積 × × ○ 表-3 学習到達度試験の結果(100点満点換算) H18 H19 H20 平 点 71.3 50.4 49.7 最 高 点 100 94 99 最 低 点 12 4 8 標 準 偏 差 19.5 15.9 17.5 受 験 者 数 191 193 207 30点未満者数 6 19 26 同 上(割合) 3.1% 9.8% 12.6% 図-31 平成20年度学習到達度試験 得点 布 図-30 平成19年度学習到達度試験 得点 布 図-29 平成18年度学習到達度試験 得点 布

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は紙面の関係上省略するが、3年生共通試験と同様の傾 向を示している。 なお、学習到達度試験は数個の選択枝から正解を選ば せるマークシート方式、3年生共通試験は自 で計算し た結果を空欄に書かせる方式である。問題の難易度に大 差はないが、学生にとっては学習到達度試験より共通試 験の方が、ごまかしが利かない試験である。共通試験の 平 点が学習到達度試験(H18は除く)のそれより若干下 回るように見えなくもないが、それはこのあたりに原因 があるかもしれない。 6.共通試験と他教科の相関 次に、3年生共通試験で測られる学力と、それ以外の試 験で測られる学力にどれくらい相関があるかみてみよ う。表-4に共通試験と各種試験の間の相関係数を示す。 空欄は該当成績が(本稿執筆時点で)存在しないことを 示す。また、表中の略号は 数 A … 3年次数学 A I の成績(前期再試後) 全教科 … 3年次の全教科平 点(後期再試前) 3共 … 3年生共通試験(数学) 学到 … 学習到達度試験(数学) である。念のため説明しておくと、相関係数の数値は 0.0∼0.2 ほとんど相関がない 0.2∼0.4 やや相関がある 0.4∼0.7 かなり相関がある 0.7∼1.0 強い相関がある を意味する。 表-4には数 A と全教科の相関係数も参 のため載せ てある。予想通り、数 A と全教科は強い相関があること が かる。すなわち、数 A ができる学生は他の教科も良 い傾向がある。3共と数 A より、数 A と全教科の方が、 強い相関があることは注目に値する。3共は出題内容を 予想しにくい実力試験だからだと思われる。また、3共と 学到の相関は年によって大きくばらついていることが かる。学習到達度試験と共通試験は、同じ数学の実力試 験で、範囲も重なっているから、学生の取り組み方が同 様なら、高い相関を示しておかしくないと えられる。 実際にそうなっていないのは、学習到達度試験は成績に 関係ないため、真剣に取り組んでいない学生がかなりい るためであろう。 ところで、これらの計算に用いた 3共の成績は共通試 験の本試験の成績、しかも素点である。それに対して、 数 A の成績は平常点が加味されているし、さらに再試を 経ているため非常に学力の低い学生も(再試不合格者を 除き)一律60点になってしまっている。これらのことが 相関係数を引き下げる役割を果たしていることは念頭に おく必要がある。例えば、平成21年度の「3共&数 A」は、 数 A に再試前の成績を用いると相関係数は0.6555であ り、表-4の数値より相関係数が大きくなる。試験の素点 同士で相関係数を求めれば相関係数は表の数値よりさら に大きくなるに違いない。 試験相互の相関の詳細をみるため、図-32∼図-35に散 布図を示す。データは平成19年度のものを用いた。数学 A I の点数は再試後のものなので60点のところに不自然 な点の集中がある。参 のため、平成21年度の再試前の 数学 A I と共通試験との関係も図-36に示しておいた。図 -33と図-36は年度が違うので単純比較はできないが、両 者を比較すると、再試前のデータを用いた場合に相関係 数が大きくなる理由が かる。 7.まとめと今後の課題 7.1 不合格者と再試験 平成18年度に共通試験が進級規定になってから、現在 まで 3回共通試験を実施しているが、共通試験が原因と なって原級留め置き(ないし退学)になった学生は存在 しない。これは再試験で全員合格しているためである。 ここでは再試験の様子をまとめておく。 まず平成18年度。この年は本試験不合格者が、欠席者 も含め38名いた。うち、31名は 1回目の再試験で合格し、 残りの 7名も 2回目の再試験で合格した。 表-4 共通試験と各種試験の間の相関係数 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 数 A&全教科 0.8305 0.8674 0.8796 0.8118 0.7684 0.7984 3共&全教科 0.6134 0.6357 0.6310 0.7040 0.6668 0.5696 3共&数 A 0.6353 0.6720 0.6940 0.6844 0.6151 0.6339 0.6410 3共&学到 0.6016 0.7350 0.4798 学到&数 A 0.5251 0.5372 0.4697

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次に平成19年度。この年は本試験不合格者が、欠席者 も含め37名いた。この中には前年度合格者(留年生)3名 が含まれており、これを除いた34名が再試に回った。こ のうち、28名は 1回目の再試験で合格し、残りの 6名も 2回目の再試験で合格した。 最後に平成20年度。この年は本試験不合格者が、欠席 者も含め86名いた。この中には前年度合格者13名が含ま れており、これを除いた73名が再試に回った。このうち、 59名は 1回目の再試験で合格し、2回目の再試験で13名 が合格した。残る 1名は再試験欠席者で、それも追試験 で合格した。 7.2 今後の課題 3年生共通試験の結果をみると、進級規定にしない場 合、多くの学生はあまり勉強してこないことが かる。 逆に言えば、現在の共通試験は進級規定になっており、 これがなかったころに比べると学生は確実に勉強してい るといえる。ただ、素点30点で合格という基準は、現在 の目で見ると、低すぎるように感じる。実際、年度末に 7科目も 8科目も不合格になって、どう えても進級で きない学生でも例外なく合格しているし、一方で、数学 A I で満点近い点数を取っている学生で、かなり力があ ると思われる学生の中にも、共通試験では30点を少し超 えた程度しかとっていないケースが時折見られる。後者 は当該学生にとって、30点がハードルに見えていないこ とを示しているのではなかろうか。図-4に第 1回共通試 験の問題を示したとおり、共通試験の出題レベルは極め て基本的である。ここまで基本的な試験で、再試を 2回 もやるのに、30点合格がやっと、というのは普通高 の 常識からかけ離れていると思われる。学生の能力を引き 出すためにも、今後は合格基準を上げていくべきであろ う。最終目標は、図-6のような変換をせず、素点のまま 60点くらいを取ってもらうことであるが、当面は少しず つ点数を引き上げて学生の意識改革をしていく必要があ ると思われる。 図-34 平成19年度 3共&学到 散布図 図-35 平成19年度 学到&数 A 散布図 図-36 平成21年度 3共&数 A(再試前) 散布図 図-33 平成19年度 3共&数 A 散布図 図-32 平成19年度 3共&全教科 散布図

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The last decade of the common examination

of mathematics for the 3

rd

grade students

Yasuhito KAMINAGA

The common examination of mathematics for the 3 grade students in Gunma Kosen, who correspond to the 12 grade students of high school in the USA,has been carried out for ten years. The examination distinguishes itself from other traditional examinations done in Kosen to cover a wide range of topics in mathematics. In the present paper,the history of the common examination is summarized, and the results of the examination for the last decade are analyzed. Finally, the future problem is discussed.

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