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エジプト -- スポーツはスポーツクラブで (特集 途上国・新興国のスポーツ)

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Academic year: 2021

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エジプト -- スポーツはスポーツクラブで (特集

途上国・新興国のスポーツ)

著者

土屋 一樹

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

237

ページ

30-31

発行年

2015-06

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00003189

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アジ研ワールド・トレンド No.237(2015. 7)  

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  エ ジ プ ト で 最 も 人 気 の あ る ス ポ ー ツ は サ ッ カ ー で あ る。 代 表 チームはアフリカ杯で最多となる 七回の優勝を誇る強豪で、最近で は二〇〇六~一〇年に三連覇を達 成した。このところの世界ランキ ングは五〇位前後だが、二〇一〇 年には一時九位を記録した。   しかしながら、ワールドカップ には二度出場したのみで、前回の 出場は一九九〇年イタリア大会と 二五年前だった。国民の熱狂的な 応援も実らず、近年は毎回あと一 歩のところでの予選敗退が続いて いる。   国内のサッカーリーグは、六〇 年以上の歴史があり、現在は二〇 チームでトップリーグを構成して いる。国内リーグでは、カイロを 本拠地とするアハリーと、カイロ に隣接するギザをホームとするザ マーレクが人気を二分している。

 

エジプト

土屋

  一樹

❖特集❖

途上国・新興国のスポーツ

いずれもアフリカを代表するクラ ブ チ ー ム で も あ り、 ア フ リ カ・ チャンピオンズリーグにおいて、 アハリーは最多の八回、ザマーレ クはそれに次ぐ五回の優勝経験を 持つ。   アハリーとザマーレクの対決は カイロ ・ ダービーと呼ばれ、最も 注目を集める伝統の一戦である。 その模様はエジプト国内のみなら ず、多くの中東諸国にも生中継さ れる。試合が始まる頃になると、 カイロの街中は交通量が減り、代 わりにテレビ観戦をする人で喫茶 店がごった返す。試合後は、勝っ たチームのファンがクラクション を鳴らしながら歓喜のパレードを する光景をよくみかける。   両 チ ー ム に は 熱 狂 的 な サ ポ ー ター組織がある。公式ファンクラ ブに飽き足りない若者たちが二〇 〇〇年代なかばに結成した組織で、 固 い 結 束 と 過 激 な 応 援 で 有 名 に なった。彼らは、サポーター集団 同士だけでなく、スタジアムに派 遣される警官隊とも衝突を繰り返 した。強権的な警官隊を敵視し、 たびたび乱闘騒ぎを起こしている。 スタジアムで警官隊に立ち向かっ た 経 験 は、 「 一 月 二 五 日 革 命 」 に おいて大いに役立つこととなった。   二〇一一年一月の大規模抗議デ モにおいて、アハリーとザマーレ クの熱狂的サポーター集団はデモ 隊の最前線に立ち警官隊と対峙し た。警官隊に対抗した経験をもつ 唯一の集団として、抗議デモに参 加した市民の盾となったのである。 このときばかりは、日ごろはライ バル関係にある両チームのサポー ター組織が連携して警官隊に立ち はだかった。エジプト国民として、 ムバーラク体制という共通の敵に 挑んだのである。   サッカー観戦に熱狂するエジプ ト人を目にする機会は多いが、一 般のエジプト人がサッカーをして いる光景をみかけることはほとん どない。サッカーに限らず、カイ ロの街中でスポーツをする人をみ ることはまれである。そもそも公 園や空き地がない。市民が利用す るような公共スポーツ施設もない。 道路は路上駐車と凹凸がひどくて ジョギングもできない。カイロの スポーツ環境は劣悪で、気軽にス ポーツを楽しむことは難しい。   もっとも、お金があれば話は別 だ。カイロには会員制スポーツク ラブが点在し、そのなかはスポー ツ天国なのである。多くのクラブ は、 市 街 地 に あ り な が ら、 サ ッ カーコート、テニスコート、体育 館、武道場、ジョギングコース、 スイミングプールなどを備え、趣 味で楽しむ人からプロを目指す人 まで、あらゆるレベルの老若男女 がスポーツに励んでいる。   たとえば、最も有名なスポーツ クラブのひとつゲジーラ・スポー ツクラブは、一八八二年に駐在イ ギリス軍の施設として設立された。 イギリス軍が撤退した後に国有化 されるなど、当初よりも規模は縮

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  アジ研ワールド・トレンド No.237(2015. 7) 小されたものの、いまでもゴルフ コースやポロ競技場までも持つ。 現在の会員数は四万三〇〇〇世帯。 終身会費は一人あたり三〇〇万円 とエジプトの一人当たりGDPの 一〇倍近い。   その他にも、ナイル川にヨット ハーバーを持つクラブ、射撃場を 備えるクラブなど、カイロには多 様な施設を持つ伝統的なスポーツ クラブがいくつもある。こうした スポーツクラブの会員であること は、上流階級の証となっている。   スポーツクラブには、運動施設 以外にも、レストラン、カフェ、 ヘアサロン、映画館、モスク、子 ども向け遊戯場などが設置されて いる。クラブのなかはカイロの喧 騒とは無縁の平穏で快適な空間が 広がっており、会員の社交の場に もなっている。   カイロのスポーツクラブは、こ れ ま で に 多 く の 競 技 で 世 界 レ ベ ル の 選 手 を 輩 出 し て い る。 な か で も 活 躍 目 覚 ま し い の が ス カ ッ シ ュ で あ る。 現 在 の 世 界 ラ ン キ ン グ を み る と、 男 子 は 世 界 ラ ン ク 一 位 を は じ め 上 位 一 〇 人 の う ち 五 人、 女 子 も 世 界 ラ ン ク 二 位 を 含 む 四 人 が エ ジ プ ト 人 で あ る。 現 在 の エ ジ プ ト は ス カ ッ シ ュ 大 国 な のである。   エ ジ プ ト で ス カ ッ シ ュ を 始 め た のは、二〇世紀初めのゲジーラ・ スポーツクラブのイギリス軍将校 であった。その後、スポーツクラ ブに出入りしていたエジプト人に も広まり、一九四〇年代には、ゲ ジーラ・スポーツクラブで腕を磨 いたエジプト人プレイヤーが全英 オープンで優勝するなど、エジプ トはスカッシュの強豪国となった。   一九五〇年代以降は、政治状況 の変化もあり、エジプト人プレイ ヤーは長らくスカッシュの国際舞 台から遠ざかっていたが、一九九 〇 年 代 に 再 び 国 際 大 会 の 常 連 と なった。カイロのスポーツクラブ で育ったプレイヤーが国際大会で 好成績を収めるようになったので ある。一九九六年からはエジプト でも国際大会が開催されるように なった。ピラミッドの前に設置さ れた屋外特設コートは、幻想的な 雰 囲 気 と と も に、 エ ジ プ ト の ス カッシュ人気を体現しているかの ようであった。スカッシュはサッ カーに次ぐ人気スポーツであり、 スポーツクラブに通う多くの子ど もを引き付けている。   スポーツクラブでは、サッカー やスカッシュといった球技だけで なく、空手、合気道、柔道、テコ ンドーなどの武道も盛んである。 たとえば空手は、一九七〇年代初 めにブルース・リーの映画をきっ かけにエジプトでも人気が高まっ た。当初はおもにスポーツクラブ で教えられていたが、いまでは全 国に一〇〇〇カ所以上の空手道場 がある。エジプト政府による普及 政策によって、例外的に、空手は スポーツクラブを超えて広がった のである。   国際試合でのエジプト人選手の 活躍も目立つ。二〇一四年の空手 世界選手権では男女ともに複数の メダルを獲得し、世界空手連盟の 国別ランキングでエジプトは六位 となっている。今年二月には世界 空手リーグの第三戦がエジプトで 開催され、多くのエジプト人選手 が好成績を収めた。   エジプトでは、伝統的にスポー ツ は ス ポ ー ツ ク ラ ブ で す る も の だった。その傾向は現在も変わり ない。ほとんどのスポーツはいま も富裕層のものであり、多くの国 民にとってスポーツは観戦するも のとなっている。エジプトにはい まだ大きなスポーツ格差が存在し ている。 ( つ ち や   い ち き / ア ジ ア 経 済 研 究所   中東研究グループ)

参照

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出版者 日本貿易振興機構アジア経済研究所/Institute of Developing Economies (IDE‑JETRO) .

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