• 検索結果がありません。

国際協力の指標 (すぐに役立つ開発指標の話 第22回)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "国際協力の指標 (すぐに役立つ開発指標の話 第22回)"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

国際協力の指標 (すぐに役立つ開発指標の話 第22

回)

著者

野上 裕生

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

193

ページ

66-67

発行年

2011-10

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00004141

(2)

66

アジ研ワールド・トレンド No.193 (2011. 10) ●グラントエレメント   開発途上国への協力に関わる 資 金 に は 政 府 開 発 援 助( O D A )、 そ れ 以 外 の 政 府 資 金 ( Other Official Flows : O O F ) がある。このなかには無償のも のや返済の必要な借款が含まれ ているので、全体として途上国 に対してどのくらいやさしい条 件であるか(譲許条件)を評価 するのはなかなか難しい。そこ で O E C D の 開 発 援 助 委 員 会 ( D A C ) は 一 九 六 八 年 に 開 発 途上国への資金協力の借款条件 の譲許条件の程度を示すひとつ の指標としてグラントエレメン ト( Grant Element ) と い う 概 念を提示した。グラントエレメ ントの計算方法は 「基本公式」 を 参照されたい。返済額がゼロな らばグラントエレメントは一〇 〇%になるし、この値が二五% 以上であることが政府開発援助 の要件のひとつになる。 これは、 ODAは開発途上国の発展を目 的 に し た も の で あ る か ら で あ る。 グ ラ ン ト エ レ メ ン ト が 二 五%に達しない開発途上国向け 融資には輸出信用(自国内で生 産された設備等の輸出や自国か ら開発途上国への技術の提供に 必要な資金の融資など)や国際 機 関 に 対 す る 融 資 な ど が あ る。 グラントとは元本や利子などの 返済義務を課さずに供与する援 助であるが、グラントエレメン トは借款の場合にどの程度、グ ラ ン ト の 供 与 条 件 に 近 い か を 示 す も の で あ る 。 借 款 条 件 の 緩 や かさを示す指標であるグラント エレメントによって償還期間や 据え置き期間、 金利、 借款の通貨 建てなどが異なる有償援助案件 の譲許性について案件間の比較 ができるようになる。グラント エレメントの基本公式や数値例 にあるように、借款の償還期間 や 据 え 置 き 期 間 が 長 い ほ ど グ ラ ン ト エ レ メ ン ト は 大 き く な る 。 ●開発貢献指数   先進国が援助に加えて貿易や 投資など全ての政策で一貫して 途上国の開発支援に前向きであ る か を 評 価 し な く て は な ら な い、という考え方が広まってき た。 こ の よ う な 流 れ を 受 け て、 ワシントンD. C. に拠点がある シ ン ク タ ン ク、 世 界 開 発 セ ン ターは二〇〇三年から先進国の 対外政策を、援助以外の分野も 含めて途上国の開発支援になっ ているのか、という問題意識か ら 格 付 け し た 開 発 貢 献 指 数 ( Co m m itm en t to D ev elo pm en t Index : CDI) を公表してきた。 CDIは主要な先進国を対象と し て 援 助、 貿 易、 投 資、 移 民、 平 和 維 持 活 動、 環 境、 技 術 の 七 つ の 分 野 に そ れ ぞ れ 独 立 し た ス コ ア を 作 成 し、 そ の 単 純 平 均 を と る こ と に よ っ て 総 合 得 点 を 算 出 し て い る。 C D I は、 そ の 計 算 方 法 が 頻 繁 に 改 定 さ れ て い て 要 約 す る の が 難 し い が、 個 々 の 領 域 の 指 標 に つ い て お お ま か に 述 べ れ ば、 以 下 の よ う に な っ て い る。 援 助 : O D A / G D P た だ し 援 助 実 行 に と も な う 行 政 コ ス ト は 差 し 引 き、 「 ひ も 付 き 」 援 助 は 二 〇 % だ け ス コ ア を 減 ず る。 借 款 の 場 合 に は 過 去 の 債 務 に 対 す る元本 ・ 金利返済を差し引く。 最貧国やガバナンスの良好な 国へのODAには高いウェイ トを付ける。 貿易 :開発途上国からの輸入 に対する貿易障壁(関税、輸 入数量割当、国内生産者に対 する補助金)を関税等価値に 直したもの(七五%のウェイ ト) 、途上国(非DAC諸国) からの輸入の全輸入に対する 比重(二五%のウェイト) 。 投資 :海外直接投資等が途上 国の発展にどのくらい役立っ

すぐに役立つ開発指標の話

第22回

Gra

nt E

lem

en

t a

nd

C

om

m

itm

en

t to

D

eve

lop

m

en

t In

de

x

野上

裕生

基本公式 グラントエレメント(GE)は以下のように求められる。 GE= 融資額-元本と金利返済の現在価値 融資額 ここで現在価値とは将来のお金(の流れ)の価値を、今の時 点で評価したもので、1年間の金利が10%の時100円を貯金 すると1年後には110円になるので、1年後の100円はいまの 時点では100/(1.0+0.1)、約91円の価値を持つと考えられる。 現在価値の計算で利用される利子率は「割引率」と呼ばれて いる。グラントエレメントの割引率は10%に設定されている。

(3)

67

アジ研ワールド・トレンド No.193 (2011. 10) ているかについて対象先進国 の概要をチェックしたもの。 移民 :移民や難民の受け入れ に関する様々な指標を集計し たもの。 安 全 保 障( 平 和 維 持 活 動 ): 国連の平和維持活動等にどの く ら い 貢 献 し て い る か を チェックしたもの。 環境 :地球環境の保全に対す る貢献度をチェックしたもの で、全体の六〇%は気候変動 問題、一〇%は漁業、三〇% は生物多様性と地球生態系の 問題に関するものである。   ま た 二 〇 〇 六 年 の 改 定 で は 「 技 術 」 に 関 す る 指 標 が 加 え ら れている。それは政府による研 究開発支援(ただし軍事技術は 割り引かれる)や知的所有権政 策がどの程度まで制約的である か(特許など)を評価したもの である。 ●CDIの問題点   表は世界開発センターのホー ムページから入手した資料に基 い て、 長 年 上 位 に あ っ た デ ン マ ー ク と 下 位 に あ る こ と が 多 かった日本のCDIを比較した ものである。ただ、CDIには 批判もある。たとえば貧困国へ の無償援助は高く評価される傾 向にあるのに途上国への貸し付 けは低く評価されるので、贈与 よりも借款の多かった日本は相 対的に低い順位を付けられてし まう。どのような指標も、それ は現実の一側面を切り取ったも のであることには注意しなくて はならない。 ( の が み   ひ ろ き / ア ジ ア 経 済 研究所   開発研究センター) 《参考文献》 ODAやOOF、グラントエレ メントに関する解説は白井早百 里[ 二 〇 〇 五 ]『 マ ク ロ 開 発 経 済学:対外援助の新潮流』有斐 閣、六八―六九ページ、および 吉 川 智 教[ 一 九 九 三 ]「 円 高 に より一九七〇年代の円借款のグ ラント・エレメントは大幅に減 少する」 『国際開発研究』 第二巻、 第 二 号、 七 五 ― 八 五 ペ ー ジ 等 を 参 照 し た。 C D I は Ro od m an , D av id [ 20 10 ] T he Co m m itm en t t o D ev elo pm en t In de x: 20 10 E dit io n, Te ch nic al Pa pe r, W as hin gto n D .C . C en te r for Global Development ( 世 界 開 発 セ ン タ ー( Center for Glo -bal Development ) の ホ ー ム ペ ー ジ http://www .cgdev .org/ se cti on /in itia tiv es /_ ac tiv e/ cd i/ inside か ら 二 〇 一 一 年 七 月 五 日 ダ ウ ン ロ ー ド し た )、 国 際 開 発 ジ ャ ー ナ ル 社[ 二 〇 〇 四 ]『 国 際 協 力 用 語 集( 第 三 版 )』 国 際 開発ジャーナル社、および小浜 裕久・澤田康幸・高野久紀・池 上 宗 信[ 二 〇 〇 四 ]「 開 発 貢 献 度 指 標 ( C om m itm en t t o Development Index : C D I ) の 再 検 討 」、 FASID Discussion Paper Number 1 、等を参照した。

表 開発貢献指標(Commitment to Development Index:CDI) デンマーク 年 援助 貿易 投資 移民 環境 安全保障 技術 CDI 2010 13.1 5.9 4.7 5.7 6.3 6.2 5.7 6.8 日本 年 援助 貿易 投資 移民 環境 安全保障 技術 CDI 2010 1.1 2.4 4.6 1.8 5.2 2.2 6.0 3.3 (注)CDIは上記7項目の評点を単純平均したものである。

(出所) 世界開発センター(Center for Global Development)のホームページ (http:ww.cgdev.org/section/initiatives/_active/_cdi2006/inside、および http:ww.cgdev.org/section/initiatives/_active/_cdi/、からインターネット を通じて入手した資料から筆者作成(2011年5月6日および6月29日、7月5 日アクセス)。 グラントエレメントの数値例 今、利子率はゼロ、据え置き期間1、償還 期間が4、資金の割引率が10%であるとすると、1単位の融資のグラントエ レメントは以下のようになる。元本を償還期間から据え置き期間をのぞい た期間(=3)の間に均等に返済すると、この融資の返済額の現在価値は これは25%に達しないのでODAの要件を満たさない。そこで償還期間を5 に延長すると、1単位の融資の返済額のグラントエレメントは これは25%に達しているのでODAの要件を満たしている。このように償還 期間や据え置き期間を長くすれば、その借款のグラントエレメントは大き くなる。

表 開発貢献指標 (Commitment to Development Index:CDI)

参照

関連したドキュメント

第?部 国際化する中国経済 第3章 地域発展戦略と 外資・外国援助の役割.

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア 経済研究所 / Institute of Developing.

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア 経済研究所 / Institute of Developing.

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア 経済研究所 / Institute of Developing.

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア 経済研究所 / Institute of Developing.

題名、 発表・発行掲載誌名、 発表・発行年月、 連名者(申請者含む) Hiroyuki Kubo, Yasushi Ishibashi, Akinobu Maejima, Shigeo Morishima, "Synthesizing Facial

 4 Barro and Lee 1993, Easterly and Levine 1997, Sachs and Warner 1997, Collier and Gunning 1997, 1999, Barro 1997, Easterly 2001, 2006, Collier 2008?.  5

取り組みの進捗を測る指標(施策指標) 指標の名称 市内での産業活動が活発 に行われていると感じて いる市民の割合