Title
ペイトンにおける費用・収益の本質(下)
Author(s)
奥山, 正剛
Citation
沖大経済論叢 = OKIDAI KEIZAI RONSO, 9(1): 1-15
Issue Date
1984-10-31
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/6721
ペイ トンにおける費用 ・収益の本質 (下 )
奥
山
正
剛
1 は じ め に 2 16年 にお ける損益勘定の意義 3 18年 か ら22年 への変遷 4 補助勘定の必要性 5 経営 内にお ける資産価値の流れ 以上前号 以下本号 6 費絹 と収益 との対応 7 収益 の本質定義 8 費朋の本質定義 9 結 び6
費用 と収 益 との 対応 以上 に述べたよ うに、ペ イ トンにおいては費剛 ま資産の哨戒、企業外への消 失 として把 え られてい るoしか し、 22年 における費喝についての説明は これだ けで終 わる もの ではない。つ ま り、収益 との対応思考 にまで及 ばな ければな ら ない。 あ る見解 によれば、売上取引 は、商品 をそれ と同価値の現金 もしくは受取勘 定 との交換取 引であ る。 しか しなが ら、この商品の売上原価 は購入 された財貨 ・ 鞘役か ら成 る ものであ り、 これ を超過す る資産価値 を売上の完遂 に先行 して認 識す ることは良 き会 計実務 とは考 え られない。換言すれば、売上の結果 として生 じる純利益すなわち総持分の増加、 これは企業 自身の特定の経済的機能に対 す る報酬 と考 え られてい るのだが、 これは,通常は製品の最終的販売に先ん じ て、認識 され る ものではない。 したが って、売上時 に受取 る財貨は売上時に売上 原価 として含 まれた資産よ りも利益分 だけ超過す る。換言すれば、売上取引に は、純利益 ・総持分の増加が含 まれているとペイ トンは述べ る組.33 つ ま り、ここではペイ トンは利益の本質 をいわゆる生産費説に基づいて主張 してい ることと、 さらに、売上収益認識を実現主義に基づ くことを主張 してい ることとが理解 で きる。 この点、 もう少 し説明を敷街 してみよ う。 会計専門家は、原価は累積す ると仮定 している。すなわ ち、製造過程 におい て利鞘 され る財貨の価 値は徐々に消費 され、仕掛品 に付着 してい くと仮定 して いる。 しか しなが ら、 この仮定 は、特定の企 業の観点か らす る原価 にのみ限定 されてお り、 この数値 と、買手にとっての原価つま り販売価格 との間のマージ ンについては無視 されてい る。換言すれば、原価 は徐々に累積 してい くが、純 利益 は、 ある特定時点、通常 は売上時 に満開 とな って突然に出現すると会計専 門家は考 えているのである
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この点 について、ペ イ トンは経済学 と会計学 との差異 を説明す る。 特定企業に とっての会計上の費鞘は経済学 にい う生産費 と全 く異な っている。 経済学者は価格決定上の原価、購入者にとっての原価 を言 っているのであ り、 この立場 か らすれば生産費 と販売価格は本質的には等 しい。 この意味で生産費 は限界生産者の支出 と彼へ の報酬 とを含んでい る。か くして、経済学者は企業 の純利益は本質的な生産費であ り、 もし生産が満足に継続 されてい くべ きなら ば、償われねばな らない要素だ と考 えてい る。 これに対 し、会計学では購入 さ れた財貨 ・開役の費消のみを もって費鞘とし、資本開役あるいは経営朋役とい う形 で企業自身によって提供 された鞘役の経済的価値を費閏 として表示するよ う理論は組立て られてはいない。勘定 は費鞘 と収益との間の残余 としての差額 を開示す るよ う組織立て られている。 この価 値の差額 ・純利益は特定の取引に 係わ って出現す るのであ り、徐々に生 じる ものではない と考 えられてい る。つ ま り、購入 された財貨 ・開役 は着 々と消費 され、費脚こ変化 してい く。 しかし、 企業 またその所有者によ って提供 された開役は完成品の売上時にのみ生 じると仮定 されてい る
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会計の こうした立場 について、ペ イ トンは以下のよ うに理由を述べ る。 会計 は特定の企業を扱 うものである。 それ故、会計専門家 は特定の企業の所 有主 と経営者の観点 を採朋せねばな らない。所有主の観点か らすれば、生起 し た原価つ ま り購入されT=財貨 ・鞘役 は企業 自身によ って暗黙の うちに提供 され た特定の鞘役 とは全 く異な った性格の ものである。企業 は企業 自身の開役を購 入す ることはない。 それ故、それ らの価値は現実 に取得 した もの として記帳さ れ るべ きではない.経営運営上の費鞘 と報酬 とは所有主の立場か ら全 く異なっ た ものなのである聖
ここでペイ トンは利益 を生産費説 に従が って本質規定を行な っている点が注 意 され るべ きだ。つ ま り、ペ イ トンにおいては、企業 は長期資本提供者 (株主 と社債権者 )によ って構成 され るもの と考え られてお り、彼 らによ って提供 さ れる資本鞘役あるいは彼 らを代表す る経営者の提供す る経営 鞘役は、企業 自身 の提供す る朋役であ り、 こうした鞘役 に対する対価 ・報酬 は企業利益を構成す るの である。 そのため、企業利益 は投資家の伺役の価格つま りオーナーシップ の機 能の価値 一 経営、資本尉役、危険負担等々 - を示 している餌 42と考え られ、それは決 して原価 として記帳 され ることのない、提供 された鞘役の対価 印43なのである. つ ま り、経済学 者は財の供給価格 を構成す るすべての もの、それは生産の全 要素-の対価 か ら成 るのであるが、それ を原価 として考 えるのに対 し、会計専 門家は企業の構成 員によ って提供 され る生産要素 と外部者によって提供 される 生産 要素 とを明確に区別 し、後者への報酬は企業 に とっての原価 であ り、前者 への報酬は会計専門家が報告 しよ うとしている利益なのである軸
041したが って、 企業利益は期間中の取引の結果 として生 じたオーナーシ ップ ・持分の価 値増加 を示 し、企業に資金を投 じた種 々の有価 証券保有者全てに公平に分配 されねば な らない価値増加分である。換言すれば、純利益は総持分の増加であ り、決 し て残余利害関係者たる所有主 ・株主持分の増加ではない。 それ故、社債利息、 株式配当は共 に企業利益の分配なのであ る紬.
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このよ うに企業利益の本質を把握することは22年 にのみ見 られ ることではなく、 16年にすでに論 じられている。つま り「土地 ・建物 ・原材料等の物的資産 たる設備資産、あるいは、労働 ・経営能力等の鞘役は所有主の特定の朋役 と一 体 とな り、 販売 され るべ く商品 ・鞘役 とい う製品の流れを生み出す聖 6」 と述 べ られ る。 しか し、この16年では、所有主の提供する特定の糊役に対す る報酬 として企業利益が把えられてお り、所有主持分中心の理論展開であっT:ことは 前述 したとお りであろ。 したが って、ここでは後述す る如 く、費開収益対応思 考の強調 はない。 さて、ペ イ トンは、前述 したよ うな会計の論理 に対 し、次のような疑問 を呈 示す る。 会計専門家 は、特定の 目的の下で利鞘 されたすべての財貨 ・朋役の原価がそ の 目的物 に移転 し付着す るとい うことをいつ も当然のことと考えている。原価 会計 は全 くこの仮定 に基礎 づけ られている。購入した財貨 ・開役の価値が仕掛 品に流入 し、最終的に製品に具体化 してい くのな らば、何故に、企業自身によ って提供 された特定の用役の価 値について も同様にこれ らの製品の中に徐 々に 累積 されてい くと考 えることがで きないのか。 どうして利益の塚得は全生産プ ロセスを通 じて秩序 正し く徐々に生 じてい ると考 えることがで きないのか。換 言す れば、 どうして生産進行度 とい う合理的 シェーマの下で利益は帳簿上に累 積 してはいけないのか
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この点 について、 ペ イ トンは、購 入 された財貨 ・朋役が利鞘 され るにつれて、 仕掛品の価値が累積 してい くのな らば、企業 自身によって提供 された価値 も同 様に累積 され るべ きが合理的だ と結論付けるも、 しか し、これを認めることは、 完成 ・販売に先ん じて利益の計 上を行な うことにな り、前述 したように、会計 は特定企業を扱 うものであるとした確由か ら会計専門家 によ って、 こうした会 計処理が拒否 されるべ きだとす るのであるe
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ペイ トンは、 いわゆ る発生主義による収益認識 を理論的には妥当な もの と考 え、会計の論理 を 「愚かな論理印 49」 と考えている。 しか し、会計における特 殊の立場か ら、利益は販売時に突然生 じるとす る、いわゆる実現主義による収 益認識 を説 く.ここに、費鞘収益対応思考を導入 し、そのよ うな観点か ら、後 述する如 く、収益 ・費用の本質規定がな されねばな らなかったのである。つ ま り、ペイ トンにおいて は、損益勘定の意義は業績尺度性 にある。経営活 動 は販売目的を もった製品製造のために種 々の財貨 ・用役を利鞘す ることにあ るo したがって、財貨 ・朋役の利 鞘の過程 と、それ によ って生 まれる新たな財 貨 ・開役の販売 とが関連 して把 え られ、企業利益が把 えられ る必要が ある。経 済理論 における如 く、発生主義によ る収益の認識において は、財貨 ・用役の利 鞘と利益の生起 とが同時に把 え られ、そ こに費糊収益対応思考を持 ち来 る理由 はない. しか し、実現主義 によ って収益が認識 され る場合、収益 と費 朋とは相 関連せ しめて定義 されねば両者の対応が果た し得ず、資産価値費消 と売上 との 関連が分断され、企 業利益 ・業績が把握 で きないこととなる。 7 収 益 の 本 賞 定 義 それでは、費鞘と収益 との対応 とい う考 えの下で、 まず、収益 は どのよ うに 説明 きれるのであろ うか。ペイ トンは、売上なる総収益 に含まれたる残余的要 素の会計的本質を極端な例示 によって明 らかにす ろ軸 50とし、単純な事例 をも って説明し始め るQ 企業が取得 した経営上必要なる財貨 ・開役が、経済的並びに物質的に不滅の ものであ り、それ故、取替の必要な く生産活動 で無限に利鞘で きると仮定 しよ う。そこでは費鞘なる ものは生 じ得ず、製品売上の結果、一方 では直接的な資 産増加 を釆たし、 他方では持分の直接的増加 を来たす。こうい う状況に近似的 でさえ も現実に存荏する企業 はないが、こ うした場合を考 えてみることが貸借 対照表観点か らの純利益の真の意味を明 らかにで きるのである。例 えば、Aが 貯蓄銀行に10,000ドル預金し、他には一切資産 も負債 も有 していない とす る。 これを一つの企業 と見れば、Aの経営活動は資本の和 田を提供す ることか ら成 ると言えよ う。彼の貸借対照表は次のよ うにな る。 資
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持 分 銀行勘定-- -・・10.000 ドル A 持 分-・--10,000ドル銀行 は年4%の割 で利息 を支払 うとす る。 したが って、ー牢後に 400ドルの 利息が累積 し、Aの貸 借対照表 は、 他に取引がなか った とすれば、次のよ うに な る。 資 産 持 分 銀行勘定--・--10,400ドル A持 分 ・- --・10.400ドル この場合 ,資産400ドルの増加 はそれ と同額の持 分の増加 を伴 う。何故 な ら、 一切の費消 はないか らであ る。この場合、収益 は純 である。原初投資額は不変 であ り、 400ドルの増加 は資産 にお ける耗増加であ り、 また、持分 にお ける純 増加 である。銀行勘定 とA持分勘定 とい う二 つの勘定 で もって全状況を表示で き、 その年度の営業 は銀行勘定への400ドルの借記 とA持分勘定への同額の貸 記 とい う唯一組の記入で もって記録で きろ。 また別の例 を取 り上 げてみよ う。農場主Bは ピクニ ックに最適な岩の多い山 腹 に土地 を有 してい る。-人 当た り25セン トの料金 で もって ピクニ ックのため にその土地 を解放 してい るO管理費 臥 税等は無視 す る。ある土曜 日に20人が ピクニ ックにや って来た。 Bの息 子 は5ドル料金を徴収 した。やは り、 この取 引 も資産 におけ る純増加 と所有主持分 にお ける純増加 とい う桔異 を招 く。 もし 勘定記 入をなす とすれば、現金勘定への 5 ドルの併記 と適切な純利益勘定 もし くは資本金勘定への同額の貸記で もって記塚 され るo収益はやは り純 であ り、 それに係 ろいかな る価 値消失 もな い。 このよ うな企業 は、 もちろん、全 く存在 しないO資金貸付 を業 とす るいかな る企業 において も、 家賃、労働、文房具等のよ うな経営 に必要な原価が生 じる のが普通 であ る。商業、製造業 において製品売 上か ら受取 る資金の うち60%か ら90%、あ るい は、それ以上の ものが当該製品 製造に必要な原価 を償うのに要 す る。換言すれ ば、総収益か ら費 朋勘定 を通 じて多大な控除がな されて後、持 分への純報酬が決定 きれ るの である。 製造において資産が利 鞘され、 その結果、収益 は総である場合 にお いて も、 資産 と持 分 とによ って全状況 は直接 に記録 され る。売上取引は、その性格にお いて複雑 であ るが、基礎的事 実が知 れてい るな ら困難 なことはない。 もちろん、
こうした商業は存在 しないが、基本的な会計分類において差異 はない. A少年は5ドル所持 してお り、ある大 きな フ ッ トボールゲ ームの 日、 50セン トを釣銭朋として残 し、 他の全額 をゲーム場で販売すべ くピーナ ッツに投資 し た.全商品 を9ドルで現金販売 した と仮定す る。 その商品 に対す る当萩の支出 以外いかなる原価 も生 じていない。Aは自分 自身ですべての鞘役を提供 した。 全 く負債 はな く、貸付金 もな く、商品 も手許に残 っていない。 こうい う非常に 単純な状況の下で、 もしその 日の取引を記録す るため勘定の開設 を行な うとす れば,資産勘定 と持分勘定 とに記入 され、新 しい貸借対照表が出来上が る。最 初の取引、つま り、商品の購入は資産の交換であ り、商品勘定への4.5ドルの 借記 と現金勘定への同額の貸記 によ って記鐙 される。その 日の営業は、 9ドル の現金 とい う資産の増加 と、 4.5ドルの商品 とい う資産の減少、 そして、 4.5 ドルのA資本金 という持分の増加 とか ら成 る単一取引 と要約的に見 ることがで きる。これは、現金勘定への9ドルの借記 と商品勘定-の4.5ドルの貸記そ し てA資本金勘定への4.5ドルの貸記で もって記録 され る。その 日の営業開始前 のAの貸借対照表 は次のよ うになるO 現 金----・5ドル A資本金・一・-・-・5ドル 営業終了後は以下のよ うにな る。 現 金-・-・-9.5ドル A資本金-- ・・-9.5ドル 非常に複雑な会計状態及び会計手続の本質を理解す る上に、こうい う単純な 場合 を考えてみることが価値ある。 この単純な例の中にすべての重要な経営活 動の様相が含まれている。資産が購入 され、時間的 ・場所的に転換 され、 そし て販売 される.経営活動のすべてが直接 に貸 借対照表の上に反映 されてい る印誉 それでは、現実の商業的企業 は上述 されたよ うな極 めて単純 な場合 といかに 異な るとペイ トンにおいて考え られてい るのか。 通常の卸売 ・小売業において、個々の売上原価 あるいは一 日の売上原価 を正 確に知 ることが不 可能 であるとい う点 にあ るときれる。 ある場合には、売上の 物的原価 を正確に突 きとめることが便利なこともあるが、 しか し、事務員の賃
金 ・光熱費 ・減価 ・保険料等々、売上に付随 して生 じるこれ らの額 を正確に知 るこ とは通常 は全 く不可能でないに して も極めて困難である。それ故,純利益 要素 ・持分 にお ける増加を各取引毎に正確に分析す ることはできないのである。 この分析を行 な うことがで きるのは、せいぜい、期間を単位 としてである。そ の場合で も、 ある程度の見積 ・推量に依存す るのが通常 である。 原価会計の実施 されている場合、特定の売上に対応 し得 ろ原価の大部分は完 成品勘定 に集合せ られる。 しかし、販売 に直接係わ るある種の原価はそのよう に扱われず、また、一般管理的項 目は通常 は無視 きれ る。 さらに、総収益数値 は営業活動の規準として経営 上本来的 に重要で あ り、相当期間保存 され るべき 数値であ る。製造業 において も、売上 を資産 と持分 との立場で記録す ろことは 適切ではない
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このよ うに、単純 な例示の場合 と比 し、現実 には極 めて複雑な様相 を呈 して お り、 あ らゆる取引 を直 ちに資産 と持分 とに分析す ることは困難 もしくは不可 能 であることと、 さらに、経営 上の理由 とか ら、補助勘定が設定 され る。この 点はす でに前述 した とお りであ る。 この複雑な状況に対応すべ く、ペ イ トンに おいて,以下のよ うに収益勘定が設定 されて くるの である。 総収益は通常 は売上価額である。例 えば、卸売業者が商品 を1,000ドルで掛 販売 した とすれば、売掛金勘定への1,000ドルの借記 と収益 もしくは売上勘定 への1.000ドルの貸記 とによ って この取引は記録 され る。資産の増加 は借記に よ って示 され、直 ちに記録 され る。 しか しなが ら、 これに伴 う資産価 値の減少 と持分の増加 とは明白には認識で きない。そのために、それに代 えて一時的 ・ 経過的勘定た る総 収益勘定 に貸記 され るのである。資産増加 を表わす借記は明 確な貸借対照表事実を示すけれ ども、貸記は単 に未分析の混合的数値にす ぎな い帥0
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この収益勘定への貸記の本質はペ イ トンにおいて何であろ うか。 それは、本質的には上述 した二つの要素か ら成 るときれ る。(1)資産か らの控 除 と(2)持分への追加 である. これが一時的性格 を有するとい うのは、 1,000ド ルの収益勘定への記入は全 く異 な った性格の ものであるところの、資産の消滅 と持分の増加 とい う二つの ものか ら或 るとい う事実 に存 してい る。後に
挙って、この二つは分離 され る。 さもな くば、正 しい貸借対照表が提示 し得ないか らで ある。 この ことは、上述 したA少年の場合 を想起す ることで明瞭 になる。慣習とし ての会計に依れば、その 日のAの売上は最跡 こ現金勘定に 9ドルの借記 と収益 勘定への同額の貸記 とで もって記録 され る。これは、資産勘定 と持分勘 定 との みを もって行なわれる手続 とどう異な っているのか。借記 はいずれ も同様 であ るが、 しか し、後者においては、 4.5ドルの商品勘定への 貸言己、これ は資産か らの控除であるが、 これ と、 5ドルのA資本金勘定-の貸記、 これ は持分-の 増加であるが、こうした記入に代 えて、一時的 に収益勘定に記入がな された も のである
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以上の如 く、収益は、販売商品の円に含まれてい るところの雑多 な建造物 ・ 財貨 ・用役等の費消部分 と重要な純粋持分要素との複合物 であるとその本質の 説明がな きれ るのである。 18年の 「会計学原理」においては、ペイ トンは収益を持分への絵追加 と説明 した。この点について、 22年 では、収益を持分への総追加 を示す もの とし、 ま T=、そ うした乱 点で説明す ることも便宜的には不合理ではない と述べている餌 缶 つま り、会計専門家が後に至って行 な う努力の多 くは収益勘定に含 まれた持分 要素を開示するとい う目的 を志向 しているのであ り、 これを会計専門家 は明 ら かにせねばな らないのである。こうしたことか ら、収益 を持分の総 追加 と表現 することは、あ くまで も便宜上の ものにす ぎないのだ とし、 18年 からの変化 と みることがで きる。8
責 用 の 本 鷺 定 義 さて、 こうした収益 についての説明をうけ、 それでは、この収益 に含 まれた 資産の控除 とい うものについて疑問が生 じる。資産の控除とは何 であろ うか。 ペイ トンは次のよ うに説明す る。 あろ卸業者が6ケ月間に 50.000ドルの売上 をな し、期末に帳簿 を締 め、棚卸を行ない、手許 にあるすべての財 貨の評価 をな し、か くして、間接的に当期の 売上 に含 まれ た る費消額が決定 された とす る。 こ うした費消額が決定 されると、 会計専門家 は この売上 を本来の要素 に分析 し、純利益を決定す る立場 におかれ るOこの費消額が 40,000ドルであ った とす る。商品 ・運送聞役 ・保険 ・広告 ・ 労働 ・賃借等経営 に必要な様 々な財貨 ・開役 を示す勘定の貸方 に総計 40.000 ドルの記 入がな され、 さらに、以下のよ うに収益勘定 に同額の借記がな される。 収 益 この勘定の残高 は持分増加 を示 してお り、適切な科 目名 を もった他の勘定に振 替 えられ る
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さて、 ここで問題 となるのは、収益 か らの この控 除は何 を意味するのか。 こ れ は基本 的 シェーマの下でいかに説明 されるのか とい うことであるCペ イ トン は以下の よ うに説 明す る。 収益勘定への 当初の貸記 は未決定 ・未割 当の資産費消額 をfiん でい る。 これ らの費 消額が棚 卸 ・見積によ って決定 され ると、会計専門家は、関連す る特定 の固定的 ・流動 的資産勘定の間 にこの1 時的記入 を割 当て ることとな る。換言 すれば、特定の財貨 ・伺役 を記録す るための様 々な勘定 に、収益勘定の下で割 当て ることので きる状況 にあるの であ る。いかな る場合 において も、反対側の 欄 に適 切な記入 を行な うことによ って控除の意味 を持 たせよ うとすることは、 簿記の基本的 ル ールであ り、 また、 二つの価 を有す る勘定の本来の特徴 である。 したが って、 40.000ドル とい う顎 は、収益勘定の借方に記入す ることによって 50.000ドル とい う収益額 か ら控除 され ることにな る。同時 に、様 々な勘定 にな され る貸記 は費 消 Lf=資産 を表わ してお り,一時的収益勘定への j-L!八の内のこ の部 分の再定義 ・割 当を完全な もの とす るの であ るe
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しか し、厳密 にはこの借記 40.000ドルは 「資産 の控除の控除的 58」 だ とペイ トンは述 べ る。 つま り、収益勘定 に貸記 された 50.000ドルの中には様 々な財貨 ・ 鞘役の費消分 40,000ドルが含 まれてお り、 これは費消であるが故に
「資産 の控除」 となる。資産の控 除であるが故に貸記 され るのである。 さらに、収益勘定 の借方に記入 され た40.000ドルは純利益の算定を行な うべ く収益か ら控 除 きれ るものなのである。つ ま り、資産の費消分 たろ 40,000ドル、すなわ ち、 「資産 の控除」たる40,000 ドル を控除す ることを意味す る。収益か らの控 除であるが 故に借記 され るのである。 したが って、この40.000ドルを 「資産の控除の控除」 と表現するのである。 この ことによ って、収益の借方記入 を資産 ・持 分 とい う 基本勘定で もってペイ トンは説明す ろの であ る。 さらに、ペ イ トンは、この収 益勘定の借方記入40,000ドルは単に収益か らの 控除を意味するのでないとい う.つ ま り、これ は当玄期 に生 じた る費 朋あるい は製品の原価を意味す るとされるのである。 この数 字は経営的観点か ら極 めて 重要なものである。費剛 まそれ自身重要 な会計的区分 を有 し、独立 した会計的 認識が与え られるべ きだ. LT=が って、I-個 もしくは多数 の費朋勘定が設定 さ れ、 後に至 って、費鞘勘定 と収益勘定 とが結合 され、要約 された損益勘定とな るべ きだ。勘定理論 の観点か らすれば、 この二つの分 類の内、収益が上位 iこ立 つ。費朋項 目は本質的には収益か らの控除である。 費 鞘勘定 と収益勘定 とが別々に分離 して開設 された として も、本質的 にはそ れ らは-欄勘定であ り、二欄の形式 を保つのは便宜的 な理由か らで しかない。 振替 ・修正記入を別 にすれば、収益勘定は貸方欄への記入のみか ら成 り、同様 に、費用勘定は借方欄への記 入のみか ら成る。 しか しなが ら, もし、費用 ・収 益が一つの勘定の下で結合 され るのな らば、両欄が利鞘 されることとな る。そ うい う勘定の貸方欄 には総収益が記録 され、借方欄 には収益か らの控除、すな わち、純残高が開示 され る前に控除 される費 馴 三記録 され る印.59 以上、商業的企業における費 相 ・費用勘定 についての説明を見て釆たわけで あるが、 さらにペ イ トンは製造業 におけるこれ らの説明を行 っている0 製造業においては、生産の プロセスにおいて多額の原価 を要 し、 また、生産 期間が長期 にわたる。そのため、費開あるいは売上原価の決定に特別の困難が 伴 う。ここにおいては、通常、原材料 ・仕掛品 ・製品 とい う三つの分類が存在 する。原価計算専門家は、原材料 ・労働等の原価 は まず種々の段階を通過 して 仕掛品 を形成 し、後に完成品 とな り、そ して販売 され ることによって売上原価
として企業か ら消失 してい くと考 えてい る。各売上 ごとにその原価が決定 され るとすれば、 もちろん、独立 した費開 ・収益勘定を利 鞘する絶対的必要性はな い。つ ま り、 各取引を直 ちに基本勘定に還元 させ、資産勘定 と持分勘定の下で 記録で きる。 しかし、実務上、間接費はい くらか慈恵的な基準によって生産工 程 あるいは生産品に配賦せ られ、 また、 そ うい う原価 をすべて配賦 しよ うとす る原価計算 システ ムは存在 しない。 さらに、包装 ・輸送に係 る原価は製造の後 に、 あるいは、販売取引の時点で生 じるのが普通であ り、それは、完成品の原 価価値の一部を構成 しないことは明白であるo したが って、精密なる原価計算 システムを備 えている企業 において も、収益勘定 ・費鞘勘定の使用を全 く排斥 す ることは適 当ではない。特定期の売上総額 を収益勘定 もしくは売上勘定に記 入 し、売上に係 る製品製造 に必要な特定の生起 した原価 を売 上原価あるいは費 開勘定に振替 えろ。販売及び輸送に係 る原価は特定の生産工程 ・製品 に配賦す ることが不可能であ り、そのため、完成品勘定に集合す ることが不可能 と思わ れ る一般管理的項 目に係 る原価 と共に、この勘定に集合 させ る。売上勘定 と売 上原価勘定 を結合す ることによって純利益が期間的に決定 され る。 この こととの係わ りで強調 され るべ きは、たとえ、全原価 を最終完成品の下 に集合す ることが可能 として も独立 した経営数 値として売上原価 を強調す るこ とが望ましい
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このよ うに、ペ イ トンにおいては、費用は一定期間の経営活動か ら生 じる利 益を生み出すべ く消失 きれた原価 と考 えられ、 それは損失 と明確に区別 される もの とな る。 すなわ ち、費 開 ・収益勘定の完全性 を保持す ることが会計専門家の主 目的の 一つ であるべ きだ。 これ らの勘定が本来の費朋 ・収益に限定 されてい るか らこ そ、それ らは経営的判断の基礎 として優れた もの とな り得 ろのだ。損失は、貴 重価値の消失を示 し、その消失に対 し何 ら対価 を受領 しない ものをい う。換言 すれば、生産過程 に何 ら記録 を行な うことな く、何 らかの資産が矢なわれ、破 壊 され、消費 され る時、損失が生 じた とい うことにな る紺 6Jと説明 される。 当時の会計実務 あるいは支配理論における費 岡と損失の無差別についてペイ トンは以下のよ うに評す る。代表的な損益計算書において、総収益に対するチ ャージと純利益の処分 との 間の区別が極 めて不明瞭である。実際の費朋 ・損失 ・税金 ・利息等は、通常、 一つの ごた混ぜの損益計算書の中に「掛 こ投 げ込 まれてお り、 この損益計算書 は単一の結論的数字、つ ま り、資本王の利益 を強調す ることになる。この不満 足な損益計算書実務の状況は所有主理論の過度の強調 に由来す る。つ ま り、勘 定構造が所有主 を中枢概念 として組織 されるな ら、 そ して、 全勘定あ るいは会 計手続 ・分類が所有主の立場 で構成 され、定義 され ろな らば、無分類の損益計 算香が必然的結果 となる。最終的残余持分の立場か らは所有主への配 当を除い ては純利益への賦課 と総収益への賦課 との間 に区別はない。普通株主 に とって、 州税 ・社債利息 ・損失等々は、賃金 ・材料費等々と全 く同 じ分類であ り、彼 ら への配当可能利益が算定 され る前 に認識 され るべ き控 除項 目である
印.
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以上において明 らかなよ うに、ペイ トンにおいては、費剛 ま収益 を生み出す べ く消失 された資産価値 ・原価であ り、収益は、 この費 剛 こよって経営活動か ら生み出 された ものである. したが って、収益は、 この費 尉たる資産価値の減 少 ・費消分 と利益た る持分への追加 とか ら成 る混合体 と説明 され る。費悶収益 対応思考を明瞭に見ろことができる。9
結 び 16年、ペ イ トンは所有主持分の決定 を重視 し、それ との係わ りで費開 ・収益 を説明 した。所有主持分に縛 られた本質規定 であ った点 で支配理論に同調 した。 しかし、支配確論の下でみ られたもの とは異なっT=企業観の下で、費開 ・収益 の本質規定 を行な う試みをな した ものであるが、所有主持分 に縛 られた定義で あったことか ら、両者の対応思考に欠け、充分な理論の展開がみ られなか った ものである。 22年に至 り、いわゆる企業体説の主張 をな し、企業実体の論理の展開 を行な った。ペイ トンは経営の観点の採 鞘と述べた如 く、経営業績への把握へ と会計 目的 を変遷 させ、所有主のための利益の把握か ら、企業の利益、経営活動により稼得 きれた利益の把垣へ と変化する。費 用収益対応による期間利益の把握へ と関心が向け られ る。 賛 同 ・収益の差額たる純利益が持分の増加 ときれ、純利益だけが持分 との係 わ りで考 え られ るも、費 開 ・収益 自体は もはや、持分 ・所有主持分か ら解放 さ れた本質規定がな され るのであ る。 ビームスによ って、費朋収益対応軌 念を構成す るい くつかの構成部分 は、ペ イ トンによって述べ られた企業休説の理論にその源が求 められ る組 63と述 べら れたとお りであ る。 経営業績の把握 とい う目的の下で、初めて費用収益対応思考の存在意義が生 じるのである。ペイ トンにおいて は、 22年 にそ うした観点か ら費開・収益の本 質規定がな されたのである。 (注 ) 紛 paton, op.ci
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,pp.146- 147. 幽 ibld., p,493. (ゆ ibid., pp.493 - 494. (細 ibid.,p.462. 的 jbid., p.134. (姶 ibid.,p. 257. 0 0 Lbld.,p.256, 的 ibid.,p, 169.(吟 paton and Stevenson, op.
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.,(1916),p,23.的 paton, op.c
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,pP.458 - 459.め ibid.,p.494.
㈱ ibid.,p.494.
a) ibid" p. 147.
~ ibid., pp. 150 - 151.
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ibid. , pp. 151 - 152. (4) ibid. , p. 152. ~ ibid. , p. 152.$6
ibid. , pp. 153 - 154.57)
ibid. , p. 154. $$ ibid. , p. 154. ~ ibid. , pp. 155 - 156.00
ibid. , PP. 157 - 158. (iJ) ibid., p. 176. 6!) ibid. , p. 265.~ F. A. Beams, A Critical Examination of the Matching Concept