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珠算における自動作問システムの構築

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Academic year: 2021

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(1)

珠算における自動作問システムの構築

野崎 輝

*1

, 筧 宗徳

*2

, 二石 芳裕

*3

, 渡邉 一衛

*4

Construction of an automatic problem making system for abacus learning

Hikaru NOZAKI

*1

, Munenori KAKEHI

*2

, Yoshihiro FUTATUISHI

*3

, Ichie WATANABE

*4

ABSTRACT : Abacus teachers make an abacus problems for students. But it takes a lot of time to do it

because there are a lot of rules. So abacus teachers have needed an automatic problem making. Also, I

thought whether the difficulty of the abacus problem can be divided by number of fingering. If it can be

done, the problem that is appropriate forvarious students’ levels can be made by abacus teachers. As a

result, I think that I lead to the improvement of student’s willingness to learn. This paper has two

objectives. The first constructs an automatic problem making system for abacus learning. The second

compares made problem and actual problem by number of fingering. Because it is necessary to examine

whether there has been a difference in the difficulty of the problem. The result is written in the thesis.

Keywords : abacus, number of fingering, education system, an automatic problem making system

(Received April 18, 2011)

1.はじめに

珠算塾の先生方の多くは,生徒に市販の問題集を用い て珠算・暗算の練習を行わせている。これらの問題集で は,検定試験に準拠した問題が中心であるため,検定試 験のレベルより簡単な練習問題が欲しいという場合があ る。また,上級の生徒にとっては,数回練習するとその 問題の計算過程や答えを覚えてしまうため,練習する問 題集がなくなってしまうという問題がある。この様な状 況を解決するため,パソコンや手で珠算の問題を作問し ている先生もおられる。しかし,各珠算塾が加盟する連 盟の作問規定に準拠して作問しなければならず,多くの 条件があるため作問に時間がかかってしまう。 本研究では,この様な問題を解消するため,生徒の進 級レベルに応じて作問するシステムの設計と開発を行う ことを目的とする。珠算検定を行っている団体には,日 本珠算連盟,全国珠算教育連盟,全国珠算学校連盟があ るが本研究では,日本珠算連盟の検定試験と競技大会の 問題のうち,見取算,見取暗算を作問の対象とする。

2.珠算問題の概要

珠算問題は,導入問題,検定問題及び競技大会の問題 の三つに分類できる。導入問題は,そろばんの弾き方の 初歩を学ぶために,珠を弾く難しさを考慮して作ってい る問題である。検定問題は,そろばんを弾く基礎が出来 ている生徒を対象とし,各連盟や大会の規定ルールにの っとった問題であり,ここでは競技大会の問題もこの範 囲に含めて扱う。 そろばんを弾く時の珠の動きは,指導教授により異な る場合がある。珠の動きを「運珠」,珠を動かす指の動き を「運指」と呼ぶ。ここでは,運指を評価の対象とする。 社団法人全国珠算教育連盟の「珠算の学習指導」の内容 に準拠した足し算と引き算の運指とその回数は以下の通 りである。 □足し算時 ① 一珠を入れる 運指一回 (2+1のような場合) ② 五珠を入れる 運指一回 (2+5 のような場合) ③ 五珠と一珠を入れる 運指一回 成蹊大学理工学研究報告

J. Fac. Sci. Tech., Seikei Univ. Vol.48 No.1 (2011) pp.69-74

*1:情報科学科学部学生 *2:情報科学科助教授 *3:(株)グリーンフィールド

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(2+6 のような場合) ④ 五珠を入れ,一珠を払う 運指二回 (2+3,4+4 のような場合) ⑤ 下位の一珠を払い,上位の珠を入れる 運指二回 (4+6,9+8 のような場合) ⑥ 下位の五珠を払い,上位の珠を入れる 運指二回 (7+5,5+5 のような場合) ⑦ 下位の一珠と五珠を払い,上位の珠を入れる (7+3,8+4 のような場合) 運指三回 ⑧ 下位の一珠を入れ,五珠を払い上位の珠を入れる (5+7,6+8 のような場合) 運指三回 □引き算時 ⑨ 一珠を払う 運指一回 (3-1のような場合) ⑩ 五珠を払う 運指一回 (7-5 のような場合) ⑪ 五珠と一珠を払う 運指一回 (8-7 のような場合) ⑫ 一珠を入れ,五珠を払う 運指二回 (5-4,6-2 のような場合) ⑬ 上位の珠を払い,下位の一珠を入れる 運指二回 (10-6,17-9 のような場合) ⑭ 上位の珠を払い,下位の五珠を入れる 運指二回 (10-5,14-5 のような場合) ⑮ 上位の珠を払い,下位の一珠と五珠を入れる (10-2,13-4 のような場合) 運指二回 ⑯ 上位の珠を払い,下位の五珠を入れ,一珠を払う (14-6,13-8 のような場合) 運指三回 上記で分類した 16 種類の珠の動きと運指数に着目し, 問題の分析を行う。

3.現状調査と必要なシステム

現状調査をするにあたり,まずは問題がどのような構 造になっているのかを日本珠算連盟の検定問題や A 出版 の練習問題を調査した。問題を分析した結果を元に,珠 算塾の先生に,作問規定や授業の問題,ニーズなどを伺 うことにより現状の分析をおこなった。 3. 1 日本珠算連盟の問題分析結果 分析する問題として日本珠算連盟のホームページで公 開されている検定問題を対象とした。その結果,見取算, 見取暗算の種目の検定問題は,少なくとも以下の条件で 作成されていることが分かった。 ・横(桁)は同数字を入れてはいけない。 ・縦(口)は,上下に同数字がきてはいけない。 ・0~9 の数は,均等に出題される。 (例 5 桁 0~9 の各個数は,5 個ずつ) ・各桁で同数字のペアを必ず2 組作らなければならない。 以下に,上記の作問規定で作成した問題例を挙げる。 (実際の検定問題ではなく,自分で作成した問題) 3. 2 珠算塾における現状の問題調査 2010 年 9 月 24 日と 28 日,2010 年 11 月 3 日と 4 日と 25 日に日本珠算連盟の二人の先生方に協力して頂き,以 下の内容について調査を行った。 ① 日本珠算連盟の作問規定 ② 検定問題と競技大会の問題の作成の仕方 ③ 運指による問題のレベル分け,使用用途について ④ 珠算問題にとって良い問題と悪い問題の違い 調査の結果として,珠算の先生でも,自分が属してい る連盟の検定・競技大会問題の作問規定を知っている先 506,718 175,249 428,903 640,529 987,316 531,240 604,572 816,093 例 ④五珠を入れ、一珠を払う 4+3 の場合 図 1. 珠の動きの例 図 2. 問題例

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生がとても少ないという現実があることが分かった。こ のような問題背景があるため,各連盟の作問規定を先生 から伺うのは難しいことである。今回の調査では,日本 珠算連盟の検定試験についての詳しい作問規定について は伺うことは出来なかった。しかし,競技大会問題の作 り方については,各連盟の作問規定プラス,大会独自の 規定ルールが追加されることにより問題が作られている ということが分かった。また,運指の数に着目すれば問 題の難易度を分けることが出来るのではないかという考 えに対して,先生方に賛同して頂いた。今の検定級につ まずいている子供達に対しては,運指の少ない問題だけ を出題し,運指の多い問題は生徒に難しい問題を解かせ たい時に出題するといったことが出来れば生徒の学習意 欲の向上に結びつくのではないかという貴重な意見を頂 いた。 作問の方法を考えるうえで,はじめに問題の難しさを 評価する必要があると考えた。本研究ではこの評価尺度 として,問題に対する運指の回数を用いることとした。 そのために,問題ごとの運指の回数を求めるシステムを 構築する。次に,作問規定に準拠した問題を作成するシ ステムを構築する。日本珠算連盟における「あんざん種 目別チャンピオン大会」の作問規定を例にシステムを考 えることとした。この大会の問題は 50 問であり,その程 度(桁数と口数)は図 3 に示した通りである。本研究で は出題された問題と,構築したシステムで作問した問題 を運指の観点から比較することを試みる。

4.システムの構築

4. 1 問題分析システム パソコン上で,そろばんの珠の状態を生成する。珠が 入っている状態か入っていない状態かをそれぞれ1 と 0 で表現する。パソコン上の珠の状態は,多重配列を用い て,桁数と珠の状態の情報を記憶している。先生の指導 の仕方により,運指法が違うことがあるので,その値を 設定することが出来る。分析結果に表示するデータは, 問題を解いた時の運指数,問題内容の 0~9 の個数,設 定した問題,運指の種類で分類した珠の足し算時と引き 算時の動きを,運指回数を表示することにより問題を分 析・評価することが出来る。 図4 は作成したシステムの画面の表示例であり,先生 の指導の方法に合った運指数で問題が評価できるように 運指数を入力して設定することが出来る。 運指数を設定し,分析したい問題を入力することで, 図5 に示した画面が表示され,運指数,数字の出た個数, 運指の動きの分析結果を見ることが出来る。 4. 2 自動作問システム 作問規定に準拠した問題作成を行うため,その数字生 成が出来るプログラムを作る。図6はその生成方法の流 れを示す。 図 5. 問題分析画面 図 4. 運指数設定画面

問題程度

種目:見取暗算

1~10 問目 4 桁 7 口 11~20 問目 3 桁 5 口、4 桁 5 口 混合 21~30 問目 3 桁 3 口、4 桁4口、5 桁 3 口 混合 31~40 問目 4 桁 5 口、5 桁 5 口 混合 41~50 問目 5 桁 10 口 *引き算は偶数問題のみ 3 口 図 3. 問題の程度(桁数と口数) 図 6. 数字生成の流れ

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4. 2. 1 数字生成アルゴリズム 図6 の流れに沿って,各項目のアルゴリズムの内容を 示すこととする。各項目に対応するフローチャートをそ れぞれ図7,図 8,図 9 及び図 10 に示す。問題設定画面 で入力した内容で,ランダムに数字が生成される。ボタ ンを押すことにより図 11 に示したように,エクセルの 画面に自動で問題が入力される。 □数字の生成 ① 0 から 9 の値を配列に入れる。 ② 100 回シャッフルする。 ③ 一桁目から開始し,1 口目から 10 口目に代入すると き隣の桁の口同士が同数字にならないかをチェック する。 ■同数字の場合 ランダムに出した口の場所の数字と,チェックした 口の数字を交換して再度隣の口同士の数と比較する。 ■同数字でない場合 代入して,④に進む。 ④ 作りたい桁数まで,上記の①~③を繰り返す。終わ ったら⑤へ進む。 ⑤ 終了。 □同数字チェック ① 3 桁目からチェックを開始し,3 桁目の前の桁の口 と同数字でないかをチェックする。 ■同数字の場合 10 口目とチェックした数字を交換し,今の桁より も前の桁の口同士と再度比較する。交換できなけれ ば,交換する口数を下げ再度比較する。 ■同数字でない場合 交換して②に進む。 ※6 桁目以降は,上記の方法だけでは出来ないので, 交換出来なかった場合は,今の口数で出ていない場 所を算出してから,ランダムに選択し①に戻り比較 する。 ② 上記の方法で 10 口まで終わったら,作った桁数ま で,上記の①を利用して最後までチェックして交換 する。終わったら,③へ進む。 ③ 終了。 □先頭0 チェック ① 作成した最高桁数から先頭が 0 になっている数字の 場所を探す。 ② 変換する口・桁は,ランダムに選択する。ただし, 桁の最高桁数は選択されないようにする。 ③ 変換する桁での変換回数と変換される桁での変換回 数をカウントする。 ④ 両方の数字を変換した後,上下左右の口の数字と比 較した時, ■同数字の場合 ②に戻り,カウントした回数を元に戻し,再度比較 する。 ■同数字でない場合 交換して終了。 図 7. 数字生成のフローチャート 図 8. 同数字チェックのフローチャート

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□同数字の組の作成 ① 最初は 1 桁目から変換を開始し,ランダムに変 換する回数を選択する。 ② 変換する口・桁は,ランダムに選択する。 ③ 変換する桁数での変換回数と変換される桁での変 換回数を比較した時 ■両方とも,2 回以下の場合 変換する桁での変換回数と変換される桁での変換 回数をカウントして,④に進む。 ■上記以外の場合 ⑥に進む。 ④ 両方の数字を変換した後に上下の口の数字と比較 した時, ■同数字の場合 ②に戻り,カウント回数を元に戻し,再度比較す る。 ■同数字でない場合 交換して,⑤に進む。 ⑤ 変換出来る回数まで上記の②に戻り,変換を繰り返 す。変換回数が終わったら,⑥に進む。ただし, 変換する回数の最高は2 回まで。 ⑥ 作成する最高桁数まで,次の桁数にシフトして①に 戻り,変換を繰り返す。最高桁数までチェックした ら,⑦に進む。 ⑦ 終了。

5.システムの評価

競技大会の問題と自動作問システムで作成した問題を 比較するため,問題分析システムを用いて比較評価を行 った。それぞれ一回分の問題で分析し,同桁数の問題と 桁数混合問題のうち一問を分析した時の結果をそれぞれ 表1,表 2 に示す。 1 に示した通り,作成した問題も競技大会の問題も 数字の出ている個数については,作問規定通り均等に出 題されていることが確認出来た。他の同桁数の問題にお いても,同じ結果が得られた。次に,運指数に着目して 分析した結果,表2 のようになった。比較して見ると全 体的に運指数が少し多く出題されているということが分 かった。 表3 は,桁数混合問題の数字の個数の比較について示 したものである。競技大会の問題は均等に数字が出題さ れているのに対して,作成した問題は数字が極端にばら ついている。この結果から,桁数混合問題においても数 字を均等に出題しなければならないという作問規定があ るということが分かった。 図 11. 作成された問題の画面 図 10. 同数字の組の作成フローチャート 図 9. 先頭 0 チェックのフローチャート

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数字の個数 数字 実際の問題 作成した問題 0 4 5 1 4 4 2 4 5 3 4 2 4 4 4 5 4 5 6 4 4 7 4 3 8 4 3 9 4 4 運指数 問題番号 実際の問題 作成した問題 41 問目 82 92 42 問目 85 78 43 問目 81 84 44 問目 78 91 45 問目 83 80 46 問目 80 86 47 問目 79 92 48 問目 80 87 49 問目 85 83 50 問目 80 83

6.結論と今後の課題

本研究の結論を以下に列挙する。 ・問題分析システムを使うことにより,10 桁以上の問題 や10 口以内の問題,補数計算,桁が混合している問 題の難易度などを視覚的に分析することが可能になっ た。 ・日本珠算連盟のある競技大会を例にして,作問を自動 で行うシステムを開発することが出来た。 ・問題分析システムを使うことにより,作成した問題を 評価することが出来るようになった。 今後の課題として次のようなものがある。 ・桁数混合問題の作問の仕方に合った問題が出来るよう 修正する必要がある。 ・問題を手入力で分析している状況なので,エクセルと 連携して分析出来るよう改善する必要がある。 ・問題分析システムを使用し,他連盟の検定・競技大会 の問題についての分析をしたい。 ・問題分析システムと自動作問システムの二つを利用す ることにより,運指数の増減で生徒のレベルに合った 問題を作成できるシステムの作成をしていきたい。 ・他の種目である,掛け算や割り算の問題分析システム を作ることにより,問題の難しさを計れる必要がある。

謝 辞

本研究を行うに当たり,㈱グリーンフィールドの高田 房枝様,日本珠算連盟の二人の先生方には,大変お世話 頂きました。また,本研究には成蹊大学理工学研究助成 (共同研究 2010 年)の支援を受けた。この場を借り,厚く 御礼申し上げます。

参考文献

[1] 社団法人全国珠算教育連盟編「珠算の学習指導」暁 出版,1981 年 [2] 日本珠算連盟,「検定問題見本」 http://www.shuzan.jp/files/syuzankoukai.pdf, 2010 年 9 月 [3] 大阪珠算協会,ホームページ http://www.osaka-abacus.or.jp/, 2010 年 11 月 数字の個数 数字 実際の問題 作成した問題 0 5 5 1 5 5 2 5 5 3 5 5 4 5 5 5 5 5 6 5 5 7 5 5 8 5 5 9 5 5 表1. 同桁数問題の数字の個数 表2. 同桁数問題の運指数 表3. 桁数混合問題の数字の個数 表1. 同桁数問題の数字の個数

参照

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