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Duchenne型筋ジストロフィーに対して変異ジストロフィンエキソンのスキッピング誘導活性を有する経口投与可能な新規CLK1阻害剤の開発

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Academic year: 2021

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Title Development of an orally available inhibitor of CLK1 forskipping a mutated dystrophin exon in Duchenne muscular dystrophy( Abstract_要旨 )

Author(s) Sako, Yukiya

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2017-07-24

URL https://doi.org/10.14989/doctor.k20617

Right

Development of an orally available inhibitor of CLK1 for skipping a mutated dystrophin exon in Duchenne muscular dystrophy Yukiya Sako, Kensuke Ninomiya, Yukiko Okuno, Masayasu Toyomoto, Atsushi Nishida, Yuka Koike, Kenji Ohe, Isao Kii, Suguru Yoshida, Naohiro Hashimoto, Takamitsu Hosoya, Masafumi Matsuo & Masatoshi Hagiwara Scientific Reports 7, Article number: 46126 (2017)

doi:10.1038/srep46126

Type Thesis or Dissertation

Textversion ETD

(2)

京都大学 博士( 医 学 ) 氏 名 佐 古 有 季 哉

論文題目

Development of an orally available inhibitor of CLK1 for skipping a mutated dystrophin exon in Duchenne muscular dystrophy

(Duchenne 型筋ジストロフィーに対して変異ジストロフィンエキソンのス キッピング誘導活性を有する経口投与可能な新規CLK1 阻害剤の開発) (論文内容の要旨) 筋ジストロフィーとは筋萎縮や筋力低下を特徴とする筋変性疾患である。このうち Duchenne 型筋ジストロフィーは伴性劣性遺伝形式をとり、進行性の筋萎縮を特徴とする。 その病因は筋細胞の細胞骨格と細胞外マトリクスを繋ぐジストロフィン蛋白の欠損であ り、欠損により筋細胞は壊死して筋力低下・萎縮等の症状を呈する。このジストロフィン の欠損に関して、エキソンのナンセンス変異がしばしば原因となる。このことから、変異 を持つエキソンを人工的にスキップさせ、不完全ながらも機能を持つジストロフィン蛋白 を産生させるエキソンンスキップ療法が試みられている。 これまでCDC-like-kinases (CLKs)阻害剤であるTG003が特定の変異を有するDMD患者に ついて、変異エキソンのスキップを促して患者由来細胞のジストロフィン蛋白質の産生を 促進する事が報告されている。実用化に向けて、より経口吸収性や血中動態が優れた化合 物の探索が必要となる。 本研究では、TG003 より血中安定性の高い新規 CLK1 阻害剤 (TG693)について報告する。 本化合物は in vitro kinase アッセイにより ATP 競合的に CLK1 を阻害する事が分かった。更 に細胞で薬効を確認するため、HeLa 細胞に TG693 を複数濃度にて投与した。CLK1 は Serine/arginine-rich (SR)蛋白質をリン酸化する為、CLK1 の阻害活性を SR 蛋白質のリン酸化 にて評価した。その結果、濃度依存的に TG693 は SR タンパク質のリン酸化を阻害してい た。次に TG003 同様に特定の DMD 変異(c.4303G>T)でエキソンスキップを誘導するかを確 認する為、c.4303G>T 変異を模したレポーターを HeLa 細胞に導入して TG693 を投与した 所、TG693 による濃度依存的なエキソンスキップの促進が認められた。一方でこのエキソ ンスキップの促進は野生型レポーターでは認められなかった。またこの時、CLK1 活性阻害 によって誘導される事が知られている Clk1 成熟型スプライシング産物の増加も確認出来 た。 次に患者細胞におけるエキソンスキッピング効果を確認するため、c.4303G>T 変異を有す る DMD 患者由来の筋細胞を用いて解析を行った所、TG693 は変異エキソンのスキップを 促進した。更に TG693 濃度依存的なジストロフィン蛋白質の発現増加が認められた。 最後に、本化合物の筋肉組織への移行性を評価した。マウスへの 30mg/kg 経口投与後、 筋肉内での化合物濃度を測定した結果、前脛骨筋で 4µM 以上の TG693 が検出された。加え て、細胞と同様に前脛骨筋でも SR 蛋白質のリン酸化が阻害されていた。更にスプライシン グ改変効果について、Clk1 成熟型スプライシング産物を指標として TG693 投与マウスの前 脛骨筋にて検証した所、Clk1 成熟型スプライシング産物の増加が確認出来た。こうしたス プライシング改変効果は、前脛骨筋だけでなく心筋や横隔膜といった他の筋組織でも同様 に認められた。これらの結果は TG693 が in vivo おいても CLK1 阻害剤として働き、Duchenne 型筋ジストロフィーの治療薬として開発できる可能性がある。 TG693 は経口投与可能でかつ血中安定性が高い事を示した初めてのCLK1 阻害剤であり、 Duchenne 型筋ジストロフィー以外の遺伝病にも応用が期待できる。 (論文審査の結果の要旨) Duchenne 型筋ジストロフィーに対してエキソンスキップ療法が試みられている。これまで CDC-like-kinases (CLKs)阻害剤である TG003 が特定の変異を有する患者について、変異エキソンの スキップを促して患者由来細胞のジストロフィン蛋白質の産生を促進する事が報告されているが、 実用化に向けてはより経口吸収性や血中安定性の優れた化合物の探索が必要となる。本研究では TG003 より血中安定性の高い新規 CLK1 阻害剤 (TG693)について報告している。

TG693 は in vitro キナーゼアッセイで ATP 競合的に CLK1 を阻害し、HeLa 細胞でも濃度依存的に CLK1 阻害活性を示した。c.4303G>T 変異を有する患者由来の筋細胞株を用いて解析を行った所、 TG693 は変異エキソンのスキップを促進し、濃度依存的なジストロフィン蛋白質の発現増加が認め られた。マウスに 30mg/kg の TG693 を経口投与した動物実験では、前脛骨筋で 4µM 以上の TG693 が検出され、細胞と同様に筋組織でも CLK1 阻害活性、スプライシング改変効果を示した。これら の結果は TG693 が in vivo においても CLK1 阻害剤として働き、TG693 を Duchenne 型筋ジストロフ ィーの治療薬として開発できる可能性を示した。 以上の研究は、Duchenne 型筋ジストロフィーなどの遺伝病に対する治療薬開発に寄与するところ が多い。 したがって、本論文は博士( 医学 )の学位論文として価値あるものと認める。 なお、本学位授与申請者は、平成 29 年 6 月 14 日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、 合格と認められたものである。 要旨公表可能日 年 月 日

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