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⑷ 行為の論点 1 登記原因のバリエーション 表題部共有者の一人の相続の場合, その相続人と他の表題部共有者の保存登記は一申請 情報申請可能 ( 襷がけ保存登記 )(84 平 18) 所有者 市 町 丁目 番 号持分 36 分の 12 株式会社 L 代表取締役 B ( 会社法人等番号 - - ) (

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(1)

伊 藤 塾 - 1 -

第 3

D コ ン 分 析 ・ 登 記 の 種 類 別 の 論 点 分 析

3 - 1

保 存 登 記

62

保存登記の出題概要-計2件(1.44%)

保存登記は,所有権の保存登記が2件出題されており,出題率は全出題(138件)の約1.44% である。 出題年度 出題された書式 項目別過去問の問題番号 平3-連1 判決保存(訴訟上の和解) 項目別№30 平 18-連4 襷がけ保存 項目別№84

63

所有権の保存登記

⑴ 所有権の保存登記の基本書式:CF97,基本設例 17

登 記 申 請 書 登記の目的 所有権保存 所 有 者 (被相続人A) ○市○町○丁目○番○号 B 添 付 情 報 所有権証明情報 住所証明情報 代理権限証明情報 □登記識別情報の通知を希望しません。 平成○年○月○日法 74 条1項1号申請※ ○○ 法 務 局 ○○支局(出張所) 代 理 人 ○市○町○丁目○番○号 司法書士 法務太郎 印 連絡先の電話番号 00-0000-0000 課 税 価 格 金 1,500 万 4,000 円 登録免許税 金6万円 不動産の表示(省略) ※申請人が法第 74 条第1項各号に掲げる者のいずれであるかは申請情報の内容となる(令別表 28 申請イ)。

⑵ 主体の論点

① 複数化 □□ 所有者が複数人存在すれば,持分を記載(84・平18) 所 有 者 (被相続人A)○市○町○丁目○番○号 36 分の 12 B ○市○町○丁目○番○号 36 分の4 C ○市○町○丁目○番○号 36 分の4 D ○市○町○丁目○番○号 36 分の2 G ○市○町○丁目○番○号 36 分の2 I ② 法人 □□ 所有者が会社であれば会社法人等番号の提供(84・平18,30・平3) 所 有 者 ○市○町○丁目○番○号 持分 36 分の 12 株式会社L 代表取締役B (会社法人等番号 ○○○○-○○-○○○○○○) 添 付 情 報 会社法人等番号 ③ 制限能力 なし

⑶ 客体の論点

① 複数化(共同担保) なし ② 部分化 なし ③ 特殊化 なし ◆出題の手口から本試験を知る講座 不動産登記法 講義テキスト サンプル◆

(2)

- 2 -

⑷ 行為の論点

① 登記原因のバリエーション □□ 表題部共有者の一人の相続の場合,その相続人と他の表題部共有者の保存登記は一申請 情報申請可能(襷がけ保存登記)(84・平18) 所 有 者 ○市○町○丁目○番○号 持分 36 分の 12 株式会社L 代表取締役B (会社法人等番号 ○○○○-○○-○○○○○○) (被相続人A)○市○町○丁目○番○号 36 分の 12 B ○市○町○丁目○番○号 36 分の4 C ○市○町○丁目○番○号 36 分の4 D ○市○町○丁目○番○号 36 分の2 G ○市○町○丁目○番○号 36 分の2 I 添 付 情 報 所有権証明情報 住所証明情報 代理権限証明情報 会社法人等番号 平成○年○月○日法 74 条1項1号申請※ ○○ 法 務 局 ○○支局 □□ 訴訟上の和解により所有権を確認された者は,判決による保存登記が可能(30・平3) 所 有 者 ○市○町○丁目○番○号 滋賀商事株式会社 代表取締役馬場二郎 (会社法人等番号 ○○○○-○○-○○○○○○) 添 付 情 報 所有権証明情報 住所証明情報 代理権限証明情報 会社法人等番号 平成○年○月○日法 74 条1項2号申請※ ○○ 法 務 局 ○○支局

⑸ その他の論点

なし

⑹ 手続事実の論点

なし

3 - 2

設 定 登 記

64

出題の概要-計8件(6.52%)

設定登記は,計9件出題されており,出題率は全出題(138件)の約6.52%である。このう ち抵当権の設定登記は,5件(昭57,昭60,平6,平7,平21)出題されており,設定登記全 体の55.55%を占めており,根抵当権の設定登記は,4件(昭59,平成5,平23,平28)出題 されており,設定登記全体の44.44%を占めている。

65

抵当権の設定-計5件

出題年度 出題された書式 項目別過去問の問題番号 平 21-連4 抵当権設定(保証委託契約による求償権担保) 項目別№99 昭 57-単 抵当権設定(複数債権担保,共同抵当) 項目別№4 平6-連3 抵当権設定(2個の金銭消費貸借債権担保) 項目別№43 平7-連3 抵当権設定(一部設定,所有権と持分権の設定) 項目別№46 昭 60-連3 抵当権(追加設定) 項目別№14

⑴ 抵当権設定登記の基本書式:CF92 基本設例 13

登 記 申 請 書 登記の目的 抵当権設定 原 因 平成 20 年7月3日金銭消費貸借同日設定 債 権 額 金 2,000 万円 債 務 者 ○市○町○丁目○番○号 A 抵 当 権 者 ○市○町○丁目○番○号 X 設 定 者 ○市○町○丁目○番○号 A 添 付 書 類 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 代理権限証明情報

(3)

伊 藤 塾 - 3 - 登記識別情報を提供することができない理由 □不通知 □失効 □失念 □管理支障 □取引円滑障害 □その他( ) □登記識別情報の通知を希望しません。 平成○年○月○日申請 ○○ 法 務 局 ○○支局(出張所) 代 理 人 ○市○町○丁目○番○号 司法書士 法務太郎 印 連絡先の電話番号 00-0000-0000 課 税 価 格 金 2,000 万円 登録免許税 金8万円 不動産の表示(省略)

⑵ 主体の論点

① 複数化-計2件 □□ 設定者が複数でも持分の記載不要(46・平7,43・平6設定者3名) 設 定 者 ○市○町○丁目○番○号 高野和夫 ○市○町○丁目○番○号 株式会社タカノ 代表取締役高野和夫 (会社法人等番号 ○○○○-○○-○○○○○○) ② 法人 □□ 抵当権者が会社であれば,会社法人等番号の提供(14・昭60,46・平7,99・平21,4・ 昭57,43・平6) 抵 当 権 者 ○市○町○丁目○番○号 日本橋銀行株式会社 代表取締役○○ (会社法人等番号 ○○○○-○○-○○○○○○) 添 付 情 報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 代理権限証明情報 会社法人等番号 □□ A土地の持分とB土地の所有権が設定目的物となるが,B土地は取締役の債務を会社が 物上保証し間接取引(46・平7) □□ 複数債権のうち貸金債権については,債務者が債権者の取締役であり直接取引(4・昭 57) ③ 制限能力 □□ 複数債権のうち貸金債権の債務者は共有設定者の一人である未成年者の単独親権者で り利益相反行為(4・昭57,43・平6)

⑶ 客体の論点

① 複数化(共同担保) □□ 同一管轄内の土地及び建物の共同抵当の設定は一申請情報申請可能(4・昭57) □□ A土地は及ぼす変更登記の申請,B建物は追加設定で一申請情報申請は不可(14・昭60) □□ A土地は持分を対象とし,B土地は所有権を対象とするが一申請情報申請が可能(46・ 平7) 登記の目的 抵当権設定及び高野和夫持分抵当権設定 ② 部分化 □□ A土地は持分を対象とし,B土地は所有権を対象とするが一申請可能(46・平7) 登記の目的 高野和夫持分抵当権設定 ③ 特殊化 □□ 敷地権を賃借権とする敷地権付き区分建物が目的物の場合,敷地権である賃借権の記載 不要(99・平21)

⑷ 行為の論点

① 被担保債権のバリエーション □□ 追加設定の場合の原因の記載(14・昭60)

(4)

- 4 - 原 因 平成 25 年1月6日金銭消費貸借同年2月1日設定 □□ 準消費貸借による貸金債権を担保する場合の原因の記載(46・平7) 原 因 平成 25 年7月1日準消費貸借金 1,200 万円のうち金 1,000 万円同年7月4日設定 □□ 保証委託契約による求償債権を担保する場合の原因の記載(99・平21) 原 因 平成 25 年6月1日保証委託契約に基づく求償債権同日設定 ② 複数債権担保 □□ 複数の貸金債権を1個の抵当権で担保する場合の原因,債権額の記載(43・平6) 原 因 (あ)平成 25 年6月 20 日金銭消費貸借 (い)平成 25 年6月 27 日金銭消費貸借 平成 25 年6月 27 日設定 債 権 額 債権額 金 1,400 万円 内 訳 (あ)金 400 万円 (い)金 1,000 万円 □□ 金銭消費貸借の貸金債権と自動車売買の残代金債権を一個の抵当権で担保場合の原因, 債権額の記載(4・昭57) 原 因 (あ)平成 24 年6月1日金銭消費貸借 (い)平成 24 年7月1日自動車売買の残代金債権 平成 25 年6月 30 日設定 債 権 額 債権額 金 564 万 5,800 円 内 訳 (あ)元本 金 500 万円 利息 金 14 万 5,800 円(平成 25 年2月1日から同年6月 30 日までの分) (い)金 50 万円 □□ 連帯債務者2名の債務を1個の抵当権で担保する場合の債務者の記載(14・昭60,43・ 平6) 連帯債務者 ○市○町○丁目○番○号 甲野太郎 ○市○町○丁目○番○号 乙野次郎 ③ 被担保債権の一部設定 □□ 一部設定の場合の原因,債権額の記載(46・平7) 原 因 平成 25 年7月1日準消費貸借金 1,200 万円のうち金 1,000 万円同年7月4日設定 債 権 額 金 1,000 万円

⑸ その他の論点

① 登記事項 □□ 利息と損害金の定めがある場合(46・平7) 利 息 年1割5分 損 害 金 年1割5分 □□ 利息と損害金の定めがあり,損害金には年365日特約がある場合(14・昭60) 利 息 年 8.2% 損 害 金 年 14%(年 365 日日割計算) □□ 損害金の定めのみで年365日日割特約がある場合(99・平21) 損 害 金 年 14%(年 365 日日割計算) □□ 複数債権担保で利息(無利息の定め含む),損害金(年365日日割特約含む)の定めが あり,債務者が異なる場合(4・昭57) 利 息 (あ)元本につき年7% (い)無利息 損 害 金 (あ)元利金につき年 14%(年 365 日日割計算) (い)年 14%(年 365 日日割計算) 債 務 者 (あ)住所 省略 乙山元男 (い)住所 省略 乙山一郎

(5)

伊 藤 塾 出題の手口から本試験を知る講座 - 1 - 不動産登記法

№79

平 成 17年

同 時 申 請 2 /2

文 章 形 式

所 有 権 ・ 特 定 承 継 : 判 決 に よ る 時 効 取 得 の A 持 分 全 部 移 転

登記記録に次のような登記事項の記録(登記事項一部省略)がある甲土地の甲区について,B が事実関係4の持分の移転の登記を実現するために,事実関係7の判決の確定後,法律上必要 な手続を経てから2週間経過後に,司法書士が,Bからの依頼により,当該判決に基づく登記 を申請する場合,当該登記の申請書に記載すべき申請情報及び添付情報のうち,不動産所在事 項,代理人の表示,申請年月日及び登記所の表示を除いた事項を記載しなさい。なお,数件の 登記申請が必要な場合には,仮処分債務者を登記義務者とする登記について記載しなさい。 (注) 答案の作成にあたっては,次の点に注意して記載しなさい。 1 登記の申請に際し,必要な登記の申請情報及び申請情報と併せて提供することが必要な情 報の提供は,書面を提出する方法(ただし,磁気ディスクを提出する方法を除く。)により するものとする。甲土地を管轄する登記所は,平成19年3月13日に不動産登記法附則第6条 第1項の指定を受けているものとする。 2 添付情報の表示を記載するに際しては,登記原因証明情報を除き,「印鑑証明書(Xの印 鑑証明書)」のように,添付情報の種類が特定されている場合には当該種類を明記するとと もに,かっこ書で個々の具体的な書面の名称を明記し,だれの又は何に関するものかを特定 できるものはそれを明記して記載しなさい。 3 本件土地の課税標準の額は金135万円であり,租税特別措置法による税の減免の規定の適 用はないものとする。 4 後記事実関係中の行為は,すべて適法に行われており,法律上必要な書類は,すべて適式 に作成されているものとする。 (登記記録の記録) 甲土地 表題部 所在 (省略) 地番 (省略) 地目 畑 地積 (省略) 権利部 甲区1番 (省略) 2番 所有権移転 昭和61年4月1日第1111号 原 因 昭和61年4月1日売買 所 有 者 A 3番 所有権の一部4分の3処分禁止仮処分 平成28年9月30日第2222号 原 因 平成28年9月28日H簡易裁判所仮処分命令 債 権 者 B 4番 所有権移転 平成28年11月25日第3333号 原 因 平成28年7月1日売買 所 有 者 C 乙区1番 抵当権設定 平成18年4月23日第4444号 原 因 平成18年4月23日金銭消費貸借同日設定 債 権 額 金200万円 債 務 者 A 抵 当 権 者 D ◆出題の手口から本試験を知る講座 不動産登記法 項目別過去問集 サンプル◆

(6)

項目別過去問集 所有権 2 -(事実関係) 1 昭和63年4月1日,Eは,所有の意思をもって,平穏かつ公然に甲土地の占有を開始した。 2 平成27年10月1日,Eが死亡し,その相続人は,妻Fのほか,長男B,二男Gである。な お,Bは,Fからその有する相続分の譲渡を受けており,また共同相続人の問では,遺産分 割協議が成立していない。 3 Bは,Eの死亡後も引き続き所有の意思をもって,平穏かつ公然に甲土地の占有を継続し ている。 4 平成28年8月25日,Bは,Aに対し,「Eが生前,甲土地の占有を20年間継続したことか ら,時効により甲土地の所有権を取得した。」旨主張して,取得時効を援用するとともに, これに係る持分の移転の登記を請求した。 5 しかし,AがBの持分の移転の登記の請求に応じなかったことから,Bは,Aを被告とし て持分の移転の登記手続を求める訴えを提起することにし,まず,その前提として,H簡易 裁判所に対して処分禁止の仮処分の申立てをし,平成28年9月28日,同申立てについて処分 禁止の仮処分命令を発する旨の決定を得た。 6 その一方で,Dは,Bに対し,Aが甲土地に対するBの取得時効を認めた場合又はBの取 得時効を認容する判決が確定した場合には,乙区1番の抵当権の設定の登記に関して何らか の登記の申請をする必要があるときは,その登記の申請に協力する旨の意思表示をしている。 7 そこで,Bは,H簡易裁判所の嘱託による処分禁止の仮処分の登記が完了していることを 確認した後,当該処分禁止の仮処分の被保全権利について,Aを被告としてH簡易裁判所に 本案の訴えを提起した。当該本案訴訟は,平成29年4月15日に口頭弁論が終結し,同年5月 6日にB勝訴の判決が言い渡され,同月23日に同判決が確定した。

(7)

伊 藤 塾 出題の手口から本試験を知る講座 - 3 - 不動産登記法

№79

平 成 17年

同 時 申 請 2 /2

文 章 形 式

所 有 権 ・ 特 定 承 継 : 判 決 に よ る 時 効 取 得 の A 持 分 全 部 移 転

登 記 申 請 書 登記の目的 A持分全部移転 原 因 昭和 63 年4月1日時効取得 権 利 者(申請人) ○市○町○丁目○番○号 持分4分の3 B 義 務 者 ○市○町○丁目○番○号 A 添 付 情 報 登記原因証明情報 住所証明情報(Bの住民票の写し) 代理権限証明情報(Bの委任状) 課 税 価 格 移転した持分の価格 金 101 万 2,000 円 登録免許税 金2万 200 円

1 実体判断

事実関係から,BがAを相手方とする訴訟では,昭和63年4月1日時効取得を原因とするA持分全部 移転登記が命じられていると判断できる。 なお,時効取得の対象となった甲土地の地目は「畑」であり,農地であるが,時効取得は意思表示に よる所有権の移転ではないため,農地法所定の許可の要否は問題とならない。

2 架橋判断

⑴ 登記の種類の決定 登記すべき権利変動は,原始取得として権利の消滅と発生であるが,判例・先例ともに登記の種類 を「特定移転登記」とすることを認めている。 ⑵ 一申請情報申請 同時申請する他の登記とは,登記の目的及び登記原因が異なるため,それらの登記を一申請情報申 請する余地はない。 ⑶ 登記の連続性 本件の登記は,仮処分債務者を登記義務者とする登記にあたるため,本件申請と仮処分による一部 失効に基づく更正登記を同時申請しなければ,当該更正登記を単独申請することはできない(平2.11. 8民三第5000通)。また,本件登記の前提として,1件目で更正登記を申請しなければ,本件申請は, 申請書の義務者の記載が登記記録と合致しない場合として却下される。

3 手続判断

⑴ 必要十分な登記事項の主張 登記の目的は,「A持分全部移転」と記載する。登記原因は,取得時効の占有開始日を原因日付と して「昭和63年4月1日時効取得」と記載する。 権利者は,取得持分と併せて「権利者 持分4分の3 B」と記載する。 ⑵ 登記事項の真実性の立証 申請構造は,判決による登記の申請として登記権利者からの単独申請となる。しかし,申請人とな る登記権利者Bは,登記義務者ではないため,登記義務者も「義務者 A」の要領で記載する。 判決による登記申請であるため,登記原因証明情報は,判決正本及び確定証明書を添付しなければ ならない。甲土地は,農地であるが,農地法所定の許可は問題とならず,判決主文による登記手続の 命令が農地法所定の許可を条件とするものではなく,執行文の付与を要しない。 判決による登記申請であるため,登記義務者であるAの甲土地の甲区2番の登記識別情報及び印鑑 証明書の添付を要しない。 他方,所有権移転登記を申請する場合であるため,登記名義人Bの住所証明書として住民票の写し を添付することになる。 代理権限証明情報として,申請人Bの委任状を添付する。 ⑶ 登録免許税の納税 土地の価格は金135万円であり,当該額に移転する持分は4分の3を乗じて得た金101万2,500円に千 円未満の端数があるため,それを切り捨てた金101万2,000円を移転した持分の価格として課税価格と する。これに税率1000分の20を乗じて得た額金2万240円に百円未満の端数があるため,それを切り捨 てた金2万200円が登録免許税額となる。

(8)

項目別過去問集

所有権 4

(9)

伊 藤 塾 出題の手口から本試験を知る講座 - 1 - 不動産登記法

平 成 16年 ( 第 26回 )

5 連 件

文 章 形 式

登記簿に次のような記録(登記事項一部省略)がある甲土地及び乙建物について,司法書士法 務太郎は,当事者から後記事実関係を聴取し,登記申請に必要なすべての書類を受領し,これ らに基づく登記の申請手続について代理することの依頼を受けた。 次の⑴から⑸までの問に答えなさい。 ⑴ 事実関係4の会社分割により生ずる不動産の権利変動(甲区に記録すべきものに限る。) に関する登記の申請情報のうち,「登記の目的」,「登記原因及びその日付」,「申請人」 及び「添付情報」を,第36問答案用紙の第1欄に記載しなさい。 ⑵ 事実関係5の⑴の契約に基づく権利変動について登記を申請するために,前提として必要 となる登記申請の内容,その申請の添付情報及びその登記が必要となる理由(150字以内) を,第36問答案用紙の第2欄の該当部分に記載しなさい。 ⑶ 事実関係5の⑴の契約に基づく権利変動に関する登記の申請情報の記載事項のうち,「不 動産の表示」,「代理人の表示」,「登記所の表示」,「申請年月日」を除いた事項を,第 36問答案用紙の第3欄に記載しなさい。 ⑷ 事実関係5の⑷の契約に基づく権利変動に関する登記の申請情報の記載事項のうち,「不 動産の表示」,「代理人の表示」,「登記所の表示」,「申請年月日」を除いた事項を,第 36問答案用紙の第4欄に記載しなさい。 ⑸ 事実関係5の⑸の契約に基づく権利変動に関する登記の申請情報の記載事項のうち,「不 動産の表示」,「代理人の表示」,「登記所の表示」,「申請年月日」を除いた事項を,第 36問答案用紙の第5欄に記載しなさい。 ◆出題の手口から本試験を知る講座 不動産登記法 年度別過去問集 サンプル◆

(10)

年度別過去問集 - 2 - 答案用紙(イメージ) 第1欄 登記申請書に記載すべき登記の目的,登記原因及びその日付,申請人及び添付情報 第2欄 (その1) 必要となる登記申請の内容 必要となる添付情報 第2欄 (その2) 登記が必要となる理由(次の記載欄をすべて使用すると,150字となる。) 第3欄 登記申請書に記載すべき事項(不動産の表示,代理人の表示,登記所の表示及び申 請年月日を除く。) 第4欄 登記申請書に記載すべき事項(不動産の表示,代理人の表示,登記所の表示及び申 請年月日を除く。) 第5欄 登記申請書に記載すべき事項(不動産の表示,代理人の表示,登記所の表示及び申 請年月日を除く。)

(11)

伊 藤 塾 出題の手口から本試験を知る講座 - 3 - 不動産登記法 (登記記録の記録) 甲土地及び乙建物(内容は,同一である。) 表題部(省略) 甲区1番 (省略) 2番 所有権移転 平成18年2月3日第123号 原 因 平成18年2月3日売買 所 有 者 A株式会社 乙区1番 (あ)根抵当権設定 平成18年12月13日第12345号 原 因 平成18年12月13日設定 極 度 額 金1億5,000万円 債権の範囲 商品売買取引 債 務 者 A株式会社 根抵当権者 株式会社C商事 共同担保目録(こ)第1961号 1番 (い)根抵当権設定 平成18年12月13日第12345号 原 因 平成18年12月13日設定 極 度 額 金3,000万円 債権の範囲 金銭消費貸借取引 債 務 者 A株式会社 根抵当権者 株式会社Dファイナンス 共同担保目録(こ)第1962号

(12)

年度別過去問集 - 4 - (事実関係) 1 食料品,日用雑貨品,書籍・文房具類の販売等を行っているA株式会社(代表取締役は, aである。)は,会社分割により新たにB株式会社を設立して,A株式会社の書籍・文房具 類の販売部門の営業(以下「本件販売事業」という。)を承継させることとなった。 2 1の会社分割の内容は,おおむね次のとおりとされた。 ⑴ A株式会社は,新設するB株式会社(資本金1億円)に対し,本件販売事業の全部を承 継させるため,新設分割を行う。 ⑵ B株式会社が会社分割に際して発行する株式は,すべてA株式会社に割り当てる。 ⑶ B株式会社は,A株式会社の本件販売事業にかかわる現金,預貯金,売掛金,棚卸資産 等の流動資産及び固定資産(甲土地及び乙建物)並びにA株式会社が甲土地及び乙建物に 設定している根抵当権によって担保される債務を除いた本件販売事業に関連する買掛金, 借入金等の負債のすべてを承継する。 ⑷ B株式会社の取締役はa,b及びc,監査役はdとし,A株式会社の役員構成と同じに する。代表取締役は,bとする予定である。 3 A株式会社は,1の会社分割に先立って,設立するB株式会社の取引銀行とすることを予 定している株式会社E銀行と交渉を重ね,また,担保の関係については,A株式会社の取引 先である株式会社C商事及び株式会社Dファイナンスを加えて協議を行った。 4 平成29年3月31日,2の内容のとおりの会社分割の手続が終了し(B株式会社の代表取締 役には,bが選任された。),その翌日,会社分割によるB株式会社の設立登記及びA株式 会社の会社分割による変更登記が申請され,その登記手続がそれぞれ終了した。 なお,この会社分割の分割計画書には,B株式会社がA株式会社から承継する資産として, 甲土地及び乙建物の記録がある。 5 平成29年4月5日,関係当事者で,次の⑴から⑸までの内容の契約が締結され,同年4月 7日に登記を申請することになった。 ⑴ 株式会社C商事は,甲土地及び乙建物に設定されている極度額1億5,000万円の確定前 の根抵当権を,極度額7,000万円の根抵当権と極度額8,000万円の根抵当権とに分割して, 極度額8,000万円の根抵当権を株式会社E銀行に譲り渡す。 ⑵ ⑴による分割後の株式会社C商事の極度額7,000万円の根抵当権については,A株式会 社を債務者とする。 ⑶ ⑴により株式会社E銀行が譲り受けた根抵当権については,B株式会社を債務者とする とともに,被担保債権の範囲を銀行取引並びに手形債権及び小切手債権とする。 ⑷ 株式会社E銀行が譲り受けた根抵当権の順位を1番とし,株式会社C商事を根抵当権者 とする根抵当権及び株式会社Dファイナンスを根抵当権者とする根抵当権を,株式会社E 銀行の根抵当権に劣後する同順位とする。 ⑸ 株式会社Dファイナンスを根抵当権者とする根抵当権の極度額を,2,000万円増加して, 5,000万円とする。

(13)

伊 藤 塾 出題の手口から本試験を知る講座 - 5 - 不動産登記法 (注) 答案の作成に当たっては,次の点に注意して記載しなさい。 1 上記事実関係中の行為は,すべて適法に行われており,法律上必要な書類は適式に作成さ れているものとする。 2 登記の申請に際し,必要な登記の申請情報及び申請情報と併せて提供することが必要な情 報の提供は,書面を提出する方法(ただし,磁気ディスクを提出する方法を除く。)により するものとする。また,株式会社等法人が申請人となる場合は,当該申請人の会社法人等番 号を提供する方法によって,登記申請を行うものとする。 3 登記事項及び申請人を記載するには,本店,住所又は代表機関の資格及び氏名を記載する ことを要せず,株式会社等法人が申請人となる場合であっても,会社法人等番号の記載を要 しないものとし,「A株式会社」は「A」,「B株式会社」は「B」,「株式会社C商事」 は「C」,「株式会社Dファイナンス」は「D」のように省略して記載すれば足りる。また, 「申請人」を記載するに当たっては,「権利者」,「義務者」,「所有者」等の表示を記載 する。 4 添付情報を記載するには,設問⑴から⑷までについては,例えば「住所証明情報」のよう に概括的に記載し,設問⑸については,登記原因証明情報及び会社法人等番号を除き,個々 の具体的書面の名称を明記し,また,だれに関するものか特定することができるものは,そ れも明記する。 5 訂正,加入又は削除をしたときは,押印や字数を記載することを要しないが,削除は二重 線で行い,挿入は挿入する部分を明示して行うなど,その内容が明確に分かるようにする。

(14)

年度別過去問集

- 6 - 【Memo】

(15)

伊 藤 塾 出題の手口から本試験を知る講座 - 7 - 不動産登記法

平 成 16年 ( 第 26回 ) フ レ ー ム ・ コ ン ト ロ ー ル と 様 式 例

第1

F コン ・レ ベ ル1

原 因関 係と 登 記の 種類 の判 断

新設分割

事実1から4には,平成29年4月1日,A株式会社がB株式会社を設立し,書籍・文房具類 の販売部門の営業を承継させる新設分割の事実が示されているため,新設分割の法律関係を法 律構成する。 新設分割の法律関係が原因関係となるか否かは,元本確定前の根抵当権については,分割会 社が根抵当権者又はその債務者であるか否か,所有権及び抵当権(元本確定後の根抵当権)に 関しては分割計画書の記載内容を検討して判断する。

⑴ 元本確定前の根抵当権への影響

甲土地及び乙建物の登記記録から,乙区1番(あ)及び1番(い)の根抵当権の債務者とし てA株式会社が登記されていることが分かる。いずれの根抵当権も元本確定事由に該当する事 実は示されていないため,いずれも元本確定前の根抵当権の債務者を分割会社とする新設分割 となる。この場合,会社分割の効力発生時までの既発生債務は特則により根抵当権の被担保債 務となり,かつ,会社分割後に分割会社及び新設会社が発生させる不特定債務も根抵当権の被 担保債務となるため(民398の10Ⅱ),根抵当権が後発的に共用化する。 この法律効果は「変更」であり(民177),登記の対象となる権利変動は,権利内容の変更 として「変更」となり(法3),権利変動の登記の原因関係となる。登記の種類は,登記事項 を変更させる「変更登記」となる。 なお,根抵当権の債務者変更であるため,申請手続の骨格は,申請方式を単純な共同申請に 修正する。

⑵ 甲土地及び乙建物の所有権に対する影響

事実4には,分割計画書にB株式会社がA株式会社から承継する資産として,甲土地及び乙 建物の記録がある旨の事実が示されているため,新設分割により甲土地及び乙建物の所有権は A株式会社からB株式会社へ移転する。 この法律効果は「変更」であり(民177),登記の対象となる権利変動は,権利主体の変更 として「移転」となり(法3),権利変動の登記の原因関係となる。登記の種類は,新たに登 記名義人を記録する記入登記となり,記入原因は合併と異なり特定承継であるため「特定移転 登記」となる。 定額課税 F 「変更登記」の申請手続の骨格 権 利 付記 (承諾情報) 申請 義 主登記 (登記識別情報) 【変更登記の登記事項】 ① 登記の目的 ② 登記原因及びその日付 変更後の事項 ③ 権利の内容 ④ 権利者の氏名及び住所

(16)

年度別過去問集 - 8 - なお,甲土地及び乙建物は,既に甲区2番まで登記されているため,移転登記に代えて所有 権の保存登記を申請する余地はない。

分割譲渡

事実5の⑴には,平成29年4月5日,株式会社C商事が,元本確定前の根抵当権を,極度額 7,000万円の根抵当権と極度額8,000万円の根抵当権とに分割して,極度額8,000万円の根抵当 権を株式会社E銀行に譲り渡す旨の事実が示されているため,分割譲渡の法律関係を法律構成 する。 分割譲渡により根抵当権は2個分割され,うち1個の根抵当権が移転する。この法律効果は 「変更」であり(民177),登記の対象となる権利変動は,分割譲渡が全部譲渡の一種として 民法に規定されているため権利主体の変更として「移転」となり(法3),権利変動の登記の 原因関係となる。登記の種類は,新たに登記名義人を記録する記入登記となり,記入原因は特 定承継であるため「特定移転登記」となる。なお,分割譲渡では,根抵当権が2個に分割され, 同順位の根抵当権が発生するため,設定登記の要素を加えて,特定移転登記を考えることにな る。 なお,本問では,当該権利変動について登記を申請するために,前提として必要となる登記 申請の内容,その申請の添付情報及びその登記が必要となる理由(150字以内)が問われてい るが,これは,上記1の新設分割による1番(あ)根抵当権の債務者変更登記である。当該登 記を申請しなければ,会社分割による変更が先に生じているため中間省略登記禁止の原則に抵 触するだけでなく,申請情報の内容である登記の目的である権利が登記記録と合致しない場合 として申請が却下されるからである(法25⑥)。

債務者変更

事実5の⑵には,平成29年4月5日,上記2の分割譲渡後の株式会社C商事の根抵当権の債 務者をA株式会社とする旨の事実が示されているため,債務者の変更契約の法律関係を法律構 成する。 これにより債務者が変更する。この法律効果は「変更」であり(民177),登記の対象とな る権利変動は,権利内容の変更として「変更」となり(法3),権利変動の登記の原因関係と なる。登記の種類は,登記事項を変更させる「変更登記」となる。 定率課税 【移転登記の登記事項】 ① 登記の目的 ② 登記原因及びその日付 ③ 権利の内容 ④ 権利者の氏名及び住所 F 「特定移転登記」の申請手続の骨格 権 申請 義 承諾 (登記識別情報) 定率課税 【移転登記の登記事項】 ① 登記の目的 ② 登記原因及びその日付 ③ 権利の内容 ④ 権利者の氏名及び住所 F 「特定移転登記」の申請手続の骨格 権 申請 義 承諾 (登記識別情報)

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伊 藤 塾 - 1 -

第 3 部

役 員 等 の 変 更

第 1

総 説

36

役員等の変更登記総説

■ 出題状況

⑴ 役員等変更登記の位置付け

役員等の変更登記は,昭和54年から平成28年までの全38回の出題の中で,それが全く問われ なかったのは昭和55年(募集株式の発行,発行可能株式総数の変更),昭和58年(募集株式の 発行,準備金の資本組入れ,株式無償割当て,なお会社法では共同代表は登記能力が否定され ている),平成5年(剰余金の資本組入,株式分割,発行可能株式総数の変更,株主総会議事 録の不十分・不適切な部分の指摘)の3年分に過ぎず,その出題率は,実に約92.10%に達し ている。 この出題量からみても,商業登記の書式において基準点をクリヤーするためには,必須の学 習領域となっている。

⑵ 役員等の変更登記の論点構造

役員等の変更登記は,「退任登記の判断」,「選任登記の判断」,「総合判断」を構成要素 とし,これらの判断を順次行って結論を得る構造となっており,「タテ型論点(重層構造)」 の1つとして位置づけられるものである。

⑶ 退任登記の判断

退任原因 役員等 過去問 任期満了 取締役 22 回 昭 54(代兼),昭 56(代兼),昭 60,昭 61,平1(代兼),平6(代兼務),平7(代兼),平 10(代兼),平 11(代兼),平 12(代兼),平 15(代兼), 平 16(公開移行,代兼),平 18(代兼),平 19(代兼),平 20(代兼),平 21 (代兼),平 23(代兼),平 24(公開移行,代兼),平 25(代兼),平 26(代 兼),平 27(代兼),平 28(分割会社の監査等委員会設置会社の定め設定・ 代兼) 監査役 20 回 昭 54,昭 56,昭 59,昭 60 年,平1,平3,平6,平8,平 10(限定廃止),平 11,平 15(権限廃止),平 16,平 18,平 19(監査役廃止),平 21(限定 廃止),平 23,平 24,平 26(監査役廃止),平 28 年(分割会社の監査役設置 会社の定め廃止),平 28(承継会社の権限限定の定め廃止) 辞任 取締役 9回 昭 59(期限,代兼),昭 60(期限),平3(期限),平4(条件,代兼),平6,平 19,平 23(権利義務者),平 24(代兼) 平 27(権利義務者) 監査役3回 平 13,平 20,平 24 会計監査人1回 平 23 解任2回 平9(代表取締役の解職),平 15(権利義務取締役) 死亡3回 平 11(権利義務取締役),平 13(取締役),平 23(監査役) 欠格事由1回 平 25(取締役の後見開始) その他の退任1回 平 20(取締役の破産,代兼) 「退任登記の判断」とは,「退任者」と「退任原因及び日付」を判断し,かつ,退任者が「権 利義役員」となり,退任登記の申請ができなくなるか否かの判断をいう。 退任登記の判断のうち最も基本的で重要なものは,「任期満了による退任」であり,この判 断がどれ程,迅速・正確に行えるかが書式攻略の鍵を握っていると言って過言ではない。

⑷ 選任登記の判断

役員等 過去問 取締役の選任 32 回 昭 54,昭 56,昭 57,昭 60,昭 61,平1,平3,平2,平6,平7,平8,平9,平10,平 11,平 12,平 14,平 15,平 16,平 18,平 19,平 20,平 21(2回),平 23(2 回),平 24(2回),平 25,平 26,平 27,平 28(分割会社で監査等委員である取締役, ◆出題の手口から本試験を知る講座 商業登記法 講義テキスト サンプル◆

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- 2 - それ以外の取締役の選任),平 28(承継会社の会社分割の効力発生を条件とした取締 役の増員) 監査役の選任 25 回 昭 54,昭 56,昭 59,平 60,昭 61,平1,平3,平6,平8,平 10,平 11,平 14,平 15,平 16,平 18,平 20(2回),平 21,平 23(2回),平 24(2回),平 25,平 27,平 28(権限限定の定め廃止に伴う改選) 代表取締役の選定 25 回 昭 54,昭 56,昭 63,平1,平2,平6,平7,平8,平9,平 10,平 11,平 12,平 14,平 15,平 18,平 19,平 20,平 21,平 23,平 24(2回),平 25,平 27,平 28 (分割会社),平 28(承継会社で予選無効) 会計監査人の選任 6回 通常選任⇒昭 61,平 11 みなし再選⇒平 16,平 20,平 23,平 28 会計参与の選任 平 19(監査役との入れ替え) 特別取締役の選任 平 21 「選任登記の判断」のうち最も基本的で重要なものは,後任者の選任(選定)であり,上記 の任期満了による退任と並んで書式攻略の鍵を握る論点となっている。

第 2

退 任 登 記 の 判 断

2- 1

任期 満了 に よる 退任

37

任期満了による退任登記の暫定答案の判断

⑴ 取締役・代表取締役が退任し,新たな取締役・代表取締役が就任する場合

登 記 の 事 由 取締役及び代表取締役の変更 登記すべき事項 平成○年6月 25 日取締役安部一郎は任期満了により退任 同日代表取締役安部一郎は資格喪失により退任 同日次の者就任 取締役 志村五郎 東京都台東区台東一丁目 26 番2号 代表取締役 佐藤花子 登 録 免 許 税 金1万円 (平6,平18,平27)

⑵ 遅れて開かれた定時総会等で,取締役及び代表取締役を改選する場合

登 記 の 事 由 取締役,代表取締役の変更 登記すべき事項 平成○年6月 30 日次の者退任 取締役 安部一郎 同加藤次郎 同佐藤花子 同日代表取締役安部一郎は資格喪失により退任 平成○年7月2日次の者就任 取締役 安部一郎 同加藤次郎 同佐藤花子 平成○年7月3日就任 東京都杉並区和泉三丁目2番1号 代表取締役 安部一郎 登 録 免 許 税 金3万円 (平1,昭56は臨時総会で改選,平15は翌年の定時で後任者選任,平10は定時総会で員数満た さない後任者を選任し臨時総会で不足分を補充)

⑶ 取締役は権利義務取締役となるが,権利義務代表取締役とはならない場合

登 記 の 事 由 代表取締役の変更 登記すべき事項 平成○年5月 25 日代表取締役丙野五郎は資格喪失により退任 登 録 免 許 税 金3万円 (平11)

⑷ 監査役の任期満了による改選の場合

登 記 の 事 由 監査役の変更

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伊 藤 塾 - 3 - 登記すべき事項 平成○年9月 28 日監査役志賀亮太は任期満了により退任 平成○年5月 13 日監査役志賀亮太就任 登 録 免 許 税 金1万円 (平8)

⑸ 監査役会を廃止し,監査等委員会を設置したことによる役員の改選の場合

登 記 の 事 由 監査役設置会社の定め廃止,監査役会設置会社の定め廃止 監査等委員会設置会社の定め設定 役員等の変更 登記すべき事項 平成○年5月 30 日監査役設置会社の定め廃止 同日監査役会設置会社の定め廃止 同日監査等委員会設置会社の定め設定 平成○年5月 30 日次の者任期満了により退任 監査役D 監査役(社外監査役)E 監査役(社外監査役)F 取締役C 同日次の者就任 取締役(社外取締役)G 取締役・監査等委員D 取締役・監査等委員(社外取締役)E 取締役・監査等委員(社外取締役)F 同日次の者重任 取締役A 取締役B 東京都新宿区甲町1番地 代表取締役 A 登 録 免 許 税 金9万円 (平28(分割会社))

⑹ 監査役の権限限定の定め廃止に伴う監査役の改選の場合

登 記 の 事 由 監査役の変更 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定め廃止 登記すべき事項 平成○年6月 28 日監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定 め廃止 同日監査役Kは任期満了により退任 同日監査役L就任 登 録 免 許 税 金1万円 (平28(承継会社))

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任期計算の方法

⑴ 前提情報の収集

任期満了による退任は,任期計算に必要となる情報を収集し,それに基づき任期計算をして 退任者と退任日を判断する。任期計算の前提となる情報は,①定款の任期の定め(補欠・増員 者の任期の短縮修正及び任期の変更を含む),②事業年度(事業年度の変更を含む),③定時 総会の開催期間(定めがなければ最長期の補充解釈),④定款変更による役員等の任期満了の 有無,⑤権利義務役員を判断するための員数の定め(法定員数の確認を含む)である。 ① 定款の任期の定めの把握 定款に任期の定めがなければ,会社法に規定されている任期が「法定任期」として適用され る。また,定款で法定任期と同様の定めをしている場合にもその取扱いは法定任期と同様にな る。 役員等 任期 過去問 通 常 の 会 社 の取締役 選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時まで(会 332Ⅰ) 昭 54,昭 56,昭 59,昭 60,昭 61,平1,平3,平4, 平6,平7,平8,平 10, 平 11,平 12,平 15,平 16, 平 18,平 19,平 20,平 23,

(20)

- 4 - 平 26,平 28(分割会社の移 行前) ※法定任期から選任後1年以内に終了する事業年度のうち最 終のものに関する定時総会の終結の時までに任期を短縮変更 平 21(2年から1年) 非公開会社⇒定款で定めれば,選任後 10 年以内に終了する事 業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時までに 任期を伸長可能(会 332Ⅱ) 未出題 ※非公開会社の上記の例外任期から法定任期に任期を短縮変 更 平 25(10 年から2年),平27(5年から2年) 監 査 等 委 員 会 設 置 会 社 の取締役 監査等委員である取締役の任期は,選任後2年以内に終了す る事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時ま で(会 332Ⅰ) 平 28(分割会社の移行後) それ以外の取締役の任期は,選任後1年以内に終了する事業 年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時まで(会 332Ⅲ) 平 28(分割会社の移行後) 監査役 選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関す る定時総会の終結の時まで(会 336Ⅰ) 昭 54,昭 56,昭 59,昭 60,昭 61,平1,平3,平4, 平6,平7,平8,平 10, 平 11,平 12,平 15,平 16, 平 18,平 19,平 20,平 23 非公開会社⇒定款で定めれば,選任後 10 年以内に終了する事 業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時までに 任期を伸長可能(会 336Ⅱ) 未出題 会計参与 選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関す る定時総会の終結の時まで(会334Ⅰ・同332Ⅰ) 未出題 非公開会社⇒定款で定めれば,選任後 10 年以内に終了する事 業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時までに 任期を伸長可能(会 334Ⅰ・同 332Ⅱ) 未出題 会計監査人 選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関す る定時総会の終結の時まで(会 338Ⅰ) 平 16,平 20,平 23 定款で定めて任期の伸長,短縮することはできないが,事業 年度を変更し,最初の事業年度を1年6か月に定めた後に会 計監査人を選任すれば,当該変更後最初の事業年度に係る定 時総会まで実質的に任期は伸長(平 21.12.17東京法務局通知) 未出題 定款の任期の定めには,補欠監査役の任期の短縮修正の定め,取締役及び会計参与について 補欠者・増員者の任期の短縮修正の定めが含まれ,また,任期の変更(平21,平25)があれば それを含めて情報を集めることになる。 なお,監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社の会計参与は,監査等委員である取 締役以外の取締役,指名委員会等設置会社の取締役と同様,「選任後1年以内に終了する事業 年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時まで」となり(会332Ⅲ・同332Ⅰの読替), 監査等委員である取締役の定款による補欠者の任期の短縮(会332Ⅳ)の規定は適用除外とな っている。 補欠・増員の任期修正 過去問 補欠又は増員により就任した取締役の任期は,他の取締役 の任期の満了すべき時まで(監査等委員である取締役を除 く) 昭 56,平1,平 12,平 26 任期満了前に退任した監査役の補欠にとして選任された監 査役の任期は,退任した監査役の任期の満了すべき時まで (監査等委員である取締役を含む) 昭 56,平1,平 12,平 20

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伊 藤 塾 出題の手口から本試験を知る講座 - 1 - 商業登記法

№ 70

平 成 18年

登 記 申 請 書 作 成

役 員

取 締 役 ・ 代 表 取 締 役 及 び 監 査 役 の 変 更

司法書士法務律子は,平成29年6月12日に事務所を訪れたA出版株式会社の代表取締役から, 別紙1,3及び4の書類のほか必要書類の交付を受け,別紙5のとおり事情を聴取した。司法 書士法務律子は,登記すべき事項や登記のための要件などを説明したところ,必要な登記申請 書の作成及び登記申請の代理を依頼された。司法書士法務律子は,この依頼に基づき,同月13 日,A出版株式会社の本店の所在地を管轄する登記所に登記を申請した。 以上に基づき,答案用紙の第1欄には,アからオまでの項目ごとに登記申請書に記載すべき 事項を記載し,第2欄には,司法書士として登記の申請を代理すべきでない事項(会社法上登 記すべき事項とされていない事項を除く。)があるときはその事項及びその理由を簡潔に記載 しなさい。 (答案作成上の注意事項) 1 A出版株式会社においては,明記されている場合を除き,定款に法令の規定と異なる別段 の定めはないものとする。 2 別紙中,(以下省略)又は(中略)と記載されている部分は,有効な記載があるものとす る。 3 登記申請書に添付すべき書面は,すべて調えられており,議事録には所要の署名押印がさ れているものとする。 4 申請書に添付すべき書面について,他の書面を援用することができることが明らかなとき は,これを援用しなければならない。 5 解答欄に記載すべき事項がない場合には,該当の解答欄に斜線を引く。 別紙1 登記事項証明書の内容の抜粋 商 号 A出版株式会社 本 店 東京都中央区中央一丁目1番1号 発行可能株式総数 30,000株 発行済株式の総数並びに種類及 発行済株式の総数 び数 12,000株 各種の株式の数 普通株式 10,000株 優先株式 2,000株 資本金の額 金8,000万円 金1億2,000万円 平成27年10月1日変更 株式の譲渡制限に関する規定 当会社の普通株式及び優先株式は,取締役会の承認がなけ れば譲渡することができない。 役員に関する事項 取締役 赤井花子 平成27年6月10日就任 取締役 青田一郎 平成27年6月10日就任 取締役 白田二郎 平成27年6月10日就任 取締役 黒田雪子 平成28年6月14日就任 東京都渋谷区渋谷二丁目2番2号 代表取締役 赤井花子 平成27年6月10日就任 監査役 紺野月子 平成25年6月12日就任 監査役 紫林四郎 平成26年6月14日就任 取締役会設置会社に関する事項 取締役会設置会社 監査役設置会社に関する事項 監査役設置会社 ◆出題の手口から本試験を知る講座 商業登記法 項目別過去問集 サンプル◆

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項目別過去問集 役員 - 2 - 別紙3 平成29年6月5日定時株主総会の議事概要 議決権のある株式の株主,全員出席 (中略) 第1号議案 平成28年度(平成28年4月1日から平成29年3月31日まで)の決算報告に関する 件 (中略) 第2号議案 取締役及び監査役の選任に関する件 議長は,本定時株主総会の終結と同時に任期満了退任する取締役及び監査役の後任として次 の者を選任することを議場に諮ったところ,満場異議なくこれを承認可決した。なお,被選任 者は,即時就任を承諾した。 住所 東京都中野区中野三丁目3番3号 取締役 甲野太郎 住所 東京都(以下省略) 取締役 乙野風子 住所 埼玉県(以下省略) 監査役 丙野五郎 (以下省略) 別紙4 平成29年6月5日取締役会の議事概要 取締役及び監査役,全員出席 (中略) 議案 代表取締役の選定に関する件 黒田雪子は,代表取締役を選定する必要がある旨を述べ,その選定を諮ったところ,全員一 致により次の者が選定され,被選定者は,即時就任を承諾した。 代表取締役 甲野太郎(住所 東京都中野区中野三丁目3番3号) 別紙5 司法書士の聴取記録 1 A出版株式会社では,貸借対照表の負債の部に計上した金額の合計額が10億円を超えたこ とはない。また,A出版株式会社では,旧商法特例法上の大会社特例規定の適用を受ける旨 の定款の定めを設けたことはない。 5 A出版株式会社の定款には,取締役の任期が選任後2年以内に終了する事業年度のうち最 終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする旨の定めがある。なお,A出版株式会 社では,これまで役員を予選したことはなく,役員は,選任と同時に就任を承諾している。 6 会社法の施行時において,A出版株式会社の定款には,同法第389条第1項の規定により 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めがある。

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伊 藤 塾 出題の手口から本試験を知る講座 - 3 - 商業登記法

№ 70

平 成 18年

登 記 申 請 書 作 成

役 員

取 締 役 ・ 代 表 取 締 役 及 び 監 査 役 の 変 更

1 解答例

株式会社変更登記申請書 1 商 号 A出版株式会社 1 本 店 東京都中央区中央一丁目1番1号 1 登 記 の 事 由 取締役,代表取締役及び監査役の変更 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定め 1 登記すべき事項 平成 29 年6月5日次の者退任 取締役赤井花子,取締役青田一郎,取締役白田二郎 監査役紺野月子 同日代表取締役赤井花子資格喪失により退任 同日次の者就任 取締役 甲野太郎 取締役 乙野風子 東京都中野区中野三丁目3番3号 代表取締役 甲野太郎 監査役 丙野五郎 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある 1 登 録 免 許 税 金3万円 1 添 付 書 類 定款 1通 取締役会議事録 1通 株主総会議事録 1通 株主の氏名または名称,住所及び議決権等を証する書面(株主リスト) 1通 取締役,代表取締役,監査役の就任を承諾したことを証する書面は各議事録の記載を援用する。 印鑑証明書 5通 委任状 1通 (以下,申請日,申請人,申請代理人,登記所の表示は省略)

2 会社の形態

商号中に株式会社の文字が含まれ,会社成立年月日等からいつ設立されたが明らかとはならないものの, 「旧商法特例法上の大会社特例規定の適用を受ける旨の定款の定めを設けたことはない」旨の記載があるた め(別紙5の1)「旧株式会社」と判断できる。 株式の全部についての株式の譲渡制限に関する規定があるため「非公開会社」である。 登記事項証明書の抜粋から「取締役会設置会社」,「監査役設置会社」である。 登記された資本金の額が1億 2,000 万円であり,負債総額が 10 億円を超えたことがない旨が示されてい るため(別紙5の1),「非大会社」となる。

3 取締役,代表取締役及び監査役の変更

⑴ 実体判断 ① 役員の退任 本問の別紙3の2号議案では,定時総会終了時に任期満了する取締役赤井花子,青田一郎,白田二郎及び 監査役紺野月子の後任者を選任する決議が行われている。 また,取締役赤井花子は代表取締役でもあるため,取締役の退任に伴い,代表取締役としても退任する。 なお,取締役黒田雪子は,平成 28 年6月 14 日に選任されているため,平成 30 年の定時総会で退任するこ とになり,今回は改選の対象とならない。 取締役,監査役が退任する定時株主総会において,員数を満たす後任者が就任しているため,上記の者が 権利義務役員に該当することはない。 ② 役員選任の実体判断 取締役及び監査役の選任権限は,株主総会が有する。決議要件は特殊な普通決議となるが,別紙3の記載 から,議決権を行使することができる株主全員が出席し,「満場異議なく…承認可決した」旨の記載がある ことから,当該決議に瑕疵はない。後任取締役及び監査役の選任決議は,予選となるが,予選決議から効力

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項目別過去問集 役員 - 4 - 発生までの間が相当程度の短期間であり,合理性も認められるため,適法である。 選任された取締役・監査役について,欠格事由・兼任禁止違反に該当する事実は示されていないため,被 選任者は適法に就任することができる。 代表取締役の選定決議も適式に行われており,被選定者は適法に就任することができる。 ③ 監査役の監査の権限を会計に関するものに限定する旨の定めの登記 会社法施行時点(H18.5.1)において資本金1億円以下かつ非公開会社であった会社は,平成 18 年5月1 日をもって,監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款規定を置いたものとみなされる (整備 53)。 会社法の改正により,監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めが新たに登記事項とな った。改正法施行時点において既に監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款規定を置い ている会社は,改正会社法施行後初めてする監査役の退任登記又は就任登記までに,監査役の監査の範囲を 会計に関するものに限定する旨の定め設定の登記を申請すれば足りる(附則 22Ⅰ)。 事例の会社は,旧株式会社であり,非公開会社であり,会社法施行時の資本金の額は1億円以下であった ものと判断できるため,別紙5の聴取記録6の記載がなくとも,会社法施行時点である平成 18 年5月1日 時点で整備法により定款で監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めが設定されたとみ なされた会社であることがわかる。事例の平成 29 年6月5日の監査役紺野月子の退任及び丙野五郎の就任 に関する登記が改正会社法施行後,最初の監査役の就任登記又は退任登記に当たるため,これらの監査役の 変更登記に併せて,監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めがある旨の登記を申請しな ければならない。 ⑵ 架橋判断 取締役の退任により取締役の登記事項が消滅するが,株式会社の登記事項を全体から観察すれば,設立の 登記事項の変更に過ぎず,登記の種類は「変更の登記」となる。 退任した取締役が代表取締役でもあり,権利義務取締役に該当しない限り,併せて代表取締役の退任登記 を申請しなければならない。 ⑶ 手続判断 ① 必要・十分な登記すべき事項の決定 登記の事由は,「取締役,代表取締役,監査役の変更,監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定す る旨の定め設定」の要領で記載する。 登記すべき事項は,役員の退任については,退任の旨及び年月日,退任する役員の氏名であり,役員の就 任については,就任の旨及び年月日の他,取締役及び監査役については,氏名であり,代表取締役について は,氏名及び住所である。また,監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めの登記も登記 すべき事項となり,これらを解答例の要領で「役員区」に整理して記載する。 ② 登記すべき事項の真実・安定性の担保 取締役及び監査役の退任を証する書面として,別紙3の「株主総会議事録」を添付する。また,退任する 役員が特定されていないため,原則どおり,株主総会議事録のほかに,任期及び定時株主総会の開催時期を 明らかにするための「定款」を,取締役,監査役の退任を証する書面(法 54Ⅳ)として添付する。 会社法施行の際現に監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社 が,経過措置の終了後に監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある旨の登記 をする場合の登記の申請書には,定款又は監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定 めの設定の決議をした株主総会議事録を添付しなければならない。 ただし,整備法 53 条の規定により,監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定め があるものとみなされた株式会社については,当該定めの設定の決議をしていないため株主総会の議事録を 添付することができず,定款によっても監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定め があることを確認することができない場合には,上記の添付書面に代えて,上記の添付書面を添付すること ができないことを確認することができることを証する書面(代表者の作成に係る証明書)を添付しなければ ならない(平 27.2.6民商第 13 号通達第9.4⑵)。本問では,別紙5聴取事項6の記載より,監査役の監 査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めがあることを定款より確認できるため,定款を添付すれば 足りる。 後任取締役及び監査役の選任を証する書面として,別紙3の「株主総会議事録」を添付する。 また,代表取締役の選定決議を証する書面として別紙4の「取締役会議事録」を添付する。 被選任者,被選定者は席上就任を承諾しているため,注4に従い,就任承諾書は各議事録記載を援用しな ければならない。 取締役,監査役(再任を除く)の就任の登記では,就任を承諾したことを証する書面に記載した氏名及び 住所と同一の氏名及び住所が記載されている市区町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該取締

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伊 藤 塾 出題の手口から本試験を知る講座 - 5 - 商業登記法 役等が原本と相違ない旨を記載した謄本を含む)を添付しなければならない(規 61Ⅶ本文)。ただし,就任 承諾書や選定議事録についての印鑑証明書を添付した者については,この限りでない(同但書)。本問では, 取締役甲野太郎及び取締役乙野風子並びに監査役丙野五郎が今回新たに就任するが,後述のとおり,代表取 締役甲野太郎の就任登記の添付書面として,同人らの印鑑証明書を添付することになるため,これと一括申 請する取締役甲野太郎及び取締役乙野風子並びに監査役丙野五郎の就任登記については,氏名及び住所を証 する書面(本人確認証明書)の添付を要しない。 代表取締役の就任による変更であるため,選定議事録の印鑑証明書及び就任承諾書の印鑑証明書が問題と なる。前任者赤井花子は,取締役として再選されておらず,変更前の代表取締役が登記所届出印を議事録に 押印することにより,取締役会議事録についての印鑑証明書の添付を省略できる例外には該当しない。取締 役会議事録に署名義務を負う取締役甲野太郎,乙野風子,黒田雪子,監査役丙野五郎,紫林四郎分の合計5 通の「印鑑証明書」を添付する。 権限を会計監査権に限定した監査役は,取締役会への出席義務はないが,出席した場合には取締役会議事 録への署名義務を負うため(民事局商事課4.26・5-27p10,日司連Q&A20p7,「論点解説新・会社法」 Q505p365),監査役が取締役会に出席している限り,その監査役が権限限定監査役か否かを問わず,印鑑証 明書の添付が必要となる(商業登記ハンドブック第2版(以下「ハンドブック」)p393)。 設問の会社の定款には,権限限定の定めがあるが(聴取記録6),別紙4の取締役会には監査役も出席し た旨の記載があるため,監査役の印鑑証明書も添付しなければならない。 ③ 登録免許税の計算 取締役,監査役及び代表取締役の変更登記並びに監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の 定めの登記は,役員の変更登記として,登録免許税は,原則として1件金3万円,資本金の額が1億円以下 の会社では1件金1万円の定額課税となる(登免税別表1.24.⑴カ)。A出版株式会社の資本金の額は,金 1億 2,000 万円であるため,登録免許税の額は金3万円となる。

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項目別過去問集

役員 - 6 -

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伊 藤 塾 出題の手口から本試験を知る講座 - 1 - 商業登記法

平 成 18年 ( 第 28回 ) : 取 締 役 の 一 部 及 び 監 査 役 の 定 時 株 主 総 会 に お け る 改 選 ,

代 表 取 締 役 の 改 選 ,新 株 予 約 権 の 行 使 ,株 式 分 割 ,株 式 分 割 と 同 時 に す る 発 行

可 能 株 式 総 数 の 変 更 及 び 単 元 株 式 数 の 増 加 変 更 の 瑕 疵

司法書士法務律子は,平成29年6月12日に事務所を訪れたA出版株式会社の代表取締役から, 別紙1から別紙4までの書類のほか必要書類の交付を受け,別紙5のとおり事情を聴取した。 司法書士法務律子は,登記すべき事項や登記のための要件などを説明したところ,必要な登記 申請書の作成及び登記申請の代理を依頼された。司法書士法務律子は,この依頼に基づき,同 月13日,A出版株式会社の本店の所在地を管轄する登記所に登記を申請した。 以上に基づき,第37問答案用紙の第1欄には,アからオまでの項目ごとに登記申請書に記載 すべき事項を記載し,第2欄には,司法書士として登記の申請を代理すべきでない事項(会社 法上登記すべき事項とされていない事項を除く。)があるときはその事項及びその理由を簡潔 に記載しなさい。 (答案作成上の注意事項) 1 A出版株式会社においては,明記されている場合を除き,定款に法令の規定と異なる別段 の定めはないものとする。 2 別紙中,(以下省略)又は(中略)と記載されている部分は,有効な記載があるものとす る。 3 登記申請書に添付すべき書面は,すべて調えられており,議事録には所要の署名押印がさ れているものとする。 4 申請書に添付すべき書面について,他の書面を援用することができることが明らかなとき は,これを援用しなければならない。 5 解答欄に記載すべき事項がない場合には,該当の解答欄に斜線を引く。 答案用紙(イメージ) 第1欄 ア 登記の事由 イ 登記すべき事項 ウ 課税標準金額 エ 登録免許税の額及びその内訳 オ 添付書面の名称及び必要な通数 第2欄 ア 登記の申請を代理すべきではない事項 イ 理由 ◆出題の手口から本試験を知る講座 商業登記法 年度別過去問集 サンプル◆

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年度別過去問集 - 2 - 別紙1 登記事項証明書の内容の抜粋 商 号 A出版株式会社 本 店 東京都中央区中央一丁目1番1号 単元株式数 普通株式 10株 優先株式 10株 発行可能株式総数 30,000株 発行済株式の総数並びに種類及 発行済株式の総数 び数 12,000株 各種の株式の数 普通株式 10,000株 優先株式 2,000株 資本金の額 金8,000万円 金1億2,000万円 平成28年10月1日変更 発行可能種類株式総数及び発行 普通株式 24,000株 する各種類の株式の内容 優先株式 6,000株 優先株式は,毎決算期において,普通株式に先立 ち年6分の利益配当を受ける。 株式の譲渡制限に関する規定 当会社の普通株式及び優先株式は,取締役会 の承認がなければ譲渡することができない。 役員に関する事項 取締役 赤井花子 平成27年6月10日就任 取締役 青田一郎 平成27年6月10日就任 取締役 白田二郎 平成27年6月10日就任 取締役 黒田雪子 平成28年6月14日就任 東京都渋谷区渋谷二丁目2番2号 代表取締役 赤井花子 平成27年6月10日就任 監査役 紺野月子 平成25年6月12日就任 監査役 紫林四郎 平成26年6月14日就任 新株予約権に関する事項 第1回新株予約権 新株予約権の数 100個 新株予約権の目的たる株式の種類及び数 普通株式 1,000株 各新株予約権の発行価額 無償 各新株予約権の行使に際して払込みをすべき金額 金10万円 新株予約権を行使することができる期間 平成29年5月1日から平成33年4月30日まで 平成28年12月3日登記 取締役会設置会社に関する事項 取締役会設置会社 監査役設置会社に関する事項 監査役設置会社

参照

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