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日本理学療法士学会版の関節可動域評価指針

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 42 巻第 8 号 763 ∼ 764 頁(2015 日本理学療法士学会版の関節可動域評価指針 年). 763. ワークショップ. 日本理学療法士学会版の関節可動域評価指針* 石 田 和 宏**. はじめに. 作為に選出した 3 名(男性 2 名・女性 1 名)とした。臨床での 経験年数は 6 年,3 年,2 年であり,出身養成校はすべて異なっ.  2012(平成 24)年 12 月に理学療法基本評価検討委員会ワー. ていた。被検者も無作為に 6 名(男性 3 名,女性 3 名)を選. キンググループによる第 1 回の会議が開催され,そこで関節可. 出した。測定項目は股関節屈曲と Straight Leg Rising(以下,. 動域評価(以下,ROM)サブグループが結成された。メンバー. SLR)の 2 種類とした。測定には,プラスチックゴニオメーター. は,秋田大学医学部附属病院の畠山和利氏,甲南女子大学の間. (OG 技研社製,GS-10)を使用した。評価基準は,測定値を 5°. 瀬教史氏,国立研究開発法人理化学研究所の山崎弘嗣氏,そし. 単位で記録すること,測定側は右下肢とし,測定回数は各 1 回,. て著者の計 4 名である。第 50 回日本理学療法学術大会での中. 測定結果は他者に公表しないこと,とした。測定順序は循環法. 間報告に向け,まずは日本理学療法士学会版 ROM 試案を作成. を用いて決定した。なお,検者内の測定誤差を確認するため,. し,続いて検者内・検者間信頼性の検討,パブリックコメント. 48 時間後に 2 回目の測定も行った。結果として,検者内の測. の募集 1),そして日本理学療法士学会版 ROM 指針(以下,学. 定誤差は股関節屈曲にて最大値 15°(最小値 5° ),SLR にて最. 会版 ROM 指針)の作成を行った。本稿では学会版 ROM 指針. 大値 20°(最小値 5° )であった。検者間の測定誤差は,股関節. の必要性,今回作成した学会版 ROM 指針の概要,パブリック. 屈曲にて最大値 20°(最小値 5°),SLR にて最大値 30°(最小. コメントの結果について中心に述べる。. 値 5° )であった。また,各検者における基本軸の位置( “体幹. 学会版 ROM 指針の必要性. と平行な線”または“肩峰と大転子を結ぶ線”または“ベッド 縁と平行な線”),ゴニオメーターのあて方(“片手で保持”ま.  多くの理学療法士は,日本整形外科学会および日本リハビ. たは“両手で保持” ),測定下肢の保持の仕方( “手掌のみで保. リテーション医学会による「関節可動域表示ならびに測定法. 持”または“手掌に加え前腕・上腕なども用いて保持”),固定. (1995 年) 」2) (以下,95 年度版)を基本とし,養成校時代の授. の有無(反対側下肢の固定)などは各々で異なっていた。. 業,実習先での指導内容,さらには免許取得後の臨床経験を踏.  今回の結果については,実際の真値は不明であるものの,臨. まえて“95 年度版の別法”を用いているのが現状であると思. 床的には非常に大きな偶然誤差であるといわざるを得ない。つ. われる。つまり,95 年度版をベースとした国内で未統一な方. まり,治療効果を判断する場合,誤差の最大値である 15°∼. 法を各々が使用していることになる。これは他者が実施した研. 30°を超えなければ“効果有り”と解釈できないことにもなる。. 究結果や症例報告を正しく解釈するうえでの障害となり,誤っ. 今回の実験結果は,あくまでも著者の所属施設のデータではあ. た臨床判断につながる可能性がある。また,理学療法の治療効. るが,冒頭でも述べた通り,国内で未統一な“95 年度版の別. 果のひとつである ROM が統一した方法で測定されていなけれ. 法”を用いている現状を踏まえると,他の施設でも同程度の偶. ば,症例報告や研究を積み重ね,理学療法のエビデンスを構築. 然誤差を認める可能性は十分にある。以上のことからも,学会. することにも大きな障壁となる。そこで,理学療法における効. 版 ROM 指針の必要性は明らかである。. 果をより明確なものとし,さらに高めるためにも,日本理学療 法士学会が中心となり臨床的によりよい ROM の基準を明確に. 学会版 ROM 指針における概要. する必要がある。.  学会版 ROM 指針は,あくまでも 95 年度版の使用を基本と.  著者は,本ワーキンググループの活動に先立ち,ROM にお. した補足資料である。つまり,95 年度版を原則とし,臨床現. ける測定の誤差を確認するひとつの実験を行った。検者は当院. 場にて使用が困難な場合には,学会版 ROM 指針を用いる。. リハビリテーション科に所属する理学療法士 25 名の中から無.  学会版 ROM 指針のポイントを整理すると,1)身体を基準 とする座標系を設定する(「床への垂直線」のような表現は極. *. Range of Motion Evaluation Guideline for Japanese Physical Therapy Society ** 我汝会えにわ病院リハビリテーション科 (〒 061‒1449 北海道恵庭市黄金町中央 2‒1‒1) Kazuhiro Ishida, PT, PhD: Department of Rehabilitation, Eniwa Hospital キーワード:日本理学療法士学会,関節可動域評価,指針. 力避ける),2)あらゆる手段も視野に入れる(メジャー法の使 用も考慮する) ,3)推奨する測定肢位の設定(第一候補を◎, 第二候補を〇),4)測定場面の写真,注意点など具体的に示す, 5)他動運動での測定を基本とする(2 人測定も考慮する)で ある。代表例を図 1 に示す。.

(2) 764. 理学療法学 第 42 巻第 8 号. 図 1 学会版 ROM 指針の代表例 肩甲帯拳上における角度測定(上),メジャーによる距離測定(下)を示す.. パブリックコメントのまとめ.  全体的には,86%以上の会員から「適切である」と「おおよ そ適切である」との良好な回答が得られた。したがって,学会.  平成 26 年 6 月 16 日∼ 7 月 31 日までの期間に日本理学療法. 版 ROM 指針については大半の会員から賛同が得られたと解釈. 士協会ホームページを通してパブリックコメントの募集を行っ. できる。しかし,脊柱については他の部位と比較し「やや不適. た。有効回答数は 44 名(男性 37 名,女性 7 名)であった。. 切である」「不適切である」との回答も多く,特に高齢者や小.   “学会版 ROM 指針の概要”については, 「適切である」が 30. 児における変形を考慮した測定法を検討すべき,などのコメン. 名(68.2%) ,「おおよそ適切である」が 12 名(27.3%) , 「やや. トもあり今後の課題となった。. 不適切である」が 2 名(4.5%)であった。 “肩甲帯”については,.  また,その他のコメントとしては,自動運動と他動運動が混. 「適切である」が 36 名(81.8%),「おおよそ適切である」が 4. 在している,1 人測定が困難な場合には 2 人測定を推奨した方. 名(9.1%),「やや不適切である」が 2 名(4.5%),「不適切で. がよい,測定場面の写真が見づらい・不適切である,基本軸・. ある」が 2 名(4.5%)であった。 “肩”については, 「適切である」. 移動軸における骨指標を再検討した方がよい,などが多かった。. が 41 名(93.2%) , 「おおよそ適切である」が 2 名(4.5%), 「や.  以上のご指摘に加え,個々のコメントに対しても再検討し,. や不適切である」が 1 名(2.3%)であった。 “肘・前腕”につ. 第 50 回日本理学療法学術大会での中間報告に至った。. いては, 「適切である」が 43 名(97.7%), 「おおよそ適切である」 が 1 名(2.3%)であった。 “手指”については, 「適切である」. おわりに. が 41 名(93.2%), 「おおよそ適切である」が 3 名(6.8%)であっ.  本稿では,学会版 ROM 指針の必要性,概要,パブリックコ. た。“股関節”については, 「適切である」が 41 名(95.3%), 「お. メントの結果について述べた。今後は,年代別基準値を作成し,. およそ適切である」が 1 名(2.3%),「やや不適切である」が 1. 2016 年度の公表をめざしている。. 名(2.3%)であった。“膝・足関節・足部”については,「適 切である」が 39 名(88.6%),「おおよそ適切である」が 2 名 (4.5%) , 「やや不適切である」が 3 名(6.8%)であった。 “脊柱” については, 「適切である」が 30 名(68.2%),「おおよそ適切 である」が 8 名(18.2%) , 「やや不適切である」が 4 名(9.1%) , 「不適切である」が 2 名(4.5%)であった。. 文  献 1) 日本理学療法士学会ホームページ 学会版 MMT および学会版 ROM 評 価 指 針 に 関 す る パ ブ リ ッ ク コ メ ン ト 募 集.http://jspt. japanpt.or.jp/publiccomment/(2015 年 7 月 12 日引用) 2) 米本恭三,石神重信,他:関節可動域表示ならびに測定法.リハ ビリテーション医学.1995; 32(4): 207‒217..

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参照

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