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第2子を迎え入れる母親に対する準備教育プログラムの開発と評価

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Academic year: 2021

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原  著

上智大学(Sophia University)

2015年6月4日受付 2016年1月6日採用

第2子を迎え入れる母親に対する

準備教育プログラムの開発と評価

Development and evaluation of a preparatory education program

for mothers having their second child

礒 山 あけみ(Akemi ISOYAMA)

* 抄  録 目 的  第2子を迎え入れる母親に対し,2人の同時育児への適応を促すために,妊娠期における準備教育プロ グラムを開発し評価する。 対象と方法  準備教育プログラムは,ADDIEモデルを方法論的枠組みとし,先行研究を基盤にニーズ分析および 目的と構成を考案し開発し,第2子妊娠中の母親に対し準備教育プログラムを実施した。便宜的標本抽 出による準実験研究により介入群と対照群の2群を設定し,介入前後に自己記入式質問紙調査により, 第2子妊娠中の母親の育児意識の『母親から見た第1子の様子』『2人の同時育児に対する意識』および『子 ども観尺度』を評価した。 結 果  第2子妊娠中の母親の年齢は30歳未満11名,30∼35歳未満24名,35歳以上24名であった。第2子妊娠 時の第1子年齢は4歳未満48名,4歳以上11名であった。介入群(n=31),対照群(n=28)の二元配置分 散分析の結果,『母親が認識している第1子の様子』の「第1子は第2子の抱っこをするという」(p<.05) において介入群に有意に増加し,第1子が第2子に関心を示す行動が強化された。『2人の同時育児に対 する意識』の「2人同時育児の肯定感」(p<.05),「2人同時育児のイメージ化ができている」(p<.05)に おいて介入群に有意に増加し,2人の育児に対してポジティブに捉えていた。一方,「2人同時育児の負 担感」(p<.05),「第2子出産で行動が制限されるようになった」(p<.05),「気持ちを休めることができ ない」(p<.05)において介入群に有意に低下した。 結 論  第2子を迎え入れる母親に対する準備教育プログラムは,第1子に対する理解を高め,母親の育児意 識に対しポジティブな影響を及ぼし,2人の同時育児の適応を促すための経産婦に特化したプログラム として有効であることが示された。 キーワード:第2子妊娠,介入プログラム,育児意識,育児支援、出産教育

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第2子を迎え入れる母親に対する準備教育プログラムの開発と評価

Abstract Purpose

The purpose of this study to mothers who welcome a second child, in order to facilitate the adaptation to two simultaneous child care to evaluate and develop a preparatory education during pregnancy.

Subjects and Methods

We developed a preparatory education program based on the ADDIE model and compared between two groups: an intervention group and a control group The outcome variables were "mothers' awareness of the first child's condition," "awareness of caring for both children simultaneously," and "child's outlook scale". These vari-ables were measured before the program, one week after birth, and one month after birth.

Results

Two-way analysis of variance of the results of the intervention group (n=31) and control group (n=28) on "mother's awareness of the first child's condition" showed that "the first child hugged the second child" (p <.05) in the intervention group, suggesting an enhanced interest of the first child towards the second child. As for "aware-ness of caring for both children simultaneously," the intervention group showed "positive feelings about caring for both children" (p <.05) and "being able to imagine caring for both children simultaneously" (p <.05), suggesting a positive attitude towards raising two children.

Conclusion

The education program specifically developed for multiparous women is useful for promoting the adaptation to caring for two children simultaneously.

Key words: second child pregnancy, nursing intervention program, childcare awareness, childcare support, child-birth education

Ⅰ.緒   言

 子どもを産み育てるという体験は楽しいことばかり ではなく,時として育児による制約感やストレスが生 じる体験であることから,育児に意義を見出せない母 親たちが増えている(厚生労働省,2014)。親となる体 験は心理学的には「発達危機」とも捉えられていこと から,親としての新たな役割課題を達成し適応してい くための支援が求められている(法橋,2010, pp.67-71)。 特に初めて親になる母親に対しては,妊娠・出産・育 児のすべてが初めての体験であることからそれらに関 する知識や技術の習得の機会として,母親学級や両親 学級として病産院や保健センターなどで手厚く実施さ れている。  一方,第1子の育児経験を持つ経産婦にはサポート 体制が充分整っていない現状がある。経産婦は妊娠・ 出産・育児経験を持つことから,看護者の支援が手薄 なりやすい傾向にある。しかし,第1子を育てながら 第2子を妊娠中の母親は,第1子の育児経験があって も2人の育児を同時に行うことは初めてである事,育 児の対象者が増えることから,初産婦と同様に2人の 親になるという新たな役割課題を達成し適応していく ための支援を求めている(礒山,2010, p.18;Sawicki, 1997, pp.298-302;Smith, 2013, pp.20-24)。 経 産 婦 に は初産婦と異なる,第1子の育児と2人の同時育児に 関する知識や技術が必要となる(須藤・片岡,2007, pp.26-27;中村・片岡・堀内,2006, pp.85-93;小島・ 入澤・脇田,2001, pp.212-221)。そのため妊娠中より 母親と家族に対して幼児期の特徴やかかわり方,第1 子が兄姉になる心理的準備のための支援の必要性が指 摘されるものの(礒山,2010a, pp.22-23;小嶋・兵頭・ 水畑他,2009, pp.9-15;大月・森,2002a, pp.31-40),我 が国においては経産婦に対する研究や対応が十分なさ れないまま現在に至っている。  地域協同体の機能が失われていく中で,家族成員が 一人増員するということは,母親にとって身体的に も心理的にも育児の負担感が増大する(礒山,2010a, pp.22-23)。今後さらに核家族化が進行する中,支援 が得られにくい経産婦のために家族員を迎え入れる準 備教育の開発が必要である。そこで本研究は経産婦の 教育的支援ニーズに応えるために,第2子を迎え入れ るための準備教育を開発することを目的とする。開発 するプログラムは,従来行われている妊婦教育として 一般に周知されている両親学級や母親学級とは異な る,経産婦に特化した内容で構成される準備教育であ る。経産婦に対する準備教育が開発されれば,母親に とっては第1子と第2子の2人を同時に育児していくた めの知識や技術,態度の獲得につながり,健やかな家 族形成への支援となる。助産学および看護学教育にと っては母親とその家族が各々の役割行動を遂行できる

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得のための準備教育のプランを立案する際の新学習内 容となる。父親,母親,第1子の各々の家族員の役割は, 新たな家族員の誕生に伴い変化する。父親̶母親にと っては,2人の子どもを育てる役割が求められ,第1子 にとっては新たに兄姉役割の獲得が求められる。本研 究で用いる第2子を迎え入れるとは,それらの役割機 能が発揮できるように家族員それぞれが適応する過程 とする。準備教育とは,父親̶母親̶第1子からなる 家族が第2子の誕生に伴う新たな役割の獲得に円滑に 適応するために,母親の第2子妊娠中に看護職によっ て実践される教育とする。

Ⅱ.研 究 方 法

1.研究デザイン  第2子妊娠中の母親に対し第2子を迎え入れるための 準備教育を行い,参加した母親を介入群とし,参加し ない母親を対照群として設定した2群間を比較する介 入研究であり,便宜的標本抽出法による準実験研究デ ザインである。成果変数について準備教育の実施前後 (妊娠中・出産後1週間および1か月)の変化を検討した。 2.研究の対象と期間  対象は産婦人科外来に妊婦健康診査に来院しており, 幼児を第1子に持つ第2子妊娠中の母親とし,順調な経 過を辿り,里帰りせず核家族であることとした。準備 教育実施期間は,2011年11月5日∼2012年7月26日で あり,調査期間は2011年11月から2012年11月であった。 3.第2子を迎え入れる母親に対する準備教育の内容 と構造  本プログラムの方法論的枠組みとして,インストラ クショナルデザイン教育設計のADDIEモデル(Gagńe, Keller, Golas, et al., 2007, pp.21-50)を選択し,第2子を 迎える母親の支援ニーズおよび準備教育の目的・目標 を達成するための教育内容を抽出しプログラムを開発 した(図1)。準備教育の目的は,第2子を迎え入れる 母親が新しい役割変化に適応し,第1子と第2子の2人 同時の育児へ適応することができることとした。目標 は,第2子妊娠中から出産・育児を経験する母親の特 徴が理解できる,兄姉になる第1子の感情が理解でき る,第1子の特徴を踏まえた育児が実践できる,妊娠 中から第1子が兄姉になる準備の必要性を理解し準備 父母・義父母に育児を分担してもらい協力を得ること ができる,とした。教育内容は,第2子妊娠中から出 産・育児を経験する母親の特徴の理解や兄姉になる第 1子の特徴と接し方の理解,第1子が兄姉になる準備 の実施および父親・実父母・義父母に対する育児参加 の促進とした。これらの知識・技術の習得・態度の変 容を促すために,クラス運営と面接を組み合わせた教 育方法とした。開催時期や回数は,第2子妊娠中の母 親は第1子の育児を行いながらの妊娠生活であるため, 腹部増大とともに身体的に負担が増すことから,妊娠 が安定した妊娠中期と妊娠後期の2回を1クールとし 1回60分とした。経産婦は2人目の子どもだから,仕 事をしているからなどの理由から3割以上の者が母親 学級への参加を希望しなかったことから(尾花・味村, 2007,pp.84-86),母親及び第1子を含めた家族が参加 できるように実施開催は週末に設定した。  使用媒体は,第1子が第2子誕生に興味を示し兄姉 になることについて知ることで,兄姉としての役割適 応のための準備となるため,独自に作成した絵本を用 いた。絵本には子供の語彙を豊かにし言葉で表現する 力や感動する心,想像力,知的好奇心を育てることに よって情緒が安定し社会活動で自分を豊かに表現しよ うとする意欲を引き出すという効果(Trelease, 1987, pp.33-62)や,情緒・感性を養う効果がある(河合・ 松居・柳田,2010,pp.119-124)。絵本のストーリーは, 第1子が興味・関心を持つ内容であることが必要であ るという意見をもとに,第1子を主人公とし,第2子 の誕生について理解を促すための内容とした。準備教 育が必要な第1子の年齢は,乳幼児期であり自我意識 が芽生え発達していく3歳前後の時期であることを念 頭に置いて作成した。利用方法は自宅で読み聞かせが できるようにした。なお,一連の準備教育は,教育学 および助産学研究者と検討した。 4.測定用具 1 ) 準備教育の有効性を評価する成果変数  準備教育の有効性の検証には第2子妊娠中の母親に 対する準備教育の目的の達成度を測定することで評価 できることから,独自に開発した成果変数として,第 2子妊娠中の母親の育児意識の『母親から見た第1子の 様子』『2人の同時育児に対する意識』と,既存の『子ど も観尺度』(福丸・無藤・飯長,1999,pp.190-192)の3 つを設定した(表2)。第2子妊娠中の母親の育児意識

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第2子を迎え入れる母親に対する準備教育プログラムの開発と評価 は,先行して行った第2子妊娠中の母親20名を対象と した育児に対する主観的体験を明らかにした結果(礒 山,2010a, pp.17-23;礒山,2010b,pp.29-36)及び,先 行研究(礒山,2013,pp.33-41)をもとに33項目を抽出 した。それらの質問項目の選択および下位尺度の構成 の妥当性確認のため,第2子妊娠中の母親70名に調査 を行った。『第2子妊娠中の母親の育児意識』の全項目 の信頼性係数は0.75であった。 2 ) 『母親から見た第1子の様子』と『2人の同時育児に 対する意識』の因子分析による構成概念妥当性と信 頼性の検討  第2子妊娠中の母親の育児意識の,『母親から見た第 1子の様子』の9項目および『2人の同時育児に対する 意識』の24項目について構成概念妥当性の検証のため 因子分析を行った。『母親からみた第1子の様子』の9 項目について,主因子法でのプロマックス回転で固有 値1のカイザー基準で因子を抽出し2因子が採用され た。第Ⅰ因子は「第1子は第2子に対して興味を示す」 「第1子は赤ちゃんのことをよく話す」「第1子は第2子 をいたわる行動をとる」「第1子はきょうだいを受け入 れる準備が整いつつある」など,第1子に対してポジ ティブな様子の項目のため,《第1子に対するポジティ ブな受け止め》とした。第Ⅱ因子は「第1子はききわけ のないふるまいをする」「第1子は精神的に不安定であ る」など,第1に対してネガティブな様子の項目であ るため,《第1子に対するネガティブな受け止め》とし 【項目】 【教育内容】 【方法】 【使用媒体】 【留意点】 【項目】 【教育内容】 【方法】 【使用媒体】 【留意点】 兄姉になる第1子の特徴 兄姉になる第1子の特徴 準備教育(第1回) 準備教育(第2回) 現在の第1子の状況について 第2子を迎え入れる第1子の気 持ち 第1子が誕生した時の母親の 気持ち 第2子妊娠中から出産・育児を経験する母親の特徴 第2子妊娠中から出産・育児 を経験する母親の特徴 第1子が兄姉になる準備性 を高める方法 第1子が兄姉になる準備性 を高める方法 第1子が兄姉になる準備性 を高める方法 父親・祖父母に対する育児 参加の促進 父親・祖父母に対する育児 参加の促進 ディスカッション ディスカッション 説明・ディスカッ ション 説明・ディスカッ ション 説明・ディスカッ ション 説明・ディスカッ ション 説明・ディスカッ ション 資料「退行現象の事例」 絵本「赤ちゃんがうまれる」 第1子が主人公である兄姉に なる気持ちについてのストー リー 絵本「赤ちゃんがうまれる」 第1子が主人公である兄姉に なる気持ちについてのストー リー 資料「第2子妊娠中の母親の 心理について」「妊娠中か ら第2子出生にかけて第2子 への関わり方」 資料「第2子妊娠中の母親の 特徴」 資料「妊娠中から第2子出生 にかけて第1子への関わり方」 「子育て情報」 自己紹介および第1子の年齢 出産に臨む準備を含め,第1子の出産 時の状況を想起してもらう。 第2子を妊娠してから現在に至る第1 子の状況についてディスカッション することで共有する。 第2子を迎え入れる第1子の気持ちや 態度を説明する。 絵本の内容について電子媒体を用い て説明する。母親が自宅に帰っても 第1子が兄弟を受け入れる準備の方法 として活用してもらう。母親・父親・ 祖父母に対して読み聞かせを促す。 自宅で絵本を読み聞かせた回数や読 み聞かせした母親の感想,第1子の 様子など話してもらう。 第1子時および第2子出産後の支援状 況を話してもらう。第1子時の子育て 支援利用の感想など話してもらう。 先行文献結果を用いて,第2子妊娠 中の母親の心理を説明する。 今の第1子の状況を話してもらいな がら勧める。 赤ちゃ んの誕生について 担当者の自己紹介と 助産師 の仕事について,本日のクラ スの内容および時間・留意点 の説明 担当者の自己紹介と 助産師 の仕事について,本日のクラ スの内容および時間・留意点 の説明 病院・地域支援の情報提供 (助産師外来,母乳外来, 育児サークル,子育て支援 センター,保健センターで の育児相談等) 第2子妊娠中の母親の心理 について 父親・祖父母の支援状況と 対応 絵本のよみきかせの感想 2人の育児の知恵 退行現象への対応 図1 第2子を迎え入れる母親に対する準備教育プログラム

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Ⅰ因子0.89,第Ⅱ因子0.63であった。  次に,『2人の同時育児に対する意識』の24項目につ いて主因子法によるプロマックス回転で2因子が採用 され,最終的に2因子20項目とした。第Ⅰ因子は「気 持ちを休めることができない」「身体を休めることが できない」「ひとりにしてほしい時間がある」など,育 児に関する負担感についての項目のため《2人同時の 育児の負担感》とした。第Ⅱ因子は「第1子のあかちゃ んがえりを受け止めることができる」「2人同時の育児 のイメージ化ができている」など育児に関する肯定感 の項目のため《2人同時の育児の肯定感》とした。全項 目のα係数は0.63,下位尺度のα係数は第Ⅰ因子0.81, 第Ⅱ因子0.71であった。回答方法は,そう思わないか ら,そう思う,の5件法で尋ね,平均値を算出した。 3 ) 子ども観尺度によるOutcome analysis  第2子を迎えるための準備教育は,家族員それぞれ の役割適応を目的としている。子供を自分の中でどの ような意味を持つ存在として捉えているかを測定する ことで2人同時育児への適応を測定することができる と考えた。そのため,子ども観尺度(福丸・無藤・飯長, 1999, pp.190-192)を用いた。5因子22項目を,そう思 うから,思わない,の4段階リッカートの素点の合計 を項目数で割った得点を各因子の尺度得点としている。 各因子のα係数は因子Ⅰ0.82,因子Ⅱ0.80,因子Ⅲ0.66, 因子Ⅳ0.85,因子Ⅴ0.78であった。尺度利用について は作成者に利用趣旨を説明し承諾を得た。 4 ) 準備教育に参加した群のProcess analysis  介入群に対し出産後1週間および1か月時点におい ての,クラスの総合評価,用いた冊子について、絵本 の内容,自宅での利用の仕方について,クラス実施の 時間についてそう思わないから,そう思う,の5件法 で尋ね,平均値を算出した。 5.分析方法  対象者の属性について介入群および対照群について, χ2検定,期待度数5未満ではfisher's直接確率検定を行 った。準備教育の介入有無による成果変数の測定に は,被験者内因子を時期(妊娠中・出産後1週間及び1 か月),被験者間因子を介入の有無とする二元配置分 散分析を行った。統計解析には統計パッケージSPSS Statistics21.0J for Windowsを使用しp<.05を有意差あ りとした。  依頼する施設に調査の趣旨と方法,倫理的配慮を説 明し了解を得た。研究協力者には妊婦健康診査に来院 した際に口頭および文書で説明した。研究の趣旨と方 法,研究協力は自由意志であること,研究協力を途中 で中断しても不利益のないことを保証し,得られた データを本研究以外に使用しないこと,研究結果を公 表する際には匿名性を厳守することを説明した。回答 された質問紙の提出をもって参加の同意が得られたと した。対照群の倫理的配慮は産後1か月の調査終了後, 準備教育に用いた資料と絵本を活用していただくよう 郵送した。本研究は国際医療福祉大学大学院研究倫理 審査委員会において承認されている(10-203)。

Ⅲ.結   果

1.対象者の特性  研究の参加に同意したものは77名であった。うち 有効回答数は59名(76.6%)であった(図2)。介入群39 名中,有効回答31名(79.5%),対照群38名中有効回 答は28名(73.7%)であった。対象者の特性について, 表1に示した。妊娠週数について介入群の17名(54.8%) が妊娠28週以降であるのに対し対照群の26名(92.9%) が妊娠28週以降であった(p<.001)もの,他の特性に ついては両群間に有意な差は認められなかった。第1 産後1週間質問紙調査 参加者77名 介入群39名 対照群38名 ベースライン調査 準備教育受講者 32名 介入群32名 対照群33名 産後1か月質問紙調査 介入群31名 対照群28名 脱落者7名 脱落者5名 脱落者5名 脱落者1名 図2 研究対象者の有効回答状況

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第2子を迎え入れる母親に対する準備教育プログラムの開発と評価 表1 対象者の特性 項 目 介入群(n=31) 対照群(n=28) 有意確率 第2子出産時第1子年齢 4歳以上8歳未満4歳未満 27 4 87.1%12.9% 21 7 75.0%25.0% 0.196 ns 第1子性別 男児女児 1219 38.7%61.3% 1117 39.3%60.7% 0.094 ns 妊娠週数 28週未満28週以降 1417 45.2%54.8% 226 7.1%92.9% 0.001 *** 第2子出産年齢 30歳以上35歳未満30歳未満 35歳以上45歳未満 6 13 12 19.4% 41.9% 38.7% 5 11 12 17.9% 39.3% 42.9% 0.949 ns 同居の有無 同居なし同居有 922 29.0%71.0% 424 14.3%85.7% 0.172 ns 就業の有無 ありなし 1219 38.7%61.3% 1315 46.4%53.6% 0.549 ns 託児の有無 ありなし 1417 45.2%54.8% 1315 46.4%53.6% 0.922 ns χ2 test(期待値5以下はfisherの直接法)(***p<.001) 表2 準備教育の有効性を評価する変数によるアウトカム 成果変数 介入群(n=31) 対照群(n=28) 主効果 交互作用 産後1週 産後1か月 妊娠中 産後1週 産後1か月 妊娠中 産後1週 産後1ヵ月 群 時期 群 時期 『母親から見た第1子の様子』  《第1子に対するポジティブな受け止め》 14.94 6.33 19.26 5.95 21.19 4.41 16.39 6.17 18.89 5.05 21.79 3.76 ns *** ns *** *妊娠期<産褥1週   第1子は第2子に対して興味を示す 3.29 1.55 4.26 1.06 4.61 0.76 3.43 1.26 4.25 1.08 4.75 0.44 ns *** ns ***   第1子は赤ちゃんのことをよく話す 3.00 1.55 3.81 1.40 4.10 1.19 3.11 1.47 3.61 1.32 4.32 0.91 ns ** ns ***   第1子は第2子をいたわる行動をする 3.10 1.33 3.94 1.26 4.29 1.43 3.43 1.43 3.93 1.15 4.57 0.69 ns ** ns ***   第1子はきょうだいをうけいれる準備が整いつつある 2.74 1.26 3.58 1.15 4.13 0.99 3.07 1.39 3.71 0.90 4.00 1.05 ns *** ns ***   第1子は第2子を抱っこするという 2.81 1.54 3.68 1.60 4.06 1.32 3.36 1.42 3.39 1.55 4.14 1.56 ns * ns ****   第1子は要求に答え 3.52 0.89 3.71 0.94 3.68 1.01 3.43 1.30 3.61 0.99 3.64 0.91 ns ns ns ns  《第1子に対するネガティブな受け止め》 12.81 2.43 13.97 2.59 14.42 3.04 12.21 2.92 12.96 3.31 13.79 2.73 ns ns ns ***   第1子はくっつきたがる 3.74 1.13 3.84 1.19 3.97 1.17 3.96 1.11 3.68 1.42 4.11 0.99 ns ns ns ns   第1子はききわけのないふるまいをする 3.26 1.06 3.45 1.21 3.65 1.28 2.75 1.43 2.96 1.20 3.25 1.18 ns ns ns **   第1子は精神的に不安定である 2.29 1.04 2.97 1.20 3.13 1.28 2.07 1.15 2.71 1.27 2.79 1.29 ns *** ns *** 『2人の同時育児に対する意識』  《2人同時育児の肯定感》 31.65 4.34 35.13 3.56 35.45 4.37 32.86 4.39 34.21 3.86 35.00 4.35 ns *** ns *** **妊娠期<産褥1週   第1子のあかちゃんがえりを受け止めることができる 3.32 0.91 3.74 1.00 3.81 1.01 3.39 1.07 3.54 0.96 3.71 0.81 ns * ns **   二人同時育児のイメージ化ができている 2.23 0.96 2.71 0.97 3.19 1.08 2.89 1.03 2.71 0.90 3.11 1.07 ns ns ns *** *妊娠期<産褥1週 妊娠期<産褥1か月   育児は楽しい 4.00 0.82 4.10 0.83 4.32 0.70 3.82 0.95 3.82 0.82 4.11 0.79 ns ns ns **   第1子の育児経験を生かして楽しみたい 4.19 0.79 4.61 0.56 4.65 0.55 4.04 0.84 4.46 0.79 4.36 0.87 ns *** ns ***   女性としての自分に満足している 2.97 1.05 3.19 1.01 3.06 1.15 3.18 1.02 3.50 0.96 3.29 1.15 ns * ns ns   第1子をほめることが多くなった 3.55 0.89 4.10 0.94 3.65 1.05 3.75 1.01 3.89 0.83 4.07 0.94 ns * ns ns   第2子妊娠出産で第1子の成長を感じた 3.81 1.17 4.68 0.54 4.77 0.50 3.93 1.15 4.43 0.74 4.57 0.69 ns *** ns ***   第1子の子育ては上手くいっていると思う 3.35 0.88 3.32 0.91 3.29 0.97 3.39 0.79 3.46 0.58 3.21 0.88 ns ns ns ns   あかちゃんがえりは時間の経過と共になくなると思う 4.23 0.88 4.68 0.54 4.71 0.64 4.46 0.69 4.39 0.74 4.57 0.57 ns ns ns* *妊娠期<産褥1週  《2人同時育児の負担感》 34.77 7.32 33.93 8.02 36.03 7.16 33.32 7.84 37.18 5.50 37.11 6.01 ns ns ns ** *妊娠期<産褥1週   気持ちを休めることができない 2.97 1.17 2.84 1.39 2.71 1.40 2.93 1.30 3.36 0.95 3.36 1.19 ns ns ns ns *妊娠期<産褥1週   身体を休めることができない 3.23 1.06 3.26 1.37 2.97 1.33 3.39 1.03 3.75 0.80 3.71 1.08 ns ns ns ns   ひとりにして欲しい時間がある 3.65 1.20 3.26 1.34 3.45 1.23 3.82 1.22 3.75 1.01 3.57 1.14 ns ns ns ns   第1子との物理的な遊びは減ったがコミュニケーションは増えた 3.35 1.02 3.45 1.12 3.52 1.06 3.36 1.13 3.57 0.79 3.57 1.00 ns ns ns ns   第1子を叱ってしまう 3.10 1.30 2.74 1.18 3.87 1.09 3.00 1.54 2.89 1.23 3.14 1.30 ns ns ns *   第1子と遊ぶ時間が減った 2.58 1.36 3.48 1.31 3.87 1.06 2.36 1.25 3.79 0.69 4.04 0.96 ns *** ns ***   第1子の要求に対して忙しいから後でねと拒否しがち 3.06 0.96 2.90 1.17 3.32 0.95 2.68 1.19 3.14 0.93 3.25 1.14 ns ns ns ** *妊娠期<産褥1週   良い母親にならなくてはと焦る 2.84 1.10 2.48 1.26 2.52 1.21 2.71 1.24 2.96 1.04 2.64 1.06 ns ns ns ns   第1子との関わり方に戸惑いがある 2.23 1.26 2.65 1.50 2.61 1.43 1.93 1.05 2.46 1.26 2.39 1.26 ns * ns *   第1子のあかちゃんがえりが心配である 4.03 0.91 3.39 1.23 3.26 1.24 3.46 1.29 3.29 0.98 3.11 1.29 ns * ns **   第2子妊娠誕生で行動が制限されるようになった 3.74 1.15 3.48 1.12 3.94 1.15 3.68 1.02 4.21 0.83 4.32 0.91 ns ns ns ** *妊娠期<産褥1週 『子ども観尺度』  《充実楽しみ》 22.25 2.01 22.80 1.64 22.48 1.61 21.82 3.04 21.89 2.71 21.89 3.70 ns ns ns ns  《制約負担》 13.93 3.09 13.09 3.11 13.45 3.15 14.39 3.71 14.35 3.03 14.35 2.58 ns ns ns ns  《社会的存在》 10.70 1.97 10.90 2.37 10.97 2.37 10.54 2.82 11.14 3.11 10.86 2.85 ns ns ns ns  《生きがい》 6.68 1.28 6.55 1.36 6.61 1.43 6.61 1.45 6.96 1.40 6.86 1.58 ns ns ns ns  《無関心低価値》 6.29 1.72 6.23 1.65 6.58 2.13 5.71 1.41 6.29 1.76 6.46 1.84 ns ns ns * Two Way ANOVA, (*p<.05, **p<.01)

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2.準備教育の有効性を評価する成果変数の結果 1 ) 妊娠中と出産後1週間および出産後1か月の『母親 から見た第1子の様子』  介入群と対照群の『母親から見た第1子の様子』の 変化を介入の有無別【2群(妊娠中・出産後1週間お よび1か月)】【2群(時期)】の二元配置分散分析で検 討した(表2)。結果,交互作用を認め介入群が出産 後1週間において有意に増加した項目は,「第1子は 第2子を抱っこするという」【F(1,57)=4.351, p=.041】, であった。《第1子に対するポジティブな受け止め》 【F(1,57)=0.324, p=.571】,第1子対するネガティブな受 け止め》【F(1,57)=1.488, p=.228】は交互作用が認められ なかった。妊娠中と出産後1か月の介入群と対照群の 『母親から見た第1子の様子』の結果,すべての項目で 交互作用は認められなかった。 2 ) 妊娠中と出産後1週間および出産後1か月の『2人 の同時育児に対する意識』  介入群と対照群の母親が認識している『2人の同時育 児に対する意識』の変化を介入の有無別【2群(妊娠中 ・出産後1週間)】【2群(時期)】の二元配置分散分析 で検討した。結果,交互作用が認められ介入群が増加 した項目は,《2人同時の育児の肯定感》【F(1,57)=5.906, p=.008】,「2人同時育児のイメージ化ができている」 【F(1,57)=7.097, p=.010】,「あかちゃんがえりは時間の 経過と共になくなると思う」【F(1,57)=6.112, p=.02】で あった。  一方,交互作用を認め対照群が増加した項目は,《2 人同時の育児の負担感》【F(1.57)=6.916, p=.011】,「第 1子への愛情が半分になってしまうのではと心配」 【F(1.57)=0.763, p=.008】,「第1子の要求に対して忙し いから後でねと拒否しがち」【F(1,57)=4.366, p=.041】, 「第2子妊娠誕生で行動が制限されるようになった」 【F(1,57)=5.813, p=.019】,「気持ちを休めることができ ない」【F(1,57)=2.499, p=.019】であった。  介入群と対照群の母親が認識している『2人の同時 育児に対する意識』の変化を介入の有無別【2群(妊娠 中・出産後1か月)】【2群(時期)】の二元配置分散分 析で検討した。結果,交互作用を認め介入群に有意に 増加した項目は「2人同時育児のイメージ化ができて いる」【F(1,57)=7.034, p=.01】であった。 度』  介入群と対照群の「子ども観尺度」の変化を介入 の有無別【2群(妊娠中・出産後1週間および1か月)】 【2群(時期)】の二元配置分散分析で検討した。結 果,《充実楽しみ》【F(,57)=.735, p=.395】,《制約負担》 【F(1,57)=.999, p=.322】,《社 会 的 存 在 》【F(1,57)=.808, p=.372】,《生きがい》【F(1,57)=2.204, p=.143】,《無関心 低価値》【F(1,57)=2.555, p=.115】であり,どの項目も交 互作用はみられなかった。 3.準備教育に参加した群のProcess analysis  準備教育に参加した群の総合評価として,用いた資 料や絵本を読み聞かせているときの気持ち,絵本の内 容や自宅での利用方法,プログラムの内容や運営方法 について,良いから,悪い,の5件法で尋ねた平均を 求めた。出産後1週間の総合評価は4.57 0.50,用いた 資料4.4 0.68,絵本を読み聞かせているときの気持ち 4.23 0.73,読み聞かせに用いた絵本4.17 0.87,プロ グラム内容は4.47 0.57,運営時間4.4 0.62であった。 出産後1か月の結果,読み聞かせている気持ち4 0.95, 読み聞かせに用いた絵本3.97 0.94であった。出産後1 か月の絵本の読み聞かせ回数は1週間に2.83 1.15回で あった。

Ⅳ.考   察

1.準備教育に参加した対象者の特性  介入群と対照群の属性は,第2子出産時第1子年齢, 第2子出産年齢,同居・就業・託児の有無で比較した 結果,ほぼ同質な集団とみなしうる。しかしながら妊 娠週数は28週以降が介入群で15%を占めたのに対し 対照群は92.9%であり有意差が認められた。介入群と 対照群の割り付けは,厳密なRCTの手法を取らなか ったことが影響している。しかし週数による介入群と 対照群のアウトカムを比較した結果,28週未満と以降 の結果において有意な差は認められなかった。従って ベースラインにおいては同質な集団と言える。本研究 の対象者は平均年齢が32.9歳であった。出産順位別に みた母の平均年齢の年次推移は平成24年で32.1歳(厚 生労働白書,2015)であるため,一般的な属性の第2子 妊娠中の母親であるといえる。

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第2子を迎え入れる母親に対する準備教育プログラムの開発と評価 2.成果変数からみた準備教育の介入効果  第2子妊娠中の母親の育児意識である『母親から見 た第1子の様子』の9項目のうち出産後1週間で有意に 増加した項目は「第1子は第2子を抱っこする」であっ た。要因は,準備教育に母親と参加した第1子の割合 は67%であった。第1子が準備教育に参加することで きょうだいを迎え入れる準備ができたといえる。準備 教育では,第1子が兄姉になる準備に関する内容が含 まれており,第1子が興味や関心を持つことができる ように絵本を用いた。母親は第1子に対し妊娠中から 第2子を迎えいれる準備として絵本を用い,日々の育 児の中で兄姉になる第1子の特徴を理解しながら,き ょうだいを受け入れる準備を整え出産を迎えたので はないかと考えられる。第1子がきょうだいを迎え入 れる上でも妊娠中からの準備が示唆されていた(礒山, 2010a, pp.22-23;大月・森,2002a,pp.31-40;小嶋・ 兵頭・水畑他,2009,pp.9-15)ことから,本研究の介 入により,開発した準備教育の効果は一部支持された。  第2子を迎えるための準備教育は,第2子妊娠中の 母親の育児意識の『2人の同時育児に対する意識』の成 果変数で2人の同時育児への適応に対する介入効果が 認められた。準備教育の目的は,第2子を迎え入れる 第1子の感情が理解できる,兄姉になる第1子の特徴 を踏まえた育児が実践できる,妊娠中から第1子が兄 姉になる準備の必要性を理解し行動できる,である。 準備教育で幼児期の自我の発達などの特徴について 説明したことや,第1子の関わり方について説明した ことで知識を習得したことが効果の要因であると考え る。先行研究(礒山,2010a,pp.17-23;Sawicki, 1997, pp.298-302;大月・森,2002b,pp.332-339;須藤・片 岡,2007,pp.26-27;中村・片岡・堀内,2006,pp.85-93)では,兄姉になる第1子の特徴と接し方の理解に 関する必要性を述べているが提案や推論でしかなかっ た。本研究において,兄姉になる第1子の特徴と接し 方の理解を促す介入をすることで効果が得られたこと に大きな意義がある。最も重視していた成果変数は「2 人同時の育児のイメージ化ができている」「2人同時の 育児の肯定感」「2人同時の育児の負担感」である。こ れらの項目は産後1週間に介入効果が認められた。ま た,「2人同時の育児のイメージ化ができている」は、 産後1か月においても介入効果が認められた。本研究 における第1子の理解を高める準備教育は今後,一定 の効果のある第1子の理解を高める準備教育として, 臨床実践可能性を示唆したと言える。  『子ども観尺度』の5つの因子について介入の有無に よる交互作用は認められなかった。子ども観尺度は, 子どもをどのような存在と捉えるかを測定する尺度で あること,本研究における第2子を迎え入れる準備教 育は母親が2人の同時育児への適応を促すための知識 や技術の習得を目指したものであることから,介入の 有無には影響されなかったのではないかと推察される。 3.第2子を迎え入れる母親に対する準備教育の Process analysis  介入群の出産後1週間の評価は概ね高い評価を得た。 開発した準備教育で,第1子に対する理解を高めるこ とにより,育児負担が軽減し2人の同時育児のイメー ジ化が高まることが明らかになった。準備教育では, 妊婦同士で初めての妊娠時の体験と第2子妊娠の体験 をディスカッションし,資料や絵本を用いて第1子の 特徴や関わり方について伝えたことが効果的であった と考えられる。また,妊娠中に2回のクラスを持つこ とで,1回目の講義内容を妊娠中に実践しそれらをリ フレクションし,第2子を迎え入れる準備をすること で理解が深まったのではないかと考えられる。準備教 育は母親の集団に対し行った。集団指導のメリットは, 教育的かかわりとして知識や技術の提供といった概念 的な内容を取り扱うことができる(黒木・横山・水野, 2005,pp.34-44)。第1子の理解についての知識の提供 は,第1子の育児を経験した母親同士の集団に対して 行うことができる内容であった。母親同士で共有し, ディスカッションすることで孤立感をなくすことがで きたと同時に,第2子妊娠中の母親の第1子に対する 感情は自分だけに限ったことではないことを感じ取り, 他の参加者と共に問題解決に向けての態度を持つこと ができるようになったのではないかといえる。  準備教育は,第1子を含め家族が参加できるタイプ であった。育児は母親のみならず家族支援が欠かせな いことからも,家族に対し2人同時の育児適応を促す 支援ができたことは母親を支えることに関与する契機 となり意義あることであると考えられた。本研究は第 2子を迎え入れる母親に焦点を当てたため,兄姉の参 加は任意であった。そのため,第1子である兄姉の参 加の有無では評価はされていない。Storr(1998, pp.33-35),Behnke(1999, pp.9-11)は,子どもが新たに家族 を迎え入れるためのクラスに参加することにより,第 1子は第2子との新しい生活に適応しやすく第2子の受 け入れがよいと述べている。今後は,兄姉になる第1

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 独自に作成した絵本の利用は,第1子の年齢により 左右された。絵本は子どもの成長発達に応じ選択する ことが必要である(Trelease, 1987, pp.33-62;河合・松 居・柳田,2010,pp.119-124)。本研究で用いた絵本は, 3∼4歳の幼児に焦点をあて作成した。1∼2歳を第1子 に持つ母親にとっては,読み聞かせに至らないケース もあったことから,今後年齢に応じた絵本の作成が課 題である。 4.実践への適用性  本研究において,第2子妊娠中から出産後の母親に 対する準備教育は第1子に対する理解を高め,第1子 と第2子の2人同時の育児に適応することであること が明らかになったこと,第2子妊娠以降の母親に特化 した準備教育の検討がされ,周産期の支援として新た な出産前教育への示唆を与えるものである。開発した 準備教育の介入方法は,第2子妊娠中の母親を対象と した集団指導である。その目的は対象者の人たちが正 しい知識や理解を持つこと,好ましい態度を持つこと, 必要なことを実行し充実した生活を送ることである (宮坂・川田・吉田,2006,pp.78-84)。そのため,準 備教育の目的・目標を達成するために集団指導が効果 的である。導入の方法として,現在行われている母親 学級や両親学級のプログラムをベースに,第2子を迎 え入れる準備教育を組み入れいていく方法が実際的で ある。現在,出産前教育として病産院や保健センター で開催されている教育と本研究で開発した準備教育の 方法論は,開催時期や時間の配分など類似点がある。 運用方法として現在開催されている母親学級や両親学 級を開催し,さらに経産婦を対象として希望に応じる 形で開発した準備教育を適用することが可能であろう。 そのため,新たに大きなコストを費やすことなく実施 できる。準備教育を集団指導で行い補足部分を個別に 補うことは必要である。以上より開発した準備教育は 病院・地域における妊娠期の介入プログラムとして適 用可能である。

Ⅴ.本研究の限界と今後の課題

 今回の研究では,妊娠中から母親と家族が第2子を 迎え入れる準備の必要性が言われている中,第2子を 迎え入れる母親に対する準備教育を開発し介入の効果 が得られた点で意義深いと思われる。本研究の限界と クルートであったため,第2子妊娠中の母親の母集団 を反映していると言い難い。次に,脱落者についてで あるが,経産婦の特徴は第1子の育児をしながらの妊 娠・出産・育児であるため,第1子の体調や理由で準 備教育や質問紙調査に参加できなかった母親が多かっ た。本研究で開発した準備教育プログラムは,週数に こだわらず妊娠期間を通して活用可能であるため,今 後は時期なども第1子の様子により変更しながら導入 していく必要がある。  次に,本研究の成果変数として研究者が作成した第 2子妊娠中の母親の育児意識はα係数が低かった。こ れは因子分析を行う際のサンプル数は質問項目数の5 ∼10倍程度必要であること(松尾・中村,2003,p38), 項目数が少ないほど信頼性係数は低くなることが挙げ られる。今後は更に質問紙の検討を行い,推敲を重ね る必要がある。  本研究における母親の第1子の年齢は1歳から7歳と 幅があったものの,準備教育を評価するにあたっては 介入群と対照群の第1子の年齢差による影響はなかっ たため妥当であったと言える。しかしながら母親の育 児意識は第1子の発達段階が影響している(礒山,2014, pp.434-443)ことから,今後は第1子の年齢を加味した 媒体や方法を検討していく必要がある。また,妊娠期 に限らず育児期にかけて継続的に支援することが2人 の同時育児に適応していくためには効果を示すといえ る。さらに家族を含めた支援を検討していくことが今 後の課題である。

Ⅵ.結   論

 ADDIEモデルを枠組みとして第2子を迎え入れるた めの母親に対する準備教育プログラムを開発し,第2 子妊娠中の母親に対し第2子を迎え入れるための準備 教育を行い,介入の有無による2群間を比較し評価を した。結果,『母親が認識している第1子の様子』では 第1子が第2子に関心を示す行動が強化された。『2人 の同時育児に対する意識』では「2人同時の育児のイ メージ化ができている」「2人同時の育児の肯定感/2 人同時の育児の負担感」においてプラスの変容が認め られた。よって開発された第2子を迎え入れる母親に 対する準備教育は,2人の同時育児の適応を促すため の準備教育としての有効性が確認された。

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第2子を迎え入れる母親に対する準備教育プログラムの開発と評価 謝 辞  本研究にご協力くださいました皆様方,本研究をま とめるにあたり,ご指導いただきました国際医療福祉 大学大学院衣川さえ子先生に深く感謝申し上げます。 本研究における第2子を迎え入れる準備教育プログラ ムの開発と評価は,国際医療福祉大学大学院博士論文 の一部であり,第29回日本助産学会学術集会におい て発表した。なお,2011年∼2013年文部科学省補助金 基盤研究(C)(課題番号23493325)の一部である。 文 献

Behnke, A. (1999). Sibling classes: fun or frenzy?.

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参照

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