tl
’
ha faPCtnese fOttrnal o/Fs)・
choiios)lic Sciencc 1994,
Vol,
13,
No.
1,
17−
44主
観 的輪
郭
:計 算
論
的解 釈 試 論
竹
市
博
臣
1
里イ匕’
学1研 究 戸斤Perception
ofIllusory
Contours
:AComputational
Interpretation
Hiroshige
TAKEICHI
7
’
んe ∬,慰 漉 磁 げ Plzツs 蜘 ∠砌 4 C加 筋 c‘〃 1〜esearc 〆z*Three points arc emphasized ill reviewing the llterature on illusory contours
.
First,illusioll of surface properties such as apParent contra s
.
t 〔〕r depth stratification should bediscussed independently 〔〕f tlle contour percepti{〕n
itsel
ド,
Second,
perceptien of il1しLsor ン contours shouldbe
discussed
basically
in tel’
ms {】f a stimulus−driven
phenomenori althoughcognitive factors such as set or mernory affects
perception
of illusory eontours.
Fina11y,
perceptiQn ofillusor
}厂
contours should be regarded as shape perception of hidden figuresby occlusion , using viewpoint
.
invariants such as parallel edges or collinear terminators and making probabilist{c:1ikelihood estimation.
The final point expla1n.
s some singular aspects of i】1us〔,ry contours,
sucll as spec 三ficity of lumillance inforlnation.
Key words :
visual perceptlion
,
illusions(perception),
form and shape perception主観 的輪郭は, 多くの場合輪郭の知覚と その輪 郭が囲 む表 面の奥 行き や明る さの 知覚か ら 成 り立っ てい る
.
従 来の多 くの研 究は, 輪 郭そ れ自休の知覚と, 輪 郭が囲む 表 面の,
明る さや 奥 行 きとい っ た特 性の知 覚 とを独、itl
の もの と は 考 えず,
む し ろ 両者の関 係 につ いて議論 す るこ と を中心 に展開されてきた,
楡 郭の知覚と表面の知覚そ れぞれに固有の 問題 が,
と りわ け輪郭の知 覚に周有の問 題 が実 際の視知 覚にお ける機 能を念 頭に お い て議 論さ れ る ことは ほとんど なく,
研 究は もっ ば ら顕 著 な随 伴 現 象 に関 する もの に集 中し た.
その結 果 今日 まで主 観 的輪郭 とは何なの か とい 弓,
最 も基 本 的な間 題があま り明 らな にな一
ゴ〔いない (竹 市,
亅991
).
こ の 展望論文の 目的は,
主 観 的 輪郭につ いて論 じる と きに 了解し て お くべ き3つ の事 項につ い て述ぺ るこ とに ある.
1 つ は, 輸 郭その もの の知 覚と,
輪 郭が 闘 む表 画 の奥 行 きや 明る さなど の知 覚を分けて議論 すべ き だ とい * TheInstitute ef Physical and
Chemical
Research(RIKEN )IIlfor皿 ation
Science
Laboratory
andLab ratory for
Neural
Informat 三〇n Processing,
Frontier
Research
Program 2−
1 HirosawaWako .
shiSaitama
351−
〔〕1 うこ と,
も う1つ は,
主 観 的輪郭が構え,
過 去経験,
記 憶,
学習,
注意な どの い わ ゆ る 高 次の要因に視 定される の は事実だが,
基本 的には刺 激 依 存 的 な 知 覚 とし て考え るべ きだ とい うこ と で ある.
最 後に,
以 上 2つ の議 論を ふ まえて主 観 的輪郭と は何か を考える、
L
で鍵 概 念に な る と 思 われる,
観察点不変 項 (Vie“・
pOint・
inVariarLt
)(Bie−
derman
,
1990 な ど 参照 )と内 在 性 (intrinsic
−
ness )にっ いて述べ る
,
な お
,
主観 的 輪 郭に 関 する現 象 学 的な展 望が Parks(1984
,
こ の展 望が最 も優 れてU・
る);こ,
評 諭が Ha[pern &Salzman
(1983),
Meyer & Petry (19S7),
北 村 (1989
),
渡 辺
・
永 瀬 (1989
)な どに ある,
ま たPurghe
& Coren (1992b)に文 献 リス ト があ る.
個 別 研 究で序 論の研究史 の ま とめがよい もの と して Rock &AnsOn
(1979
),
Hal・
pern (1981)
,
Pritchard &Warm
(1983>を 挙げるこ とができる
.
必要 ならこれらも参 照さ れ た・
.
L
序1
・
L 輪郭 と は何か主観的輪郭につ い て議論 する前に
,
輪 郭 とは 何 か とい う間題に触れ てお く必 要がある,
18 基 礎 心 理 学 研 究 第
13
巻 第1
号一・
般}こ輪郭 とい う 場 合に は 任意の 心 理 的 境 界を指 す (野 澤, 1991b)が,
こ こで は 事 物表面の幾 何 学 的 構 造の 境 界だけ を 指す.
幾 何学 的 構 造の境 界に対 応 する輪郭に も奥行 き不連 続を表わ す遮蔽 輪郭 (occluding contour ) や, 表 面 方 向の不連 続 (角 )を表わす 表 面 輪 郭 ( surface contour )などさま ざまな種 類があるが,
こ こ で は奥 行 き不連続を表 わ す 遮 蔽 輪郭だけを問 題にす る.
遮 蔽 輪 郭 は,
事物が他の事 物を遮 蔽 する場 所や, 鋤 の表側と裏 側の境 口(事物が事 物自体の裏側 表 面 を 隠し てい る と解 釈で きるの で 自己 遮 蔽 輪郭とよば れ る)に あ た る
.
そこ には多 くの場合局所的 な 輝 度 あるい は 明 る さの急 峻な勾配があるので
,
しばしば輪郭の 知 覚はエ ヅ ジ検 出 や輝度.
唐報の処理 と関 係 が あるもの とし て議論される,
主 観 的 輪郭が車 な る輝 度の周 波 数 分析で説 明で きる と し た研究 者 もあっ た,
た とえば Ginsburg (1975)は Kanizsa 型 (後 述 )の 主観的 輪 郭 誘 導 図 形に 卩
…
パ ス。
フ ィ ル タ を か け る と Kanizsa の 三角形 住 観 的 輪 郭 )が現わ れ, 誘導図形に フ ィ ル タをかけた両 懲と 実際の三角に フ ィ ル タを か け た 画像の相 関を取ると非ゼ ロ と な るこ と か ら,
こ うし た処 理 が主 観 的 輪 郭の 説 明 を構 成 し得る と考え た,
これに 対 し Tyler (1977)は (1)フ ィ ル タ リン グ した 画籐は,
三 角以外に さま ざ ま な図 形 と非ゼ ロ の相 関 を 持ち, もとの 画 豫と最も高い 相 関を 示すであ ろ うか ら,
実 際の 三角 と 非ゼ ロ の相 関を持つ ことか ら知 覚の説 明を搆成し た とい うことは できない,
(2
)フ ィ ル タ リン グ した 画篋に 三 角 が“
見え る”
とい うこと と,
フ ィ ル タ リン グすれば三 角 が検出で きる とい うこと は違 う,
(3
)Ginsburg (1975)が 用い た フ ィ ル タ リン グ (二値フー
リエ 変 換 )で は疑 似 的 (spurious >なエ ッ ジが 生 じるこ とが わ か っ て お り,
そ の アー
チフ ァ ク トが 疑われる,
(4
) 観察距離を大 き くする こ とに よっ て,
高周波 成 分を滑らか にす 剴り落とす (幽 像をぼけ さ せ る)と卞 観 的 輪 郭は 認 め られ な く なる, r5) 逆に高周波成分だけに.
した もので も 主観 的 輸 郭が.
見える 場 合がある.
そ もそ もある周波 数 帯域の フ ィ ル タ刺 激で 見え るか ら とい っ て現 象を説 明し たことには な ら ない,
とい う5つ の論 点を挙 げて批 判し て い る.
後にBecker
&Knopp,
(1978)も特 定の 二 次允フー
リエ 変 換でチ = ス 盤 模様や縞に おける斜めの 組 織 化,
主観 的輪郭 が 作 れる こ とを示した,
これに対し Parks & Pelldergrass (1982)は,Becker
&Knopp
(1978)の変 換では得られ ない主観的 輪郭 (二 次工・
ソ ジ)を示しt.
)
主観 的 輪 郭に 1’
k
(線形 )フ ィ ル タ リン グ以.
E
の過 程 が 関 与 してい る と し て い る.
主観 的 輪 郭とい う現 象その ものや
,
絵画で用い られる 線 輪郭 (線描 を線 輪郭と呼ぶ こ とに す る)が輝 度 輪 郭 (輝度 差を伴 う輪郭 )を代 替し た り強 調し た りする とい うこ と (野 澤,
1990) が示唆 するよ うに,
輪 郭の知覚とエ
ヅ ジ検 出 や 輝 度 情 報の処理が不可分の関係にある わけ で はない.
エ ッ ジ検 出に は多 くの場合な ん らかの フ ィ ル タ リソ グが行な われる が,
そ うし た フ ィ ル タ リソグ は輪 郭の知 覚に関して い え ば 不完 全である し(Poggio
, Gam−
ble
,
& Little,
1988;Witkin,
1984)輪郭は,
輝度情報に よ ら な く て も
,
両眼 間の相関や 時 間 的 な 相 関の違い で も定 義で き る (Julesz
,1964
;1971
).
そ うしてみ る と輪郭は必ず しも特 定の刺 激の属 性や特 性,
例 え ぽ 明る さ あ るい は透明性の知 覚で説 明 すべ き も の で はない.
定 義に関する限り,
主 観 的 輪 郭において,
輪郭 その もの の知 覚に関与す る 過 程 と,
輪郭が 闘む表 面 の明る さ や色 などの知 覚に関 与する過 程とが独 立である とい うことは ぎわめ て妥 当なこと なの である.
次 節 以 降 では,
現 象 観 察や精 神 物埋学 的な実 験の 結果 を参照 し て,
この考え方が単に定 義だけでは なく, 実 際の視 知 覚 に も あて は ま る とい 弓こ と をみ て い く.
1.
2.
現 象の記 述 主 観 的 輪 郭とは,一
般 に局 所 的な輝 度の勾 配がない と こ ろ に知覚される輪 郭である と され て いる が,
この定 義 には さまざま なあい まい性,
例 えば,
局 所 的と は どの程 度の 範 闘を さすのかが明か で は ない とい っ た問 題が あ る.
こ う した点をある程 度 明か にする ために も,
議論に 先 だっ て,
主要 な 主 観 的 輪 郭の分 類に つ い て述べ て お く.
1.
2.
1.
Kaniz
国a 型 Figure 1 は Kanizsu (19.
5tt, i1987 ;197611979
)の三角 形と呼ば れ る 主観的 輪 郭 図形で ある.
しば しばパ ッ クマ ン と呼ば れる扇 形 (以後 誘導図形と呼ぶ)が 3つ と, 線 で=三角形の頂角が3つ描かれて い る が,
中央にIE
立し背 景と同じ色を した三角 形が,
3 つ の充実門と 1つ の線で7
●
の
v
マ
●
Figure 1.
Kanizsa
型の一
}観 的輪郭竹 市 :主観的輪郭: 計算 論 的解釈 試論 19 描かれた 三角形を遮蔽し てい るよ うに知覚さ れる
.
こ の 図形は,
主 観 的輪 郭の3
つ の 現象学 的 特 徴,
す な わ ち,
輪 郭の知 覚,
輪 郭の 囲 む領 域の 背景に対 する見かけ の コ ン ]・
ラス ト (普通の 呈示条件で は白い背景に黒の誘 導 図 形を用い,
こ の場合明 る さの増大 として知 覚さ れる の で 明る さの増大 と 呼ばれる こと が 多いが,
黒い背 景に 白の誘 導 図形の場 合は明るさの減 少 あるい は暗さの増 大 とし て知 覚されるの で,
総称 して見か けグ)コ ン ト ラス b と呼ぶ ことにする〉,
お よび,
輪 郭図 形の (手前の)奥 行 き感が,
数 ある主 観 的輪郭輪郭図形の 中 で も最 も強 い.
線三角形 を とっ た もの,
四角に し た もの,
パ ッ クマ ン 図 形 を2つ に し たもの な ど さまざ まなパ リエー
’
; n ン がある.
この図 形は実験で よ く用い ら れるが, 主観 的 輪 郭が知 覚される領域と その周辺領 域との 平 均 輝 度が 異 な るの で,
周波 数領域で記 述すると低 周 波 成 分で主観 的輪郭に 相 当する位 置に“
実 際の輪 郭”
が存 在 する ため に,
真の 意 味で は主観的輪郭と 呼 ぶべ きで はない と い う批判 が あ る.
こ の図 形で主観 的 輪 郭 を 規 定 する主 な要 因は誘導図 形 の コ ン 1・
ラス ト (Banton &Levi,
ユ992),
誘導図 形の 醐 隔 (Banton
&Levl,
1992>,
誘導図形のエ ッ ジ の長さに 対 する 比 (Shipley
&Kellman ,
ユ992c ),
誘 導 図 形のエ ッ ジの collinearity (1 つ の直 線で滑 ら かに結べ る とい う こ と) (高嬬,
1991;Shipley & Kellman,
1992b ),誘導 図形が対称性に乏 しい こと や誘導図形の凸 性であると されて い る
.
なお,
Kojo,
Liinasui,
&Rovamo
(1993>に ょれば,
これ らの変 数は継 時呈示で主 観 的 輪 郭 が成 立 す る ため に必要 な時 間 条 件 も規 定 し てお り,
こ 0) ことは大 脳 皮質上で の神 経 活 動の同期が 主観 的輪郭に必要で あ る とい うこと を示 唆し て い るとい う.
観 察 距 離 あるい は網 膜上での 大 き さ と照度の効 果に つ いて は論争が ある.
Coren (1972), Brigner & Gallagher (1974)
,
Frisby &Clatworthy (1975)
,
お よ び Dumais & Bradley (1976
)は視 力 の限 界 を 越 え ない限 り小 さい方 が よい とし て い
る
.
Tyler (1977)は 大きい方 がよ いとし て い る.
Ship・
ley
&Kellman (1992c)は絶 対 的な大 きさ に は よら ないと して いる
.
照度に つ い て も,
Dumais & Bradley(19
.
76>は暗い 方がよ い と して い る が,
Warm , Denlber,
Padich,
Beckner,
&Jones
(1987)は明 るい 方が よい と して い る.
誘 導 図形に
,
主観 的 輪 郭 図 形に“
遮 蔽”
さ れた部 分以外に も凹みがあり対 称 性に富む場 合や
,
誘導図形 が線 輪郭で描かれてい る場 合に は collinearity があっ て も主
観 的 輪 郭は生じ ない と さ れて いる (
Coren,
1972;Brig.
ner & Gallagher, 1974;Kanizsa
,
1976)が,
まれにそ うし た図形で も主 観 的輪郭が生じると す る研 究 者もある (Tyler,
1977 な ど ).
またそ うし た図形で も構え の効 果 が ある と主 観 的 輪 郭が生 じるとい う報 告 もある (Rock
& Anson,
1979).
逆に collinearity が まっ たくない と,
誘 導 図形 が対称性に乏 しくて も主観的輪郭は生 じ ない と さ れて い る が,
collinearity が 弱い意 味で満た されてい る 場 合,
例 えば 1つ の円弧で滑ら かに結べ る 場 合には曲線 状の主観的輪 郭が生じ るこ とが知られて お り, エ ッ ジ検 出 器の動 作に よ る説明に対 する反証と されるこ とが ある (Gregery,
1972).
L2 .
2,
Ehrenstein
型Figure
2 は Ehrenstein (194111987)図形 (ある い は Ehrenstein 錯視)と 呼ばれる主観 的 輪 郭である,
もと もとは8
本の放 射 状線の収 束 都を 円形に 白抜きした図形 であっ た よ うだ が,
4 本の 線 (誘導 図形 と呼ぶ)を使っ たパ リエー
シ 。 ンも よ く用い られ る.
収 束 部に円 形ま た は方 形の主観的輪郭が 生じ,
形 状は観 察 距 離 あるい は図 形の網 膜上での 大 きさ,
お よび観 察 条 件 に 依 存す る (Redies
&Watanabe ,1993
).
また異 方 性 が あり,
誘導 図形が垂 直水平で な い場合に主 観 的輪 郭のみ え が変わる と報告されてい る (Zucker &Cavanagh
, 1986;Pur−
ghe , 1989)
,
領 域 内 部 が 周辺部に対 し て見かけの コ ン 1・
ラス トを持ち,
図形は周辺部よ り手 前の奥 行 きに定 位さ れる.
ただ し, こ うし た効 果に は個 人 差が大 きい とい う 眼告もある (Parks
&Marks ,
1985).
こ の 図形 も低 周 波 において物理的な意 味で存在 する.
こ の 図形の主観 的 輪 郭 を 規 定 する 主 な要 因は, 端 点の並 びに対 する誘 慰図形 の方 位 (垂 直のとき 最 も強 く,
離 れる に し たがっ て弱 く な る),
誘導図 形の大 ぎ さ と形 状,
誘導図 形の間 隔な ど である.
誘 導 図 形の密 度 と幅の最 適 比がある とい う報 告も あ る (Lesher & Mingolia
,
1993).
Figure 3は Ko鉦ka
(1935>図形 と呼 ぽれ る ものである が,
Ehrenstein
図形 の 1つ のバ リエー
シ ョ ン と考え ら れる.
もともとは盲 点t
’
一一
一1
Figure 2.
Ehrenstein 型の主観 的輪郭20
基 礎 心 理 学 研 究 第 13巻 第 1号匚
「
1
凵
コ
Figure 3.
Koffka 図形 における補 完のデモ ン ス トレー
シ ョ ン に使わ れ た図 形で ある.
出 典は こち らの方が古いが,Ehrenstein
図 形の 方が単純である.
Halpern (1981
)は充 実 図形 か ら誘導される Kanizsa 型の主 観的 輪 郭と,
同心 円の線素から誘 導 される主 観 的 輪 郭 (Ehrenstein 型の一
t・
・
種 と考 え ら れ る)につ い て,
輪 郭の 明確度,
見かけの コ ン トラス ト, お よ び奥 行 ぎ感を 独立に測 定し.
輪 郭の明確 度を従属変数 とし て回帰 分 析 を行なっ た結 果,
充 実 図 形か ら誘 導さ れ た輪郭の明確 度 はおもに奥 行 き感に規定されるのに対し,
線素か らの輪 郭は お もに見か けの コ ン トラス トに規 定 される とい う結 果 を得た,
また Coren & Porac (1983 )もEhrenstein
型 よ り
Kanizsa
型の方が 知覚される奥 行 ぎ感が強い と い う結 果を得て い る.
大 雑 把に い え ば,
い わゆるKani・
zsa 図形は充 実 誘 導 図 形か ら誘 導 図形のエ ッ ジ にそっ て 生じ るもの で奥行 き感を主た る特 徴 とし誘 導 範 囲が大 き く, 他 方Ehrenstein
図 形は線 素の誘導図 形か ら誘導図 形の主方 位と垂 疸に生 じるもの で見かけの コ ン トラス ト を 主た る特微 と し,
誘 導 範 囲に上限 が あるもの,
とい う ことになる.
た だ し これらの関 係は悉 無 的・
離 散 的では な く,
両者の中 聞に位置する よ う な 図形 も あると思われ る.
L2.
3.
Kennedy の バ リエー
ション Kennedy (1976)は,
点 描でEhrenstein
図形を描 き,
放射状線の点 密 度が中心付近に向か っ て徐々に低 く な る麟
/
ノ
与
.ー
ザ
.
丶
丶
丶
燃 糠 職ト
脚
謔
・
糠.
蝋气
丶
防
軌
.
欝 審」
、
ダ
畢Figure
4.
Kennedy の変 形 版 (ぼんや りした 主 観 的輪郭) Figure 5・
の変形版 (星型 図 形) ようにする と,
ぼんや り し た輪 郭を持つ 図 形の知 覚が生 じ ることを示 した (Figure
4
参照 )、
ま たKennedy
(1978a; 1981)は遮蔽の知覚や アモー
ダル補 完 (誘導図 形 が主観 的 輪 郭の部 分で断ち切られて い るの で はな く, 主観 的 輪 郭 図形の背 後に連 続し てい る とい う 知 覚を さ す.
こ こ で amodal comletion あ るいは非 感 性 的 完結 とい う語を用い なか っ たの は, これ ら は 本来は被遮 蔽 部 分の知 覚とい う意 味で はない の で別な 言葉を用い るべ き だ と考え た か らである,
Michotte,
Thines , & Crabb6 (1964∫1991)お よび桐谷 (1992)を参 照 }がな くて も見か けの コ ン i・
ラス トが 生 じる図形 (星 型図形,
Figure 5参 照 )を呈 示し た.
これ らの図形は Ehrenstein 図 型の一
種の変 形で あり(Marschall,
1979)これ らの図形で観察 さ れ る見かけの コ ン ト ラス トは主 観 的 輪 郭と関 係を持つ 現 象である と考え る研 究 者も あ るが,一
般に は,
これら の図 形で観 察され るぼんや り し た 主 観的輪郭と見かけの コ ン ト ラス トは Kanizsa 図形や Ehrenstein 図形で観 察される主 観 的 輪 郭 とは別の現 象であると考え ら れてい る.
例え ば
,Petry,
Harbeck,
Conway,&
Levey
(1983
) は,
Kennedy (1976)の,
点 密 度が先 端に 向か っ て下 が る誘 導 図 形か ら生 じ るぼやけた主 観 的 輪 郭 図 形と全 体の 点密 度が低い誘 導 図 形か ら 生 じ る 主観的 輪 郭図形で は, 明るさは常に前 者の方 が 大 きい と さ れ るのに輪 郭の強さ は常に後 者の 方が大 きい と さ れる こ と を報 告してい る.
ま た Richardson (1979)は,
Kanizsa
図 形の見か けの コ ン ト ラス トが, 中心視で は強く周 辺 視で は失わ れ るの に対し,Kennedy
(1978a)の星形図形から誘 導 されるボ ん や り し た主 観 的 輪 郭の見か けの コ ン ト ラス ト は,
逆に 中 心 視ではあい まい (明 るく見える場 合と暗く見え る場 合 が 同数 ) で周辺 視で大 きい(自地 に黒の誘 導図 形で
,
周辺よ り図 形 内部が暗く見え る)こ と を示し,
両 者を媒 介 する機構が異 なる こと を 示唆し た.
Parks & Marks 〔19.
S3)は,
Ehrenstein
図 形の変 形で端点の形 状が異 な竹南:主観的輪郭:計算論的解釈試 論
21
るもの を用い
,
や は りぼん や り した主観 的輪郭図形で は照 度の増 加に ともなっ て見かけの コ ン ト ラ ス トも増 加 す
るのに対し
,
明確 な 主 観 的 輪 郭 図 形では減 少 す ることを 見い だ し た、
Parks (1982a)は,
Ehrenstein 図形の変 形 で,
誘導線 分の端 点が尖っ た図 形か ら誘 導さ れ るぼん や り し た主観 的 輪 郭の 見か けの コ ン 1・
ラス トと,
通 常の主観 的 輪 郭の見かけの コ ン ト ラス トが異なる要因に規 定さ れる場 合があると述べ て いる
.
Halpern,
Salzrnan,
Harrison,
& Widaman (1983
)は さ まざま な 主観 的 輪 郭に対 する強さの量 推 定 値 を 確 証 的 (con丘rmatory ) 因 子 分 析に かけた場 合
,
ぼんや りし た主 観 的 輪 郭を明確 な主 観 的 輪郭か ら分 ける因子 を追 加 した方がモ デルの適合 性が よい こ とを示し,
両 者の区 別 に恨拠があることを示 唆した,
L2・
4・
隣 接 縞 図 形
Figure
6
は隣 接 縞 (abutting grating)図形と呼 ばれ る主 観 的 輪 郭である (Kanizsa,
1976).1
司 じ密 度の 反 復 線列を位相を180
度ず らし て並 置し たもの で,
こ の端 点の並 びに主観 的 輪 郭 が生 じる
.
見か けの コ ン トラス トや奥 行 き感は随 伴しない
.
Kanizsa 型に応答する神経 細 胞はサ ル の
一
次 視 覚 皮 質にはない と考え られてい る (vonder Heydt & Peterhans, 1989;Peterhans & von der
Heydt , 1989)のに対 し, 隣 接 縞 型に応答 す る 神 経 細 胞 はサ ル の
一
次 視 覚皮質で も見いだせ ると報 告さ れて い る (Grosof,
Shapley,
& Hawken,
1993).
ま た,
二 次エッ ジ の
一
種で,
輪 郭を ま たぐ位置に線形 分析で検 出可能な 不 連 続はない、
この輪 郭の知 覚を規 定 する主たる要 因は 線密度である.
注意すべ ぎ点は , 互いに向 き合う線分の 端 点 列が並ぶ とい うこ と が重要であり,
Figure 6 でも 図形の左 端や右 端の,
互い に向き合わ ない端 点の並 びに 輪 郭は 生 じない とい うこ と である.
2 つ の線 分の並び を 離しても主 観 的 輪 郭は生 じるが,
こ の バ リエー
シ ョ ソは 見かけの コ ン ト ラス トや奥 行 ぎ感を随 伴し,
輪 郭を ま た く”
・
tw
置に線形 分 析で検 出可能な 不連続が存在 す る点 で一
一Figure 6
.
隣接 郵百 (abuttil コg grating)Figure 7
.
副尺のずれに よ る 主観 的 輪 郭Ehrenstein
図形に近い.
こ の 場 合 間 際をは さんで向 き 合 う2つ の線分 列の 間に collinearity は必要で はない(
Gillam,
1987;Davi , Pinrla,
& Sambin,
1992).
他の バ リエー
シ ョ ン,
す な わ ち 端 点を 含 ま ない 図形か ら誘 導さ れる 主観的 輪 郭と し て副 尺のずれ (vernier offset )があ る位置に検出 される主 観 的 輪 郭 (Parks,
1980d,
Figu
「e 7参 照 )な ど がある.
L2.
5.
ま とめ 以上の他に も,
(1)テ ク ス チ ャ 境 界 (隣 接 縞 図形もあ る意 味で は テ ク スチ ャ 境 界であり,
主 観 的 輪 郭とテ ク ス チ ャ境 界の違い は はっ きb
と は してい ない),
(2) 両 眼 視 差で 定 義さ れ る 輪 郭 (Julesz
,
1964,
1971;White,
1962;
Shipley,
1965;Lawson &Gulick,
19671Julesz
&Frisby,1975
),
(3) 相 対 運 動で定 義 される輪 郭 (Ju−
Iesz,1971
;BradClick,
1974)も主 観 的 輪 郭の一
一
種 とみ な されるこ とがあるが, これら は誘導図 形の形 態が重 要 な 要 因で はない の で,
いわ ゆる主観 的輪郭の研究文 脈か ら は切 り離し て考え ら れる こと が多い.
Cavanagh (1987) な どでも,
テ クスチ ャ,
両 眼視 差,
運 動 視 差に基づく輪 郭の知 覚は,
輝 度に基づ く輪 郭の知覚と 同 じで はない と 考 え られて いる.
こ うした“
例 外的な 主観的輪郭”
の意 味につ い ては後ほど考 察 することにすれば,
主観 的 輪郭 は Kanizsa 図 形, Ehrenstein 図形,
隣接 縞 図形の いず れか に分 類さ れ る もの と考え て よい,
ま たKennedy
の バ リエー
シ ョ ン は明 確な輪 郭の知覚を伴わず,
い くつ か の特性 も異 なるの でこ こ で は扱わない こ とにする.
なお,
主 観 的 輪 郭につ いて最 初に記 述したの は Schu・
mann (190011987 )だ とい われて い るが,
実 際に は もっ と宀 くか ら知られて いた と もい われる.
2.
表面 の知覚と輪郭 の知覚 2.
L 見か け のコ ン トラス ト (明 るさ の増 大) 見か けの コ ソ ト ラス ト はもっ とも顕 著な主観 的 輪 郭の 随 伴 現 象である.一
般に黒地に白の図形 (暗さの増 大 ) の方 が 白地に黒 の 図形 棚 る さの 増大 ) よ り大 きい.
22 基 礎 心 理 学 研 究 第 13巻 第 1号 は
,Ehrenstein
図 形に おける見かけの コ ン トラ ス トが,
30msec 呈 示で生じ ること1 静止網 膜豫や 残像で も生じ ること, 両 眼 分 離 呈 示で も生 じること,
背 県 輝 度を暗 所 視 レ ベ ル に して も生 じ,
かつ,
網 膜で の側抑制は暗所 視 では失わ れ る が皮質で の側 抑 制は暗所視でも失わ れ ない と考え られるとい うこと を根 拠とし て,
眼 球 運 動や網 膜 の情 報 処 理で は この現 象を説明するこ と がで ぎ ない と し て いる.
2.
L1.
Kanizsa 図形の見かけのコン トラス トKanizsa
図形の見か けの コ ン ト ラス トに影響を お よ ぼすの は誘導図形の コ ン ト ラ ス ト,
大 きさ,
お よび間 隔 である.
誘導図形の コ ン ト ヲス 1・
を上 げると主 観 的 輪 郭 図 形の見かけの コ ン トラ ス トも 線 形に増 大 する (Brus−
sell
,
Stober,
& Bodiriger,
1977;Dresp,
1992).
ま た誘導 図形が大 き く間 隔が小さいほ ど見か けの コ ン ト ラス ト も 大 き くな る (Dresp
,
Lorenceau,
& Bonnet,
199 ;Dresp, 1992>
.
こ う し た効 果は誘導図形 自体に よる 明る さの同 時 対 比よ り大きい と されて い る.
薩見か けの tt ン ト ラ ス トは図 形の内部で一
様で は な く,
光 点検出の増 分 閾の上昇で測 定し た 場合,
輪 郭付 近で し か認め られず、
誘 導 図形の大 きさ や 間 隔に も依存す る (Dresp
&Bonnet,
1993)が,
輪 郭か ら視 角で 30 分 離 れると失われる (Coren
& Theodor,
1977; Dresp,1992)
.
輪 郭
.
ヒの.
見かけの ゴ ン ト ラ ス トに つ い て, 野 澤 (1979〕 は光 点 検出 (消 失 ) 閾は輪 郭、
F.
で最 高に な り,
同じ結果が曲線の輪郭で も得られ
,
誘 導図形の collinearity や数を 変 えて主観 的 輪 郭が生じ ない よ う にする と現われな く
な る と して い る が
,
逆に,
Dresp &Bonnet (1991),
Dresp &Bonnet,
(1993)は輪 郭上 では閾の上 昇 が な く な る か む し ろ下 降し,
誘 導図形の 向 きを変 えて主 観 的 輪 郭が生 じ ない よ うに し た場 合で も,
や は り 同様の 増 分閾の 勾 配 が,
量 的にぽ減 少 する がな くなるこ とは ない と報 告し て い る (Dresp,
1992).
2.
1.
2.
Ehrenstein 図 形の見 か けのコン トラス トEhrenstein
図形につ いて も誘 導図形の コ ン ト ラス i・
がある程度見かけの コ ン トラス 1・
に影響を 及 ぼ す ことが知ら れ てい る
.Spillmann,
Fuld,
&Neumeyer
(1984)に よれ ば
,
誘導図 形に O.
5対数単 位 以上 の コ ン ト ラス ト があれ ば,
誘 導 図形の コ ン ト ラス トに か かわ らず 0.
3〜
0,
5
対 数 単位 程 度の一
定の見かけのコ ン トラス トが生じ る とい う,
図形 内部で の一
様 性につ い て は,
光 点 検 出の増 分 閾で 測 定し た場 合,
効 果は輪郭付 近で も図形 中央 (図形は半 径 14分 )で も変わ らない とい5
報 告 (Spillman , et at,
,
1984
) と,
輪 郭 付 近で は ほ とん ど な く中.
央 部 (半径 13 分 )で大 きい とい う報 告 (Jory
,
19S7>とがある.
た だ し,
誘 導 図 形の 背 景に対 するコ ン ト ラス トが正 負 い ず れの 場 合 も1 刺 激の絶対 的 な 明 る さ は 見 か けの コ ン トラス トと は独立 に減 少し (Hamada , 1987), これ に関 連して,
背 景の 輝度を上 げると見かけの コ ン ト ラス トも 線 形に増 大 する とい われ て い る (Spillmann,
et atリ
1984),
2・
1・
3・
見か け のコ ン トラス トと輪郭 の知覚の関係一
般に は主観 的 輪 郭の強 度と輪 郭が囲む領 域の 見か け の コ ン トラス トの強さに は正の連 関がある と され てい る.
Brigner & Gallagher (1974)は
,
Kanizsa 図 形の変 形 版で,
扇 形 が 大 き く誘導図形の 間 隔が狭い 方が,
また 扇 形の開いた角が小さい方が,
お よび,
背景と 明度 が等 しく色 彩が異 なる誘 導図形を用いた場 合 と明 度 も色彩も 異 なる誘導 図 形の場 合 とで は後 者の方が 主観 的 輪 郭 が 明 確で あること を示し た.
こ の 結果は強い明るさの対 比が 得られる条件の方が主観 的 輪郭が明確であることを示し た と考え,
ら れる.
ま た
Jory
&Day
(1979)は,
Kanizsa
図 形とEhren−
stein 図 形につ い て,
Munsell 色紙を 用い て誘 導 図 形を 色相,
彩度, ま た は明度の違い で定義 した場 合の主観 的 輪郭の明 確 度と図 形 領域の 明る さ をそ れ ぞ れ 評 定させ , いず れ の図 形,
いず れの評定値も 明度の違いで誘 導図形 を定 義 し た条 件の方が色 相ま たは彩 度の条 件より高い こ とを示 した.
た だ し等 明 度・
等輝度の実験は,
等明度・
等輝度条件での空間解像 度の低一
ドの 要因を 考 慮に いれ る 必 要があるので注意を要 する (Cavanagh,
1991).
さ らにCoren
(1991
)は,
速いオ ン セ ッ トと遅い オフ セ ッ トか らなる点 滅に よっ て側 抑 制 を 促進す る と主観的 輪 郭の 明確 度と 見か けの コ ン ト ラス トがいずれも増大 す ること を 示 し た,
他 方で,
主 観 的 輪 郭の強 度と見かけの コ ン ト ラ ス ト に は連関がない とする報 告 も ある.
Prazdny
(1983
)はEhrenstein
図 形のバ リエー
シ ョ ンで,
灰 色 背 景に対し て誘 導 図形の半 分を白線 素,
残り 半 分 を 黒 線 素に し た 場合,
白線素は対 比に よ る明るさの 減少を,
黒線素は増 大を導 き,
対 比 効 果の結 果は相 殺さ れ,
これに伴っ て主観的輪 郭も失わ れ るように思わ れる が,
実 際に は主観 的 輪 郭は失わ れ な い こ と を示 し た(Grossberg &
Mingolla,
1985;Shapley
& Gordon,
1985 も参 照 )
、
た だ しPrazdny の デモ ンx トレー
シ ョ ソに関し て は
,Hershberger
&Stallard
(1984
)がKanizsa
竹市 主観的輪郭: 刮 算 論 的 解 釈 試 論
23
変 化に よる対比 が生じ て黒 充 実図形を使っ た場 合よ り も 強い見か けの コ ソ ト ラス トが生じる こと を 示 し,
白線 素 と黒線素の並置とい う操作では明るさの変 化はな くなら ない こと,
し た が っ てこ の条 件で主 観的 輪 郭が失わ れ な い こ とか ら見か けの コ ン ト ラス トと主 観 的 輪 郭が随 伴し ない とは いえ ない と反 論してい る、
Parks (1980b)は 2 つ の Kanizsa 図形の一
方が他 方 を遮 蔽して いるよう1こ見 える揚 合, 遮 蔽さ れ た Kanizsa 図 形で は,
見かけの コ ン トラ ス トは生じないか通 常 と逆 の コ ン ト ラス トが観 察さ れ るに も か か わ らず,
主観的輪 郭 自体ば失われ ない こ とを指 摘 した.
た だ し これに関し て も Richardson (1981)が奥 行 きや 明 るさの同 化に よ るアー
チ フ ァ ク ト の可 能 件お よび デー
タ分 析上の問題を 指 摘してい る.
よ り定量的 な研究で は,
Ware (1981)が 隣接縞 図形を 用い, 刺 激の全 幅 を一
定に保っ た ま ま 主観的 輪郭の両側 間の線 密 度の比 を 1:7
か ら7
:1 ま で変え て明る さ と輪 郭の明確さを評 定させ,
検査 領域の明るさ が検 査領 域の 線密度の増 大に伴っ て減 少 するのに対し,
輪 郭の明 確 さ は ほ とん ど変わ ら ない とい う結 果を得た,
Petry
,
Harbeck,
Conway,
& Levey (1983)は ,Ehrenstein
図 形を用い て,
明るさが誘 導 図形の数に依 存 す るのに対 し輪 郭の強 さ は 誘導図形の数に か かわ らず だいたい同じ であるこ と, 輪 郭の強さ が誘 導 図 形の太 さ に依存す る の に対 し明る さは ある太 さの誘導図 形に対し て最大になる山型の関 数になる こと を 示 した.
さ らに
Siegel
&Petry
(1991
)はEhrenstein
図 形 を 用い て間 隙の大 きさ,
線 素の数,
点滅,
網膜偏心度の効 果を調べ,
見か げの コ ン Fラス トが 6sec−
1 付近で最 大 i・
ctg
る山 型になるの に対し,
輪 郭の明確度はあま り影 響 を受け ない か高周 波で減 弱 する傾 向にあるこ と, 見 か け の コ ン ト ラス トは中心視よ り周 辺視の方が 強いが, 輪 郭 の 明 確 度は周 辺視よ り中心視の方が強い とい うことを示 し た,
また,
間 隙の大 き さの効 果につい て も見かけの コ ン ト ラス ト は最 適サ イズ (1,
25
度 )の ある山 型に なるの に対し輪 郭の 明確 度はあま り変わ ら ない と して い る が,
デー
タ (彼らの Figure 1 と 2) を 見る限り, こ の結 論 は にわか に信 用できない.
以上を まとめれ ば,
事実と し て は,
セ観的輸郭と見か けの コ ン ト ラス トの双方に影 響を 及 ぼす 要因 と片 方だ け に影 響を及ぼす 要因とがある とい うこ とである,
こ の こ とは,
主観的輪郭を媒 介 する過程と 見 か けの コ ン トラス トを媒 介 する過 程が独立に存 在し,
その上で両 者の問に な んらかの相互作 用があるい うこ とを示 唆して いる.
少 な くとも,Watanabe
&Oyama (1988) も述べ てい るよ うに,
単一
あるい は同 種 少 数の変 数に関 する分 析だけか ら両 者の闔 係に関 する解答を引 きだそ うとする の は危 険 であ ろう,
2・
1・
4・
拡 散 過 程一
般に‘
‘
局 所 的な明る さの対 比の 拡 散が主 観 的 輪 郭を もたらす”
とい う滋張と み な され がち な,
いわゆる明る さ説 (Day
&Jory
,
1978;Frisby &Clatworthy,
1975な ど)も
,
見か けの コ ン ト ラ ス トと 主観 的 輪 郭の随伴性 を強 調してはいて も,
必 ずしも“
明るさの増 大が 主観 的 輪 郭の原 因で あ る”
と してい る わ けで はない,
主観 的輪 郭に局 所的な明る さの, 対比ま た は異 化に よ る変 化 以上 の もの,
例え ば明るさの 同時 対 比また は末 端 (line−
end ) 対比が部 分 的に描かれ た 輪 郭ま で拡 散 する過 程の よ う な ものが関与し ているこ と はいず れの 論者 も認め て い る,
主観的輪 郭の位置に線輪 郭を描 く と見かけの コ ン トラス ト が失 わ れ る とい う事 実は しぽしば 明る さ説に対 する反 証と さ れ る (例えぽCorel1
&Theodor ,1975
;Parks,
1979)が
,
明る さ説 が主観 的 輪 郭に’
t局 所 的な 明 る さの 変 化 以h.
の もの”
の関 与を 認め てい る 以.
E,
こうし た批 判 もあ ま り的 を 得て はいない とい うべ きであろ う.
Day &Jory
(1980)は,
境 界を持たない 明る さの変 化 を 引 ぎ起こ してい る Koffka 図形に方形や 円形に並んだ 点 列 を 加え る と,
明る さの変化あるいは見かけの コ ン ト ラス トが認め ら れる領域の形 状が点 列と 同 じ方 形や 円形 に な るこ とを示し た.
Day (1983)は同じこ とがネオ ン 効果 (vanTuijy,1975
;後 述 )を引 ぎ起 こ し て い る Koffka 図形で も認め ら れ ること を示して い る.
点 列の 作 用は主観 的 輪 郭の媒介過 程と見か けの コ ソ ト ラス ト の 媒 介 過 程の相互作 用とも考え ら れる.
ある意味では,
い わ ゆ る明る さ説は 主観 的 輪 郭を輪 郭の知覚を媒 介 する過 程と明るさの知 覚 を 媒 介 する過 程の相互作 用で説明 しよ う と してい るのである.
2・
2・
奥 行 きの知覚 Kanizsa 図形,
Ehrenstein 図形 な どで は,
主観的輪 郭で 囲 ま れた図 形は背 景に対 して手 前の奥 行 きに定 位さ れ る.
Coren
(1972)ぽ両眼 視差,
陰影,
重な り,
肌理の勾 配 とい っ た奥行 き手 がか りか ら 主観的輪郭 が 生じ るこ とに 加え,
Kanizsa 図形で知 覚さ れる奥行 き感が大 きさの恒 常 性に 基づ い て知 覚される対 象の大 きさ を変え,
その結 果 図形 内部に呈 示 さ れ た刺 激 が 網膜上 で 同 じ大 きさの図 形外 部の刺 激よ り小さ く知覚さ れ る こと を示 した.
2・
2・
L 図 形に よ る違い Porac (1978) もCoren (1972)と同 様の恒 常 性パ ラダ イム の 実 験でKanizsa
型の主 観 的 輪郭図形に線輪郭を24 基 礎 心 理 学 研 究 第 13巻 第 1号
描き加 えたものを統 制に用い て同じ結 果 を 得 てい る
.
Coren
& Porac (1983)は さ らに Kanizsa 隠1
形,
Kanizsa図形に線 輪 郭を加えた もの
,
お よびEhrenstein
図形 を 用い,
主 観 的 輪 郭図形 内部ま た は外 部に検査 光 点を呈 示 し,
知覚さ れ る表面の奥 行 きを,
検査 光 点の両 眼 視 薀の 等 価 点とし て求め る と,Kanizsa
図 形,
線輪郭を 加 え た もの,
Ehrenstein 図 形のいずれで も図 形 内部の 方 が 手 前に定位さ れる こと,
さ らに Kar]izsa 図 形か ら得られ る奥行き感は, 線 輪 郭 を 加 えたものや Ehrenstein 図 形 か ら得ら れ る奥 行 き感よ り強 く,
線 輪 郭 を 加 えたものか ら得ら れる奥 行 き感とEhrenstein 図形か ら 得 ら れ る奥 行 き感に は差が ない とい うこ とを.
見いだ し た.
2.
2.
2.
奥 行 きの知 覚と輪郭 の 知覚の関 係一
般に Kanizsa 型の主観的輪 郭の誘導図形に両 眼 視 差を与え ると,
交 差 性の視 差で は手前の奥行 き感の増大 に 伴っ て主観的 輪郭の強調が生じ るの に対し,
非 交 差性 の視差 で は後ろの奥行 き感の増大に伴っ て主 観 的 輪 郭の 抑制 ない しは消 失が 生 じると報 告さ れて いる (Gregory & Harris,
1974;Lawson,
Cowa11, Gibbs,
& Whit・
more,1974
),
Whitmore ,
Lawson ,
& Kozora (1976
}も両眼視差が
Kanizsa
型の主観的 輪 郭の明 確 度に及 ぼ す 効 果, お よ び両 眼 視差 が ドッ トステ レオ グ ラム 中のtt
眼 間非 対 応 点か ら 生成され る主観 的 輪 郭の明確度に及 ぼ す 効 果につ い て吟 味して い る が,
結 果の 記 述 と グ ラ フ (彼らのFigure
3) が一
致してい ない の で結 論が よくわ か ら ない.
Simmonds (1974)も 同様の実 験を行い,
両 限 視 差は輪 郭の明確 度に影 響 を与 えない とい う逆の結果 を得て い るが,
Simmonds の報 告に は,
視 差 量 が記述 されて いない などの 問 題 点がある.
また Dumais &Bradley (1976)は照 度と網 膜」:二で の 刺 激の大 きさ が主 観 的 輪 郭の明確 度に お よ ホます 効 果につ い て,Bradley
&Dunlals
(1984
)は照 度と網 膜上 での刺 激の大きさ が奥 行 き感に お よ ぼす 効 果につ い てそ れ ぞ力 報 告し,
こ う した変数が 輪 郭の 明確度と奥行 き感に同 じ よ うに作 用するとい う結 果を得てい る.
こ う した,
二k
観的輪 郭と奥 行 きの知 覚の 随 挫 性 や,
輪 郭の明確度と奥 行 きの相 関 な どを根 拠に して,
しばしば 主観 的 輪 郭は奥行 き不連 続の単眼手が か りか ら生じ た一
種の補完輪 郭で あるとい われる (Coren,
1972 な ど),
こ れがいわ ゆ る奥 行き説で あ る.
実 際,
奥行 き不連続 が 強 度の不連 続を伴わない ことは実 際の網 膜 画 像で は しば し ば認め ら れ るこ と なので,
主観的輪郭は 単な る錯 視 とい う よ りは視覚系の適 応的 な補 完 機能の現 れで ある と されることも ある (Parks, 1986;Peterhans & von der
Heydt
,
1991).
2・
2・
3・
両 眼 視 差 に よ る主 観 的 輪 郭 の 強 調 と消 失 し か し,
両 眼 視 差の操 作は知覚さ れる奥 行 きを単に強 調 するの で はなく,
主観 的輪 郭の性 質を定 性 的に変えて い るの で は な い か と 思 わ せ る報 告もある.
fこと えば,Stevens
(1983>は,
重 な りの手がかb
に基 づ く奥 行 きの 知 覚が失 わ れた失 認 症 例 (Wapner
,Judd
, &Gardner,
ユ978)につ い て,
両眼 視 差の ない 条 件で は 主観的輪 郭も失わ れ ているのに対し,
両 眼視 差のある条 件で は主観 的 輪 郭が成 立 すること を示し てい る.
こ の報 告は両 眼 視 差がある場 合の主観 的 輪 郭と,
ない 場合の 主 観 的 輪 郭が異 なる神 経学 的 基 礎を持つ ことを 示 唆し てい る と も解釈で き る,
も ち ろ ん奥 行 き手 がか りの強 弱の 問 題に も帰着で きるの で,
これ だけで は決 定 的な証 拠とは い え ない,
よ り強い証 拠とし て,
Blonifield(1973),
Ramachand.
ran &Cavanagh
(1985), RamachanClran 〔1986
)の,
Kanizsa
型の図 形に非 交 差 性の 視 差を与え た場 含に は 主 観 的 輪 郭の 形状が変 わ り,
誘 導 図形が 手前の表面に空 い た窓の よ うに見え,
主観的輪郭図形はその窓を通 し て 後ろの空間に浮いている よ うに見え る とい う報告 (por−
thole illusion)をあげる こと ができる.
こ の 例は,
両 眼 視 差に応 じて主 観 的輪 郭が生 成された り さ れ なか っ た り するとい うよ りは,
互い に 交 差 する2つ の 主 観 的 輪 郭の 奥 行 き 関 係が変わ り, それぞれの場 合に,
相 対 的に後ろ に定 位 さ れた輪 郭がアモー
ダル 補 完輪郭 , 手 前に定位さ れた輪 郭が 主観 的 輪郭になっ た と考え る方が わか りや す い (Kellman
&Shipley,1991
;Shipley
& Keliman ,1992b を参 照 )
.
さらに Harris & Gregory (1973;Idesawa , 1991a;
1991b
;Caraman
&Welch
,1992 も参照 )は奥 行き方向 に傾 斜 し た主観 的 輪 郭か ら奥 行 き方向の起 伏を持っ た立 体的な図形の知覚が 生 じる こと,
同じ刺 激 布置で非 交 差 性の視差を与え る と 両限 視 野闘争 が 生じ るこ とを報 告し て いる,
奥 行 ぎ方 向の表面の傾 ぎや曲が りは II町眼 視 差なL
で も知 覚される奥 行 きを単に強 調して得 られ るもので は ない.
こう した知見か ら, 両眼視差はいわゆる非 両眼 性の重 な り手 がか りに基づ く奥 行 き知 覚を強調 するとい うよ り は,
それ とは独立に (偶 然に同 じ方 向の)奥行 きの知覚 を生じて い る の で は ないか と思わ れ る,
この ことを端 的に示 したのが Takeichi , Watanabe , &Shimejo
(1992)の奥行き伝播効果である.
主観的輪 郭図形の内 部に非 交 差 性の両眼視差 を持っ た刺激要 素を 加え る と,
刺 激 要 素のみな らず 主 観 的 輪 郭の囲 む 領 域の 内部全 体が後ろの奥 行 きに定 位 され る.
この 場 合,
両 眼竹市
1
:観的 輪 郭:訓 埠。旧的 解 釈 試 諭 25 視 差か g 生 じ る.
主観 的輪 郭図 形の 内祁の 領 域か誘 導 図 :形よ り の後ろ の奥行きにある とい う知 覚は,
宜な りの手 がか り に基づ く,
内 『1
が 誘 導凶形よ リ手前の奥 行 きにあ るとい う知 覚 と拮 抗 的に作 用しこれ を打ち消して いる.
し か し,
主 観的 輪 郭は失われず,
む し ろ強 調9
れる.
2・
2・
4.
奥 行き の知 覚と輪 郭の 知 覚の闃 係に 関 す る 再考 察輪 郭の知覚と 明 る さの 知 ;
一
£を 直接に関 係づけるrknm
)1よ “ 輪郭は 明 る さの不連 靴に対 応 する”
とい う考え に 結び つ い てい た ように思 わ れる.
最 初に述べ た 通 ウ,
こ楓_
必 ずしも妥 当と はい え ない,
これ に対し て,
輪郭の知 見 と奥 行 きの知覚 を 関 係づ け る議龠は“
輪 郭は奥1∫きの 不 連 統L 対 応する” とい う考えに予肛びつ いて お り,
こ の 点 では妥 当と 思 われる.
し か し
,
同時に奥行き説は“
奥 行 ぎの小連 続の知見 は 奥 行 きの知E
か ら得ら れ る”
とい う仮 定 をお い て い る.
この仮 定は妥 当とは思わ れ ない.
絶 対 的な奥 行 き知 覚の 精度 と相対的な奥 行 ぎ知 見の精 度に人きな隔た りがある ことは広 く知ら れてい る が,
これは奥刊 きの知覚と奥 行 きの変 化の知 崑,
あるい は奥付 きの知 覚 と奥 打 きのn
’
.
el
続の知覚が別の過租.
に媒 介 され ていること を 示 し て い る とも考 え られ る.
前飾での
,
trl眼 視善 が 主観 的 輪 郭に及ぼ す 効 果に関 す る検討は,
両眼視差に県つ く奥 行 きの知覚と,
方偉の不 連 続 や 凹み とい っ た図 形の形 態に基づ く奥 行 ぎ不連 続の 知 覚である主 観 的 輪 郭の独立性を支 持してい る.
のみ な らず,
次 節 以 下でのべ る よ うに,
明 る さ説の場 合と同 様 に,
輪 郭の知覚を媒 介 する過 程 と奥 翁 きの知覚 を 媒 介 す る過 程が存1 し 由者の間t−.
相互f1
三用がある と考 える こ とに よっ て1
いわゆる奥 行 き説に対 する批 判の い くつか に応 える こと がで きる.
2.
2.
5.
奥 行 き の 知 覚 を 生じない主観的輪郭 隣 接 縞 などの,
奥 行 き差の知覚を生じ ない 主 観 的 輪 郭 は,
し ば し ば奥 行 き説に対 す る反 証で あ る と さ れ る (Ware &Kennedy ,
1977).
しか し,
実 際の奥 行 き 不連r の刈覚には2つ の異な る 下 位 過 程, 奥行き不 汢続の存 在の知覚と,
その 不連丁 の ど ち ら側 が 于 前で どち ら側 が 後ろなの か の決 定 と が あ る.
物理学 的に は,
奥行き不連 続は奥行 きの侑 隷か ら引 き出 さ れるもの であり, 両者の知覚は同一
の過 札で ある よ う1・
一
も思わ れ る か もし れ ない.
し か し,
すで に述べ た よ うに,
実際の知 覚で は,
奥 行 き不連 続の存在だけ は検 出できるがど ち らが手 前か の決 定に関し て はあい まい な 場 合とい うの は あり得る.
隣接哨 などはそ うした図形の 例なの で あろ う.
Meyer & Phillips 〔1980)}こよ る と
Rubin の績と
IL
瓶の 図形を縦縞 と横 縞の境 界に生 じ る
k
観的輪郭で作る と,
通 常の顔 と花 瓶の 図 形よ り 昌鎮 度で 図地 が 反 転 す る,
この こ とは,
通 常の輝度 コ ン ト ラス ト定 義の 図形の衵・
合に く らべ て頑域の奥行き感トー
あい まいさ が大 きい と す れ ば 容 易に 埋解で きる、
隣 捗 縞 型の主 覘的 輪 郭で定 義 し た図圸反 転図升〆
のあいまい さが 大きい こ とは,Shank
& Walker (1989N
こも報 占さ れ ている.
こ う したi
/・
X「形は 奥r了き不連続の知 覚,
つ ま り,
主観 的 “ 輪 郭” の 知 覚は 生じ る が,
奥 行 きvこ つ いて ぽあい まい さがあるため,
こ特 疋の知 覚が 女疋し て成 t:するこ とはない のであろ う.
強い意 味で奥 行 き説を 主張し
,
手 前の奥 行 きク)知 見が 主 観 的輪 郭に重 要だとする な らば,
隣 払縞は奥 貧 き説に 骨する反証た り得る が,
よ り弱い 息味の 奥 信 き 説に 立 ち, 奥 行き それ「
じ たい の知覚で はな く奥 行 きの不連 続の 知 覚が 主観 的 輸 郭に重 要 だ とするならば,
隣 接縞か ら生 じ る 主観的 輪 郭 も説 明でき ない ものて は ない の である.
2.
2.
6・
奥 行き説は循 環 論 かBanks &CoMn (1974;