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『経済広報』2017年9月号

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(1)

457

月刊

9

2017

第33回「企業広報賞」受賞企業・受賞者決まる

◆社会広聴アンケート

信頼できる企業とは、

「製品・サービスが優れている。技術力がある」が75%

―「生活者の“企業観”に関するミニアンケート」を実施―

◆経済広報センター活動報告

Society 5.0は世の中をどう変えるか

経団連 Society 5.0実現部会 部会長/ 日本電気(株) 取締役 執行役員常務 兼 CTO 

江村克己

トヨタ自動車(株) 先進技術統括部 主査 担当部長 

岡島博司

(一社)電子情報技術産業協会(JEITA) 理事 事務局長 

井上 治

◆企業広報研究

グローバル企業のコミュニケーション~P&Gの事例~

企業理念が生きるコーポレートブランド

イン・タッチ・コミュニケーションズ 代表 

岩原雅子

(2)

国内 1日 8月の消費動向調査結果(内閣府) 7日 7月の景気動向指数速報(内閣府) 8日 7月の国際収支速報(財務省)8月の景気ウォッチャー調査(内閣府) 13日 7~9月期の法人企業景気予測調査(内閣府) 20日 8月の貿易統計(財務省) 20 ~ 21日 日銀の金融政策決定会合 29日 8月の失業率(総務省)8月の有効求人倍率(厚生労働省) 海外 1日 8月の米雇用統計(米労働省) 7日 ECB(欧州中央銀行)定例理事会(ドイツ・フランクフルト) 15日 8月の米小売売上高(米商務省) 19日 8月の米住宅着工件数(米商務省) 19 ~ 20日 FOMC(米連邦公開市場委員会)(米FRB(連邦準備制度理事会))

9

月の動き

今 月 の 表 紙

三菱電機は、「企業理念」や「7つの行動指針」に基づき、 CSR活動などを通じて、企業の社会的責任を果たす ため、様々な取り組みを推進している 同社のイベントスクエア「METoA Ginza」では、“新し い発見を、三菱電機といっしょに。”をテーマに、三菱 電機グループの技術・サービスに気軽に触れられる 様々な体験型イベントを開催している METoA Ginzaの2階には、三菱電機が独自設計した 横幅19.4m、高さ2.7mの64面液晶マルチディスプレ イによる大型映像システム「METoA VISION(メトア ビ ジョン)」が壁全面に設置されている。全身を包み込むよ うな圧倒的迫力と美しさで画期的な映像体験ができる 『経済広報』では、裏表紙に関連する写真・イラストを表紙に 掲載しています。

(3)

月の動き

発行/一般財団法人経済広報センター 国内広報部    東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館 TEL:03-6741-0021 印刷/三葉株式会社 TEL:03-3294-4751 ※本誌掲載の記事・写真・イラスト・図版の無断掲載を禁じます。

第33回「企業広報賞」受賞企業・受賞者決まる

2

社会広聴アンケート

信頼できる企業とは、

「製品・サービスが優れている。

技術力がある」が75%

~企業が発行する「統合報告書」の認知度も約60%~

―「生活者の“企業観”に関するミニアンケート」を実施―

4

経済広報センター活動報告

Society 5.0は世の中をどう変えるか

~ Society 5.0の理解促進のためにセミナーを開催~

江村克己

(経団連 Society 5.0実現部会 部会長/日本電気(株) 取締役 執行役員常務 兼 CTO)

岡島博司

(トヨタ自動車(株) 先進技術統括部 主査 担当部長)

井上 治

((一社)電子情報技術産業協会(JEITA) 理事 事務局長)

10

企業広報研究

グローバル企業のコミュニケーション~P&Gの事例~

企業理念が生きるコーポレートブランド

岩原雅子

(イン・タッチ・コミュニケーションズ 代表)

13

中日新聞の経済報道と関心事

林 浩樹

(中日新聞社 編集局次長兼経済部長(当時))

16

視点・観点

プレミアムフライデーへの取り組み3

19

経済広報センター活動報告

第38回北米社会科教育関係者招聘プログラムを実施

20

日米のWin-Win経済関係を再確認

テキサス州で「ジャパン・サミット2017」シンポジウムを開催

21

コーポレートメッセージ

木とともに未来を拓く

日本製紙グループ

24

連載 経済広報センター NEWS

22

企業広報ニュース(広報トピックス/ Book)

25

企業・団体のCSR活動(三菱電機(株)) 裏表紙 9月の動き 表紙裏

(4)

【委員長】

伊 藤 邦 雄

一橋大学 大学院商学研究科 特任教授 商学博士

天 野 真 志

読売新聞東京本社 編集局次長兼 経済部長

塚 田 健 太

毎日新聞東京本社 経済部長

藤 沢 久 美

シンクタンク・ ソフィアバンク 代表

西 村 豪 太

東洋経済新報社 『週刊東洋経済』 編集長

丸 石 伸 一

朝日新聞東京本社 経済部長

佐々木かをり

(株)イー・ウーマン 代表取締役社長

深 澤 献

ダイヤモンド社 『週刊ダイヤモンド』 編集長

吉 田 あ り さ

日本経済新聞東京本社 経済部長

選考委員

受賞企業 ・受賞者

(敬称略・五十音順)

オムロン株式会社

代表取締役社長CEO 

田 義

ヨ シ ヒ ト

鳥 昭

株式会社ニトリホールディングス

代表取締役会長兼CEO 

経済広報センターは、1984年に「企業広報賞」を設け、毎年、優れ た企業広報を展開している企業および個人・チームを表彰している。 33回目を迎えた今年は、38の企業および個人・チームが候補として 挙がった。7月4日に選考委員会を開催し、厳正なる選考の結果、 受賞企業・受賞者が決定した。 なお、表彰式は、9月上旬に開催する。

第33回「企業広報賞」 受賞企業・受賞者決まる

¦33¦¦¦¦¦¦

(5)

選考のポイント

受賞企業 ・受賞者

社会から期待され求められているものを見極め、それを経営に反映させるとともにステー クホルダーに対し企業活動の的確な情報を発信・伝達し、社会に貢献している企業 経営トップ自らが広報の重要性を認識し、社内外の情報によく耳を傾け、経営環境や経営 方針などについて、社会や従業員に語り、コミュニケーションを積極的に推進している経営者 広報活動に携わり企業広報の発展に功労が大きく、奨励に値する独創的な企業広報を実践 している広報実務者およびチーム

企業広報

企業広報

経営者賞

企業広報

功労・奨励賞

(敬称略)

井 一

キッコーマン株式会社

執行役員 コーポレートコミュニケーション部長

ヤ マ ザ キ

崎 真

旭化成株式会社

購買・物流統括部長 

田 忠

タ ダ

ヒ ロ

YKK株式会社

代表取締役会長CEO 

口 治

ハ ル

ア キ

ライフネット生命保険株式会社

創業者 

第33回「企業広報賞」 受賞企業・受賞者決まる

(6)

信頼できる企業とは、

「製品・サービスが優れている。

技術力がある」が75%

~企業が発行する「統合報告書」の認知度も約60%~

「生活者の“企業観”に関するミニアンケート」を実施

経済広報センターは、生活者が企業をどのように認識し、信頼しているかを調査するため、1997年度か ら毎年、「生活者の“企業観”に関するアンケート」を実施している。 今回の調査では、今年(2017年)2月に発表した「第20回 生活者の“企業観”に関するアンケート」(調査 実施:2016年11月)の結果を踏まえ、「信頼できる企業」や企業が発行する統合報告書の認知度などについ て、さらに詳しく調査した。 また、企業情報、商品・ブランドやサービスに関する情報などを、ソーシャルメディアを使って発信する 企業が年々増えている中、「ソーシャルメディアを活用している企業」について生活者がどのような印象を持っ ているのか、企業が運営するソーシャルメディアの利用状況などについて調査し、その結果をとりまとめた。 なお、調査の詳細については、当センターのホームページをご覧ください。 (http://www.kkc.or.jp/society/survey.php) ■調査の概要        ■回答者の属性 (1) 調査名称: 生活者の“企業観”に関する ミニアンケート (2) 調査対象: 経済広報センターのeネット 社会広聴会員 2954人 (3) 調査方法: インターネットによる回答選 択方式および自由記述方式 (4) 調査期間: 5月30日~6月12日 (5) 有効回答: 1517人(51.4%)

1. 信頼できる企業とは、「製品・サービスが優れている。技術力がある」「企業理念・経営理念が

しっかりしている」「コンプライアンス・倫理観が高い」の3項目がそれぞれ7割以上

「信頼できる企業」とは、どのような企業かを聞いたところ、「製品・サービスが優れている。技術力がある」が 75%。続いて、「企業理念・経営理念がしっかりしている」が73%、「コンプライアンス・倫理観が高い」が72%と いずれも7割を超えている。なお、「第20回 生活者の“企業観”に関するアンケート」(2017年2月発表)において ●世代別 29歳以下 (2.6%) 30歳代 (10.7%) 40歳代 (13.9%) 50歳代 (32.8%) 60歳代 (22.1%) 70歳以上 (17.9%) ●職業別 会社員・ 団体職員・ 公務員 (41.1%) 会社役員・団体役員 (5.5%) 専業主婦・ 夫 (17.4%) 学生 (0.7%) その他無職・ (15.3%) パートタイム・ アルバイト (12.6%) 自営業・自由業 (7.4%)

社会広聴アンケート

(7)

「企業が信頼を勝ち得るための重要事項とは何か」を調査したが、「安全・安心で優れた商品・サービス・技術を適 切な価格で提供する」が最も高い(88%)ことから、この要素は最重視されているといえる。 また、「信頼できる企業」として具体的に思い浮かぶ企業名と、その理由を聞いたところ、「商品やサービスが安 全・安心である」「環境に配慮している」「経営が安定している」「日本を代表するグローバル企業である」「技術力が 高い」「商品やサービスの質が高い・信頼できる」「従業員を大切にしている」といった理由などから、以下の企業 が上位30位までに挙げられている。 味の素  イオングループ  伊那食品工業  ANAホールディングス  花王  カゴメ  キヤノン 京セラ  キリン  サントリーホールディングス  JR東日本  資生堂  SUBARU セブン&アイ・ホールディングス  ソニー  ソフトバンク  武田薬品工業  東レ  トヨタ自動車 日産自動車  日本電産  パナソニック  日立製作所  ファーストリテイリング  富士フイルム ホンダ  三菱商事  三菱電機  明治ホールディングス  ヤマトホールディングス (3社までの複数回答 社名50音順)

信頼できる企業

製品・サービスが優れている。技術力がある 企業理念・経営理念がしっかりしている コンプライアンス・倫理観が高い 経営が安定している 雇用が安定している。従業員を大事にしている お客様対応が丁寧である 情報開示に熱心である 社会貢献・地域活動に熱心である 環境への取り組みに熱心である 次世代教育に熱心である 売上高・利益が大きい CSR報告書、統合報告書が充実している 株式の配当が高い 老舗である グローバル展開に熱心である 新聞やテレビ、インターネットやSNSなどの メディアでよく見る 広告が優れている 社長の知名度が高い その他 (7つまでの複数回答) 0 10 20 30 40 50 60 70 80% 75 73 72 61 60 58 41 40 38 14 11 9 6 5 4 2 1 1 1

(8)

2. 企業が発行する統合報告書を「読んだことがある」が24%、「読んだことはないが、

存在は知っている」を合わせると認知度は6割近い

企業が発行する「統合報告書」を読んだ ことがあるかを聞いたところ、「読んだこ とがある」が24%。「読んだことはないが、 そうした報告書の存在は知っている」が 34%。「読んだこともないし、存在も知ら ない」が42%となっている。企業の「統 合報告書」の発行は年々増加傾向にあり、 「読んだことがある」「読んだことはない が、そうした報告書の存在は知ってい る」を合わせると、認知度は58%となっ ている。

3. 統合報告書の内容で、興味があるのは「企業理念」

「事業内容」

「経営戦略」

「経営トップの

メッセージ」が5割以上

企業が発行する「統合報告書」を読んだことがあると回答した人に、どの内容に興味を持ったかを聞いたとこ ろ、「企業理念」がトップ(55%)。以下、「事業内容(製品、サービス、技術)」が54%、「経営戦略(ビジネスモデル、 企業価値の創造、市場の創出)」が51%、「経営トップのメッセージ」が50%と続く。「企業理念」と「事業内容」につ いては、「信頼できる企業」の要素としてもそれぞれ2位と1位に挙げられ、この2つは重要視されていることが 分かる。

企業が発行する統合報告書 - 認知度

企業が発行する統合報告書 - 興味を持った内容

企業理念 事業内容(製品、サービス、技術) 経営戦略(ビジネスモデル、企業価値の創造、市場の創出) 経営トップのメッセージ 中長期経営計画 人材活用・人材育成(ダイバーシティ推進など) 環境への取り組み 売上・利益等の財務データ 企業・事業の歴史 リスクマネジメント コーポレートガバナンス(企業統治、社外取締役のコメント) 地域社会との共生、メセナ 従業員の声 決算短信・有価証券報告書等のデータ 専門家・ビジネスパートナーなどの第三者からの声 その他 (7つまでの複数回答) 0 10 20 30 40 50 60% 55 54 51 50 39 37 36 33 29 25 24 24 22 16 10 1 (n=365) (単一回答) ■読んだことがある ■読んだことはないが、そうした  報告書の存在は知っている  ■ 存在も知らない読んだこともないし、 *小数点以下第1位四捨五入 0 20 40 60 80 100% 42 34 24

社会広聴アンケート

(9)

4. 統合報告書の内容で、充実させてほしいのは、

「事業内容」

「経営戦略」が5割以上

企業が発行する「統合報告書」で、充実させてほしい内容について聞いたところ、「事業内容(製品、サービス、 技術)」(56%)、「経営戦略(ビジネスモデル、企業価値の創造、市場の創出)」(51%)が5割を超える。以下、「企 業理念」が46%、「中長期経営計画」が42%と続く。「売上・利益等の財務データ」「決算短信・有価証券報告書等の データ」など具体的な数値データはそれぞれ33%、14%にとどまっている。

5. ソーシャルメディアを活用している企業への印象は、

「時代に敏感である」がトップ

近年、企業情報、商品・ブランド・サービス情報などをソーシャルメディアで発信する企業が増えている。そ こで、ソーシャルメディアを活用している企業に、どのような印象を持つかを聞いたところ、「時代に敏感であ る」がトップ(56%)。以下、「若い世代を重視している」が48%、「マーケティングに熱心である」が43%と続いてい る。 本アンケートでソーシャルメディアは、以下のように定義している。 <ソーシャルメディアとは> フェイスブックやツイッター、LINE、ユーチューブ、ブログなどオンライン上でユーザー同士が 情報を交換(送受信)することによって成り立つメディアや、インターネット上で情報発信するブログ などの総称。

企業が発行する統合報告書 - 充実させてほしい内容

事業内容(製品、サービス、技術) 経営戦略(ビジネスモデル、企業価値の創造、市場の創出) 企業理念 中長期経営計画 人材活用・人材育成(ダイバーシティ推進など) 環境への取り組み 売上・利益等の財務データ リスクマネジメント 経営トップのメッセージ コーポレートガバナンス(企業統治、社外取締役のコメント) 従業員の声 地域社会との共生、メセナ 企業・事業の歴史 専門家・ビジネスパートナーなどの第三者からの声 決算短信・有価証券報告書等のデータ その他 (7つまでの複数回答) 0 10 20 30 40 50 60% 56 51 46 42 36 36 33 32 27 27 27 17 14 1 17 25

(10)

6. 企業が運営するソーシャルメディアを、3人に1人が利用している

企業が運営するソーシャルメディアの 利用について聞いたところ、「利用してい る」が34%、「利用していない」が66%。3 人に1人が「利用している」。

7. 企業が運営するソーシャルメディアを利用後、

「企業の商品やサービスを利用する

きっかけになった」が6割以上

企業が運営するソーシャルメディアを「利用している」と回答した人に、利用後、企業に対する印象などに変化 があったかを聞いたところ、「企業の商品やサービスを利用するきっかけになった」が6割を超えている(64%)。 「企業に対する興味・関心・理解が高まった」が55%と続く。「企業に対する信頼が高まった」(17%)や「企業の ファンになった」(12%)というような“信頼度向上”までには至っていないが、企業の商品・サービスなどの情報 を知るためのきっかけにはなっているようである。

企業が運営するソーシャルメディア - ソーシャルメディアを活用している企業への印象

企業が運営するソーシャルメディア - 利用状況

時代に敏感である 若い世代を重視している マーケティングに熱心である 消費者・顧客志向である 先進的である 魅力的な商品・サービス提供に努力している その他 (3つまでの複数回答) 0 10 20 30 40 50 60% 56 48 43 32 26 14 5 (単一回答) ■利用している ■利用していない *小数点以下第1位四捨五入 0 20 40 60 80 100% 66 34

社会広聴アンケート

(11)

8. 企業が運営するソーシャルメディアを利用している人のうち、3人に2人が特定企業を

「登録している」

企業が運営しているソーシャルメディ アを「利用している」と回答した人に、特 定の企業について登録(ツイッターやL I N E で フ ォ ロ ワ ー や 友 だ ち に な る、 ブックマークするなど)しているかを聞 いたところ、「登録している」が65%、「登 録していない」が35%となっている。3 人に2人が登録しており、企業情報が既 に身近であることが分かる。  k (文:国内広報部主任研究員 吉満弘一郎)

企業が運営するソーシャルメディア - 利用後の変化

企業が運営するソーシャルメディア - 特定企業の登録

企業の商品やサービスを利用するきっかけになった 企業に対する興味・関心・理解が高まった 企業に対する信頼が高まった 企業に対する印象には変化がなかった 企業のファンになった 企業の株式を購入するきっかけになった 製品・サービスを家族・友人・知人に勧めたくなった 企業に対する印象が悪くなった、信頼が失われた その他 (複数回答) 0 10 20 30 40 50 60 70 80% 64 55 17 17 12 9 8 2 2 (n=509) (単一回答) ■登録している ■登録していない *小数点以下第1位四捨五入 0 20 40 60 80 100% (n=509) 65 35

(12)

Society 5.0は

世の中をどう変えるか

~ Society 5.0の理解促進のためにセミナーを開催~

経済広報センターは6月20日、セミナー「Society 5.0は世の中をどう変えるか」を開催した。セミナー では、経団連未来産業・技術委員会Society 5.0実現部会の江村克己部会長(日本電気取締役執行役員常務兼 CTO)、トヨタ自動車先進技術統括部の岡島博司主査・担当部長、電子情報技術産業協会(JEITA)の井上治 理事・事務局長が講演した。参加者は、社会広聴会員33名など138名。 昨年1月に、政府は日本発の「Society 5.0」というコンセプトを打ち出した。ITを最大限に活用し、サ イバー空間とフィジカル空間(現実社会)とを融合させることで、人々に豊かさをもたらす社会、すなわち、 「超スマート社会」を未来の社会の姿として共有し、その実現を、Society 5.0というキーワードの下に強力 に推進していくことが示された。 経団連も、このSociety 5.0のコンセプトに全面的に賛同し、実現のための様々な取り組みを産業界の立 場から行っている。そこで当センターは、Society 5.0や超スマート社会について多くの方への理解促進の ため、セミナーを開催した。以下は、同セミナーにおける3名の講演概要である。

日本再興のカギを握る

Society 5.0

~未来社会の創造に向けてなすべきこと

江 村 克 己

(えむら・かつみ)

経団連 Society 5.0実現部会 部会長

日本電気(株) 取締役 執行役員常務 兼 CTO

経団連は、イノベーションこそが、わが国が国際 競争力を強化するための生命線であり、イノベー ション政策の方向性は、Society 5.0の実現を通じた 日本再興にあると考えている。 Society 5.0とは何か。狩猟社会、農耕社会、工業 社会、情報社会に続く、言わば「超スマート社会」、 別の言葉で言えば、「サイバー空間とフィジカル空間 を高度に融合させ」「経済的発展と社会的課題の解決 を両立する」「人間中心の」社会に向けた取り組みで ある。 例えばAIやロボットを活用して1人当たりのG DPを増やしたり、高齢者や女性など意欲のある人 が活躍できたり、地方でも都市でも同様に活躍でき たり、全体最適化で環境と経済を両立させたり、と いったことをイメージしてほしい。 Society 5.0実現のためには、官民が連携してプロ ジェクトに取り組む必要がある。特に、都市、地 方、モノ・コト・サービス、インフラ、サイバー空 間の5つのプロジェクトが重要である。 第1に都市のプロジェクトである。大都市への人 口集中は様々な問題を引き起こしている。都市活動 全体をバーチャルに再現し、シミュレーションした 上で実社会に反映することで、制度・実施主体など の課題を解決し、効率的にデザインされた都市活動 を実現していきたい。 第2に地方のプロジェクトである。過疎化やイン

経済広報センター活動報告

(13)

フラ老朽化といった課題が顕在化しているが、どこ にいても同じような仕事ができる環境をつくること によって、働きやすく、自然と共生できるような、 地方において今までとは違った豊かな生活を実現し ていきたい。 第3はモノ・コト・サービスのプロジェクトであ る。消費者の関心はモノの所有から、コト・サービ スへと移っている。サービスに軸足を置くのではな く、日本が得意とするモノづくりを起点にした「コ ト・サービス」への展開のための基盤づくりが必要 である。 第4がインフラのプロジェクトである。首都高速 道路をはじめとする日本のインフラは、多くが高度 経済成長期に造られ、老朽化が進んでいる。インフ ラ情報を集積・解析し、見える化・バーチャル化を 通じて、労働生産性の向上に寄与し、災害にも強い 国土づくりを目指していきたい。 第5はサイバー空間のプロジェクトで、これは第 1から第4のプロジェクトすべての基盤でもある。 サイバーとフィジカルの空間を連携させ、セキュリ ティーに最大限に配慮しつつ、組織間のデータ連 携、さらには、システム連携により、社会全体の最 適化を実現できるような基盤づくりが重要である。 一方、Society 5.0の実現に向けては、①省庁の壁、 ②法制度の壁、③技術の壁、④人材の壁、⑤社会需 要の壁という5つの壁があり、これを乗り越えるこ とが大変重要である。司令塔組織の設立、データ活 用に関する制度基盤の整備、研究開発投資の増加、 人材の育成など、取り組むべき課題は少なくない。 併せて大変重要なのが、一般の人にメリット、リス クをきちんと説明し、データ開示・活用に関するコ ンセンサスを得ていくことである。日本再興のため に、次の社会を世界に先駆けてつくるのがSociety 5.0である。経団連としては、Society 5.0の実現に 向けた活動を、今後も継続して強化していくことと している。

AI(人工知能)とクルマが

変える、人々の暮らし

岡 島 博 司

(おかじま・ひろし)

トヨタ自動車(株) 先進技術統括部 主査 担当部長

自動運転の社会を実現するに当たり、我々が第一 に考えるのは安全である。交通死亡事故を少しでも 減らすべく、人・クルマ・交通環境の三位一体で安 全を追求している。具体的には、高速道路走行中の 自動ブレーキシステム、駐車場でペダルを踏み間違 えても衝突せずに止まるシステム、衝突後に乗員を 守り、スムーズに助けるための装備など、事故を防 ぎ、被害を最小限に食い止めるために、統合的・多 面的な取り組みを進めている。次世代のフラッグ シップカーでは交通死亡事故を25%減らし、モデ ルチェンジと共にさらに減らしていって、最終的に はゼロに近づけたい。一方で、これらの安全向上策 を低コスト化・コンパクト化し、普及車種にも広げ たいと考えている。 自動運転技術は、基本的に「すべての人が安全に スムーズに移動できる手段」として提供したい。そ れは交通事故を減らし、渋滞を防ぎ、お年寄りや身 体の不自由な方も自由に移動できる状態である。愛 犬、愛馬のように“愛車”と言うが、これは工業製品 では稀け有うなことである。「無人運転」を目指すのでは なく、あくまで「人のパートナーとしてのクルマ」で あり続けたい。 自動運転に新規参入した異業種、特にIT企業は 一足飛びに完全自動運転を目指しているが、我々は 安全性を最重視しながら段階を踏み、最終的には完 全自動運転に到達したい。その際、「3つの知能化」 が重要になる。1つ目は、車そのものの、運転技術 の知能化で、センサーで安全な経路を見いだすな ど。2つ目は、「つながる知能化」で、車と車の通信、 車とインフラの通信。3つ目が、最も大切な「人と クルマが協調するための知能化」であり、我々が目 指す「クルマが人を助ける」形の自動運転に必要不可

(14)

欠なものである。 自動運転のうち、レベル2とレベル3には大きな 壁がある(注)。レベル2では自動運転モードにおい ても、責任はドライバーにあり、常に周辺監視の義 務がある。一方レベル3では、自動運転中は車両側 に責任があるが、自動運転が継続できない事態、例 えば豪雨でセンサーが検知不能の状況に陥る場合、 自動運転を解除し運転を人間のドライバーに戻す必 要がある。30秒後に戻します、などと宣言して運 転を戻すことになるが、ドライバーが眠り込んでい れば危険である。ドライバーの状況をしっかり把握 すること、ドライバーの意識を保ち続けることも必 要になる。 自動車産業を取り巻く環境は大きく変わりつつ ある。Google、Apple、Uberなどが続々参入し、ビ ジネスモデルもモノの販売からサービス事業へ移行 している。この流れに対応するため、我々も昨年1 月、シリコンバレーとボストンを拠点とするTRI

(Toyota Research Institute)という人工知能研究の 新会社を設立した。新たに就任したCEOの人脈で ITトップ人材を集めてイノベーションを起こし、 ライバルのIT企業に対抗したい。先端的な知恵を 持つ有力大学や研究機関と連携し、現場とビジョン を共有しながらも強力な権限を付与し、柔軟な発想 と自主性の下で研究開発を行う。脱・自前主義にも 取り組み、異業種も含めて有機的に結合し、共に価 値を創る形態に移らねばならないと考えている。 「ビッグデータ×AI」は、自動運転技術への活用 はもちろん、新しい電池材料や、低コストでパワフ ルな燃料電池、在宅介護ロボット、工場の効率化シ ステムなど、様々な分野への活用の可能性を秘めて いる。我々もモノづくり事業から、ハードとソフ ト、ビッグデータを組み合わせ、サービスも含めた 事業者へと成長を遂げるつもりである。 (注)自動運転は、日本政府や米国運輸省道路交通安全局など により、レベル5を完全自動運転として1から5までに レベル分けされている。

CEATEC JAPANで

Society 5.0実現の

モデルケースを発信する

井 上   治

(いのうえ・おさむ)

(一社)電子情報技術産業協会(JEITA)

  理事 事務局長

昨 年、 家 電 見 本 市 か ら、CPS(Cyber Physical System)/IoTの 総 合 展 示 会 に 生 ま れ 変 わ っ た CEATEC JAPANは、今年さらにパワーアップし、 Society 5.0の一大イベントへと進化する。 CEATEC JAPAN(CEATEC:Combined Exhibition of Advanced TEChnologies)は、2000年 に、エレクトロニクスショーとCOM JAPANの2 つの展示会が統合し、最先端技術によっていかに 人々の暮らしが豊かになるのかを提示する展示会と して誕生した。以後、日本を代表する家電見本市と して注目を集めたが、2016年に展示会のコンセプト を転換し、CPS/IoTの総合展に大きく舵を切った。 昨年は、IT・エレクトロニクスメーカーをはじ め、サービス産業など幅広い業種が加わり、出展者 数は前年比22%増の648社・団体で、新規出展者は 253社・団体、海外企業は24カ国・地域から195社 であった。CPS/IoTのフロントランナーが集う展 示会に文字通り生まれ変わったのである。 今年はさらに、Society 5.0の実現をテーマに掲 げ、そのショーケースとなり未来へとつなげてい きたい。産官学の連携により、世界に先駆けて直 面する社会課題を解決し、未来を創造する、超ス マート社会のモデルケースを世界に発信する。会 期は10月3日から6日まで、幕張メッセで開催す るCEATEC JAPAN 2017(詳細はホームページ: http://www.ceatec.com/ja/を参照)にぜひ足をお運 びいただきたい。  k (文責:国内広報部主任研究員 細井理依子)

経済広報センター活動報告

(15)

グローバル企業の

コミュニケーション

~P&Gの事例~

企業理念が生きるコーポレートブランド

岩 原 雅 子

(いわはら・まさこ)

イン・タッチ・コミュニケーションズ 代表

経済広報センターは7月21日、「企業広報講座」を大阪市内で開催した。大阪会場第2回の今回は、イン・ タッチ・コミュニケーションズの岩原雅子代表(元P&Gジャパン広報マネージャー)が、「グローバル企業の コミュニケーション~P&Gの事例~」をテーマに講演した。参加者は、大阪を中心とする西日本の会員企業 の広報担当者約40名。 P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)は、 1837年に米国オハイオ州シンシナティで生まれた 日用品メーカーである。創業者のウィリアム・プ ロクターとジェームズ・ギャンブルの名前が企業 名の由来だ。今では世界約70カ国に拠点を有する グローバル企業であり、創業の地シンシナティは グローバルのヘッドクオーターとなっている。日 本でも洗剤の「アリエール」や「ジョイ」、柔軟剤の 「レノア」、消臭剤の「ファブリーズ」、紙おむつの 「パンパース」、シャンプーの「パンテーン」、化粧品 の「SK-II」、ひげそりの「ジレット」など、数々のグ ローバルブランドを市場に送り出している。社員数 は、おおよそ10万5000人で、その国籍は145カ国以 上にわたる。

コーポレートブランディングの始まり

P&Gはブランドの会社とよくいわれるが、それ は製品ブランドのことで、企業そのもののブラン ド、いわゆるコーポレートブランドについては長い 間それほど重きを置いてこなかった。欧米では日本 と違ってテレビコマーシャルも広告も前面に出るの は製品名であり、企業名を一般消費者に向けてア ピールするということはほとんどなかった。 そういう中で2000年代になり、P&Gという企 業ブランドも製品ブランドと同じように活用してい こうという動きが出てきた。その背景として、「P &G」という創業から百何十年も続いている価値あ るブランドを十分活用できていないという思いが高 まったことがある。きっちりとブランディングをし て、もっと有効活用することができるはずだという 考えである。また、「ブランドというものは自分たち で積極的に管理していかなくてはいけない。それを しなければ他人がブランドイメージをつくり上げ てしまう、もしくは自分たちのブランドが第三者 によってコントロールされてしまう」という危惧も あった。この警告は製品ブランドにおいては常に社 内でいわれていたことであるが、このときにやっと 企業ブランドにも留意するようになったということ だろう。さらに社員の間では事業部や一組織への所 属意識が強くなり、P&Gという企業への帰属意識 が希薄になる傾向が一部で見られたこともコーポ レートブランディングに本腰を入れ始めた理由のひ とつであった。

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ブランディング・プロジェクト

2000年代初頭、コーポレートブランディングの ために、本社シンシナティで社内のマーケティング 部門と広報(コミュニケーション)部門のスタッフ、 および外部のデザイナーや調査・コンサルティング 会社のスタッフなどがチームを組んでプロジェクト がスタートした。 ブランディングを行う際にP&Gが常に用いる考 え方として、「WHO・WHAT・HOW」というものが ある。製品であればまさしく、より多く売るために は、誰に訴え掛けるべきか、何をそのブランドの売 りまたは特長として訴え掛けるべきか、それをどの ような方法で訴え掛けるべきか、ということだが、 これと同じ方法でコーポレートブランディングのプ ロジェクトが進められた。 まず「WHO」の誰をターゲットにブランディング を考えるかについては、社員が第一のターゲット、 次にサプライヤーや取引先などのビジネスパート ナー、そしてその他のステークホルダー(投資家、 行政、NGOなど)であった。一般の消費者は直接 的なターゲットとはしていなかった。

ブランドエクイティ―― 

本質は何かを探り出す

プロジェクトで最も時間と労力がかかったのは 「WHAT」、つまりP&Gのブランドのエクイティ は何かを決める、または探し出すプロセスだった。 ブランドエクイティは、ここではP&Gが持つ本質 あるいはDNA、もしくはP&Gらしさと定義すれ ばよいだろうか。P&Gという企業が連綿と培い、 受け継いできた本質、DNAを、それも良いDNA を探し出さなくてはならない。本質と違うものを、 これぞP&Gと売り込んでもうまくいくはずはな い。本当にP&Gの中に流れているもの、うそでは ないもの、かつ魅力的でブランディングに効果的な ものを探す必要があった。 このエクイティを特定するためにブランディング チームは複数の国を訪問して様々な社員と会い、社 員の気持ちやアイデア、P&Gの伝統は何か、他の 企業との違いは何か、誇りに思っていることは何 か、好きなところは、嫌いなところは、といったこ とを聞き出して吸い上げるワークショップを行っ た。これは米国、欧州、中国、日本でチームが行脚 しながら行い、数時間のワークショップを全部で 19回開催した。参加した社員は約400人に上り、そ れらの社員にはワークショップでの聞き取りに加え て、自分がP&G社員として感動した経験、印象に 残っている経験などについてのストーリーを書いて 後日送ってもらった。例えば「採用の面接で社員が とても親身になって自分の質問に答えてくれた」と か、「いろいろと大変なことがあったけれどプロジェ クト達成のためにチームが助け合って成し遂げたと きの感動が素晴らしかった」など、全部で1000件も のストーリーが集められた。 これらの聞き取りやストーリーによって集めた内 容についてチームは分析を行った。内容によって大 きく分類して、その中に共通するトピックやテーマ、 概念を抽出し、幾つかの大きな傘となる概念に収しゅうれん斂 していくという作業を徹底的に行ったのである。

ブランドエクイティと企業理念の整合性

その結果判明した、もしくは検出されたP&Gの DNAともいうべき究極のエッセンスが3つあっ た。1つが「Caring」、これはケアする・人を大切 にする・育てるといった意味合いだ。もう1つが 「Demanding」つまり要求度が高い、最高を目指すと いった意味合い。そして、その2つがうまく調和し たときに3つ目の「Growth」、成長につながる、も しくは目的が達成できる、という方程式が浮かび上 がった。これら3種類のDNAで描かれているのが P&Gの本質、言い換えればP&Gブランドのエク イティというものだった。 実は、このDNAはP&Gが企業理念でうたって いる内容と、ほぼ100%整合性があるものだった。 企業理念はホームページなどで広く公開されている のでここでは再掲しないが、理念にうたわれてい る「社員が最も重要な資産である」「すべての個人を 尊重する」「組織の構築を内部昇進によって行う」な どの項目は、ケアする・人を大切にする・育てる

企業広報研究

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(Caring)というDNAと共通している。また「世界 中で最も優秀な人材を採用する」「最高を目指す」「革 新は私たちの成功の礎」「戦略的な仕事を行う」「専 門能力に価値をおく」といった企業理念にある言葉 は、いずれも高みを目指す・要求する(Demanding) という意味合いと共通する。そして成長や目的達成 (Growth)は、まさに企業理念の冒頭にある「世界の 消費者の生活を向上させる、優れた品質と価値をも つP&Gブランドの製品とサービスを提供する」と いう企業目的と一致している。 膨大な数の社員の言葉やストーリーから収斂され たDNAが企業理念と一致していたということは大 きな意味を持つ。それは企業理念が、真に社員の中 に価値観として浸透していたことにほかならないか らだ。社員に話を聞く際に企業理念を持ち掛けたわ けではなく、純粋にP&G社員として経験して良 かったこと、感動したこと、これからも持ち続けた いものを聞いた結果現れた共通のDNAが、以前か ら掲げている企業理念の内容を具現化するもので あったのだ。P&Gでは企業理念に掲げられている 各項目について議論するワークショップを展開した り、経営陣から社員へのコミュニケーションの中に 理念の文言を取り入れたりと、理念が形骸化せず、 社員の行動や意思決定と結び付くような働き掛けを 常に行っている。社員の言葉から導き出されたDN Aが企業理念に沿ったものであったことは、そう いった働き掛けが功を奏している証左だと考える。

ブランドエクイティから

キャッチフレーズをつくる

ブランドエクイティをターゲットである社員や ステークホルダーに広めて浸透させていく手段 (HOW)のひとつとして重要なのが、エクイティを 表現するキャッチフレーズだ。P&Gの場合は、こ れも全世界共通である。検討の結果「Touching lives, improving life. P&G」というフレーズが採択された。 「Touching lives」という部分は「暮らしに触れる」 という意味だが、ケアする・人を大切にする・育て る、というエクイティを表している。世界中の消費 者の暮らしを間近で見て、触れて、深く理解すると いう思いが込められている。また消費者だけでな く、社員の暮らしも大切にするという意味も含んで いる。「improving life」は「よりよい暮らしの実現」と いう意味だが、高みを目指す・要求する、そして成 長や目的を達成するというエクイティを表現したも のである。こちらも消費者の暮らしはもちろん、社 員の暮らしをよりよくすることも含まれている。

この「Touching lives, improving life. P&G」という フレーズは2000年代に設定して以来、現在まで全 世界のP&Gで例外なく使われている。内部はもち ろんのこと外部用のホームページでも国や地域にか かわらず、すべてのサイトで統一されている。 日本を含む幾つかの国では、社内用の英語と共に 現地の言葉のフレーズを外部用に作成した。日本 では、テレビのスポンサークレジットなどでも使 われている「暮し感じる、変えていく。P&G」がそ れである。「Touching lives」を「暮らし感じる」と表現 し「improving life」を「変えていく」と表したわけだ。 中国、スペイン、メキシコ、ベルギーなどのホーム ページでもそれぞれの言語で作成されたフレーズが 使われているが、そこに込められた意味は同じで、 どの言語でもブランドエクイティは一貫している。 * * * * * * * * * * *  製品ブランドを体現するのは製品そのものである のに対し、コーポレートブランドを体現するのは社 員一人ひとりである。社員が信じるもの、社員が価 値をおくもの、社員が誇りに思うものがコーポレー トブランドに反映されるのが望ましい。そうでなけ れば本質とうわべが相いれないものになってしま う。それではターゲットの心には響かず、受け入れ てもらえないだろう。P&Gの場合は、世界中の社 員が共有し、行動のよりどころとする企業理念が コーポレートブランドに反映される形となった。こ のブランドが本物であることを物語っているのでは ないかと思う。次回「暮らし感じる、変えていく。」 というフレーズを聞かれたときに、実は、そこにP &Gの原点となるDNAが潜んでいることに思いを 馳せていただけると嬉しい。 k

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中日新聞の経済報道

と関心事

林 浩 樹

(はやし・ひろき)

中日新聞社 編集局次長兼経済部長(当時)

経済広報センターは7月26日、「企業広報講座」を名古屋市で開催した。中日新聞社の林浩樹編集局次長兼 経済部長(当時)が、中日新聞の経済報道について講演した。参加者は19名。

中日新聞社経済部の取材体制

中日新聞社経済部の記者の担当は、製造業担当、 財界担当、遊軍担当の3グループに分かれている。 製造業担当は、トヨタを中心とする自動車の他、 航空業界、農業を担当している。 財界担当は、金融、エネルギー、鉄道、建設・不 動産、流通食品を担当している。 遊軍担当は、製造・非製造の担当範囲外の、その 時々の重要テーマを、オールラウンドに取材する。 中小企業、再開発、IT、トレンドの担当で構成さ れている。 中小企業担当を、最近増員したが、数ある中小企 業を見渡すことは難しい。テレビ番組で中日新聞の エリア内の中小企業が紹介された際に、残念なが ら、その企業を知らないことがある。取材体制を強 化する必要性を感じ、有望な中小企業を発掘するた めにどのようにコミットしていけばよいか、やっと 探り始めたところだ。中小企業は知る機会も少な く、目利きがしにくい。元気のある企業をいかに見 つけていくかが、地元紙としてとても大事なことで ある。また、悩んでいるのはIT産業の取材の難し さ。ITは現場があるわけではなく、作業を見るこ とが難しい。構造をなかなか理解しにくい業界であ り、業界の内幕にタッチできていないのが現状である。 理系出身者を採用するなどして改善していきたい。

中日新聞と東京新聞の違いについて

わが社には4つの本社があって、“本丸”は名古屋 市にある中日新聞社である。東京新聞を発行してい る東京本社、浜松市を中心とした東海本社、金沢市 を中心とした北陸本社がある。同じ会社であっても 中日新聞と東京新聞とは、方針が異なっている。経 済部に関しても、中日新聞経済部と東京新聞経済部 と2つ存在する。 中部6県をカバーする中日新聞の特徴は、1つ目 に製造業重視。これは地域に寄り添っていく上で大 事な点である。 2つ目に、中小企業まで手厚く、小さい記事まで も拾うこと。地域経済面とナショナル経済とを見開 きでやっているが、その他にも週に1度のペース で、岐阜においては岐阜経済面を、三重全域には三 重経済面を展開している。岐阜にも三重にも経済部 と連携する経済担当の記者を置いているので、岐阜 や三重にまつわる話題があれば、中日新聞の経済部 や、岐阜、三重に担当記者がいるので、ぜひ活用し てほしい。 3つ目に、人にスポットを当てるということ。隔 週で無名の人を特集する「人に技あり」や、豊田章 男トヨタ自動車社長の人間性を描く「ドライバーズ シート」を今年から掲載している。“人にはドラマが ある”ということに注目している。ただし、ビジネ

企業広報研究

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スマンには見てもらえるが、一般の方々、女性やお 年寄りの方にはあまり見てもらえていないのが現状 だ。人にはドラマがあるという側面と、地域に寄り 添うという側面から“人を書く”ことを続けていく。 4つ目に、市民目線ということ。各紙に共通して いるかもしれないが、専門用語を多用した企業目線 の書き方をしてしまうと、読者を失ってしまう。こ の辺は難しいが、記事は分かりやすく、消費者の視 点も忘れずに書くのが方針である。 東京新聞は、首都に位置し中央官庁を抱えてい る。東京経済部は政治部や社会部と連携することが 多い。全国紙に比べて記者の数が少ないので、テー マを絞って取材している。また、東京ローカルを意 識している。日本一の地域経済面であるので、それ を支えている中小・零細企業を書こうという傾向が ある。一方、マクロ経済を理解している記者も必要 だ。 以下、中日新聞が現在重視しているテーマについ て述べる。

テーマ① 自動車産業の動向

以前モータリゼーションといわれ、世の中を大き く変えた出来事が、今後10年でまた起きるかもし れない。トヨタVSグーグルとよくいわれるように、 IT産業は従来の産業の開発スピードとは段違いの スピードであり、そのIT産業が自動車産業にも参 入してきたことによって、既存の自動車業界もこれ まで以上に開発スピードが求められている。また、 所有から共有へ向かう流れがある。ホテル・宿泊施 設のようにシェアリングエコノミーが広がり、共有 化の時代となれば、車の所有台数は大きく減る。そ して、名古屋経済にとって打撃となるのは、産業ピ ラミッドが崩壊することだ。主要エンジンがEV (電気自動車)になると、自動車の部品数は減るとい われている。

テーマ② ものづくり+IT

世の中のあらゆるモノがインターネットとつな がっている。それに付随してセンサー市場が拡大し ているが、世界市場における日本のセンサー産業の シェアは5割を占めている。センサーが日本の電子 機器産業の突破口になるかもしれない。

テーマ③ 航空宇宙産業

航空機は部品数が多く、裾野が広い分野である。 しかも、市場が広がっており、参入余地が残ってい る。脱一本足打法、つまり車だけでなく、車と航空 機の両輪でやっていくことで、経済の期待を非常に 背負っている分野である。そして、その代表として MRJ(Mitsubishi Regional Jet)を注視している。

テーマ④ 電力・ガスの自由化

昨年は電力、今年はガスの自由化が進んだ。ガス と電気が手を組むという動きは、昨年は見られな かったことだ。先行事例として英国が挙げられる。 英国では再編が進み、料金の値上がりが起こった。 日本でも、今後再編が進むだろうが、電気と電気、 ガスとガスだけでなく、電気とガスといった組み合 わせも有効だ。

テーマ⑤ リニアインパクトと都市計画

2027年、リニアモーターカーで東京―名古屋間 が約40分で結ばれる。そうなると、ストロー現象 (大都市と地方都市間の交通網が整備され便利にな ると、地方の人口や資本が大都市に吸い寄せられる こと)が心配される。このため、いよいよ真剣に魅 力ある街づくりに取り組む時期に差し掛かってい る。名古屋駅周辺は開発が一段落し、次は栄地区を どのように再開発するか。名古屋駅地区か栄地区か のどちらかではなく、双方共に発展させていくべき である。 また、港地区は人の“賑わい”において、神戸市や 横浜市に差をつけられている。最近、オープンした テーマパーク「レゴランド」周辺の開発計画という、 名古屋港の“賑わい”を取り戻すラストチャンスとも いえるタイミングが訪れている。東京―大阪間の ルートで、人々が名古屋を通過しないためには、宿 泊施設の整備や柔軟な時間帯の航空便を拡大させる など、アクセス改善についてきめ細かく検討してい かないといけない。

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テーマ⑥ 平成最後の年

来年は「平成最後の年」なので、おそらく今年12 月ごろから平成を振り返る特集を、メディア各社が 一斉に行うことになるだろう。世の中、「平成○○」 というタイトルをたくさん目にすることになる。こ れまでの年号が変わったときのことを振り返れば、 こうしたタイミングに商機が潜んでいる。

広報担当者に望むこと

広報担当に何を求めるかについて、経済部の記者 に聞いた。まず、自社の現場や組織に詳しいこと。 これは、記者の安心感・信頼感につながる。そして 2つ目に、自社以外の動きも新聞をよく読み知って いること。これは、自社以外の記事にも目を配って いることで、非常に親近感が湧く。3つ目は、消費 者を意識した立ち位置ができていること。少しやや こしい取材でも、社内を説得しようと試みてくれる と、取材する記者も申し訳ないと思って、前向きな 記事を書こうとする。4つ目に、我々は夜討ち朝駆 けなどにより、経営トップに話を聞きに行くが、触 れてはいけない話題などを事前に教えてもらえる と、記者のリスク管理につながる。トップの考え方 や人間性といった、経営方針につながるエピソード を理解している広報は頼もしい。 我々が会社を知ることができる最も良い機会は、 現場を見せてもらうことだ。私自身、現場の雰囲気 に触れることで、非常に楽しく勉強になった。広報 の方とお酒を飲む機会もあるが、現場を見学する方 が、参考になるし、何より手触り感がある。 リリースは小手先のテクニックよりも、中身次第 というのが、記者たちの結論。最低限踏まえておく べきポイントとしては、アイキャッチするような見 出しを重視し、まずは結論を書くこと。次に、その 背景やデータを準備すること。データを付ければ掲 載スペースも大きくなる。そして、専門用語はなる べく避けてほしい。専門用語を使う場合は、注釈が 付いていると、記者や消費者に伝えようという姿勢 が感じられる。共にニュースをつくっていこうとい う姿勢を持ち、ニュースを提案してくれたら幸いで ある。 例えば、経済面で「街の秘策」や「街角トレンド」と いった不定期のコーナーがあるので、ここに活用で きるようなネタや、地域経済面や岐阜経済面、三重 経済面に活用できるようなネタ、また地域版には、 地方貢献の話題はありがたい。恒例の年間行事やイ ベントに絡めたネタは記事になりやすい。 既に述べたように、来年は平成最後の年となる。 それにまつわる話題が洪水のように流れてくるだろ う。そのときに、自社の周年・メモリアルなことを 把握し、ネタとして提案することが重要である。ま た、東京新聞と中日新聞をうまく活用してほしい。 例えば、名古屋の企業が、東京でのネタを取材して もらえるように中日新聞に提案してくれれば、東京 の経済部で取材することも可能である。逆も同じ だ。  k (文責:国内広報部主任研究員 遠藤瞭太)

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定価:1300円(税込) 編集・販売 株式会社宣伝会議 購読申込 月刊「広報会議」読者サービスセンター TEL: 0 3 − 3 4 7 5 − 7 6 7 0 インターネットからもお申し込みいただけます。 http://sendenkaigi.com/

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月号

[巻頭特集]

ブランド視点で見直そう

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Twitter「中の人」対談 井村屋×伊藤久右衛門

PR・IR・危機管理

プレミアムフライデーへの取り組み3

ANAきっずでぃを開催

ANAグループは7月28日午後1時から3時ま で、子ども職場参観日「ANAきっずでぃ 2017」を 開催した。対象は、汐留事業所に勤務するANA グループ社員の子ども(原則、小学生以上)であり、 48人の子どもたちが参加した。 プレミアムフライデーを活用し、午後3時に退社 することで家族との交流の時間を増やすほか、職場 の同僚の家族に会うことによって、互いのワークラ イフバランスを尊重する風土や意識を醸成し、子ど もたちが親の職場を見学することで家庭における親 子の会話を広げるなど、ライフの充実に繋げること が目的だ。 当日は、運航乗務員による子ども向け航空教室の 開催や、コックピットシミュレーション体験、およ び搭乗手続きといった空港での業務体験などを実 施。また、子どもたちは両親が働く職場や役員室を 訪問、社員や役員との名刺交換を実際に体験し、そ の後は、親子参加型のプログラムとして「親子○× クイズ大会」に挑戦した。

制度活用を呼び掛ける

NEXCO中日本は、社員の働き方を見直しワーク ライフバランスを推進する取り組みの一環として、 2月から「プレミアムフライデー」を導入している。 実施日は、原則月末の金曜日としているが、決算期 の3月・9月は1週間前倒しするなど会社独自の実 施日を設定し、午後の休暇や時間単位休暇の積極的 な取得によって普段より早い退社を推奨している。 また、プレミアムフライデー実施日の会議は午前中 に設定するなど、休暇を取得しやすい環境づくりを 行うとともに、ポスターの掲示やメールの配信など で制度の活用を呼び掛けている。現在では月末の金 曜日に限らず、個人の事情に合わせて任意に日程を 設定するなど、柔軟な実施を呼び掛け、より一層の 取り組みの促進に努めている。 同社人事部は「普段とは違った時間の使い方を工 夫することにより、ワークライフバランスの推進や 働き方の見直しのきっかけになればと、今後もプレ ミアムフライデーの実施と呼び掛けを継続していき たい」と話す。

午後3時に開店

東京銀座資生堂ビル11階の資生堂経営のバー 「Bar S(バー エス)」は今年2月からプレミアムフ ライデーに取り組み、午後3時より開店している。 同バーは2015年にオープン。同社によると「銀座 を訪れる方が自分好みのスタイルで心地よい時間を 過ごせることをコンセプトにしている。女性1人で も安心して来店できる開放的な空間。これまでも ハッピーアワーを実施していたが、プレミアムフラ イデー実施で2時間、開店時間を早めた」という。 k (文:常務理事・国内広報部長 佐桑 徹) この連載は今月号で終了します。

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第38回北米社会科教育関係者

招聘プログラムを実施

経済広報センターは国際相互理解促進の観点から、1980年以降、米国、カナダの中学・高校教師を対象 とした招聘事業を実施し、日本の教員や生徒との交流、企業訪問、現代社会に関する有識者との意見交換の 機会などを提供している。これまでに約700名が参加し、今年も6月26日から7月5日にかけて、ミシガ ン州、カリフォルニア州、カナダ・ブリティッシュコロンビア州などから10名が来日した。 一行は、都立小石川中等教育学校、目白研心中学 校・高等学校、三重県立四日市高等学校を訪問。各 校の生徒に対し、北米の地理や歴史などの指導を 行った。生徒側からは「北米の先生の授業を経験し、 刺激になった」「海外留学の希望がより強くなった」 といった声が寄せられた。また、都内で日本の教師 と教育事情を紹介し合うセッションに参加。指導方 法などについて、熱心に議論した。 加えて、自由民主党の河野太郎衆議院議員と日米 交流の現状と強化策について意見交換するととも に、外務省、文部科学省、在日米国大使館などを訪 問した。日本が抱える外交、教育分野の諸課題に関 する説明を受けた。また、一行は、ソニー、JR東 日本、本田技研工業、ベネッセ、東京証券取引所、 手塚プロダクションで、各社の施設を見学するとと もに、米国における事業活動の状況や日本における サービス事業の取り組みなどについて意見交換し た。 プログラム最終日には、招聘事業の一環として、 「日米関係と人的交流」と題するシンポジウムを開催 した。外務省の高羽陽北米局北米第二課長、在日米 国大使館のユリ・アーサー上席商務官、日本マイク ロソフトのスサンナ・マケラ執行役員が講演などを 行った。パネルディスカッションに参加したミシガ ン州のダニエル・ボイヤー教諭は、このプログラム での経験を踏まえ、「日米の教育は制度や中身は異な るが、それぞれの良い点を取り入れつつ、米国の若 者の対日理解の促進に努めていきたい」と発言した。 なお、今年の参加者10名は、今後、対日理解促 進に向けた授業計画(Japan Lesson Plan)を作成し、 当センターに提出するとともに、実際の授業の模様 を報告することになっている。さらに、11月にサ ンフランシスコで開催される全米社会科協議会(N CSS)の年次総会で、招聘プログラム参加者によ るJapan Lesson Planの発表が行われる予定である。

 k (文:前 国際広報部主任研究員 別所達也) 目白研心中学校・高等学校 都立小石川中等教育学校 JR東日本(東京駅)

経済広報センター活動報告

参照

関連したドキュメント

春学期入学式 4月1日、2日 履修指導 4月3日、4日 春学期授業開始 4月6日 春学期定期試験・中間試験 7月17日~30日 春学期追試験 8月4日、5日

■実 施 日: 2014年5月~2017年3月. ■実施場所:

■実 施 日:平成 26 年8月8日~9月 18

2018年6月12日 火ようび 熊本大学病院院内学級. 公益社団法人

・各企業が実施している活動事例の紹介と共有 発起人 東京電力㈱ 福島復興本社代表 石崎 芳行 事務局

第1回 平成27年6月11日 第2回 平成28年4月26日 第3回 平成28年6月24日 第4回 平成28年8月29日

(申込締切)②助成部門 2017 年9月 30 日(土) ②学生インターン部門 2017 年7月 31

− ※   平成 23 年3月 14 日  福島第一3号機  2−1〜6  平成 23 年3月 14 日  福島第一3号機  3−1〜19  平成 23 年3月 14 日  福島第一3号機  4−1〜2  平成