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Microsoft Word - 9_島村(南極薄明紫外線)

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Academic year: 2021

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島村 哲也

Characteristics of Spectral UV in Twilight at the Syowa Station in the Antarctica

Tetsuya SHIMAMURA

要旨 薄明時の波長別紫外域日射の特徴を明らかにするため,ブリューワー分光光度計による 2007 年の南極昭 和基地の観測値を用いて調査を行った.観測値の収集にあたっては,通年で太陽天頂角 100 度(太陽高度-10 度)までの毎正時に観測が行われるように観測スケジュールを作成した.調査内容としては,290~325 nm の波長で 5 nm 毎 8 波長の放射照度と太陽天頂角の関係を用いて波長別に,測定限界,最大値との照度比を 検討した.また,290~325 nm の波長の放射照度の積算量と太陽天頂角の関係を用いて,測定限界,観測ス ケジュールの妥当性,薄明時の積算量を調査した.なお,測定限界は太陽天頂角 100 度以上の測定値を雑 音とみなし,それより大きい放射照度または波長積算量が得られる太陽天頂角の最大値とした. 調査の結果,波長別の放射照度の測定限界は長波長ほど大きく,325 nm の波長で 97 度,295 nm の波長 で 80 度程度であった.また,これらの限界値はオゾン全量の増加に対して短波長ほど小さくなる傾向がみ られた.最大値との照度比からは,太陽天頂角の増加に対して,薄明時の放射照度の減少の割合が長波長 ほど大きいことが明らかとなった.波長積算量の解析からは,観測スケジュールの目安として太陽天頂角 97 度が妥当であると判断した.薄明時の積算量が日積算量に占める割合は,極夜期を中心に約 4 カ月半の 期間で 1 %以上となる日があった.極夜期における日積算量は最大 206.72 J/m2,最小 22.54 J/m2であった. 1 . は じ め に 近年の国内における散乱波長別紫外域日射の精密な観 測から,全天日射に占める散乱日射の割合は可視領域を 含む日射に比べて紫外域のみの日射のほうが大きいこと が報告されている(伊藤:2005, 2006, 2007, 伊藤ほか:2011). 特に薄明時は散乱日射のみとなることから,薄明時の観 測が日積算量等に与える影響は,可視領域を含む日射の 観測に比べて紫外域日射観測のほうが大きいと考えられ, 検討課題となっている. 一方,南極昭和基地では,1991 年 2 月から試験的に波 長別紫外域日射観測が開始され,1994 年 2 月からは気象 部門の定常観測として現在まで継続して行われている(気 象庁:2008a).昭和基地の特徴は,人為起源の大気汚染物 質が少ない清浄な大気環境であること,オゾンホールの 出現に伴うオゾン全量の極端な季節変化があること,極 昼・極夜,長時間の薄明など日照時間に偏りがある(特に, 極夜期は薄明時のみの観測となる)ことなどが挙げられる. また,昭和基地では観測時間が国内の観測に適用されて *高層気象台 観測第三課 い る 気 象 官 署 観 測 業 務 規 程 や 紫 外 域 日 射 観 測 指 針 (気 象 庁:1993)で規定された観測方法に適用できないことから, 太陽天頂角を目安にした独自の基準で観測スケジュール が作成されている.なお,南極において昭和基地以外で 長期にわたり波長別紫外域日射の観測報告が行われてい る観測地点は,アムンゼン・スコット基地,マクマード 基地,パーマー基地に限られている.2007 年の昭和基地 における波長別紫外域日射観測を含む気象観測の報告に ついては,成田ほか(2010),中村ほか(投稿予定),気象庁 (2008b, 2010)がある. これらを踏まえ本稿では,エーロゾル等の影響が少な い,広範囲のオゾン全量の条件で,薄明時の観測値を多 く得ることができる昭和基地の観測値を用い,薄明時の 波長別紫外日射について特性を調査し,昭和基地におけ る観測スケジュールの妥当性について波長積算量を用い て検討した. 2.観測環境と測定装置 2.1 観測環境 昭和基地は,南緯 69 度 00 分,東経 39 度 35 分に位置

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図 1 南極昭和基地の位置 国立極地研究所(2006)より転載. 図 2 昭和基地の主要部 国立極地研究所(2006)より転載(一部改変). 写真 1 測定装置と観測環境 気象棟前室屋上の様子.向かって正面が北北東.2007 年 11 月 16 日 00 時 43 分(現地時間)撮影.太陽天頂角 92 度. し,東南極の宗谷海岸沖 4km にある東オングル島に建設 されている(図 1).基地主要部は東オングル島の北海岸沿 いにあり,気象観測を行っている気象棟は基地主要部の 西側に位置している(図 2).測定装置は気象棟前室の屋上 に設置しており,日周運動で太陽高度が最も高くなる北 側の視界は良好である(写真 1). 2.2 測定装置 測定装置として用いた波長別紫外域日射計は,ブリュ ーワー分光光度計(以下,「ブリューワー」という)である. ブリューワーは太陽光を回折格子で分光し,波長別の紫 外 線 強 度 を 光 電 子 増 倍 管 で 測 定 す る 装 置 で あ る (伊 藤 ほ か:1991).本調査で用いたブリューワーは,二重分光方 式の MKⅢ型で,高層気象台で南極用に防寒対策等の改造 が施された 168 号機であり(伊藤・宮川:2001),測定可能 波長範囲 286.5~363.0 nm,分解能 0.6 nm,精度 0.006± 0.002 nm,安定性±0.01 nm(動作補償温度範囲内)である (KIPP & ZONEN:2008).

3.観測値の取得と処理 3.1 調査期間 調査期間は 2007 年 1 月 1 日~2007 年 12 月 31 日である. このうち,1 月 16 日,5 月 28 日~6 月 14 日の 19 日間は ブリューワーの障害・調整のため欠測となった.このほ かにも点検や障害等で一時的に欠測が発生した日がある が,断りのない限り一時欠測日の観測値も解析に用いた. 3.2 薄明について 昭和基地は陽の光が当たる限界緯度である 66.6 度を超 える南極圏に位置するため,太陽の昇らない極夜期や太 測定装置 (Brewer #168) 管理棟 放球棟 前室屋上 1 管理棟 2 放球棟 3 観測架台 4 前室 1 2 3 4 気象棟 観測架台

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陽の沈まない極昼期がある(図 3). 極夜期の一日は空が薄明るい薄明と太陽からの光が完 全になくなる暗夜からなるが,薄明はさらに戸外での活 動に支障のない明るさである常用薄明(日出没~太陽高度 -6 度),地平線が識別できる程度の航海薄明(太陽高度-6 度~-12 度),かすかな明るさのみが残る天文薄明(太陽高 度-12 度~-18 度)に分けられる.なお,図 3 では天文薄明 に航海薄明を含めている. 常用薄明の継続時間は,日本付近では 30 分程度である (浅野:1998)が,高緯度地方ほど太陽経路と地平線とのな す角が小さくなるため薄明の継続時間も長くなり,昭和 基地では極夜期に最長で 5 時間半程度となる. 3.3 観測スケジュール ブリューワーによる観測は,月毎に作成されたスケジ ュールファイル(以下,「SKD ファイル」という)に記述さ れた時刻と各種コマンドに沿って自動的に行われる.国 内の観測で用いている SKD ファイルは,気象官署観測業 務規程や紫外域日射観測指針に従い,日の出前 30 分から 日の入後 30 分までの毎正時に B 領域の紫外線観測(以下, 「uv コマンド」という)が行われるように作成されている. 一方,昭和基地においては,日の出,日の入のない期間 があるため,従来,常用薄明と同程度の太陽天頂角 96 度 まで観測できるように作成されている. 本調査においては,薄明時における観測回数を増やす ため,あらかじめ満月の夜の明るさ程度を目安にして, 太陽天頂角 100 度までの毎正時に日々の観測値が得られ るように月毎の SKD ファイルを作成した(図 4).1 日あた りの観測回数は,24 時(1 月中旬以降と 2 月は 01 時も含む) に測定装置の日界処理で観測ができないため,最大で 23 回(1 月,10~12 月),最小で 8 回(6 月)である.本調査期 間で観測値を取得できた観測総数は 6001 回である. 3.4 観測値の処理 uv コマンドでは走査波長域 290.0~325.0 nm(往復),走 査幅 0.5 nm で 71 波長の観測が行われ,観測結果は 1 日毎 に作成される uv ファイルに光子計数値として記録され る.光子計数値から放射照度(以下,「照度」という)の算 出の際には,能登・伊藤(2000)と同様に暗係数補正,往復 観測値の平均,光子係数率(1 秒間の計数値)への換算,不 感時間補正等の処理を行った.ただし,ここでは測器の 測定限界を調査するため,迷光補正は実施していない. 測器感度の経時変化に対する補正は,外部標準ランプ 点検結果によって求めた 1 日毎の補正値(暫定値)を用いた. 実際の観測値の処理例を図 5 に示す.なお,補正値はブ 図 3 昭和基地における昼夜 国立極地研究所(2006)より転載. 図 4 2007 年の月別観測スケジュール一覧 図 5 波長別照度 2007 年 9 月 20 日 19 時(現地時間)の観測例.太陽天頂角 95 度. 丸印:波長別の解析で用いた波長の観測値.

Jan. Feb. Mar. Apr. May Jun. Jul. Aug. Sep. Oct. Nov. Dec.

01 △ × - - - ○ ○ ○ 02 ○ ○ - - - ○ ○ ○ 03 ○ ○ ○ - - - ○ ○ ○ 04 ○ ○ ○ - - - ○ ○ ○ ○ 05 ○ ○ ○ - - - ○ ○ ○ ○ 06 ○ ○ ○ ○ - - - ○ ○ ○ ○ ○ 07 ○ ○ ○ ○ - - - ○ ○ ○ ○ ○ 08 ○ ○ ○ ○ ○ - ○ ○ ○ ○ ○ ○ 09 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 10 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 11 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 12 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 13 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 14 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 15 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 16 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 17 ○ ○ ○ ○ ○ - ○ ○ ○ ○ ○ ○ 18 ○ ○ ○ ○ - - - ○ ○ ○ ○ ○ 19 ○ ○ ○ ○ - - - - ○ ○ ○ ○ 20 ○ ○ ○ - - - ○ ○ ○ ○ 21 ○ ○ ○ - - - ○ ○ ○ 22 ○ ○ ○ - - - ○ ○ ○ 23 ○ ○ - - - ○ ○ ○ 24 - - - -計 23 23 20 14 10 8 10 13 17 23 23 23 : 太陽天頂角が96度以下(従来のスケジュール作成の目安) : 太陽天頂角が96度より大きく,100度以下(本調査で追加した観測時刻) ○ : 本調査でuvコマンドを予定し,観測を実行 △ : 本調査でuvコマンドを予定していたが,日界処理のため観測されない日があった × : 本調査でuvコマンドを予定していたが,日界処理のため観測されなかった - : 本調査でuvコマンドの予定なし(24時は日界処理のため通年uvコマンドの予定なし) 計 : 本調査における1日あたりのuvコマンドの予定回数 月 観 測 時 刻 ( 現 地 時 間 ) 1 10 100 290 295 300 305 310 315 320 325 照 度 [μ W / m 2/ n m ] 波長 [nm]

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図 6 太陽天頂角に対する波長別照度 リューワー168 号機が国内に持ち帰られた後(2012 年 3 月 以降)に確定される見込みである. 以上の補正を行った後,波長別の解析では 290~325 nm の波長から 5 nm 毎に抽出した 8 波長の観測値を用いた(図 5 の丸印のついた観測値の波長).快晴時の解析では,地 上気象原簿から 3 時間毎の目視観測による雲量が観測時 刻の範囲内で 1 割以下の条件で抽出した観測値を用いた. 快晴の条件を満たす日は 33 日間(一時欠測日を含む),観 測回数は 607 回である.オゾン全量別の解析では,快晴 時のオゾン全量の日代表値が 200DU(ドブソンユニット) 以下の条件と 300DU より大きい条件の 2 つの条件で抜粋 した観測値を用いた.200DU 以下の条件に合う日数(観測 回数)は 8 日間(153 回),300DU より大きい条件に合う日は 5 日間(111 回)である. 4.観測結果 4.1 波長別照度 4.1.1 測定限界 太陽天頂角に対する波長別照度を図 6 に示す.描画に は,本調査で得られた全ての観測値(快晴時以外の観測値 40 50 60 70 80 90 100 110 太陽天頂角 [度] 310nm 40 50 60 70 80 90 100 110 太陽天頂角 [度] 315nm 40 50 60 70 80 90 100 110 太陽天頂角 [度] 320nm 0.01 10 1000 10000 100000 1000000 40 50 60 70 80 90 100 110 太陽天頂角 [度] 325nm 0.01 0.1 1 10 100 1000 10000 100000 1000000 40 50 60 70 80 90 100 110 照 度 [μ W / m 2/ n m ] 太陽天頂角 [度] 290nm 0.01 0.1 1 10 100 1000 10000 100000 1000000 40 50 60 70 80 90 100 110 照 度 [μ W / m 2/ n m ] 太陽天頂角 [度] 295nm 0.01 0.1 1 10 100 1000 10000 100000 1000000 40 50 60 70 80 90 100 110 照 度 [μ W / m 2/ n m ] 太陽天頂角 [度] 300nm 0.01 0.1 1 10 100 1000 10000 100000 1000000 40 50 60 70 80 90 100 110 照 度 [μ W / m 2/ n m ] 太陽天頂角 [度] 305nm

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を含む)を用いた. 照度は,290 nm の波長(以下,「の波長」は省略し,波 長の数値のみとする)を除いて各波長とも太陽天頂角の増 加に対して減少している.太陽天頂角 100 度以上の照度 は , 各 波 長 と も 単 発 的 に 大 き い 値 を 除 い て 6 ~ 7 μ W/m2/nm 程度を上限としてほぼ横ばいになっており,こ の値(以下,「限界照度」という)以下は大部分が雑音とみ なせる.限界照度より大きい照度となる太陽天頂角の最 大値を太陽天頂角に対する測定限界(以下,「太陽天頂角に 対する」は省略し,「測定限界角」という)とすると,その 値は波長毎に異なり,短波長でより小さい.特に 305 nm より短波長では急激に値が小さくなる傾向がみられる. 数値で表すと,325 nm で 97 度強,320 nm と 315 nm で 97 度,310 nm で 96 度, 305 nm で 95 度,300 nm で 92 度,295 nm では 80 度程度である.ただし,325 nm は個々の観測 値の上限値をトレースした曲線(図 7 の青色実線.以下, 「上側境界線」という)をみると,太陽天頂角 96 度付近に 若干照度が大きい値が見られるほか,太陽天頂角 97 度か ら 98 度にかけて上側境界線の傾きが緩くなる傾向がみら れることから,太陽天頂角 95 度以下の観測値から得た上 側境界線を外挿した線(図 7 の緑色破線)と限界照度(図 7 の桃色直線)が交差した太陽天頂角 97 度を測定限界角と みなすこととする.また,290 nm はほぼ全ての観測値が 限界照度以下であるため,全て雑音とみなす. 限界照度以下の観測値については,上側境界線を限界 照度以下へ外挿した場合,外挿した上側境界線(図 7 の緑 色破線)に乗る観測値は信号である可能性が高い.外挿し た上側境界線は各波長とも太陽天頂角 100 度以下で 1μ W/m2/nm 以下になるとみられる.また,外挿した上側境 界線に乗る観測値の最小値を見る限り,条件が良ければ 0.1μW/m2/nm の照度まで信号とみなせる可能性がある. なお,限界照度以下の観測値の信号と雑音の判別につい ては,昭和基地の観測値と放射伝達モデルとの比較報告 (Aoki et al.:2002)から,実測値とモデル計算によるスペ クトルを個々に比較することで可能と思われる. 図 6 をさらに快晴時に限定し,オゾン全量別に描画し たものを図 8 に示す.図 8 では各波長とも同一太陽天頂 角における観測値のばらつきが,図 6 に比べ狭くなって いる.オゾン全量が少ない時(上図)と多い時(下図)の観測 値を同一波長で比較すると,短波長ほど観測値に差がみ られ,オゾン全量が多いときには照度が小さくなり,測 定限界角も小さくなる傾向がみられる.これらの傾向か ら,図 6 で同一太陽天頂角の観測値がばらつく要因とし て,雲量は全ての波長の照度に影響していると考えられ る.また,本調査の測定波長は,オゾンの吸収帯(ハート 図 7 太陽天頂角に対する薄明時の 325 nm の照度 青色実線は上側境界線,緑色破線は外挿した上側境界線,茶 色直線は限界照度(6μW/m2/nm)を示す. 図 8 オゾン全量別の太陽天頂角に対する波長別照度 快晴時の観測値のみを描画. レイ帯,ハギンス帯)で,短波長ほど強い吸収を受ける領 域であること(浅野:2010)から,オゾン全量は短波長の照 度により大きな影響を与えているといえる. 以上で述べた限界照度,測定限界角については,ブリ ューワー168 号機固有のものであり,他の測器については 個々に調査が必要である.また,同一測器においても, 調整等で測器状態に変化があった場合やエーロゾル等の 観測環境に差異がある場合には限界値が変化する可能性 も考えられる. 4.1.2 最大値との照度比 太陽天頂角に対する波長毎の調査期間における最大値 との照度比(個々の照度を波長毎に得られた最大照度で除 0.01 0.1 1 10 100 1000 10000 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 照 度 [μ W / m 2/ n m ] 太陽天頂角 [度] 325nm 0.01 0.1 1 10 100 1000 10000 100000 1000000 40 50 60 70 80 90 100 110 照 度 [μ W / m 2/ n m ] 太陽天頂角 [度] 290nm 295nm 300nm 305nm 310nm 315nm 320nm 325nm 200DU以下 0.01 0.1 1 10 100 1000 10000 100000 1000000 40 50 60 70 80 90 100 110 照 度 [μ W / m 2/ n m ] 太陽天頂角 [度] 300DUより大きい

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図 9 太陽天頂角に対する波長毎の最大値との照度比 快晴時の観測値のみを描画.図中の記号は図 8 と同様. した百分比.以下,「最大照度比」という)の関係を図 9 に示す.描画には快晴時の観測値のみを用いた.また, 4.1.1で波長別に確認した測定限界角より大きい太陽 天頂角の観測値は削除した. 最大照度比は,全ての太陽天頂角において概ね長波長 より短波長のほうが小さい.また,最大照度比の変化傾 向は各波長とも太陽天頂角が大きくなるにつれて小さく なるが,薄明時における減少の割合(図では左肩下がりの 傾き)は長波長ほど大きい傾向がみられる. 4.2 波長積算量 4.2.1 波長積算量の算出 波長積算量には単純に 290~325 nm の照度を波長積算 した量(図 10 上図の灰色領域.以下,「TUV」という)と紅 斑紫外線量を用いた.紅斑紫外線量は紫外線の人体への 影響を加味した値で,この値を指標化したものは UV イン デックスとして紫外線情報等に利用されている.紅斑紫 外線量の算出方法は気象庁(2010)と同様で,波長別に照度 (図 10 上 図 の太 線)と 国 際 照 明委 員 会(CIE: Commission internationale de l'éclairage) が定義した CIE 作用スペクト ル (図 10 中図の太線)を掛け,積算して求めた(図 10 下図 の灰色領域).CIE 作用スペクトルは次式の通りである. D(L) = 1 (290 nm ≦ L ≦ 298 nm) D(L) = 10൫଴Ǥ଴ଽସൈ(ଶଽ଼ି୐)൯ (298 nm < L ≦ 325 nm) L:波長 限界照度以下の観測値については信号と雑音の判別を 行っていないので,全ての波長の観測値を採用した.ま た,4.1.1と同様に快晴時以外の観測値も用いた. 4.2.2 測定限界 太陽天頂角に対する波長積算量を図 11 に示す.4.1.1 図 10 照度と波長積算量 観測日時は図 5 と同様.上図:太実線は照度,灰色領域は TUV, 細実線は限界照度(7μW/m2/nm),細点線は限界照度の半値(3.5 μW/m2/nm)を示す.中図:太実線は CIE 作用スペクトルを示 す.下図:太実線は上図の照度と中図の CIE 作用スペクトル の積,灰色領域は紅斑紫外線量,細実線は上図の限界照度と 中図の CIE 作用スペクトルの積,細点線は上図の限界照度の 半値と中図の CIE 作用スペクトルの積を示す. と同様に雑音の上限値(以下,「限界積算量」という)を求 めると TUV で 114μW/m2(0.41 J/m2 /h),紅斑紫外線量で は 47μW/m2(0.17 J/m2 /h)程度となり,測定限界角は,TUV で 97 度,紅斑紫外線量で 95 度程度である. な お , 4 . 1 . 1 で 求 め た 波 長 別 照 度 の 限 界 照 度 (7 μ W/m2/nm とした場合)を全ての波長にあてはめて算出した 積算量(図 10 上・下図の細実線以下の面積)は,TUV で 245 μ W/m2(0.88 J/m2 /h) , 紅 斑 紫 外 線 量 で 88 μ W/m2(0.32 J/m2/h)であるが,上記で求めた限界積算量に比べて半分程 度となっている.この理由としては,実際の限界照度以 下の照度にはばらつきがあり,その平均値が限界照度の 半値に近くなっていることが考えられる.図 10 で限界照 度以下となっている 306 nm 以下の範囲に限定してみてみ ると,306 nm 以下の範囲の照度の平均値は 3.5μW/m2 0.0001 0.001 0.01 0.1 1 10 100 40 50 60 70 80 90 100 最 大 照 度 比 [% ] 太陽天頂角 [度] 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 290 295 300 305 310 315 320 325 [μ W / m 2/ n m ] 照度・TUV 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 290 295 300 305 310 315 320 325 相 対 影 響 度 CIE作用スペクトル 0 1 2 3 4 5 6 7 8 290 295 300 305 310 315 320 325 [μ W / m 2/ n m ] 波長 [nm] 紅斑紫外線量

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図 11 太陽天頂角に対する波長積算量 限界照度の半値とほぼ等しく,TUV・紅斑紫外線量(上・ 下図の灰色の面積.TUV で 55.4μW/m2,CIE で 37.8μ W/m2)ともに限界照度の半値から算出した積算量(図 10 下 図の点線以下の面積.TUV で 56.0μW/m2,CIE で 41.3μ W/m2)に近い値となっている. 4.2.3 観測スケジュールの妥当性 4.2.2のとおり紅斑紫外線量より TUV の測定限界角 が大きいことから,観測スケジュールの妥当性は TUV で 検討した.観測スケジュールの目安とした太陽天頂角は, 4 .1 .1 及 び4 .2 .2 で 明 ら か と な っ た 測 定 限 界 角(97 度)とその前後 1 度(96 度,98 度)である.判断材料として, 観測スケジュールの目安とした太陽天頂角から 1 度小さ い太陽天頂角の範囲(図 12.表 1.以下,「閾値直近 1 度」 という)の積算量と日積算量の比(閾値直近 1 度の積算量を 日積算量で除した百分比.以下,「閾値 1 度比」という) それぞれ求めた.積算量に偏りを生じさせないため,一 時的に欠測を生じた日も欠測扱いとした.欠測扱いを含 む欠測日は 46 日間である. 調査期間中の閾値 1 度比の最大値とその日の閾値直近 1 度の観測回数,日積算の観測回数を表 2 に示す.閾値 1 度比の最大値は,太陽天頂角 97 度で 4 %であるのに対し, 98 度では 1 %以下である.また,閾値 1 度比が最大とな った日の閾値直近 1 度の積算量(観測回数 2 回)と TUV の 限界積算量を 2 倍した値(0.82 J/m2)を比べると,太陽天頂 角 97 度の閾値では前者が大きく 98 度では後者が大きい. このことは,太陽天頂角 98 度以上の観測では,限界積算 図 12 閾値直近 1 度の概念図 太陽天頂角 96 度を観測スケジュールの目安とした場合.黒丸 と太線は積算範囲を示す. 表 1 閾値直近 1 度一覧 目安とした太陽天頂角 閾値直近 1 度 96 度 95 度<太陽天頂角≦96 度 97 度 96 度<太陽天頂角≦97 度 98 度 97 度<太陽天頂角≦98 度 表 2 閾値 1 度比の最大値及び観測回数(TUV のみ) 目安とし た太陽天 頂角 閾値 1 度比の最大値 (閾値直近 1 度の積算量 / 日積算量) 閾値直近 1 度の 観測回数 / 日積 算の観測回数 96 度 3 % (2.35 / 80.54 J/m2) 2 / 6 回 97 度 4 % (1.11 / 31.68 J/m2) 2 / 6 回 98 度 0 % (0.68 / 187.41 J/m2) 2 / 8 回 量以上の波長積算量が得られる観測が少ないことを意味 する.なお,閾値直近 1 度の観測回数とその中で限界積 算量以上になった観測回数を示すと,太陽天頂角 96 度で は 121 回中 117 回(97 %),97 度では 116 回中 63 回(54 %), 98 度では 100 回中 8 回(8 %)であった.以上の結果から観 測スケジュールとして少なくとも太陽天頂角 97 度まで観 測を行うことが妥当といえる. 表 2 の閾値 1 度比の最大値は全て極夜期の値であるが, 極夜期は分母である日積算量が小さいことや閾値直近 1 度の観測回数が日積算の観測回数に占める割合が 3 分の 1, 4 分の 1 と大きいことが要因として考えられる. なお,紅斑紫外線量の観測スケジュールの妥当性につ いては,波長積算量に大きく影響する限界照度以下の雑 音の処理を行っていないため本稿では省略する. 4.2.4 薄明時の積算量 薄明時の積算量は,4.2.3の検討を踏まえ太陽天頂 角 90 度より大きく 97 度以下の TUV の積算値とし,日積 算量は太陽天頂角 97 度以下の TUV の積算値とした.紅 斑紫外線量の積算は,4.2.3で妥当性を検討していな いため,参考値として TUV と同様の基準で算出した.ま た,一時的に欠測を生じた日は欠測扱いとした. 薄明時の積算量が日積算量に占める割合で 1 %以上に 1 10 100 1000 10000 100000 1000000 10000000 40 50 60 70 80 90 100 110 [ μ W / m 2] 太陽天頂角 [度] TUV 1 10 100 1000 10000 100000 1000000 10000000 40 50 60 70 80 90 100 110 [ μ W / m 2] 太陽天頂角 [度] 紅斑紫外線量 96 95 95 96 午前 太陽天頂角(度) 午後

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なる日の初日と終日は,TUV,紅斑紫外線量ともに 4 月 14 日と 8 月 30 日であった.なお,同様に 100 %になる(薄 明時の積算量と日積算量が等しい)期間は,5 月 26 日~7 月 19 日(欠測日を含む)で,この期間中の最大値は TUV で 7 月 19 日の 206.72 J/m2,紅斑紫外線量で 5 月 26 日の 3.77 J/m2,最小値は TUV で 6 月 20 日の 22.54 J/m2,紅斑紫外 線量で同日の 0.77 J/m2であった. 5.まとめ 本調査で明らかになった事項は以下の通りである. (1) ブリューワー168 号機の昭和基地における波長別照度 の測定限界角は長波長ほど大きく,325 nm で 97 度, 295 nm で 80 度程度,290 nm ではほぼ全ての太陽天頂 角で限界照度以下である.また,測定限界角は短波長 ほどオゾン全量の増減に大きく影響を受け,オゾン全 量が大きい時は測定限界角が小さくなる. (2) 太陽天頂角の増加に対して,薄明時の照度の減少の割 合は長波長ほど大きい. (3) ブリューワー168 号機の昭和基地における波長積算量 の測定限界角は TUV で太陽天頂角 97 度,紅斑紫外線 量では太陽天頂角 95 度程度である. (4) 観測スケジュールを作成する際の目安としては,薄明 時の積算量が日積算に与える影響を考慮すると,TUV の測定限界角を用いることが妥当である. (5) 閾値 1 度比が 1 %以上となる日は,極夜期を中心とす る約 4 カ月半の期間である.100 %となる期間の最大 値と最小値は TUV で 206.72 J/m2と 22.54 J/m2,紅斑時 外線量で 3.77 J/m2と 0.77 J/m2であった. 謝 辞 本調査で用いた波長別紫外域日射の観測値は,第 47 次 及び第 48 次南極地域観測隊員によって得られたものであ る.本調査の計画から調査期間の技術的支援,本稿の作 成 ま で 高 層 気 象 台 観 測 第 三 課 の 伊 藤 真 人 主 任 研 究 官 に 数々のご教示やご支援を賜った.解析プログラムでは観 測第二課の能登美之主任技術専門官,観測スケジュール を検討する際の太陽天頂角計算については観測第二課の 中野辰美技術専門官にご協力を頂いた.観測第三課の皆 様には日ごろからご助言を頂いた.また,元高層気象台 長の松原廣司氏には粗稿に目を通して頂き,数多くのご 助言を頂いた.これらの方々に厚くお礼申し上げます. 引 用 文 献

Aoki, Te., Ta. Aoki, M. Fukabori and T. Takao (2002):Characteristics of UV - B Irradiance at Syowa Station, Antarctica: Analyses of the Measurements and Comparison with Numerical Simulations, J.

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浅野正二 (1998):薄明.気象科学事典,日本気象学会編, 東京書籍,433. 浅野正二 (2010):大気放射学の基礎.朝倉書店,267pp. 伊藤真人・宮川幸治 (2001):二重分光光度計 MKIII によ る紫外域日射観測.高層気象台彙報,61,5 - 28. 伊藤真人 (2005):ブリューワー分光光度計を利用した散乱波 長別紫外域日射の精密観測.高層気象台彙報,65,23 - 36. 伊藤真人 (2006):ブリューワー分光光度計用自動遮蔽装 置による散乱波長別紫外域日射の定常観測.高層気象 台彙報,66,47 - 56. 伊藤真人 (2007):ブリューワー分光光度計による地面反射・散 乱波長別紫外域日射の年変化.高層気象台彙報,67,19 - 32. 伊藤真人・高野松美・小栗秀之・瀧田正人・下平英明・ 石塚秀喜 (2011):乗鞍岳におけるブリューワー分光光度 計を使用したオゾン・紫外線の観測 2009 年.高層気象 台彙報,69,(印刷中). 伊藤朋之・上野丈夫・梶原良一・下道正則・上窪哲郎・伊藤 真人・小林正人 (1991)

地上到達紫外線量の監視技術の 開発-オゾン層変化に伴う地上到達紫外線量の変化のス ペクトル観測による評価-.気象庁研究時報,43,213 - 273. KIPP & ZONEN (2008): Brewer MkIII Spectrophotometer

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図 1 南極昭和基地の位置 国立極地研究所 ( 2006 ) より転載. 図 2 昭和基地の主要部 国立極地研究所 ( 2006 ) より転載 ( 一部改変 ) . 写真 1 測定装置と観測環境 気象棟前室屋上の様子.向かって正面が北北東.2007 年 11 月16 日 00 時 43 分(現地時間)撮影.太陽天頂角 92 度.し,東南極の宗谷海岸沖 4km にある東オングル島に建設されている(図 1).基地主要部は東オングル島の北海岸沿いにあり,気象観測を行っている気象棟は基地主要部の西側に位置している(
図 6 太陽天頂角に対する波長別照度 リューワー168 号機が国内に持ち帰られた後(2012 年 3 月 以降)に確定される見込みである. 以上の補正を行った後,波長別の解析では 290~325 nm の波長から 5 nm 毎に抽出した 8 波長の観測値を用いた(図 5 の丸印のついた観測値の波長).快晴時の解析では,地 上気象原簿から 3 時間毎の目視観測による雲量が観測時 刻の範囲内で 1 割以下の条件で抽出した観測値を用いた. 快晴の条件を満たす日は 33 日間(一時欠測日を含む),観 測回数は 60
図 9 太陽天頂角に対する波長毎の最大値との照度比 快晴時の観測値のみを描画.図中の記号は図 8 と同様. した百分比.以下,「最大照度比」という)の関係を図 9 に示す.描画には快晴時の観測値のみを用いた.また, 4.1.1で波長別に確認した測定限界角より大きい太陽 天頂角の観測値は削除した. 最大照度比は,全ての太陽天頂角において概ね長波長 より短波長のほうが小さい.また,最大照度比の変化傾 向は各波長とも太陽天頂角が大きくなるにつれて小さく なるが,薄明時における減少の割合(図では左肩下がりの 傾き)
図 11 太陽天頂角に対する波長積算量 限界照度の半値とほぼ等しく,TUV・紅斑紫外線量(上・ 下図の灰色の面積.TUV で 55.4μW/m 2 ,CIE で 37.8μ W/m 2 )ともに限界照度の半値から算出した積算量(図 10 下 図の点線以下の面積.TUV で 56.0μW/m 2 ,CIE で 41.3μ W/m 2 )に近い値となっている. 4.2.3 観測スケジュールの妥当性 4.2.2のとおり紅斑紫外線量より TUV の測定限界角 が大きいことから,観測スケジュールの妥当性は TUV で

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