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バニリンの矩形波ポーラログラフィー-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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第22巻寛1号(1971) 29 バニリンの矩形波ポーラログテフィー

福井 義明,片岡 功

バエリソの直流ポ−ラログラフにごつも?てほすでに多くの研究が行われ,酸性ないし中性水溶液中では2段階の,ア ノ㌣カ州咋ほ1段階の還元が生ずることが知られている。(いしかし,交流や矩形波ポ−ラ自グラフにおける挙動につい ての報告はみあたらない。有機溶媒や界面活性剤を添加したバユリン溶液は,矩形波ポーラログラムにおいて,直流 ポーラログラムとらがった興味深い現象が認められた。これらの現象ほバユリンの電極反応に関係することは.当然で あるが,一般的に竃極反応への有機溶媒や界面活性剤の影響を考察する手がかり紅もなると考えられる。 実 験 と 考 察 1.装置・試凛 ポーラログラムの記録には柳本高感度ポ−ヲログラフPA−202を用い,普通の電解セルを用いて水銀地車対極紅し た。支持塩紅は塩化カリウムを,pH調整紅は燐酸塩緩衝液を用いた。溶存酸素は水素ガスを吹き込んで除去した。測 定温度ほ恒温水槽軋よって−,温度変化をしらぺるときを除いて,すべて:20±10Cに償った0 使った試薬はすぺて特級であり,精製しないでそのまま用いた0 2.バニリンの矢巨形波ポーラログラム バニリソの電極反応にほプロトンが関与するので,そのポーラログラ1今はpHの変化によって異った波形・波高をし めす。pH占.3i(燐酸塩緩衝液,1.OFXCl)狂おいて,パニリンの直流ポー・ヲログラムは,1段波に近い還元披をしめす。 一方,矩形波ポーラログラムでは(図3),−1・06,−1・38および−・1・57ボルト(対水銀池)に三つのピークが生じた○ ここで,電位のより正のピ−・クから,貸1,2および3ピ−クとよぶことにする。 籍2と第3ピ・−クほ,その電位が直流ポ−ヲログラムの還元竃偲常.はば対応しているから,還元放であり,それぞ れ,バ・エリンの第1段階の還元(ラジカルの生成)と第2段階の還元(カルビノ、−ルへの還元)に対応すると考えら れる。第1ビ−クほ直流ポ−ヲログラムとの比較からテンサメトリ一波と判断される。

ト。.べ 一〇 \

3工一dpeak

O∴

0∴

0∴

0 0− 0 ︵∈0︶主意j焉£

2nd peak

◎/○′ ノー◎一 ◎_ ◎

\ γ、1st。eak 、

、 \ X \ズ

、−−¶、

1−2 2−3 3−4 4−5 5−6 6−7 7−8 8−9 Gate No.

Fig.1 Effectof gate on the peak heightofa mi11imolar soution of vanillin

(2)

香川大学農学部学術報薯 30 バニリソほ直流ポーラログラムでは1段放であるが,矩形波では明らかな2段汲(ピ−ク)に・分離した。 2N一−NH4NO8中のZnSO4が直流ポ一夕ログラムでは1段,交流ポ−ラログラムでは2段に分離する例(2)が報告さ れてこいるが,・その原因把ついて:は明確でない。 3.Gateの影響(テンサメトリー波の確認) Gateは,電解セルに.流れる容鼻屈流を除いて億解電流だけを・とり出すことによって,分析感度を上げるために工凍 された装置である。 しかし,このg叫eを痩えば,電解電流と容藍竃流との級別が可能であると考えられるので,バェリンの矩形波へ

の応用を試みた。すなわち,gateの開く幅を一足にしておき,gateの開く位唐を順次変えてゆき,それ匠よっ{:重

患交流の反転後に流れる全電流(ピークの高さ)がどのように変るかをしらぺた。図1に・その結果を示した。第2と 碍3ピークの高さほ,gateの開放位置が変っても,大きな変化ほ認められなかった。これはピークを生ずる電流が重 蔓交流の反転後の時間紅関係しないことを意味する。したがっで,寛2と勢3ピ−クほ電解電流であって容鼠電流を 含んでいないと考.え.てよい。寛1ピ−クの高さは.gateの開放位層が後方になるにしたがって急激に低くなり最後に ははとんど消失した。このことから,寛1ピ−クを生ずる電流は矩形波の圧転直後紅流れでおり,容量電流であると いえる。すなわち,第1ピ−クはテンサメトリ一波である。これは,′ミニリン電解溶液の電気毛管曲線に・おいて滴下 水銀電極へのバエリンの吸着が認められ,その脱着電位(−・1.1V対水銀弛)が簡1ピL−クの電位に対応していること からも確認できた。 なお,テンサメトリ−性の推測紅,従来電気毛管曲線,濃度との関係,温度変化などの手段が利用されているが, 上記のように,gateの開放位麿匿よる波高変化から判断する方法も有力な手段であるといえ.る。 4.有機溶媒の影響 非水溶媒を用いたポ−ラログラフ接が電極反応機構の考察に.よく用いられており,有機溶媒・水系においてパニ・リ ン矩形波がどのように挙動するかをしらぺた。 バニリソ溶液(支持塩1.OFKCl,pH6.31)にユタノ−ルを添加(0∼15vOl%)した場合の波高変化を図2に示し

/0\0

、\0

3Tdpeak

0 \

ーー■■■・・−・−−.(1_ 4 言叉\呈登遥∴項£ 10 Ethanol(Voi“%) Fig.2 Effect of ethanolon the peakheight of a

(3)

第22巻第1号(1971) 31 た。各ピ−クともエタノ一ル濃度が増す紅したがって低くなった。とくに雄1ピ−クは急激に低下した。一・般にテン サメトリ−披はネタノ−ル添加で吸着が妨害されて低くなるので,貨1ピークがテンサメt・リー波としての特徴をあ らわして−いる。 バエリンのアルデヒド基の水和型≒非水和型平衝関係から考えると,エタノ−・ル浪度が増すにつれて.平衡が非水和 塑(ポ−−タログラフ活性(3))のはうにすすみ,波高は高くなると予想される。一一・方,添加エタノ・−ルが電極面二重層 の構造に変化をもたらし,竃子受授過程を阻害する(4)ことも考えられる。バユリン水溶液匿.エタノールを添加した場 合,バ・ニ・リソの還元(第2,第3ピー・ク)の波高は低くなった。したがって,ユタノ−ル添加の相反する二つの効果 のうちで,阻害効果が大きくはたらいたと考えられる。なお,エタノ−ル濃度を60%に.あげると,寛2ピークほ完全 に.消えた。したがって,バユリンのポ・−ラログラフ(直流)定豊に.70%アルコ−ル溶液を使用するという報億(5)もあ るが,バユリンの定盤に.はアルコール溶液を用いないはうが高い感度がえられる。 ついで,非プロトン溶剤として:よく用いら れている汐オキサンを17vol.%添加した(図 3)。ジオキサン添加の場合,・エタノールのさ いとらがって,第1と籍2ピノークが消えて寮 3ピ−・クのみが残った。このように.,ジオキ サンの吸着電位の範囲(ノ6)外であるのに,パエ リンの第一・還元段階(第2ピーク)が汐オキ サンで強く抑制された。これは,汐オキサン の添加に.よって,アルカリ水溶液匿似たプロ トンの少ない状態(アルカリ水溶でバニリソ の矩形波は寛2ピークが消失する)紅なり, パユリソ分子のプロトン付加が抑制されるた めと考え.られる。 5.界面活性剤の影響 直流ポーラログラフ法では極大を抑制する ために少愈の界面活性剤を添加する場合があ る。しかし,矩形波ポ−ラログラフ法では極 大は生じないので,−・般紅活性剤は用いられ ないのであるが,パユリン溶液(支持塩1.O F:KCl,pH6.31)紅あえ.て活性剤を添加し てバエリンの矩形波がどのよう紅変るかをし らぺた。 バエリンの波高紅対する添加ゼラチンの影 響を図4に示した。ゼラチンの添加量が増す 紅つれて,第1ピ−クの高さは低くなり,ゼ ラチン0.007%添加ではとんど消失した。こ れは,バユリンの電極表面への吸着がゼヲチ ー2・・0 ンの吸着紅よって阻害されるためと考えられ

Ⅴ・VSHgpool る。寛2ピークほゼラチン添加でやや高くな

−・0.5 −・1.0 ・−・1り5 り,電位が少しポジデブに移動した。これに 対し第3ピ・−クはゼラチ・ソ添加で急激に低 くなり,ゼラチンの添加塵が0.008%になる と,完全に消えた。したがって,ゼヲチッを

Fig.3 Polarograms of a millimolar solution of(a)

Vanillinin Mcllvinbuffer(pH6.31)contain(b) 17%dioxan;(C),0.022%tIiton X■100;(d),0.01% gelatin

添加(0.007∼0.008%)すると,バエリンの矩形波は,ニつのピーークが消え,一つだけのピ」−ク(もとの第2ビ・−ク) を示すようになった(図3)。すなわち,ゼラチン添加紅よって,貨3ピ−・ク(遼元の第2段階)だけが位下・消失する。

(4)

香川大学農学部学術報告 −クだけが残った(図4)。さらに, ドデレルベンゼンスルホン酸ナトリ ウム(Na−DBS)ほ0.15%の大豊を 添加しても,第1ピ岬クが変形・消 失しただけで,第2,寛3ピークの

2抽

いずれにも影響を与えなかった。 このように,パユリンの矩形波に 対して,ゼラチンは寛2段階の還元 (寛3ピ岬ク)を,トリトンⅩ−100 ほ第1段階の還元(廃2ピ岬ク)を 抑制し,Na−DBSほいずれ紅も作用 しない。これは興味ある現象である が,そめ抑制効果の異なる理由はわ からない。Ⅸolthoff(r)らは銅イ オンの還元が陰イオン界面活性剤の 0 1 2 3 4 5 6 7×10血3 添加紅より可逆度がよくなると報嘗 Gelatin(%) し,また藤永ら(8)ほ飼イオンの交流 Fig.4 Effectofgelatinonthepeal(heightofa 扱がトリトンⅩ−100のような非イ mi11imolar solution of vanillin

オン界面活性剤の存在で波高が増大 することを観察している。 しかし,これ烏の現象とパ エリンの矩形波に対する界 面活性剤の抑制効果とはち がっている㌣さらに,界面 活性剤の存在するときのバ エリン矩形波は後述するよ う紅特異な温度依存性をし

2ndpeak

6・温度の影響 Ⅴ 温度の変化がバエリン矩 まず, に示した。−温度が上昇する (00∼400C)紅したがっ Temp・(℃) て,第1ピ岬クの高さはじ Fig・5 よじょに低くなり,一方策 ami11imolarsolut血ofvanillin 2ビpクはじょじょ紅,第

(5)

算22巻貨1登(1971) 33 3ピークは急傾斜で増大した。第1ピークが温度上昇で低くなるのは,滴下水銀面へのバエリンの吸着が温度上昇で おこり難くなるためと考えられる。したがって寛1ピークの温度係数が負であるととほ,葦1ピークがテンサメトリ

iィdD −・放であると判定する根拠にもなる。欄に拡散電流の温度係数撼権利の拡散定数に関係し,告=÷・1「甘

(id:拡散電流,D:拡散定数,T:絶対温度)において,dD/dTが正であるから,拡散電流は温度の上昇につれて1増大する。 したがってニ,還元放である篭2,寛3ピークの波高が高くなることは理解できる。しかし,寛2ピークと箆3ピ−クと 払おける拡散定数は同じほずであるにかかわらず,第2と寛3ピークの温度係数が大きくちがって−いる。こ.の相違は したがっで竃極過程への温度効果のちがいに起因すると考えられる。すなわち,温度上昇檻つれて第3ビ−クに対応 する電極過程の可逆度が増大し,しかもその増大率が寛2ピ−・クよりも大きいと考えられる。 こノ/

て /ご/ノ三/

︵∈0︶三悪名望式 5 ︵己U︶芸如芯一望£

A/

C.POlarogram

2nd peak

◎−−

◎−、◎\ l

1st peak

0−、

3工d peak ◎、、 1st peak  ̄ ̄■・−X−__、

0 10 20 30 40

Temp.(℃)

Fig.6 Effectof temperature on the peak height

of the solution containinglmM vanillin and

O.005%gelatin

0 10 20 30

Temp.(℃) 40

Fig.7 Effect of temperature on the peak height of the solution containingl mM vani11inand o…005%tIitonX−100 ついで,界面活性剤を含んだバエリン.溶液に.ついて:温度効果をしらぺた。図6ほゼラチンを0.005%添加した場合の 結果であり,図7は.†リトンⅩ−100 0・005%の場合である。ゼラチ・ン添加の場合,彿1と算3ピ−クは温度上昇で低 くなり,鐸2ピークは高くなった。(なお,算2ピークの温度係数は直流波高のそれとはば同じである)。とれに対し, トリトンⅩ100添加の場合にほ,錐1と矯2ピ−・クが温度上昇で低くなり,貨3ピークが高くなった0 両界箇偏性添加のパニリン矩形波の温度変化に・おいて,共通的な現象がみとめられる。すなわら,沼性剤の添加で 抑制されているど−ク(ゼラチッ添加では箆3ピ−ク,トリトンⅩ一−100添加でほ箆2ピ−ク)の温度係数ほ負であり, 一・方抑制されてないピ−クは正の温度係数である。従来も矩形波ポ−ヲログラフ紅おける温度効果(g牝ついて研究が 行われているが,このような現象紅ついての報告例はみあたらない。この現象は結局電極反応過程に界面活性剤が関 与することに関連していると考えられるが,その機構についてほいっそうの検対を重ねたい○ 要 約 バニリンの中性溶液中紅おける矩形波ポ−ラログラフ的挙動を検討した0 1.直流ポーラログラムでは1段放であるが,矩形波ポ−ラログラムでは分離した二つの還元波と一つのチッサメ トリ一波とをしめした。 2.Gateによる電解電流と容量電流とを識別する方法をバニリン矩形波に試み,この方法が有効であることを知っ た。

(6)

34 香川大学農学部学術報望 3。エタノールは二つの還元披をとか踪跡制するが,ジオキサンほ還元の雄1段階だけを抑制した。 4.ゼラチッは還元の箆2段階だけを,トリトンⅩ岬100は寛1段階だけを抑制する特異効果をしめした。 5.界面活性剤で抑制されたピ−クに限って負の温度係数であった。 (日本化学会舞21年会 《昭和43年4月1日》に.て発表した) 文 献 (1)BREZINA,M.and P,ZtJMAN:PβJα70g㌢α少ろγg乃 (5)佐藤:分析化学6,164(1957) 肋d∠c査〝β,助cゐ♂∽去ざわ′γ,α兜dタカα㌢研αqγ,pl、265, (6)鈴木,沢田,安田,桜井:ポ−ヲログラフ討論会 InteI.Pub..,New YoI■k(1958) (1965) (2)白井:日化誌80,609(1959) (7)KoLTHOFF,Ⅰ.M…,Y.0ⅩINAKA:/・A椚・ (3)小野,高木:ポ−・ラグラフイ十第3集127毘,南 Cカβ∽.S鋸.81,2296(1959) 江堂(1965) (8)藤永,岡崎:日化誌,閃,600(1964) (4)神原,長谷部:日本化学18年会講演要旨369頁 (9)明石,熊沢:ポーラログラフイ−15,28(1968) (1965)

SQUARE−WAVE POLAROGRAPHY OF VANIL工,IN

YoshiakiFuKUIandIsao KATAOKA

飢Immary

Square・WaVe pOlaIOgraphic behavioIOf the vanillinsolutionbuffered at pH6.2∼6.3wasinvestigated. S.w.polatog!am Of vanillinhas two reduction・peak and one tensammetric wave,Whe工eaS d.c.polaro・ gram has one reduction wave.A attempt was made to separate faradaic current of vanillinfromnon・

faradaic one by the device of gate and was successful.Ethanoldepressed the both peak of vanillin, While dioxan depressed only the first reduction−Stage and triton X−100the first was obsezved. The

peak depressed by a surface,・aCtive agent had a r)egative temperature coefficient.

参照

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