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◆ 2014 年 1 月発行 ◆ 薦田社会保険労務士事務所 〒790-0004 松山市大街道 3-6-2 401 号 TEL 089-908-5522 FAX 089-908-5533 URL : http://www.kmdsr.jp e-mail. [email protected] -
非ブラック企業のお墨付き?
~厚労省ブラック企業監督指導結果の公表と若者応援企業宣言
このちょっと得する!経営情報 2013 年9月号でも取り上げましたが、厚生労働省がブラ ック企業の取り締まりのために、昨年(2012年=平成25年)9月に集中的な監督指導を 実施しています。 ちなみに、厚生労働省はブラック企業という名称は使用せず、「若者の使い捨てが疑われ る企業等」と呼んでいましたが、一般的には、ブラック企業という呼称がすっかり定着した 感があります。 この集中監督指導の対象となった若者の使い捨てが疑われる企業は、全国で約 4,000 社あり、労働基準監督署やハローワーク利用者等からの苦情が多い、これらの機関に通 報があった、離職率が極端に高い等の基準によって抽出されています。 そして、長時間労働や賃金不払残業(サービス残業)の実態について監督指導が行われ ました。 この度、この重点監督の結果が公表されましたので、この結果をご案内するとともに、厚 生労働省が、いわゆるブラック企業とは逆の「若者を応援する企業」を支援しようという取り 組み(若者応援企業宣言事業)を進めていますので、今月はこれらについてご紹介したい と思います。 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000032425.html (若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施状況) なお、昨年9月実施の重点監督の内容については、以下をご参照ください。 http://kmdsr.sakura.ne.jp/tokusuru/201309.pdf (ちょっと得する!経営情報 2013 年 9 月号)「ちょっと得する!経営情報」第 85 号 2014/1発行 2
Ⅰ.若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施状況
Ⅰ.若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施状況
Ⅰ.若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施状況
Ⅰ.若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施状況
若者の使い捨てが疑われる企業等に対して集中的に実施した「過重労働重点監督」 の結果、約 8 割の事業場で何らかの労働基準関係法令違反が見つかり、これらの事業 場に対して是正勧告書を交付しています。 違反の内容としては、「違法な時間外労働があった」(43.8%)、「賃金不払残業があ った」(23.9%)が特に多かったようです。 法令違反とされ、是正勧告書を交付されるに至らないまでも、注意を促す意味で指導票 が交付されることがありますが、特に健康障害防止に係る指導票が交付された事業場が 多く存在します。 これら指導票の内訳は、「過重労働による健康障害防止措置が不十分」(21.9%)、 「労働時間の把握方法が不適正」(23.6%)が目立っています。 【重点監督の結果のポイント】 【重点監督の結果のポイント】 【重点監督の結果のポイント】 【重点監督の結果のポイント】 (1)重点監督の実施事業場:5,111 事業場 (2)違反状況:4,189 事業場(全体の 82.0%)に何らかの労働基準関係法令違反 〔(1)のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場〕 ・違法な時間外労働があったもの :2,241 事業場(43.8%) ・賃金不払残業があったもの :1,221 事業場(23.9%) ・過重労働による健康障害防止措置が実施されていなかったもの :71 事業場(1.4%) (3)健康障害防止に係る指導状況 〔(1)のうち、健康障害防止のため、指導票を交付した事業場〕 ・過重労働による健康障害防止措置が不十分なもの:1,120 事業場(21.9%) ・労働時間の把握方法が不適正なもの :1,208 事業場(23.6%) (4)重点監督において把握した実態 ・重点監督時に把握した、1か月の時間外・休日労働時間が最長の者の実績 80 時間超 :1,230 事業場(24.1%) うち 100 時間超 : 730 事業場(14.3%) 労働基準関係法令違反により是正勧告がなされた事案、是正勧告までには至らないも のの指導票が交付された事案が、具体的にどのようなものであったのかを把握しておくこ とは、今後の労務管理において有益だと思われます。 今回の報道発表資料では、これら違反・問題等の主な事例及び具体例が掲載されてい ます。 〔違反・問題等の主な事例〕 〔違反・問題等の主な事例〕 〔違反・問題等の主な事例〕 〔違反・問題等の主な事例〕 ① 長時間労働等により精神障害を発症したとする労災請求があった事業場で、 その後も、月 80 時間を超える時間外労働が認められた事例 ② 社員の7割に及ぶ係長職以上の者を管理監督者として取り扱い、割増賃金を 支払っていなかった事例 ③ 営業成績等により、基本給を減額していた事例 ④ 月 100 時間を超える時間外労働が行われていたにもかかわらず、健康確保措置 が講じられていなかった事例 ⑤ 無料電話相談を契機とする監督指導時に、36 協定で定めた上限時間を超え、月 100 時間を超える時間外労働が行われていた事例 ⑥ 労働時間が適正に把握できておらず、また、算入すべき手当を算入せずに割増 賃金の単価を低く設定していた事例「ちょっと得する!経営情報」第 85 号 2014/1発行 3 上記の違反・問題等の主な事例のうち、「①長時間労働等により精神障害を発症したと する労災請求があった事業場で、その後も、月 80 時間を超える時間外労働が認められた 事例」を具体的に確認してみます。 注意すべき点は以下の通りです。 (1)そもそも長時間労働、パワーハラスメントが原因で精神障害になったとして労災請求が なされるだけの状況にあった。 ◆長時間労働は重点監督の結果、①のとおり月 80 時間を超える時間外労働が行わ れていたことが判明しています。 ~脳・心臓疾患の発症前2~6月間平均 80 時間を超える時間外労働を行わせてい た場合、業務と発症との関連性が強いとされていることから、業務上災害とされる可 能性が高い。(4)参照。 ◆パワーハラスメントを予防するための対策が講じられていなかった可能性が高い。 ~研修の実施等を通じて予防に努める必要がある。 (2)①について ◆IDカードで出退勤を管理している場合、出社から退社までの時間全てが労働時間と されている可能性があります。 労働時間の把握方法がIDカードを利用する方法をとる場合、実労働時間を把握する 方法を検討しておく必要があるといえます。
「ちょっと得する!経営情報」第 85 号 2014/1発行 4 ◆36 協定で定めた上限時間を超えて時間外労働をさせているケースが散見されま す。時間外労働の限度時間として、1か月あたり45時間、1年 360 時間等という厚生 労働大臣告示で定められた基準あるため、この基準時間を超えないように 36 協定 を締結することが多いのではないでしょうか? 限度時間を超える可能性があるならば、特別条項付 36 協定を締結することにより、 一定の場合には限度時間を超えて時間外労働をさせることが可能になるのですが、 特別条項付 36 協定を締結しないまま、限度時間以内の時間を内容とした通常の 36 協定を締結、そこで定めた時間を超えて時間外労働をさせてしまうと労働基準法 違反となってしまいます。 (3)②について ◆俗に「定額残業代(制度)」とか「固定残業代(制度)」といわれるものですが、実際 の労働時間数、時間外労働時間数を把握し、これによって計算した時間外割増賃 金と比較して、定額残業代が同額もしくは上回っていればよいのですが、逆の場合 には、差額分の支払いがないと賃金不払いとなります。 定額残業代 実際の時間外労働時間に対する残業代 *定額残業代の方が多いため問題なし 定額残業代 実際の時間外労働時間に対する残業代 *定額残業代の方が少ないため、差額の支払いが必要 (4)③について ◆労働契約法では、使用者に対し、労働者の生命・身体等の安全に配慮する義務 が定められていますので、労働者が過重労働によって、脳・心臓疾患等を発症した り、仕事上のストレスなどによってうつ病になったりしないよう、使用者は業務管理や 職場環境の整備に配慮する必要があります。 労働安全衛生法では、一定の長時間労働者などを対象として医師による面接指 導等の措置の実施を事業者に義務付けていますが、月 80 時間を超える時間外・休 日労働の場合には、医師の面接指導義務付けの対象ではありません。 しかし、安全配慮義務を果たすためにも、面接指導等一定の措置を講じることがます
「ちょっと得する!経営情報」第 85 号 2014/1発行 5 ちなみに、この安全配慮義務と労働安全衛生法で定められている事業主が講ずべき 措置の内容については、このちょっと得する!経営情報 2010 年 10 月号で取り上げて います。 http://kmdsr.sakura.ne.jp/tokusuru/201010.pdf (ちょっと得する!経営情報 2010 年 10 月号) 参考になる箇所もありますので該当箇所を以下に再掲させていただきます。
【安全配慮義務について】
【安全配慮義務について】
【安全配慮義務について】
【安全配慮義務について】
使用者は、労働契約に伴い信義則上当然に、労働者を危険から保護するよう配慮 すべき安全配慮義務を負っているとされていますが、民法等の規定には安全配慮義 務を定めたものはありませんでした。 しかし、平成 20 年 3 月施行の労働契約法では、第5条で以下のように定め、使用者 が当然に安全配慮義務を負うことを明らかにしました。 (労働者の安全への配慮) 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働す ることができるよう、必要な配慮をするものとする。 この条文中の「生命、身体等の安全」には、心身の健康も含まれるとされており、 メンタルヘルスへの配慮は法律上の義務となっているといえます。 また、同法第5条の解説では以下のように述べており、労働安全衛生関係法令の遵 守は当然とされています。 (前省略) ④法第5条の「必要な配慮」とは、一律に定まるものではなく、使用者に特定の措置を 求めるものではありませんが、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な 状況に応じて、必要な配慮をすることが求められるものです。 なお、労働安全衛生法をはじめとする労働安全衛生関係法令においては、事業主の 講ずべき具体的な措置が規定されているところであり、これらは当然に遵守されなけれ ばならないものです。【労働安全衛生法で定められている事業主が講ずべき措置】
【労働安全衛生法で定められている事業主が講ずべき措置】
【労働安全衛生法で定められている事業主が講ずべき措置】
【労働安全衛生法で定められている事業主が講ずべき措置】
(1)医師による面接指導 長時間労働は、医学的にも、過重労働による健康障害やメンタルヘルス不全の大 きな要因の一つと考えられていることから、一定の長時間労働を行った労働者に対 する医師による面接指導を行わなければならないとされています。 【対象となる労働者の要件】→①②③の全ての要件に該当すること ① 1週間あたり 40 時間を超える労働時間(時間外・休日労働時間)が1 か月あたり 100 時 間を超えていること ② 疲労の蓄積が認められること ③ 労働者が申し出ていること 労働者からの申出に基づいて、事業者が面接指導を行う場合には、労働者は事業 者が行う面接指導を受けなければなりません。 しかし、労働者が事業者の指定した医師による面接指導を希望しない場合には、他 の医師による面接指導を受け、その結果を証明する書面を提出してもらうことも可 能です。「ちょっと得する!経営情報」第 85 号 2014/1発行 6 面接指導実施後は、事業者は面接指導の結果を記録するとともに、労働者の健康を 保持するために必要な措置について医師の意見を聴かなければならないことになって います。そして、その医師の意見を勘案し、必要があると認めるときには、当該労働 者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数 の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会もしくは安全衛生委員会 又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならな い、とされています。 (2)面接指導等を行う努力義務 (1)の要件に当てはまる場合には、面接指導を行うことが事業者の“義務“とな っていました。 しかし、この要件にあてはまらなくても、健康への配慮が必要な労働者について は、面接指導の実施又は面接指導に準ずる措置を講ずるように努めなければならな いとされています。 つまり、”義務“ではなく、”努力義務”となっていますが、事業者は前述の安全 配慮義務を果たすためには、積極的に措置を講じるべきと考えます。 【対象となる労働者の要件】 →①もしくは②の要件に該当すること ① 時間外・休日労働時間が1 か月あたり 80 時間を超えており、それにより、疲労の蓄積が認め られ、又は健康上の不安を有している労働者であって、本人が申し出ていること ② 事業場において定められた必要な措置の実施に関する基準に該当している労働者であること ちなみに、「面接指導に準じた措置」とは以下のような措置が考えられます。 ・ 労働者に対して保健師などによる保健指導を行うこと ・ チェックリストを用いて疲労蓄積度を把握し、必要な者には面接指導を行うこと ・ 事業場の健康管理について、事業者が産業医等から助言指導を受けること また、事業場で必要な措置の基準を定める際には、衛生委員会等で調査審議した うえで定めることになりますが、その際には、1 か月あたりの時間外・休日労働時間 が 100 時間を超える労働者や、2~6ヶ月平均して 1 か月あたりの時間外・休日労 働時間が 80 時間を超える労働者については、できるだけ全ての労働者について面接 指導を行うように基準を設定することが望ましいと思われます。 これは、過重労働による健康障害が発生した場合の労災認定基準がベースになって います。 【脳・心臓疾患を引き起こすおそれのある労働時間の目安】 時間外労働時間 発症との関連性 月 100 時間超 業務と発症との関連性が強い 発症前2~6ヶ月間 月平均 80 時間超 発症前1~6ヶ月間 月平均 45 時間超 時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症と の関連性が徐々に強まる 発症前1~6ヶ月間 月平均 45 時間以下 業務と発症との関連性が弱い (1)は事業者の“義務”ですが、労働者からの申出が要件になっていました。ま た、(2)①についても、労働者からの申出が要件です。 しかし、申出が要件ということは、申し出がなければ医師による面接指導を行う必 要がないということですが、この労働者の健康への配慮が必要なことに変わりはあ りません。 そこで、(2)②の“努力義務”の中で、労働者の申出がない場合でも、一定の長 時間労働を行っている労働者を措置の対象者とすることを定めているのです。
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若者応援企業」とは?
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応援企業」とは?
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若者応援企業とは、一定の労務管理体制が整備されており、若者(35 歳未 満)を採用・育成するためにハローワークに求人を提出し、通常の求人情報より も詳細な企業情報・採用情報を公表する中小・中堅企業をいいます。 2013 年 4 月から始まった事業であり、この若者応援企業と認められると、ハロ ーワークが積極的にPRしてくれる等のメリットがあります。 ちなみに愛媛県では、平成 25 年(2013 年)12 月 25 日現在、68 社が若者応援企 業となっています。 http://ehime-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/roudoukyoku/gyoumu_naiyou/shokugyouanntei/s _antei/250319_003/_119589.html (愛媛労働局HP) 「若者応援企業」を名乗ることで、企業にとって以下のようなメリットがあります。 1.ハローワークに提出される通常の求人情報に比べて、より詳細な企業情報・採用情報を公 表できるため、会社の職場環境・雰囲気・業務内容がイメージしやすくなり、より適した人 材の応募が見込まれ、採用後の職場定着が期待できる。 2.都道府県労働局のホームページで、就職関連情報も含めたPRシートを公表するため、会 社の魅力を広くアピールできる。 3.就職面接会などの開催について積極的に案内するため、若年求職者と接する機会が増え、 より適した人材の採用が期待できる。 4.「若者応援企業」の名称を使用し、若者の育成・採用に積極的であることを対外的にアピ ールすることができる。 「若者応援企業」と名乗るためには、以下の基準をすべて満たしている必要がありま すが、これらを満たし、宣言書(厚生労働省のHPから入手できます)を提出すれば、若 者応援企業を宣言することができます。 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/ bunya/koyou_roudou/koyou/jakunen/w akamono/wakamonoouen.html#wakamon oouen_info(宣言書の入手先:厚生労働省H P) 1.学卒求人など、若者対象のいわゆる 「正社員求人」をハローワークに提出する こと 2.「若者応援企業宣言」の事業目的に賛 同していること 3.過去3年度分の新卒者の採用実績およ び定着状況などの就職関連情報を開示して いること 4.労働関係法令違反を行っていないこと 5.事業主都合による解雇または退職勧奨 を行っていないこと 6.新規学卒者の採用内定取消を行ってい ないこと 7.都道府県労働局・ハローワークで取り 扱っている助成金の不支給措置を受けてい ないこと「ちょっと得する!経営情報」第 85 号 2014/1発行 8