2. 資源メジャー5社の個別動向
2.1 BHP Billiton Ltd / BHP Billiton Plc
2.1.1 企業概要 設立: 2001年 (前身のBHPは1885年、 Billitonは1860年) 本社:ロンドン(英国)・メルボルン(豪州) 上場先: ASX / LSE / NYSE / JSE
決算期:6月末 CEO:Andrew Mackenzie (13年5月~) 連結従業員数:42,829名 主な生産鉱種: F e C u P b M n Z n N i A l C o Ti K P 石炭 石油 P G M A g ガ ス D I A M o U A u C r B N b ■経営数値■ -45 -40 -35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 2015年度 (%) BHP Billiton Ltd: 売上高 BHP Billiton Ltd: 前年度比成長率 -10,000 -5,000 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000
BHP Billiton Ltd: EBIT BHP Billiton Ltd: Net Income BHP Billiton Ltd: 営業CF 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 (mUS$) (mUS$) 図2-1-1 BHP Billiton 売上 図2-1-2 BHP Billiton 利益 42 44 46 48 50 52 54 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 (%) BHP Billiton Ltd: 総資産 BHP Billiton Ltd: 自己資本 BHP Billiton Ltd: 自己資本比率 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 90,000 BHP Billiton Ltd: 有利子負債 BHP Billiton Ltd: 自己資本 BHP Billiton Ltd: DER (倍) 2015年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 (mUS$) (mUS$) 図2-1-3 BHP Billiton 資産 図2-1-4 BHP Billiton 負債
BHP Billiton
2 - 1 BHP Billiton2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 -9,000 -6,000 -3,000 0 3,000 6,000 9,000 12,000 15,000 18,000 (mUS$) BHP Billiton Ltd: 内部留保額 BHP Billiton Ltd: 当期純利益 BHP Billiton Ltd: 配当額 - 普通株 図2-1-7 BHP Billiton 内部留保 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 (%) 0 100 200 300 400 500 600 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 (%) (US$)
BHP Billiton Ltd: ROE BHP Billiton Ltd: ROA BHP Billiton Ltd: EBIT利益率 BHP Billiton Ltd: Net Income利益率
BHP Billiton Ltd: 潜在株式調整後EPS BHP Billiton Ltd: 一株当たり年間配当金 BHP Billiton Ltd: 配当性向 図2-1-5 BHP Billiton 収益性 図2-1-6 BHP Billiton 配当 2 - 1 BHP Billiton
2.1.2 財務・生産概況 市況の先行きをにらみ、資源メジャーの中では早くにノンコアアセットを「South 32」 として切り離した同社は、「鉄鉱石」「銅」「石炭」にその経営資源を集中させることを 長期的な株主利益拡大の近道としていた。それだけでなく積極的なリストラを進め多くの 職員解雇も積極的に行った。ただ、その効果の出るはずであった「ノンコア分離」初年度 は、当然ながら「アルミニウム」「ニッケル」「亜鉛」などのアセットがごっそりなく なったことによりトップラインが大幅に落ち込んだ。そんなところに、ほぼ右下がりの資 源価格市況が結果的には続いてしまったことにより業績は極端に厳しいもとなった。これ により同社は1999年以降で初の赤字となり期末の配当を初めて減配する。但し、そのこと もあり、内部留保はここ数年で最も高いレベルに保たれることとなる。 その減配をも経営に決意させる主な要因となったもう一つの問題は11月に同社史上(と いうよりもマイニング史上)最悪の事故がブラジルの鉄鉱石事業(SAMARCO=VALEと のJV)にて発生したことだろう。1年以上たった今も復旧していない同PJの事故のため 同社は過去にない極めて厳しい会計年度を迎えることとなった。 生産のほうに目を向けて見ると地すべりを起こしたかのようだった鉄鉱石価格を気にす ることもなく、他メジャーと歩調を合わすかのようにほぼ継続して増産(主に豪州)を続 けたことが話題となった。この期に体力にものを言わせて寡占化を進めようという意図で あったと思われるが前年度比で約50%近い生産増となっている。 0 10,000,000 20,000,000 30,000,000 40,000,000 50,000,000 60,000,000 70,000,000 80,000,000 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 2015年3月 2015年4月 2015年5月 2015年6月 2015年7月 2015年8月 2015年9月 2015年10月 2015年11月 2015年12月 2016年1月 2016年2月 2016年3月 2016年4月 2016年5月 2016年6月 2016年7月 2016年8月 2016年9月 (株) (豪ドル) 出来高 (BHP Billiton Ltd) BHP Billiton Ltd (参考)図2-1-8 BHP Billiton 株価推移 2 - 1 BHP Billiton
2.1.3 BHP Billiton の鉱種別アセット所在地 United Kingdom Production Unit United Kingdom Production Unit Algeria Joint Interest Unit Algeria Joint Interest Unit Corporate Office Corporate Office 石油・カリウム 石油・カリウム 事業所事業所 銅 銅 鉄鉱石鉄鉱石 石炭石炭 BHP Billiton BHP Billiton Australia Production Unit Australia Production Unit Australia Joint Interest Unit Australia Joint Interest Unit New South Wales Energy Coal New South Wales Energy Coal Queensland Coal Queensland Coal Western Australia Iron Ore Western Australia Iron Ore Nickel West Nickel West Global Headquarters Global Headquarters Olympic Dam Olympic Dam Onshore US Onshore US Offshore Gulf of Mexico Offshore Gulf of Mexico
Trinidad and Tobago Production Unit Trinidad and Tobago Production Unit Antamina Antamina Pampa Norte Pampa Norte Escondida Escondida Samarco Samarco Cerrejón Cerrejón 2 - 1 BHP Billiton
United Kingdom Production Unit United Kingdom Production Unit Algeria Joint Interest Unit Algeria Joint Interest Unit Corporate Office Corporate Office 石油・カリウム 石油・カリウム 事業所事業所 銅 銅 鉄鉱石鉄鉱石 石炭石炭 BHP Billiton BHP Billiton Australia Production Unit Australia Production Unit Australia Joint Interest Unit Australia Joint Interest Unit New South Wales Energy Coal New South Wales Energy Coal Queensland Coal Queensland Coal Western Australia Iron Ore Western Australia Iron Ore Nickel West Nickel West Global Headquarters Global Headquarters Olympic Dam Olympic Dam Onshore US Onshore US Offshore Gulf of Mexico Offshore Gulf of Mexico
Trinidad and Tobago Production Unit Trinidad and Tobago Production Unit Antamina Antamina Pampa Norte Pampa Norte Escondida Escondida Samarco Samarco Cerrejón Cerrejón 2 - 1 BHP Billiton
2.1.4 オペレーション別の生産量 0 50 100 150 200 250 300 350 400
Y11 Y12 Y13 Y14 Y15
Mt Kt
Newman Yarrie Area C JV Yandi JV Jimblebar Wheelarra Samarco
39.9880.768 44.621.106 56.915 63.697 65.941 0.836 0 0 42.425 44.717 46.96 49.994 46.799 53.536 60.054 68.518 68.551 67.375 7.53355 14.24515 160.565 11.338 8.377 10.553 18.994 22.549 11.423 10.982 10.919 14.513 5.404 333.7875 478.08375 485.7025 526.7575 373.1175 171.9825 171.2925 177.1 178.48 189.9225 127 139.7 143.5 107.7 146.4 5.4 21.5 13.4 0 0 263.7 232.6 233.1 249.6 251.4 192.6 166.2 184.4 124.5 202.8 39.9880.768 44.621.106 56.915 63.697 65.941 0.836 0 0 42.425 44.717 46.96 49.994 46.799 53.536 60.054 68.518 68.551 67.375 7.53355 14.24515 160.565 11.338 8.377 10.553 18.994 22.549 11.423 10.982 10.919 14.513 5.404 333.7875 478.08375 485.7025 526.7575 373.1175 171.9825 171.2925 177.1 178.48 189.9225 127 139.7 143.5 107.7 146.4 5.4 21.5 13.4 0 0 263.7 232.6 233.1 249.6 251.4 192.6 166.2 184.4 124.5 202.8 0 250 500 750 1,000 1,250 1,500
Y11 Y12 Y13 Y14 Y15
Escondida Escondida (Sx-Ew) Antamina Pinto Valley Pampa Norte Olympic Dam
図2-1-9 鉄鉱石 図2-1-10 銅 Kt Kt 239.1 213.4 186.5 151.6 0.8 1 1.5 2.1 239.1 213.4 186.5 151.6 0.8 1 1.5 2.1 0 50 100 150 200 250
Y11 Y12 Y13 Y14 Y15
Cannington Antamina 54.7 56.3 57.9 60 57.5 71.9 52 66.4 55.4 54.7 56.3 57.9 60 57.5 71.9 52 66.4 55.4 0 50 100 150
Y11 Y12 Y13 Y14 Y15
Cannington Antamina 0 0 3.7 3.7 図2-1-11 鉛 図2-1-12 亜鉛 Kt Kt 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000
Y11 Y12 Y13 Y14 Y15
Worsley Alumar 2917 3675 3916 3181 1235 1205 1262 1103 2917 3675 3916 3181 1235 1205 1262 1103 48.9 50.8 44.3 33.7 109 103.3 98.9 89.9 80.7 48.9 50.8 44.3 33.7 109 103.3 98.9 89.9 80.7 0 50 100 150 200
Y11 Y12 Y13 Y14 Y15
Cerro Matoso Nickel West
00 00 図2-1-13 アルミナ 図2-1-14 アルミニウム 2 - 1 BHP Billiton
0 50 100 150 200 Kt
Cerro Matoso Nickel West
0.5 48.9 50.8 44.3 33.7 109 103.3 98.9 89.9 80.7 18.6 22.6 29.3 33.9 33.4 5.4 5.7 6.6 7.0 7.1 7.9 7.9 7.5 7.2 48.9 50.8 44.3 33.7 109 103.3 98.9 89.9 80.7 18.6 22.6 29.3 33.9 33.4 5.4 5.7 6.6 7.0 7.1 7.9 7.9 7.5 7.2 0 10 20 30 40 50 Mt
BHP Mitsubishi Alliance BHP Mitsui Coal IndoMet, Haju Illawarra
Y11 Y12 Y13 Y14 Y15 Y11 Y12 Y13 Y14 Y15
図2-1-15 ニッケル 図2-1-16 原料炭
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2.1.5 主なトピックス(15 年会計年度:2015 年7月1日~ 2016 年6月末) 月日 国名 ニュース 2015年3月 豪州 Rio Tinto、鉱山の生産性を向上させるためのデータ解析センターをイ ンドに開設 2015年3月3日、Rio.Tintoは鉱山の生産性を向上させるためデータ 解析センターをインドのプネー市に開設することを発表した。同社は 米国系IT. 企業IGATE社と共同で同センターを運営する。同センターで はRio.Tintoが世界で操業している鉱山の採掘や鉱石処理等の設備に搭 載されるセンサから得られたデータを取得し、機器のトラブルや事故 の未然防止に役立てるだけでなく、設備利用の最適化を目指したモデ リング解析も行う。Rio.Tintoは、「資源業界でデータ解析センターを 設置するのは当社が世界初であり、本拠点で世界中の鉱山設備を管理 することにより、事前に設備トラブルを解決し、操業の生産性と安全 性を高めることが可能となる。」とコメントしている。 (2015..3..9 シドニー 矢島太郎) 2015年3月 カザフ
スタン Rio Tinto、Korgantasの銅探査に600万US$を投資2015年3月26日付け地元報道等によると、Korgantasエリア(カ
ラガンダ州)の斑岩銅探査権を所有するKorgantas社はRio.Tinto社と Kazgeologyの完全子会社であり、探査段階におけるRio.Tinto社の投 資額は600万US$となる。同エリアでは2015年第2四半期に空中物 理探査に向け、最新技術を利用したフィールドワークが開始される予 定である。プロジェクトの目的は、JORC準拠の経済性を有する銅及 び金属鉱床における探査、発見、評価である。 (2015.4.3 モスクワ 木原栄治)
2015年5月 ペルー Rio Tinto、La Granja銅プロジェクトに8,500万 US$を投資
2015年5月18日付け地元紙によると、Rio.Tintoは、La.Granja銅 プロジェクト(Cajamarca州)の拡張を目的とした環境影響概要評 価(EIASD)を新たに修正し、エネルギー鉱山省に提出した。この EIASDが承認された場合、探鉱活動は2015年9月に開始され48カ月 間実施される見込みである。投資額は8,500万.US$で、合計581本 のボーリング調査が行われる計画となっている。
Rio. TintoがLa. Granja銅プロジェクトに関する初回の環境影響評 価を提出したのは2007年で、以降数々の修正が行われてきた。今回 は、11回目の修正となる。 (2015.5.18.リマ.岨中真洋) 2015年11月 豪州 Rio Tinto、鉄鉱石の減産を行わない方針 2015年11月5日、地元各紙はRio.Tintoが鉄鉱石価格の下落が続い ている状況でも鉄鉱石の減産を行わない方針であると報じた。 Rio.TintoのAndrew. Harding鉄鉱石部門長はRio.Tintoが鉄鉱石を 減産しても、海外の他社がその減産分を補うように増産を行うため、 オーストラリアの経済を減速させないためにも減産はしない方針であ るとパースで説明した。 Rio.Tintoは、世界の鉄鉱石の需要が引き続き年率2. %の割合で増加 し、2030年には年間約30億t必要になり、中国の製鉄生産も年率1. %の割合で増加し、2030年には年間約10億tの製鉄が中国で生産さ れると予想している。一方、BHP.Billitonは2025年の世界の鉄鉱石 の需要を当初10~11億tと予想していたが、最近9.35~9.85億tに下 方修正している。 (2015.11.9 シドニー 矢島太郎) 2 - 1 BHP Billiton
月日 国名 ニュース
2015年11月 豪州 Rio TintoがAmrunボーキサイトのプロジェクトを承認
2015年11月27日、Rio. Tintoは、Amrun(South. of. Embley) ボーキサイトプロジェクトの実施を承認したことを発表。 同社の発表によれば、同プロジェクトはQLD州北部のCape.York半 島におけるボーキサイト鉱山、処理工程及び港湾施設の建設工事を含 むものであり、事業費は19億US$の予定である。場所は、Cape.York 半島にあるRio.Tintoの既存のボーキサイト鉱山であるEast.Weipa及 びAndoom鉱山の南方40キロメートルに位置する。 同プロジェクトによるボーキサイトの生産量は2,280万t/年とする 計画であり、枯渇しつつあるEast.Weipa鉱山の生産に取って代わると 共に、ボーキサイトの輸出量は1,000万t/年増加する見込み。ボーキ サイトの生産及び出荷は2019年上期からの開始が予定されており、 同年末にはフル生産に達する見込みである。同プロジェクトには、将 来的に5,000万t/年にまで拡張する選択肢もある。同プロジェクトの 建設工事においては約1,100名の雇用創出が見込まれ、稼働が開始さ れればRio. TintoのCape. York半島における既存のボーキサイト事業 における約1,400名の労働者とコントラクターが維持出来ることにな る。 なお、同プロジェクトの名称は当初「South.of.Embley」とされて いたが、先住民族による地名である「Amrun」に改名された。 (2015.12.1 シドニー 山下宜範) 2015年11月 ― Rio Tinto、鉱山会社はポートフォリオ多様化よりも集中化させるべき 2015年11月27日メディア報道によれば、Rio.Tinto銅・石炭部門 CEOのJean-Sebastien.Jacques氏は、鉱山会社のポートフォリオの 多様化は市況の厳しい状況下においてはヘッジとはならないと発言し た。 同氏によれば、多様なポートフォリオを有さず、優良案件に集中し て操業を行う鉱山会社の方がより良いパフォーマンスを示しており、 昨今の厳しい価格下落局面に関わらず、同社の銅、鉄鉱石およびボー キサイト案件の将来性についてはエキサイトしているとして、長期的 な視点で事業を実施していると付け加えた。また、同氏は価格サイク ルのどの時点においても競争性を有しており、風向きに関わらず、ボ トムラインを管理するのではなく、トップラインを成長させられるか が問われていると述べた。 (2015.11.30 ロンドン 竹下聡美) 2015年12月 豪州 Rio Tinto、鉄鉱石価格が下落している中でも鉄鉱石鉱山を拡張 2015年12月7日付け地元紙は、鉄鉱石価格が過去10年間で最低と なり40.US$/tを割るリスクもある中で、Rio.Tintoが、WA州におけ る事業費10億A$のSilvergrass鉄鉱石鉱山の拡張工事を進める予定で あると報じた。 本 件 は 同 社 のAndrew. Harding社 長 が 述 べ た も の 。 同 社 長 は 、 Silvergrass鉱山は高品質の鉄鉱石を生産しており拡張は適当であるこ と、また拡張の決定は短期の鉄鉱石価格の変動ではなく長期の見通し に基づいて行うと述べた。 同鉱山は2015年初頭に小規模に生産を開始したが、今後の拡張に より生産量は現在の1,000万t/年から2016年には2,100万t/年にま で増加する予定。拡張工事は2016年に開始される見込み。 (2015.12.8 シドニー 山下宜範) 2 - 1 BHP Billiton
2.1.6 BHP Billiton 役員コメント(Chairman 及び CEO)※ Jac Nasser AO 会長(Chairman)の評価
「諸君ら役員会は、我がBHP Billitonの前途に自信を持っており、我が社のために力を尽 くしていてくれることに謝意を表したい」 株主の皆様へ 疑う余地のないことだが、本年はBHP Billitonにとって厳しい年であった。 昨年11月にブラジルのSamarco鉄鉱石鉱山で起こった悲劇的な出来事の影響を受けたすべ ての人たちに、心よりお悔やみを申し上げたい。BHP Billiton Limitedの2015年の年次総会 (AGM)の席上、Samarcoの被害者には誠意をもって対応し、原因究明に努力すると確約 した。 当社の利害関係者の推測どおり、役員会はじっくり時間をかけて、Samarcoについて話 し合い、対応を検討した。あの悲劇が起こってすぐに、役員会の中に小委員会を設け、 Samarcoに関連して特定の権限を与えた。Samarco小委員会と並行して、リスクおよび監 査委員会と持続可能性委員会が、それらの委員会の現行職務の一環として、Samarcoに関 連する事項を検討してきた。 2015年11月、BHP Billiton Brasil、Samarco、Valeは共同で、Samarco鉄鉱石鉱山でFundão 鉱滓ダムが決壊した技術的な原因を調査するように、外部に委託した。ブラジル、カナ ダ、米国から招かれた地質工学の専門家4名で構成される小委員会は、決壊の技術的な面 について助言することを約束した。2016年8月29日、この小委員会は、ダム決壊の直接の 原因についてわかったことを公表した。 我々はわかったことを広く共有した。それによって、業界がダムの決壊から教訓を得て、 さらなる基準を設けて導入することができれば、他の場所でこうした出来事が起こらない ようにできる。さらに、当社の手持ち案件のうち、重大なダムについて綿密なレビューを 実施した。また、当社の手持ち案件のうち、現在操業していない鉱物合弁事業についても レビューした。鉱滓ダムおよび合弁事業についての当社の取り決めを管理するうえで、今 後実施する措置を数多く明らかにした。明らかにした措置の導入の進捗についての最新情 報は、2017年度の年次報告書に記載する。 世界の環境が変動しやすく不確実であるという背景はあるが、財務体質を強固にしておく ことが、戦略を実現するうえで主要な要因であることに変わりはない。したがって、2016 年に、新たな配当ポリシーを発表した。これは、財務体質をさらに守り、財務面での柔軟 性を維持できるようにするというものである。難しい決断ではあったが、会社にとっては
※ 出典:"Integrity Resilience Growth Annual Report 2016" (2016 年 9 月 21 日発行)
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正しい決断であった。この配当ポリシーでは、あらゆる決算期間で、基礎となる帰属利 益のうち、最低50%を払うと定めている。2016年度では、役員会は最終配当を一株当たり 14¢と決め、その金額はフリー・キャッシュフローでまかなわれている。この配当は、一 株当たりの最低支払金額に一株当たり6¢が追加されたもので構成されている。 あらゆる決算期間で、役員会は、資本配分枠組みに従って最低支払額に加算される金額 を、会社が支払うことができるかどうかを査定する。当社は、自らが支出するあらゆる金 額を報告する責任を負い、自らの資本配分枠組みを厳格に遵守する。そのときに、当社が 営業している、変わりつつある状況を考慮に入れる。 気候変動に対応することは、BHP Billitonにとって、依然として優先準位が高く極めて重 要な課題である。これは、気候政策と技術進歩が原動力となって、世界のエネルギー市場 で現在進行中の革新的な変化という文脈の中でのことである。気候変動に対する当社のア プローチに関して、出資者、政策立案者、同業者、非政府組織などの利害関係者に積極的 に関わることも、優先順位の高いことである。政府には、長期的かつ効果的な政策枠組み を創り出してほしい。ここで言う政策枠組みとは、戦略的な優先順位と一致したものであ り、一連の補完的な対策を含むものである。 当社の温室効果ガス排出量を削減することと、当社の事業を回復させることの重要性は理 解している。2015年9月に公開して好評をいただいた『気候変動: ポートフォリオ分析 (Climate Change: Portfolio Analysis)』に続き、2016年のAGMの前には、気候変動リス クへの対応を進めるために年内に取りかかった活動に関して、最新情報を発表する予定で ある。これについて、幅広い利害関係者と話し合うことを楽しみにしている。
John Schubertに対しては、長年にわたって役員会と会社に実によく尽くしてくれたこと に感謝したい。Johnは、BHP Billiton Limitedの2016年のAGMが済んだら退職する。次世代 役員育成計画に沿って、2016年9月22日付けで、非業務執行取締役としてKen MacKenzie を役員に任命した。Kenは十分な実績があり、課題の多い業界で成功する企業を10年間に わたって引っ張ってきた。世界的にも経営面でも広範な実績を積んでいるので、役員会に 多大な貢献をしてくれることだろう。 役員会は、我がBHP Billitonの前途に自信を持っており、我が社のために力を尽くしてい てくれることに謝意を表したい。 Jac Nasser AO 会長 2 - 1 BHP Billiton
Andrew Mackenzie最高経営責任者の報告書 「当社は、適正な商品で適正な資産を持っており、なお勢いと繁栄を増す能力と風土を持 ち合わせている。」 Andrew Mackenzie 最高経営責任者 株主の皆様へ 本年は、BHP Billitonにとっても資源業界全般にとっても厳しい年であった。 繰り返しになるが、2015年11月5日にSamarcoでFundãoダムが決壊した後、ブラジルで起 こった悲劇的な出来事の影響を受けたすべての人たちに、深い遺憾の意を表したい。特 に、犠牲となった19人のご家族やご友人、そして自宅や生活手段を失い、先行きが見えな い人たちに。 BHP Billitonは、そうした影響を受けた人々が立ち直るのを助けるために正しいことを行 うこと、そしてそれを達成するために、合弁事業のパートナーであるVale、および運営事 業体のSamarcoと緊密に協力することに鋭意取り組む所存である。 私は、2016年6月にこの地方を再度訪問して、それまでの復興・復旧作業の進捗具合に感 銘を受けた。全額補償を成し遂げるまで長いプロセスになることはよく承知している。ま た、地域社会を立て直し、環境への影響を元に戻すために、不断の作業を続けていく。 Samarcoの不幸があった中、安全面での業績について肯定的になるのは難しいが、この1 年間に、BHP Billitonの運営する現場では、ある程度力強い実績を残した。具体的には、 死亡事故がゼロであり、発生可能性の高い傷害事故が20%減ったことなどである。
当社の安全指標である合計記録可能傷害回数(TRIF: total recordable injury frequency) が、100万労働時間当たり4.3に微増した。過去や業界標準と比べれば低い数字だが、なお 改善を図る決意である。当社の仕事では安全が第一であり、それ以上に重要なものなどな い。 2016年度は商品価格が大幅に下落し、3件の特別損失を計上したことで、64億US$の法定 損失につながった。この結果には落胆したが、当社の根源的な業績は堅調である。当社の 根源的なEBITDAマージンは、41%という健全な水準である。コストが16%下がり、生産 性は(2012年度以来確保されている100億US$に加えて)4億US$向上した。こうした向上 分が役に立って、フリー・キャッシュフローは34億US$になり、当社の財務体質は引き続 き強くなっている。
本年に直面した課題にもかかわらず、我々は「Our BHP Billiton Charter」の価値に忠実な
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立場を保ち、当社の計画から揺らぐことはなかった。自社に対して必要な変更を実施し、 構造物工事(合理化された新たな操業モデルを含む)を完了して、当社の手持ち案件を簡 略化し俊敏性を高めた。 将来に大きな価値を創造するための準備はすべて整っている。その具体的な手段は、生産 性の向上、魅力的な成長プロジェクト、野心的な探鉱プログラム、新しい技術である。 私はBHP Billitonは、株主、従業員、操業している地域社会にこの価値をもたらす際に は、より幅広く社会に貢献している。 私はBHP Billitonが行っている貢献を心から誇りに思っている。2016年度には、雇用、購 入した品物およびサービス、税金と権利使用料を通じて、経済貢献は総額267億米US$と なった。この金額には、当社が自発的にコミュニティに投資した1億7,870万US$も含まれ ている。 目的意識と差別化の決意をもって日々仕事に励む、BHP Billitonにひたむきに尽くしてく れる65,000人のチーム・メンバーがいなければ、こうしたことは実現しなかったであろ う。チームの貢献は高く評価しており、難題に直面してもなお、ステップアップと結果を 出すことに力を尽くしている様には感服させられている。 当社とともに働き、現在の業績や将来を実現可能なものにしてくれているということ で、お客様、サプライヤー、受け入れてくれている地域社会という、広い意味でのBHP Billitonファミリーにも感謝している。最後になるが、我が社に変わらぬ尽力をいただ き、株主の皆様に感謝申し上げる。 当社は、適正な商品で適正な資産を持っており、2017年以降もなお勢いと繁栄を増す能力 と風土を持ち合わせている。 Andrew Mackenzie 最高経営責任者 2 - 1 BHP Billiton