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チェーンを補強材に用いた補強土壁工法の耐震性に関する研究(その2)

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Academic year: 2021

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チェーンを補強材に用いた補強土壁工法の耐震性に関する研究(その 2)

木村 亮

*

・澤村康生

** 1. 研 究 の 目 的 チェーンを補強材に用いた補強土壁工法(以下,チェーン補強土壁)は,チェーンが他の補強材 と比べて大きな引抜き抵抗力を有している点,チェーンによる摩擦抵抗と支圧板による支圧抵抗と いう 2 つの抵抗方式を用いている点などが特徴として挙げられる.本工法については,室内および 現場引抜き試験 1)によりその引抜き抵抗力の検討が行われているが,地震時の挙動については十分 に明らかになっていない. 平成 24 年の擁壁工指針の改訂に伴い,地震時における作用荷重の考え方が変更され,代表的な補 強土壁においては,設計水平震度を低減して耐震設計を行うことになった.これは,遠心模型実験 の結果 (図 1) や過去の被災事例で確認された通り,補強土壁は従来型擁壁に比べて粘り強い変形性 能を有しているためである2).そこで 本研究では,チェーン補強土壁を対象に動的遠心模型実験を 実施し,地震時の挙動を確認するとともに,上記の評価法が適用可能か検証を行った. 2. 研 究 の 方 法 本研究では,幅 630 mm×高さ 510 mm×奥行 150 mm の剛性土槽を用いて,遠心力 20 G 場で動的遠 心模型実験を実施した.実験対象は,壁高 8.0 m, 壁面勾配 1 : 0.2 の補強土壁とした.また,地震時 挙動の比較を行うため,チェーン補強土壁と同規模の重力式擁壁についても同様の実験を実施した. 2 つのケースの耐震設計に関しては,レベル 2 地震動(Ⅰ種地盤)を想定し,設計水平震度を 0.16 として設計を行っている.図 2 にチェーン補強土壁の実験模型の概略図と計測器の配置を示す. チェーン補強土壁の実験に用いた模型チェーンは,線径 0.4 mm,リンク幅 1.6 mm のものを用い た.模型チェーン選定では,事前に簡易引抜き試験を実施し,チェーンが有する高い引抜き抵抗力 を発揮することを確認した.また,壁面のモデル化に際しては,実構造と曲げ剛性が等しくなるよ うに,厚さ 0.4 mm のアルミニウム板を用いた.一方,重力式擁壁は,模型をモルタルで作製し, 土槽側面との摩擦を軽減するために土槽の奥行方向に 3 分割になるようにした.

地盤は乾燥状態の珪砂 8 号 (Gs = 2.73,D50 = 0.08 mm,emax = 1.58,emin = 0.88) を用いて,相対密度 90 %を目標に突固めにより作製した.本実験では,繰り返しの地震動による挙動を把握するために, 2 Hz の正弦波 20 波を 1 段階ごとに最大加速度 1.0 m/s2ずつ増大させ,1.0 ~ 8.0 m/s2の合計 8 段階 の加振を行った. 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0 2 4 6 8 10 k h Maximum acceleration [m/s2] dmax/H = 補強土壁 重力式擁壁 1 % 5 % 10 % 5.2/7.0 = 0.76倍に 水平震度を低減 補強土壁 7.0 m/s2 重力式擁壁 5.2 m/s2 土圧計 加速度計 変位計 ひずみ ゲージ 根入れ0.5 m 1:0 .2 3.4 2.0 2.0 基礎地盤0.8 m 0 .7 2 .3 2 .3 2 .3 0 .5 図 1 擁壁の耐震性の比較2) 図 2 チェーン補強土壁の実験概要図 *京都大学大学院工学研究科・教授,**同・助教

(2)

3. 得 ら れ た 成 果 図 3 には,チェーン補強土壁について,各載荷ステップにおける壁面の水平変位の経時変化,図 4 には,壁面変位の最大値を壁面高さで除した値の経時変化をそれぞれ示す.これらの図には,一 般的な補強土壁における出来高管理の許容値 (壁面変位 0.3 m または壁高の 3 %) を併記しており, 横軸は地表面付近における最大加速度である.重力式擁壁では,地震動が小さいときには高い耐震 性を示すが,最大加速度が 7.0 m/s2付近で急激に変位が大きくなっている.一方,チェーン補強土 壁では,地震動が増大しても壁面変位の増加率はほぼ一定であり,靭性の高い挙動をしている.チ ェーン補強土壁の変形モードに着目すると,地震動が大きくなると次第に壁面中央の変位が大きく なり,壁面がはらみだすようなモードになる. 図 5,6 には,両ケースにおける実験後の様子を示す.重力式擁壁では,裏込めの全面に渡ってす べり面が発生している.チェーン補強土壁では,すべり面は補強材の外側を通過し,補強領域付近 で止まっている.これは,下方のチェーン及び支圧板が抵抗力を発揮し,補強領域内にすべり面が 発生することを効果的に抑制しているためだと考えられる.一方で,上方の補強材は,下方の補強 材と比べて補強材力が小さくなることが確認された.これらの抵抗力の発現状態が要因となり,壁 面上方から中央部にかけて変位が大きくなったと考えられる.今後は,補強材各位置での補強材力 発現メカニズムと,チェーンと支圧板の荷重分担機構をより詳細に検討する必要があるといえる. 最後に,図 1 と同様の手法で両ケースの比較を行った.図 7 より,チェーン補強土壁においても 従来型擁壁の設計水平震度khを低減して耐震性を評価する手法が適用できることを確認した. 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 2 4 6 8 10 12 M a x imu m d is p la ce me n t [m] Maximum acceleration [m/s2] DH-1 DH-2 DH-4 DH-3 ACC DH-1 DH-2 DH-3 DH-4 すべり面発生 チェーン補強土壁 0.3 m 0 2 4 6 8 0 2 4 6 8 10 12 d m a x /H [ %] Maximum acceleration [m/s2] チェーン補強土壁 重力式擁壁 3 % 図3 チェーン補強土壁における壁面変位の経時変化 図4 残留変位の比較 2本目 1本目 すべり面 3 4 5 6 7 89 10 11 補強領域 予想できる すべり面 1 2 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0 5 10 15 Maximum acceleration [m/s2] k h 0.67 倍 9.2 m/s2 dmax/H = チェーン補強土壁 重力式擁壁 1.0 % 3.0 % 13.8 m/s2 図5 実験後(重力式擁壁)図6 実験後(チェーン補強土壁) 図7 耐震性の比較 4. 謝 辞 本研究は,昭和機械商事(株)より委託されたものであり,関係各位に謝意を表す. 発 表 論 文 1) 灰藤晋輔,澤村康生,北村明洋,木村 亮:チェーンを補強材に用いた補強土壁の耐震性に関する動的遠心模型実験,第 70 回土木学会年次学術講演会,III-354, pp.707-708, 岡山市,2015-9. 参 考 文 献 1) 北村明洋,福田光治,木村 亮:チェーンを補強材とする補強土壁の開発,地盤工学ジャーナル,Vol.3, No.3, pp.273-285, 2007. 2) 一般財団法人土木研究センター:ジオテキスタイルを用いた補強土の設計・施工マニュアル 第二回改訂版,2013.

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