洋上風力発電の現状と将来について
-日本海風力回廊(コリドー)の実現を目指して-新潟県・佐渡市主催 「自然エネルギ-の島構想」フォーラム様 ご説明資料 2019年9月8日 エネルギ-戦略研究所㈱ 取締役研究所長 京都大学大学院経済学研究科特任教授 山家公雄 2015年目
次
始めに:洋上風力の特徴と魅力
1.風力発電とは何か
2.世界をリードする風力発電
3.日本はこれから風力の時代
4.地域創生と洋上風力
5.日本の洋上風力開発の現状
まとめ
始めに:洋上風力の特徴と魅力
• 再エネ普及でエネルギ-も分散型の時代に。
• 一般的に小規模発電設備である再エネのなか
で、原子力にも伍する大規模「発電所」となる可
能性を秘める。
・出力も比較的安定
・原子力・石炭の代替設備。
• 四方の海に囲まれた日本で膨大な資源量。
• 推進する特別法律ができ、国が地区を指定する。
・令和の新産業都市
・東北、北海道、九州に好機、特に日本海側
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風の種類
・偏西風、貿易風
・局地風:おろし、だし
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立川ウィンドファーム(庄内町)
(出所)エコパワー ・初の自治体ウィンドファーム ・館林町長の執念、農地転用 ・清川だし胎内風力発電所
(出所)新潟
・JEN胎内ウィンドファーム㈱ 胎内風力発電所
英国海峡の洋上風力
1.風力発電とは何か
風力発電とは
• 風の力を利用して、回転エネルギ-を電力に転換 • 設備構成: ・ブレード(羽根) ・タワー ・ナセル:発電設備等を収納した巨大な容器 • どうして動くのか:揚力、抗力 • 部品点数2万点:産業の裾野広い、回転機械系 • 出力・パワーは風速の3乗に比例 ・上空であるほど速い ・風車が大きいほどパワーが出る、コスト削減の切り札 ⇒洋上は大型化が容易風力発電装置の原理
(出所)三菱重工業
・部品点数2万点 ・抗力と揚力
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1500kW風車の大きさ
(出所)日本風力開発 cf.六ヶ所村発電所(1500kW)
12000kW風車(GEハリアデX)
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2.世界をリードする風力発電
世界情勢①:再生可能エネルギ-の時代
• 再エネ時代の背景
・地域(国産)エネルギ-
・CO2ゼロ
・コスト急低下、成長産業
・分散型システム:防災、レジリエンス、地産地消
• パリ協定とその影響
・2050年までに排出ゼロ(「排出」と植林・CCSによる「吸
収」がイコール)
・RE100、SBT:グローバル企業を主に参加増加
・環境投資と成長が両立する時代
世界の電源種別・発電容量の拡大予測(2040年)
(資料)気候変動に関する有識者会合エネルギーに関する提言「気候変動対策で世界を先導する 新しいエネルギー外交の推進を」資料集2018年2月、外務省 (出所)JWPA 電源投資見通し 発電設備構成低下する太陽光、風力発電コスト
16 (出所)資源エネルギ-庁、「再エネ大量導入委員会」資料(5/25/2017) 2010~16年の低 下率(WEO2017) *太陽光:75% *風力:25% *蓄電池:40%世界情勢②:洋上風力の時代
• 将来の電源投資の殆どは再エネ
・主役は潜在力とコスト低下が著しい風力・太陽光
・風力は再エネ躍進を牽引してきた
• 洋上風力の時代:
・陸上の適地が少なくなる
・再エネ80%時代への切り札
・コスト低下:陸上の2~3倍→トントンに
・技術開発等:大型化、大規模化
高稼働率、故障しない(ビッグデータをAIで駆使)
拠点港で事前作業・組立
・官民協力:セントラル方式
洋上風力発電所概観
洋上風力発電の種類 洋上風力発電の施設
世界の風力発電開発量推移
(累計,全体と洋上)
1880万kW(17年) 2300万kW(18年)
5億3910万kW(17年) 5億9100万KW(18年)
(出所) GWEC – Global Wind 2017 Report
洋 上 全体 年平均伸び率 26%(01~10年) 17%(10~14年) 14%(14~18年)
市場価格に近づく洋上風力入札価格
・規模の経済 積極的・長期的な導入政策 ・技術革新 風車の大型化と信頼性の向上 ・習熟効果 洋上風力市場が成熟 (出所) MHI – Vestas洋上風力のゾーニングと港湾整備:欧州の事例
(出所)文章は筆者
・北海、バルト海に展開。周囲の国英国、デンマーク、ドイツ、オランダ、ベルギーが主役 ・需要な国の役割:ゾーニング、セントラルシステム、港湾整備
ホーンズリーフ1洋上発電所
:デンマーク北海
デンマーク北海側の港湾Esbjerg
洋上風力タービン信頼性(稼働率)の向上
24 (出所)MHI-Vestas 2007/1 2017/1 LPF 稼働率 15 5 0 103.日本はこれから風力の時代
日本情勢:洋上は再エネ主力電源化の主役
• 日本は自然エネルギ-が豊富 • 再エネ主力電源化 ・固定価格買取り制度等により増加: 10%(2010年)→18%(18年) ・2030年再エネ目標22~24% ・ゼロエミ目標44%(再エネ22、原子力22) • 今度こそ風力発電 • CO2フリーで大規模に供給できる可能性があるのは洋上だけ ・既存大規模電源が予想通りに供給できるか ・原子力22~24%、石炭28%再生可能エネルギ- 潜在的な 導入可能量 現在の設備 容量(2018/12) 風力 17億 (2.7:陸上) (13.8:洋上) 371万 非住宅用の太陽光 1.5億 3812万 住宅用の太陽光 2.1億 1052万 中小水力 944万(*) 995万 地熱 (**) 1664万 52万 バイオマス n.a. 382万kW
再生可能エネルギ-の潜在的な導入可能量(日本)
(出所)環境省、資源エネルギ-庁調査等を基に作成 (*) 898(河川)、30(農業用水)、16(上下水道・工業用水) ----現在の設備容量は外数 (**) 1407(150℃以上)、136(バイナリー)、121(低温バイナリー) (単位:kW) ・ポテンシャルは十分、ドイツよりも恵まれている(9倍)。 27 (計:6,664万kW)28 28 28
陸上風力発電の潜在量
北海道49%、東北26%、九州7.4% (出所)環境省、再生可能エネルギ-導入ポテンシャル調査(2011/4)洋上風力発電の潜在量
北海道26%、東北14%、九州29%
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風力発電導入見通し(JWPA)
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経済波及効果・雇用創出効果(JWPA)
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4.地域創生と洋上風力
風力発電のベネフィットと課題
〇地域の理解が前提 ・景観、騒音、バードストライク ・漁業との共生等 ・事前の話し合い・合意形成 ・環境アセス(騒音、景観は問題少ない) 〇ベネフィット: ・産業・雇用・投資効果: ・建設、運転、メンテナンス、訓練 ・漁礁効果等 ・観光資源、税収 ・事業者との話し合いが重要 3334
低周波音について:音の分類
周波数(
Hz)
名
称
1~20 超低周波音(Infra Sound) 20~20000 20~100 1000~10000 可聴音 ::Sound低周波音:Low Frequency Sound 高周波音:High Frequency Sound 20000~ 超音波音(Ultra Sound)
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風力発電装置発生音波の感覚的表示
-愛知県田原市-
(出所)中野環境クリニック LpA: 全音域音圧レベル A特性:通常の音(騒音)の感じ方 (200mで45dB以下はOK ) G特性:超低周波の感じ方 (100dB未満は感じず) (資料)環境省36
展望台付風車
バンクーバーの風車 Holtriem ウインドパーク(ドイツ) (出所)Wind-Power-Monthly ・低周波問題は欧州では決着済み ・普通の騒音問題離島の可能性
○離島の優位性 ・孤立系統で発電コストが高い ・元々分散型(マイクログリッド)で従来の火力は調整力とし て活用できる ・再エネ電源に競争力 ・天候による出力変動はIOTを利用した調整力(蓄電池、需要、 ダム、火力発電)制御で対応、VPP ・陸上風力:「洋上」並みの風況で「陸上」の事業 ・洋上風力:事業の現場に近い、 〇洋上風力の魅力 ・風力の課題への対応が比較的容易 ・本質的に大規模事業:経済・雇用効果 ・人・物の動きが活発化、運賃低下に寄与5.日本の洋上風力開発の現状
• 再エネ海洋新法の成立とスケジュール進捗
• 一般沖合における30年間の事業活動を保証
• 事業化への環境整備:促進区域指定、事業者選
定、協議会設置
• 風力協会:2030年までに1000万kW、年間最低
100万KWの事業がコンスタントにある状況
• 青森、秋田、長崎が先行
• 第1次指定の有望区域:秋田2、銚子、五島
・新潟の村上・胎内:系統接続が課題
再生エネ海域利用法
海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案
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洋上風力の導入状況と計画(2018/11末)
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促進区域の指定に向けた有望区域等の整理(7/30/2019)
経済産業省資源エネルギー庁及び国土交通省港湾局は、再エネ海域利用法における今 後の促進区域の指定に向けて、既に一定の準備段階に進んでいる区域として、11区域を 整理しました。このうち4区域については、有望な区域として、協議会の組織や国による風 況・地質調査の準備を直ちに開始します。 今後の各区域の進め方における留意事項 既に一定の準備段階に進んでいる区域 (5県11地区) (参考)情報提供を行った県 ・北海道 ・岩手 ・山形 ・佐賀 有望な区域(3県4地区) (出所)経済産業省まとめ
• 再エネは風力、太陽光を主に、世界的には既に主力電源。 • コスト低下、国産、環境価値等が評価されたもの。 • 洋上風力は大型化・大規模化、設備信頼性の向上、官民挙げた普及 対策等により、既存大規模電源を代替しつつある。 • 日本は、固定価格買取制度(FIT)効果もあり、再エネ比率は10%(2010 年)→18%(18年)と上昇。 • 風力は賦存量、低コスト等で期待されてきたが、時々で制約が生じ、 伸び悩んできた。しかし主力電源化方針、計画案件の累積、洋上への 期待、既存ベース電源のフェーズアウト予想、太陽光突出への懸念、 電力システム革新の進捗等により、漸く風力の時代が到来する観が ある。 • 日本は領海が広い、海岸線が長い等の洋上風力に強みがあり、特に 北の日本海側の事業性は高い。 • CO2排出ゼロの大規模電源として、政策的な期待も大きく、一般海域 で事業を行う環境整備を図る法律が成立し、促進区域指定に向けた 動きが生じている。 • 洋上風力は、環境型の「令和の新産業都市」を創造し、特に適地が集 中する東北日本海地域をを活性化する「日本海風力コリドー」構想を 進める好機でもある。ご清聴、
参 考 文 献
2013年 2015年
2012年 2011年