千葉大を去るにあたって 2012年3月 理学部 安田正實 大学教員のうち「教授」の職務は、学生への教授、学生の研究指導、研究の3項目が 挙げられている(学校教育法)。また2004年の改正において、大学評価実施規定が整備 された。これを改めてなんら問うことではなく、いままで「教授」という呼称にコソバユ イさを感じてきていた。さらには「名誉教授」という退職後に授与される全く職責のない 称号が落ち着かない気持ちに拍車をかけている。退職に際して、この現況での「教育と研 究」がどのようにバランスをとってきたか、あるいはとれていないのか、考えてみた。 大学の評価は大学関係者個人評価の集合であり、その個人評価は第一に「研究」、次に 「教育」となりがちである。前者の「研究」成果は論文数、査読の有無、掲載誌のScisearch などにより業績査定、審査に供しているところは多いと思われるが、後者の「教育」成果 はそう簡単なことではない。その大学にとってまさに相応しいものでなければならない。 自分の書いた論文が引用されることは嬉しいに違いないが、自分の指導した卒業生が 何年かの後に訪ね来て、その後の経歴を聞くことも、より大きな喜びとして「教師冥利」 を感じるひと時である。小さな社会貢献であることにも違いない。年度末の教授会におい る卒業判定者リストで「単位不足」となる学生が少なからず存在することも心痛める心配 なことでもある。大学における教育情報の公表(卒業又は修了した者の数並びに進学者数 及び就職者数その他進学及び就職等の状況)も行われるから、この点は改善されていくと は思うが。 日本数学会が「大学生の基本調査」報告書を2012年2月21日付けで公表した (http://mathsoc.jp/comm/kyoiku/chousa2011/)。 また日本学術会議の中の数理統計学分 科会と統計関連連合会が「学士力(汎用的技能)と統計データ処理技能に関する大学長・ 学部長アンケート」の結果を報告している(2011年12月)。これらの報告から、以前 から予想、危惧されていたように、論理的な思考の記述を表せない、知識の習得度もその 発展を生かせるまでの到達度に達していないことなどの問題点が浮き彫りになっている。 また既に新たに年度進行している新学習指導要領も大学関係者に十分伝わっているとは言 えないと指摘されている。これらの大学教育への指摘は大学関係者各個人に反映されるべ きであり、個々人が胸に刻んでおくべきことであろう。
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