2013 年 3 月
㈱アンデルセン
酸化ストレスの抑制効果に期待
シュタインメッツ粉を用いたパンに、高い抗酸化能
2013 年 3 月 25 日(月)日本農芸化学会にて発表
株式会社アンデルセン(本社:広島市中区鶴見町 2-19、代表取締役 社長執行役員:吉田正子)が販売している
シュタインメッツ粉を用いたパンは、精製した小麦粉を使用したパンや白米に比べて抗酸化能が高く、酸化ストレス
の抑制効果が期待できることが広島工業大学と株式会社アンデルセン・パン生活文化研究所の共同研究で分かり
ました。この内容は、2013 年 3 月 25 日(月)に宮城県で開催する「日本農芸化学会 2013 年度大会」で発表されま
す。
1.シュタイメッツ粉とは(※詳細別紙1・2)
シュタインメッツ粉とは、ドイツ・シュタインメッツ社が開発・特許を取得
した特殊な製法で作った粉の名称です。この粉は、小麦の外皮だけ
を取り除き、胚芽・果皮を残したまま胚乳と一緒に製粉するため、小
麦全粒粉に比べて外皮による苦みが少なく、精製した小麦粉に比べ
ビタミン類は 4 倍、ミネラル類は 3 倍、食物繊維は 2 倍多く含んでいる
のが特長です。小麦全粒粉と比較するとミネラルやビタミンは若干少
ないものの、食物繊維は同様に豊富に含まれています。
そのうえ、シュタインメッツ粉を用いたパンは小麦全粒粉を用いたパンと比べ、口どけや風味がよく、パンに高い割
合で配合できるため汎用性が高く、色々なタイプのパンを開発できるなど、粉の特長を最大限に生かすことが可能
です。
※アンデルセングループは 2006 年よりシュタインメッツ粉の日本での独占使用権を取得しています。
2.実験背景・結果(※詳細別紙3)
近年、老化や疾病の予防につながる酸化ストレスの抑制に抗酸化能が効果があるとして、様々な食品の抗酸化能
が研究されています。そのひとつとして小麦全粒粉などの全粒穀物に高い抗酸化能が含まれることは知られてい
ますが、パンの抗酸化能についてはあまり研究がされてきませんでした。
これまでに、広島工業大学や県立広島大学との共同研究にて全粒粉系のパンがイギリスパンに比べ高い抗酸化
能があること1)
、シュタインメッツ粉、ライ麦粉、ごま等を配合した「トレコンブロート」というパンに大腸ガン抑制活性
があり、その大腸ガン抑制作用は酸化ストレスマーカー(8-OHdG)と強い相関があること2)
(※別紙4)が発表されて
いますが、この2つの研究を前提に市販されている弊社のシュタインメッツ粉を用いたパンについて抗酸化能の評
価が行われ、精製した小麦粉を使用したパンや白米に比べて、シュタインメッツ粉を使用したパンの抗酸化能が高
く、酸化ストレスの抑制効果が期待できることが分かりました。
1)2009 年日本農芸化学会大会講演要旨集 p.214 2)第 71 回日本癌学会学術大会 PROCEEDINGS p.354
3.今後の取り組み
弊社のシュタインメッツ粉を用いたパンが、お客様の健康的な食生活をサポートする商品であることを確認すること
ができましたので、より多くのお客様にこのシュタインメッツ粉を用いたパンのおいしさやその特長を知っていただき、
日々の食卓に取り入れ健康的な食生活を楽しんでいただけるようご提案してまいります。また、この粉の特徴を生
かした商品の開発や、栄養バランスを考慮した食卓の楽しみ方のご紹介なども継続するとともに、2013 年 5 月には
今回の研究内容を受けた販促物も制作、栄養価の高さと期待できる効果も合わせてご紹介いたします。
なお、今後の研究課題としてシュタインメッツ粉の栄養成分をより引き出す製法の研究開発を予定しています。
お客様のお問い合わせ先は、アンデルセンお客様相談室:0120-348817
本リリースに対するお問い合わせは、株式会社アンデルセンサービス広報部まで
Tel:03-6711-5030 Fax:03-6711-5069
〒140-0002 東京都品川区東品川 2-6-4 G1 ビル2F URL:http://www.andersen.co.jp
シュタインメッツのパン
【別紙1】 シュタインメッツ粉について
1.シュタインメッツの歴史
ドイツのシュタインメッツファミリーは 1660 年より、製粉にかかわる仕事をスタート。「すべての人々にとってもっとも純粋で、
もっとも健康的な小麦粉をつくりたい」という想いで、試行錯誤を繰り返し、1892 年独自に発明した「シュタインメッツ鞘剥
き装置」による製粉法の特許を取得。その後も代々にわたり、ヨーロッパを中心に創業当時の想いを伝え、現在に至るま
で最高級の品質の小麦粉を製造しています。
2.シュタインメッツの粉の製法について
小麦やライ麦の粒を粉にする前に、水で洗い、一番外側にある皮のみをはがして粉にしています。
3.シュタインメッツ粉の特長
- 不純物が少ない ・・・麦の粒を洗い、一番外側の外皮をはがしています。
- 苦み成分が少ない ・・・苦み成分を含む外皮を取り除いています。
+ 栄養価が高い ・・・栄養を多く含む、胚乳以外の部分も一緒に粉にしています。
+ 食物繊維が豊富 ・・・通常の粉よりも食物繊維を 2 倍多く含んでいます。
→苦み成分が少ないため、全粒粉に比べパンに高い割合で配合ができます。
小麦粒
もみ殻をむいたもの。
全粒粉
小麦粒を丸ごと
全部挽いて粉に。
シュタインメッツ粉
小麦粒の一番外側だけを
はがして粉に。
小麦粉
小麦粒の一番中心部分、
胚乳のみを粉に。
【別紙2】 シュタインメッツのパンとその特徴
株式会社アンデルセンでは、シュタインメッツ粉を用いたパンを健康志向に対応する商品として 2011 年 4 月に全国
の直営ベーカリー「アンデルセン」で発売を開始。「シュタインメッツトースト」という食パンタイプのパンなど、日本の
お客様に親しんでいただける商品をはじめ、カンパーニュタイプの「カントリーブロート」など、数多くの商品を季節
や歳時に合わせて開発・販売していまいりました。現在も、定番商品から季節限定商品まで、各店 5~10 種類のシ
ュタインメッツ粉を用いたパンを販売しています。
〈シュタインメッツ粉を用いた主なパン〉
*研究時点の価格、仕様を記入しています。一部のパンは 4 月または 5 月以降、レシピ変更の予定があります。
※4 月 1 日より油脂を変更
シュタインメッツトースト
1本 630 円、1/2 本 315 円
シュタインメッツ粉を 70%配合
し、こだわりの塩「海の精」を使
ったトーストにおすすめの山型
パン。サワーを使用しており、ほ
んのりとした酸味を感じるパン。
シュタインメッツシリアル
1本 630 円、1/2 本 315 円
シュタインメッツトーストと同じ生
地に、大豆、白ごま、パンプナ
ッツ、オールブランを混ぜ込ん
で焼き上げたパン。
※ 4 月 1 日より形状と価格を変更
グッドウィークエンドブレッド
1本 315 円【金~日、祝前日、祝日限定】
シュタインメッツ粉を 50%配合
し、イタリアの天日塩を加え、じ
っくり発酵をとって焼き上げたパ
ン。焼き上げ直後に、有塩バタ
ーをぬり、旨みとコクをプラス。
カントリーブロート
1 個 483 円、1/2 個 242 円
シュタインメッツ粉を 70%配合
し、ライサワー種と少量のイ-
ストでじっくりと発酵をとって焼
き上げたパン。
※ 5 月 1 日よりサイズと価格を変更
シュタインメッツレーズン
1 個 399 円、1/2 個 200 円
カ ン ト リ ー ブ ロ ー ト と 同 じ 生 地
に、ラム酒漬けのレーズンを加
えて、風味よく焼き上げたパン。
シュタインメッツウォルナッツ
1 個 504 円 1/2 個 252 円
シュタインメッツ粉を 50%配合
したコクのある生地にくるみを
混ぜ込みました。もっちりとした
食感に香ばしいくるみがアクセ
ント。
トレコンブロート
1本 672 円、1/2 本 336 円
小麦全粒粉・ライ麦粉・黒ごまを
混ぜ合わせたデンマークの伝
統的な食事用パン。香ばしいご
まの風味が特長。
ミューズリーブロート
1本 546 円、1/2 本 273 円
レーズン、かぼちゃの種、オー
トミール、白ごま、くるみを混ぜ
込みました。全粒粉入りの素朴
な風味のある生地を使用。
フルーツ&ナッツブレッド
1本 1,260 円、1/2 本 630 円
シュタインメッツ粉(小麦粉・ライ
麦粉)を 100%配合した生地に 7
種類のラム酒漬けドライフルー
ツをたっぷりと混ぜ込んでいま
す。
【別紙3】 パンの抗酸化能評価 概要 (日本農芸化学会 2013 年度大会で発表)
1.目的
フリーラジカルや活性酸素による生体高分子の過酸化は、老化や疾病の原因になるとして、それらの予防を目的に様々
な食品の抗酸化能が研究されています。そのひとつとして、全粒穀物の抗酸化能が知られていますが、パンの抗酸化能
についての知見はあまりありません。我々は、これまでに、全粒粉系のパンがイギリスパンに比べ高い抗酸化能を有して
いる事を明らかにしました 1)
。また、トレコンブロートと呼ばれるシュタインメッツ粉、ライ麦粉、ごま等を配合したパンには、
大腸ガン抑制活性がある事を明らかにしました2)
。本研究では、一般的に抗酸化能の評価に用いられている DPPH 法及
び ORAC 法を用い、株式会社アンデルセンで市販されている様々なパンについて抗酸化能の評価を行いました。
2.方法
サンプルを凍結乾燥後粉砕し、抗酸化成分の抽出とDPPH法および ORAC 法を用いて抗酸化能の測定を実施しました
※サンプルには、シュタインメッツ粉を用いたパン 9 種類と、比較対照として精白米飯および精白小麦粉を用いたイギリ
スパンを使用
3.結果
DPPH 法及び ORAC 法のいずれを用いた場合でも、シュタインメッツ粉を用いた 8 種類のパンについては全て白米やイ
ギリスパンよりも有意に抗酸化能が高いことがわかりました。また、両法とも、大腸ガン抑制作用を示したトレコンブロート
よりも、ミューズリーブロート、シュタインメッツレーズン、シュタインメッツウォルナッツ、フルーツ&ナッツブレッドの抗酸化
能が有意に高いことがわかりました。
4.結論
シュタインメッツ粉のパンは、精白小麦粉のパンに比べて抗酸化能が高く、さらにゴマやナッツ、ドライフルーツを使用す
ることでさらに抗酸化能が高くなるため、シュタインメッツ粉をベースとして様々な原材料を組み合わせることで、さらに抗
酸化能の高いパンを開発できる可能性があることが分かりました。
(参考データ)
学会発表の題名・発表者
講演番号:2A16a06
和文タイトル:シュタインメッツ粉を用いたパンの抗酸化能について
講演日:2013 年 3 月 25 日
角川 幸治1、 村上 香1、塩満裕斗1、藤尾勇介1 庄林 愛2
(1広島工業大学 生命学部 食品生命科学科、2株式会社アンデルセン・パン生活文化研究所)
【別紙4】 DMH誘発大腸癌に対するパンの抑制効果 概要
(第 71 回日本癌学会学術大会にて発表)
1.目的
パンは主食であり、大腸がんを予防する効果のある食物繊維や様々な食材の供給源となります。本研究では、様々な原
材料を使用した 4 種類のパンの F344 ラットの大腸がんに対する影響を評価しました。
2.方法
F344 のラットを、5 つのグループ(シュタインメッツトレコンブロート、トレコンブロート※シュタインメッツ粉ではなく小麦粉を
使用、シュタインメッツカントリーブロート、イギリスパン、普通飼料)に分け、全グループに 5 週齢から週に1度、8 週連続し
て発がん剤(1,2-ジメチルヒドラジン,DMH)を皮下注射により投与しました。DMH 処理後、32 週齢で大腸の前癌性病変と
腫瘍の病理学的評価を実施しました。
3.結果
シュタインメッツトレコンブロートとトレコンブロートのグループは、大腸内の前癌性病変(ACF)、腺腫および腺癌において、
より低い発生率を示しましたが、イギリスパンのグループでは統計的な有意差が見られませんでした。
4.結論
シュタインメッツトレコンブロートおよびトレコンブロートはラットの大腸癌の発生と成長を抑制しており、パンの原材料の違
いは癌の抑制と関係がある可能性があります。シュタインメッツトレコンブロートおよびトレコンブロートのパンは、精製され
た小麦粉を使用したイギリスパンに比べ、人間の大腸癌の予防に役立つ可能性が示されました。
(参考データ)
A 群 シュタインメッツトレコンブロート /B 群 トレコンブロート(シュタインメッツ粉不使用)
C 群 シュタインメッツカントリーブロート /D 群 イギリスパン(精白された小麦粉を使用)
E 群 普通食(ビタミン、ミネラルなどを加えた栄養バランスのよい標準飼料)
図1 酸化ストレスによる DNA の損傷 図2 組織学的観察による大腸腺腫数
A B C D E
一
匹
当
た
り
の
腺
腫
の
数
0
5
10
15
20
25
30
*
**
*
**
**
** **p<0.01
*p<0.05
図3 組織学的観察による大腸腺癌数
0
0.5
1
1.5
2
A B C D E
一
匹
あ
た
り
腫
瘍
発
生
数
*
**
**
**p<0.01
*p<0.05
以上
学会発表の題名・発表者
一般演題 NO.003916
DMH誘発大腸癌に対するパンの抑制効果
講演日:2012 年 9 月 21 日
金子 博1(チィ グァンイン)、 野添 浩一郎1、 高島 知里1、
直原 寛1、 角川 幸治2、 村上 香2、 庄林 愛3、 嶋本 文雄1
1県立広島大学 人間文化学部 健康科学科
2広島工業大学 生命学部 食品生命科学科
3株式会社アンデルセン・パン生活文化研究所