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平成29年度全国学力・学習状況調査結果について
市原市教育委員会
調査の目的
・ 義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や
学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。
・ 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。
・ そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。
※ 文部科学省の実施要領には、調査結果は学力の特定の一部分であること、学校に
おける教育活動の一側面であることなどを踏まえ、序列化や過度な競争が生じないよ
うにすると記載されており、この結果をもって、小学6年生、中学3年生の学力をす
べて網羅しているものではありません。
調査対象 市内全校小学6年生・中学3年生
調査内容
(1) 教科に関する調査
・「主として『知識』に関する問題」 A
・「主として『活用』に関する問題」 B
(2)質問紙調査
Ⅰ 小学校
1 教科に関する調査結果
(1)市原市の平成 28 年度と平成 29 年度の比較(全国平均を100とした指数)
国 語 A 国 語 B 算 数 A 算 数 B
実施年度 28 年 29 年 28 年 29 年 28 年 29 年 28 年 29 年
市 原 市 95 96 93 90 94 93 92 89
【国 語】 【算 数】
全国(公立) H29 H28
活用
話すこ
と・聞く
書くこ
読むこ
伝統的な言語文化と
国語の特質に関する
選択式
短答式
記述式
知識
全国(公立) H29 H28
活用
数と計算
量と測定
図形
数量関係
選択式
短答式
記述式
知識
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(2)傾向と課題
【国語】
全体として「活用」の問題や「記述式」の問題、「話すこと・聞くこと」に関する問題
に課題がみられます。
○国語Aでは、
・互いの話を聞き、考えの共通点や相違点を整理しながら、進行に沿って話し合う
こと
・目的に応じて、文章の中から必要な情報を見付けて読むこと
に課題がみられます。
○国語Bでは、
・目的や意図に応じて、話の構成や内容を工夫し、場に応じた適切な言葉遣いで自
分の考えを話すこと
・自分の考えを広げたり深めたりするための発言の意図を捉えること
に課題がみられます。
【算数】
全体として「活用」の問題や「量と測定」、「数量関係」に関する問題、問題形式では
「記述式」の問題に課題がみられます。
○算数Aでは、
・1より小さい小数をかける乗法の問題場面を理解し、数量の関係を数直線に表す
こと
・資料から、表の合計欄に入る数を求めること
に課題がみられます。
○算数Bでは、
・示された式の中の数の意味を、表と関連づけながら正しく解釈し、それを記述す
ること
・身近なものに置き換えた基準量と割合を基に、比較量を判断し、その判断の理由
を記述すること
に課題がみられます。
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(3)正答数と4つの学力層の分布
(棒グラフ:市原市、折れ線グラフが全国〈◆〉、千葉県〈▲〉の分布割合)
国語A正答数分布グラフ(横軸:正答数、縦軸:割合)
D 層 C 層 B 層 A 層
0~9問 10~11 問 12~13 問 14~15 問
市 原 市 26.7% 24.3% 31.9% 17.1%
全国(国公私) 22.3% 22.8% 33.8% 21.1%
算数A正答数分布グラフ(横軸:正答数、縦軸:割合)
D 層 C 層 B 層 A 層
0~9 問 10~12 問 13~14 問 15 問
市 原 市 29.0% 30.1% 28.8% 12.1%
全国(国公私) 20.3% 28.0% 32.3% 19.4%
算数Aでは、国県に比較しD層の割合が高く、A層が低い傾向が顕著にみられます。今
後も基礎学力定着を図ることが重要課題であります。
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2 児童質問紙と教科との関係
※児童質問紙と正答率が大きく関連しているのは、次のような項目です。
・
友達の前で自分の考えや意見を発表す
ることが得意である児童の『活用』に
関する問題の正答率が高くなっていま
す。(グラフ①)
・ 友達と話し合うとき、友達の考えを受
け止めて、自分の考えを持つことがで
きる児童ほど、正答率が高くなってい (グラフ①)
ます。
・ 朝食を毎日食べている児童の正答率が
高くなっています。
・ 普段、携帯電話やスマートフォンで通
話やメール、インターネットをする時間
が長い児童ほど正答率が低くなっていま
す。 (グラフ②)
(グラフ②)
・ 学校の授業時間以外に、一日の勉強時間が長い児童ほど正答率が高くなっています。
・ 地域や社会で起こっている問題や出来
事に関心がある児童ほど正答率が高くなっ
ています。特に『活用』に関する問題で
その傾向が強く表れています。
(グラフ③)
(グラフ③)
・ 家で、自分で計画を立てて勉強をしている児童ほど、正答率が高くなっています。
・ テレビのニュース番組やインターネットのニュースを見る児童ほど、正答率が高く
なっています。
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3 生活習慣や学習環境に関する調査結果
(1) 学習に関すること
・ 学習塾(家庭教師を含む)に通っている児童は42.8%です。
(千葉県:51.3% 全国:46.3%)
・ 学校の授業時間以外に、普段、勉強する
時間(学習塾や家庭教師を含む)がやや
短い傾向にあります。(グラフ④)
(グラフ④)
・ 家で、復習などの自学学習をしている児
童の割合がやや低い傾向にあります。
(グラフ⑤)
(グラフ⑤)
・ 400字詰め原稿用紙2~3枚の感想文や説明文を書くことが難しいと思っている
児童が64.7%と多くなっています。(千葉県:61.1% 全国:59.5%)
・
国語の勉強や算数の勉強を大切だと思う児童の割合が、やや低い傾向にあります。
・ 友達と話し合うとき、友達の考えを受け止めて、自分の考えを持つことができる児
童の割合がやや高い傾向にあります。
・
授業で学んだことを、ほかの学習や普段の生活に活かしている児童の割合が高い傾
向にあります。
・
学校の授業以外に、普段1日当たり1時間以上の読書をしている児童の割合が高い
傾向にあります。
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(2) 生活に関すること
・
普段、1日当たり、テレビやビデオ・
DVDを見たり、聞いたりしている時間
が長い傾向にあります。(グラフ⑥)
(グラフ⑥)
(グラフ⑥)
・
普段、1日当たり、テレビゲーム(コ
ンピュータゲーム、携帯・スマートフォン
を使ったゲームを含む)をしている時間が
長い傾向にあります。(グラフ⑦)
(グラフ⑦)
・
普段、1日3時間以上携帯電話やスマートフォンで通話やメール、インターネット
をしている児童が10.2%います。(携帯電話やスマートフォンでのゲームの時間は
除く)
(千葉県:7.8% 全国:7.0%)
・ 新聞を読んでいる児童の割合が低い傾向に
あります。(グラフ⑧)
・ テレビのニュース番組やインターネットの
ニュースを見る児童の割合は高くなってい
ます。 (グラフ⑧)
・ 今住んでいる地域の行事に参加していると答えた児童の割合が低い傾向にあります。
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(3)向上してきている生活習慣
・ 友達と話し合うとき、友達の話や意見を最後まで聞くことができますか。
・ 人が困っているときは、進んで助けていますか。
・
学校のきまりを守っていますか。
・ 教科の授業や学級会活動で、話し合いの場を多く設定するようにしてきたので、
友達の話や意見を最後まで聞くことができる児童が増えてきています。
・ 「いじめゼロ宣言」運動等の取組により、人が困っているときは進んで助ける児
童が増えておりまわり人のことを考えて行動することができるようになってきてい
ます。
・ 学校のきまりを守る児童が増えてきており、規範意識が定着してきています。
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Ⅱ 中学校
1 教科に関する調査結果
(1)市原市の平成 28 年度と平成 29 年度の比較(全国平均を100とした指数)
国 語 A 国 語 B 数 学 A 数 学 B
実施年度 28 年 29 年 28 年 29 年 28 年 29 年 28 年 29 年
市 原 市 97 94 94 93 88 87 84 85
【国 語】 【数 学】
(2)傾向と課題
【国語】
全体的に「活用」の問題や「記述式」の問題、「書くこと」に関する問題に課題がみら
れます。
○国語Aでは、
・文脈に即して漢字を正しく書くこと
・相手にわかりやすいように語句を選択して話すこと
・文章に表れているものの見方や考え方について、交流を通して自分の考えを広く
すること
に課題がみられます。
○国語Bでは、
・表現の仕方について捉え、自分の考えを書くこと
・相手の反応を踏まえながら、事実や事柄が相手にわかりやすく伝わるように工夫し
て話すこと
に課題がみられます。
全国(公立) H29 H28
活用
話すこ
と・聞く
書くこ
読むこ
伝統的な言語文化と国
語の特質に関する事項
選択式
短答式
記述式
知識
全国(公立) H29 H28
活用
数と式
図形
関数
資料の活
選択式
短答式
記述式
知識
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【数学】
全体として「活用」の問題や「関数」「資料の活用」に関する問題に課題が見られます。
また、「記述式」の問題に大きく課題がみられます。
○数学Aでは、
・関数の意味を理解すること
・与えられた度数分布表について、ある階級の相対度数を求めること
に課題がみられます。
○数学Bでは、
・事象と式の対応を的確に捉え、事柄が成り立つ理由を説明すること
・数学的な表現を事象に即して解釈し、的確に処理すること
に課題がみられます。
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(3)正答数と4つの学力層の分布
(棒グラフ:市原市、折れ線グラフが全国〈◆〉、千葉県〈▲〉の分布割合)
国語A正答数分布グラフ(横軸:正答数、縦軸:割合)
D 層 C 層 B 層 A 層
0~22 問 23~26 問 27~29 問 30~32 問
市 原 市 37.7% 25.5% 23.7% 13.1%
全国(国公私) 27.4% 24.5% 27.6% 20.5%
数学A正答数分布グラフ(横軸:正答数、縦軸:割合)
D 層 C 層 B 層 A 層
0~17 問 18~24 問 25~30 問 31~36 問
市原市 38.0% 25.8% 22.0% 14.2%
全国(国公私) 25.3% 23.9% 26.6% 24.2%
国語A・数学Aとも、国県に比較しD層の割合が高く、A層が低い傾向が顕著にみられ
ます。今後も基礎学力定着を図ることが重要課題であります。
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2 生徒質問紙と教科との関係
※生徒質問紙と正答率が大きく関連しているのは、次のような項目です。
・ 学校の規則を守っている生徒の正答率が
高くなっています。(グラフ⑨)
(グラフ⑨)
・ 普段1日当たり、テレビゲームをしたり、携帯電話やスマートフォンで通話やメー
ル、インターネットをしたりする時間が長いほど正答率が低くなっています。
・ 学校の授業時間以外に、1日の勉強時間が
長い生徒ほど正答率が高くなっています。
・ 家で授業の復習をしている生徒ほど正答率
が高くなっています。(グラフ⑩)
(グラフ⑩)
・ テレビのニュース番組やインターネットのニ
ュースを見る生徒ほど正答率が高くなってい
ます。特に『活用』に関する問題でその傾向
が強く表れています。(グラフ⑪)
・ 学校の授業で、学級やグループの中で、自分 (グラフ⑪)
たちで立てた課題に対して、自ら考え、自分
から取り組んでいる生徒の正答率は高くなっ
ています。
・ 家の人と学校での出来事について話をする生
徒ほど正答率が高くなっています。(グラフ⑫)
(グラフ⑫)
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3 生活習慣や学習環境に関する調査結果
(1) 学習に関すること
・ 学習塾(家庭教師を含む)に通っている生徒は66.0%です。
(千葉県:68.8% 全国:61.5%)
・
家で学校の宿題をしている生徒の割合
がやや低くなっています。(グラフ⑬)
(グラフ⑬)
・ 授業で扱うノートに、学習の目標(めあ
て・ねらい)とまとめを書いている生徒の
割合が高くなっています。(グラフ⑭)
(グラフ⑭)
・ 400字詰め原稿用紙2~3枚の感想文
や説明文を書くことは難しいと思う生徒
の割合が高くなっています。(グラフ⑮)
(グラフ⑮)
・ 国語の問題について、解答を文章で書
く問題で、最後まで解答を書こうと努
力した生徒の割合が低くなっています。
(グラフ⑯)
(グラフ⑯)
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・ 家で、授業の復習などの自学学習をしている生徒の割合が低くなっています。
・ 家で、自分で計画を立てて勉強をしている生徒の割合は高くなっています。
(2) 生活に関すること
・ 普段、1日当たり、ビデオ・DVDを見たり、聞いたりしている時間が長い傾向が
あります。
・ 普段、1日当たり、携帯電話やスマート
フォンで通話やメール、インターネット
をしている時間が長い傾向があります。
(グラフ⑰)
(グラフ⑰)
・ 普段、1日3時間以上携帯電話やスマートフォンで通話やメール、インターネットを
している生徒が27.7%います。(携帯電話やスマートフォンでのゲームの時間は除く)
(千葉県:19.3% 全国:18.1%)
・ 家の人と将来のことについて話す生徒の
割合が高くなっています。(グラフ⑱)
(グラフ⑱)
(グラフ⑱)
・ 学級みんなで協力して何かをやり遂げ、
うれしかったことがある生徒の割合が高
くなっています。(グラフ⑲)
(グラフ⑲)
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・ 新聞を読んでいる生徒の割合が低い傾向
にあります。(グラフ⑳)
(グラフ⑳)
(グラフ⑳)
・ 地域社会でボランティア活動に参加したことのある生徒の割合が低い傾向がありま
す。
(3)向上してきている生活習慣
・ 家の人と学校での出来事について話をしますか。
・ 難しいことでも、失敗を恐れないで挑戦していますか。
- 15 -
・ 学校の規則を守っていますか。
・ 人が困っているときは、進んで助けますか。
・ 家庭で、学校のことや将来のことについて話をする生徒が増えてきています。
・ 「いじめゼロ宣言」運動等の取組を通して、規範意識の向上、周りの人のことを考
えて行動することが生徒に身についてきています。