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職員の給与等に関する報告及び勧告 平成 29 年 10 月 堺市人事委員会

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職員の給与等に関する報告及び勧告

平成29年10月

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委 第 1 3 4 2 号

平成29年10月18日

堺市議会議長 野 里 文 盛 様

長 竹 山 修 身 様

堺市人事委員会

委員長 南

輝 雄

本委員会は、地方公務員法の規定に基づき、職員の給与等につい

て別紙第1のとおり報告し、あわせて、その改定について別紙第2

のとおり勧告します。この勧告に対し、その実現のため、速やかに

所要の措置をとられるよう要請します。

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別紙第1

報 告

本委員会では、本年も人事院等と共同して市内の民間事業所に勤務する従 業員の給与等について実態調査を行うとともに、本市職員の給与についても 実態調査を行い、それぞれの調査結果を基に公民給与を比較した。 また、人事院の報告等、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件を検討す る上で必要となる諸情勢についての調査・研究を行ったので、その結果を次 のとおり報告する。

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1 給与勧告制度の基本的考え方 人事委員会による地方公務員の給与勧告は、地方公務員が労働基本権を制 約されていることに対する代償措置であり、地方公務員に対して、社会一般 の情勢に適応した適正な給与を確保する機能を有するものである。 国家公務員に関する給与勧告は、人事院において、国家公務員の給与水準 を民間企業従業員の給与水準に均衡させることを基本として実施されている。 この基礎となる「職種別民間給与実態調査」では、企業規模 50 人以上、かつ、 事業所規模 50 人以上の事業所を対象として民間企業従業員の給与が調査され ており、人事院は、民間企業従業員と国家公務員で主な給与決定要素を同じ くする者同士の4月分の給与額を対比させ、精密に比較している。 このような調査対象及び比較方法としている理由については、人事院にお いて次のように示されている。 ・ 一般的に、給与は、職種を始め、役職段階、勤務地域、学歴、年齢等 の要素に応じてその水準が定まっている。 ・ 公務と民間企業の給与の比較に当たっては、単純な平均値により給与 を比較することは適当ではなく、上記の主な給与決定要素を同じくする 者同士の給与額を対比させて比較するラスパイレス方式※1によることが 適当である。 ・ 企業規模 50 人以上の多くの民間企業においては、公務と同等の役職段 階を有しており、公務と同種・同等の者同士による給与比較(同種・同 等比較)が可能である。また、現行の調査対象となる事業所数であれば、 実地による精緻な調査が可能であり、調査の精確性を維持できる。 ・ 事業所規模が 50 人未満の事業所を調査対象とすると、事業所数が増加 して、これまでのような実地調査ができなくなり、調査の精確性を維持 できなくなることに加え、同一企業においては、一般的に従業員の給与 について、事業所の規模による差を設けていないと考えられるため、事 業所規模 50 人未満の事業所は調査対象としない。 本委員会においても、この基本的な考え方に従って調査・比較を行い、市 職員に関する給与勧告を行っている。 ※1「ラスパイレス方式」については、P.8を参照。

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2 職員の給与等の状況 本委員会においては、本市に勤務する一般職の職員(現業職員及び企業職 員等を除く。以下同じ。)の本年4月現在の給与実態を把握するため「平成 29 年堺市職員給与実態調査」を実施した。 本市の一般職の職員に適用する給料表は、行政職給料表※2、医療職給料表、 消防職給料表、保育職給料表、再任用職員給料表及び特定任期付職員給料表 並びに高等学校等教育職給料表及び小中学校等教育職給料表であり、このう ち、民間給与との比較を行っている行政職給料表が適用される職員の給与等 の状況は、次のとおりである。 ※2「堺市職員の給与に関する条例(昭和 29 年条例第6号)」に規定された行政職給料表(「堺市立 学校職員の給与及び旅費に関する条例(平成 28 年条例第 49 号)」に規定された行政職給料表を 含む。) 項目 内容 項目 内容 職員数 3,499 人 平均年齢 41.1 歳 平 均 給 与 月 額 給料 322,134 円 平均勤続年数 16.9 年 管理職手当 8,440 円 学歴別 職員 構成比 中学卒 0.9% 扶養手当 9,308 円 高校卒 21.4% 地域手当 34,053 円 短大卒 4.1% 住居手当 5,979 円 大学卒 73.5% その他 73 円 性別 構成比 男 63.0% 合計 379,987 円 女 37.0% (注)構成比はそれぞれ四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある(以下、全ての表について同じ)。 なお、上記表中の「給料」には、平成 28 年4月から実施した給与制度の総 合的見直しにより、経過措置として支給している「堺市職員の給与に関する 条例等の一部を改正する条例(平成 28 年条例第8号)」附則第4条の規定に よる給料を、「その他」には、「初任給調整手当」及び「単身赴任手当」を含 んでいる。 行政職給料表適用者以外の職員の給与等の状況、扶養手当、住居手当、通

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3 職種別民間給与実態調査 本委員会は、本市内に所在する民間事業所の従業員の給与実態を把握する ため、人事院並びに都道府県及び政令指定都市等の各人事委員会と共同で「平 成 29 年職種別民間給与実態調査」を実施した。 この調査は、全国統一で行うものであり、調査対象は市内民間事業所のう ち、常勤の従業員数が企業全体で 50 人以上、かつ、事業所単位で 50 人以上 の事業所である。本年の調査対象事業所は 265 事業所であったが、層化無作 為抽出法※3により抽出した 86 事業所を対象に、公務の行政職と類似すると認 められる事務・技術関係 22 職種及び医療関係、教育関係等 54 職種について、 給与改定の有無や賃金カット等の有無にかかわらず、本年4月分として従業 員に支払われた給与月額等を実地調査した。調査完了事業所は 75 事業所で、 調査完了率は 87.2%であった。その主な調査結果は次のとおりである。 ※3「層化無作為抽出法」とは 調査対象事業所を産業、規模等によって層化(グループ分け)し、これらの層から調査事業所 を無作為に抽出することをいう。 (1)給与改定等の状況 ア 初任給の状況 民間事業所において本年4月に新規学卒者の採用を行った事業所の割 合は、大学卒で 32.7%(昨年 33.7%)、高校卒で 28.3%(同 22.6%)と 昨年に比べ高校卒の採用が増加している。また、採用があった事業所に おいて、初任給を増額した事業所の割合は、大学卒で 40.4%(同 44.1%) と昨年よりも減少しているが、高校卒で 52.3%(同 47.5%)で、昨年よ りも増加している。なお、初任給を減額した事業所は、高校卒で 3.7%(同 0.0%)であった。

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採用あり 初任給の改定状況 採用なし 増額 据置き 減額 大学卒 32.7% (40.4%) (59.6%) ( 0.0%) 67.3% 高校卒 28.3% (52.3%) (44.0%) ( 3.7%) 71.7% (注)( )内は、採用がある事業所を 100 とした割合である。 イ 給与改定の状況 民間事業所におけるベースアップ等の状況は、係員について、ベース アップを実施した事業所の割合は 30.3%(昨年 37.9%)、中止した事業 所の割合は 24.7%(同 13.8%)、ベースダウンを行った事業所はなかっ た(同 0.0%)。課長級については、ベースアップを実施した事業所の割合 は 25.5%(同 26.6%)、中止した事業所の割合は 21.2%(同 14.2%)、 ベースダウンを行った事業所はなかった(同 0.0%)。 ベースアップ 実施 ベースアップ 中止 ベースダウン ベース改定の 慣行なし 係 員 30.3% 24.7% 0.0% 45.0% 課長級 25.5% 21.2% 0.0% 53.3% (注)ベース改定の慣行の有無が不明及びベース改定の実施が未定の事業所を除いて集計した。 また、民間事業所において定期昇給を実施した事業所の割合は、係員 で 94.8%(昨年 85.6%)、課長級で 85.7%(同 74.6%)であった。 定期昇給制度あり 定期昇 給制度 な し 定期昇給実施 定期昇 給停止 増額 減額 変化なし 係 員 94.8% 94.8% 22.1% 6.1% 66.6% 0.0% 5.2% 課長級 85.7% 85.7% 20.3% 4.8% 60.5% 0.0% 14.3% (注)定期昇給の有無が不明、定期昇給の実施が未定及びベースアップと定期昇給を分離することができない 事業所を除いて集計した。

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(2)給与等の状況 ア 初任給 事務・技術関係職種の新規学卒者の本年4月の初任給月額は、大学卒 206,214 円、短大卒 177,725 円、高校卒 163,173 円となっている。 【参考資料】第9表 イ 職種別給与 事務・技術関係職種等の職種ごとの平均支給額は、参考資料第 10 表の とおりである。 【参考資料】第 10 表 ウ 家族手当 民間事業所において家族手当制度のある事業所は 86.0%となっており、 その支給額は、配偶者 11,265 円、配偶者と子1人 15,521 円、配偶者と 子2人 19,350 円となっている。 扶養家族の構成 支給月額 配 偶 者 11,265 円 配偶者と子1人 15,521 円 配偶者と子2人 19,350 円 (注)支給月額は、配偶者に家族手当を支給し、その支給につき配偶者の収入による制限がある事業所に ついて算出した。 エ 特別給 民間事業所において昨年8月から本年7月までの1年間に支給された 特別給の支給状況は、平均所定内給与月額の 4.41 月分に相当している。 平均所定内給与月額 下半期 (A1) 366,852 円 上半期 (A2) 371,502 円 特別給の支給額 下半期 (B1) 784,585 円 上半期 (B2) 844,082 円 特別給の支給割合 下半期(B1/A1) 2.14 月分 上半期(B2/A2) 2.27 月分 支給割合 合計 4.41 月分 (注)下半期とは昨年8月から本年1月まで、上半期とは本年2月から7月までの期間をいう。

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4 職員給与と民間給与の比較 (1)月例給 前述の本委員会が行った職員給与実態調査及び職種別民間給与実態調査 の結果に基づき、公務にあっては行政職給料表の適用を受ける職員、民間 にあってはこれに相当する事務・技術関係職種の従業員(公務民間ともに 新規学卒者を除く。)について、役職段階、学歴、年齢の条件が同等と認め られるもの同士の本年4月分の給与月額を次表<比較における対応関係> の対応関係で比較(ラスパイレス方式※4)し、その較差を算出した。 その結果は、下表に示すとおり、市職員の給与が民間従業員の給与を1 人当たり平均 562 円(0.14%)下回っていた。 ※4「ラスパイレス方式」は 市職員(行政職給料表適用職員)とこれに類似すると認められる事務・技術関係職種の民 間企業従業員を対象とした上で、個々の市職員に、主な給与決定要素である役職段階、学歴、 年齢を同じくする民間企業従業員の給与額を支給したと仮定して算出される公務全体の給 与支給総額と、現に市職員に支給している給与支給総額を比較して計算する方法。 民間従業員の給与 (A) 市職員の給与 (B) 較差(A)-(B) 392,862 円 392,300 円 562 円(0.14%) (注1)民間従業員・市職員ともに本年度の新規学卒の採用者は含まれていない。 (注2)この表の「市職員」とは、行政職給料表の適用を受ける者をいう。 (注3)この表の「民間従業員」とは、上記市職員の役職段階に相当する職務に従事する者(事務・技術関係 職種)をいう。 (注4)P.4表中の「平均給与月額」と本表の「市職員の給与」との差があるのは、P.4表中の市職員には、 本年度の新規学卒の採用者及び給与比較の対象とならない者を含む一方、本表にはそれらを含まない ためである。 (注5)比較の対象とした市職員の平均年齢は 42.2 歳、平均勤続年数は 17.9 年である。 ×100 (A)-(B) (B)

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<比較における対応関係> 規模 職務の級 企業規模 500 人以上 100 人以上 500 人未満 100 人未満 8級(局長) 支店長、工場長、部長、部次長 ― 7級(部長) 課長 支店長、工場長、部長 ― 6級(課長) 課長、課長代理 部次長、課長 支店長、工場長、部長、部次長 5級(課長補佐) 課長代理 課長 課長 4級(係長) 係長 課長代理 課長代理 3級(副主査) 係長 係長 2級(高度係員) 主任 主任 主任 1級(係員) 係員 係員 係員 (2)特別給 本委員会は、民間における特別給の支給割合(月数)を算出し、これを 市職員の期末手当・勤勉手当の年間の支給月数と比較した上で、0.05 月単 位で改定を行ってきている。 職種別民間給与実態調査の結果、民間における特別給の支給状況は、前 述のとおり、平均所定内給与月額の 4.41 月分に相当しており、市職員の期 末手当・勤勉手当の年間支給月数(4.30 月分)は、民間の支給割合を 0.11 月分下回っていた。

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5 職員の給与水準 国家公務員の行政職俸給表(一)適用職員とこれに相当する市職員について、 平成 28 年4月の給料水準を学歴別、経験年数別に区分し、ラスパイレス方式 により比較した結果は、次のとおりである。 区分 ラスパイレス指数 堺市 100.5 (参考) 政令指定都市平均 100.1 都道府県平均 100.3 (参考)政令指定都市における本市のラスパイレス指数の状況 年 順位/市 ラスパイレス指数(参考値) 平成 24 年 18 位/20 市 106.3(98.3) 平成 25 年 20 位/20 市 102.7(94.9) 平成 26 年 19 位/20 市 95.1 平成 27 年 17 位/20 市 99.4 平成 28 年 13 位/20 市 100.5 (注1)ラスパイレス指数は、国家公務員を100 とした数値である。 (注2)各年4月1日現在におけるラスパイレス指数の高い順による順位である。 (注3)参考値は、国家公務員の時限的な(平成24 年4月から平成 26 年3月まで) 給与改定・臨時特例法による給与減額措置がないとした場合の値である。

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6 その他公共的団体が行う賃金等に関する調査 本委員会では、より幅広い民間事業所における給与水準の実態を把握する ため、賃金構造基本統計調査規則に規定する直近の調査に基づく民間給与調 査及び民間事業所の給与等に関する特別アンケート調査等を実施した。 (1)賃金構造基本統計調査に基づく民間給与調査 本委員会では、本市内の民間の給与実態をより広く把握するため、厚生 労働省の賃金構造基本統計調査の調査票情報を利用し、給与等に関し、事 業所規模や役職段階ごとの民間給与の傾向を把握するための参考指標とし て、研究を行った。 ア 民間事業所の給与水準 平成 26 年から平成 28 年まで、正社員・正職員 30 人以上の事業所にお ける給与水準は、平成 26 年 367,390 円、平成 27 年 403,937 円、平成 28 年 363,995 円であった。平成 26 年から平成 27 年にかけては 36,547 円増 加したが、一方、平成 27 年から平成 28 年にかけては、逆に 39,942 円減 少していた。 また、民間事業所の給与水準を事業所規模ごとにみてみると、最も給 与水準が高い事業所は、いずれの年も 500 人以上の事業所であった。一 方、最も給与水準が低い事業所は、平成 26 年は 50 人以上 100 人未満、 平成 27 年は 100 人以上 500 人未満、平成 28 年は 30 人以上 50 人未満の 事業所であった。

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年 項 目 事業所規模(正社員・正職員) 500 人以上 100 人以上 500 人未満 50 人以上 100 人未満 30 人以上 50 人未満 規模計 (30 人以上) 平 成 26 年 調査事業所数(事業所) 4 9 7 11 31 調査実人員(人) 66 173 122 112 473 平均年齢(歳) 39.4 40.8 35.1 40.8 39.6 所定内給与額(円) 411,176 359,959 299,466 337,733 367,390 平 成 27 年 調査事業所数(事業所) 5 17 9 15 46 調査実人員(人) 64 296 172 144 676 平均年齢(歳) 42.9 41.8 38.8 43.5 42.0 所定内給与額(円) 460,430 358,720 404,616 448,735 403,937 平 成 28 年 調査事業所数(事業所) 8 16 14 19 57 調査実人員(人) 107 288 238 197 830 平均年齢(歳) 38.4 40.6 39.6 40.2 40.1 所定内給与額(円) 431,201 349,136 351,654 339,593 363,995 (注)所定内給与額は、きまって支給する給与から時間外手当を除いたもの(通勤手当額を含む。)。 従来から本委員会の報告で述べているところであるが、賃金構造基本 統計調査の調査票情報については、堺市域の標本数は十分とは言い難く、 上記のように年ごとの開きが発生するため、経年の変化や事業所規模ご との特徴等を捉えることは困難であった。そのほかにも、調査時点と利 用時点のタイムラグが比較的大きい、通勤手当を月例給与から分離でき ないなどの特徴があり、民間事業所の給与水準を把握し、同種・同等の 者同士を公民比較する上では、様々な課題がある。これらのことから、 市職員の給与水準を決定する手法として、本調査を直ちに活用すること は困難ではあるが、幅広い民間給与の傾向についても、次のとおり調査 を行うこととする。 イ 民間給与の傾向 調査票情報から得られた給与データを3年分集約し、役職段階ごとの 給与水準の分布状況についても、調査を行った。役職ごとに、上位 10%

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いた。民間事業所においては、同じ役職名であっても、その給与水準は 広範囲に分布している。 【参考資料】第 16 表 また、年齢層ごとの給与水準については、事業所規模が正社員・正職 員 30 人以上の事業所では、年齢の上昇に伴い、給与水準が一定の上昇を 続ける傾向がみられるなど、民間事業所の給与カーブの状況等について、 民間給与の傾向を把握することができた。 【参考資料】第 17 表 今後も幅広い民間給与の実態を把握する参考指標とするため、本委員 会では引き続き、賃金構造基本統計調査に基づく研究を行うこととする。 (2)民間事業所の給与等に関する特別アンケート調査 本委員会では、市内民間事業所(正社員・正職員 30 人以上 50 人未満) を対象に、給与制度等に関するアンケート調査を実施した。 国の事業所母集団データベース(平成 26 年経済センサス)に基づき、全 ての産業における、正社員・正職員が 30 人以上 50 人未満の全事業所のう ち、職種別民間給与実態調査の対象企業となっていない 223 事業所に調査 を依頼した。 昨年に引き続き、調査回答率を確保するため、調査期間終了前に、回答 のない事業所を対象に訪問等により直接回答依頼を行った。その結果、回 答率は昨年とほぼ同率であったものの、回答のあった事業所中、正社員・ 正職員数が 30 人以上 50 人未満と、要件に該当する事業所(以下、「該当事 業所」という。)は 58 件となり、実際に調査・集計の対象となる事業所数 は昨年を若干下回った。 該当事業所に関して調査結果をみると、職種については、従業員のほぼ 半数が技能労務職等、公務の一般行政事務に相当しない職種であった。ま

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た、学歴・年齢・勤続年数・職務・職能等により賃金を定める賃金表がな い事業所が、一昨年は 40.0%であったが、昨年は 27.1%、今年は 24.1%と 賃金表の存在が増加している結果となった。 本年の給与改定の状況について、ベースアップを実施した事業所は昨年 の 60.0%とほぼ変わらず 60.3%であった。ベースダウンを行った事業所は なく、ベース改定を実施しなかった事業所は 29.3%と、これも昨年とほぼ 変わりはなかった。未定の事業所が 1.7%、ベース改定の慣行のない事業所 は 8.6%であった。本年、ベースアップを実施した事業所の割合は、職種別 民間給与実態調査の対象事業所と比べて高いことが判明した。 特別給(賞与)について、80%以上の事業所は賞与を支給しており、年 末・夏季賞与の平均支給額は昨年を下回っているものの、年末・夏季以外 に支給されている賞与の平均支給額は昨年に比べ大幅に増加していること が判明した。 初任給は、職種別民間給与実態調査の対象事業所と比べ、大学卒ではや や低く、高校卒では高めの水準であった。本年の新規学卒者を採用した事 業所は 34.5%であった。採用学歴別にみると、該当事業所のうち大学卒の 採用があった事業所は 15.5%、高校卒の採用があった事業所は 20.7%であ り、いずれも昨年を上回っていた。また、職種別民間給与実態調査の対象 事業所と比較すると、いずれも低い水準であった。 採用に際しては、募集方法においてハローワークや親類・知人等の手段 を利用していることから、本年調査においても中途・縁故採用が行われて いることが認められた。 個人別の給与支給額の調査結果では、同程度の役職・年齢の従業員であ

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上記のことから、本調査に基づき、精緻に分析したり、同種・同等の者 同士の給与を比較するという観点から公民比較を行うには支障があり、こ れを直ちに活用することは困難であると考えられる。しかしながら、今回 の調査においては、調査対象規模に当てはまる事業所数が減少する中、実 際に調査・集計対象となる事業所数は昨年と同程度あり、ベースアップの 実施状況など対象規模事業所の給与制度等の諸状況を広く把握するための 貴重な資料を得ることができた。今後も、他都市の状況等を注視しながら、 より適切な民間給与の実態把握に努める。 (3) 家計調査等(物価及び生計費) 総務省が発表した本年4月の消費者物価指数は、昨年4月に比べ、全国 では 0.4%上昇しており、本市でも 0.4%上昇していた。 また、同省の家計調査等を基に本委員会が算定した本年4月の本市にお ける標準生計費は参考資料第 18 表のとおりであり、2人世帯 170,070 円、 3人世帯 192,030 円、4人世帯 214,010 円、5人世帯 235,940 円となって いる。 【参考資料】第 18 表

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7 人事院勧告の概要 人事院は、去る8月8日、国会及び内閣に対し、人事院勧告を行った。 その概要は次のとおりである。 【給与勧告の骨子】 Ⅰ 給与勧告制度の基本的考え方 1 給与勧告の意義と役割 ・ 国家公務員給与は、社会一般の情勢に適応するように国会が随時変更することができ る。その変更に関し必要な勧告・報告を行うことは、国家公務員法に定められた人事院 の責務 ・ 勧告は、労働基本権制約の代償措置として、国家公務員に対し適正な給与を確保する 機能を有するものであり、能率的な行政運営を維持する上での基盤 ・ 公務には市場の抑制力という給与決定上の制約がないことから、給与水準は、経済・ 雇用情勢等を反映して労使交渉等によって決定される民間の給与水準に準拠して定める ことが最も合理的 2 現行の民間給与との比較方法等 ・ 公務と民間企業の給与比較は、単純な平均値ではなく、役職段階、勤務地域、学歴、 年齢等の給与決定要素を合わせて比較することが適当 ・ 企業規模 50 人以上の多くの民間企業は部長、課長、係長等の役職段階を有しており、 公務と同種・同等の者同士による給与比較が可能。さらに、現行の調査対象事業所数で あれば、実地による精緻な調査が可能であり、調査の精確性を維持 Ⅱ 民間給与との較差に基づく給与改定 1 民間給与との比較 <月例給> 公務と民間の4月分の給与額を比較 ○民間給与との較差 631 円 0.15% 〔行政職(一)…現行給与 410,719 円 平均年齢 43.6 歳〕 〔俸給 456 円 本府省業務調整手当 119 円 はね返り分(注) 56 円〕 (注) 俸給等の改定に伴い諸手当の額が増減する分 <ボーナス> 昨年8月から本年7月までの直近1年間の民間の支給実績(支給割合) と公務の年間の支給月数を比較 ○民間の支給割合 4.42 月(公務の支給月数 4.30 月) 2 給与改定の内容と考え方 <月例給> (1) 俸給表 ① 行政職俸給表(一) 民間の初任給との間に差があること等を踏まえ、総合職試験、一般職試験(大卒程 度)及び一般職試験(高卒者)採用職員の初任給を 1,000 円引上げ。若年層について も同程度の改定。その他は、それぞれ 400 円の引上げを基本に改定(平均改定率 0.2%) ② その他の俸給表 行政職俸給表(一)との均衡を基本に改定(指定職俸給表は改定なし) (2) 本府省業務調整手当

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<ボーナス> 民間の支給割合に見合うよう引上げ 4.30 月分→4.40 月分 民間の支給状況等を踏まえ、勤務実績に応じた給与を推進するため、引上げ分を勤勉手当 に配分 (一般の職員の場合の支給月数) 6月期 12 月期 29 年度 期末手当 1.225 月(支給済み) 1.375 月(改定なし) 勤勉手当 0.85 月(支給済み) 0.95 月(現行 0.85 月) 30 年度 期末手当 1.225 月 1.375 月 以降 勤勉手当 0.90 月 0.90 月 [実施時期] ・月例給:平成 29 年4月1日 ・ボーナス:法律の公布日 Ⅲ 給与制度の総合的見直し等 1 給与制度の総合的見直し ・ 国家公務員給与における諸課題に対応するため、平成 26 年の勧告時において、地域間 の給与配分、世代間の給与配分及び職務や勤務実績に応じた給与配分の見直しを行うこ ととし、平成 27 年4月から3年間で、俸給表や諸手当の在り方を含めた給与制度の総合 的見直しを実施 * 55 歳を超える職員(行政職俸給表(一)6級相当以上)の俸給等の 1.5%減額支給措置及び俸 給表水準の引下げの際の経過措置については、平成 30 年3月 31 日をもって廃止 ・ 平成 30 年度は、本府省業務調整手当の手当額について、係長級は基準となる俸給月額 の6%相当額に、係員級は同4%相当額にそれぞれ引上げ ・ 経過措置の廃止等に伴って生ずる原資の残余分を用いて、若年層を中心に、平成 27 年1月1日に抑制された昇給を回復することとし、平成 30 年4月1日において 37 歳に 満たない職員の号俸を同日に1号俸上位に調整 2 その他 (1) 住居手当 受給者の増加の動向を注視しつつ、職員の家賃負担の状況、民間の支給状況等を踏まえ、 必要な検討 (2) 再任用職員の給与 再任用職員の給与の在り方について、各府省における円滑な人事管理を図る観点から、 民間企業の再雇用者の給与の動向、各府省における再任用制度の運用状況等を踏まえつつ、 定年の引上げに向けた具体的な検討との整合性にも留意しながら、引き続き、必要な検討 (3) 非常勤職員の給与 本年7月、勤勉手当に相当する給与の支給に努めることなど、非常勤職員の給与に関す る指針を改正。早期に改正内容に沿った処遇の改善が行われるよう、各府省を指導

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【公務員人事管理に関する報告の骨子】 働き方改革などにより、有為の人材を確保し、全ての職員の十全な能力発揮を可能とする魅力 ある職場を実現することは、公務が行政ニーズに応えていくための基盤。職員意識調査の結果も 踏まえ、国民の理解を得つつ、活力ある公務組織を維持できるよう、引き続き中・長期的な視点 も踏まえた総合的な取組を推進 1 人材の確保及び育成 (1) 多様な有為の人材の確保 民間の多様な取組の動向も注視し、公務の魅力を大学関係者等を含め広く具体的に発信 することが重要。女性や地方の大学生、民間人材など対象に応じたきめ細かな人材確保策 を各府省と連携し展開 (2) 能力・実績に基づく人事管理の推進 人事評価制度は公務職場に定着。今後、長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の推進 を踏まえた適正な評価が必要。引き続き人事評価結果の任免・給与等への活用、苦情の解 決を適切に推進 (3) 人材育成 能力開発の方向性等につき職員とのコミュニケーションが重要。本院は、マネジメント 研修、キャリア形成・女性登用拡大に資する研修、中途採用者向け研修を充実強化 2 働き方改革と勤務環境の整備 (1) 長時間労働の是正の取組 超過勤務予定の事前確認等の徹底など職場におけるマネジメントの強化、府省のトップ が先頭に立って組織全体として業務の削減・合理化に取り組むことなどが必要。本院とし ても、官民の参考事例の収集・提供等により、各府省の取組を支援 (2) 長時間労働の是正のための制度等の検討 各府省の取組や上限規制に係る民間法制の議論等を踏まえ、各府省や職員団体等の意見 を聴きながら実効性ある措置を検討。また、超過勤務の多い職員の健康への更なる配慮と して必要な措置を検討 (3) 仕事と家庭の両立支援の促進等 指針の改正による両立支援の促進、フレックスタイム制の活用促進、ハラスメント防止 対策・心の健康づくりの推進 (4) 非常勤職員の勤務環境の整備 非常勤職員の給与については、本年7月に指針を改正したところであり、引き続き、指 針の内容に沿った処遇が行われるよう、各府省を指導。また、民間における同一労働同一 賃金の議論を踏まえ、慶弔に係る休暇等について検討 3 高齢層職員の能力及び経験の活用 質の高い行政サービスを維持するには、高齢層職員を戦力としてその能力及び経験を本格

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8 むすび 本市職員の給与等を検討するための諸情勢は、以上のとおりである。本委 員会は、これまでも、地方公務員法の定めるところにより、市職員及び市内 民間従業員の給与等を調査・比較検討し、その結果に基づき、市職員の勤務 条件が社会一般の情勢に適応した適切な水準となり、かつ、市職員、市民等 から理解の得られるものとなるよう、勧告を行ってきたところである。 本年も人事院等と共同で「平成 29 年職種別民間給与実態調査」を実施し、 民間事業所の御理解と御協力の結果、調査完了率は 87.2%であった。 日本経済の基調判断について、本年4月の「月例経済報告」(内閣府)に おいて、「景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続 いている。」とされている。近畿地域の経済については、本年5月の「地域 経済動向」(内閣府)における景況判断において、「近畿地域では、景気は一 部に弱さがみられるものの、緩やかな回復基調が続いている。」とされてい る。また、大阪経済の情勢については、本年6月(4月指標)の「大阪経済 の情勢」(大阪産業経済リサーチセンター)において、「大阪経済は、緩やか に回復している」とされている。 また、市内民間事業所についての、職種別民間給与実態調査の結果では、 係員のベースアップを実施した事業所は 30.3%、課長級のベースアップを 実施した事業所は 25.5%であり、昨年に比べると係員では減少したものの、 課長級は同程度であった。一方で、係員のベースアップを中止した事業所は 24.7%、課長級のベースアップを中止した事業所は 21.2%であったものの、 ベースダウンを行った事業所はなかった。 以上のような状況を受け、「4 職員給与と民間給与の比較」で述べたよう に、市職員の本年4月分の給与と市内民間従業員の給与を比較した結果、職 員給与は民間給与を下回っていた。また、特別給については、市職員の期末 手当・勤勉手当の年間支給月数が、民間の支給割合を下回っていた。

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本委員会において、市職員の給与について総合的に検討したところ、月例 給については、その給与水準を引き上げ、また、期末手当・勤勉手当の年間 支給月数についても、これを引き上げることが必要であると判断した。 本委員会としては、市職員の給与について次のとおり改定を行うとともに、 その他の諸課題について、後述のとおり検討する必要があると認める。 (1) 本年の給与改定 ア 給料表の改定 行政職給料表については、民間との較差 562 円を解消すべく、職員給 与を引き上げることが必要である。 本市職員の給与水準は、職務の級別では、3級から5級までの職員の 給与水準が他都市に比較して低位にあり、経験年数別では 10 年から 20 年程度の職員の給与水準が低い状況にある。一方、3年未満及び 25 年 以上の職員の給与水準は高い状況にある。これらのことから、給料表 の改定に当たっては、中堅層に重点を置きつつ、経験年数に応じた職 員の在職実態を考慮した改定とすることが適当である。 具体的には、経験年数が 10 年から 20 年程度の職員が多く在職する3 級及び4級の低位から中位の号給並びに5級の低位の号給を重点的に 引き上げることが適当である。また、1級及び2級における、経験年 数3年未満の職員が多く在職する号給付近は据え置くことが適当であ る。 行政職給料表以外の適用者については、行政職給料表との均衡を基本 に改定する必要がある。ただし、再任用職員に適用される給料表は、

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イ 期末手当・勤勉手当 期末手当・勤勉手当については、民間における特別給の支給割合に見 合うよう、支給月数を 0.1 月分引き上げる必要がある。なお、支給月数 の引上げ分は、勤勉手当に割り振ることとする。 また、再任用職員及び特定任期付職員については、人事院勧告を考慮 し、再任用職員の勤勉手当を 0.05 月分、特定任期付職員の期末手当を 0.05 月分引き上げることが必要である。 ウ 初任給調整手当 医師及び歯科医師に対する初任給調整手当については、人事院勧告を 考慮し、改定を行うことが必要である。 エ 改定の実施時期 上記ア及びウの改定は、本年4月時点での調査結果に基づく措置が基 本となることから、同月に遡及して実施する必要がある。 上記イの改定については、本年 12 月期の期末手当・勤勉手当から実 施する必要がある。ただし、教職員については、平成 30 年3月 31 日 までの特例が規定されていることに鑑み、必要な措置を講じることが 必要である。 (2) 人材確保・人材育成 ア 人事評価制度 本市では、職員の意識改革及び能力開発を促進し、効果的な人材育成 を推進するとともに、より適正な人事管理に資することを目的として 人事評価制度が実施されており、職員の勤勉手当の成績率の決定や副 主査選考等に当たって人事評価を活用しているところである。

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地方公務員法においては、能力及び実績に基づく人事管理の徹底を図 るため、人事評価を任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とする と定めており、本市においても、法の趣旨にのっとり、人事評価の更 なる活用についても検討していく必要がある。 「地方公共団体における人事評価制度に関する研究会 平成 26 年度 報告書」でも述べられているように、人事評価制度は、実施すること 自体が目的ではなく、制度を通じて職員の意欲を引き出し、能力を最 大限に発揮させることにより、一層の公務能率の向上を図っていくた めの制度であり、その運用においては、客観的で公正性、透明性が高 く、実効性のある制度とすることが重要である。 任命権者においては、職員による適切な業務目標の設定と上司による 面談での助言・指導等が適切に行われ、職員のやる気と能力の向上が 図られるよう、人事評価制度に対する職員の理解を深めるための取組 を引き続き実施するとともに、国や他の地方公共団体等の事例も参考 にしながら、昇給区分の決定など、人事評価の更なる活用の検討を進 められたい。 イ 公務員倫理の確保 本市においては、安全に、安心して快適に暮らすことができる地域社 会の実現のため、市民協働によるまちづくりを推進している。協働を 進めるに当たり、その基盤となるのは、市民と職員との信頼関係であ ることは言うまでもない。 職員は、市民からの信頼に応えるべく、常に厳しく自らを律して服務

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任命権者においては、以前から公務員倫理の確保に向けて全庁的な取 組が行われているにもかかわらず、いまだ不祥事が発生している。こ のような不祥事が市全体の信用を失墜させる結果を招き、市政運営に 多大な支障を生じさせていることは、極めて遺憾と言わざるを得ない。 不祥事の根絶に向け、今後とも、公務員倫理の確保に向けた取組を更 に進め、職員一人ひとりにあっては、服務規律にのっとった行動を常 に心掛けるとともに、たとえ一部の職員の不祥事であっても、それが 市職員ひいては公務全体に対する信用を損ねるということを肝に銘じ る必要がある。管理職職員にあっては、部下に対する指揮監督の責任 を有することを自覚し、服務規律の確保及び職場の綱紀粛正の徹底に 努める必要がある。また、任命権者にあっては、職員全体のコンプラ イアンスの確保に向けた取組を継続して実施するとともに、万が一不 祥事が発生した場合には、公正、厳格に対処し、再発防止の徹底を図 られたい。 ウ 人材育成 市民の行政へのニーズが多様化・複雑化している中、限られた人的資 源により、質の高い行政サービスを提供するには、全ての職員が高い 意欲を持ち、能力を高め、効果的・効率的にその力を発揮することが 必要であり、そのための人材育成は極めて重要である。 今年度、任命権者においては、本市が持続的に市民福祉の向上に取り 組んでいくため、若手職員の能力向上のための研修や、職階に応じた 役割認識・業務遂行力の向上のための研修の新設・拡充を図るととも に、情報セキュリティに関する意識の向上を促すため、資格取得等報 奨制度の対象資格を拡充するなど、様々な研修の提供や自己啓発促進 のための取組が行われている。

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職員一人ひとりにあっては、これらの研修や報奨制度等を有効活用し、 自己研さんに意欲的に取り組んでいただきたい。また、管理職職員に あっては、部下職員の育成の方向性を見据えながら、積極的に研修の 受講を促すとともに、より受講しやすい職場環境を整えることが期待 される。また、専門性が求められる部署においては、必要とされる能 力の修得の促進に努められたい。 任命権者にあっては、職員が自信とやりがいをもって職務に取り組む ことができるよう、引き続き実効性の高い研修等の機会を提供すると ともに、職員自身の自発的・主体的な受講を促進するなど、より効果 的な人材育成に取り組まれたい。 エ 女性職員の登用 少子高齢化の進展など、時代の変化を背景に、多様化・複雑化する行 政需要に的確に応えるとともに、効率的な市政運営を進めていくため には、多様な人材を確保・育成・活用していく必要がある。地方公共 団体は、子育て・教育、介護・医療、まちづくりなど、住民生活に密 着した行政を担っており、性別を問わず、政策・方針決定過程への参 画を推進することは、男女共同参画社会の基盤をなす、極めて重要な 取組である。 本市においては、昨年策定された「堺市職員の女性活躍推進プラン」 に掲げた目標の達成に向けた取組が鋭意進められているところである。 同プランでは「役職者に占める女性職員の割合」を平成 30 年度までに 26.8%以上とする目標を掲げている。本年4月時点では 21.4%であり、

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区 分 平成 27 年 平成 28 年 平成 29 年 【行政職職員等】 女性役職者/全役職者 (女性職員/全職員) 19.6% (29.6%) 20.6% (30.4%) 21.4% (31.5%) 【教 職 員】 女性役職者/全役職者 (女性職員/全職員) 30.7% (55.6%) 30.8% (55.1%) 31.0% (55.0%) ※行政職職員等(消防職員含む。教職員除く。) 各年4月1日現在 ※教職員(学校事務職員含む。) 各年5月1日現在 本市では、女性職員のキャリア形成を支援する取組の一環として、昨 年9月に「女性登用プロジェクトチーム」を立ち上げ、本年2月まで の間に、女性職員登用に向けた様々な方策が検討されたところである。 プロジェクトチームが実施した職員に対するアンケートによると、女 性職員が昇任の支障と考える最も多い理由として、「仕事と家庭との両 立の不安」が挙げられており、同プロジェクトチームにおいては、昇 任意欲の向上のため、ワーク・ライフ・バランスを推進するなど働き やすい職場への改善、国で実施されているテレワークやフレックスタ イム等の柔軟で多様な勤務形態の導入やキャリア意識の向上のための 方策等の取組が提案されている。 このように、女性職員の役職者割合を増やすためには、女性職員の昇 任意欲を引き出すことやキャリア形成のための能力の開発が重要であ る。 女性職員の昇任意欲を引き出すためには、これまで実施してきている ように、先輩女性職員の経験談の紹介など、やりがいをもって生き生 きと働く姿をイメージすることができるような情報提供や研修等によ って職員本人の意欲を向上させることが重要であることはもとより、 男性職員も含めた職場全体で時間外勤務を削減するなど、育児・子育 て中においても女性が活躍できる環境を形成することが重要である。 さらに、出産・育児による休業の取得等によって、その間に多様な職

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務を経験できなかった職員であっても、復職後に多様な職務機会を与 えること等により、中長期的なキャリア形成や能力開発を図ることも 重要である。また、国や他都市で実施されている柔軟な勤務形態につ いても研究を進められたい。これらの取組を進め、意欲と能力のある 女性職員を、能力主義・実績主義に基づき、あらゆる分野において積 極的に登用していくことが期待される。 オ 多様で有為な人材の確保 民間企業の採用意欲は依然として高く、公務員の人材確保が一層厳し い状況にある中、本市においても、今後更に多様化・複雑化していく 行政需要に的確に対応していくためには、多様で有為な人材を計画的 かつ安定的に確保することが必要である。 本委員会では、専門試験を課さない試験区分などの人物重視の試験を 継続して実施するとともに、任命権者との連携も強化しつつ、大規模 な合同企業セミナーへの新規参加や職員採用PR動画の制作等に取り 組み、公務の魅力ややりがいに関する情報発信を強化するなど、受験 者層の拡大を図ってきた。 しかしながら、本年6月時点における民間企業等の内定状況や景気動 向等の状況から、今後も公務員の人材確保は厳しさを増すことが予測 されるため、学生等の就職活動の状況、民間企業や他都市等の採用選 考の実施状況等を踏まえつつ、更なる人材確保策の充実に取り組んで いかなければならない。 そのため、本市が求める人材像や採用後の人材育成等について、任命

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今後とも検討を行っていく。 教員採用試験においても、受験者層の拡大を図るため、効率的で効果 的な広報活動の充実を図るとともに、公平性・透明性をこれまで以上 に確保しつつ、面接試験を増やし、より人物重視の試験とするなど、 本市教育委員会においては、引き続き、試験方法の見直し等が進めら れている。 カ 高齢期における職員の雇用問題 地方公務員の高齢期雇用については、平成 25 年3月の総務副大臣通 知により、雇用と年金の接続の観点から、当面、年金支給開始年齢に 達するまで希望者を原則として常時勤務を要する職に再任用するもの とされている。再任用職員には、長年培った経験や知識、ノウハウ等 を円滑に継承するなどの役割が期待されており、退職前と同様の本格 的な業務に従事することが求められている。 本市でも、再任用職員の担う役割は重要であり、効果的・効率的な行 政運営を行い、安定して質の高い行政サービスを提供していくために も、再任用職員の士気を維持し、持てる力を最大限発揮して生き生き と活躍できるような環境の整備が重要である。 再任用職員にあっては、求められる役割を十分に認識し、今まで以上 に自らの知識や経験を積極的に組織に還元することにより、効果的・ 効率的な行政運営と市民サービスの向上に寄与することが求められる。 また、任命権者にあっては、定年前の職員に対して再任用制度への理 解を深めるような取組を行うとともに、定年後は能力・適性に応じた 適材適所の配置を行うなど、再任用職員がやりがいを持って職務に従 事できる環境を整備するよう努め、必要な人材を確保することができ るような取組が求められる。

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なお、本年の人事院勧告においては、国家公務員の定年の引上げにつ いて、平成 23 年の意見の申出に基づき、必要な検討を鋭意進めること とされており、今後の検討状況について注視していく必要がある。 (3) 働き方改革と勤務環境の整備 ア 長時間労働の是正 公務能率の向上、職員の健康管理、仕事と子育ての両立などワーク・ ライフ・バランス実現の観点から、時間外勤務の縮減については、組 織を挙げて取り組むことが必要である。折しも、団塊世代が老齢期に 突入し、家族の介護を抱える職員が今後増加することも予想され、時 間外勤務の縮減に向けた取組の実施は、喫緊の課題である。 民間企業の長時間労働の是正については、本年3月に取りまとめられ た「働き方改革実行計画」において、「仕事と子育てや介護を無理なく 両立させるためには、長時間労働を是正しなければならない」との観 点から、時間外労働の上限規制を始めとする労働制度の抜本改革が行 われようとしている。また、国家公務員についても、長時間労働の是 正に向けた取組が進められるなど、「働き方改革」を旗印に対策が進め られている。 本市においては、本年5月に『堺市職員「働き方改革」プラン(略称: “SWITCH”)』を策定し、平成 29 年度目標値として、時間外勤務総時間 数前年度比 20%縮減、平成 33 年度(2021 年度)目標値として、年間 時間外勤務 360 時間超の職員ゼロを掲げ、全職員一丸となって取組が 進められている。本市における平成 28 年度の時間外勤務の状況は、職

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区 分 平成 26 年度 平成 27 年度 平成 28 年度 年間 360 時間を超える時間外勤務者数 (360 時間超過職員数/時間外勤務手当 対象人員) 438 人 (9.5%) 413 人 (9.0%) 411 人 (8.9%) 職員 1 人当たり平均年間時間外勤務時 間数 140 時間 137 時間 142 時間 ※行政職職員等(消防職員等含む。教職員除く。) 同プランの目的は長時間労働の防止による職員のワーク・ライフ・バ ランスの推進だけではなく、それによって市民サービスの向上が図ら れることにあり、実現に向けては、職員一人ひとりの意識改革と管理 職職員のマネジメントが最も重要である。同プランを持続的に推進し、 実効性ある取組とするためにも、任命権者においては、職員及び各所 属長に対する意識の啓発を継続的に実施されたい。なお、時間外勤務 の縮減のために業務の持ち帰りやサービス残業を行うことは、決して あってはならないことである。所属長においては、このような事態が 発生しないよう労働時間の適正管理を徹底されたい。 教員の長時間労働についても社会的に問題視されているところであ り、平成 28 年度に文部科学省が行った「教員勤務実態調査」によると、 小学校教諭の 33.5%、中学校教諭の 57.7%が月 80 時間以上の時間外 労働に相当する労働を行っているとされている。本年4月、文部科学 省から、メリハリある給与体系の推進に向けた部活動指導業務手当等 の見直しに関する通知が発出されているところであるが、その見直し に当たっては部活動休養日の設定など部活動運営の適正化に向けた取 組を前提としており、任命権者においては長時間労働の是正に向けた 様々な取組の推進が求められる。さらに、国においては教員の長時間 勤務の是正に向けた緊急対策を年内に取りまとめることとされており、 本市においても、これらの動向を注視しつつ、課題等の整理を進めて いく必要がある。

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このような中、長時間労働の是正に関し、職員の労働基準監督機関で ある人事委員会においても、勤務状況等について継続的に把握し、必 要に応じて指導等を行っていく。 イ 仕事と生活の両立支援 職員一人ひとりが、家庭における責任を全うしながら職務においてそ の能力を最大限に発揮するためには、仕事と生活を両立しやすい職場 環境を整備することが重要である。 本年1月からは改正育児介護休業法等が施行され、本市においても国 家公務員と同様に休暇・休業制度の活用促進に向けて育児・介護等に 係る休暇制度等が整備された。 本市においては、ワーク・ライフ・バランスの実現に向け、平成 26 年に「堺市職員仕事と子育て両立プラン」を策定しており、子育てし やすい職場環境の整備に向けた取組が推進されている。同プランにお いて数値目標とされている男性職員の育児休業取得率も年々増加傾向 にあるなど、両立支援の取組の成果が表れつつある状況である。また、 平成 26 年 11 月に市長が自治体首長として全国で初めてイクボス宣言 を行い、これに続き、本年8月には『堺市職員「働き方改革」プラン』 の取組の一環として、イクボスの趣旨を理解する管理職自らがイクボ スとなることを職員に対して宣言した。 育児休業取得率 平成 26 年度 平成 27 年度 平成 28 年度 女性職員 96.8% 97.4% 96.8% 男性職員 4.5% 6.1% 8.3%

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備を進めることが重要である。各職場においては、日頃から改善策を 議論するなどお互いに協力しながら、真に必要としている職員が制度 を活用しやすい職場環境・組織風土づくりを、職員一丸となって進め ていただきたい。また、「女性職員の登用」でも述べたところではある が、職員の働きやすさにつながるような、国や他都市で実施されてい る柔軟な勤務形態についても研究を進められたい。 ウ ハラスメントの防止 セクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメントなど職場におけ るハラスメントは、重大な人権侵害であり、職場における信頼関係の 悪化や、組織の士気の低下を引き起こし、ひいては公務能率の低下や 公務への信用の失墜を招くおそれがある。 任命権者においては、これまでも、相談窓口の開設などの相談体制の 整備や懲戒基準の厳格化・明確化を行うなど、職場におけるハラスメ ントの防止・排除のための対策に取り組んでいる。今年度は、新たに 妊娠、出産、育児休業・介護休業等の取得等を理由とした上司・同僚 等による不適切な言動等(マタニティ・ハラスメント等)を防止・排 除することを定めるとともに、LGBTなど性的マイノリティの性的 指向や性自認をからかいの対象とするなどの言動がセクシュアル・ハ ラスメントに該当することが「堺市職員の職場におけるハラスメント の防止に関する要綱」において明示された。 職場におけるハラスメントは、その未然防止を図ることが重要である ことから、今後も研修等による意識啓発や所属長による指導等を始め とする取組を更に推進するとともに、ハラスメントの兆候を発見した 場合においては、上司への適切な報告や早期の事実確認を実施するな ど、組織として解決に取り組む必要がある。

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エ メンタルヘルス対策 職員の心身の健康の確保は事業主の基本的な責務であって、積極的に 心の健康の保持増進を図ることは、職員とその家族の健全な生活を守 るためだけではなく、公務能率や組織活力を向上させることによって、 市民に対して質の高い行政サービスを提供するためにも、極めて重要 な取組である。 本市では、平成 28 年度の長期病休者(1か月以上休職した者及び連 続して 30 日以上(週休日含む)病気により休業した者)のうち、「精 神及び行動の障害」による休職者は6割以上を占めており、近年では その割合も増加傾向にあるなど、長期病休の主たる要因となっている。 精神疾患については、予兆の早期発見・早期対応が最も重要である。 また、療養のため長期間職場を離れた職員の円滑な職場復帰と再発防 止のために必要な対応を適切に行っていくことが必要である。 所属長においては、日頃から部下の態度や行動に注意を払い適宜相談 に応じるなど、不調の発生にいち早く気付くことができるよう努める とともに、職場のストレス要因を把握し、職場環境の改善に努めてい ただきたい。 昨年、任命権者において実施された職員に対するストレスチェックは、 ストレス状況の自身への気付きを促すことで不調のリスクを低減する とともに、職場環境の改善につなげるために実施されているものであ る。 任命権者においては、メンタルヘルスケアの推進のため、管理監督者 の役割や部下への対応方法など、管理職職員に対する研修等に引き続

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(4) 会計年度任用職員制度の創設等 社会経済状況の変化に伴い、ますます多様化・複雑化する行政需要に応 え、引き続き、市民の満足を得られる、より質の高い行政サービスを提供 していくためには、全ての職員が、任用形態や職種を問わず、より一層高 い意欲を持ち、その能力を十分に発揮しつつ、職務に精励することが必要 である。 本年、地方公務員法及び地方自治法が改正され、臨時的任用職員及び特 別職非常勤職員の任用要件が厳格化されるとともに、一般職の会計年度任 用職員制度が創設され、同職員に対する期末手当の支給も可能となった。 本市においては、臨時的任用職員及び非常勤職員は近年増加傾向にあり、 市政の円滑な業務遂行においても重要な役割を担っている。任命権者にお いては、改正法が施行される平成 32 年(2020 年)4月に向け、会計年度 任用職員制度の導入に向けた準備を進める必要がある。 なお、多様な任用形態の職員の中には、本委員会の所管に属するものも 含まれており、その勤務条件は、職務内容、職責等も考慮した上で、任命 権者において適正に決定されていると認識しているが、引き続き適正な勤 務条件が整えられるよう要望する。

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9 おわりに 人事委員会による給与勧告は、労働基本権の一部を制約されている職員の 適正な処遇を確保することを目的として、地方公務員法における情勢適応の 原則に基づき、職員の給与水準を社会一般の情勢に適応させることを基本と して行うものである。 このような方法により職員の給与を決定することは、広く市民の理解と納 得が得られ、また、労使関係の安定、公務の公正かつ効率的な運営の確保に 寄与するものであると考える。 公務を取り巻く環境は依然として厳しいところではあるが、職員において は、引き続き全体の奉仕者としての使命感を持ち、市民の信頼と期待に応え るため、職務に尽力されるよう要望する。 議会及び市長におかれては、人事委員会による勧告制度の意義、役割につ いて深く理解を示され、この報告及び勧告に基づいて適切に対応されるよう 要請する。

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別紙第2

勧 告

本委員会は、別紙第1に述べた報告に基づき、本市職員の給与について、次 の措置をとられるよう勧告する。 1 給料表 市職員の給与と民間従業員の給与との較差を解消するため、報告のむすびで 述べた内容を考慮して、給料表を改定すること。 2 期末手当・勤勉手当 (1) 平成 29 年 12 月期の支給割合 ア イ及びウ以外の職員 勤勉手当の支給割合を 0.95 月分(管理職である職員にあっては、1.15 月分)とすること。 イ 再任用職員 勤勉手当の支給割合を 0.45 月分(管理職である職員にあっては、0.55 月分)とすること。 ウ 特定任期付職員 期末手当の支給割合を 1.675 月分とすること。 (2) 平成 30 年6月期以降の支給割合 ア イ及びウ以外の職員 6月及び 12 月に支給される勤勉手当の支給割合をそれぞれ 0.9 月分 (管理職である職員にあっては、それぞれ 1.1 月分)とすること。

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イ 再任用職員 6月及び 12 月に支給される勤勉手当の支給割合をそれぞれ 0.425 月分 (管理職である職員にあっては、それぞれ 0.525 月分)とすること。 ウ 特定任期付職員 6月及び 12 月に支給される期末手当の支給割合をそれぞれ 1.65 月分 とすること。 (3) 教職員に対する特例措置 給与負担等の大阪府からの移譲等に伴い、平成 29 年度から新たな勤務条 件が適用されることとなった教職員に対する支給に当たっては、堺市立学 校職員の期末手当及び勤勉手当に関する規則(平成 29 年教育委員会規則第 33 号)附則において、平成 30 年3月 31 日までの特例が規定されているこ とに鑑み、平成 29 年度に限り、従前の人事評価制度との継続性を考慮し、 上述の改定後の年間支給割合を踏まえつつ、必要な措置を講じること。 3 初任給調整手当 人事院勧告を考慮し、医師及び歯科医師に対する初任給調整手当の改定を行 うこと。 4 改定の実施時期 この改定は、平成 29 年4月1日から実施すること。ただし、2の(1)につい ては平成 29 年 12 月1日から、2の(2)については平成 30 年4月1日から実施 すること。

参照

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