日医工MPI行政情報
http://www.nichiiko.co.jp/stu-ge/薬価制度抜本改革案
(中医協総会2017年12月20日)
日医工医業経営研究所(日医工MPI)
(公社)日本医業経営コンサルタント協会認定 登録番号第4463 菊地祐男
資料No.20171221-480-2 2017年12月20日に開催された 中医協総会で承認された薬価制 度抜本改革案を、MPIが要点を まとめたものです。薬価制度抜本改革案の審議経緯(MPI)
2017年11月22日に開催された中医協薬価専門部会に「薬価制度抜本改革案」が提出されました。 その後積極的な議論が行われ、修正された「薬価制度抜本改革案」が2017年12月20日開催の中医協 薬価専門部会に提出され、さらに同日開催された中医協総会で承認されました。 最終的にこの修正案で通知(告示)される見込みです。薬価制度の抜本改革について 骨子 別紙(案)
次期改定に向けた検討事項
○次期改定に向けて、イノベーションの評価に関し、効能追加等による革新性・有用性の評価の是非につい て検討を行う。 ○次期改定に向けて、今般の長期収載品の価格引下げ後の、①後発医薬品の置換率の状況、②後発医 薬品の上市状況、③安定供給への対応状況等を踏まえ、長期収載品の段階的引下げまでの期間の在り方 について検討を行う。 ○新薬創出等加算の見直し、長期収載品の薬価の見直しなど、今般の薬価制度の抜本改革による医薬品 の開発・製造・流通等への影響を検証した上で、必要と認められる場合には、次期改定において、所要の措 置を検討する。 <修正個所> P6「新薬創出加算①」→2番手3番手の該当条件 P7「新薬創出加算②」→企業要件の上位の範囲(5%→25%) p8「新薬創出加算③」→名称の変更を撤回 骨子案に追加された 今後の検討事項 追加したMPI資料3
薬価制度の抜本改革について(案)
1、効能追加等による市場拡大への速やかな対応
2、毎年薬価調査、毎年薬価改定
3、イノベーションの適切な評価
3-1 新薬創出加算の抜本的見直し
3-2 新規医薬品の薬価算定
3-3 費用対効果評価(試行)
4、長期収載品および後発品の薬価の見直し等
4-1 長期収載品の薬価の見直し
4-2 後発品の薬価等の見直し
4-3 後発品の価格帯集約
4-4 基礎的医薬品の対象拡大
5、外国平均価格調整の見直し
6、その他
PPT(PDF化)90pの資料1、効能追加等による市場拡大への速やかな対応
○効能追加等がなされた医薬品について、一定規模以上の市場拡大のあった場合、新薬
収載の機会(年4回)を最大限活用して、薬価を見直す。
●新薬収載の機会(年4回)に行う ●年間販売額350億円を超える医薬品を対象とする ●NDBにより市場規模を確認する (NDBにより、1か月診療分を12倍して予測する) ●用法用量変化再算定も年4回実施する (市場規模が10倍以上、100億円超) ●スケジュールのイメージ 例: 12月診療分は、3月にNDBデータで年間販売額を予測し、5月に中医協で協議し、 8月に新薬価を施行する。5月から8月までに在庫対応を行う オプジーボのような効能追加に より大きく市場拡大となった場 合の薬価見直しルール スケジュール 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 診療分 ① ② ③ ④ 本 NDB予測 ① ② ④ 中医協 ① ② ③ ④ 施行 ① ② ③ 改定 ④ 9月 ③ ① 薬価本調査がある場合 中間年(薬価本 調査がない場合) 4805
2、毎年薬価調査、毎年薬価改定
○2年に1度の薬価改定の間の年度(中間年)において、全ての医薬品卸において、全
品目の薬価調査を実施し、薬価を改定する。
●具体的な対象品目は2020年度中に決定する ●乖離率の大きな品目を対象とする ●全ての卸を対象とする(卸ごとに一部の営業所を抽出) ●購入側の調査票に卸業者の営業所名記入欄を設ける(突合によりデータの正確性向上) ●調査の負担軽減のため調査客体を半分程度に縮小する 平均乖離率 対象品目数 全品目割合 削減額 2.0倍以上 約3100 約2割 500~800億円程度 1.5倍以上 約5000 約3割 750~1,100億円程度 1.2倍以上 約6600 約4割 1,200~1,800億円程度 1.0倍超 約8100 約5割 1,900~2,900億円程度 対象品目の範囲と医療費への影響 薬価改定のタイミング(平成31年4月の中間年改定は無い) 平成29年 平成30年 平成30年 平成31年 ○○元年 ○○2年 ○○2年 ○○3年 2017年 2018年 2018年 2019年 2019年 2020年 2020年 2021年 9月 4月 9月 4月 9月・10月 4月 9月 4月 薬価本調査 → 通常改定 薬価本調査 → 通常改定 中間年調査 → 中間年改定 中間年調査 → 中間年改定 (調査?) → 消費税改定 平均乖離率 約8.8% (2015年9月) 4803-1 新薬創出加算の抜本的見直し①
○乖離率が平均以下という基準は撤廃する。
○真に革新性・有用性のある医薬品に限定する。
<革新性・有用性の基準>
●後発品が上市されていない新薬(薬価収載後15年まで) ・希少疾病用医薬品 ・開発公募品 ・加算適用品(画期性加算、有用性加算Ⅰ・Ⅱ、営業利益率の補正加算、真の臨床的有用性の検証に係る加算) ・新規作用機序医薬品(革新性・有用性のあるものに限る)等→①~③のいずれか ①既存治療で効果不十分な疾患に有効性を示したもの ②既存治療に対して比較試験で優越性を示したもの ③認められた効能を有する他の医薬品が存在しないもの ・新規作用機序医薬品(1番手)の収載から1年3年以内に3番手までに収載され、 ア又はイに 該当する品目 ア 新規作用機序医薬品(1番手)が加算適用品 イ ①~③のいずれかの基準に該当して有用性・革新性が同程度と認められたもの7
3-1 新薬創出加算の抜本的見直し②
○厚労省からの開発要請に対応しない企業は引き続き対象から除外する。
○企業指標を設定し、その達成度・充足度に応じて加算にメリハリをつける。
<企業要件・企業指標>
●企業指標の項目→ポイント換算で評価 ①革新的新薬創出 ②ドラッグ・ラグ対策 ③世界に先駆けた新薬開発 総ポイント上位 医療系ベンチャーは「Ⅱ」とする 上位5%から25%に修正されたが、 条件により、30%が上限となる3-1 新薬創出加算の抜本的見直し③
○加算額に上限を設ける。(乖離率要件撤廃の対応)
○新名称を「革新的新薬創出等促進制度」とする。
←「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」 ●加算返還のためのルール(累積加算の控除時期) ・後発品の上市後 ・薬価収載後15年が経過した後 旧の要件に満たない場合は厳しく上限設定 財務省が要望していた「加算累積分の速 やかな返還」に対しては、企業の予見性を 損ねることから現行通りとした。 ●上限設定 乖離率要件が撤廃となり、乖離率が大きいほど加算が大きくなることへの対応 (加算額上限に一定の財源調整を加えることがある)9
3-2 新規医薬品の薬価算定
○原価計算方式においても類似薬効比較方式と同様に価格全体(加算前薬価)に加
算を行う。
○原価計算方式において、製品総原価の開示度に応じて加算率に差を設ける。
○加算の要件については、類似薬効比較方式における加算要件を準用(ポイント制も準
用)し、減算の取扱いについては従前のとおりとする。
●原価計算方式 ・営業利益率への加算→価格全体への加算(類似薬効比較方式と同様) ・開示度で加算率を評価 (開示度=開示が可能な薬価部分 ÷ 製品総原価)3-3 費用対効果評価(試行)
○価格調整の対象は、類似薬効比較方式と原価計算方式に分ける。
○増分費用効果比(ICER)により価格調整を計算する。
○価格調整対象部分に対して、最大90%までの引き下げを行う。
○基準を満たせば、価格の引き上げも行う。
○本格実施の具体的内容等について平成30年度中に結論を得る。
<価格調整範囲>
●類似薬効比較方式 補正加算に相当する部分(比較薬の1日薬価を下回らないこと) ●原価計算方式 薬価全体(営業利益本体と製造総原価の合計額を下回らないこと)<価格調整の計算>
●価格の引き下げ(0%~90%で傾斜をかける) 500万円/ICER以下は引き下げなし、 1000万円/ICER以上は90%引き下げ。 (ICERあたりのコストが高ければ薬価を引き下げる) ●価格の引き上げ→①と②を満たした場合 ①比較対照品目と比べ効果が高いか同等 ②全く異なる品目か、もしくは基本構造や作用原理が異なるなど一般的な改良の範囲を超えている ・最大引き上げ額は価格全体の10%、最大引き上げ率は50% 2018年4月に医薬品・医 療機器13品目を対象に 試行導入する 本格実施時期は「2019年度の 可能な限り早期」に (20171129薬価専門部会)11
ICERとQALY
(増分費用効果比&質調整生存年)
QALY 曲線下面積 アイサー クオーリー 中医協費用対効果評価専門部会 2016年4月27日ICERとQALY
(増分費用効果比&質調整生存年)
医薬品Bから医薬品Aに治療が置き換わった場合の効果及び費用の増分を算出し、増分費用効果比を算出する。
中医協費用対効果評価専門部会 2017年6月14日
13
4-1 長期収載品の薬価の見直し①
○長期収載品の薬価はそれぞれの時期に応じて見直しを行う。
○Z2の対象となる後発品の置換率基準を見直す。
○新たな長期収載品の薬価の引下げ制度を導入する。(G1、G2、C)
○G1において長期収載品が市場から撤退する品目は後発品薬価を2価格帯とする。
●後発品移行時期の区分 ①後発品上市後10年間までの期間を、「後発品置換え時期」 ②後発品上市後10年を経過した期間を、「後発品価格への引下げ時期」 ●後発品置換え時期の対応:Z2の置換率基準を見直し ●後発品価格への引下げ時期の対応:それぞれの区分に応じて新たな薬価の引下げ制度を導入 ①【G1】後発品への置換えが進んでいるもの(後発品置換率80%以上) ②【G2】後発品への置換えが困難なもの(後発品置換率80%未満) 10%づつ引き上げ 【G】:gradual=漸進的な (段階的な引き下げ)4-1 長期収載品の薬価の見直し②
【G1】(後発品置換率80%以上)
○長期収載品薬価を最終的に後発品薬価に揃える。
○長期収載品企業の市場からの撤退を認める。
○薬価の引き下げは段階的に実施する。
早期撤退ルールも用意する ●G1の段階的引き下げ ●撤退スキーム 1,先発品企業は後発品企業に撤退を通告し増産を 依頼 2,後発品企業から6年以内の撤退時期を含めて了承 を得る 3,先発品企業が厚労省に事前報告 4,厚労省が関係団体に報告 5,厚労省が先発品企業に了承の旨を伝達 6,先発品企業は医療機関に供給停止を伝達15
4-1 長期収載品の薬価の見直し③
【C】:complementary=補完の(補完的な引き下げ)【G2】(後発品置換率80%未満)
○後発品への置換えが困難な長期収載品は、後発品との一定の価格差を許容する。
○薬価の引き下げは10年かけて段階的に実施する。
●G2の段階的引き下げ ●G2品目が新たにGEシェア80%以上となった場合 G1へ移行するが、G2で適用された価格比を超えない【C】
(後発品上市後10年を経過し、薬価が後発品の2.5倍以下になっているもの)○後発品への置換え率に応じた補完的な引下げを実施する。
○薬価は基本的にZ2を準用して算定する。
○バイオ医薬品は、G1,G2の対象としないがCの対象とする。
●Cの薬価算定 Cの薬価はZ2基準を準用し、G1/G2による引下げ後の薬価とCによる引下げ後の薬価のうち、いず れか低い薬価とするGE上市後年数 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 区分 Z2基準 G1 80%以上 2.5 2.0 1.5 1.0 60%~80% 40%~60% 40%未満 C (補完的) 2価格帯(特例) G2 2.5 2.3 Z2(▲2.0%)対象 1価格帯 Z2(▲1.5%)対象 Z2(▲1.75%)対象 後発品薬価の価格帯 後発品増産準備期間 ・増産対応する企業(後発品シェア50%超) ・それ以外の企業 1.9 1.7 1.5 11年目で薬価が長期収載品の2.5倍以下になっているもの 2.1 後発品置き換え期間 後発品価格への引下げ時期 後発品上市後 から5年 3価格帯 (一時的に5価格帯を許容) Z2非対象
4-1 長期収載品の薬価の見直し④
G1に該当する長期収載品は ・Z2期間終了後の6月末に撤退可否判断 ・6年後までの増産可能な時期に撤退 概要(MPI作成) 後発品薬価 の○倍 G1において長期収載品が G2からG1への移行 GEの1価格帯は2020年改定から実施 (2018年4月に収載後10年超の品目) 2018年改定から対象 G1,G2は2.5倍、CはZ2適用 48017 中医協薬価専門部会2017年11月22日
4-1 長期収載品の薬価の見直し⑤
●激変緩和措置
Z2適用後5年を経過した長期収載品薬価を後発品薬価の2.5倍に引き下げる際の円滑実施措 置
4-2 後発品の薬価等の見直し
○新規後発品の薬価は、現行制度を維持、次回以降の改定で検討を行う。
○バイオシミラーの初収載の薬価については、現行制度を維持する。
○先行AGは、遅れて収載された後発品の薬価(価格帯)に集約する。
●先行AGの後発品価格帯への集約 内用薬のAGが先発医薬品の「5掛け」で先行収載され、その後に10銘柄を超える後発品が「4掛 け」で収載された場合は、次回薬価改定でAGの薬価を低い方の薬価まで引き下げる。 後発品の市場環境が 大きく変化するため 加重平均で後発品薬 価が引き上がる可能性19
4-3 後発品の価格帯集約
●5価格帯を許容 一時的に最大5価格帯を 許容し、通常改定時に3価 格帯へ戻す ●統一名収載品 全品目の加重平均乖離 率により、改定の対象かどう かを判断する 一時的 中医協薬価専門部会2017年11月22日○毎年改定では、価格乖離の大きい品目についてのみ、その加重平均値を新たな価格帯
とする。(価格帯を分けることを許容)
○後発品収載から12年経過した後発品は1価格帯とする。
○G1において長期収載品が市場から撤退する品目は2価格帯とする。
●後発品収載から12年経過した後発品 原則1価格帯(G1撤退品目は2価格帯)4-4 基礎的医薬品の対象拡大
○過去3回の乖離率が連続で2%以下であった薬効分類を対象に加える。
○薬効分類600番又は800番台以外の麻薬・抗生物質等を加える。
●新たに追加する分野 不採算品再算定になる前であるが、不採算に近い分野 過去3回の薬価調査において平均乖離率が2%以下であった薬効分類 ●薬効分類600番又は800番台以外の麻薬・抗生物質等 抗生物質による点眼剤、歯科用抗生物質、麻薬による麻酔剤等 漢方薬は含まれない21 ●外国平均価格調整を適用する新薬の範囲 ①原価計算方式により算定される新薬 ②薬理作用類似薬が存在せずに、類似薬効比較方式により算定される新薬 ●薬価収載後の外国平均価格調整の範囲 ①原薬・製剤を輸入しているもの ②原価計算方式により算定されたもの ③薬価収載時に参照できる外国価格がなかったもの ④薬価収載後、いずれかの外国価格が初めて掲載されたもの ●薬価改定時の外国平均価格調整においては、引上げ調整は行わない。