イ
ネ ハ モ
グ
リ バ
エ の 寄
生 蜂
第1報
第1次
幼 虫 寄 生 蜂 に っ い て
岡
崎
勝 太
郎
Parasitic Wasps of Rice Leaf Miner, Agromyza oryzae MUNAKATA
No. 1 A Report of the Studies on the Primary Parasitic Chalcid Flies
(Hymenoptera : Eulophidae and Entedontidae)
bred from the Larvae of
Rice Leaf Miner (Diptera:
Agromyzidae).
Katsutaro OKAzAKI
(昭 和48年7月5日 受理) 緒 言 北 日本 の 稲 の 特 殊 害 虫 の1種 で あ る イ ネ ハ モ グ リバ エ の 天 敵 に 関 す る研 究 は,著 者 の 知 る範 囲 で は,蠕 の 寄 生 蜂 に 関 す る大 森 ・菅 原 ・大 矢 の 報 告5),秋 田農試 の 調 査1)と 岡 崎 の 幼 虫 寄 生 蜂 に関 す る断 片 的 な報 告6) が あ るだ けで あ る。 著 者 は1941年 以 来 断 続 的 で は あ っ た が イ ネ ハ モ グ リバ エ の寄 生 蜂 を採 集 し標 本 を保 持 し て い た が,職 務 の 都 合 と非 才 の た め長 期 間 そ の整 理 を 怠 っ て いた 。1971年 か ら過 去 の標 本 の整 理 と若 干 の 調 査 を再 開 して 得 た結 果 は ま だ不 充 分 で は あ るが,こ の 調 査 研 究 を何 時 ま で続 け られ る か と反 省 させ られ るの で,同 好 の 諸 賢 へ の引 継 ぎ に役 立 て ば 幸 と考 え,あ え て 報 告 す る 次第 で あ る。 著 者 は 現 在 ま で に イ ネ ハ モ グ リバ エ の 幼 虫 に 寄 生 す る第1次 寄 生 蜂5種 と第2次 寄 生 蜂 と認 め られ る もの 3種,蛹 か ら羽 化 した寄 生 蜂 数 種 を得,幼 虫 寄 生 蜂 の 8種 の 標 本 は農 林 省 農 業 技 術研 究所 昆 虫 同 定研 究 室 長 の 長 谷 川 技 官 に提 出 して種 の 同 定 に 関 す る一 切 の 事 項 を依 頼 して あ る が,蛹 か ら羽 化 した 寄 生 蜂 に 関 して は ま だ 標 本 の整 理 段 階 に あ る。本 報 に お いて は 幼 虫 の 第 1次 寄 生 蜂5種 に つ い て だ け 報 告 し参 考 に 供 した い 。 本 文 に先 立 ち,1953年,1956年 に 寄 生 蜂 の 採集 に御 協 力 下 され た 当 時 の 農 林 省 東 北 農 試 栽 培 第1部 の湖 山 利 篤 博 士,青 森 県 農試 の 赤 平 麓 郎 技 師 な らび に現 職 に お られ る秋 田県 農 試 の 渡 辺 析悦,山 形 県 農 試 庄 内分 揚 の布 施 寛,岩 手 県 農 試 の 大 森 秀 雄 の諸 技 師,1972年 の 採 集 に 御 協 力 下 され た 北 海 道 中央 農 試 の 山本 忠 志,山 形 県村 上 最 上病 害 虫 防 除 所 の 花 岡 岩 雄,早 坂 公 夫,柴 橋 輝 夫,菊 地 市 郎,宮 城 県 農 試 の 船 迫 勝 男,同 県 黒 川 病 害 虫 防 除所 の前 田正孝,大 崎 防 除所 の 加 藤 直 義,小 牛 田防 除所 の東 海林 修,本 吉 防 除 所 の 熊 谷 誠 司 の 諸 技 師 に対 して深 謝 し,本 調査 に 対 して 著 者 の 退 職 後 も き わ め て 好 意 的 に 便 宜 を与 え られ た ク ミ アイ 化 学 工 業 (株)小 牛 田実験 農 場 長 笹 生 泰 夫 氏 始 め同 場 職 員 各 位 の御 厚 志,同 定 に 関 す る こ と を受 諾 せ られ,ま た 文 献 の写 しを供 与 せ られ た 農林 省 農 技研 の 長 谷 川 仁 技 官, 標 本 の 照合 と助 言 を与 え られ た北 海 道 農 試 の桑 山 覚 博 士 の御 好 意 に対 して深 謝 の 意 を表 した い 。 寄 生 蜂 の 採 集 方 法 野外 で イ ネ ハ モ グ リバ エ 幼 虫 の 被 害 を うけ た稲 お よ び マ コモ の被 害葉 を採 集 し,ま た 前 記 諸 氏 か らイ ネ ハ モ グ リバ エ の 幼 虫 の 被 害稲 葉 を送 付 して い た だ き,こ れ らの被 害葉 か らイ ネ ハ モ グ リバ エ の 死 亡 幼 虫 を選 別 し,こ れ を 幼 虫 の 食 痕 部*と と もに ガ ラス 管 び ん,ビ ニ ー ル袋 あ るい は紙 袋 等 に保 管 して お き羽 化 した 寄 生 蜂 を 小 さい 吸 虫 管 で集め た 。 ま た 随 時 イ ネ 科 雑 草 のハ モ グ リバ エ の 寄生 蜂 を同 様 の方 法 で採 集 した 。 した が っ て寄 生 蜂 は ま ず そ の 寄 主 を採 集 して そ れ か ら羽 化 し た もの を集 め た もの で あ るか ら寄 生 蜂 の 種 類 別 頭 数 は 全 く無 作 為 的 に 得 られ た もの で あ る。 寄 生 蜂 の 種 類 別 特 徴 ・寄 生 方 法 ・分 布 分 類学 的 な種 の記 載 は後 日の専 門家 に よ る発 表 に 期 待 し,本 報 で は イ ネ ハ モ グ リバ エ の幼 虫 の寄 生 蜂 とい 本 報 の 一 部 は 第26回 北 日本 病 害 虫 研 究 発 表 会 で 講 演 した 。 ※ 寄 主 の 食 痕 部 だ け を 選 別 す る暇 の ない 時 は 紙 袋 に封 入 保 管 す る が よい 。 ビニ ール 袋 等 に密 閉 す る と腐敗 つ る 。37 う前提 の も と に各 種 寄 生 蜂 を識 別 す る の に必 要 とお も わ れ る特 徴 を記 述 す る に止 め る。 形 態 に 関 す る術 語 は素 木 の 「昆 虫 の 分類 」7)に し た が い,各 種 の所 属 科 は 同 書 の 検 索 に よ り著 者 が認 定 し た もの で あ る。 また 種 の 番 号 は 同 定 依 頼 の た め に提 出 した 標 本 につ け た番 号 と 同一 で あ る。 第1種 ヒ メ コバ チ科Family Eulophidae 成 虫 の特 徴 雌:体 長1.0∼1.8mm,体 は 黒 色 で僅 か に 青 味 をお び,3脚 と も に一 見 し て 白 と黒 の ま だ らに 見 え る こ と,す なわ ち基 節 の全 部 ・腿 節 の基 方 の 大部 分 ・脛 節 の 両 端 を除 く大 部 分 は黒 色 で,腿 節 の先 端 部 ・脛 節 の 両 端 は 白色 乃至 黄 白色 を呈 す る こ とで他 種 と 区 別 され る。 触 角 は鞭 節2節 ・棍 棒 状 部3節 で 黒色 。 前 翅 の 亜 縁 脈 ・縁 脈 ・後縁 脈 ・縁 紋 脈 の 長 さの 比 は ほ ぼ15:20:5:5。 雄:雌 よ りや や 小 形 で あ るが 形 態 的 に 大差 な い 。 本 種 の標 本 を 桑 山博 士 に送 り 同 定 を お 願 い し た結 果Sole-notus sp4).と 同種 とみ とめ られ る との 私 信 を得 た。 第1図 第 種(雌) (倍 率 約20倍 第1図 ∼ 第5図 と も) 寄 生 方 法 外 部 寄 生 で 寄 主 の 発 育 が 進 ん でい る場 合 は 多寄 生2)す る こ と も珍 し くな い 。 老 熟 した 幼 虫 は 寄 主 体 か ら若 干離 れ て 寄 主 の 食 痕 内 で 蛹 化 す る。 寄 主 の 体 の外 面 に 卵 ・幼 虫 を観 察 す る こ と もで き る。 寄 主 イ ネハ モ グ リバ エ,イ ネ ヒ メハ モ グ リバ エ の 幼 虫。 分布 北 海 道雨 竜 郡妹 背 牛 町 。 秋 田県 大 曲 市 。r山 形 県 東 田川 郡 藤 島 町,最 上 邸頁 室川 町,金 山 町 。 宮城 県 仙 台 市 長 町・ 山 田 ・鈎 取 ・六郷 ・小松 島,多 賀城 市 新 田,黒 川 郡 大郷 町 大松 沢,遠 田 郡 小牛 田 町 山 の 神 ・ 北 浦 。 第2種 Family Entedontidae 成 虫 の 特 徴 雌:体 長1.0∼1.8mm,全 体 緑 色 乃至 青 緑 色 の 美 し い金 属 光 沢 。 中胸 楯 板 ・小楯 板 の彫 刻 は 浅 い微 細 な 網 目状 。 触 角 の 柄 節 は黄 白色,梗 節 ・鞭 節2 節 ・棍棒 状 部3節 は 黒 褐 色 。 前 翅 の 亜 縁 脈 ・縁 脈 ・後 縁 脈 ・縁 紋 脈 の 長 さの 比 は 約8:17:1:3で 後 縁 脈 は 痕 跡 的 。3脚 とも に甚 節 は 黒,転 節 か ら第3附 節 ま で 黄 白 あ るい は 白で 第4鮒 節 は褐 色 。 た だ し小形 の個 体 で は前 脚 また は 前脚 と後脚 あ る い は全 脚 の腿 節 に濃 淡 ・大 小 な ど種 々の 変 化 の あ る褐 色斑 が 見 られ る。 雄:雌 よ り小 形 で あ るが 形 態 的 に 大 差 は ない 。 寄 生 方 法 内 部 寄 生 で 寄 主 の 体 内 で 蛹 化 す るの が 常 態 の よ うで あ る。 寄 主 イ ネハ モ グ リバ エ,イ ネ ヒ メ ハ モ グ リバ エ,チ ゴ ザ ア(Isach-ne globosa O. KUNTE)の 葉 に 寄 生 す る ハ モ グ リ バ エ(種 名 未 詳)の 幼 虫 。 第2図 第2種(雌) 分布 秋 田県 大曲 市 。 岩 手 県 盛 岡 市。 山形 県 東 田 川 郡藤 島 町,最 上 郡 真 室 川 町,金 山 町。 宮 城 県 仙 台 市 長町 ・六 郷,多 賀 城 市 新 田,黒 川 郡 大郷 田丁大 松沢,志 田郡 鹿 島 台 町志 田 谷地,遠 田 郡 小牛 田町 山の 神,本 吉 郡津 山町 柳 津,栗 原 郡 志 波 姫 町 東 原 田。 第3種 ヒ メ コ バ チ科Family Eulophidae 成 虫 の特 徴 雌:体 長1.5∼25mm,全 体 き わ め て 美 しい 緑 色 の金 属 光 沢,細 長 い 体形 で胸 部 の 最 大 巾 は 長 さ の約 半 分 。 胸 部 背 面 の彫 刻 は 明瞭 で 荒 い 。 触 角 の 梗 節 ・鞭 節4節 ・棍 棒 状 部 一見 し て1節 は 黒 乃 至 黒 褐 色 。 前 翅 の 亜 縁 脈 ・縁 脈 ・後 縁 脈 ・縁 紋 脈 の 長 さの 比 は 大 体16:25:9:4。3脚 と も に ほ と ん ど全 部 黄 白色 で 鮒 節 の 先 端 だ け 淡 褐 色 ま たは 褐 色 。 第3図 第3種(左 雄) 雄:体 長/.3∼2.0m,触 角 の 第1,第2,第3鞭 節 に は そ れ ぞ れ1本 宛 の 長 い 枝 が あ り各 枝 に は 多数 の 長 毛 を備 えて い る。 体の 色 彩 は 雌 と同 様 。
寄 生 方 法 内部 寄 生 で老 熟 した 幼 虫 は 寄 主 の 体 外 で 蛹 化 す る。 寄 主 イネ ハ モ グ リバ エ の 幼 虫。 分 布 北 海 道 雨 竜 郡 妹背 牛 町 。 青 森 県 黒 石 市。 岩 手 県 盛 岡 市 。 山形 県東 田川 郡 藤 島 町。 宮城 県 仙 台 市 長 町,古 川 市飯 川,遠 田郡 小 牛 田町 山 の 神 。 第4種 ヒ メ コパ チ 科Fgmily Euophidae 成 虫 の特 徴 雌1体 長(お9∼1.6mm,全 体背 腹 両 面 と もに 青 緑 色 の金 属 光 沢 。 後脚 の 腿 節 の)基方 約3分 の2 が 暗 青 色 あ る い は 黒 褐 色 で あ る こ とが 本種 の 特 徴 。 触 角 の柄 節 は黄 白色,梗 節 ・鞭 節2節 ・棍 棒 状 部3節 は 黒 褐 色 。 前 翅 の亜 縁 脈 ・縁 脈 ・後 縁 脈 ・縁 紋 脈 の 長 さ の 比 は 大 体10:15:5;5。 雄:雌 よ りや や 小形 。 腹 部 の 基 部 に3日 月状 乃 至 は半 月状 の 大 白斑 が背 腹 両 面 か ら見 られ る こ と と後 脚 の 腿 節 は雌 と 同 様 で あ る こ と が特 色 。 第4図 第 種(左 雄) 寄 生 方 法 内 部 寄 生 で老 熟 した 幼 虫 は 寄 主 の 体 外 に 出 て寄 主 体 か ら若 干 離 れ て 蛹 化 す る。 多 寄 生 も 見 ら れ1寄 主 か ら6頭 羽 化 した 場 合 も あ った 。 寄 主 イ ネ ハ モ グ リバ エ,イ ネ ヒ メ ハ モ グ リバ エ,ク サ ヨ シ(Phalars arundinacea L .)の 葉 に寄 生 す る ハ モ グ リバ エ(種 名 未 詳 で あ る が1葉 に多 数 寄 生 し食 痕 内 で 蛹 化 す る)の 幼 虫。 分 布 北 海 道 雨 竜 郡 妹 背 牛 町 。 青森 県 黒 石 市。 秋 田県 秋 田市,大 曲 市 。 岩 手 県 盛 岡 市。 山形 県東 田川 部 藤 島 町,最 上 郡 真 室 川 町 。 宮 城 県 仙 台市 長 町 ・山 田 ・ 小 松 島,多 賀 城 市 新 田,黒 川 郡 大 郷 町 大松 沢,遠 田郡 小 牛 田町 山の 神,本 吉 郡 津 山 町柳 津 。 第5種 ヒ メ コ バチ 科Family Eulohidae 成 虫 の 特 徴 雌:体 長1.4∼21mm,頭 頂 部 は黒 色 平 滑,胸 部 背 面 は暗 青 色 で粗 大 な網 目状 彫 刻 が あ る。腹 部 は紡 錘 形 で 色 彩 は変 化 が 大 で 大部 分褐 色 か ら大 部 分 青 黒 色 の も の も あ る。 触 角 の 柄 節 は淡 黄 褐 色,梗 節 ・ 鞭 節4節 ・棍 棒 状 部 一見 して1節 は 褐 色 。 前 翅 の 亜 縁 脈 ・縁 脈 ・後 縁 脈 ・縁 紋脈 の 長 さの 比 は 大体13:20: 10:5。3脚 と もに 基 節 か ら附 節 まで 黄 白色 乃 至 淡 褐 色 で第4鮒 節 あ る いは そ の 先 端 は褐 色 で あ る が腹 部 の 青 黒味 の 強 い もの ほ ど濃 色 の 傾 向 が見 られ る。 第5図 第5種(左 雄) 雄1体 長0.9∼1.4mm,触 角 の第1,第2,第3鞭 節 には 長 毛 を備 えた1本 宛 の 長 い 枝 があ る点 は第3種 に 類 似 す るが 体 の 色 彩(雌 とほ ぼ 同 様)か ら容 易 に区 別 で き る。(第5図 雄 の触 角は1部 破 損)。
本 種 はEulopus katonis IsHII3)に類 似 す る が頭 頂 部 が 平 滑 と 見 られ 前 翅 の翅 脈 の 長 さ の 比 が 異 る の で別 種 と思 われ る。 寄 生 方 法 内部 寄生 で 寄 主 の 体 内 で 蛹 化 す る よ う であ る が更 に検 討 を要 す 。 寄 主 イネ ハ モ グ リバ エの 幼 虫 分 布 宮 城 県 仙 台市 長 町,遠 田郡 小牛 田 町 山 の 神, 本 吉 郡 津 山町 柳 津 。 寄 生 蜂 の 季 節 的 消 長 と 発 生 回 数 1972年 に イ ネ ハモ グ リバ エの 世代 別 に 自然 死 亡 幼 虫 を採 集 し寄 生 蜂 の種 類 別 に羽 化 月 口と頭 数 を調 査 し た 。 寄 主 で あ る イ ネハ モ グ リバ エ幼 虫 の 世代 お よ び 寄 主 の 寄 生 植 物 の採 集 月 日は 次 の とお りで あ る。 た だ しマ コ モ は ク ミア イ化学 工 業(株)小 牛 田実 験 農 場 付 近 の 国 鉄東 北 本線 の 西側 に あ る用 排 水 路 辺 に ま ば らに 自生 し てい る も の で あ る。 寄 主 の第1世 代 マ コモ;5月19日,25,29日,6月5日 。 稚 苗 移 植 の稲16月10日(農 家 の 水 田)。 寄 主 の 第2世 代 稲(5.月17∼21目 頃移 植 の農 家 の水 田): 6月22,26,28日 。 7月10,13,14,18目 。 寄 主 の 第3世 代 マ コモ の 再 生 葉:9月11日 か ら毎 日あ るい は 隔 日 に9月28日 ま で13回 。 羽 化 した 寄 生 蜂 の種 類 別 雌 雄 合計 数 を半 旬 毎 に ま と めた もの が第6図 であ る。
北 日本 病 害 虫研 究 会 報 第24号 1973年12月 第6図 寄 生 蜂 の種 類別 発 生 消 長 白 は第1種,斜 線 は第2種,十 字 斜 線 は第3種 黒 は 第4種,縦 線 は第5種 を 示す 。 第6図 を見 る と下 段 に 示 した 第1種,第2種 お よび 第4種 は比 較 的 に発 生 数 が 多 く,上 段 に示 した 第3種 と第5種 は発 生 数 が 少 な く特 に 第5種 は きわ めて 少 数 で あ る こ とが認 め られ る 。 発 生 消 長 の 峯 に つ い て 見 る と6月 第4半 旬 ま で に全 種 類 が 発 生 して 明 瞭 な消 長 の峯 が見 られ る が,こ の 期 間 に 羽 化 した 寄 生 蜂 はす べ て6月5日 ま で に採 集 され た マ コモ に寄 生 し たイ ネハ モ グ リバ エ の死 亡 幼 虫 か ら 羽 化 した も の で,6.月21日 と22日 に第3種 が1頭 宛 羽 化 した 以 外 は6月20日 で羽 化 を終 了 して い る 。 6月 第5半 旬 か ら7月 第2半 旬 ま で の 期 間 に 羽 化 し た 寄 生 蜂 は6.月10日 か ら6月28日 ま で に採 集 した 稚 苗 植 え の稲 を 含 め た 本 田の稲 に 寄 生 した イ ネ ハ モ グバ リ エ の 死 亡 幼 虫 か ら羽 化 した も ので あ っ て,7月 第4半 旬 か ら第6半 旬 に か けて 羽 化 した 寄 生 蜂 は7月10日 か ら7月18日 に採 集 した 稲 の 被 害 葉 か ら羽 化 した も の で あ る。 した が って6月 第4半 旬 ま で に羽 化 した寄 生 蜂 は マ コモ に寄 生 した 第1世 代 の イ ネハ モ グ リバ エ幼 虫 に寄 生 した もの で あ り,6月 第5半 旬 か ら7月 第2半 旬 ま で の 期 間 に羽 化 し た寄 生 蜂 は イ ネハ モ グ リバ エ の 第1 世 代 の お そ く発 生 した も の も1部 含 ま れ て お っ た ろ う と も見 られ る が大 部 分 は イ ネ ハ モ グ リバ エ の 第2世 代 の 比 較 的 早 く発 生 した 幼 虫 に 寄 生 した もの と見 られ, 7月 第4乃 至 第6半 旬 に 羽化 した 寄 生 蜂 は 第2世 代 の イ ネハ モ グ リバ エ の 比 較 的 お そ く発 生(小 牛 田付 近 で は早 期 の もの よ り多 い と認 め られ た)し た幼 虫 に寄 生 した もの と見 られ る 。 ま た7月1日 か ら9日 ま で は 都 合 に よ って 羽 化 調 査 を 欠 い た が,7月10日 の 調 査 の さい に既 死 の状 態 の寄 生 蜂 が生 存 中 で あ った もの よ り多 数 で あ っ た こ とか ら 7月 第2半 旬 の 峯 は 第1半 旬 の方 向 に崩 れ る べ き も の で あ る こ と,7月 第3半 旬 に は羽 化 は全 然 な く,7月 第4・ 第5半 旬 の 峯 は7月17日 か ら羽化 し始 め た もの で 構 成 さ れ て い る こ と等 か ら 見て6月 第5半 旬 か ら7 月 第2半 旬 に か けて 羽 化 した 寄 生 蜂 は そ の 前 後 の もの とは 別 世 代 の もの と推 定 す る こ とが 妥 当 と考 え られ る。 ま た 発 生 数 の 少 ない 第3種 と第5種 を除 く他 の3種 類 はイ ネ ハ モ グ リバ エ以 外 のイ ネ 科 雑 草 のハ モ グ リバ エ に も寄 生 す る こ と,7月 下 旬 に は羽 化 し ない で残 る 寄 生 蜂 の蛹 が なか っ た こ とお よび10月 中旬 に図 示 され た よ うな発 生 の あ る こ と等 を考 慮 す る と8月 お よび9 月 中 に少 な く とも1回 の発 生 の あ る べ き こ とを 考 慮 し ない と不 合 理 に な る。 更 に イ ネハ モ グ リバ エ は 蛹 で 越 冬 す る こ とか ら見 て, 6月 上 ・中旬 に 発生 した 寄 生蜂 の 親 に あ た る世 代 が5 月 中 ・下 旬 頃 に あ った 筈 で あ る こ と等 を考 え合 せ る と, これ らの 寄 生 蜂 の 年 間 の 発 生 回 数 は第1種(10月 に発 生 を見 な か った)で は5回 位,そ の他 の種 類 で は6回 位 と推 定 さ れ る。 な お 付 言 した い こ とは9月 中 に採 集 され た イ ネ ハ モ グ リバ エ の 死 亡 幼 虫 は10月 第3半 旬 に羽 化 した寄 生 蜂 の 合 計 数 よ りも遙 か に多 数 の も の が寄 生 蜂 の 羽化 を見 ない で 残 存 してい る の で,10月 に羽 化 した寄 生 蜂 は イ ネ ハ モ グ リバ エ の 第3世 代 の よ うに 越 冬 す べ き世 代 の も の の1部 の もの が羽 化 した もの と考 え られ る。 寄 生 蜂 の 分 布 と 出 現 頻 度 の 年 代 に よ る 変 化 1941年 以 降 断 続 的 で は あ っ た が1972年 ま で に採 集 さ れ た 寄 生 蜂 の種 類 別 総 数 を採 集 地 域 ・年 度 お よ び寄 主 の 世 代 別 に整 理 す る と第1表 の よ うに な る。 た だ し19 72年 には 秋 田県農 試 と山 形 県 農 試 庄 内 分場 か らは イ ネ ハ モ グ リバ エ の発 生 が ほ と ん どな く被 害葉 採 集 は 不 可 能 と の連 絡 が あ っ た。 イ. 種 類 別 の分 布 採 集 個 体数 の少 ない 第3種 と第5種 に つ い て は 暫 時 言 及 を保 留 す る と して,第1表 を見 る と青 森 県 で は 第 1種 と第2種,岩 手 県 で は 第1種,北 海 道 で は第2種 が 空 欄 とな っ て い る が,現 段 階 で は これ らの 空 欄 の裏 付 け をす る よ うな何 等 の 資 料 もな い の で,第1表 に現 わ れ た 結果 を も って 分 布 の 結 論 とす る よ りは,こ れ ら の 寄 生 蜂 の 分 布 地 域 は イ ネ ハ モ グ リバ エ の分 布 地 域 と 一 致 す るで あ ろ うと推 定 し て お く方 が よ り妥 当 と考 え られ る。 ロ. 出 現 頻 度 の年 代 に よ る変 化 第1表 に掲 げ た 寄 生 蜂 の 種 類 別 採集 数 を寄 主 で あ る イ ネ ハ モ グ リバ エ の世 代 ・採 集 年 代 お よ び 寄生 蜂 の 寄 生 方 法 別 に整 理 し直 す と第2表 の よ うに な り,更 に寄
第1表 寄生蜂 の地域 ・年度 ・世代別採集頭 数
註: (a)(b)(e)は イ ネ お よ び マ コモ の 第1世 代 , 無 印 は イ ネ,(d)は マ コモ再 生葉 の 第2世 代,(f) は マ コモ 再 生 葉 の 第3世 代 の イ ネ ハ モ グ リバ エ,(c) は チ ゴ ザ サ とク サ ヨ シの ハ モ グ リバ エ の幼 虫 か らそ れ ぞ れ 羽 化 し た もの 。 第2表 寄 生 蜂 の寄 生 方 法 ・世 代 ・年代 別 出 現 頻 度 註: (a,)b),(e)は 第1表 の 註 参 照,寄 主 第2世 代 欄 は 第1表 の 年 代 該 当 の 各 地 の 合 計 。 生 方 法 別 お よ び種 類 別 の 採集 年 代 毎 の百 分 比 の信 頼 限 界(信 頼 度90%)を と っ て図 示 す る と第7図 の よ うに な る 。 た だ し第1表 の(c)お よ び(f)は9月 以 降 に羽 化 し た 寄 生 蜂 で 外 部 寄 生 の第1種 が含 ま れ てい な い の で 除外 した 。 第2表 お よ び特 に 第7図 に つ い て 寄 生 蜂 の 種 類 別 の 出現 頻 度 を見 る と採 集 個 体 数 が多 い 場 合 は 第3種 と第 5種 は他 の3種 類 に比 較 して 有 意 に 少 な くな り第1種 ・第2種 お よ び 第4種 は優 占種 的 で あ る こ と が わか る。 第2種 と第4種 は蛹 化 方 法 等 に違 い は あ る がい ず れ も 内部 寄 生 で あ る この両 者 間 に も世 代 お よ び年 代 に よ り出現 頻 度 の順 位 に 変化 が 認 め られ る が,こ こで は特 に外 部 寄 生 の第1 種 と内 部 寄 生 の第2種 以 下4種 類 の合 計 の 出 現 頻 度 の 順 位 に注 目した い 。 寄 主 の第1世 代 の1953∼1956年 は 採 集 頭 数 が少 なす ぎ る の で 除 外 す るが,そ の 他 の 年 代 にお い て は 寄 主 の 世 代 にか か わ らず1943年 ま で は 外 部 寄 生 の 第 1種 が 内 部 寄 生 の4種 類 の 合 計 を明 瞭 に凌 駕 してい た が,1953年 以 後 は そ れ が 明 らか に逆 転 して外 部 寄 生 の第1種 が 有 意 に 少 な くな っ てい る こ とが見 られ る。1942年 に著 者 が 寄生 蜂 の幼 虫 につ い て行 な っ た調 査 で も外 部 寄 生 の もの が内 部 寄 生 の も の よ り遙 か に 多数 で あ った6)。 1943年 ま で の 採 集 地 は藤 島町 に限 定 され て い るの で 前 記 の 出 現 頻 度 の 変 化 は 地 域 差 と も 見 られ そ うで あ るか,第1表 につ いて 藤 島 町 の1943年 の 種 願 別 採 集状 況 と1953年 の そ れ と を対 照 す る と地 域 差 とは い え な い こ とか わ か る で あ ろ う。 この 意 味 か ら も1972年 に,既 述 し た よ うな理 由 で藤 島 町 の 資料 か得 られ な か っ た こ とは残 念 で あ っ た。 さ て この 寄 生 蜂 の寄 生 方 法 の相 違 に よ る 出 現 頻 度 の順 位 の逆 転 は何 に原 因 した も の で あ ろ う。 東 北 地 方 の水 田 に有 機 合 成 殺 虫剤 が利 用 され 始 め たの は1949年 頃か らで あ り,1954 年 頃 か らイ ネハ モ グ リバ エ の発 生 量 が激 減 し た の は 殺 虫 剤 の 利 用 の た め と一 般 に考 え られ て い る よ うで あ る か,各 種 殺 虫 剤 が寄 生 蜂 群 の 中 の 外 部 寄 生 性 の もの に対 し て内 部 寄 生 性 の もの に 対 す る よ りも大 な る影 響 を お よ ぼ し た こ とだ ろ う とは 皮 想 的 に は 考 え易 い こ とで あ る が果 た して そ うで あ ろ うか 。 あ るい は ま た不 充 分 な資 料 を基 と し て寄 生 方 法 の相 違 と 年 代 に よ っ て寄 生 蜂 の 出 現 頻度 の 順 位 に 逆 転 が起 きて い る と見 た こ とそれ 自体 が 早 計 な の で あ ろ うか 。 あ え て こ こに取 り上 げ て大 方 の 関心 を求 め た い。 摘 要 イ ネ ハ モ グ リバ エの 幼 虫 の寄 生 蜂 の 中 の第1次 寄 生 蜂 に関 し て調 査 を行 ない 次の よ うな結 果 を得 た 。 た だ し寄 生 蜂 の 種 の 同 定 が 未 決 定 な の で,種 名 は番 号 を も北 日本 病 害 虫研 究 会 報 第24号1973年12.月 寄 主 の 第1世 代 寄主 の第2世 代 第7図 寄 生 蜂 の寄 生 法 ・世 代 ・年代 別 出 現 頻 度 横 軸 の数 字 は寄 生蜂 の種 類別 番 号 白 は1941年,1941・1943年 。 斜線 は1953∼1956年 。 黒 は1972年,1971・1972年 。 っ て示 した が各 種 を 区 別 す るた め に必 要 な特 徴 はそ れ ぞ れ 概 説 した。 1. 第1種(ヒ メ コバ チ 科 に所 属 と認 定)は た だ1種 の 外 部 寄 生 で,第2種(Entedontidae)お よび 他 の 3種(ヒ メ コバ チ科)は 内 部 寄 生 と認 め られ た。 2. 第1,第2お よび 第4種 はイ ネ ハ モ グ リバ エ以 外 のハ モ グ リバ エ の幼 虫 か らも採 集 され た。 3. これ らの 寄 生 蜂 の 分 布 は イネ ハ モ グ リバ エ の分 布 と一 致 す る だ ろ うと推 定 した 。 4. 年 間 の 発 生 回 数 は第1種 で は最 低5回,他 の4種 で は最 低6回 と推 定 され た。 5. 第1,第2お よ び第4種 の それ ぞれ の 出現 個 体数 は他 の2種 の それ よ りも 多い こ とが認 め られ た 。 6. 寄 生 蜂 の種 類別 個 体数 の年 代 に よる 変動 に 関 し, 外 部 寄 生 の第1種 の個 体数 は1943年 以前 は 他 の4種 の 合 計 の そ れ よ り も優 占的 で あ った が,1953年 以 降 は 内部 寄 生 の4種 の 合 計 の 個 体 数 が 第1種 の そ れ よ り も優 占的 とな りそ の 関 係 が 逆 転 した こ と を認 め た 。 引 用 文 献 1. 秋 田県農 業 試 験 場 (1956) 植 物 防 疫 に関 す る地 区 協 議 会 資 料 予 察I: 17∼18 (謄写). 2. 深 谷 昌 次 (1950) 作 物 害 虫 の天 敵, 河 出書 房, 東 京: 49∼57.
3. ISHII, T. (1953) A Report of the Studies of the Parasitic Wasps of Injurious Insects. Bull. Fac. Agr, Tokyo Univ. Agr. Tech.: 1
-10 . 4. 桑 山 覚 (1955) イ ネ ヒ メ ハ モ グ リバ エ の 寄 生 蜂, 北 日本 病 虫 研 特 報3:100∼ ユ07. 5. 大 森 秀 雄 ・菅 原 寛 夫 ・大 矢 剛 毅 (1952) イ ネ ハ モ グ リバ エ 蛹 寄 生 蜂 に 関 す る 二, 三 の 観 察, 東 北 農 業 5 (5, 6): 252∼253. 6. 岡 崎 勝 太 郎 (1962) イ ネ ハ モ グ リバ エ の 防 除 に 関 す る 基 礎 的 研 究,山 形 農 試 特 報8:43∼48. 7. 素 木 得 一 (1954) 昆 虫 の 分 類, 北 隆 館, 東 京: 546∼594.