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MAS GPM データ利用ハンドブック 初版 平成 26 年 9 月 独立行政法人宇宙航空研究開発機構

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MAS-140012

GPMデータ利用ハンドブック

初版

平成26年9月

独立行政法人

宇宙航空研究開発機構

(2)

GPMデータ利用ハンドブック

は じ め に

近年、地球規模の環境変化を把握する必要性について、世界的な関心が高まりつつあります。 このような問題に対し、人工衛星による宇宙からの観測技術を利用し、気候学的な研究だけではな く、天気予報や洪水予報といった、より社会生活に身近な分野への応用を目指して、全球降水観 測(Global Precipitation Measurement:GPM)計画が国際的な協力のもと、進められています。GPM 計画は、熱帯降雨観測衛星(TRMM)の後継・拡大ミッションであり、各国・各機関が個別に打ち上 げる複数の衛星と連携することにより、観測範囲、観測頻度が大きく向上しています。GPM主衛星 は、アメリカ航空宇宙局(NASA)と(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同で開発した衛星で あり、JAXAが(独)情報通信研究機構(NICT)と共同で開発した二周波降水レーダ(DPR)と、NASA が開発したマイクロ波放射計(GMI)が搭載されております。 GPM主衛星は、日本時間の2014年2月28日 午前3時37分にJAXAの種子島宇宙センターから H-ⅡAロケット23号機により打ち上げられ、高度約407km、軌道傾斜角約65°、周期約90分で地 球を周回する軌道に投入されました。GPM主衛星の観測データは、米国の追跡・データ中継衛星 システム(TDRSS)を経由してNASA地上局で受信され、NASAゴダード宇宙飛行センターから JAXA/筑波宇宙センターに伝送されます。その後NASA・JAXA双方でデータ処理が行われます。 JAXAでは、プロダクトの初期校正検証の後、地球観測衛星データ提供システム(G-Portal https://www.gportal.jaxa.jp)より、レベル1からレベル3までのGPMプロダクトを皆様に公開する予定 です。 本書は、GPMプロダクトを利用して頂く上で、必要となる情報の提供を目的としております。本書 を通じてGPMプロダクトが、地球規模の気候変動、更には現業利用に活用されることを期待いたし ます。 平成 26 年9月 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 GPM/DPRプロジェクトチーム 地球観測研究センター ミッション運用システム推進室

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GPMデータ利用ハンドブック

目 次

第 1 章 序論 ... 1-1 1.1. 目的 ... 1-1 1.2. 範囲 ... 1-1 1.3. ミッションの概要 ... 1-1 第 2 章 GPM 衛星システム ... 2-1 2.1. GPM衛星システム概要 ... 2-1 2.1.1. GPM計画 ... 2-1 2.1.2. GPM主衛星概要 ... 2-2 2.1.3. GPMコンステレーション衛星概要 ... 2-4 2.2. ミッション機器の概要 ... 2-6 2.2.1. 二周波降水レーダ(DPR) ... 2-6 2.2.2. GPMマイクロ波放射計(GMI) ... 2-9 第 3 章 GPM 地上システムの概要 ... 3-1 3.1. 全体地上システム ... 3-1 3.2. JAXA 設備 ... 3-2 3.3. NASA 設備 ... 3-3 3.4. 外部機関・設備 ... 3-4 第 4 章 GPM プロダクト ... 4-1 4.1. プロダクト概要 ... 4-1 4.1.1. GPM処理レベル定義... 4-1 4.1.2. GPM処理フロー ... 4-2 4.1.3. 提供プロダクト ... 4-2 4.1.4. ファイル命名規約 ... 4-8 4.2. DPR プロダクト ... 4-15 4.2.1. 処理概要 ... 4-15 4.3. GMI プロダクト ... 4-17 4.3.1. プロダクト概要 ... 4-17 4.3.2. 処理概要 ... 4-17 4.4. DPR/GMI 複合プロダクト... 4-18 4.4.1. プロダクト概要 ... 4-18 4.4.2. 処理概要 ... 4-18 4.5. 全球合成降水マップ ... 4-19 4.5.1. プロダクト概要 ... 4-19 4.5.2. 処理概要 ... 4-19 4.6. コンステレーション衛星 L1C プロダクト ... 4-20

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GPMデータ利用ハンドブック 4.6.1. プロダクト概要 ... 4-20 4.7. プロダクトのファイル形式 ... 4-20 4.8. 校正・検証 ... 4-20 4.8.1. 校正 ... 4-21 4.8.2. 検証 ... 4-22 第 5 章 GPM プロダクト・画像の取得 ... 5-1 5.1. サービス概要 ... 5-1 5.1.1. 標準プロダクトの取得 ... 5-2 5.1.2. 研究プロダクトの取得 ... 5-4 5.1.3. 画像・応用研究結果の閲覧 ... 5-5 5.1.4. 衛星・センサ運用情報 ... 5-9 5.1.5. データ利用上の注意 ... 5-12 5.2. データ提供サービスの使い方 ... 5-12 5.2.1. サービス概要 ... 5-12 5.2.2. ユーザ登録 ... 5-12 5.2.3. ログイン方法 ... 5-15 5.2.4. プロダクトの検索及びダウンロード ... 5-17 第 6 章 GPM データの利用 ... 6-1 6.1. データ表示ツール ... 6-1 6.1.1. THOR ... 6-1 6.1.2. HDFVIEW ... 6-3 6.2. データ解析ツール ... 6-5 6.2.1. TKIO ... 6-5 6.2.2. ツールのインストール及びプログラミングの流れ ... 6-5 6.3. その他のツール ... 6-9 6.3.1. h5dump ... 6-9 6.3.2. HDF Explorer ... 6-9 付録-1 略語一覧... 1 付録-2 関連情報... 4 付2.1 参考文献 ... 4 付2.2 参考ホームページ ... 4 付2.3 問い合わせ先 ... 5 付録-3 GPM プロダクトフォーマット ... 1 付録 付録-1 略語一覧 付録-2 関連情報 付2.1 参考文献 付2.2 関連ホームページ 付2.3 問い合わせ先 付録-3 GPMプロダクトフォーマット

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GPMデータ利用ハンドブック

図表一覧

【図】 図 1.3-1 GPMの概念図 ... 1-2 図 2.1-1 GPM計画を構成する衛星群 ... 2-1 図 2.1-2 GPM主衛星の外観図 ... 2-3 図 2.1-3 GPM主衛星による観測概念 ... 2-4 図 2.2-1 DPR外観図 ... 2-6 図 2.2-2 DPRによる観測イメージ ... 2-7 図 2.2-3 GMI外観図 ... 2-9 図 3.1-1 GPM地上システムの全体構成 ... 3-1 図 4.1-1 GPMプロダクトの処理フロー ... 4-2 図 4.2-1 DPRレベル1Aアルゴリズムの処理フロー ... 4-15 図 4.2-2 DPRレベル1Bアルゴリズムの処理フロー ... 4-15 図 4.2-3 DPRレベル2アルゴリズムの処理フロー ... 4-16 図 4.3-1 GMI L1アルゴリズムフロー ... 4-17 図 4.5-1 全球合成降水マップアルゴリズムの処理フロー ... 4-19 図 4.7-1 HDFファイルの構造 ... 4-20 図 5.1-1 JAXA標準プロダクト入手先(G-Portalホームページ) ... 5-3 図 5.1-2 G-Portal SFTPダイレクト取得先 ... 5-3 図 5.1-3 G-Portal SFTPダイレクト取得画面例 ... 5-3 図 5.1-4 NASA標準プロダクト入手先(STORMホームページ) ... 5-4 図 5.1-5 JAXA/EORC GPM利用研究系ホームページ ... 5-5 図 5.1-6 データ・画像へのリンク ... 5-6 図 5.1-7 世界の雨分布速報 ... 5-7 図 5.1-8 台風データベース ... 5-7 図 5.1-9 台風速報 ... 5-8 図 5.1-10 NASA/PMMサイト ... 5-8 図 5.1-11 衛星・センサ運用情報 ... 5-9 図 5.1-12 観測概要紹介動画へのリンク ... 5-10 図 5.1-13 フォーマット説明書へのリンク ... 5-10 図 5.1-14 プロダクト表示/解析するためのツールキットへのリンク ... 5-11 図 5.2-1 G-Portalの画面1 ... 5-13 図 5.2-2 G-Portalの画面2 ... 5-13 図 5.2-3 G-Portalの画面3... 5-14 図 5.2-4 G-Portalの画面4... 5-15 図 5.2-5 G-Portalの画面5... 5-15 図 5.2-6 G-Portalの画面6... 5-16 図 5.2-7 G-Portalの画面7... 5-17 図 5.2-8 G-Portalの画面8... 5-18 図 5.2-9 G-Portalの画面9... 5-18 図 5.2-10 G-Portalの画面10 ... 5-18 図 5.2-11 G-Portalの画面11 ... 5-19

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GPMデータ利用ハンドブック 図 5.2-12 G-Portalダイレクト取得のディレクトリ構成(標準プロダクト)... 5-20 図 5.2-13 G-Portalダイレクト取得のディレクトリ構成(準リアルタイムプロダクト) ... 5-20 図 5.2-14 G-Portalの画面12 ... 5-21 図 5.2-15 G-Portalの画面13 ... 5-21 図 5.2-16 G-Portalの画面14 ... 5-22 図 5.2-17 G-Portalの画面15 ... 5-22 図 5.2-18 G-Portalの画面16 ... 5-23 図 5.2-19 G-Portalの画面17 ... 5-23 図 5.2-20 G-Portalの画面18 ... 5-24 図 5.2-21 G-Portalの画面19 ... 5-24 図 6.1-1 THORの画面1(KuPRの表示例) ... 6-2 図 6.1-2 THORの画面2(GSMaPの表示例) ... 6-2 図 6.1-3 THORの画面3 (3D表示例) ... 6-3 図 6.1-4 HDFVIEWの画面表示例 ... 6-4 図 6.2-1 cshの場合の環境変数の設定方法(左:gcc、右:icc) ... 6-7 図 6.2-2 bashの場合の環境変数の設定方法(左:gcc、右:icc) ... 6-7 図 6.2-3 TKIOを用いたプログラミングの流れ ... 6-8 【表】 表 2.1-1 GPM主衛星及びコンステレーション衛星群の各国・各機関の役割分担 ... 2-2 表 2.1-2 GPM主衛星の主要諸元 ... 2-3 表 2.1-3 コンステレーション衛星の一覧 ... 2-4 表 2.2-1 DPR主要諸元 ... 2-6 表 2.2-2 DPR運用モード ... 2-8 表 2.2-3 GMI主要諸元 ... 2-10 表 4.1-1 GPM処理レベルの定義 ... 4-1 表 4.1-2 標準プロダクト一覧 ... 4-3 表 4.1-3 準リアルタイムプロダクト一覧 ... 4-5 表 4.1-4 作成プロダクトのシーン定義 ... 4-7 表 4.1-5 L1及びL2標準プロダクトの命名規約 ... 4-8 表 4.1-6 L1及びL2準リアルタイムプロダクトの命名規約 ... 4-9 表 4.1-7 L3(Hourly)標準/準リアルタイムプロダクトの命名規約 ... 4-10 表 4.1-8 L3(Daily)標準プロダクトの命名規約 ... 4-11 表 4.1-9 L3(Monthly)標準プロダクトの命名規約 ... 4-12 表 4.1-10 衛星識別/センサ識別一覧 ... 4-12 表 4.1-11 アルゴリズムキー一覧 ... 4-13 表 4.8-1 外部校正と内部校正 ... 4-22 表 4.8-2 定常運用段階における校正内容 ... 4-22 表 4.8-3 GPM/DPRプロジェクトのサクセスクライテリア ... 4-23 表 4.8-4 標準プロダクトに対する検証データ ... 4-24

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GPMデータ利用ハンドブック

第1章 序論

GPM(Global Precipitation Measurement: 全球降水観測計画)主衛星は、2014年2月28日 午前 3時37分(日本標準時)に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の種子島宇宙センターからH-IIAロケ ット23号機により打ち上げられた。

この衛星は、JAXAとNASAの共同プロジェクトとして開発されてきたものであり、搭載される二周 波降水レーダ(DPR:Dual-frequency Precipitation Rader)はJAXAが情報通信研究機構(NICT)と 共同で開発した観測機器である。 GPM主衛星は、地球全域の約90%にわたる地域の降水強度やその分布に関わる観測を実施し、 GPM計画のコンステレーション衛星を含め、得られたデータは地球規模の気候変動の解明や環境 変化のモニタとして重要な役割を果たすことが期待されている。

1.1. 目的

本書は、ユーザがGPMから得られたデータを有効利用するために必要な様々な情報を提供す るものであり、標準プロダクト、準リアルタイムプロダクトに関する各種情報をはじめ、GPM主衛星、 搭載センサ及び地上システム等の関連する情報もあわせて紹介する。

1.2. 範囲

本書は、以下の6つの章と付録から構成される。 1章 :本文書の目的、範囲、GPMミッションの概要について記述。 2章 :GPM衛星システムの概要を紹介するとともに、DPRセンサやGMIセンサの仕様について詳 細を説明。 3章 :JAXA及びNASAの、関連する地上システムの概要を紹介。 4章 :JAXAから提供される標準プロダクト、準リアルタイムプロダクトのデータ処理アルゴリズム、 およびデータフォーマットの概要を説明。 5章 :JAXAの地球観測衛星データ提供システム(G-Portal)が、標準プロダクト、準リアルタイムプ ロダクト等を提供するデータサービスの概要を説明。 6章 :GPMデータを表示/解析するためのソフトウェア(ツール)の概要を説明。

1.3. ミッションの概要

全球降水観測計画(GPM)は、熱帯降雨観測衛星(TRMM)の後継・拡大ミッションであり、二周波 降水レーダ(DPR)及びマイクロ波放射計(GMI)を搭載した1機の主衛星と、マイクロ波放射計を搭 載した複数のコンステレーション衛星群により、気候変動・水循環変動の解明のため、全球降水の

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GPMデータ利用ハンドブック 高精度・高頻度観測を行う国際協力ミッションである。図 1.3-1にGPMの概念図を示す。 図 1.3-1 GPMの概念図 GPMでは、地球環境プログラムの水循環変動観測ミッションとして、TRMMによって得られた知 見・成果を発展・継続して、以下を実施することである。 (1) 気候変動・水循環変動の解明のための、高精度・高頻度な全球降水観測データの取得 (2) 全球合成降水マップの準リアルタイム配信によるデータ利用手法の技術開発 (3) DPRデータを利用した複数衛星のマイクロ波放射計(イメージャ/サウンダ)データからの降 水推定精度向上手法の開発、技術実証 (4) 洪水予測、数値天気予報精度向上、台風予測精度向上等の実利用及び現業利用、風水 害防災への利用等、GPM/DPR総合システムの利用実証 (5) 降水の高精度観測を実現するための、TRMM/PRの技術を継承・発展させた、DPRの技術 実証 GPMミッションを通じて、今後期待される利用分野を下記に示す。

(1) 天気予報での利用

衛星データは、天気予報でも日常的に使われている。気象庁では、2003年頃から、衛星搭載の マイクロ波輝度温度データを利用し始め、2013年8月からは、第一期水循環変動観測衛星「しずく」 のデータも導入した。これらのデータは、日本の周辺海域の観測情報を提供し数値天気予報の精 度向上に貢献するだけでなく、台風中心位置等を改善し、より正確な台風解析を実現している。例 えば、衛星データの使用とモデル改良により2004年から2012年の間で数値天気予報の誤差は約 主衛星 (DPR、GMIを搭載) コンステレーション衛星 (マイクロ波放射計を搭載)

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GPMデータ利用ハンドブック 25%減少している。台風解析では、静止気象衛星「ひまわり」では明瞭ではない台風の目の位置の 推定がマイクロ波放射計で向上すると共に、進路予測精度向上に貢献している。GPMのデータに ついても、気象庁が現業利用の準備を行っている他、海外気象機関でも現業利用を予定してい る。 天気予報精度の向上は、気象情報ビジネスや社会に直接的に貢献している。サービス・小売、 交通関連、農林水産、インフラ関連(建設、電力)の各分野は日常的に天気予報情報を業務に使 用している。さらに、台風やハリケーンの進路予報精度向上は、人命や財産を守ることへの寄与が 大きく、熱帯降雨観測衛星(TRMM)のデータは世界で年間100-500人の人命を守ることに寄与す ると推定されている(Adler, 2005)。最近では、日本気象協会は、JAXAの衛星全球合成降雨マップ (GSMaP)や「しずく」のデータを利用し、携帯電話等のサイトで、世界の天気予報と共に各地の衛 星降雨画像等を公開している。

(2) 洪水予報や河川管理での利用

1988-1997年の10年間について、世界的な自然災害による被害の約2/3は洪水や暴風雨による ものであった(World WaterCouncil, 2000)。JAXAの地球観測データ能力開発プログラムでも、洪 水予測への衛星利用は常に途上国からの要望の上位にある。GPM計画に向けて日本が開発した GSMaPは、1時間毎に4時間前の世界の雨分布を提供する。GSMaPを入力とした洪水予警報シス テムやツールは、日本ではユネスコのカテゴリー2センターである土木研究所 水災害・リスクマネジ メント国際センター(ICHARM)や、国際洪水ネットワークの事務局である国際建設技術協会などで 試行的に開発され、GPM時代での現業化が期待されている分野である。特に地上観測が不足し ている地域において有効であるため、ユネスコやアジア開発銀行などの資金によって、バングラデ シュ、フィリピン、ベトナム、パキスタン等で洪水の予測や河川管理のための取り組みが進んでい る。

(3) 温暖化・気候変動研究での利用

2013年9月に発表された気候変動に関する国際パネル(IPCC)第一作業部会の第5次評価報告 書において、降水に関する将来予測が「世界平均気温の上昇に伴って、中緯度の大陸のほとんど と湿潤な熱帯域において、今世紀末までに極端な降水がより強く、頻繁となる可能性が非常に高 い」と報告されているように、最新の気候変動モデルによる計算では、温暖化に伴う地域的な水循 環の変化、湿潤地域と乾燥地域や雨季と乾季の間での差異が強まるなどの影響が考えられる。 しかし、現在の全球気候モデルは、地球温暖化に関連した降水量の変化を充分に予測できて いるとは言えない。GPM、それも主として二周波降水レーダ(DPR)による精度の高い降水粒子や 降水システムの三次元の情報は、気候モデルの検証やモデルにおける降水過程の改良に用いら れる。衛星による全球的な観測データのもう一つの役割は、他衛星や地上観測データと複合的に 利用し、降水分布の長期変化をモニターすることである。温暖化のような地球規模の変化を捉える には、衛星の全球観測が不可欠である。 GPMの先駆であるTRMM衛星と降雨レーダ(PR)によって、熱帯・亜熱帯域の降水システムの気 候学的研究が進んでいる。熱帯で大きいと言われてきた降雨の日周期、各地域における典型的な 降水システム(例えば高度や大きさ)、極端降雨に関する統計などがPRによって明らかにされた。 TRMMからGPMへと続く20年以上の観測データによって、昨今頻発していると感じる極端な降雨が

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GPMデータ利用ハンドブック 有意に増加しているかどうかを、観測事実からも捉えることができるかもしれない。

(4) 水循環変動研究での利用

全球の水循環の定量的な把握のためには、観測可能なフラックス量としての降水の観測が重要 である。熱帯・亜熱帯の次に主要な、中緯度の温帯低気圧による降水の観測は、GPMにおける新 たな課題として重要である。 GPMによる降水観測の時空間分解能の向上が、水文モデルの改善をもたらすことが期待されて いる。GPMデータは、水循環とその変動を定量化し、水循環における人為的変動と自然変動を識 別するための大きなステップとなる。衛星全球降雨マップを陸面モデル等の入力に使い、河川流 量をシミュレーションする研究も進んでおり、洪水監視や水資源管理などの実用的な目的のための 精度評価の段階にある。

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GPMデータ利用ハンドブック

第2章 GPM衛星システム

本章では、GPM衛星システムの概要を紹介するとともに、GPM主衛星に搭載されるDPRセンサ やGMIセンサの仕様について示す。

2.1. GPM衛星システム概要

2.1.1. GPM計画

全球降水観測計画(GPM)は、二周波降水レーダ(DPR)及びマイクロ波放射計(GMI)を搭載した1 機の主衛星と、マイクロ波放射計(イメージャ/サウンダ)を搭載した複数機のコンステレーション衛星 によって、全球降水の高精度・高頻度観測を行う国際協力ミッションである。複数機のコンステレー ション衛星と連携することにより、約3時間毎の全球降水観測が可能となる。図 2.1-1にGPM計画を 構成する衛星群を示す。 図 2.1-1 GPM計画を構成する衛星群 GPM主衛星は宇宙航空研究開発機構(JAXA)と米国航空宇宙局(NASA)の共同開発であり、 JAXA は情報通信研究機構(NICT)と協力してDPRの開発を行う。またJAXA はミッション機器の 開発に加えて、H-IIA ロケットによる種子島宇宙センターからの打ち上げやデータ処理・データ提 供も担当する。 コ ン ス テ レ ー シ ョ ン 衛 星 群 は 、 NASA 、 米 国 海 洋 大 気 庁 (NOAA) 、 欧 州 気 象 衛 星 機 関 (EUMETSAT)、フランス国立宇宙研究所(CNES)、インド宇宙研究機関(ISRO)等の機関の既存ある

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GPMデータ利用ハンドブック いは将来のマイクロ波放射計(イメージャ/サウンダ)搭載衛星計画を国際協力で連携することにより 実現する。以下に、GPM主衛星及びコンステレーション衛星群の各国・各機関の役割分担を示 す。 表 2.1-1 GPM主衛星及びコンステレーション衛星群の各国・各機関の役割分担 事項 NASA JAXA 備考 GPM 主衛星 衛星バス ○ ミッション機器 DPR ○ NICTと協力して開発 GMI ○ 打上げ ○ H-IIAによる打ち上げ 追跡・管制 ○ データ処理 ○ ○ データ提供 ○ ○ コンステレーション衛星群 NASA( 米 ) 、 NOAA( 米 ) 、 CNES( 仏 )/ISRO( 印 ) 、 EUMETSAT( 欧 ) 、 JAXA等

2.1.2. GPM主衛星概要

GPM主衛星は、DPRとGMIの2種類の観測機器を搭載し「降水システムの水平、鉛直構造の理 解」「降水粒子情報の取得」「コンステレーション衛星による降水量精度向上」を主目的としている。 GPM主衛星は、南端は南緯約65°から、北端は北緯約65°に至る範囲を観測可能領域とし、 太陽非同期軌道を高度約407kmにて飛行する。衛星の高度を保つため、主衛星 は軌道保持マヌ ーバを行う。その間隔は7~10日に1回程度である。 またDPRの走査幅は、Ku帯レーダ(KuPR)は約245km、Ka帯レーダ(KaPR)は約125kmであり、両 者の走査幅が重なる部分では、同期して観測を行う。一方、GMIはコニカルスキャンを行い、そのk 観測走査幅は約904kmである。 ここで、図 2.1-2 GPM主衛星の外観図、表 2.1-2 GPM主衛星の主要諸元および図 2.1-3 GPM主衛星による観測概念を示す。

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GPMデータ利用ハンドブック 図 2.1-2 GPM主衛星の外観図 表 2.1-2 GPM主衛星の主要諸元 衛星諸元 GPM主衛星 打上げロケット H-IIAロケット23号機(種子島宇宙センターより) 打ち上げ日 2014年2月28日(UTC) 衛星軌道 太陽非同期軌道 軌道高度 約 407 km 軌道傾斜角 約 65° 軌道長半径 約6776km 伝送経路 NASA の追跡・データ中継衛星(TDRSS)を経由 ミッション寿命 3年2ヶ月 搭載観測機器 二周波降水レーダ(DPR) マイクロ波放射計(GMI) 質量 約3850kg 寸法 13.0m×6.5m×5.0m マイクロ波放射計(GMI) 二周波降水レーダ(DPR) Ku帯レーダ(KuPR) 太陽電池パドル 二周波降水レーダ(DPR) Ka帯レーダ(KaPR)

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GPMデータ利用ハンドブック 図 2.1-3 GPM主衛星による観測概念 また、GPMにおける主衛星の役割は、DPRおよびGMIによる同時観測によって、全観測データ の校正器(キャリブレータ)として機能することであり、コンステレーション衛星群を含めたマイクロ波 放射計の降水観測を向上させる。

2.1.3. GPMコンステレーション衛星概要

TRMMのような低軌道衛星の場合、1機の衛星だけでは、各地点での観測の頻度は低くなる。そ のためGPM計画ではこの弱点を克服し、より高頻度の観測を実現するために、国内外の複数の衛 星と連携する。コンステレーション衛星としては、主衛星が打ち上げられる2014年前後に運用して いる予定の、各国で計画されているマイクロ波放射計あるいはマイクロ波サウンダを搭載する衛星 が想定されている。表 2.1-3にコンステレーション衛星の一覧を示す。 表 2.1-3 コンステレーション衛星の一覧 センサ名 衛星名 運用期間 運用機関 TRMM Microwave Imager (TMI)

Tropical Rainfall Measuring Mission (TRMM)

1997-運用中 NASA Special Sensor Microwave

Imager (SSMI)

Defense Meteorological Satellite Program (DMSP) series

F-15:1999-運用中 DoD

Special Sensor Microwave Imager/Sounder (SSMIS) Defense Meteorological Satellite Program (DMSP) series F-16:2003-運用中 F-17:2006-運用中 F-18:2009-運用中 F-19:2014-予定 F-20:2020-予定 DoD

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GPMデータ利用ハンドブック

センサ名 衛星名 運用期間 運用機関

Advanced Microwave Scanning Radiometer2 (AMSR2)

Global Change Observation Mission - Water 1 (GCOM-W)

2012-運用中 JAXA

Microwave Analysis and Detection of Rain and Atmospheric Systems (MADRAS) Megha-Tropiques 2011-2013 CNES/ISRO Sondeur Atmospherique du Profil d'Humidite Intertropicale par Radiometrie (SAPHIR) 2011-運用中 Microwave Humidity Sounder (MHS)

National Oceanic and Atmospheric Administration (NOAA) series NOAA-18:2005-運用中 NOAA-19:2009-運用中 NOAA Advanced Microwave

Sounding Unit-A (AMSU-A)

NOAA-18:2005-運用中 NOAA-19:2009-運用中 MHS MetOp series Metop-A:2006-運用中

Metop-B:2012-運用中 Metop-C:2018-予定 EUMETSAT AMSU-A Metop-A:2006-運用中 Metop-B:2012-運用中 Metop-C:2018-予定 Advanced Technology

Microwave Sounder (ATMS)

NOAA-NASA Joint Polar Satellite System (JPSS) JPSS-1:2017-予定 JPSS-2:2022-予定 NOAA ATMS NPP Suomi NPP : 2011- 運 用 中 NASA

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GPMデータ利用ハンドブック

2.2. ミッション機器の概要

2.2.1. 二周波降水レーダ(DPR)

DPRは異なる二つの周波数の電波で降水の三次元構造を観測することにより、強い雨から弱い 雨までを正確に観測可能であるほか、衛星として初めて降雪の観測が可能になる。DPRの観測は、 PRを継続する、熱帯・亜熱帯域の高精度な降雨の長期データセットに加えて、PRでは観測できな かった中・高緯度の温帯低気圧帯域の弱い雨を含む降水データセットを提供可能とする。さらに、 DPRは、その高分解能かつ高精度の観測によって、同時搭載のGPMマイクロ波放射計を通じて、 GPM計画に参加する複数のマイクロ波放射計に対する基準器として機能する。DPRの観測精度を 保証するため、JAXAは関係機関と協力して、地上観測による検証を行っている。 ここで、図 2.2-1 DPR外観図および表 2.2-1 DPR主要諸元を示す。 図 2.2-1 DPR外観図 表 2.2-1 DPR主要諸元 センサ諸元 KuPR KaPR 方式 アクティブフェイズドアレイレーダ アンテナ 導波管スロットアンテナ 周波数 Ku-band 13.6GHz Ka-band 35.55GHz 尖頭送信電力 > 1000W > 140W 鉛直分解能 パルス幅 250 m 1.67μs 250 m / 500 m 1.67μs / 3.34μs 水平分解能 ビーム半値幅 5.2 km(at nadir) 0.71°±0.02°(at nadir) パルス繰り返し周波数(PRF) 可変 観測走査幅 245 km 125 km 観測走査周期 0.7 sec 観測高度 地表面~19km 最少測定降雨強度 0.5 mm/hr 0.2 mm/hr Ku帯レーダ(KuPR) Ka帯レーダ(KaPR)

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GPMデータ利用ハンドブック センサ諸元 KuPR KaPR 受信電力測定精度 ± 1dB ビームマッチング精度 1000 m 未満 設計寿命 3年2ヶ月 データレート 109 kbps 未満 81 kbps 未満 質量 472 ㎏ 未満 336kg 未満 消費電力 446W 未満 344W 未満 寸法 2.5 × 2.4 × 0.6 m 1.4 × 1.2 × 0.8 m

(1) 観測概要

DPRは、KuPRとKaPRという2台のレーダで構成される。 高感度を目的としたKaPRでは、KuPRでは測れない弱い雨や雪の検出に有効であり、強い雨の 検出が可能なKuPRと同時に観測することによって、熱帯の強い雨からの高緯度の弱い降雪までの 降水量を高精度で観測することができる。 これらの周波数では、一般に降水エコー強度は降雨による減衰の影響を受けるが、その減衰量 は周波数や雨粒の大きさに依存する。そこで、KaPRとKaPRのレーダビームの位置や送信パルスタ イミングを一致させ、同じ場所の降水粒子を二周波で同時に観測することによって、その降雨減衰 量の差から雨粒の大きさ(雨粒粒径分布)を推定することができる。ここで、図 2.2-2にDPRによる観 測のイメージを示す。 図 2.2-2 DPRによる観測イメージ

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(2) 運用モード

DPR運用モードは、通常、「通常観測モード」である。ただし、DPRにはその他の運用モードが存 在し、それらの運用モードの場合には、データの取り扱いには十分に注意する必要がある。 ここで表 2.2-2にDPR運用モードを示す。 表 2.2-2 DPR運用モード 運用モード 概要 運用頻度(*) データ利用時の 留意事項 通常観測 モード KuPRは±17.04°のアンテナビーム 走査(49ビーム)、KaPRは±8.52°の アンテナビーム走査(49ビーム)による 降水観測を行うモード 定常的 DPRL1 プロダク ト につ い て、「通常観測モード」以 外のデータは、降水量等 の物理量算出に使用でき な い 。 そ こ で 「 operationalMode 」 を 参 照し「通常観測モード」の みを使用するようなハンド リングが必要である。 なお、DPR L2プロダクト について、「通常観測モ ード」以外のデータには、 欠損値が格納される。 外部校正 モード 地上に設置するレーダ校正装置によ りDPRの校正、及び、KuPR-KaPRビー ムマッチングを行うモード 年に約8回 内部校正 モード FCIFのRF信号折り返しループを用い て受信系の校正を行うモード 週に約1回 SSPA動作 解析モード 受信ビームをコマンドにより指定され た走査角度ビンに固定して、SSPAを1 素子ずつ順次オンにしてパルス送信 を行い、海面からの反射エコーを観測 するSSPAのそれぞれの素子が正常に 信号を増幅していることを確認するモ ード 年に約2回 LNA動作 解析モード 送信ビームをコマンドにより指定され た走査角度ビンに固定して、規定のパ ルス送信を行い、海面からの反射エコ ーを1素子のLNAで順次受信を行う LNAのそれぞれの素子が正常に信号 を増幅していることを確認するモード 年に約2回 ヘルスチェック モード SCDPの内部機能をのヘルスチェック するを行うモード DPR運用 モード遷移時 スタンバイ モード コマンドによる移相器制御データ、送 信パルスタイミングオフセット量、可変 PRFテーブルデータ等のデータ書き 込み、およびそれらの現状パラメータ をテレメトリで確認するモード DPR運用 モード遷移時 セーフティ モード DPRを動作させるためのGPM主衛星 からの電源が供給されず、DPRの“サ バイバルヒータ”のみに電源が供給さ れているモード GPM主衛星 もしくはDPRの 異常時 (*)ここで示す運用頻度は、定常運用期間におけるものである。

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2.2.2. GPMマイクロ波放射計(GMI)

GMIは、GPM要求である概ね全球に近い範囲を高頻度で観測するとした役割を達するために、 マイクロ波、複数チャンネル、コニカルスキャン観測構造を持つ観測機器である。 GMI は10~183GHz の帯域内に13 種類の異なるマイクロ波チャンネルで構成され、TRMM 衛星に搭載されたTMI(TRMM マイクロ波放射計)と同等のチャンネルを実装するとともに、新たに 4つの高周波チャンネル(166GHz と183GHz)を実装している。GMI は直径1.2m のアンテナから なり、TMI に比べ空間的分解能が大きく向上している。 GMI により規定されるオフナディア角は、入射角52.8°に相当する48.5°に設定される。これは 先の同等観測器であるTMI と同じになるよう、GMI の入射角は採択されている。GMI は1 分間に 32 回転し、地上観測点を中心に140°(±70°)の範囲に対してマイクロ波放射分析輝度の計測 を行う。残りの範囲は校正(低温校正及び高温校正)に用いられる。GMI の140°は、地上の観測 走査幅の904km に相当する。 GMI 観測帯の中心部については、DPR観測帯域と重なるが、GMIのオフナディア角が48.5°で、 かつ衛星高度約407kmであることから同一地点の観測時刻が約67秒ずれる。これらのオーバーラ ップする観測は、(特に放射計ベースの)降水観測を改善する上で大変重要である。 ここで、図 2.2-3 GMI外観図および表 2.2-3 GMI主要諸元を以下に示す。 図 2.2-3 GMI外観図

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GPMデータ利用ハンドブック 表 2.2-3 GMI主要諸元 センサ諸元 GMI 周波数 10.65GHz(V/H), 18.7GHz(V/H), 23.8GHz, (V) 36.5GHz(V/H), 89.0GHz(V/H), 165.5GHz(V/H), 183.31±3GHz(V), 183.31±8GHz (V) 水平分解能 6 ~26 km 観測走査幅 904 km 観測走査周期 1.875 sec 設計寿命 3年2ヶ月 データレート 25 kbps 未満 質量 153kg 未満 消費電力 141W 未満 寸法(アンテナ径) 1.2m

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第3章 GPM地上システムの概要

本章では、GPM運用に関連する地上システムの概要を示す。

3.1. 全体地上システム

GPM主衛星運用に関連する地上設備の主要な構成要素を以下に示すとともに、全体構成を図 3.1-1に示す。 GPM主衛星の運用は、NASAのゴダード宇宙飛行センター(GSFC)にあるミッション運用センター (MOC)により、追跡・データ中継衛星(TDRS)を経由して行われる。テレメトリ(遠隔測定信号)や観測 データの取得は、コマンド送信と同様に、追跡・データ中継衛星中継システム(TDRSS)を経由して、 米国のホワイトサンズの地上局(WSC)にて受信される。受信されたデータは、ただちにMOC経由で 降水処理システム(PPS)に送られ、DPR、GMI、DPR/GMI複合高次処理が実施される。 日本へは、PPSよりAPID分離済みデータ(ASD)がEORC情報システム(EIS)に送られ、データ処理 等システム(DPS)で、標準・準リアルタイム処理が行われる。処理後、EISに保存され、観測データ等 を地球観測衛星データ提供システム(G-Portal)に提供する。これにより、研究者等の登録ユーザが G-PortalからGPMプロダクトを検索し取得することができる。 図 3.1-1 GPM地上システムの全体構成

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3.2. JAXA設備

(1) GPM/DPRミッション運用系システム

GPM/DPRミッション運用系システムは、GPM主衛星に搭載される二周波降水レーダ(DPR)につ いて、ミッション運用管理を行い、同衛星が取得する地球観測データ等を取得、処理、保存、提供 するシステムである。 本システムは、NASAから取得するASDを用いて、標準処理等を行うDPSと、ASD、プロダクト等の 保存管理、および本システム内外におけるデータ伝送等を行うEISから構成される。 (1-a) データ処理等システム(DPS) DPSは以下の4つの機能から構成される。 1)GPM/DPR運用計画の立案 2)HKデータ等のモニタ、長期トレンド解析、校正処理 3)標準・準リアルタイム処理、再処理 4)アルゴリズム試験・評価機能 (1-b) EORC情報システム(EIS) EISは以下の3つの機能から構成される。 1)データやプロダクトの送受信 2)気象庁へのプロダクトの提供 3)データやプロダクトの保存管理 (1-c) 地球観測衛星データ提供システム(G-Portal) G-Portal は、地球観測衛星のミッション運用系システムに保存されている観測データ等 を、一般研究者等のユーザがInternetを介して検索し取得することができるデータ提供シス テムである。 主な特徴として、ユーザに対し複数の地球観測衛星のデータの検索/提供をワンストッ プのサービスとして提供することを目的としている。また、取扱う提供データが増えても小規 模なシステム改修で対応可能でありハードウェアの増強により処理性能を向上できる機能 を有するシステムである。 (1-d) 自動アラートシステム(AAS) 自動アラートシステムは、GPM/DPR ミッション運用系システムをはじめとする地上設備 自体が検知した異常について、仕様に基づきメールシステムを介して異常検知のアラート を受信し、最適な人員に迅速かつ確実にメール通報を行うシステムである。 異常ケースについては緊急度や通報時のエスカレーション等の設定が行え、各システム 単位にてこれを設定、運用する。また、異常に対する処置状況も管理する。

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(2) GPM利用研究系システム

利用研究系システムは、GPM/DPR で観測した受信電力値とノイズレベル値から地球物理量を 導出する機能及びセンサ特性評価、校正、各種プロダクトの評価を行う機能を有するシステムであ る。検証されたアルゴリズム・ソフトウェアやパラメータはGPM/DPR ミッション運用系システムに提 供される。

(3) GCOM-W ミッション運用系システム

2012年5月に打ち上げられたGCOM-W(Global Change Observation Mission 1st-Water)に搭載 されるAMSR2(Advanced Microwave Scanning Radiometer 2)にて観測されたミッションデータの処 理と提供を担うシステムである。TKSC内に設置され、約99分毎に取得されるミッションデータの処 理・提供を定常的に実施している。 気象庁とJAXA 間において気象庁から提供されるデータのJAXA側窓口システムとなっており、 GPM/DPR ミッション運用系システムはGCOM-Wミッション運用系システムを経由して気象データ を得る。

(4) 地球観測基盤システム(EACH)

地球観測基盤システム(EACH:Earth observation Analysis Core and Hub system)は、TKSCに 設置される衛星・センサ毎のミッション運用系システム、及び利用研究系システムを構成する計算 機設備群の中核となる計算機設備及びネットワーク設備であり、地球観測データの保存、解析・処 理支援、公開及び運用管理を目的としたシステムである。

3.3. NASA設備

(1) TDRSS

TDRSS(tracking and data relay satellite system)とは、TDRS(追跡・データ中継衛星)を使って、 人工衛星の軌道を追跡したり、衛星と地上設備間におけるコマンド・テレメトリの送受信を中継する システムである。地上局はホワイトサンズに設置されており、指揮/管轄はゴダード宇宙飛行センタ ー(GSFC)のMOCにより遠隔操作されている。

(2) NASA/MOC

MOCミッション運用センター(MOC)は、衛星運用(以下の運用を含む)に関する設備を保有し ている。 (a)衛星と観測機器のリアルタイム状態監視(リミットチェック)

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GPMデータ利用ハンドブック (b)観測機器の健全性と安全性の評価(トレンド評価) (c)コマンド運用 (d)ネットワーク、衛星、観測機器の運用計画 (e)衛星運用支援 衛星地上間の回線によりテレメトリを受信し、衛星地上間ファイル伝送プロトコル(CCSDSFile Delivery Protocol: CFDP)を終了する。

JAXA へはDPR状態監視を支援するために、ASIST(the Web-accessible monitoring system)と ITPS(Trend Analysis System)の提供を行う。また、MOCでは、PPSを経由しJAXA からのDPR 観 測要求を取りまとめる。

(3) NASA/PPS

降水観測ミッション処理システム(Precipitation Processing System:PPS)は、TRMM、GPM、及び その他NASAの降水ミッション・プログラムを支援するためのデータ処理システムである。

PPSでは、NASA-JAXAにおけるGPMミッションのためにデータ処理、提供、保存を行う。 PPSは以下の4つの機能から構成される。

1)センサデータ処理機能(Sensor data processing segment:SDPS)

2)観測データ処理・情報化機能(science data processing and information segment:SDIS) 3)GPM観測データ提供機能(GPM science data distribution segment:SDS)

4)観測データ保存機能(the science data archive:SDA)

JAXA とPPS間におけるインタフェースは、SDPSとSDSにて行われる。

3.4. 外部機関・設備

(1) コンステレーション衛星データ提供機関

コンステレーション衛星データ提供機関は、JAXA、NASA、米国海洋大気庁(NOAA)、アメリカ合 衆国国防総省(DoD)、欧州気象衛星開発機構(EUMETSAT)、フランス国立宇宙研究センター (CNES)、インド宇宙研究機関(ISRO)などを指し、各機関で開発・計画されているマイクロ波放射計 あるいはマイクロ波サウンダによる観測データ(L1)をNASA/PPSに提供している。 GPMに参加している或いは参加が計画されているコンステレーション衛星の一覧は表 2.1-3を 参照のこと。以下に主なURLを記す。 ① JAXA: http://www.jaxa.jp/ ② NASA: http://www.nasa.gov/mission_pages/GPM/main/ ③ NOAA: http://pmm.nasa.gov/GPM ④ EUMETSAT: http://www.eumetsat.int/website/home/index.html ⑤ CNES: http://www.cnes.fr/web/CNES-en/7114-home-cnes.php

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⑥ ISRO: http://www.isro.org/

(2) 気象庁

気象庁(JMA:Japan Meteorological Agency)は、国土交通省管轄の日本国内の気象機関であり、 的確な気象情報を提供することによって、自然災害の軽減、国民生活の向上、交通安全の確保、 産業の発展の実現を任務とし、世界でも先進的な気象機関として、気象業務に関する国際協力を 行っている。以下にURLを記す。 http://www.jma.go.jp/jma/index.html

① 気象庁でのGPMデータの利用

数値予報の検証・精度評価、客観解析、長期再解析、海況解析、台風解析、静止気象衛星プロ ダクトの改良に利用する。

② GPMでの気象庁データの利用

GPMのDPR、GMIから得られる降水強度及び関連する気象要素について、気象データとの比較 を通じて、データの品質保証・アルゴリズム改善を行う。また、GPMのDPR、GMIやコンステレーショ ン衛星のマイクロ波放射計等から得られるデータから降水量算出を行う高次処理に使用する。 GPM主衛星及びコンステレーション衛星群の各センサのフットプリントに整形・内挿した全球客 観解析値は、高次プロダクトの環境格子点データとして、利用者に公開する。 GPMのDPR、GMIやコンステレーション衛星のマイクロ波放射計等から得られる降水強度及び関 連する気象要素について、気象データとの比較を通じて、データの品質保証・アルゴリズム改善を 行う。

(3) ICHARM

水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM:International Centre for Water Hazard and Risk Management)は、世界の水関連災害を防止・軽減するために、各地域の実態をふまえた的確 な戦略を提供し、その実践を支援する世界的な拠点としての役割を果たすことを使命としている機 関である。以下にURLを記す。

http://www.icharm.pwri.go.jp/

JAXAが提供する地球観測衛星データ及び全球降水マップ(Global Satellite Precipitation Map:GSMaP)データに基づき、水災害関連予測(洪水災害、渇水災害、土砂災害、津波・高潮災 害、水質汚濁及び雪氷災害等)のための解析研究を行い、水関連災害リスクの評価に資する。

ICHARMは、IFAS(*1)の運用を通じたGSMaPデータ(降水マップ作成アルゴリズムにより、複数 の地球観測衛星データを合成してJAXAが作成提供している高次付加価値のデータセット)の利用 実証を行い、その成果は、JAXA及びIDIに提供される。また、日雨量データを用いてGPMデータ

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GPMデータ利用ハンドブック (全球降水観測計画によって取得されるデータ)の検証を行う。その成果は、JAXAに提供される。 (*1)「IFAS」とは、水文情報の乏しい地域において、迅速かつ効率的に洪水予警報を行うことを 目的に、ICHARMが研究開発を進めている人工衛星観測雨量を利用した総合洪水解析システム をいう。

(4) IDI

国際建築技術協会(IDI:Infrastructure Development Institude - Japan)は、日本の優れた技術と 有能な人材を活用しつつ、世界のカウンターパートと協力して、貧困削減、平和の構築、環境の保 全など地球規模の課題にインフラの整備を通して取り組み、世界の平和と安定、経済・社会の発展 に寄与することを掲げている一般社団法人である。以下にURLを記す。

http://www.idi.or.jp/

IDIは、GFAS(*2)の運用を通じてJAXAが提供する地球観測衛星データ及び全球降水マップ (Global Satellite Precipitation Map:GSMaP)データの利用実証を行う。その成果は、JAXA及び ICHARMに提供される。

(*2)「GFAS」とは、複数個の地球観測衛星で観測された降雨データを基に、世界の河川流域の 降雨とその生起確率情報(洪水発生を判断する情報)を提供することを目的に、IDIが事務局を務 める国際洪水ネットワークが管理運営する洪水警報システム(Global Flood Alert System:GFAS)を いう。

(5) 情報通信研究機構

情報通信研究機構(NICT:National Institute of Information and Communications Technology) は、総務省管轄の情報通信分野を専門とする唯一の公的研究機関であり、豊かで安心・安全な社 会の実現や我が国の経済成長の原動力である情報通信技術(ICT)の研究開発を推進し、情報通 信事業の振興業務を実施している。以下にURLを記す。 http://www.nict.go.jp/ NICTは、GPMにおいて、その中心的な役割を担う観測機器としたDPR(GPM主衛星に搭載)を JAXAと協力し開発した。NICTでは、DPRの観測データの校正や検証(*3)を行い、レーダの性能 確認や経年変化をモニターすると共に降水量推定アルゴリズムの改良等を行うことで、DPRの観測 データを用いた高精度な降水分布情報を提供する。 (*3)観測データの検証は、NICTの沖縄電磁波技術センターに設置されているC帯の降雨レー ダ(COBRA)や、2014年3月に完成したX帯のフェーズドアレイ気象レーダ・ドップラーライダー融合 システム(PANDA: Phased Array radar Network Data system)にて同期観測を行う。また、アルゴリ ズムの検証については、上空の雪や氷が融解して雨となる融解層内の降水粒子の詳細な観測を 目的とした気球観測により行う。

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第4章 GPMプロダクト

本章では、JAXAから提供される標準プロダクト、準リアルタイムプロダクトのデータ処理アルゴリ ズム、およびデータフォーマットの概要を示す。

4.1. プロダクト概要

4.1.1. GPM処理レベル定義

GPM処理のレベル定義を表 4.1-1に示す。 表 4.1-1 GPM処理レベルの定義 処理名 内容 レベル0処理 APID 分離済みデータ(GPM主衛星からCCSDS 標準に則りパケット 同期を取ってAPID毎に分離したデータ)を入力とし、パケットプライ マリヘッダ、セカンダリヘッダの情報から、データの時間範囲抽出、 連続性(欠損有無)の確認等をする処理。この処理で作成されるレ ベル0データは提供されない。 レベル1A処理 レベル0データを入力とし、センサ出力工学値、衛星姿勢・位置情 報、センサの状態、変換係数などを、ある一定の周回単位で定義さ れるファイル単位(シーン)にもとづいて格納したもの。 なお、本データはミッション運用系システムにてマスタデータとして 管理されるが、ユーザへは提供されない。 レベル1B、1C処理 レベル1Aデータを入力とし、レベル1アルゴリズムにより幾何補正を 行い、受信電力、あるいは輝度温度等に変換する処理。 レベル2処理 レベル1プロダクトを入力とし、レベル2アルゴリズムにより降水に関 する各種物理量(地表面散乱断面積、降水タイプ、ブライトバンド高 度、減衰補正済みレーダ反射因子、降水強度など)を算出した処 理。 レベル3処理 レベル1 またはレベル2 プロダクトを入力とし、空間的及び時間的 に統計処理を行う。 作成されるプロダクトの領域は全球で、プロダクトの範囲期間は月単 位、日単位、時間単位(全球降水マップ)である。

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4.1.2. GPM処理フロー

4.1.1項で示した処理レベル定義に対応し、GPMプロダクトは図 4.1-1に示す処理フローに従っ て処理される。 図 4.1-1 GPMプロダクトの処理フロー

4.1.3. 提供プロダクト

JAXAより提供される標準プロダクトを表 4.1-2に、準リアルタイムプロダクトを表 4.1-3に示す。 標準プロダクトとは、NASAおよびJAXAが精度保証したプロダクトである。準リアルタイムプロダク トは気象機関等で気象予報等で用いることを目的としており、配信時間の短縮を図るために、使用 する一部の補助データ、およびファイル格納範囲が標準プロダクトと異なっている。 GMI KuPR L1A Ku Instrument Counts KaPR L1A Ka Instrument Counts KuPR L1B Ku Calibrated Power KaPR L1B Ka Calibrated Power KuPR L2 Ku Precipitation KaPR L2 Ka Precipitation DPR L2 DPR Precipitation DPR L3 DPR Precipitation GSMaP L3 Global Satellite Mapping of Precipitation GANAL JMA Global Analysis data Constellation Radiometers IR Gauge

DPR

GMI

GMI L1A GMI Instrument Counts GMI L1B GMI Brightness Temperatures(Tb)

L1

L2

L3

GMI Base GMI Antenna Temperatures GMI L1C GMI Calibrated Tb GMI L2 GMI Precipitation DPR/GMI Comb L2 Combined Precipitation DPR/GMI Comb L3 Combined Precipitation GMI L3 GMI Precipitation

GSMaP

Notes; DPR Algorithm GMI Algorithm Combined Algorithm Satellite / Auxiliary Data

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GPMデータ利用ハンドブック 表 4.1-2 標準プロダクト一覧 プロダクト プロダクト名称 ファイルサイズ シーン単位(*) 提供頻度 DPRプロダクト KuPR レベル1 約17MB 1周回 約16ファイル/日 KaPR レベル1 約18MB 1周回 約16ファイル/日 KuPR レベル2 約50MB 1周回 約16ファイル/日 KaPR レベル2 約44MB 1周回 約16ファイル/日 DPR レベル2 約93MB 1周回 約16ファイル/日 DPR レベル3 (日平均) (TEXT形式) 約10MB 全球 (0.1°格子、67°N~67°S) 1ファイル/日 DPR レベル3 (日平均) (HDF形式) 約3MB 全球 (0.25°格子、67°N~67°S; 5°格子、70°N~70°S) 1ファイル/日 DPR レベル3 (月平均) 約50MB 全球 (0.25°格子、67°N~67°S; 5°格子、70°N~70°S) 1ファイル/1ヵ月 GMIプロダクト GMI レベル1B 約55MB 1周回 約16ファイル/日 GMI レベル1C 約25MB 1周回 約16ファイル/日 GMI レベル2 約7MB 1周回 約16ファイル/日 GMI レベル3 (月平均) 約3MB 全球 (0.25°格子、90°N~90°S) 1ファイル/1ヵ月 DPR/GMI複合 プロダクト DPR/GMI複合 (Comb) レベル2 約85MB 1周回 約16ファイル/日

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GPMデータ利用ハンドブック プロダクト プロダクト名称 ファイルサイズ シーン単位(*) 提供頻度 DPR/GMI複合 (Comb) レベル3 (月平均) 約8MB 全球 (0.25°格子、67°N~67°; S5°格子、70°N~70°S) 1ファイル/1ヵ月 GSMaP プロダクト 全球合成降水マップ レベル3 (時間平均) (HDF形式) 約4MB 全球 (0.1°格子、90°N~90°S) 24ファイル/日 全球合成降水マップ レベル3 (時間平均) (TEXT形式) 約5MB 全球 (0.1°格子、90°N~90°S) 1ファイル/日 全球合成降水マップ レベル3 (月平均) 約4MB 全球 (0.1°格子、90°N~90°S) 1ファイル/1ヵ月 コンステレーシ ョン衛星 L1Cプロダクト DMSP F16 SSMIS レベル1C 約23MB 1周回 14ファイル/日 DMSP F17 SSMIS レベル1C 約23MB 1周回 14ファイル/日 DMSP F18 SSMIS レベル1C 約23MB 1周回 14ファイル/日 MetopA MHS レベル1C 約4MB 1周回 14ファイル/日 MetopB MHS レベル1C 約4MB 1周回 14ファイル/日 NOAA-18 MHS レベル1C 約4MB 1周回 14ファイル/日 NOAA-19 MHS レベル1C 約4MB 1周回 14ファイル/日 NPP ATMS レベル1C 約20MB 1周回 14ファイル/日

Megha Tropiques SAPHIR レベル1C 約10MB 1周回 14ファイル/日 GCOM-W AMSR2 レベル1C 約85MB 1周回 15ファイル/日

TRMM TMI レベル1C 約15MB 1周回 16ファイル/日

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GPMデータ利用ハンドブック 表 4.1-3 準リアルタイムプロダクト一覧 プロダクト プロダクト名称 ファイルサイズ シーン単位(*1) 提供頻度 観測開始からの提供時間 (*2) DPRプロダクト KuPR レベル1R 約10MB 30分 48ファイル/日 約60分 KaPR レベル1R 約8MB 30分 48ファイル/日 約60分 KuPR レベル2R 約16MB 30分 48ファイル/日 約65分 KaPR レベル2R 約14MB 30分 48ファイル/日 約65分 DPR レベル2R 約30MB 30分 48ファイル/日 約70分 GMIプロダクト GMI レベル1BR 約4MB 5分 288ファイル/日 約20分 GMI レベル1CR 約2MB 5分 288ファイル/日 約20分 GMI レベル2R 約1MB 5分 288ファイル/日 約25分 DPR/GMI複合 プロダクト DPR/GMI複合 (Comb) レベル2R 約30MB 30分 48ファイル/日 約85分 GSMaP プロダクト 全球合成降水マップ レベル3R (HDF形式) 約4MB 全球 (0.1°格子、90°N~90°S) 24ファイル/日 約255分 全球合成降水マップ レベル3R (TEXT形式) 約2MB 全球 (0.1°格子、90°N~90°S) 24ファイル/日 約255分 コンステレーシ ョン衛星 L1Cプロダクト DMSP F16 SSMIS レベル1CR 約23MB 1周回 14ファイル/日 約130分 DMSP F17 SSMIS レベル1CR 約23MB 1周回 14ファイル/日 約150分 DMSP F18 SSMIS レベル1CR 約23MB 1周回 14ファイル/日 約130分 MetopA MHS レベル1CR 約4MB 1周回 14ファイル/日 約155分 MetopB MHS レベル1CR 約4MB 1周回 14ファイル/日 約105分

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GPMデータ利用ハンドブック プロダクト プロダクト名称 ファイルサイズ シーン単位(*1) 提供頻度 観測開始からの提供時間 (*2) NOAA-18 MHS レベル1CR 約4MB 1周回 14ファイル/日 約300分 NOAA-19 MHS レベル1CR 約4MB 1周回 14ファイル/日 約160分 (*1)GPMミッション運用系システムにて作成されるプロダクトのシーン単位の定義を表 4.1-4に示す。 (*2)2014/6/5~2014/6/9まで実績値

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GPMデータ利用ハンドブック 表 4.1-4 作成プロダクトのシーン定義 データ種別 シーン定義 シーン模式図 備考 標準プロダクト (レベル1/レベル2) 観測位置の南端直後から次の 南端までの1周回のこと。 衛 星 ごと に 1 周 回の 長 さは異 なる 。 GPM主衛星は約92分。 準リアルタイムプロダクト (レベル1/レベル2) 観測データをある一定時間で切 り出したもの。 1周回(南端直後から次の南端まで)を 分割したものではないので、観測範 囲はシーンごとに異なる。 またプロダクトごとにシーン範囲は異 なる。 標準プロダクト 準リアルタイム (レベル3) 一定の空間で格子状にデータ 配列されたもの。 プロダクトごとに格子サイズおよびファ イル格納範囲が異なる。 Start End Start End

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4.1.4. ファイル命名規約

グラニュールIDをプロダクトのファイル名とする。グラニュールIDとは、全球地球観測衛星データ を一意に識別することのできるコードのことを称する。GPMのレベル1~3プロダクトは、ミッションID 、 センサID、シーン開始/終了時刻などの「シーンID」と処理レベル、アルゴリズムキーなどの「プロダ クトID」で構成される。ファイルの命名規約を以下に示す。

(1) L1及びL2標準プロダクトの命名規約

該当するプロダクトとして、KuPRレベル1(標準:STD)、KuPRレベル2(STD)、KaPRレベル1(STD)、 KaPRレベル2(STD)、DPRレベル2(STD)、GMIレベル1B(STD)、GMIレベル1C(STD)、GMIレベル 2(STD)、DPR/GMI複合レベル2(STD)、MWI/MWS L1C(STD)が存在する。表 4.1-5にL1及びL2 標準プロダクトの命名規約を示す。 表 4.1-5 L1及びL2標準プロダクトの命名規約

Field name Field

Width Description (1) Mission ID (Mission name + Satellite ID) 6 GPM (GPM mission, fixed),

xxx (COR: GPM core satellite, etc. See Table 4.1-10)

(2) Sensor ID 3 sss ( KUR:KuPR, KAR:KaPR, CMB: DPR/GMI combined, etc. See Table 4.1-10)

(3) Scene Start 10 YYMMDDhhmm (UTC) (4) Scene End 4 hhmm (UTC)

(5) Orbit Number 6 nnnnnn (000001~999999) (6) Process Level

(Level+Type) 3

LL (1B:Level 1B, 1C:Level 1C, L2:Level 2) S (Standard, fixed)

(7) Algorithm Key 3 Identify Algorithm name & Developer See Table 4.1-11

(8) Product Version 3 VV (01~99, Major ; count up at re-processing) v (A~Z, Minor)

GPMxxx _ sss _ YYMMDDhhmm _ hhmm _ nnnnnn _ LLS _ aaa _ VVv . h5

(1)Mission ID (3) Scene Start (4) Scene End (6) Process Level (8)Product Version (2) Sensor ID (5) Orbit Number (7)Algorithm Key

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(2) L1及びL2準リアルタイムプロダクトの命名規約

該当するプロダクトとして、KuPRレベル1(準リアルタイム:NRT)、KuPRレベル2(NRT)、KaPRレベ ル1(NRT)、KaPRレベル2(NRT)、DPRレベル2(NRT)、GMIレベル1B(NRT)、GMIレベル1C(NRT)、 GMIレベル2(NRT)、MWI/MWS L1C(NRT)が存在する。表 4.1-6にL1及びL2準リアルタイムプロダ クトの命名規約を示す。 表 4.1-6 L1及びL2準リアルタイムプロダクトの命名規約

JAXA field name Field

Width Description (1) Mission ID (Mission name + Satellite ID) 6 GPM (GPM mission, fixed),

xxx (COR: GPM core satellite, etc. See Table 4.1-10)

(2) Sensor ID 3 sss ( KUR:KuPR, KAR:KaPR, CMB: DPR/GMI combined, etc. See Table 4.1-10)

(3) Scene Start (UTC) 10 YYMMDDhhmm(UTC) (4) Scene End (UTC) 4 hhmm(UTC)

(5) Process Level 3 LL (1B:Level 1B, 1C:Level 1C, L2:Level 2) R (Near real time, fixed)

(6) Algorithm Key 3 Identify Algorithm name & Developer See Table 4.1-11

(7) Product Version 3 VV (01~99, Major ; count up at re-processing) v (A~Z, Minor)

GPMxxx _ sss _ YYMMDDhhmm _ hhmm _ LLR _ aaa _ VVv . h5

1)Mission ID (3) Scene Start (4) Scene End (6) Algorithm Key

(36)

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(3) L3(Hourly)標準/準リアルタイムプロダクトの命名規約

該当するプロダクトとして、全球合成降水マップレベル3(NRTおよびSTD)が存在する。表 4.1-7 にL3(Hourly)標準/準リアルタイムプロダクトの命名規約を示す。 表 4.1-7 L3(Hourly)標準/準リアルタイムプロダクトの命名規約

JAXA field name Field

Width Description (1) Mission ID (Mission name + Satellite ID) 6 GPM (GPM mission, fixed), MRG (GPM merge, fixed)

(2) Sensor ID 3 MAP (Global Satellite Mapping of Precipitation, fixed) (3) Scene Start (UTC) 10 YYMMDDhhmm(UTC)

(4) Process Unit 1 H (Hourly, fixed) (5) Process Level 3 L3 (Level 3, fixed)

t (S:Standard, N:Near real time) (6) Algorithm Key 3 Identify Algorithm name & Developer

See Table 4.1-11

(7) Product Version 3 VV (01~99, Major ; count up at re-processing) v (A~Z, Minor)

GPMMRG _ MAP _ YYMMDDhhmm _ H _ L3t _ aaa _ VVv . h5

(1)Mission ID (3) Scene Start (4) Process Unit (6) Algorithm Key

(37)

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(4) L3(Daily)標準プロダクトの命名規約

該当するプロダクトとして、DPRレベル3が存在する。表 4.1-8にL3(Daily)標準プロダクトの命名 規約を示す。

表 4.1-8 L3(Daily)標準プロダクトの命名規約

JAXA field name Field

Width Description (1) Mission ID (Mission name + Satellite ID) 6 GPM (GPM mission, fixed) COR (GPM core satellite, fixed)

(2) Sensor ID 3 DPR (DPR: DPR, fixed) (3) Scene Start (UTC) 6 YYMMDD(UTC) (4) Process Unit 1 D (Daily)

(5) Process Level 3 L3 (L3:Level 3, fixed) S (Standard, fixed)

(6) Algorithm Key 3 Identify Algorithm name & Developer See Table 4.1-11

(7) Product Version 3 VV (01~99, Major ; count up at re-processing) v (A~Z, Minor)

GPMCOR _ DPR _ YYMMDD _ D _ L3S _ aaa _ VVv . h5

(1)Mission ID (3) Scene Start (4) Process Unit (6) Algorithm Key

(38)

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(5) L3(Monthly)標準プロダクトの命名規約

該当するプロダクトとして、DPRレベル3、DPR/GMI複合レベル3、全球合成降水マップレベル3、 GMIレベル3が存在する。表 4.1-9にL3(Monthly)標準プロダクトの命名規約を示す。

表 4.1-9 L3(Monthly)標準プロダクトの命名規約

JAXA field name Field

Width Description (1) Mission ID (Mission name + Satellite ID) 6 GPM (GPM mission, fixed),

xxx (COR: GPM core satellite, etc. See Table 4.1-10)

(2) Sensor ID 3 sss( KUR:KuPR, KAR:KaPR, CMB: DPR/GMI combined, etc. See Table 4.1-10)

(3) Scene Start (UTC) 4 YYMM(UTC) (4) Process Unit 1 M (Monthly) (5) Process Level 3 L3 (Level 3, fixed)

S (Standard, fixed)

(6) Algorithm Key 3 Identify Algorithm name & Developer See Table 4.1-11

(7) Product Version 3 VV (01~99, Major ; count up at re-processing) v (A~Z, Minor) また、命名規約に関する補足情報として、表 4.1-10に衛星識別/センサ識別、 表 4.1-11にアルゴリズムキーについて示す。 表 4.1-10 衛星識別/センサ識別一覧 衛星名 センサ名 衛星識別 (3文字) センサ識別 (3文字) GPM Core

KuPR COR KUR KaPR COR KAR

DPR COR DPR

GMI COR GMI

Combined Products COR CMB Map Products MRG MAP Megha Tropiques MADRAS MGT MDR SAPHIR MGT SPH

GPMxxx _ sss _ YYMM _ M _ L3S _ aaa _ VVv . h5

(1)Mission ID (3) Scene Start (4) Process Unit (6) Algorithm Key

(39)

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衛星名 センサ名 衛星識別

(3文字)

センサ識別 (3文字) GCOM-W AMSR2 GW1 AM2 DMSP F16 SSMIS F16 MIS DMSP F17 SSMIS F17 MIS DMSP F18 SSMIS F18 MIS DMSP F19 SSMIS F19 MIS NOAA-18 MHS N18 MHS NOAA-19 MHS N19 MHS NPP ATMS NPP ATS METOP-A MHS MTA MHS METOP-B MHS MTB MHS TRMM TMI TRM TMI 表 4.1-11 アルゴリズムキー一覧 処理アルゴリズム アルゴリズムKey (3文字) KuPRレベル1B処理 DUB KaPRレベル1B処理 DAB KuPRレベル2処理 DU2 KaPRレベル2処理 DA2 二周波降水(Dual)レベル2処理 DD2 二周波降水(Dual)レベル3処理(Daily、Text形式) D3D 二周波降水(Dual)レベル3処理(Daily、HDF5形式) D3Q 二周波降水(Dual)レベル3処理(Monthly) D3M PPS処理 GMIレベル1B処理 G1B PPS処理 GMIレベル1C処理 G1C PPS処理 GMIレベル2処理 GL2 PPS処理 GMIレベル3処理 GL3 PPS処理 DPR/GMI複合(Comb)レベル2 CL2 PPS処理 DPR/GMI複合(Comb)レベル3 CL3 PPS処理 コンステレーション衛星レベル1C処理 センサ識別 表4.1-10参照 GSMaP処理(Hourly、標準処理、HDF5形式) MCH GSMaP処理(Hourly、標準処理、Text形式) MCT GSMaP処理(Hourly、準リアルタイム処理、HDF5形式) MFW GSMaP処理(Hourly、準リアルタイム処理、Text形式) MFT GSMaP処理(Monthly) MCM 以下のプロダクトは、グラニュールID規約に従い、NASA/PPSより提供されるプロダクトからリネー ム処理が行われ、G-Portalから提供される。(本節で示した命名規約は、既にリネーム後の名称で

(40)

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ある)

・ GPM 主衛星(センサ識別:GMI、CMB)の全プロダクト ・ GPM コンステレーション衛星のレベル1Cプロダクト

(41)

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4.2. DPRプロダクト

4.2.1. 処理概要

(1) レベル1処理

DPRレベル1アルゴリズムは、DPRレベル1AアルゴリズムとDPRレベル1Bアルゴリズムから構成さ れる。KuPR用アルゴリズムとKaPR用アルゴリズムはそれぞれ独立させて作成するため、合計4つの アルゴリズムから構成される。 DPRレベル1Aアルゴリズムの処理フローを図 4.2-1に示す。入力データはサイエンステレメトリ、 HKテレメトリ、衛星アンシラリデータであり、出力データはDPRレベル1Aデータである。DPRレベル 1Aアルゴリズムの主な機能は、1グラニュール単位のデータ切り出しおよびテレメトリのリミットチェッ クである。 図 4.2-1 DPRレベル1Aアルゴリズムの処理フロー DPRレベル1Bアルゴリズムの処理フローを図 4.2-2に示す。入力データはDPRレベル1Aデータ、 姿勢データ、軌道データ、出力データはDPRレベル1プロダクト(受信電力値プロファイル、緯度、 経度、伝搬距離等)である。DPRレベル1Bアルゴリズムの主な機能は、システムノイズ及び衛星高 度のリミットチェック、ラジオメトリック補正(温度補正、校正を含めた受信電力値算出)、幾何計算で ある。サブ機能として、品質フラグ付加、欠損処理などが挙げられる。 図 4.2-2 DPRレベル1Bアルゴリズムの処理フロー

サイエンス

テレメトリ

HK

テレメトリ

衛星

アンシラリ

オービット

切り出し

リミット

チェック

L1A

データ

リミット

チェック

姿勢

データ

ラジオメトリック

補正

幾何計算

P(r) 受信電力 緯度・経度 伝搬距離

L1Bプロダクト

L1A

データ

軌道

データ

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(2) レベル2処理

DPRレベル2アルゴリズムの処理フローを図 4.2-3に示す。DPRのレベル2処理アルゴリズムは、 KuPR およびKaPR それぞれによって観測された受信電力値プロファイルを相補的に利用し、降 水強度プロファイルを推定する機能を持つ。また、サイドローブクラッタの除去や降水タイプ、降雨 頂高度、ブライトバンド高度などを推定する機能も持つ。 DPRのレベル2処理アルゴリズムは TRMM/PR標準アルゴリズムをベースとし、新規開発要素として二周波観測による情報を利用する 機能を有する。TRMM/PRのレベル2標準アルゴリズムは大きく3つのアルゴリズムから構成されてい たが、DPRではこれを複数のモジュールを含む一つのアルゴリズムとして扱えるように考慮している。 また長期継続データの作成のために、TRMM/PRとKuPRのどちらにも適用可能なアルゴリズムとし て、開発されている。 図 4.2-3 DPRレベル2アルゴリズムの処理フロー レベル2 アルゴリズムの入力データはレベル1プロダクト(受信電力値プロファイル等)であり、出 力データはレベル2プロダクト(降水強度プロファイル等)である。 標準アルゴリズムからは、KuPRプロダクト、KaPRプロダクト、DPRプロダクトが作成される。このう ち、KuPR プロダクトはKuPR による観測のみを利用してwide swath(約245km 幅)に対して処理す る。KaPR プロダクトはKaPR による観測のみを利用してnarrow swath(約125km幅)に対して処理す る。DPRプロダクトはnarrrow swathに対してはKuPR とKaPRの両方の観測を利用して処理し、 narrow swathを含まないwide swathに対してはKuPRによる観測と、narrow swathにおけるKuPRと KaPRの観測から得られた情報を拡張して処理する。

(3) レベル3処理

レベル3 アルゴリズムはレベル2 プロダクト(降水強度プロファイル等)を入力し、レベル3 プロ ダクト(日平均降水量・月平均降水量)を出力する。 レベル3の標準アルゴリズムは、レベル2の標 準アルゴリズムの各プロダクトの結果を時空間的に統計処理し、地図投影を行うものである。レベル 3アルゴリズムは、標準アルゴリズムのみである。

表  4.1-8    L3(Daily)標準プロダクトの命名規約
表  4.1-9  L3(Monthly)標準プロダクトの命名規約
図  5.1-2  G-Portal  SFTPダイレクト取得先
図  5.1-4  NASA標準プロダクト入手先(STORMホームページ)
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参照

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