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魚類の腐敗検定法に関する研究 (3) : ヌクレオチドの変化による検定について

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Academic year: 2021

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(1)

魚 類 の 腐敗 検 定 法 に 関 す る研 究(3)

ヌ ク レ オ チ ドの 変 化 に よ る 検 定 に つ い て

宮 崎 由 紀 子

坂 田 由 紀 子

Studies

on the

Determinate

method

for

the

Grade

of Putrefaction

of Fish.

Part

3.

On the

Determination

by the

Decomposition

of Nucleotide.

Yukiko Miyazaki, Kaoru Ohta Yukiko Sakata, 1.ま え が き 著 者 等 は 魚 類 の 腐 敗 度 を 検 定 す るに 当 り,従 来 か ら 行 なわ れ て い な い新 しい 方 法,あ るい は.よ り正 確 な 方 法 を 見 出 そ う と種 々検 討 を 行 な って い る。 魚 類 の 腐 敗 度 を 判 定 す るに は種 々 の方 法 が あ る が. 魚 肉 の 腐敗 に よ る分 解 生 成 物 を測 定 す る方 法,例 え ば ① ② ③ ④ ア ン モ ニ ア,ア ミ ノ 酸,ト リ メ チ ル ア ミン.硫 化 水 素 0 イ ン ド0ル 等 を 定 量 す る方 法 が よ く行 なわ れ る が,こ れ らの 結 果 よ り腐 敗 初 期 を 判 定 す る こ と は.研 究 者 に よ り,ま た 魚 種 等 に よ り多 少 異 っ て い る。 魚 類 の 腐 敗 は細 菌 に よ る分 解 作 用 の外,同 時 に,あ るい は 細 菌 の 作 用 に 先 立 っ て酵 素 作 用 に よ る 自己 消 化 が お こ り,自 己 消 化 の た め種 々 の 変 化 が 進 行 す る。 こ れ らの 変化 の うち に は ヌ ク レオ チ ドの 著 しい 変 化 も見 ⑥ られ る。 斉 藤 らは ヌ ク レオ チ ドの 分 解 に よ り生 ず る ヒ ポ キサ ン チ ン を 定 量 し,鮮 度 検 定 の指 標 と して 適 して い る と 報 告 して い る。 著 者 等 は ヌ ク レオ チ ドの 変 化 に よ り,魚 肉中 に 残 存 す る成 分,あ るい は分 解 に よ り生 ず る 成 分 を定 量 し,腐 敗 度 検 定 を 行 な う こ とが 可 能 で あ るか ど うか に つ い て 実験 を 試 み た 。 そ の 結 果,魚 肉 中 に 残 存 す る ヌ クレオ チ ドのDNA, RNA量,お よ び 分 解 に よ り生 成 す るGuanine量 を 定 量 す る こ とに よ り,腐 敗 度 を 判 定 し うる 可 能 性 の あ る こ とを 認 めた の で 報 告 す る。 1.実 験 の 部 亜.1.供 試 材 料 海産 魚 類 を 死 直 後 の最 も新 鮮 な状 態 で 入 手 す る こ と は 困 難 で あ るた め,供 試 魚 類 と して,フ ナを え ら ん 締 曇本学 教授 締本学 助手 箭昭 和40年 度卒業 生 だ 。 体 長 約15cm,体 重 約1209の フ ナの 頭 部 を 強 打 し て死 亡 さ せ しめ,そ の ま ま300Cの 恒 温 器 中 に 保 存 し て鮮 度 を 低 下 せ しめ,一 定 時 間 後 に 取 り出 して 背 肉 の 白 身 の 部 分 を そ れ ぞれ の 実 験 に 供 した 。 皿.皿. 実 験 方 法 皿.H.1.揮 発 性 塩 基 態 窒 素 の定 量 魚 類 の 腐 敗 度 を 検 定 す るた め 従 来 か ら行 なわ れ て い る方 法 の うち,揮 発 性 塩 基 態 窒 素 を 定 量 す る 法 を 本 実 験 の 比 較 対 照 と し 0 て え ら び,常 法 に よ り これ を 行 な っ た 。 皿.E.皿.核 酸 の 抽 出,分 画 核 酸 の 抽 出,分 画 に は 種 々 の 方 法 が あ る が 著 者 等 Schmidt, Tannhauser, ⑧ Schneider法(S. T. S法 〉 に よ り行 な っ た 。 酸 可 溶 性 燐 物 質 の 除 去 供 試 フ ナ 肉59を と り,水15m1を 加 え, Potter-Elvehjemホ モ ゲ ナ イ ザ ー に て 氷 冷 し な が らホ モ ジ ネ ー トを 作 り ,こ の ホ モ ジ ネ ー ト5m1に 冷10°oト リ ク ロ ー ル 酢 酸(TCA)12.5mlを 混 合 し て よ くか き ま ぜ 遠 心 す る 。 沈 澱 は も う一 度12.5m1の 冷10°oTCAに 懸 濁 し て 遠 心 し,こ のTCA抽 出 液 と 洗 液 と を 合 せ て 酸 可 溶 性 燐 物 質 分 画 と し,沈 澱 は 次 の 操 作 を 行 な う 。 燐 脂 質 の 除 去 前 項 の10%TCAで お と した 沈 澱 を5mlの 水 に 懸 濁 し,冷95°oエ タ ノ ー ル20m1を 加 え て よ く ま ぜ て 遠 心 す る 。 沈 澱 は も う一 度5m1の エ タ ノ ー ル で 洗 い,沈 澱 を エ タ ノ ー ル:ク ロ ロ ホ ル ム=3:1の 混 液25m1で2 回,エ タ ノ ー ル:エ ー テ ル=3:1の 混 液25m1で1回 そ れ ぞ れ 室 温 で し ば ら く か き ま ぜ た 後 遠 心 す る 。 最 後 に エ ー テ ル で 洗 い,沈 澱 を 室 温 で 乾 燥 す る 。 こ れ ら の 抽 出 液,洗 液 を 合 せ て 燐 脂 質 分 画 と し.沈 澱 に つ き 次 の 操 作 を 行 な う。

(2)

昭 和41年7月(1966年) RNA分 画 前 項 で 得 た 沈 澱 に0.3N水 酸化 カ リウ ム液50m1を 加 え,37。Cで20時 間 水 解 す る。 水 解 後 濃 過 塩 素 酸 で 中 和 し,更 に 濃 過 塩 素 酸 を 加 え て過 塩 素 酸 に つ い て5% とす る と,蛋 白 質,DNA, 過 塩 素 酸 カ リウ ム の沈 澱 が 得 られ る。 遠 心 して 沈 澱 は251nlの 冷5%過 塩 素 酸 で2回 洗 う。 こ の 過 塩 素 酸 抽 出 液 と洗 液 とを 合 せ65m 1と しRNA分 画 とす る。 DNA分 画 前 項 で 得 た 沈 澱 を5°o過 塩 素 酸5m1に 懸 濁 さ せ, 90。Cで15分 間 加 熱 し冷 却 後 遠 心 す る。 沈 澱 は も う一一 度5%過 塩 素 酸12.5m1で 洗 い,抽 出 液 と洗 液 と を 合 せ てDNA分 画 と す る。 皿.皿.皿 。RNA, DNAの 定 量 法 00 RNAの 定 量 は オ ル シ ノ ール 反 応 法 を 用 い た 。 鉄 ア ンモ ニ ウ ム硫 酸1.359と オ ル シ ン2.09を50mlの 蒸 留 水 に とか し,冷 所 に 保 存 す る。 使 用 直前 に 保 存 液2.5 m1を 濃 塩 酸41.5m1に とか し,水 で50m1に うす め る 。 本 液3m1をRNA検 液1m1に 加 え,沸 騰 水 浴 中 で20分 間 加 熱 す る。 冷 後 エル マ分 光 光 度 計 で665mμ の 吸 光 度 を測 定 し,対 照 と して溶 媒 を 同様 に 処 理 した もの を 用 い,純RNAか らの標 準 曲線 よ りRNA量 を 求 め た 。 ⑫ DNAの 定 量 は イ ン ドール 反 応 法 を 用 い た 。 DNA検 液1m1に,0.04°oイ ン ドール 溶 液1mlと 濃 塩 酸1m1 を を加 え て よ くまぜ る。 沸 騰 水 溶 中 で10分 間 加 熱 後 流 水 中 で 冷 却 し.ク ロ ロ ホル ム4mlを 加 え1分 間 よ く振 りまぜ.軽 く遠 心 して2層 に 分 け,ク ロ ロ ホ ル ム層 を 駒 込 ピペ ヅ トで 除 く。 こ の 操 作 を3回 く り返 し,桃 色 に 着 色 す る不 純 物 を 完 全 に 抽 出 除 去 す る。 得 た 検 液 を エル マ 分 光 光 度 計 に て490mμ の 吸 光 度 を 測 定 す る 対 照 と して 試 料 溶 液 の溶 媒 を 同 様 に 処 理 した も の を 用 う。 純DNAか らの 標 準 曲 線 よ りDNA量 を 求 め た 。 (12) H.∬.IV.有 機 塩 基 の 分 離 有 機 塩 基 の 分 離 を ペ ー パ ー ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ り行 な っ た 。 供 試 フ ナ 肉59を と り,水15m1を 加 え て ホ モ ジ ネ ー トを 作 り,10°oTCA25m1を 混 じ て よ く ま ぜ た 後 遠 心 し,沈 澱 を も う一 度10°oTCA 25m1で 洗 い,抽 出 液 と 洗 液 と を 合 せ, こ れ を2mlに 濃 縮 す る 。 そ の0.02m1を 検 液 と した 。 東 洋 炉 紙N(L50,展 開 液 メ タ ノ ー ル:濃 塩 酸:水(70 :20:10)を 用 い.一 次 元 上 昇 法 に よ っ た 。 展 開 後 炉 紙 を 風 乾 し,紫 外 線 照 射 に よ りス ポ ッ トを 検 出 した 。 有 機 塩 基 の うちAdenie, Guanine, Uracil, Cytocine に つ き 同 時 対 照 試 験 を 行 な った 。 ス ポ ッ トの 部 分 を 細 く刻 み,共 栓 付 試 験 管 に 入 れ, 一23一 0.1N塩 酸5鵯 三 を加 え て37QCで 軽 く振 り抽 出 す る 。 抽 出 液 を 炉 過 し,炉 液 の 紫 外 部 吸 収 曲線 を 島 津 自 記 光 電 分 光 計 に よ り測 定 し,検 液 の 塩 基 の種 類 を 決 め た 。 ⑬ 皿.皿.V 有機 塩 基 の定 量 前 項 と 同様 に して ス ポ ヅ トか らの抽 出 を 行 な い, 248mμ の 吸 光 度 を 測 定 した 。 ブ ラ ン クと して 検 液 の 代 りに 検 液 の 溶 媒 の み をつ け て 展 開 し,ス ポ ッ トに 相 当 す る位 置 を 切 りと り,同 様 に 処 理 した も の に つ い て 測 定 した 。 皿.皿. 実 験 結 果 皿.皿.1.揮 発 性 塩 基 態 窒 素 を 定 量 した 結 果 を フ ナ 肉1009中 のmg数 で 示 し,こ れ を 図 示 す る と図1の ご と くで あ る。 図1.鮮 度 低 下 と揮 発 性 塩 基 態 窒 素 (30。C保 存,フ ナ肉100g中) 皿.ID.H オ ル シ ノ ール 反 応 法 に よ るRNA標 準 曲 線 お よ びRNAを 定 量 した 結 果 を フ ナ 肉1009中 の量 で 示 す と 図2お よび 図3の 通 りで あ る。 皿.皿.皿 イ ン ドール 反 応 法 に よ るDNA標 準 曲 線 お よ びDNA定 量 結 果 を 図 示 す れ ば 図5お よび 図4の ご と くで あ る。

(3)

図2.RNA標 準 曲 線(オ ル シ ノ ー ル 反 応 法 〉 図4.DNA標 準 曲線(イ ン ドール 反 応 法 〉

(4)

昭 和41年7月(1966年) 一25-一 H.皿.IV ペ ー パ0ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ り分 離 した 塩 基 の 紫 外 部 吸 収 曲 線 は 図6の よ う で あ り,検 出 さ れ た 塩 基 はGuanineと 一 致 す る 。 Guanineの 標 準 曲 線 は 図7の ご と く で あ り,Guanineを 定 量 した 結 果 は 図8の 通 りで あ る 。 図8 鮮 度 低 下 とGuanine量(300C保 存, フ ナ 肉100g中) 図6 有機塩 基 の紫外部吸収 曲線 皿.考 察 一 般 に魚類 の鮮度 と揮発 性塩基態 窒 素 との 間には表 1の よ うな関係 があ る。 表1.魚 肉 の鮮 度 と揮 発 性 塩 基 態 窒 素 魚 肉の鮮 度 魚 肉 11!中 の 揮 発 性塩 基 態 窒 素 極 めてi新鮮 な魚 肉 普通 のi新鮮 な魚 肉 腐 敗初期 の魚 肉 腐敗 した 魚 肉 5∼10mg 15^-25mg 30^-40mg 50mg以 上 図7.Guanine標 準 曲 線 表1に よ り,腐 敗 初 期 の 魚 肉1009中 に は30∼40mg の 揮 発 性 塩 基 態 窒 素 を含 む が,本 実 験 条 件 に お い て, 図1か ら30∼40mgの 揮 発 性 塩 基 態 窒 素 の 生 成 す る時 期 は 約28∼31時 間 後 で あ り,28∼31時 間 を も っ て本 実 験 に お け る 腐 敗 初 期 の 時 期 と した 。 図3に よ り,フ ナ 肉 中 のRNA量 は 鮮 度 の 低 下 と共 に 次第 に 減 少 し,本 実 験 に お け る 腐敗 初 期 で あ る28∼ 31時 間 後 に は,RNA量 は フ ナ 肉1!!中493mg∼486 mgと な り,本 量 を もっ て腐 敗 初 期 と判 定 す る一 指 標 とす る こ と が で き る。 図5に よ り,フ ナ 肉 中 のDNA量 も鮮 度 の 低 下 と共 に 次第 に 減 少 し,28∼31時 間 後 に は.フ ナ 肉1009中 にDNA量179.8∼177.6mgに 達 し,こ の 量 を も っ て 腐 敗 初 期 と見 な す こ と が で きる 。

(5)

フ ナ 肉 の ト リ クロ ール 酢 酸 抽 出液 中 に,有 機 塩 基 と し てポ リン 塩 基 の うちGuanineを 検 出 し,そ の 量 は 図 8の ご と く.鮮 度 が 低 下 す る に した が い 増 加 す る。 本 実 験 に お け る 腐 敗 初 期 で あ る28∼31時 間 後 に は,フ ナ 肉100gか ら13.0∼13.5mgに 達 し,本 量 を も っ て 腐 敗 初 期 判 定 の 一 指 標 とす る こ とが で き る。 本 結 果 は い ず れ も数 回 測 定 した 平 均 値 で あ る が,他 の 魚種 に つ い て は 目下 検 討 中 で あ るo 以 上 要 す るに 魚 肉 中 の核 酸 構 成 分 のRNA, DNA量 お よ び核 酸 構 成 成 分 の 分 解 に よ り遊 離 す るGuanine 量 を 定 量 して,魚 肉 の 鮮 度 を判 定 す る こ とが 可 能 で あ る と思 わ れ る 。 w.要 約 ヌ ク レオ チ ドの 変 化 に よ り,フ ナ 肉 の 腐 敗 度 を 判 定 す る寧 験 を 行 な っ た 結 果,肉 中に 残 存 す る ヌ ク レ オ チ ドを 構成 す るRNA, DNA量 お よび 遊 離 し抽 出 され る Guanine量 を 測 定 す る こ と に よ り,腐 敗 度 を 知 る こ と が 可 能 で あ る と思 わ れ る。 以上 の結 果 を 表 一 に す れ ば 表2の ご と くで あ る。 表2 フ ナ 肉 の 鮮 度 と ヌ ク レオ チ ド成 分 腐 敗 初 期 に お け る 量 ㎎/1009 30 ^-40 493 ^-486 179.8^177.6 13.0^ 13.7

成 分 揮 発 性 塩 基 態 窒 素 RNA DNA Guanine

1)野 中 順 三 九,他:水 産 食 品 学,75(昭40) 2)Lucke U. Gedel Z. Unters. Lebens.,

70,441 (1935)

3)B.T. Cromwell:Biochem.7.,46, 578 (1950)

4>足 立 晃 太 郎,田 中 千 代 子:本 誌, 5,38(1958) 5)Official methods of analysis of A. O. A.

C.7th. Ed.302(1950)

6)Saito, T. et a1:日 水 誌,24,749(1959) 7)京 大 農 化:農 芸 化 学 実 験 書,3,1117(昭32) g)Schneider, W. C.;T. Bio1. Chem.,164,

747 (1946}

g)Brown, A. H.:Arch, Biochem.,11,269 (1946}

10)Mejba士n, W.;Z. Physiol, Chemy,258,117 (1939)

li)Ceriotti, G. J. Biol. Chem.,19$,297(1952) 214, 59 (1955)

参照

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