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DSpace at My University: 英語教育リレー随想 115号(2019.10) harmony と tolerance

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Academic year: 2021

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大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター http://www.wilmina.ac.jp/ojc/edu/ttc/ 〈英語教育リレー随想〉第 115 号 1 愛好家はもうご存知と思うが、Moomin の最新版の放送が本国フィンランドでは 2 月末から開 始された(現在は NHK BS4K でも 4 月から放送開始となった)。第1回の放送を見た直後の感想 としては、「なんと騒がしく、そして変な口をした不機嫌な3D ムーミン」だった。第1話の内 容は、穏やかなムーミン一家に急にミムラさん一家がやってきて、家のなかを数えきれないほど のこどもたちが数日間占拠し、ひっちゃかめっちゃかにしてしまうものだった。ミムラさんとは 日本人の女子がなぜか好きな赤毛のピックミュー(英語名:ミィ)のお母さんで、数えきれない ほどのこどもを持つ空気の読めないお母さんなのだ。 その放送後、本最新アニメーション作成のドキュメンタリー番組が放送され、フィンランドと イギリス制作者たちの討議などを含めた制作過程も紹介された。現在、Moomin は生みの親トー ベ・ヤンソンに代わり、その著作権のすべてを姪のソフィア・ヤンソンが受け継いでいる。彼女 の許可なしで、放送は絶対にできないということだ。このドキュメンタリーの中で彼女が再三、 両国の制作者たちに求めていたもの、それはトーベが最も大切にしたこの物語のテーマである harmony と tolerance だった。つまり、家の中をひっちゃかめっちゃかにしてしまうミムラさん のこどもたち、中でもムーミンペッコを家の外まで追いかけていじわるばかりして困らせるのは ミィだが、それも最後には双方がそれぞれの妥協案を見つけ、努力し、お互いを受け入れ合うと いうものだ。 ここで話は少し変わり、フィンランドの Tampere 大学附属小学校にて 30 年以上教員をしたご 夫婦のお話しを紹介したい(フィンランドの国立学校に異動という概念は存在しない)。この大 学の教育学部は外国語科(特に英語)の教員養成に昔から伝統がある。つまり、この附属小学校 は将来の英語科教員養成のために教育実習生を長年受け入れ、工夫し、「教育大国フィンランド」 のイメージを一部背負っているともいえる場である。そこで 30 年間以上、教員生活をされた(6 月にはご主人は 35 年間勤められ定年を迎えられた)ご夫婦はまさに The Super Teachers といえ る。教育実習生はその附属小学校にて 16 週間、合計 48 時間の授業を担当しなければならない(実 習生は卒業までに他校でも教育実習をし続けなければならない)。ざっと計算すれば 1 日3つの 授業を担当し、それを 4 か月間行うというものだ。もちろんそれは1グループだけが実習を行う のではなく、年によっては2~3グループが代わる代わる実習にやってくるという。そうなると もはや、1 年の半分以上または1年間、複数名の教育実習生の指導担当をしていることになる。 そのご夫婦に「教育実習生に必要なものは何か」と尋ねたところ、6つも助言をいただいた。今

大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター

〈英語教育リレー随想〉

2019 年 10 月

harmony と tolerance

福島知津子

第 115 号

(2)

大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター http://www.wilmina.ac.jp/ojc/edu/ttc/ 〈英語教育リレー随想〉第 115 号 2 回はそのひとつを紹介したい。中でも印象的なものは、「ひとりひとりの生徒は違うので、この 1回の授業で全てを解決しようという考えはやめること」という助言だった。また、実習生を受 け入れる側としては、「われわれはチームで、このチームでこどもたちを担当するよ」と伝え、 まず始めに、実習生が指導教員に話をしやすい雰囲気をつくるという。確かに、4 か月間教育実 習を行う異なるグループが入れ替わり在籍する、ということはほぼ常時、実習生と日々の授業を 展開しているということだ。その状態を疎んじていてはそもそもの授業が展開できず、何よりも こどもたちに対し教育の責任を負う学校現場として問題となってしまう。 日本人からは想像もできないが、フィンランドの教員養成課程には、教育実習が4回ある。大 学の附属学校での実習は、大学 3 年生が行う 1 回目の教育実習となる。実習生にとっては初めて の教育現場で 4 か月という長期にわたり、ハードである。小学校の英語科教員であり社会科 CLIL の先駆的教員として活躍された先生(奥様)のお話しによると、勤勉な学生に限って陥る「毎日 が自信喪失の連続」が 4 ヶ月続くと、実習授業後に行われる Reflection が反省というよりは、 自身に対する否定的な言葉が増えると言う。その状況に対し、実習校の指導教員は無意味に褒め はしないが、反省とそれを基にした今後への改善策を含めて必ず励ますという。もちろん、どの 国も実習生とは若く、未熟なところがあるのは自然なことだが、受け入れる指導教員や学校側が harmony と tolerance をもっていることがよくわかるお話しであった。そのコンセプトはまさに、 Moomin のテーマとよく似ている。穏やかなムーミン一家が谷の仲間たちにひっちゃかめっちゃ かにされても、最後は双方の妥協点を見出し、努力し、お互いが受け入れ合うその姿に。 もちろん、日本の学校現場も多忙な中、教育実習生のことを tolerance をもって受け入れている ことを承知しており、心からの感謝を忘れてはいない。教育実習に今後臨む学生には、それらの ことをぜひ心にとどめて「自信喪失の連続」に果敢に挑んでもらいたい。 9 月 22 日に奥様は病のため逝去されました。縁あって筆者が院生時代から大変お世話になりま した。フィンランドのみならず、EU の言語政策分野で活躍されたすべてに秀でた方でした。こ の場をお借りし、心からご冥福をお祈りいたします。 (福島知津子 専任講師/教員養成センター)

参照

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