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Japan愛知県東三河地域で採集された力イエビ類
Clam shrimps found in theHigashimikawa area of Aichi Prefecture前田民男
l・杉浦篤史
l・浅香智也
l・杉浦明美
l・安原健允
2Tamio Maeda, Atushi Sugiura, Tomonari Asaka, Akemi Sugiura and Takenobu Yasuhara
. は じ め に 愛知県の東部,静岡県との県境に広がる東三河地 域は,北から南に愛知県のみを流れる全長 77kmの 豊川(とょがわ)の流域に聞け,豊)11の上流部は長 野県に続く山岳地帯である.豊川の中流域から河口 までは水田が多く,特に豊川の下流域は平坦で,増 水時には水位が
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-8m
も上がり被害が出ることも あったことから,放水路が設けられた.古くは氾濫 の際には自然分配を起こさせるために,堤(霞堤) が設けられていた.下流域には湿地帯もあり,水団 地帯が海岸まで続く.河口は渥美半島の基部,三河 湾に面している豊橋市である(図1). 筆者らは,1
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年6
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日,赤塚山公園(以下, 公園)に隣接する水田を持っている方から,田植え をした田んぼにこんな虫がいたと言って公園に持っ て来られた5
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個体ほどの生体標本(図20)を預か り,この標本を同定した結果カイエビであることが 分かった.その後,周辺の水田を調査したところ数 か所の水田からカイエビを採集することができた. 採集結果は,園の記録資料(園報1-3
号2
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に記し保存した.また,採集した生体標本を 用いて公園の中にある“ぎょぎょランド" (以下, 水族館)で企画展を行ってきた.期間中やその後 も,家の水田に同じような生物が生息しているとの l豊川市赤塚山公園 1 AkatsukayamaPark, Toyokawa,1
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Higashitsutsumiue, Ichida, Toyokawa, Aichi4
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, Japan 2豊川市赤塚山公園ぎょぎょランド名誉館長 2 Honor Didector, Toyokawa-cityAquarium E-mail: [email protected] -稲 沢 市 ・名古屋市 図1. 東三河地域におけるカイエビ類の採集地略図. 問い合わせが増加し,稲作農家の方も興味を示して し 、fこ. 本報は,現在までに東三河地域の水田に生息して いた大型鯨脚類,特に,カイエビ類3種の採集記録 である.なお,本報の概要,および,外部から寄せ られた情報や資料,カブトエビ類,ホウネンエどに ついては,職員手作りの園報(一般には未配布の第 l号i
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年の歩みJ
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号(前回ら,2
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年 の 歩 みJ
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に保 存資料として記録されている. . 採 集 地 と 採 集 方 法 (1)採集地とその概要:採集は,東三河地域(図 1 )の豊川沿いにある新城市,豊川市,豊橋市の水 田である. (2) 採集地と採集時期 :採集地および採集時期は 日本甲殻類学会 ReportI
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前回民男・杉浦篤史・浅香智也・杉浦明美・安原健允
図2. カイエビ科 Cyzicidaeカイエビ Caenestherie//'αg~月lensis(Ishikawa): A,豊橋市宮久縞産 ;8,豊橋市小向産, C,豊川市江島産;0,豊川市内産. 以下の通りであった. 採集は, 2007年 5月から始められ,水田に田植え が済んだ後に行った. 新 城 市 稲 木 2010年 5月 24日,杉山 2007年 5月お よび 2011年 5月20日. 豊川市江島町 2010年 6月 10日, 2011年 5月 20日, 2012年 6月 20日. 豊 橋市 前 芝 町 2009年 6月 21日, 富久縞町2010年 6月 2日 小向町2010年 6月 24日,青竹町 2011年 6月5日. (3)採集方法:採集には多くが目の細かなタモ網 を用いたが,手掴みのできる所では,水田に入って 両手で掬って採集し,直ちに,水田の水を張ったバ ケツに移して水族館に運び,その後飼育,および, 処理を行った.標本の固定はエチルアルコールの 80%溶液で行った.標本は,水族館に保存されてい る. . 雇奇麗憂正採豪語果 採集した 3種のカイエビ類は,図 2-4に示した. カイエビ類は,分類上は,甲殻綱 Crustacea,鰐 脚亜綱 Branchiopoda,真葉脚目Conchostracaである. カイエビ科 Cyzicidae(図2), 卜ゲカイエヒボ科Lept -28
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23 (2014) 図3. トゲカイエヒ科Leptestheriidaeトゲカイエビ Lepteslheria kawachiensis Ueno豊橋市前芝 産. estheriidae(図 3),ヒメカイエヒボ科 Limnadiidae(図 4), タ マ カ イ エ ビ 科 Lynceidaeの4科がある ( Edo-mondson, 1959;上野, 1960;岡田ら監修, 1965;上野 編修, 1973;近藤ら, 2005). 東三河 3市の水田で採集したカイエビ類は,カイ エビ Caenestheriellag持ensis(Ishikawa), トゲカイエ ヒι
eptestheriakawachiensis Ueno,および, ヒメカイ エビ EulimnadiabrauerianaIshikawaの3種であった. 種 の 同 定 は , 滋 賀 県 立 琵 琶 湖 博 物 館 の MarkJ Grygier博士に最終確認をお願いした.なお,今回 の調査でトゲカイエどを採集することができたこと は, 今までの生息域を岐阜県西部以西としていた (Grygier, 2005)が,生息域が愛知県豊橋市まで拡大愛知県東三河産カイエピ3種 図4. ヒメカイエヒ下↓LimnadiidaeミスジヒメカイエビEulimnadiabrauerianaIshikawa:A,新城市杉山産;B,新 城市稲木産 ;
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,豊川市江島産. したとの報告を受けた. 新城市南部の稲木,杉山の水田では, ミスジヒメ カイエどを採集した. 豊川市北部の江島町の水田では,カイエビとミス ジヒメカイエビを採集した. 豊橋の水田のうち,豊橋市, 富久縞町,小向町, 青竹町ではほとんどの水田でカイエビが見られた. この地区の水田では,水田の底が黒くなるほどのカ イエどが生息している所もあった.また,水田への 注入口の水流がある所に集中していた.カイエビ は,採集した地区によって,殻長,殻色に違いが見 られた. トゲカイエビは,豊橋市前芝町でしか確認するこ とができなかった. ミスジヒメカイビは,カイエビ,トゲカイエビと 比べると,殻が小さく,殻色が薄く,動きも少な い.これらの個体は,地域差によることも考えられ るので調査を継続する必要がある. 本調査の中で, トゲカイエビは,東三河地域で, 豊橋市前芝町でのみ, ミスジヒメカイエビも豊川市 北部,新城市南部でしか確認することができなかっ た. カイエビ類は,公園の近隣の農家の方からや,来 園者から標本や情報が寄せられ,愛知県稲沢市の来 園者からは採集したカイエビ,および, トゲカイエ ビが,また,岐車県安八郡神戸町からの来園者から はカイエビが提供された. 東三河地域のうち豊川の中・下流域は多くの農業 地帯が広がっている.その中には水田も多い.水田 に生息している淡水産の甲殻類はアメリカザリカーニ やヌマエビなど大型の生物も多いが,カイエビのよ うな小形の種類は調査や研究が進んでいるとは言え ない.今回の採集記録は十分なものではないので,こ の結果に新しい知見が追加されることを期待したい. 画 面右りに 2010年に愛知県名古屋市で生物多様性条約第 10 回締約国会議 CCOPIO)が開催され,市民の方にも 自然や動植物が身近なものになった.豊川市赤塚山 公園 「ぎょぎょランド」は,東三河を流れる豊川に 生息する魚類を中心とした生き物を悶育展示してい る. 豊川流域には水田が多いため,水田に生息する生 物の展示も必要であると考えて,平成20年から「田 んぼにすむ生き物」をテーマに大型開脚類を対象に した企画展を鯨脚類が発生する時期に合わせて行っ てきた. しかし,東三河地域の小型甲殻類,特に, 鯨脚類に関する報告が見当たらない.関係する資料 に関する情報をおもちの先学諸氏のご指導を願って やまない.園
語 辞
来園者,各関係者から貴重な標本を提供いただい た.豊橋市自然、史博物館館長松岡敬二氏には,カイ エビ類の生息域の情報をいただいた.滋賀県琵琶湖 博物館のMarkJ Grygier Ph.D.には種の同定,カイエ ヒo類についてご指導をいただいた.今後とものご教 導,ご協力を切望し,厚くお礼申し上げる.C8
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29前回民男・杉浦篤史・浅香智也・杉浦明美・安原健允