大 会
:小 講 演
209
〈小
講
演 〉
系
列
的
な注
意
の
移
動 制 御
メ
カ
ニズ
ム に
つ
い
て
1>武
田
裕 司
産
業 技 術 総 合
研 究 所
How
is
the
serial
deployment
of
attention
controlled
?
Yuji
TAKEDA
*八
rationat
lnstitute
げ
Advanc
:edIndt.
tsthatScience
andTe
‘ゾmology *There
aretwo
opposlng models 〔}f
how
the serialdeploymcnt
of attelltionis
controlledin
visua 】 search 二“mcmory
−driven
model”
and“
memory・
free
model”
.
The
former
suggeststhat
attention
ls
controlledby
a visual short−
tcrm
melnory andthe
latter
assumes that attentionis
controlled
by
no melnory,
This
paper
gives
two
evidencesfor
the
memQry・
driven
model.
First
,
thepreviQusly checked
items
were nlemDrized andinhibited
in
serial visual search,
whichis
called“
inhibition
of return ”,
This
mechanism canimpr
〔}vethe
eMcjency of scarchby
preventing
reexamination of rejected
djstractors
.
Second,
the
previQus
】ydisp
星ayeddistractors
were memor−
ized
to
discriminate
newlyprcsented
itelns
from
them,
whichis
ca !led
で
‘
vis匸1al marking”
.
This
Inechanism
is
usefulfor
discrim
;nati エ)nbet
〜鴨 en newly appcared objects andbackgrQund.
We
discuss
about what 娼 nd of representation on memoryis
usedin
these
mechanlsms.
Key
words ; visual attention,
visual search ,inhibition
of return,
visual marking1.
は じめ
に人
間
は網 膜
か ら入力
さ れ た膨 大
な視 覚情 報
のすべ て を 処 理 して い る わけ で は な く,
適 応 的行 動
に必 要
な情 報
を 選択 的
に処 理 してい る.
こ の選択 機 能
は注 意
と呼
ばれ て お り,
中
で も視
空
間
に基
づ く選 択 機 能
は,
特
に.
空 間 的
注 意 と 呼 ば れて い る.
空 間 的 注 意 は,…
般 的に,
ス ポッ トライ
ト に例
え ら れ る.
これ は,注
意が スポッ トライ ト の よ うに視
空間
を移 動
し,
その中
に照 ら し出
さ れ た情 報
が優 先 的
に処
理 さ れ る と いう特 性
を例
え た もの であ る.
日常 生 活
に おいて,
空 間 的注 意
の移 動
が頻 繁
に生 じてい る 事例
に,
「
目標 物
を探
す」
とい う視 覚 探 索 行 動
が あ る.
視 覚 探 索
は, 空 問 的 注意
の研 究 分
野で最
も多 く扱
わ れ て き た テー
マ の1
つ で あ る.
般 的
な視 覚 探 索 課 題
で*
Institute
for
Human
Science
andBiomedical
Engineerjng
,
Nat
孟onalInstitute
of
Advanced
Industrial
Scicnce
and
Technology
,Tsukuba
Central
6
,1−
1
−
111igashi
,
Tsukuba
,
Ibaraki
,305
85661
)本 研 究
の・
…
部
は,
関 西 学 院 大 学
の 八木 昭
宏 先 生, 産業
技 術 総 合 研究 所
の熊
田孝 恒 先 生
の ご指 導
の もと,博
士学
位 論 文 と して関 西 学 院 大 学に提 出さ れ た。
は,
画面 上
に提 示
さ れ る ア イ テ ムの中
に目標
と な る ア イ テム が1
っ含
ま れ る肯 定 試 行
と妨
害ア イ テム の みが提
示 さ れ る 否定 試 行
が設 定
されて お り,
被 験 者
は目標
ア イ テ ムが 提 示 さ れて い る か否
か の反 応 を求
め られ
る,
こ の よ う な視
覚 探 索 課 題において,
空 間 的注 意
の移 動
は,
提
示 さ れ た ア イ テ ム数
(セ ッ トサ イ ズ ) と 反応 時 間
の関 係
に よっ て観 察
さ れ る.
通常
, セ ッ トサ イズの増 加
に伴 う反
応 時 間
の変 化
は高
い信 頼 性
で直 線 回 帰 す るこ と が で き,
この回帰 関 数
は探 索 関 数
と呼
ば れ てい る(
反 応時
間
=
傾
き×セ ッ トサ イ ズ十切 片 )
.
視 覚 探 索 課
題に おけ る 注 意 の働
き を検
討 する 上 で,
探 索 関 数
の傾
き は重 要 な 意 味 を 持っ てい る.
探 索 関 数
の傾
き は,
す
べ て の アイテ ムが 並列 的
に処 理 さ れてい る か,
あ るい は 個々 のア イテ ム に対
して系 列 的
に注 意
が向
け ら れてい る かを 示す指 標
とな る.一
般 的
に,
傾
き がIOms /item
以 下 にな る場 合
は並
列 的
に処
理 が行
わ れ て お り,傾
き が 大 き くな るに従っ て よ り系 列 的
に処
理 が行
わ れ ている と考
え ら れてい る.
古
く は,前 者
は並 列 的 探 索
,
後 者
は系列 的 探 索
と呼
ば れ て い た.
し か し.実
験条
件
に よっ て傾
き は連 続 的
に変化
し,必
ず し も2
種
類の処 理 メ カニ ズ ム に分 類
で き る もの で は な い こ と か ら,近 年
で は,
前 者 を 効 率 的 探 索
ZIO
基 礎 心 理 学 研 究
第
20
巻
第
2
号
(
e備cient search)
,
後 者
を非 効 率 的 探 索 (
ine
伍 cient search)
と呼
ぶ こ と が推 奨
さ れて い る(
seeWolfe,
1998
)
.
本 稿
で は,非 効 率 的 探 索
に おけ る注 意
の系 列 的
な移 動
が ど の ように制 御
されてい るの か に つ い て 論 じ る.
非効 率 的 探 索 課 題
に おいて刺
激
が提
示 さ れる と,
被
験
者 は,
ランダム に選 択 し た ア イテム の1
つ に注 意 を向
け, そのア イテ ムが目標
か否
か の判 断
を行 う
2>.
も
し,
目標
ア イ テ ム で あっ た場 合
に は肯 定
反応
を行
い,
妨 害 ア イテ ム で あっ た場 合
に は次
の ア イテ ムへ注 意
を移 動
す る.
注 意
の移 動
は,
目標 が 発 見
さ れ る か, あ るいは すべ て が妨 害 ア イ テム であ ると確 認 さ れ る まで繰
り返 さ れ る.
あ る ア イ テムか ら次に注
意 を向
けるべ きアイテム を 選択
す る 過 程 で どのよ う な注
意制 御
メカニ ズムが関与
し てい る の か につ いて,
現 在
も明
らか に なっ てい ない.
近
年
, この注 意 制 御
メカニ ズム に視 覚 的 記 憶
が関与
し てい る か否
かつ い て,
相 反 す
る2
っのモデ
ルが提 唱
さ れ てい る,一
方
は,
既に目標
で ない こ と が分かっ てい る ア イ テ ム は記 憶
さ れ,
そこへ 注意
が向
か ない よ うに制御
さ れてい る と す る 記
憶 駆
動モ デル (memory−
driven
medel
,
Klein,
2000
;Takeda
&Yagi
,2000
)
であ り
,
他 方
は,
注 意 が どこ に
移 動
する か は ラ ンダム に決 定
されて お り,
視 覚 的 記 憶 表 象
は まっ た く適
用されていない とす る 記 憶非 拘 束
モデ
ル(
memory・
free
model,
Horowitz
&WoIfe,
19
.
98,
2eOl
;Gilchrist
&Harvey
,
2000)
である.
記 憶 駆 動モ デル と 記 憶 非 拘 束モ デルの
最
も 重 要 な差 異
は,一
度 注意
が向
け ら れて妨 害
アイ
テ ム であ
る と確 認
さ れ た 後に生 じる.
記憶 駆 動
モデル で は そ の アイテ ム は抑制
され,
再
び注 意
が向
くこ と は ない(あ
るい は少
ない)
こ とが仮 定
さ れて お 凱記 憶 非拘 束
モデ
ルで は 既確
認 の ア イ テ ム と未 確 認のア イ テム とは 等 確 率で注 意 が 向 け ら れ るこ と が仮
定 さ れてい る 点にあ る.
特 徴 統 合
モ デル (Treisman
&Gelade,1980
)
を は じ め,
初 期
の誘 導 探
索
モ デル(
Wolfe
,
Cave
,&Franzel
,
1989
)
,
SERR
モ デル
(
MUller
,
Humphreys
,&Donnelly
,
1994
>
な ど,視
覚 探 索 処
理に関
する主
なモデ
ル では記 憶 駆 動 型
の注 意 制
御
メ カニ ズム が想 定
さ れてき た が, その実 験 的 証 拠
は得
ら れ ない ま ま で あっ た
.
その後
,Horowitz
andWolfe
2
)2
種
類 以 上の妨 害
アイテ ムが同 時
に提
示さ れ,
各 妨
害
ア イ テム と目標
ア イ テム と の類 似 性
が 異 な る 場合
, あ るい は特
に顕著
な特 徴
を持
っ た妨 害
アイ
テ ムが
存 在
する場合
に は,系 列 的
な注 意
の移 動 制 御
は類似 性
や顕 著 性
の影 響 を受
け るが,
本 論 文
で は,
基本
的
に,
1
種 類の妨 害 ア イ テム のみ が提
示 さ れてい る場 合の視 覚 探 索につ い て論 じ る
.
(
1998
)
に よっ て,
非効 率 的 探 索
処 理にア イテム の位 置 に関
す る記 憶 表 象
が利
用 さ れ てい ない とす る記 億非 拘 束
モ デル が提
案 さ れ た.
彼
ら は その根 拠
として,
非効 率 的
探 索 課 題 中に アイテムの位 置 がラ ンダム に変化
す る条 件
に おけ る探 索 関数
の傾
き と,
アイ
テム の位 置
が固定
され て い る条 件
に おける探 索 関数
の傾
きに ほ とんど差がない こ とを挙
げて い る.
こ れ に対
し て,Takeda
&Yagi
(
2000
)
は,
非 効 率 的探 索 後
に 妨害
ア イ テム上 に提
示 さ れ るプロー
ブの検 出 時 間が遅 延 する とい う記憶 駆
動モデ ル の実
験 的 証 拠 を 示 し た.
Takeda
&Yagi
(
2000
) 以 降
も,
非 効 率 的 探 索 中
に注 意
が一
度 向
け られ た ア イ テ ム が抑 制
されてい る という
記 憶 駆 動
モデ
ル の実 験 的証 拠
が い くつ か報
告 さ れ て き てお
り (
e.
g
.
,
MUIIer
& vonM
面hlenen,
200 ;Ogawa
,
Takeda
,
&Yagi
,
in
press
;Peterson,
Kramer ,
Wang ,
Irwin,
&McCarley,2001
>
,現
在
で も誌
上で記 噫駆 動
モ デル と記憶 非
拘 束モ デル の議 論 が繰
り返 さ れ て い る.
本
稿
の前 半
で は,Takeda
&Yagi
(
2
【〕00
)
の研 究
を中 心
に記 憶 駆 動
モデル の実 験 的証 拠
に関
し て論
じ る.
ま た,
本 稿
の後 半
で は,
記 憶 駆 動
モ デル の も う1
つの証拠
と考
え ら れ る,
視 覚 的 印 付
け(
visual marking)
につ い て論
じ る.
2.
視
覚
探 索
中
の復 帰
抑
制
前 述
の よう
に,
視 覚 探 索 中
に一
度
チェ ック さ れ た 妨 害 ア イ テ ム は記 憶
さ れ,再
び注 意
が戻
らない ように抑制
さ れてい るのか否
か は,
注 意
の移
動 制御
メ カニ ズ ム を 考 え る、
ヒで重 要 なポイン トで あ る.
これに関
して,最 初
に実 験 的検
討 を 行 っ たの はKlein
(
1988
)
である.
彼
は,
そ れ ま で先 行 手
が か り課 題 (
precueing task)
に おいて確
認 されていた復 帰 抑制 (
inhibition
of return)
と呼 ば れ る現 象
に着 目
し た.
復 帰 抑制
と は,
先 行
手が か り課 題 に おい て目標 提 示位 置
の情 報
を持
た ない周
辺 手 がか り が与
え ら れ た 場 合, その位置
に提
示 さ れ る プロー
ブ検 出
に抑
制
が生
じ る現
象
をい う(
Posner
&Cohen,
1984
)
.
これ は,
周 辺 手 がか りによっ てある空間
に注 意
が引
き付
け ら れ た後
,別
の空間
へ注 意
が移 動
し た場 合
,一
度 注意
が向
け られ た 空間
に生 じる抑 制
であ
る と考
え ら れて い る.
も し,
非 効 率 的 探 索
に お いて復
帰 抑 制 が 生、
じている とす れば
,一
度
チェ ック し た妨 害
ア イ テ ムに再
び注 意
が戻
ら な い とい う 記憶
駆 動 型 の制 御
が行
われ てい る と推 測
で き る.
Klein
(
1988
)
はFigure
1
に示
されて い る実験
パ ラダ
イム を用いて,
非 効 率 的 探 索 中
の復 帰 抑 制につ いて検 討 を行
っ た.
画 面
上に効
率
的探
索課
題 (目
di
C
,妨 害
0
)
大 会
:小 講 演
211
ま た は非効 率 的 探 索 課
題(目標
O
,
妨 害C
)の刺 激 が 提示
さ れ,
被 験 者
は目標
ア イ テム の有 無
につい て選 択 反 応
す るこ と が求
め られた3 ).
さらに,
視 覚 探 索 課 題
に対
す る 反 応の直
後に, ア イ テムは 消 去 され,50
%
の試
行で プ ロー
ブ(
1
ドッ トの光
点 ) が 出 現 し, プ ロー
ブ
に 対 し て もgo
/no・
go
反 応 が 課さ れた.
妨 害ア イテ ムが 提 示 さ れ ていた位 置
にプロー
ブが出現 す
る オン条 件
とアイテム が提 示
され
て い なか っ た位 置
にプロー
ブ が出現 す
るオフ条
件が設 定 さ れ た.
こ の と き, 妨害
ア イ テ ム が提
示 さ れ て い た位 置
へ の抑制 量
は,
オン条 件
と オフ条 件
との プロー
ブ
に対
す る検 出 時 間
の差によっ て推 定
さ れ る.
この実験
の結 果
,Klein
(
1988
)
は,個
々の妨 害
ア イテム に注 意
を向 け
る必 要
の ない効 率 的探 索 課題
の後
に比べ て,個
々 の妨 害
ア イ テ ム に注 意
を向
け ていた非効 率 的 探 索 課
題の後
で プロー
ブ検 出 時 間
の差
(
オ ンー
オ フ)
が大
きく
な る ことを
示 し,
系列 的
な注意
の移 動
が必 要 な非 効 率 的探 索
処 理におい て 復 帰 抑 制 が 生 じ てい ると論
じ た.
こ の実 験
結 果
は記 憶 駆
動モ デル の証拠
で あ る と 考 え ら れ てい た が, そ の後に行わ れ たい くつ か の研究
に お いて, 同様
の実 験
を行
っ て も非 効 率 的探 索 処
理に伴
う復帰 抑
制の効果
を 確 認
で き ない と いう 報 告
が な され (
Pontefract
&Klein
,
1988
;Wolfe
&Pokorny
,
1990
)
,
記 憶 駆 動
モデ ル の証拠
と は見
な さ れ な くな っ てい た.
こ れ に対
し,
Takeda
&Yagi
(
200e
) はパ ラダ
イムを改 善
す るこ と によっ て非 効率
的 探 索 処 理 に お け る復 帰 抑 制 が 認 め ら れ ること を報 告
し,再
び記 憶 駆 動
モ デル の証 拠
と し て注 凵
さ れ ることにな る
.
先
行手
がか り課 題 を用いた復帰抑 制
の実 験 に おいて,位 置
べ一
ス の復 帰 抑 制
と対 象
べ一
ス の復 帰 抑 制
が存 在
し(
Jordan
&Tipper,
1998
;Tipper
,
Weaver ,
Jerreat
,
&Burak
,
1994
)
, それら が独
立に働
い てい る こ と が明ら かにな る
(
Abrams
&D
〔〕bkin,1994
:Tipper,
Jordan
,
&Weaver ,
1999 ;Weaver,
Lupiafiez
,
&Watson ,
19
.
98
)
。
Takeda
&Yagi
(2000
)
は,Klein
(
1988
)の実 験に おい て, プロ
ー
プ提
示前
にア イ テ ム が消 去
さ れて い た ため
,
対 象
べ一
ス の復 帰 抑 制
が検 出
で きなか っ た可 能 性
を指 摘
し,
アイ テム を提
示し続
ける実 験
パ ラダ
イムを 用
い3
) 目標
アイ テム と妨 害
アイ
テムを入
れ換
える こ と によっ て
探 索
効率
が変
化 す るこ とは探 索 非
対称 性
(
search asymmetry)
と して知
ら れてい る(
Treis−
man &
Souther,
1985
)
.
4
)
Klein
(
1988
)
の実 験
に お い て,
ア イ テム が消 去
されてい るに も関 わ ら
ず
復 帰抑
制の効 果が認め られたの は
,
ディスプレ イ残 光
によっ て プロー
ブ 提 示 時 点ま で ア イ テ ムが
知 覚
さ れ て いたこ と に よるもの と考
え られる
(
Klein
,
]998
,
私 信 )
.
Efficient
search
condition
° . °
6
・
m ・af… a ・e・p
・n・e ・■
一一一闢一 一一 一 一
弔
レ ● ● ●Target
O
;Distractor
O
Inefficient
search
condition
60
ms after aresponse
●
一一一一一一一一一一■
レ
Target
O
;Distractor
(
)
Figure
工.
An
example of the stimuliin
Klein
(
1988
)
.
て復 帰 抑 制
の検 討
を行
っ た.
彼
ら は実 験
1
と し て,
Krein
(1988
)
と「司 じパ ラダ イム で の追 試
を行
い,
プロー
ブ提
示前
に アイテム が消 去
さ れ る場 合
に は,
非 効 率 的
探 索 後の復 帰 抑 制の効 果 が 認 め ら れ ない こ と を確
認 し た.
続
い て実 験
2
では, ア イ テ ム を プロー
ブ
に対
す る 反応 時 点
ま で提
示 しつ づ ける パ ラダ
イム で実
験 が 行 わ れ た.
そ の結 果
,
オン条 件
と オ フ条件
のプロー
ブ に対
する反 応 時 間
の差
は効 率 的 探 索 課題 (目標
C
,
妨 害
0
) 後
と 比べ て非 効 率
的探 索 課 題 (
目標
0 ,
妨 害
C
) 後
で大
き く な る とい う復 帰 抑
制
の効 果が認め られた.
これはア イ テ ム を提 示 しつ づ け るこ と でKlein
(1988
)が提 唱 し た復
帰 抑 制の効 果 が 再 現で きるこ と を 示 して お り,
記 憶 駆 動 モ デルの強 力
な実 験 的証 拠
で あ る と考
え られ たd ).
さ らに
実 験
3
で は,
実 験
2
で得
ら れ た復 帰 抑 制
の効 果
が特 定
の ア イ テ ム の場 合
に の み出
現 する もの で はな く,非 効 率 的 探 索 課 題 後
,一
般 的
に生
じる効 果
であ
る こ とを
確 認
す る た め,
ア イテ ムの形 状 を変 え
て実 験
2
の追 試
を 行っ た (効率
的探 索
課 題, 目標
Q
, 妨害
0
;非 効 率 的探
索 課
題,目標
0
,妨
害Q
).
その結
果,実 験
2
と 同様
,非 効 率 的探 索課
題後
の復帰 抑 制
の効 果 が 認 め ら れ た.
実
験
4
で は,実験
2
お よ び3
で認
め ら れ た抑 制 効 果
が,系
列 的
な注 意
の移 動
によっ て引
き起
こさ れ た もの であ る と い う確
証 を得
るた め に,
被 験 者
に は探 索 課 題
を課
さず
,
実験
2
お よび
3
と同様
のア イ テムを
1
秒 間提 示 し
た後
,
プ
ロー
ブに対
す る 反応
を求
め た.
その結 果
,
刺 激
として は 実 験2
お よ び3
と 同 じで あ るに も 関 わ ら ず,
抑 制 効 果 は認
め ら れ なか っ た.
こ の こと は,実
験2
お よび
3
で 認 め られ た抑 制効 果
が系
列的
な 注 意の移
動 によっ て生 じて いた こ とを 示 してい る.
212
基 礎 心 理 学 研究 第
20
巻 第
2
号
Takeda
&Yagi
(2000
)の結 果 は, 記 憶 駆 動 型の注 意移
動 制 御 メ カニ ズム の実
験 的 証拠
を 示 す と と も に,
そ の注 意 移 動 制 御
に適 用 さ れる視 覚
的 記 憶 が, 位 置べ一
ス の記 憶 表 象
で はなく
,
対 象
べ一
ス の記憶 表 象
であ る可 能
性 を示 唆
し てい る.
し か し,
こ の研 究
だ けで,
系 列 的
な 注意
の移 動
に関
わる復 帰 抑 制
が対 象
べ一
ス の記 憶 表 象
を 用い てい る と結論
す るこ と は困 難
で あ る.
ア イ テムの消
去
に よっ て復 帰 抑制
の効 果
が認
め ら れ なくな
る原 因
とし
て,対 象
べ一
ス の記 憶 表 象
が用
い ら れ てい る という 可能
性 以 外
に,例
え ば, 空間 的
アンカー
の消
失 が 原因
で あ る 口J
能 性
が考
え ら れ る.
Takeda
&Yagi
(200
ω の実
験1
の場 合
,
ア イ テムが消 去
さ れ た後
,
画 面 上
に は何 も提
示 さ れ て お らず
,
認 知 的 な空 間 座 標 を保 持 す
るためのア ン カー
とな る 刺 激が存 在 しなか っ た.
この た め,
復 帰 抑制
は 位置
べ一
ス の表 象 と して持 続 さ れ てい る もの の,
被
験 者
の空間 座 標
が移
動 して し まっ た た めに, プロー
ブ
の提
示位 置
と復 帰 抑 制
が 生 じている位 置
の対
応 が と れ なか っ た可 能 性
も考
え ら れ る.
そこ で武
旧・
菊 池
・
八木
(1996
)
は,
被
験者
の空間 座 標
が明確
に保 持
さ れ る よ う に, 個々 のア・
イ テムをボ ッ クス で囲 み,
視 覚 探 索課 題
の 反応 後
にア イ テムは消去
さ れ る が,
ボ
ッ クスは提 示
さ れ続
ける条 件
を 設定
して実 験 を 行っ た (実 験1
).
その結果
,Takeda
&Yagi
(
2000
>
の実 験
1
と同 様
,非 効 率
的 探 索 課 題 後
の復 帰 抑 制
の効 果
は認
め ら れ なかっ た.
さ らに実 験
2
と し て,
実 験
1
と同 様
の ボッ ク スを提
示 し て, プロー
ブ検 出課 題
に対
す る 反応 時 点
ま で ア イ テムを
提 示 し続 け た ところ,非 効 率 的探 索
課 題後
の復 帰抑 制
の効 果
が認
め ら れ た.
こ の こと か ら, ア イ テムの消
去に伴 っ て復 帰 抑 制
が認
め ら れ な くな る 原因
は, 空間 的
アン カー
の消 失
で は な く,
系
列的
な注
意の移
動に伴
う復 帰抑
制 に対 象
べ一
ス の記 憶
表象
が 用い ら れ てい る 可 能性
が 高い と考
えら
れ た.
さ らに
,
Takeda
&Yagi
(
1998
)
は系 列 的
な注 意
の移 動
に伴
う復 帰 抑 制
が対 象
べ一
スの記憶
表 象 を 用いてい る とい う 実 験的
証 拠 を得
る た めに, ア イ テム の移 動
に伴
っ て復帰 抑 制
の生 じる位置
が移
動 す るか を 検 討 し た.
彼ら
は,
アイ
テムを円 周 上
に配 置
し,
効 率 的 探 索 課 題
ま た は非 効 率 的 探 索 課 題
を課
し た後
,
アイテ ムを時 計 回
りに15
度 回 転 さ せ, プロー
ブを提
示 し た.
そ の結 果
,
移 動
し た ア イ テム に 対 して復 帰 抑 制
が生
じてい るこ と が明
ら か になっ た.
ま た,
最 近
の研 究
で は,
個
々 のア イ テムを
ラ ンダ
ム な方 向
へ移 動
させ て視 覚 探 索 謀 題
を課
し , その後
プロー
ブ検 出 課 題
を行
っ た場 合
で も復 帰 抑 制
が 生 じ て い る こ と が明 ら か に なっ て お り,
個
々 の ア イ テ ム の表 象 が独 立
に記 憶
さ れて い る こ とが示 唆
されて い る(
Ogawa ,
et al.
,
in
press
>
.
これ らの結 果
は,
系列 的 な
注 意の移
動に伴 う復 帰 抑 制が対 象べ一
ス の 記憶 表 象
を 用 い てい る とい う強
い 実 験 的 証 拠 で あ る と言 え る.
Table
1
は,
これ ま で に述べ て き たTakeda
&Yagi
(
2000
>
,
武
田 ら(
1996
)
,
Takeda
&Yagi
(
1998
)
に お け る各 実験 条 件
と復 帰 抑 制
が認
められ
たか否
か を ま と め た もので あ る.
これ らの実 験
で扱
わ れた独
立変 数
は,
(
1
)
プロー
ブ検
出 時 点 ま で ア イテ ム が提 示さ れ てい る か 否か, (2
)視覚 探 索
課題
を 課 す か 否 か,(
3
)安 定
し た空 間
座標
を保 持
するた めの空間
的 アンカー
が提
示 さ れてい る か否
か,
(
4
)
ア イ テムが静
止 してい る か移 動
してい るか の4
点
であ
る.
こ れらの結 果
か ら,
最 初
にい える こと は,系列
的 な 注意
の移 動
に伴
っ て一
度 注 意
さ れ た妨 害
ア イ テムが 抑 制 さ れ るとい う復 帰抑 制
が生
じて いるという
こと である.
これ は,・一
度 注 意
が向
け られて妨 害
ア イ テTable
l
Conditions
that e]icit
inhibition
Df rcturnin
visual searchItemssearch
anchor
Display10R
T
&Y
(
2000
)
Exp
l
invisibleyes
Ilo static 110T
&Y
(2000
)Exp
2
visible yesyes
staticyes
T
&Y
(
2000
)
Exp
3
visibleyes
yes
staticyes
T
&Y
(
2
〔}00
)
Exp
4
visible no yes static noT ,K ,
&Y
(
/996
)Exp
l
invisibleyes
yes
stat 正C noT
,
K
,
&Y
(
1996
)
Exp
2
、risible ves yes static yes「
r
&.
Y
(
1998
) visible yesyesdynamicyes
“
T
&
Y
(
2000
)
”
indicates
Takeda
&Yagi
(
2000
)
,
“
T
,
K
,
&Y
(
1996
)
”
indicates
Takeda ,
Kikuchi,
&Yagi
(
1996
)
,
and“
T
&Y
(
1998
)
”
indicates
Takeda
&Yagi
(
1998
)
,“
Yes
”
in
the
search columnindicatcs
that
visual search was executed.
“
Yes”
in
the
anchor clumn
iDdicates
that a spatial anch 〔}r wasdisplayed
.
“Yes
”ln
theIOR
大
会小
講 演
213
ム で あ ると確 認
された対 象
は,再
び注 意
が戻
ら ない よう に抑 制
さ れて いるという記憶 駆 動 型
の注 意 移 動 制 御
モデ ル を支 持
し ている.
ま た, 復帰 抑 制
を検 出
する た め の必
要 条 件
をTable
1
か ら考察
す る と , ア イ テム がプ
ロー
プ検 出時 点
まで提
示 され 続 けているこ と,
プロー
プ検 出
課 題
の前
に非効 率 的 探 索 処
理 が行
わ れているこ との2
つ が重 要
であ
る こ とが分
か る.
こ れ ら は,前
述の よ うに,「
どこ (位
置)
」に注意
を向
けた か で は なく
,
「
どれ(
対
象 )
」
に注 意 を向
け た か の記 憶 表 象
に よっ て,
系 列 的 な
注
意 の移
動に伴
う復 帰 抑制
が生
じているこ とを 示し てい る.
これ まで に
述
べ てき た よ うに,非 効 率 的 探 索
処 理にお け る復 帰抑 制
の効
果は記 憶 駆 動
モ デル の証 拠
と考
えら れ る が, この結 論
に対
する批 判
も存 在
する (e.
g
.
,Hor
−
owitz &Wolfe,2001
)
.
批判
の ポ イン トは,
非 効 率 的 探
索 処 理の後の プV一
ブ検 出が抑 制されて いる こ と は確
か で あるが, この抑 制
が非
効率
的探 索 処
理中
に生
じ る系 列
的
な注意
の移 動 制 御
に適 用 さ れい る とい う証拠
は ない と い う もの である.
つ ま り,
プ ロー
ブ検
出のよ う な二 次 的課 題
を課
し た場 合
に は抑 制 効 果
を検 出
で きるが, 実際
の注意
の移 動 制 御
に復 帰 抑 制
が用
い ら れてい る と は限
ら ず,一
度
注 意 を 向 けてチェ ックし た妨 害
ア イテ ム に注 意
が戻
っ てい る可
能性
を否
定
で き ない という
こ と であ
る.
こ の批判
に回 答 す るには, プロー
プ検 出課 題
で は な く,
注意
の移動
その もの を計 測
す る た めの指標
を 用い な け れ ば ならない.
その方 法
の1
つ と して, 眼球
運動
を 用い た検 討
が い くつか な さ れ てい る.
し か し,
非 効 率 的探 索 中
に一
度
注視
し た ア イ テムへ再 び視 線
が戻
るこ と は少 な
い とす る 記憶 駆
動モデ
ル を支 持
す る結 果
と(
e.
g
.
,
Klein
&Maclnnes
,
1999 ;Peterson,
et al.
,
2001
),
視 線
が何 度
も同
じ ア イ テム へ 戻 る とい う 結 果 が あ り (Gilchrist
&Harvey
,
2000
)
,
現 在
も議 論
が続
いてい るt3.
視 覚 的 印
付 け
これ まで述べて き た復 帰 抑 制は
系 列 的
な注意
の移 動
を 効率
的に制 御
す る上で重 要
な メ カニ ズム で あるが,
系 列
的
な 注 意の移
動 制御
に視覚 的
記憶
が寄 与
す る と考
え られ る重 要 なメ カニ ズムが も う1
つ 存 在 す る.
そ れ は,
注 意 を向
け るべ き対 象
を背 景
か ら切
り離
す た めの メカニ ズ ム で あ り,
前
もっ て知 覚
し た背 景
に対
す る視
覚的 記 憶
が関
与
し てい る と考
え られる.
近 年
,
こ の問 題
に対
して重 要 な 示唆
を し てい る研 究
に,
視 覚 的 印 付
けの研 究
があ
る.
視 覚 的 印 付
け と は,
非 効 率 的 探 索 課 題
において,
先 行 提
示 さ れ た妨 害
アイ テム には注
意 が 向 け ら れ す, 後 行 提 示 さ れ た ア イテ ム の み に注 意 を向
け られ る とい う現象
で あSimultaneous
condition
ls
afterthe
onsct一
Preview
Condition
1s
afterthe
onset一
●
●