Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiet 二y for the Soienoe of Designコ
ミ
ュ
ニ
テ
ィ
デ
ザ
イ
ン
と
し
て の
「
こ
ど
も
の
た め
の
デ ザ イ
ン
」
の
試
み
The
Trial
of
“The
Design
for
Child
ren
”
as
a
Community
Design
工
藤 芳 彰
KUDO
・Yoshiaki
拓 殖 大 学Takushoku
University
1,
はじ
め に元
来
、
生活
は地域
に根
差す も の で あ り、
そ の文 化 継 承は自 然 の こ と であ る。 しか し、
現 代 に おいては、
生 活 の 多 様 化 と 少 子高
齢 化よ る伝 統 的な地 域コミュ ニ ティ の弱 体 化によっ て、
文 化継
承の基 盤
と次 世 代育
成の仕 組 み が 失 わ れつ つ あ る。
今 後の地 域づく り の た め に は、
デ ザ インの視 点か らの多 角 的 な 支 援 が 必 要で ある。 も ち ろ ん、
文 化 文物
は不 変では ない。
よっ て、
デザ イン支援に おい て は、
そ の表 層にこだわらず、
本 質 す な わ ち 地域 社 会
に お け る 役割
や 価 値 を 理 解 し、
継 承の仕 組みを 考 える こ とが 重 要であ る。
以 上の視 点 か ら、
デザ イン史 を 専 門 と する筆 者は、
多く の先 学 と 同 じ く、
学 生 と と も に 地 域の文化 継承
と文物 活
用の た め の 提 案 に 取 り組 んでい る。
具 体 的に は、
子ども の地 域学
習お よ び 地 域コミュ ニ ケー
ショ ンを 支 援 するプログラ ムやツー
ル、
コ ン テ ン ツな どで ある。
本 特 集 号の視 点 を 踏ま え れば、
コ ミュ ニ ティデザ インと して の 「こど ものため の デザイ ン 」 と い う こ と に な る だ ろ う。
本 稿はい くつ かの事 例 を紹
介 する。
そ の多
く は 八 王 子 市 内の小 学 校 や 保 育 園で実 地の調 査 や 検証 に 取 り組んだ もの であ る。
関 係 者の皆 さ ま に あらた めて御 礼 申
し上 げる。2 .
調
べ学 習
ツー
ル 『ボ ク タ ゴ
ン 』地 域 学 習 は
、
地 域の自然 や 人 々、
文 化 文 物(
地 域資
源)
を 知 ること か ら は じ ま る。
そ して、
学 び は 能 動 的 な ほ ど よい。
しか し、
生 活 経 験 や 地 域との つ な が りが希 薄
な 子 ど も た ちに とっ て、
調べ 学 習の対象
を 設 定 す ること 自 体 が 難 しい。
その一
方 で、
教 師の誘 導 が 過 ぎ る と、
児 童の 学 習 態 度 が 受 動 的 に な り が ちであ る。
そこ で、
児 童の学習
能 力の個 人 差 に よ らない、
調べ 学 習の テー
マ設 定 を サ ポー
トする ツー
ルを 提 案した。
ツー
ルのユー
ザー
は、
地 域 学 習 が 深 ま り、
テー
マ選 択の必 要 性 が 高 まる小 学4
年
生 と し た。学 習 内容
は、
新 規
の学 習
コ ン テ ン ツ に対 応できるよう、
既存の授 業 内 容に含ま れ て い な い 「八 王 子の山 車 まつ りの理 解」 と 設 定した。
デザイ ン にあたり
、
児
童の受
動性
を損
な わず、
調べ学
習の ス テップを進
め る た め の ア イ デ ア と し て、
御 神籤
に代表
さ れ る占
い 「朴 (
ボク〉
」 の シ ス テ ム(
道具と行 為の関 係 )を導 入 すること に し た。
古来
、
占
いは 知(
経 験 知 と学 問 知〉
が カバー
でき ない問 題に対して、
ある種の指 針 を 得 るために使 用 さ れてき た。
す な わ ち、
人 間の態 度
を受
動から能 動へ切 り替 える役 割 を担っ てき た。
制 作し た調べ 学 習ツ
ー
ル 『ボクタゴン 』 (図1
)は、
八 角 柱 型 の サ イコロ(
長さ192mm
×厚さ36mm
)と、
地 域 情 報のメ ディ ア となる カー
ド デッ キ(
縦
110mm
×横
70mm
・
12
枚)
から な る。
名
称は占いの一
分 野であ る 「ト (ボク) 」 と サ イコ ロ のか た ち(
オクタ
ゴン〉
か ら考案
し た。
児童
た ち が 楽 し くサ イコロを 振 る こ とで、
カー
ドを手 引き に学 習 す ることを 能 動 的 に 捉 え させる。
サイ:コ ロ の素 材 は市の木であるイ チョウ と、
絹 織 物の歴 史 と 関 連さ せ た ク ワ の2
種と し た。
使 用によ る 劣 化 や 汚 れ を 防 ぐ た め、
表面
にクリヤ塗 装
を施
して いる。
か たち は 学 習 を 象 徴 す る鉛 筆
を模
し たもの で、
表
面 に は2
面 わ た る 主 ア イコ ン4
つ (教lll
§!t;ヨ
…
:
i
諺i
芝i
籌
り
o e 詈E出 觜 託蓼 詈 辨 P T fiヒ
e tt
モ
ロ
塁
1
霞 蕁1
:ll
代 表 的 アイコ ン カー
ドデツキ 〔1TOx7dW・
啀
2枚 }匿
o
齢
サイ⊇ 口豪 諏の アイコ ン ー 〔 }・
キ 〔鰌鯤 数1・
鹽 〔盟 1・
鯔 〔蜉き松電} 図1
調べ 学習ツー
ル 『ボ ク タ ゴン 』 の概 要藷
》
転 が す蕪
了
φ
使い方
.
h
給食3品◇1冨
4十
ア イ コ ン を 暁 む 晃塞 が話し合う コ ヨ◇
6◇
1
…
カー
ド 琶 引 く あつ
62,
6¢
弓
》
附国
鳳
図2 調べ学 習ツー
ル 『ボク タ ゴ ン』 の使い方26
デ ザ イ ン 学 研 究 特集号Special issueot Japanese Society tor亡he Science of Design Vol
.
20−
3 No.
ア9 2013Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiet 二y for t二he Soienoe of Design師
、
班、
時 限
、
給食 )
と、
各 面
乙との副
ア イ コ ン8
つ(
+、・
、
一
の いずれ か〉
が 彫 り 込 ま れ て い る 。 主 ア イコ ン は 手順4
を踏
ま えて選 定した もの である。 サ イ コ ロ の 目は、
主ア イ コ ン と 副ア イ コ ン の関 係に よっ て決 定す る。
例 えば、
「給食
ア イコン」 と 「+ 」の場 合、
当
日の給 食
の品数
に1
を足 した数
が 目となる。 基 本 的に、
すべて の面でlO
以 下 の 目 が で る よ う に なっ て い る。
カ
ー
ドデ ッキの表 面
に は山車
まつ りの特徴
を表
記して い る。
その内 容
は 手 順2
を 踏 ま え た ものであ る。
サ イコ ロ と 異 な り、
カー
ドの内 容 や 枚 数の増 減は、
教 師が学 習テー
マや 児 童の学 習 レベル に あ わ せて作 成でき る。
ツー
ル の基 本 的 な 使い方 (図2
)は、
お神 籤と夕ロ ッ トの シ ステムを 組 み 合 わせた もの で、
教 師 の 指 導 の も と、
班 の 代 表 が 机上で サ イコ ロを2
回 振り、
裏 返しで 並 ぷ カー
ドか ら目に応じ た もの を 引 き、
組 み合
わ せて学 習の手 引 き に す る。
主アイコ ン の解 釈 や サ イコ ロを 振 る 回 数、
カー
ドの組み合 わ せ 方 な ど は、
状 況に応じ て設 定可能である。
3 .
学 習
成果
の共有
ツー
ル 『フ ラ ワー
ノー
ト 』すで に述べ た よう に
、
調べ 学習
は児
童の能
動性
を拠
り所
と す るため、一
定の教 育1丿 テ ラ シー
下 において も、
理解 度にばらつ きが 起こり や すい。 こ の問題
に対処
し、
上記
の導
入教育 効果
を高
め る た め に は、
児 童
間の学
習成
果の共 有
が重
要とな る。 そこ で、
調べ 学 習の成
果 発 表 時に使 用 する知 識 共 有ツー
ル を提 案し た。
ツー
ル のユー
ザー
は、
地 域 学 習の初 年度
に あ た り、
プ レゼ ンテー
ショ ン スキルの低い小 学3
年 生とし た。
『フ ラ ワ
ー
ノー
ト 』(
図3
)
は、
班
ご と に調べ学 習の成
果を ま と め る こ と が で き る情 報
表 現ツー
ル で あ る。
児 童が親
し み を感 じ ることがで き る よ う、
鉢植
え を模
し た か た ち と し た。 児童
が1
人 で簡 単
に持
ち 運 ぶ こ と が で き、一
般的 な学 習机
に設 置して も邪魔
にならない。
同 ツ
ー
ルは、
画 用紙
を花
びら型
に切 り抜
い た 「 花 弁」(
ピン クや 黄、
青の3
種 〉と、
木 材を塗 装し た 「 花 床」 (黄 色 )、
「茎」(
緑)
、
「花軸
」(
緑)
、
「鉢
1(
自)
の計5
っの パー
ツ か ら構 成
さ れて い る。
色 彩 計 画につ い ては、
情 報 表 現 部で ある花 弁パー
ツ に 視 線が集
ま る よ う 配慮
して い る。 花 床パー
ツ は高さ2
.
5cm
の8
角 柱の各 面に ス リッ ト穴 を設け てあり、
花弁
パー
ツ を差
し込む と、
摩 擦
に よって保 持
される よ う に なっ て い る。
8
角の 理由
は、一
般 的に、
小学校
の班の構
成人 数
に対 応
する た めで ある。
花 床
パー
ツ の中央
に は穴 が 空い て おり、
これ を 利 用し て花軸
パー
ツ に装 着
す る。花軸
パー
ツ軸 部
分の径は、
花 床パー
ツ の穴 よ り若 干 小さく なっ て いるた め、
花 床パー
ツ は 自 由 に 回 転 す ること ができ る。
花 軸パー
ツの軸 先 には、
ミ ツ バチの 針 を 模し た模 様が描かれて お り、
これが花 床パー
ツ 回 転 後 に、
発 表 内 容 をセ レク トす る 目安とな る。
花 軸 図3
学 習 成 果の共 有ツー
ル 『フ ラ ワー
ノー
ト 』 図4
『 フラワー
ノー
ト』検証の様子 パー
ツ はゴム部
品により茎
パー
ツ に保 持
される た め、
適 当
な高
さ で保
持さ れ る。
こ の こ と に よ り、
花弁 パー
ツ の 大 小 に対 応す ることがで きる。
茎パー
ツ は鉢
パー
ツ に差
し込まれるが、
固定
さ れ ないた め、
360
度
回転
す る。
こ の こ と で、
班ご とに集
まっ た児 童が、
同ツー
ル を取り巻い て 意 見 交 換をすること がで き る。
授
業で の使
い方
の一
例は次の と お り で あ る。
教
師は、
『フ ラ ワー
ノー
ト』 を各
班に配り、
調べ 学 習の成 果を発 表 するよう指 示 す る。 児 童は発 表内 容
を相
談 し、
分 担 して花 弁パー
ツ に 項 目 を 記述 す る。
書
き終わっ た者か ら、
花 弁パー
ツ を花 床パー
ツ に 差 し 込 む。 この際
、
花 軸
パー
ツをス ムー
ズに回転
さ せ る た め、
班
の構
成 人 数に 限 らず、
8
枚の花 弁パー
ツ を すべて差し 込 む。
花床
パー
ツを花軸
パー
ツへ装 着
す れ ば、
成 果発表
の準 備
が完
成 す る。教 師
は教卓
上に児 童
へ向
かっ て 『フ ラ ワー
ノー
ト』を置 き、
各 班の発 表を うなが して く。
図4
は実 際の検 証の結 果である。
4 .
地 域
と 子ど
もを
つな
ぐ鬼 遊 び
の ロー
カ ラ イズ
ツー
ル私 た ち は
、
生 ま れ育
っ た地 域の こ とを考 え る 時、
どこ で何 を し緜
鴨
∵:
臆
:
∵
認
監
Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japane $e So¢iety for the S¢ien ¢e of De$ign
図
5
鬼 遊 び の 現 状 調 査 図6 鬼遊び の ロー
カ ラ イズツー
ル ホー
ドケー
L 全蜃霾
驚
臻翻
i
図7 地域 学 習ゲー
ム 「ぐるぐる 天狗 』28
デ ザ イ ン字研 究特集 号Special Issueo「Japanese SocietyfOrthe Science of Design
Vol